説明

過酸化水素ガス滅菌処理システムと同システムにおける過酸化水素ガス濃度の検出装置および検出方法

【課題】 自動測定を可能とする過酸化水素ガス濃度の検出方法および検出装置、ならびに、これらを適用しアイソレータ内の過酸化水素ガス滅菌の好適な運転制御を可能とする過酸化水素ガス滅菌処理システムを提供する。
【解決手段】 複数箇所のガスサンプリング部位2を有するアイソレータ1と、サンプリングガスを導入し薬注ポンプ7により導入された過マンガン酸カリウム溶液とを混合して反応させる気液混合槽5と、過酸化水素ガス流量計測用のガス流量計4と、気液混合槽5内の反応溶液を脱泡する脱気槽8と、脱泡した反応溶液を通流して吸光度を測定する吸光度計9と、吸光度測定結果と予め求めた吸光度と過酸化水素ガス濃度との相関とに基づいて、過酸化水素ガス濃度を演算する演算機10とを備え、前記反応溶液の吸光度を測定することにより、リアルタイムに過酸化水素ガス濃度を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、過酸化水素ガス濃度を予め設定された一定範囲に保持すべく、過酸化水素ガスを滅菌処理空間(アイソレータ)に供給して、アイソレータ内部の被処理物をガス滅菌する過酸化水素ガス滅菌処理システムならびに、同システムにおける過酸化水素ガス濃度の検出装置および検出方法に関する。この発明は、特に、製薬工場における製剤容器や包装済み製剤製品あるいは医療用具などを製造する加工組立てラインを構成するアイソレータ内の被処理物を滅菌処理するための滅菌装置システムに好適に利用できる。
【背景技術】
【0002】
環境的に分離した空間、いわゆるアイソレータ内の被処理物の減菌を行なうために、過酸化水素ガスを消毒剤もしくは滅菌処理剤として用いることは、よく知られている。
【0003】
アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度は、過酸化水素ガスがアイソレータ内で分解消費されることから、適切な滅菌処理を行うには、常時適量の過酸化水素ガスをアイソレータ内に注入して、適切な濃度範囲に保持する必要がある。ガス量の低下は滅菌不良を生じさせ、他方、過剰のガス量は、アイソレータ内の装置壁面に多量の過酸化水素を吸着させ、滅菌工程後の過酸化水素ガスのアイソレータ内からの排気時間の延滞の要因となる。
【0004】
このため、現在は、パラメトリックリソースの観点から、滅菌保証の目標値に対して、必要な過酸化水素ガス濃度と滅菌反応時間とを予め定めて、基礎実験などで使用者の使用するバイオロジカルインジゲータなどを使用して必要なガス濃度を算出し、滅菌処理装置の運転は、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度を算出されたガス濃度で所定時間保持させるように行う。
【0005】
上記のような滅菌処理装置の運転を行うことにより、滅菌に必要な必要最低限の過酸化水素ガスをアイソレータの運転に使用することが可能となり、滅菌不良を生じさせず、かつ、過度の吸引排気時間の延長を生まず、長期使用による装置全体の腐食の発生を抑制させることが可能となる。また、現行、見込みの過酸化水素ガスの注入量の計算に従い、バイオロジカルインジゲータの使用と合わせて滅菌バリデーションを行っていた運転方法が、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度の測定などの運転管理のモニタリングによって、バイオロジカルインジゲータの培養結果を待つとことなく、アイソレータ内の滅菌効果をリアルタイムに保証させるパラメトリックリソースに対応することが可能となる。そのためには、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度を、リアルタイムに、かつ精度よく測定する必要がある。
【0006】
ところで、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度を測定する方法としては、一定量のガスを水に溶解させてその水を化学分析することにより求める手分析的測定手法、赤外線の吸収スペクトルの変化からガス濃度を求める機器分析的測定方法、半導体センサーやその他の計測センサを用いて測定を行うセンサー測定方法などがある。
【0007】
上記手分析的測定手法としては、例えば、過酸化水素を含有する水溶液に、過酸化水素を酸化させる過マンガン酸カリウム溶液を加え、その酸化還元反応による酸化還元電位を測定することで、過酸化水素の濃度を計測する方法が知られている(特許文献1〜5参照)が、これ等の測定方法は、測定精度には優れるが、分析器具、試薬類、人手等が必要となり、測定の自動化が困難であってリアルタイムの検出はできない。
【0008】
また、上記機器分析的測定方法は、必要な検出セル長が大となるため測定装置が大きくなり、また滅菌バリデーションに関して測定精度があまりよくなく、さらに高コストとなる等の問題があった。
【0009】
さらに、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度をリアルタイムに測定する方法としては、特許文献6〜8に開示された方法や装置が知られている。
【0010】
特許文献6は、「処理容器(アイソレータ)内における過酸化水素ガス濃度を半導体ガスセンサにより常時検出して、半導体ガスセンサの出力に応じて、処理容器内における過酸化水素ガス濃度を予め設定された一定範囲に保持すべく、過酸化水素ガスの供給量を制御するようにしたガス滅菌処理方法。」を開示している。
【0011】
しかしながら、上記特許文献6に記載された半導体ガスセンサを用いる場合、下記のような問題があり、特許文献7は、この問題を解消するための方法および装置を開示する。上記問題点および特許文献7に記載された方法および装置に関して、特許文献7の記載を引用して、以下に述べる。まず、問題点から述べる。
【0012】
即ち、「処理容器内の過酸化水素蒸気濃度が一定に保持されている場合にも、処理容器内の温度又は湿度が変化すると、半導体ガスセンサのセンサ出力が当該温度又は湿度によって変動する問題がある。すなわち、センサ出力を過酸化水素蒸気濃度に変換させるための変換率は、実験容器内の温度及び湿度を一定に保持した条件下で求めたデータに基づくものであるから、温度又は湿度が変動する実際の滅菌,殺菌処理等においては、かかる変換率によってセンサ出力から変換させた過酸化水素蒸気濃度は処理容器内の実際の過酸化水素蒸気濃度と異なる問題がある。」
そこで、特許文献7は、「かかる従来方法の問題を解決して、処理容器内の温度又は湿度が変動する条件下においても、常に、処理容器内の過酸化水素蒸気濃度(以下「器内濃度」という)をリアルタイムで正確に検出することができ、滅菌,殺菌処理等の過酸化水素蒸気による処理を効率よく効果的に行わしめる過酸化水素蒸気濃度検出方法を提供すると共に、この方法を好適に実施することができる濃度検出装置を提供すること」を目的として、下記のような解決手段を開示する。図2は、特許文献7に図1として開示された滅菌処理システムの概略図であり、一部、部番を変更して示す。
【0013】
即ち、図2に示す特許文献7の発明に係る解決手段は、「圧力を一定に保持した処理容器2b内において被処理物1bを過酸化水素蒸気3bと接触させるようにした処理システムにおいて、処理容器2b内の過酸化水素蒸気濃度を半導体ガスセンサ71により検出する。半導体ガスセンサ71の出力を、演算器74cにより、予め求めた温度及び湿度をパラメータとする当該半導体ガスセンサの出力と過酸化水素蒸気濃度との相関関係データに基づいて、検出器72,73により検出された処理容器2内の湿度及び温度との関係において補正演算して、その演算値を濃度表示器75に過酸化水素蒸気濃度として表示させるようにする」ものである。
【0014】
なお、図2において、3aは排ガス、4bは過酸化水素蒸気発生装置、5bは供給ライン、6bは排気ライン、8aは過酸化水素水溶液供給源、8bは過酸化水素水溶液、9bはキャリアエアを示す。
【0015】
ところで、図2に示すような半導体ガスセンサを用いたにおいても、下記のような問題がある。処理容器2内の過酸化水素ガスに含まれる水蒸気の量が変動するので、上記のように、湿度計測結果に基づく補正を行ったとしても、過酸化水素ガス濃度をリアルタイムで測定する必要がある場合には、精度上、問題がある。さらに、処理容器(アイソレータ)の空間が広く、過酸化水素ガスに含まれる水蒸気量の空間分布や温度の均一性がよくない場合には、ガスサンプリングポートの位置によって測定結果が異なるので、この場合には、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度の制御精度が問題となる。
【0016】
次に、特許文献8について述べる。特許文献8は、「滅菌装置における滅菌ガス濃度の検出手段としてイオン導電体を用いたガス濃度検出方法を採用するとともに、その正確な滅菌ガス濃度の検出が安定的かつリアルタイムで得られるように工夫することにより、滅菌室内における滅菌ガス濃度を所求の条件に確実かつ速やかに制御し得る滅菌装置の滅菌ガス濃度制御装置を提供する。」ことを目的として、下記の解決手段を開示する。
【0017】
即ち、「滅菌室にイオン導電体を用いたガス濃度センサ及び適宜の湿度センサを設置し、前記ガス濃度センサの検出値から湿度センサの検出値に応じて湿度相当分を差引くことにより滅菌ガス濃度を求め、その滅菌ガス濃度に基づいて前記滅菌室への滅菌ガスの供給を制御する。前記ガス濃度センサを構成するそれぞれの電極を櫛状に形成し、それらの櫛状の歯の部分が互いに並置されるように配設する。」ことを特徴とする滅菌装置における滅菌ガス濃度制御装置を開示する。
【0018】
上記特許文献8の装置の場合にも、特許文献7の装置の場合と同様に、湿度変動や湿度分布の不均一に基づく測定精度および制御精度上の問題がある。
【特許文献1】特開平3−216543号公報
【特許文献2】特開平3−216544号公報
【特許文献3】特開平4−157356号公報
【特許文献4】特開平4−157357号公報
【特許文献5】特開平4−320954号公報
【特許文献6】特開平9−131390号公報
【特許文献7】特開平11−160265号公報
【特許文献8】特開2000−97906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
この発明は、上記のような点に鑑みてなされたもので、この発明の課題は、前記手分析的測定手法のような高い測定精度を持ち、かつ、機器分析的測定手法における自動化を同時に可能とするアイソレータ内の過酸化水素ガス濃度の検出方法および検出装置を提供することにある。さらに、上記検出方法および装置の適用により、滅菌バリデーションにおけるパラメトリックリソースに対応可能とし、アイソレータ内の過酸化水素ガス滅菌の好適な運転制御を可能とする過酸化水素ガス滅菌処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前述の課題を解決するため、この発明は、過酸化水素ガス濃度を予め設定された一定範囲に保持すべく、過酸化水素ガスを滅菌処理空間(アイソレータ)に供給して、アイソレータ内部の被処理物をガス滅菌する過酸化水素ガス滅菌処理システムにおける過酸化水素ガス濃度の検出方法において、前記アイソレータの少なくとも一箇所のガスサンプリングポートから、予め定めた所定流量でアイソレータ内の過酸化水素ガスを吸引し、この吸引ガスと、予め定めた所定流量の過マンガン酸カリウム溶液とを、気液混合槽内に導入・混合して反応させ、この反応溶液を脱気槽に通流して脱泡した後、吸光度計に通流して吸光度を測定し、この吸光度測定結果と、予め求めた吸光度と過酸化水素ガス濃度との相関とに基づいて、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度を連続的に計測することを特徴とする(請求項1の発明)。
【0021】
上記検出方法によれば、過マンガン酸カリウム溶液中に、過酸化水素ガスを散気し、その反応溶液の吸光度を測定することにより、リアルタイムに過酸化水素ガス濃度を、高精度で検出できる。
【0022】
上記請求項1の発明の実施態様としては、下記請求項2の発明が好ましい。即ち、前記請求項1に記載の検出方法において、前記アイソレータは、ガスサンプリングポートを複数箇所有し、前記アイソレータと気液混合槽との間には、ガスサンプリングポートを切り替える切り替えバルブを備え、過酸化水素ガス濃度の検出位置を切り替えて過酸化水素ガス濃度を計測することを特徴とする(請求項2の発明)。これにより、ガスサンプリングポートの位置によって過酸化水素ガス濃度が異ならない限り、測定結果が異なることはないので、前述のようなアイソレータ内の過酸化水素ガス濃度の制御精度の問題は解消する。なお、アイソレータ内の空間の過酸化水素ガス濃度の分布は、空間内のガスを、例えばファンにより流動させることにより、均一化できる。
【0023】
次に、検出装置の発明としては、下記請求項3の発明が好ましい。即ち、請求項1または2に記載の過酸化水素ガス濃度の検出方法を実施するための装置であって、少なくとも一箇所のガスサンプリングポートを有するアイソレータと、過酸化水素ガスのサンプリングガスを導入し、薬注ポンプにより導入された過マンガン酸カリウム溶液と前記サンプリングガスとを混合して反応させる気液混合槽と、前記ガスサンプリングポートと気液混合槽との接続配管上に設けた過酸化水素ガス流量計測用のガス流量計と、前記気液混合槽内の反応溶液を脱泡する脱気槽と、脱泡した反応溶液を通流して吸光度を測定する吸光度計と、吸光度測定結果と予め求めた吸光度と過酸化水素ガス濃度との相関とに基づいて、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度を演算する演算機とを備えることを特徴とする(請求項3の発明)。
【0024】
さらに、過酸化水素ガス滅菌処理システムの発明としては、下記請求項4の発明が好ましい。即ち、過酸化水素ガスをアイソレータに供給する過酸化水素ガス発生装置と、前記請求項3に記載の過酸化水素ガス濃度の検出装置と、この検出装置からの出力信号に基づいて過酸化水素ガスの発生量を調節する制御装置とを備えることを特徴とする(請求項4の発明)。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、高い測定精度を持ち、かつ、リアルタイムによる自動測定を同時に可能とする過酸化水素ガス濃度の検出方法および検出装置を提供することができ、また、上記検出方法および装置の適用により、アイソレータ内の過酸化水素ガス滅菌の好適な運転制御を可能とする過酸化水素ガス滅菌処理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図面に基づき、本発明の実施の形態の一例について以下に述べる。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態を示す過酸化水素ガス滅菌処理システムの概略構成図である。図1に示す過酸化水素ガス濃度の検出装置は、複数箇所のガスサンプリング部位(ガスサンプリングポート)2を有するアイソレータ1と、過酸化水素ガスのサンプリングガスを導入し、薬注ポンプ7により導入された過マンガン酸カリウム溶液と前記サンプリングガスとを混合して反応させる気液混合槽5と、前記ガスサンプリングポート2と気液混合槽5との接続配管上に設けた過酸化水素ガス流量計測用のガス流量計4と、気液混合槽5内の反応溶液を脱泡する脱気槽8と、脱泡した反応溶液を通流して吸光度を測定する吸光度計9と、吸光度測定結果と予め求めた吸光度と過酸化水素ガス濃度との相関とに基づいて、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度を演算する演算機10とを備える。
【0028】
なお、図1において、3は切り替えバルブ、6は過マンガン酸カリウム保存瓶、11は廃液瓶、12は演算機10からの出力信号に基づいて過酸化水素ガスの発生量を調節する制御装置、13は過酸化水素ガスをアイソレータ1に供給する過酸化水素ガス発生装置、14はアイソレータ1に設けたガス流動用のファンである。
【0029】
次に、図1の構成の詳細や動作等について述べる。アイソレータ1の複数ヶ所に設けられている各ガスサンプリグ部位2とガス流量計4とが、切り替えバルブ3を介して接続されている。切り替えバルブ3の切り替えにより、アイソレータ1内の任意の場所のガスが吸引可能となっている。切り替えバルブ3はガス流量計4に接続され、常に一定量のガスが吸引されるようになっている。吸引ガスは、ガス流量計4に接続された気液混合槽5内で、過マンガン酸カリウム保存瓶6より薬注ポンプ7により一定流量にて送液される過マンガン酸カリウム溶液中に散気され、とよく混合されて十分反応する。
【0030】
反応後の反応溶液は、脱気槽8に送液され、反応溶液中の気泡が分離される。脱気槽8は吸光度計9に接続され、吸光度計9により反応溶液の吸光度が測定される。任意の時間の測定された吸光度値、吸引ガス流量値、過マンガン酸カリウム流量値等が演算機10に入力され、吸光度測定値と、予め求めた吸光度と過酸化水素ガス濃度との相関とに基づいて、吸引された過酸化水素ガス濃度が算出される。なお、吸光度計9から排出された反応溶液は廃液瓶11に保存される。
【0031】
演算機10により算出された過酸化水素ガス濃度値は、制御装置12に転送される。制御装置12は、得られた過酸化水素ガス濃度値を、使用者が設定した設定値に一定時間保持させるように、過酸化水素ガス発生装置13のガス発生量を調整させる信号を演算処理し、その結果を過酸化水素ガス発生装置13に送信する。過酸化水素ガス発生装置13は得られた信号値に従い、過酸化水素ガスをアイソレータ1内に噴霧する。なお、アイソレータ1内の過酸化水素ガスの分布状態が不均一な場合には、アイソレータ1内に設けたファン14を回転し、アイソレータ1内の過酸化水素ガス濃度の分布を均一化する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態を示す過酸化水素ガス滅菌処理システムの概略構成図。
【図2】特許文献7に開示された従来の滅菌処理システムの概略図。
【符号の説明】
【0033】
1 アイソレータ
2 ガスサンプリング部位
3 切り替えバルブ
4 ガス流量計
5 気液混合槽
6 過マンガン酸カリウム保存瓶
7 薬注ポンプ
8 脱気槽
9 吸光度計
10 演算機
11 廃液瓶
12 制御装置
13 過酸化水素ガス発生装置
14 ファン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化水素ガス濃度を予め設定された一定範囲に保持すべく、過酸化水素ガスを滅菌処理空間(アイソレータ)に供給して、アイソレータ内部の被処理物をガス滅菌する過酸化水素ガス滅菌処理システムにおける過酸化水素ガス濃度の検出方法において、前記アイソレータの少なくとも一箇所のガスサンプリングポートから、予め定めた所定流量でアイソレータ内の過酸化水素ガスを吸引し、この吸引ガスと、予め定めた所定流量の過マンガン酸カリウム溶液とを、気液混合槽内に導入・混合して反応させ、この反応溶液を脱気槽に通流して脱泡した後、吸光度計に通流して吸光度を測定し、この吸光度測定結果と、予め求めた吸光度と過酸化水素ガス濃度との相関とに基づいて、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度を連続的に計測することを特徴とする過酸化水素ガス滅菌処理システムにおける過酸化水素ガス濃度の検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検出方法において、前記アイソレータは、ガスサンプリングポートを複数箇所有し、前記アイソレータと気液混合槽との間には、ガスサンプリングポートを切り替える切り替えバルブを備え、過酸化水素ガス濃度の検出位置を切り替えて過酸化水素ガス濃度を計測することを特徴とする過酸化水素ガス滅菌処理システムにおける過酸化水素ガス濃度の検出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の過酸化水素ガス濃度の検出方法を実施するための装置であって、少なくとも一箇所のガスサンプリングポートを有するアイソレータと、過酸化水素ガスのサンプリングガスを導入し、薬注ポンプにより導入された過マンガン酸カリウム溶液と前記サンプリングガスとを混合して反応させる気液混合槽と、前記ガスサンプリングポートと気液混合槽との接続配管上に設けた過酸化水素ガス流量計測用のガス流量計と、前記気液混合槽内の反応溶液を脱泡する脱気槽と、脱泡した反応溶液を通流して吸光度を測定する吸光度計と、吸光度測定結果と予め求めた吸光度と過酸化水素ガス濃度との相関とに基づいて、アイソレータ内の過酸化水素ガス濃度を演算する演算機とを備えることを特徴とする過酸化水素ガス滅菌処理システムにおける過酸化水素ガス濃度の検出装置。
【請求項4】
過酸化水素ガスをアイソレータに供給する過酸化水素ガス発生装置と、前記請求項3に記載の過酸化水素ガス濃度の検出装置と、この検出装置からの出力信号に基づいて過酸化水素ガスの発生量を調節する制御装置とを備えることを特徴とする過酸化水素ガス滅菌処理システム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−250697(P2006−250697A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67399(P2005−67399)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】