説明

過酸化物からなる高吸収性材料

【解決手段】 本発明は、おむつ及び生理用ナプキンにおいて使用されるような高吸収性高分子(SAP)及び過酸化物からそれぞれなる高分子組成物及び抗菌性組成物に関するものである。当該高吸収性材料は、架橋されたポリアクリル酸のような予め成形されたSAPを、水に溶かした過酸化水素からなる処理液によって処理し、続いて乾燥させる工程から作られることもある。結果として生じる高吸収性材料は、強い抗菌活性を有する。任意に、当該処理液は、亜鉛、ジルコニウム、及びマグネシウムそれぞれの金属塩を含む金属塩を含むこともある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高吸収性高分子、それらを製造する方法、及びそれらを使用する物品に関するものであり、特に、抗菌性を有する、または、機能性過酸化物の原料として使用するためのものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂は、生理用品、おむつ、衛生用品、雑巾、パッケージ材料、水分保持材、脱水剤、汚泥凝固剤、使い捨てタオル及びバスマット、使い捨てドアマット、増粘剤、ペットのための使い捨てのリターマット、凝血防止剤、及び様々な化学物質のための放出制御剤において広く用いられている。吸水性樹脂は、様々な化学形態において利用することができる。その化学形態には、澱粉アクリロニトリルグラフト重合体、カルボキシメチルセルロース、架橋ポリアクリル酸、スルホン化ポリスチレン、加水分解されたポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレン酸化物、ポリビニルピロリドン及びポリアクリロニトリルのような、置換、及び、非置換の天然、及び、合成の高分子が含まれる。
【0003】
このような吸水性樹脂は、「高吸収性高分子」またはSAPと称され、典型的には軽く架橋した親水性高分子である。SAPは、液体において、自重量の少なくとも10倍を吸収または吸込み、及び、適度な圧力の下で、吸収または吸い込まれた液体を保持する材料である。吸収された、または吸い込まれた液体は、当該流体が圧搾することにより、そこから除去される孔に含まれるだけでなく、SAPの分子構造内に取り込まれる。いくつかのSAPは、液体においてそれらの重量の最高1000倍を吸収することができる。SAPは一般的に、Goldman et al.において米国特許5,669,894及び5,559,335及び米国特許7,249,632においてMitchellによって議論され、この開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。SAPは化学的同一性において異なることがあるが、全てのSAPは、適度な圧力の下でさえ、しばしば自重量と等しい液体の量を吸収し、保持することができる。例えば、SAPは、蒸留水であれば、自重量の100倍またはそれ以上を吸収することができる。封圧下での液体を吸収する能力は、おむつのような衛生用品において使用されるSAPにとって重要な要件である。
【0004】
Rebreは、米国特許5,442,014及び5,373,066において、その製造の間、過酸化水素を有する特定の高吸収性高分子について記述している。過酸化水素を有する処理は、SAP製品において含まれる残留モノマーを許容できるレベルに明らかに減少させる。過酸化水素の量は、乾燥したSAP高分子に対して、0.08重量%から0.19重量%である。
【0005】
金属過酸化物または金属塩及び過酸化水素(「HP」)の複合体は、織物のための抗菌処理として言及されている。これらの組成物は、酢酸亜鉛のような金属塩類の反応によって形成されることがある(米国特許5,656,037、5,152,996、4,199,32及び 4,174,418)。
【0006】
(産業上の利用可能性)
高吸収性高分子(SAP)の産業は、頻繁に、それらの吸収及び保持能力の性質に加えて、それらの製品に他の性質を付加する必要性に直面している。例えば、吸収性用品が適所に体液を注入される際は、特に尿において、強力で不快な匂いを放つ。例えば、皮膚上及び消化管内に存在する細菌ウレアーゼによる尿素の加水分解に起因するアンモニア臭が挙げられる。いくつかのSAP製品からのこれらの匂いを除去することを狙いとして、特定の防臭剤が教示されている。したがって、WO 98/20915及びEP739635は、それぞれ、ゼオライト及びホウ砂を含む混合物を記載している。米国特許4,842,593は、非浸出方法で取り込まれない、パッド剤及び非中毒性、非刺激性及び不揮発性の抗菌剤を有するSAPを含むおむつについて記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、組成物、方法、及び物品を提供する。組成物は、望ましくは抗菌性を有し、高吸収性高分子(「SAP」)を過酸化水素(「HP」)で処理することによって作られることがある。当該処理は、過酸化水素の水溶液により高吸収性高分子を膨潤させること、続いて、当該高分子を乾燥させることからなる。この処理は、非浸出性抗菌特性を有する抗菌性高吸収性高分子である乾燥組成物を望ましく生成する。
【0008】
本発明は、過酸化水素が、HPによる処理の後、乾燥SAPの粉末において、物理的にそのまま維持されるようであるという発明者の発見を利用する。これは、浸出研究(後述する)により実証され、処理した粉末が食塩水に過剰に入れられる際に、抗菌効果を溶液内に浸出しないことを示す。しかし、水溶液内において処理されたSAP材料のヨウ素還元滴定は、活性過酸化物の存在を示す。バクテリアのような微生物は、処理したSAP材料との接触に応じて破壊される。これらの観察は、処理されたSAPにおいてHPが隔離され、需要(例えば、隔離されたHPと反応性のある微生物または試薬のいずれかを有する処理されたSAPとの接触によって)に応じて遊離されることを示唆する。
【0009】
過酸化水素を有する高吸収性高分子の当該処理から生じる本発明の抗菌性組成物は、熱安定性であり、良好な保存性を有する。
【0010】
これは、隔離された過酸化物を有する高分子組成物を提供するための本発明の実施形態であって、高吸収性高分子グラムあたり0.005から0.2グラムの過酸化水素によって高吸収性高分子を処理することによって生じる。そこにおいて、当該処理は、過酸化水素水溶液からなる処理液により高吸収性高分子を膨潤させ、続いて乾燥させることからなる。本発明の好適な実施形態において、高吸収性高分子は、高吸収性高分子グラムあたり0.01から0.15グラムの過酸化水素によって処理される。本発明のさらに好適な実施形態において、高吸収性高分子グラムあたり0.02から0.15グラムの過酸化水素によって処理される。
【0011】
処理液が、高吸収性高分子グラムあたり少なくとも0.02グラムの金属塩を有する高吸収性高分子を処理するのに適した量の金属塩からなることは、本発明の実施形態である。適当な金属塩には、亜鉛、マグネシウム、銀、銅、及びジルコニウム塩を含む。金属塩が、酢酸亜鉛、酢酸亜鉛ニ水和物、酢酸マグネシウム、及び酢酸ジルコニウムであることは好適である。当該塩が、酢酸亜鉛ニ水和物または酢酸マグネシウムであることは、さらに好適である。
【0012】
高吸収性高分子が、カルボン酸塩含有高分子、セルロース誘導体、ポリアクリルアミドまたは、ポリジアリルジアルキルアンモニウム塩であることは、本発明の実施形態である。本発明の好適な実施形態において、高吸収性高分子は、カルボン酸塩含有高分子である。本発明のさらに好適な実施形態において、カルボン酸塩含有高分子は、アクリル酸系高分子である。当該アクリル酸系高分子は、部分的に中和されたアクリル酸高分子の架橋された親水性ナトリウム塩であることもある。
【0013】
高吸収性高分子及び処理液から調製される高分子組成物が高吸収性であることは、本発明の実施形態である。
【0014】
上記で開示された高分子組成物をつくる方法であって、
a.過酸化水素を有する処理液によって高吸収性高分子を膨潤させる工程と、
b.当該高分子を乾燥させる工程と、
を有するものであり、これにより、過酸化水素は、高吸収性高分子の内部または表面で隔離されるものである方法、を提供することは本発明の実施形態である。
【0015】
高吸収性高分子を、高吸収性高分子グラムあたり0.005から0.2グラムの過酸化水素によって処理することで生じる抗菌性組成物を提供することは、本発明の実施形態である。当該処理は、過酸化水素の処理水溶液によって高吸収性高分子を膨潤させること、続いて乾燥させることからなり、それによって、抗菌性組成物との接触は、生存可能なバクテリアを少なくとも3−logの減少を提供する。本発明の好適な実施形態において、高吸収性高分子は、高吸収性高分子グラムあたり0.01から0.15グラムによって処理される。本発明のさらに好適な実施形態においては、高吸収性高分子グラムあたり0.02から0.15グラムで処理される。
【0016】
高吸収性高分子グラムあたり少なくとも0.02グラムの金属塩を有する高吸収性高分子を処理するのに適当な量の金属塩からなることは、本発明の実施形態である。適当な金属塩には、亜鉛、マグネシウム、銀、銅、及びジルコニウム塩が含まれる。金属塩が、酢酸亜鉛、酢酸亜鉛二水和物、酢酸マグネシウム、及び酢酸ジルコニウムのような酢酸塩であることは好適である。当該塩が、酢酸亜鉛次水和物または酢酸マグネシウムであることはさらに好適である。
【0017】
高吸収性高分子が、カルボン酸塩含有高分子、セルロース誘導体、ポリアクリルアミドまたは、ポリジアリルジアルキルアンモニウム塩であることは、本発明の実施形態である。本発明の好適な実施形態において、高吸収性高分子は、カルボン酸塩含有高分子である。本発明のさらに好適な実施形態において、カルボン酸塩含有高分子は、アクリル酸系高分子である。当該アクリル酸系高分子は、部分的に中和されたアクリル酸高分子の架橋された親水性ナトリウム塩であることもある。
【0018】
抗菌性組成物が、粉末または顆粒状物質の形で高吸収性高分子からなることは、本発明の実施形態である。当該高吸収性高分子及び処理液から調製される当該抗菌性組成物が高吸収性であることは、本発明の実施形態である。当該抗菌性組成物の抗菌活性が非浸出性であることは、本発明の実施形態である。
【0019】
本発明の抗菌性組成物からなる、包帯、創傷包帯、タンポン、生理用ナプキン、おむつ、雑巾、失禁装置または衣服、食品包装、または医療装置は、本発明の実施形態である。本発明の抗菌性組成物からなるおむつまたは失禁用衣服を使用することによるおむつかぶれを制御することは、本発明の実施形態である。
【0020】
上記で開示された高吸収性抗菌性組成物をつくる方法であって、
a.過酸化水素を有する処理液によって高吸収性高分子を膨潤させること工程と、
b.当該高分子を乾燥させる工程と、
を有し、これにより、非浸出性の抗菌活性を有する高吸収性高分子が生じるものである方法、を提供することは、本発明の実施形態である。
【0021】
そこに含まれる生存可能なバクテリアを3−log減少させるために、感染した液体を消毒する方法を提供することは、本発明の実施形態である。当該方法の工程は、過酸化物及び任意に金属塩からなる処理液によって処理された高吸収性高分子からなる抗菌性組成物と液体を接触させる工程、及び、当該生成された抗菌性組成物を乾燥させる工程からなる。本発明の好適な実施形態において、当該方法は、匂い、感染、微生物による発疹またはアレルギーを、減少させる、または、制御するものである。
【0022】
処理液が当該高吸収性高分子の重量の少なくとも5倍であることは本発明の実施形態である。
【0023】
過酸化水素を有する高吸収性高分子の処理によって生じる高吸収性抗菌性組成物を使用することによって、微生物の増殖を阻害することは本発明の態様である。そこにおいて、当該処理は、過酸化水素水溶液を有する当該高吸収性高分子を膨潤させること、続いて、高吸収性抗菌性組成物を生じるように当該高分子を乾燥させることからなる。
【0024】
過酸化物を有する高吸収性高分子の処理によって生じる抗菌性組成物の有効量をおむつ生地に注入することによって、遊離アンモニアを有する尿中尿素を攻撃するバクテリアを抑制し、匂いを減少させること及びおむつかぶれを制御することの方法を提供することは、本発明の態様である。そこにおいて、当該処理は、過酸化水素水溶液を有する当該高吸収性高分子を膨潤させること、続いて当該高分子を乾燥させることからなる。
【0025】
したがって、組成物、処理の方法、及び製造物品を提供することは本発明の態様である。そこにおいて、過酸化水素による高吸収性高分子の処理によって生じる抗菌性組成物が使用され、そこにおいて、当該処理は、過酸化水素水溶液によって当該高吸収性高分子を過酸化水素水溶液によって膨潤させ、続いて、当該高分子を乾燥させることからなる。
【0026】
組成物、処理の方法、及び製造物品を提供することは本発明の態様である。そこにおいて、過酸化水素による高吸収性高分子の処理によって生じる抗菌性高吸収性高分子が使用され、そこにおいて、当該処理は、匂いを減少させること、微生物を制御すること、及び感染または微生物による発疹及びアレルギーを減少させる利益を提供することを目的として、過酸化水素水溶液を有する当該高吸収性高分子を膨潤させ、続いて高分子を乾燥させることからなる。
【0027】
過酸化水素によって部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩の処理によって生じる抗菌性高吸収性高分子を提供することは、本発明の態様である。そこにおいて、当該処理は、過酸化水素水溶液を有する当該高吸収性高分子を膨潤させ、続いて当該ポリマーを乾燥させることからなる。
【0028】
過酸化水素によって部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩の処理によって生じる抗菌性高吸収性高分子を用いることによって、微生物の増殖を阻害する方法を提供することも本発明の態様である。そこにおいて、当該処理は、過酸化水素水溶液を有する当該高吸収性高分子を膨潤させ、続いて当該高分子を乾燥させることからなる。
【0029】
感染の拡散を制御するための組成物の有効量をおむつ生地に注入することによって、遊離アンモニアを有する尿中尿素を攻撃するバクテリアを抑制し、匂いを減少させること及びおむつかぶれを制御することの方法、過酸化水素によって部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩の処理によって生じる抗菌性組成物を提供することは、本発明の態様である。そこにおいて、当該処理は、過酸化水素水溶液を有する当該高吸収性高分子を膨潤させること、続いて当該高分子を乾燥させることからなる。
【0030】
したがって、組成物、処理の方法、及び製造物品を提供することは、本発明の態様である。そこにおいて、過酸化水素によって部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩の処理によって生じる抗菌性高吸収性高分子が使用され、そこにおいて、当該処理は、過酸化水素水溶液を有する当該高吸収性高分子を膨潤させること、続いて当該高分子を乾燥させることからなる。
【0031】
組成物、処理の方法、及び製造物品を提供することも本発明の態様である。そこにおいて、過酸化水素によって部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩の処理によって生じる抗菌性高吸収性高分子が用いられること、そこにおいて、当該処理は、匂いを減少させること、微生物を制御すること、及び感染または微生物による発疹及びアレルギーを減少させる利益を提供することを目的として、過酸化水素水溶液を有する当該高吸収性高分子を膨潤させること、続いて乾燥させることからなる。
【0032】
過酸化水素及び任意に金属塩を有する高吸収性高分子の架橋されたナトリウム塩の処理によって生じる抗菌性高吸収性組成物を使用することによって、微生物の増殖を阻害する方法を提供することは、本発明の態様である。そこにおいて、当該処理は、過酸化水素の水溶液及び金属塩を有する当該高吸収性高分子を膨潤させること、続いて、当該高分子を乾燥させることからなる。
【0033】
感染の拡散を制御するための組成物の有効量をおむつ生地に注入することによって、遊離アンモニアを有する尿中尿素を攻撃するバクテリアを抑制し、匂いを減少させること及びおむつかぶれを制御することの方法、過酸化水素及び任意に金属塩を有する高吸収性高分子の処理によって抗菌性高吸収性組成物となる当該組成物を提供することは、本発明の態様である。そこにおいて、当該処理は、過酸化水素の水溶液及び金属塩を有する当該高吸収性高分子を膨潤させること、続いて、当該高分子を乾燥させることからなる。
【0034】
したがって、組成物、処理の方法、及び製造物品を提供することは本発明の態様である。そこにおいて、過酸化水素及び任意に金属塩を有する高吸収性高分子の処理によって生じる抗菌性高吸収性組成物が使用され、そこにおいて、当該処理は、過酸化水素の水溶液及び金属塩を有する当該高吸収性高分子を膨潤させ、続いて乾燥させることからなる。
【0035】
組成物、処理の方法、及び製造物品を提供することも本発明の態様である。そこにおいて、過酸化水素及び任意に金属塩を有する高吸収性高分子の処理によって生じる抗菌性高吸収性組成物が使用され、そこにおいて、当該処理は、匂いを減少させること、微生物を制御すること、及び感染または微生物による発疹及びアレルギーを減少させる利益を提供することを目的として、過酸化水素水溶液及び金属塩を有する当該高吸収性高分子を膨潤させ、続いて当該高分子を乾燥させることからなる。
【0036】
過酸化水素及び任意に金属塩を有する部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩の処理によって生じる抗菌性高吸収性組成物を提供することも、本発明の態様である。そこにおいて当該処理は、過酸化水素の水溶液及び金属塩を有する当該高吸収性高分子を膨潤させること、続いて当該高分子を乾燥させることからなる。
【0037】
過酸化水素及び任意に金属塩を有する部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩の処理によって生じる抗菌性高吸収性組成物を使用することによって、微生物の増殖を阻害する方法を提供することも、本発明の態様である。そこにおいて、当該処理は、過酸化水素の水溶液及び金属塩を有する当該高吸収性高分子を膨潤させること、続いて、当該高分子を乾燥させることからなる。
【0038】
感染の拡散を制御するための組成物の有効量をおむつ生地に注入することによって、遊離アンモニアを有する尿中尿素を攻撃するバクテリアを抑制し、匂いを減少させること及びおむつかぶれを制御することの方法、過酸化水素及び任意に金属塩を有する部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩の処理によって抗菌性高吸収性組成物となる当該組成物を提供することも、本発明の態様である。そこにおいて、当該処理は、過酸化水素の水溶液及び金属塩を有する当該高吸収性高分子を膨潤させること、続いて、当該高分子を乾燥させることからなる。
【0039】
したがって、組成物、処理の方法、及び製造物品を提供することは、本発明の態様である。そこにおいて、過酸化水素及び任意に金属塩を有する部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩の処理によって生じる抗菌性高吸収性高分子が使用され、そこにおいて、当該処理は、過酸化水素の水溶液及び金属塩を有する高吸収性高分子を膨潤させること、続いて当該高分子を乾燥させることからなる。
【0040】
組成物、処理の方法、及び製造物品を提供することも本発明の態様である。そこにおいて、過酸化水素及び任意に金属塩を有する部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩の処理によって生じる抗菌性高吸収性組成物が使用され、そこにおいて、当該処理は、匂いを減少させること、微生物を制御すること、及び感染または微生物による発疹及びアレルギーを減少させる利益を提供することを目的として、過酸化水素水溶液及び金属塩を有する当該高吸収性高分子を膨潤させ、続いて当該高分子を乾燥させることからなる。
【0041】
この発明の実施形態において、高吸収性高分子は水性処理液により処理される。
【0042】
高吸収性抗菌性組成物を形成するために、強酸または鉱酸が、過酸化水素を有する当該SAPの反応に触媒作用を及ぼすことを必要としないことは、本発明の効果である。
【0043】
処理水溶液による当該高吸収性高分子の膨潤後、当該高吸収性材料がすぐに乾燥することは、本発明の実施形態である。
【0044】
本発明の実施形態において、当該高吸収性材料は、処理液が当該高分子と反応することができるように、乾燥する前に所定の温度で所定の時間において処理液により膨潤した後に保存される。
【0045】
本発明の好適な実施形態において、当該高吸収性高分子は、部分的に中和されたアクリル酸系高分子の架橋された親水性ナトリウム塩である。
【0046】
本発明の実施形態において、十分な処理液は、高吸収性高分子を一様に濡らすために塗布される。
【0047】
本発明の実施形態において、処理液の最小量は、当該処理された材料を乾燥する効果に最少エネルギーの入力を必要とし、当該高吸収性高分子を一様に濡らすよう塗布される。当該高吸収性高分子が、塗布される全ての処理液を吸収することは必要ではない。
【0048】
本発明の実施形態において、過酸化水素水溶液及び金属塩からなる処理液は、さらに、処理水溶液においての金属塩及び過酸化水素混合物の可溶性を強化するために加えられる酸からなる。この目的のために好適な酸は、酢酸である。
【0049】
本発明の実施形態において、高吸収性高分子のグラムあたり少なくとも0.02グラムの金属塩が用いられる;さらに本発明の好適な実施形態において、高吸収性高分子のグラムあたり少なくとも0.05グラムの金属塩が用いられる;及び最も好適な実施形態において、高吸収性高分子のグラムあたり0.10グラムの金属塩が用いられる。
【0050】
当該処理液による当該高吸収性材料の処理の後、当該処理された材料が乾燥することは、本発明の態様である。
【0051】
(定義)
「病原菌」または「微生物」とは、バクテリア、ウイルス、原生動物、酵母菌、菌類、カビまたはこれらの任意により形成される胞子のような任意の有機体または有機体の組み合わせを意味する。
【0052】
「抗菌性」とは、微生物を殺す、破壊する、不活性にする、または、中和することができる、または、成長、生存する能力または微生物の増殖を妨げるまたは減少させることができる化合物、組成物、物品の殺菌性または微生物静止活性のことを意味する。
【0053】
「基質」とは、過酸化物のような抗菌性物質が化学的に結合される表面または媒体をいう。あるいは、基質は、抗菌性組成物または抗菌的に修飾された基質を生じるように過酸化水素のような試薬と反応させる表面、物体、または材料である。本発明の場合において、当該基質は、高吸収性高分子である。
【0054】
「表面」とは、基質(本願においては高吸収性高分子)の一般的な外表面、及び、基質内の空間、チャネル、または孔の内部表面のことも意味する。
【0055】
「本質的抗菌性」とは、当該材料が抗菌活性を呈する材料の性質、または、任意の抗菌活性の非存在下での性質、または、当該材料には必要がなく、当該材料に化学的結合していない、または、当該材料から取り外し可能な薬剤、化合物または添加剤による性質、または、この種の薬剤、化合物、または添加剤を材料から除去または減少させた後の性質を意味する。「本質的抗菌性」は、当該材料が抗菌活性を有する非浸出性薬剤を含むことを意味するものではない。
【0056】
「非浸出性」とは本発明の抗菌性過酸化物が、本発明の方法を介して、当該材料または基質に一度付着すると、当該材料または基質から、目に見えて分離したり、移動したり、離れたりせず、創傷に入り、またはそうでなければ、標準的な使用において、当該材料または基質とは一体化しない。「目に見えて分離しない」とは、抗菌性過酸化物のごくわずかな量が分離することを意味し、例えば、抗菌性過酸化物の全量の1パーセント以下、好適には0.1パーセント以下、さらに好適には0.01パーセント以下、さらにより好適には0.001パーセント以下であることを意味する。あるいは、「見に見えて分離しない」とは、付着した抗菌性過酸化物の分離から生じている抗菌性過酸化物の溶液濃度が、当該材料または基質と接触する液体において、所定のレベルを上回らないこと、例えば、0.01%以下、好適には0.005%以下、さらに好適には0.001%以下であることを意味する。あるいは、適用に応じて、「目に見えて分離しない」とは、創傷治癒上の副作用、または、対象の隣接組織の健康状態が測定できないことを意味する。特定の定義が、本発明が使用される適用によって決まることが理解されるべきである。創傷ドレッシングのような医療用途において、最優先事項は、浸出性材料の局所化された濃度が、所与時点での特定の濃度以下の残留となること、または使用期間にわたって副作用につながらないようにすることを確かにすることである。
【0057】
非浸出性抗菌性組成物は、当該組成物が、別々の抗菌性薬剤の添加なしで抗菌性を有している点において、「本質的抗菌性」として分離されることがある。一般的に、非浸出性という用語は、固体組成物のみに適用される。非浸出性は、2つの異なる利点を明示する。第一に、当該組成物における抗菌性の濃度が、流体との接触により減少されたり、希釈されたりしない。換言すると、当該抗菌性は、洗い流されたり、減少したりしない。第二に、当該抗菌性は、当該組成物に結合したままであり、望ましくない効果を有することのある周囲の環境へ移されない。実施例は、創傷ドレッシングであり、創傷ドレッシングにおいて、創傷の中で抗菌性を浸出することは、細胞毒性を引き起こす、または、治癒を妨げる可能性がある。
【0058】
「高吸収性高分子」または「SAP」は、水性流体中で、それ自身の乾燥重量の少なくとも10倍を吸水または吸収し、適度な圧力の下で、吸水または吸収された水性流体を保持する高分子材料を意味する。吸水または吸収された水性流体は、圧縮により除去された当該流体による巨視的細孔内に含まれるよりもむしろSAP内に取り込まれる。SAPの例は、これに限定はされないが、アクリル酸高分子及びメタクリル酸高分子を含む。Goldman et al.(米国特許5,669,894及び5,559,335)は一般的に高吸収性高分子について述べている。本開示と矛盾する場合を除き、これらの特許の当該開示は、本明細書に参照により組み込まれている。
【0059】
「アクリル酸系高分子」は、アクリル酸またはメタクリル酸のようなそれらの誘導体によって形成される高分子、あるいは、完全にまたは部分的に中和されたこれらの高分子の塩を意味する。当該アクリル酸系高分子は、架橋されている及び/または親水性であることがある。
【0060】
本明細書で使用しているように、用語「SAP粒子」とは、乾燥状態における高吸収性高分子粒子、例えば、乾燥した粒子の重量よりも少ない量の水を含む粒子に関連するものである。用語「粒子」は、顆粒、繊維、剥片、球体、粉末、小板、及びその他の形状、及び高吸収性高分子の当業者に知られている形をいう。用語「SAPゲル」及び「SAPヒドロゲル」は、水和状態においての高吸収性高分子、例えば、水中で少なくとも自重量を吸収した粒子、及び典型的には、水中で自重量の数倍を吸収した粒子に関連する。用語「表面架橋」は、当該粒子の表面近くにおける当該SAP粒子において、機能的架橋のレベルが、当該粒子の内部における当該SAP粒子の機能的架橋のレベルよりも一般的に高いことを意味する。用語「表面架橋されたSAP粒子」は、当該粒子の表面に適用された化合物によって表面架橋された粒子の近くに分子鎖を有するSAP
粒子に関連するものである。
【0061】
最初、液体との接触上のSAP粒子の膨化能、または、遊離した膨化能とも呼ばれるSAP粒子の膨化能が、SAP粒子の設計及び開発の主な要因であった。しかし、その後、吸収された液体の重量のみではなく、膨潤ゲルの安定性またはゲル強度も重要であるとわかった。一方における遊離した膨化能と他方におけるゲル強度は、反対の性質を表す。したがって、特に高い吸水性を有するSAP粒子は、典型的には圧力(例えば、本体の積荷)下で当該ゲルが変形し、及び、更なる液体の分配及び吸収を阻害するような、低いゲル強度を呈する。
【0062】
吸収性(ゲル容積)及びゲル強度間のバランスの良い関係は、適当な液体吸収、液体輸送、おむつの乾燥及びおむつにSAP粒子を使用した際の皮膚を提供することが望ましい。この点に関して、その後の圧力下において液体を保持するSAPの能力のみが重要な性質なのではなく、例えば、液体吸収の間に同時に作用する圧力に対しての液体の吸収もまた重要である。子どもまたは大人が衛生用品に座るまたは横たわる際、または、例えば、脚の運動のような剪断力が衛生用品に作用する際が、実際におけるケースである。この吸収性は、積荷下での吸収と呼ばれる。
【0063】
調査員は、特に積荷下でのSAP粒子によって吸収され、保持される液体の量及び吸収される液体量の率を高める様々な方法を調査した。SAP粒子の当該吸収性及び当該保持性を高める一つの好適な方法は、当該SAP粒子を表面架橋することである。
【0064】
従来技術において理解されているように、表面架橋されたSAP粒子は、当該内部よりも表面近くにおいて高い架橋レベルを有する。本明細書において使用しているように、「表面」は、当該粒子の外表面境界を示す。多孔質SAP粒子において、露出した内部表面もまた、表面の当該定義に含まれる。
【0065】
高分子のグラムあたり約30から60グラムの水を吸収することのできる吸水性高分子は、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、サージカルパッド、及びバスマットにおいて使用されていることが知られている。特に求められている性質は、水吸収性の増大である。この性質を有する高分子は、しばしば、ヒドロゲルまたは高吸収性物質と呼ばれる。高吸収性物質の性質及び有用性は、米国特許4,449,977に示される。この参照によると、望ましい高吸収性の性質は、塩、アミド、エステル、または遊離酸となりうるアクリル酸またはメタクリル酸群の存在である。米国特許2,976,576、3,220,960、3,993,616、4,154,898、4,167,464、4,192,727、4,192,827,及び4,529,739に示されているように、多くのヒドロゲルは、アクリル酸及びメタクリル酸高分子及びアクリル酸及びメタクリル酸共重合体に基づいている。デンプンまたは修飾されたデンプンに基づくヒドロゲルは、米国特許4,069,177、4,076,663、4,115,332及び4,117,222において示される。他のヒドロゲルは、米国特許3,783,872において示されるように、ポリ(オキシアルキレン)グリコールに基づいている。架橋されたポリアクリルアミド及び架橋されたスルホン化ポリスチレンの加水分解により調製されたヒドロゲルは、米国特許4,235,237に記載されている。最後に、無水マレイン酸に基づく高分子は、米国特許2,988,539、3,393,168、3,514,419、3,557,067及び4,401,793に記載されている。米国特許3,900,378は、親水性高分子及び充填剤の放射線架橋混合物を記載している。本発明において好適な高吸収性高分子のこのような区分は、しかしながら、例えば、生理タンポン及びおむつに有用な、アクリル酸に基づく水膨潤性高吸収性高分子に関するものである米国特許3,966,679によって例示されている。
【0066】
その分解産物である水及び酸素が無害であり、広いスペクトルで抗菌活性を有する傾向にあるので、過酸化水素は多くの適用において好適である。広いスペクトル活性は有害な有機体がある状況において重要であるが、それらの本質はわかっていない。過酸化水素は、ヒト及び獣医学の局所治療において、感染過程の治療にとって水溶液で広範囲に使用される既知の防腐剤である。当該薬剤は、適当な希釈後にそのまま使用されることがあり、または、過酸化水素を有する塩または付加化合物であるそれらの固形化合物から由来することもある。過ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム過酸化水素化物、ピロリン酸ナトリウム、過酸化尿素、過硫酸カリウム及びその他がこれらに含まれる。水に加えられるとき、これらの化合物は、過酸化水素及び対応する塩の中で加水分解する。しかしながら、一般的に用いられる過酸化物水溶液の主な制限条件は、室温における気体の酸素及び水の中での過酸化水素の分解によって生じるそれらの低い保存性、及び影響を受けた組織と活性酸素化剤の一時的接触である。加えて、このような組成物が過酸化水素を有する付加的組成物の中で形成される際、それを所望の組成物に組み込む前に、当該付加的組成物を調整することは一般的である。
【0067】
米国特許4,985,023、4,990,338、5,035,892、5,045,322、5,061,487及び5,079,004において、Blankは、シラン第四アンモニウム抗菌物質に対して共有結合を有する、部分的に中和されたアクリル酸系高分子ゲルの架橋された親水性ナトリウム塩の抗菌性高吸収性組成物について記述している。当該組成物は、剥片、一片、粉末、フィラメント繊維、繊維またはフィルムの形であることができ、コーティングの形で、基質に塗布されることもある。第四アンモニウム抗菌物質は、多くの種類のバクテリアに対してとても効果的であることが既知であるが、胞子、菌類及びウイルスに対しては、一般的にあまり効果的ではない。
【0068】
Hobsonは、米国特許6,399,092において、高吸収性高分子及び抗菌性薬剤を含む無水性、親水性創傷ドレッシングについて記載している。その無水性は、創傷部位に適用される際に、創傷流体を吸収し、当該創傷内にゆっくりその水溶活性微生物薬剤をゆっくりと放出させることを可能とする。
【0069】
本明細書において技術的な開示と矛盾する場合を除き、上記の米国特許及び米国特許出願はそれぞれ本明細書に参照により組み込まれる。
【0070】
本発明は、高吸収性高分子(superabsorbent polymer:SAP)を、過酸化水素(hydrogen peroxide:HP)を含む処理液によって処理することにより得られる、抗菌性組成物を開示するものである。この処理は、過酸化水素の水溶液により高吸収性高分子を膨潤させる工程と、それに続いて前記高分子を乾燥させる工程とを含み、それによって得られる前記乾燥した組成物は、非浸出性の抗菌特性を持った抗菌高吸収性高分子である。前記抗菌性組成物は、選択的に金属イオンを有することが出来る。
【0071】
前記抗菌性組成物は、本明細書で開示されるプロセスによって調製することが出来る。市販のSAPは、過酸化水素(HP)を有する処理液によって処理される。前記SAPは、HP溶液によって膨潤させるまでの時間、HP水溶液を吸収させる。この吸収工程は、室温で実施することが出来る。あるいは、より高い又はより低い温度が、前記SAPを膨潤させるのに適切である。処理された前記SAPは、即座に乾燥させてもよいし、又は乾燥の前に、所定の時間、所定の温度で保存してもよい。処理された前記SAPに完全な乾燥をもたらす、任意の温度と期間の組合せを用いることが出来る。本技術分野の当業者は、乾燥条件が、完成した抗菌SAP製品の吸収特性(率及び程度)に影響を与える可能性があることを認識するであろうし、必要に応じて、これらの特性の最適化を保証する、適切な条件を用いるであろう。
【0072】
本発明者らは、この方法により処理した素材が、乾燥の後においても、残存抗菌能を維持することを発見した。我々は、HPは比較的揮発性であるため、乾燥させることによってSAP基質から完全に除去されるであろうと予期した。しかしながら、相当量の抗菌効果が、HP処理後の前記乾燥SAP素材において観察された。HP処理後の前記乾燥SAP粉末が示す抗菌効果は、SAPのカルボキシレート基と過酸化水素の間で反応が起こり、過酸基(ペルオキシ酸基又は過カルボン酸基としても知られる)、又はそのナトリウム塩を形成する結果であると考えられている。しかしながら、こうした反応は通常、触媒(強い鉱酸など)を必要とするが、それに対して、本発明の製品における残存抗菌効果の実現には、そうした触媒を必要としない。あるいはそうではなく、HPが前記処理SAPの中に非揮発的又は非浸出的に隔離又は拘束され、HPが酸化反応の要求に応じて利用出来るようになる、つまり、抗菌性として機能する。前記SAPは、HPによる処理又は反応とそれに続く乾燥の後において、HPに通常関連する化学特性及び生化学特性の、制御放出、持続放出、又は要求即応放出を提供することが出来る。
【0073】
金属塩を有する抗菌性組成物は、直上に記した一般的な手順の変法によって調製することが出来る。ある金属塩(例えば、酢酸亜鉛)は、処理溶液中のHPと結合することが可能であり、SAP素材を処理し、SAPに抗菌特性を付与するために使用される。典型的な手順においては、市販のSAPは、HP水溶液及び金属塩を吸収させて、次いでこの処理SAP素材を乾燥させる。幾つかの事例においては、HPと金属塩との組合せは、HP単独に比べて抗菌効果の上昇をもたらすが、この抗菌効果上昇への主な寄与は、HPの成分によるものであり、金属塩によるものではないことが判明している。
【0074】
本発明者達は、過酸化水素と亜鉛塩の混合溶液と、予め形成された高吸収性高分子(SAP)を組み合わせることによって作られる、開示の高吸収性高分子(SAP)によって、亜鉛含有の抗菌SAPを調製した。適切な亜鉛塩には、過酸化亜鉛、酸化亜鉛、及び酢酸亜鉛(zinc acetate:ZA)が含まれる。前記SAPは、前記溶液を吸収させて、次いで乾燥させる。このプロセスは、非浸出性の抗菌高吸収性組成物を作成するために、過酸化亜鉛、酸化亜鉛、及び酢酸亜鉛に由来する、金属過酸化物又は高分子錯体を形成し、SAP粉末粒子の内部及び表面に閉じ込めるものである。
【0075】
様々な変動要因(試薬の組合せ、比率、濃度など)の効果を調査するために、HPと酢酸亜鉛の組合せ、酢酸亜鉛のみ(HP無し)、又は過酸化水素のみ(ZA無し)のいずれかを用いて、実験を行った。HPは揮発性であり、乾燥されたときに基質から完全に除去されるはずであるので、過酸化水素のみで処理したSAP粉末において残存抗菌効果が見られることは、完全に予想外のことである。驚くべきことに、相当量の抗菌効果がHPのみで(亜鉛塩無しで)処理したSAP素材においても観察され、またこの効果は酢酸亜鉛のみで調製した素材よりも、数オーダーの規模で高いものであった。過酸化水素処理後の乾燥SAP粉末が示す前記抗菌効果は、SAPのカルボキシレート基と過酸化水素の間で反応が起こり、過酸基(ペルオキシ酸基又は過カルボン酸基としても知られる)、又はそのナトリウム塩を形成する結果であると推定される。あるいはそうではなく、HPが前記処理SAPの中に非揮発性又は非浸出性の形で隔離され、HPが酸化反応の要求に応じて利用出来る、つまり、抗菌性として機能するという可能性もある。
【0076】
上述の実験において、酢酸亜鉛及びHPを有する処理溶液で処理したSAP素材(架橋ポリアクリル酸ナトリウム粒子)は、相当の抗菌活性を示し、その抗菌活性は、約1,000,000cfu/mLのE.Coliを含む、重量比で50倍のリン酸緩衝液中に前記SAP素材を置いたとき、6.2logの減少(完全殺菌)を示すものであった。HPを除外したとき(酢酸亜鉛のみのとき)、前記抗菌活性は、1000倍より大きく減少した(1.8logの減少しか示さなかった)。驚くべきことに、酢酸亜鉛を除外したとき(HPのみのとき)、前記抗菌活性は非常に高い値を維持した(5.6logの減少、又は幾つかの事例ではより高い値を示した)。
【0077】
過酸を形成するために過酸化水素とカルボン酸の間の反応を触媒するには、強い鉱酸が使用されることが、当技術分野で公知である。しかしながら、高吸収性高分子と過酸化水素との反応を通した抗菌高吸収性高分子の形成に、こうした酸触媒が必要とされないことが判明した。実際、市販のSAP組成物のほとんどは、低いpHにおいてカルボン酸ベースSAPの吸収容量が低下するので、水に曝したときに酸性のpHとならないように策定されている。これは、過酸の形成が前記SAPのHPによる処理の結果ではないことを意味している可能性がある。とにかく、前記処理SAP基質を乾燥させた後でさえ、抗菌活性は観察されている。このプロセスに関与する正確な化学反応及び化学種を完全に理解することは、本技術分野の当業者に本発明の実施を可能にさせるのに必要ではない。
【0078】
本発明の実施形態は、組成物、処理方法、及び製造の物品を提供するものであって、架橋親水性ナトリウム塩の形をとった、部分的に中和されたアクリル酸ベース高分子を、過酸化水素によって処理することにより得られる、抗菌高吸収性組成物が用いられるものである。前記処理は、過酸化水素を含む水溶液により高吸収性高分子を膨潤させる工程と、それに続いて前記高分子を乾燥させる工程とを有するものであって、臭気の減少、細菌の抑制、並びに感染又は細菌性発疹及びアレルギー反応の減少による効果を提供することを目的とした、高吸収性抗菌性組成物を作製するものである。
【0079】
本発明の実施形態はまた、組成物、処理方法、及び製造の物品を提供するものであり、この中で、過酸化水素、及び選択的に、金属塩の処理により得られる、抗菌高吸収性組成物が用いられるものであって、前記処理は、過酸化水素を含む水溶液により高吸収性高分子を膨潤させる工程と、それに続いて前記高分子を乾燥させる工程とを有するものであって、高吸収性抗菌性組成物を作製するものである。
【0080】
本発明の態様の好ましい実施形態においては、前記金属塩は、ジルコニウム、亜鉛、銅、銀、又はマグネシウムの塩からなる群から選択される。より好ましい実施形態においては、前記金属塩は、亜鉛又はマグネシウムの塩である。本発明の好ましい実施形態においては、前記金属塩は、酢酸塩である。本発明の最も好ましい実施形態においては、前記金属塩は、酢酸亜鉛二水和物又は酢酸マグネシウムである。
【0081】
本発明の実施に適切な高吸収性高分子素材には、可溶性物質、不溶性物質、ゲル、粉末、フィルム、被覆材、複合体、共重合体、ファイバーなどの素材が含まれる。本発明の実施に有用な高吸収性高分子素材の例示には、カルボキシレート含有高分子、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アルギネート、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリ乳酸、ポリグリコシド、ポリサッカライド、又はカルボキシレート基を含む任意の高分子、が含まれる。ポリアクリルアミド、及びポリDADMACなどのポリジアリジアルキルアンモニウム塩を有する高分子などの、他の高吸収性高分子も、本発明の実施に適切である。前記高分子は、選択的に、第四級アンモニウム基がそれに付与されたものであってもよい。
【0082】
本発明のある実施形態においては、前記高吸収性高分子は、粉末状、又は顆粒状の素材の形をとる。本発明の好ましい実施形態においては、前記高吸収性高分子は、架橋親水性ナトリウム塩の形をとった、部分的に中和されたアクリル酸ベース高分子である。
【0083】
本発明の抗菌高吸収性組成物は、尿臭の減少、おむつによる発疹の抑制、微生物増殖の減少、並びに感染、細菌性発疹、及びアレルギー反応の減少に有用である。
【0084】
高吸収性高分子を過酸化水素によって処理することにより得られる、本発明の抗菌SAP組成物は、熱に安定であり、数か月の保存後も効力を失わないものである。
【0085】
高吸収性高分子素材の過酸化水素による処理後、処理された前記素材は乾燥されなければならない。本技術分野の当業者は、乾燥条件が、完成した抗菌SAP製品の吸収特性(率及び程度)に影響を与える可能性があることを認識するであろうし、必要に応じて、これらの特性の最適化を保証するのに適切な条件を用いるであろう。
【0086】
前記高吸収性抗菌性組成物を作製する一方法は、過酸化水素で高吸収性高分子を処理する工程を有し、前記処理は、過酸化水素を含む水溶液により高吸収性高分子を膨潤させる工程と、それに続いて前記高分子を乾燥させる工程とを有するものであって、高吸収性抗菌性組成物を作製するものである。結果得られる高吸収性抗菌性組成物は、微生物の増殖を抑制するものである。
【0087】
上述の方法で作成した抗菌性組成物を、効果的な量用いておむつ生地を処理したとき、尿中の尿素を攻撃してアンモニアを遊離させる細菌の抑制が起こり、その結果、臭気の減少とおむつによる発疹の抑制とをもたらす。同様に、製造の物品が、本発明の抗菌高吸収性高分子を有する部材から調製されたとき、結果得られる物品は、臭気の減少、細菌の抑制、並びに感染又は細菌性発疹及びアレルギー反応の減少による効果を受ける。
【0088】
架橋アクリル酸ベース高分子を有する、組成物、処理方法、及び製造の物品が、本発明の範囲内に包含される。例えば、抗菌高吸収性組成物は、架橋親水性ナトリウム塩の形をとった、部分的に中和されたアクリル酸ベース高分子を、過酸化水素によって処理することによっても得られるものであって、前記処理は、過酸化水素を含む水溶液により高吸収性高分子を膨潤させる工程と、それに続いて前記高分子を乾燥させる工程とを有するものである。こうした抗菌高吸収性組成物は、微生物の増殖を抑制するものである。前記抗菌高吸収性組成物はまた、尿中の尿素を攻撃してアンモニアを遊離させる細菌を抑制することによって、臭気を減少させ、おむつによる発疹を抑制する。前記抗菌性組成物を有する組成物又は製造の物品は、臭気の減少、細菌の抑制、並びに感染又は細菌性発疹及びアレルギー反応の減少による効果を提供する。
【0089】
前記抗菌高吸収性組成物は、選択的に金属塩を有していてもよい。こうした組成物は、過酸化水素を含む水溶液により高吸収性高分子を膨潤させ、それに続いて前記高分子を乾燥させることによって調製される。結果得られる組成物は、治療方法、例えば、尿中の尿素を攻撃してアンモニアを遊離させる細菌を抑制することによって、微生物の増殖を阻害し、臭気を減少させ、おむつによる発疹を抑制する方法を、提供するのに用いられてもよい。製造の物品は、抗菌高吸収性組成物を有し、選択的に金属塩を有する部材から調製することが出来る。
【0090】
本発明の抗菌高吸収性組成物は、架橋親水性ナトリウム塩の形をとった、部分的に中和されたアクリル酸ベース高分子と、金属塩とを有していてもよい。こうした組成物は、架橋親水性ナトリウム塩の形をとった、部分的に中和されたアクリル酸ベース高分子を、過酸化水素及び金属塩によって処理することにより調製されるものであって、前記処理は、過酸化水素及び金属塩を含む水溶液により高吸収性高分子を膨潤させる工程と、それに続いて前記高分子を乾燥させる工程とを有するものである。そうして調製された前記抗菌高吸収性は、治療方法、例えば、微生物の増殖を阻害する方法を、提供するのに用いられてもよい。
【0091】
具体的な例としては、本技術分野の当業者は、感染の拡大を抑制するのに効果的な量の組成物によって、おむつを含浸させることにより、おむつの臭気を減少させ、かつ同時におむつによる発疹を抑制することが出来る。処理した前記おむつにおける抗菌高吸収性組成物は、尿中の尿素を攻撃してアンモニアを遊離させる細菌を抑制する。このようにして、本発明の抗菌性組成物は、臭気の減少、細菌の抑制、並びに感染又は細菌性発疹及びアレルギー反応の減少による効果を提供する。製造の物品は、架橋親水性ナトリウム塩の形をとった、部分的に中和されたアクリル酸ベース高分子を、過酸化水素及び金属塩によって処理することにより得られる、抗菌高吸収性組成物から調製することが出来る。
【0092】
本発明の一実施形態においては、前記高吸収性素材は、処理溶液による膨潤の後、前記処理溶液を前記高分子と反応させるために、乾燥の前に、所定の時間、所定の温度で保存される。
【0093】
本発明の好ましい実施形態においては、前記高吸収性高分子を均一に湿潤させるのに十分な量の処理溶液が使用される。
【0094】
本発明の好ましい実施形態においては、前記高吸収性高分子を均一に湿潤させるのに最小限の量の処理溶液が使用される。これは、処理した前記素材の乾燥に使うためのエネルギー入力が、最も小さくて済むからである。前記高吸収性高分子が、使用された処理溶液を全て吸収することは、必ずしも必要ではない。
【0095】
本発明の好ましい実施形態においては、前記高吸収性高分子は、重量比で少なくともその5倍の処理溶液によって処理される。
【0096】
本発明の好ましい実施形態においては、前記処理溶液は、過酸化水素水を有する。
【0097】
本発明の別の実施形態においては、前記処理溶液は、過酸化水素及び金属塩を有する。
【0098】
本発明のより好ましい実施形態においては、前記処理溶液は、過酸化水素及び酢酸亜鉛、又は過酸化水素及び酢酸マグネシウムを有する。
【0099】
本発明の一実施形態においては、過酸化水素水及び金属塩を有する前記処理溶液は、さらに、この処理水溶液中の金属塩及び過酸化水素混合物の溶解度を上昇させるために添加される、酸を有する。この目的に好ましい酸は、酢酸である。
【0100】
本発明の好ましい実施形態においては、高吸収性高分子のグラム当たり、少なくとも0.02グラムの過酸化水素が使用され、本発明のより好ましい実施形態においては、高吸収性高分子のグラム当たり、少なくとも0.05グラムの過酸化水素が使用され、最も好ましい実施形態においては、高吸収性高分子のグラム当たり、少なくとも0.10グラムの過酸化水素が使用される。
【0101】
本発明の好ましい実施形態においては、高吸収性高分子のグラム当たり、少なくとも0.02グラムの金属塩が使用され、本発明のより好ましい実施形態においては、高吸収性高分子のグラム当たり、少なくとも0.05グラムの金属塩が使用され、最も好ましい実施形態においては、高吸収性高分子のグラム当たり、少なくとも0.10グラムの金属塩が使用される。
【0102】
本発明の一実施形態においては、前記処理溶液による前記高分子素材の処理の後、処理された素材は乾燥される。本技術分野の当業者は、乾燥条件が、完成した抗菌SAP製品の吸収特性(率及び程度)に影響を与える可能性があることを認識するであろうし、必要に応じて、これらの特性の最適化を保証するのに適切な条件を用いるであろう。
【0103】
本発明の実施に適切な高吸収性高分子素材には、可溶性物質、不溶性物質、ゲル、粉末、フィルム、被覆材、複合体、共重合体、ファイバーなどの素材が含まれる。本発明の実施に有用な高吸収性高分子素材には、カルボキシレート含有高分子、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アルギネート、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリ乳酸、ポリグリコシド、ポリサッカライド、又はカルボキシレート基を含む任意の高分子、が含まれる。
【0104】
本発明の一実施形態は、液体を消毒し、前記液体中の生存細菌に3logの減少をもたらす方法を提供するものであって、前記方法は、前記液体に、高吸収性高分子を過酸化水素によって処理することにより得られる抗菌性組成物を、混合する工程を有するものであって、前記処理は、過酸化水素を含む水溶液により高吸収性高分子を膨潤させる工程と、それに続いて前記高分子を乾燥させる工程とを有するものである。
【0105】
多数の物品が、本発明の抗菌SAP組成物から作製されてもよい。例えば、本発明の製造の物品には、包帯、創傷被覆材、タンポン、生理用ナプキン、おむつ、ワイプ、おむつ、失禁用装置又は衣類、食品包装、医療器具、或いは抗菌SAPが利益を与えるであろうその他の適用先が含まれる。
【0106】
本発明の代替的な実施例においては、有機及び無機の過酸が、過酸化水素の代わりに、本発明の実施において使用されてもよい。例として、過酸化ナトリウム、過ホウ酸塩、過硫酸塩、炭酸ナトリウム過酸化物、過酸化リン酸ナトリウム、尿素過酸化物、安息香酸過酸化物、t−ブチルヒドロペルオキシドなどが含まれ、これらは、ニート、溶液、分散液、懸濁液などの、様々な形で使用されてもよい。
【0107】
本発明の実施形態においては、乾燥させた前記抗菌高吸収性素材は、この組成物0.2グラムを、約1,000,000の生存細菌性微生物を含む、約11mLの水溶液に加えたとき、生存細菌をさせることが可能である。本発明の好ましい実施形態においては、前記生存細菌の減少は、1,000未満の生存微生物が残るような減少(3−logの減少)である。本発明のより好ましい実施形態においては、前記生存細菌の減少は、100未満の生存微生物が残るような減少(4−logの減少)である。本発明のより好ましい実施形態においては、前記生存細菌の減少は、10未満の生存微生物が残るような減少(5−logの減少)である。本発明のより好ましい実施形態においては、前記減少は、0の生存微生物が残るような減少(6−logの減少、又は完全殺菌)である。本発明の好ましい実施形態においては、前記生存細菌の減少は、24時間以内に起こる。本発明のより好ましい実施形態においては、前記生存細菌の減少は、10時間未満以内に起こる。本発明のさらに好ましい実施形態においては、前記生存細菌の減少は、4時間未満以内に起こる。本発明のさらに好ましい実施形態においては、前記生存細菌の減少は、2時間未満以内に起こる。本発明の一層好ましい実施形態においては、前記生存細菌の減少は、1時間未満以内に起こる。本発明の最も好ましい実施形態においては、前記生存細菌の減少は、30分未満以内に起こる。
【0108】
本発明の方法の一態様は、前記素材に完全な乾燥をもたらす、任意の温度及び時間の組合せを用いることである。本明細書において使用される場合、完全な乾燥とは、例えば、過酸化水素の溶液に曝された基質を、次いである一定の重量になるまで乾燥することを意味する。本明細書において使用される場合、ある一定の重量になるまで乾燥するとは、選択した乾燥法を連続して適用しても、それ以上、水又はその他の溶媒の蒸発による、大幅な重量の低下が起きない時点まで乾燥するということを意味する。一定の重量への到達は、乾燥の程度を測定するのに便利な手段であるが、この一定の重量への到達は、抗菌性の非浸出性を基質に与えることを可能にする実際の要因ではない。完全な乾燥を達成するために必要な、特定の温度及び乾燥時間は、その他の複数の事項、特定の基質素材、物品中の水分の初期値、物品の重量及び大きさ、乾燥中に物品に供給される気流量、並びに空気又は物品に含まれるその他の媒体の湿度に依存する。任意の乾燥機器と、乾燥方法と、処理した基質を完全に乾燥させる温度と乾燥時間の組合せとがあれば事足りる。実例を挙げると、特定の適用先における特定の性質に応じて、前記乾燥工程は、オーブン(例えば、80℃で2時間)、高スループット炉(例えば、140℃で30秒)、衣類乾燥機、デシケーター、真空チャンバー、除湿機、脱水機、又は凍結乾燥器(冷凍乾燥器)を用いて、行うことが出来る。赤外線熱、放射熱、マイクロ波、及び熱風、これら全てが、処理溶液に曝した基質を乾燥する方法として適切である。特定の適用先についての乾燥温度の上限は、一般的に、特定の基質又は過酸の分解温度によって決定される。超臨界流体乾燥などのその他の乾燥法も、本発明の実施において成功裏に利用することが出来る。凍結乾燥を利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1に、おむつを示す。
【図2】図2に、図1に示した高吸収性パッド1の横断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0110】
添付図面において、図1はおむつ6であって、このおむつは、尿及び排泄物を含ませるために用いられる、高吸収性パッド1を有する。
【0111】
図2の横断面に示されるように、前記パッド1は表面シート1及び裏面シート3を有する。液体吸収層4は、本明細書で開示される抗菌性組成物から本質的に成り、高吸収性高分子、過酸化水素、及び選択的に金属塩を有する。層5は、前記液体吸収性層の上にあって、着用者の快適性のために羽毛パルプを有する。
【0112】
実施例:
実施例1:アクリル酸SAPの酢酸亜鉛及び過酸化水素による処理(サンプルZNP−1):
20グラムのSAP粉末(BASF社により製造されたLuquasorb又はHySorb素材と同様の、架橋親水性ナトリウム塩の形をとった、部分的に中和されたアクリル酸ベース高分子)を、4グラムの酢酸亜鉛二水和物(アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical)カタログ番号383058)及び9.3グラムの過酸化水素(35%、アルドリッチ・ケミカル社カタログ番号349887)を、187.5mLの脱イオン水に溶解させて調製した溶液に、加えた。この混合物を、前記液体が吸収されるまで、数分間撹拌した。この湿潤したゲルを、プラスチック皿の上に塗布し、電機ファンの前に置いて室温で3日間乾燥させた。この乾燥させた素材を収集し、最初のSAP粉末と同じくらいの均一性になるまで、乳鉢と乳棒を用いて軽く磨り潰した。
【0113】
実施例2:SAPの酢酸亜鉛及び過酸化水素による処理(サンプルZNP−2B):
より低い酢酸亜鉛と過酸化水素の濃度を用いた点を除いて、実施例1に記載の手順とほとんど同じ手順を用いた。処理溶液は、1.5グラムの酢酸亜鉛、3.5グラムの過酸化水素、及び195mLの水を用いて調製した。
【0114】
実施例3:SAPの酢酸亜鉛による処理(サンプルZNP−2C):
過酸化水素を省略した点を除いて、実施例2に記載の手順に従った。
【0115】
実施例4:SAPの過酸化水素による処理(サンプルZNP−2D):
酢酸亜鉛を省略した点を除いて、実施例2に記載の手順に従った。
【0116】
実施例5:SAPの過酸化水素による処理(サンプルHP1−A):
6グラムの過酸化水素及び94グラムの脱イオン水を用いた点を除いて、実施例4に記載の手順に従った。
【0117】
実施例6:SAPの過酸化水素による処理(サンプルHP1−B):
6グラムの過酸化水素及び94グラムの脱イオン水を用い、サンプルを80℃に設定したオーブン内で3時間乾燥させた点を除いて、実施例4に記載の手順に従った。
この熱処理した粉末における、吸収性及び抗菌効果の結果(下記を参照)は、室温で乾燥させた粉末における結果と、差異は無かった。このことは、この組成物の良い温度安定性を示している。
【0118】
実施例7:抗菌SAP粉末の熱処理:
実施例2及び4において調製された素材のサンプルを、60℃、72時間に設定したオーブン内に置いた覆いの無いビーカーに入れ、前記抗菌SAP粉末の熱安定性を検査した。前記熱処理した粉末における、吸収性及び抗菌効果の結果(下記を参照)は、製造されたままの粉末における結果と、差異は無かった。このことでは、この組成物の良い温度安定性を示している。
【0119】
実施例8:カルボキシルメチルセルロース(CMC)の過酸化水素による処理(サンプル121208C):
10グラムのカルボキシルメチルセルロース(carboxymethylcellulose:CMC)粉末を、5グラムの35%HPと45mLの蒸留水を混合して調製した、50mLの溶液によって処理した。この混合物を、数分間、一様な均一性が得られるまで、撹拌、混練した。得られた抗菌CMC組成物を、次いで、72時間空気乾燥し、乳鉢と乳棒によって軽く磨り潰した。
【0120】
実施例9:上記の実施例において調製された抗菌SAP素材の液体吸収性:
実施例1から8までの各粉末を、10mLのリン酸緩衝食塩水(phosphate buffered saline:PBS、pH=7.4)に対して0.2グラムの粉末の比率で、PBSと一緒にプラスチックの遠沈管に入れた。この遠沈管を振盪し、1時間静置した。この遠沈管を再度振盪し、次いで10分間、約2000rpmで遠心分離した。各遠沈管における上清液に対する膨潤SAPゲルの比率を、前記抗菌SAP粉末の吸収容量を計算するために用いた。未処理のSAP粉末はその重量の約45倍のPBSを吸収した。上記の各実施例における素材は、実施例1の素材においてその重量の30倍のPBSしか吸収しなかったケースを除いて、その重量の少なくとも35倍のPBSを吸収した。
【0121】
実施例10:非浸出性の抗菌効果の観察:
実施例9に記載の吸収性の研究において調製した、各遠沈管から分離したPBS溶液を、新しくS.aureus菌の菌叢を播種した寒天プレート上に入れ、一晩培養したところ、前記溶液を入れた領域において、細菌増殖の抑制が見られないことがわかった。このことは、抗菌成分(HP又は亜鉛など)の、溶液中への著しい浸出が無いことを示している。従って、下に記述した抗菌効果は、前記SAP粉末へのPBSの吸収により形成された固形ゲルとの接触によるものであるはずである。言い換えると、その作用機序は、単にHPが乾燥SAPのマトリックス内に捕捉されている結果や、又は隔離されたHPの抗菌性組成物からの放出によるものではないようである。
【0122】
実施例11:SAP素材の抗菌性能評価:
各サンプルについて三重に評価を行った。試験する粉末(0.25g)を、50mlの円錐状ポリプロピレン遠沈管内に量り入れ、11.5mLのPBS(リン酸緩衝食塩水、1倍、フィッシャー・サイエンティフィック社(Fischer Scientific)#BP−399−1)を、ピペットを用いて各遠沈管に加えた。未処理SAPコントロールの試験サンプルも、同様に三重に調製した。Escherichia coli(ATCC#15597)又はStaphylococcus aureus(ATCC#6538)の10−1接種菌液は、グリセロールストックをトリプシン大豆ブロス(tryptic soy broth:TSB、ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)Bacto(商標)、REF211825)中で一晩培養し、10−2倍希釈することで調製した。試験を行う粉末を含んでいる各遠沈管に、1mLの接種菌液を加えた。遠沈管を10秒間ボルテックス(vortex)して、次いで縦型回転機に乗せて、室温で24時間25rpmで回転させた。次いで遠沈管を回転機から取り外し、ピペットを用いて10mLのLetheenブロスを各遠沈管に加えた。遠沈管を30秒間最大速度でボルテックスした。溶液を希釈し、標準的な混釈平板法(pour plate method)を用いて、適切な寒天に蒔いた。プレートを37℃で一晩培養し、次いで細菌コロニーを計数した。その結果を以下に要約し、未処理SAP粉末を含む遠沈管で見られた増殖と比較した生存微生物の「log減少」で表した。
【0123】
【表1】

【0124】
上記の結果は、HPが抗菌活性の要因となる主要物質であり、亜鉛成分による抗菌性への寄与は僅かであることを示している。
【0125】
実施例12:長期保存後のSAP素材の抗菌性能評価:
実施例11の素材及び手順を用いた。抗菌SAP素材を密閉容器の中で、室温で8か月間保存し、次いで抗菌活性を試験した。以下の結果が得られ、この結果は保存の間も素材が安定であることを示している:
【0126】
【表2】

【0127】
実施例13:HPの隔離性及び非浸出特性を、実証、定量化するための、抗菌SAPのヨウ素滴定:
上述の実施例に記載の抗菌SAP粉末について滴定を行い、その中に含まれて抗菌活性に利用されているHPの量を決定した。全てのSAP粉末は、滴定の前に1年より長い期間保存されていたものであった。
【0128】
原理:サンプル中の過酸化水素は、モリブデン酸アンモニウム触媒の存在下で過剰量のヨウ化物と反応し、化学量論的に三ヨウ化物イオンを生成する。次いでこの三ヨウ化物イオンの濃度を、標準的なチオ硫酸塩溶液で滴定して決定する。以下の手法は、ソルベイ・ケミカル社(Solvay Chemicals.Inc.)により公表されている手法を適合させたものである。[TDS HH−125,"Determination of Hydrogen Peroxide (H2O2) Residual in Fiber Matrices"、及びTDS XX−122,"Determination of Hydrogen Peroxide Concentration (0.1% to 5%)"]。
【0129】
試薬の調製:使用した全ての試薬は分析用試薬のグレードであり、脱イオン水のみを用いた。
【0130】
1. ヨウ化カリウム(10%):2Lビーカーの中で、100gのヨウ化カリウム(KI)を1000mLの水に溶かし、暗色ガラスか又は不透明の、蓋をした瓶の中に保存した。
【0131】
2. 酸混合物:2Lビーカーの中で、0.18gのモリブデン酸アンモニウム((NHMo24・4HO)を750mLの水に溶かした。撹拌しながら、300mLの濃硫酸(HSO)をゆっくりと加え、ガラス容器の中に保存した。
【0132】
3. チオ硫酸ナトリウム溶液(0.100):49.63gのチオ硫酸ナトリウム(Na・5HO)を2Lのメスフラスコに移し、400mLの水を加え、完全に溶解するまで撹拌し、容量まで希釈し、よく混ぜ、琥珀色又は不透明の、蓋をした瓶の中に保存した。
【0133】
この溶液の規定量は、少なくとも1か月の間0.099〜0.101であった。あるいは、標準的なチオ硫酸ナトリウム溶液を実験用品会社から購入した。
【0134】
デンプン溶液(10g/L):1gの可溶性デンプンを150mLビーカーの中に量り入れた。撹拌しながら、ペーストになるまで約5mLの水を徐々に加えた。次いでこのペーストに、100mLの沸騰水を加えた。この混合物を冷却し、5gのヨウ化カリウム(KI)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、次いでプラスチック瓶に移した。次いで、「その後の解析手順」を続けて行った。
【0135】
1. 1gの抗菌SAP粉末を125mLエルレンマイヤーフラスコの中に量り入れる。0.01g単位でサンプル重量を記録する。
【0136】
2. 50mLの蒸留水を加え、15秒間回して(swirl)混ぜる。
【0137】
3. フラスコを水浴中に置き、撹拌しながら2時間、50℃で熱する。15分間冷ます。
【0138】
4. 20mLの10%ヨウ化カリウム溶液を前記フラスコに加える。回して混ぜる。
【0139】
5. 25mLのHSO/モリブデン酸アンモニウムを前記フラスコに加える。回して混ぜる。
【0140】
6. 5分間静置する。
【0141】
7. マグネチックスターラーを用いて、この懸濁液の撹拌を始める。
【0142】
8. 50mLクラスAビュレットを用いて、前記フラスコ内容物を、その色が明るい黄色に変わるまで、前記標準0.100Nチオ硫酸溶液によって滴定する。
【0143】
9. デンプン指示薬を数滴、前記フラスコに加える。
【0144】
10. この溶液の暗青色が透明になるまで、滴定を続ける。
【0145】
11. 滴下したチオ硫酸ナトリウムの全量を記録し、「A」とする。
【0146】
12. 純水を用いてステップ4〜10を繰り返し、記録したチオ硫酸ナトリウムの量を、「B」とする。
【0147】
13. 前記懸濁液を、隔離されたHPの追加放出量を測定するために、所定の時間静置する(すなわち、24時間、48時間など)。上記のステップ10のように、撹拌及び滴定を続ける。滴下したチオ硫酸ナトリウムの全量を記録し、「A」とする。
【0148】
結果は以下の式に従って計算された。
【0149】
【表3】

【0150】
結果:
以下の結果が得られた。
【0151】
【表4】

【0152】
この結果は、乾燥状態で1年以上保存した後でも、隔離された活性HPが相当量サンプルより放出されることを、はっきりと実証するものである。さらにこの結果は、酸化要求の存在下で(本例では、ヨウ化物イオンの存在)、ある期間にわたって持続的に活性HPが放出される(すなわち、酸化能、抗菌能を持つHPの制御的放出)ことを、実証するものである。
【0153】
本明細書上述に記載の一般的な開示を踏まえて、本発明の方法の実施方法について、本技術分野の当業者は、上述に開示の態様及び実施形態に従って、本開示が本発明の方法の実施を可能にすることを理解するであろう。しかしながら、以下の実験詳細は、本発明についての、その最良の形態を含んだ、完全な書面による明細を保証するために提供されるものである。しかしながら、本発明の範囲は、提供された特定の実施例の観点から解釈されるべきではないことは、理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、全開示により構成される本発明の方法の完全な記載を踏まえて、添付の請求項を参照して理解されるべきものである。
【0154】
本発明が様々な他の実施形態を持ちうることは、理解されるべきである。さらに、本明細書に表示及び記載される本発明の形態は、本発明の好ましい実施形態を構成するが、本発明の可能な全ての形態を例示することを意図したものではない。使用した用語は、説明するための用語であり、制限するための用語ではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱すること無しに、様々な改変を行ってもよいことも、理解されるべきである。本発明の範囲は、上記の実施例のみによって制限されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔離された過酸化物を有する高分子組成物であって、高吸収性高分子のグラムあたり0.005グラム〜0.2グラムの過酸化水素によって高吸収性高分子を処理することにより生成され、前記処理は、過酸化水素水溶液を有する水性処理液で前記高吸収性高分子を膨潤させる工程と、続いて乾燥させる工程とを有するものである、高分子組成物。
【請求項2】
請求項1記載の高分子組成物において、前記高吸収性高分子は、高吸収性高分子のグラムあたり0.01〜0.15グラムの過酸化水素によって処理されるものである、高分子組成物。
【請求項3】
請求項2記載の高分子組成物において、前記高吸収性高分子は、高吸収性高分子のグラムあたり0.02〜0.15グラムの過酸化水素によって処理されるものである、高分子組成物。
【請求項4】
請求項1記載の高分子組成物において、前記水性処理液は、さらに、
高吸収性高分子のグラムあたり少なくとも0.02グラムの金属塩によって前記高吸収性高分子を処理するために適切な量の金属塩を有するものであり、前記金属塩は、亜鉛、マグネシウム、銀、銅、及びジルコニウム塩からなる群から選択されるものである、高分子組成物。
【請求項5】
請求項4記載の高分子組成物において、前記水性処理液中の前記金属塩は、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、及び酢酸ジルコニウムの群から選択される酢酸塩である、高分子組成物。
【請求項6】
請求項5記載の高分子組成物において、前記金属塩は、酢酸亜鉛または酢酸マグネシウムである、高分子組成物。
【請求項7】
請求項1記載の高分子組成物において、前記高分子組成物は高吸収性である、高分子組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の高分子組成物において、前記高吸収性高分子は、カルボン酸塩含有高分子、セルロース誘導体、ポリアクリルアミド、またはポリジアリルジアルキルアンモニウム塩である、高分子組成物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の高分子組成物において、前記高吸収性高分子はアクリル酸系高分子である、高分子組成物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の高分子組成物において、前記高吸収性高分子が、部分的に中和されたアクリル酸高分子から生じる架橋された親水性ナトリウム塩である、高分子組成物。
【請求項11】
抗菌性組成物において、高吸収性高分子のグラムあたり0.005〜0.2グラムの過酸化水素によって高吸収性高分子を処理することにより生成されるものであり、前記処理は、過酸化水素の水性処理液で前記高吸収性高分子を膨潤させる工程と、続いて前記処理された高吸収性高分子を乾燥させる工程とからなり、これにより、水性液体中における約1,000,000の生菌への0.2グラムの前記抗菌性組成物の付加が、前記水性液体中における生菌を3−log減少させるものである、抗菌性組成物。
【請求項12】
請求項11記載の抗菌性組成物において、前記高吸収性高分子は、高吸収性高分子のグラムあたり0.01〜0.15グラムの過酸化水素によって処理されるものである、抗菌性組成物。
【請求項13】
請求項11記載の抗菌性組成物において、前記高吸収性高分子は、高吸収性高分子のグラムあたり0.02〜0.15グラムの過酸化水素によって処理されるものである、抗菌性組成物。
【請求項14】
請求項11記載の抗菌性組成物において、前記水性処理液は、さらに、
高吸収性高分子のグラムあたり少なくとも0.02グラムの金属塩によって前記高吸収性高分子を処理するために適切な量の金属塩を有するものであり、前記金属塩は、亜鉛、マグネシウム、銀、銅、及びジルコニウム塩からなる群から選択されるものである、抗菌性組成物。
【請求項15】
請求項14記載の抗菌性組成物において、前記水性処理液中の前記金属塩は、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、及び酢酸ジルコニウムの群から選択される酢酸塩である、抗菌性組成物。
【請求項16】
請求項15記載の抗菌性組成物において、前記金属塩は、酢酸亜鉛または酢酸マグネシウムである、抗菌性組成物。
【請求項17】
請求項14記載の抗菌性組成物において、前記高吸収性高分子は粉末または顆粒状材料である、抗菌性組成物。
【請求項18】
請求項14記載の抗菌性組成物において、前記高吸収性高分子は処理後に高吸収性となるものである、抗菌性組成物。
【請求項19】
請求項14記載の抗菌性組成物において、前記組成物の抗菌活性は非浸出性である、抗菌性組成物。
【請求項20】
請求項11〜19のいずれかに記載の抗菌性組成物において、前記高吸収性高分子は、カルボン酸塩含有高分子、セルロース誘導体、ポリアクリルアミドまたはポリジアリルジアルキルアンモニウム塩である、記載の抗菌性組成物。
【請求項21】
請求項11〜19のいずれかに記載の抗菌性組成物において、前記高吸収性高分子はアクリル酸系高分子である、抗菌性組成物。
【請求項22】
請求項11〜19のいずれかに記載の抗菌性組成物において、前記高吸収性高分子は、部分的に中和されたアクリル酸高分子から生じる架橋された親水性ナトリウム塩である、抗菌性組成物。
【請求項23】
請求項11〜19のいずれかに記載の高分子組成物を有する、包帯、創傷ドレッシング、タンポン、生理用ナプキン、おむつ、雑巾、失禁装置または衣服、食品包装、または医療装置。
【請求項24】
請求項20記載の抗菌性組成物を有する、包帯、創傷ドレッシング、タンポン、生理用ナプキン、おむつ、雑巾、失禁装置または衣服、食品包装、または医療装置。
【請求項25】
請求項22記載の抗菌性組成物を有する、包帯、創傷ドレッシング、タンポン、生理用ナプキン、おむつ、雑巾、失禁装置または衣服、食品包装、または医療装置。
【請求項26】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の高分子組成物を製造する方法であって、
(a)高吸収性高分子のグラムあたり0.005〜0.2グラムの過酸化水素を有する水性処理液によって高吸収性高分子を膨潤させる工程と、
(b)前記高分子を乾燥させる工程と
を有し、これにより、過酸化水素は、前記高吸収性高分子の内部または表面で隔離されるものである、方法。
【請求項27】
請求項11〜22のいずれか1つに記載の抗菌性組成物を製造する方法であって、
(a)高吸収性高分子のグラムあたり0.005〜0.2グラムの過酸化水素を有する水性処理液によって高吸収性高分子を膨潤させる工程と、
(b)前記高分子を乾燥させる工程と
を有し、これにより、非浸出性抗菌活性を有する前記抗菌性組成物が生成され、且つこれにより、前記抗菌性組成物との接触が、生菌をの少なくとも3−logの減少を提供するものである、方法。
【請求項28】
感染した液体中の生菌を3−log減少させるために前記液体を消毒する方法であって、請求項11〜22のいずれかに記載の抗菌性組成物と、前記液体とを接触させる工程を有するものである、方法。
【請求項29】
請求項23〜25のいずれか1つに記載のおむつまたは失禁用衣服を使用することによりおむつかぶれを制御する方法。
【請求項30】
請求項28または29のいずれか1つに記載の方法において、前記方法は、匂い、感染、微生物による発疹またはアレルギーを減少または制御するものである、方法。
【請求項31】
請求項26または27のいずれか1つに記載の方法において、前記水性処理液は、前記高吸収性高分子の少なくとも5倍の重量である、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−518062(P2012−518062A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550328(P2011−550328)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/024635
【国際公開番号】WO2010/096595
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(508056224)クイック−メッド テクノロジーズ、インク. (4)
【Fターム(参考)】