説明

道路標識柱

【課題】3パーツ組立式にして製作及び保守コストの低減を図りつつ、安定した固定強度が得られ、かつ、破損を少なくして全体の耐久性向上が図れるようにする。
【解決手段】他物の接触あるいは衝突によって曲り変形可能な中空形態のポール本体1と、ポール本体1の下端部に内嵌可能な突出部分2A及び路面への接地環状部分2Bを有するベース2と、ポール本体1に外嵌可能な内孔3a及びベースの接地環状部分2Bに対向する環状部分3Aを有するリング3とを互いに独立部品として製作し、ベース2の接地環状部分2Bとポール本体1に外嵌させたリング3の環状部分3Aとをベース2の下側からボルト4を介して締結固定することによりポール本体1の下端環状部分1cを両環状部分2B,3A間に挟込み固定する状態で全体を組立可能に構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車道のセンターライン、車線の合流分岐箇所、歩車道分離箇所等の道路面に設置して使用される道路標識柱に関する。詳しくは、車両等が接触や衝突した時の衝撃を吸収して車両や乗員を保護し得るように曲り変形可能な弾性及び復元力を有する材料から構成されている中空形態のポール本体と、ポール本体の下端開口内部に嵌合する突起部分及び路面への接地環状部分を有するベースと、ポール本体に外嵌されて該ポール本体の下端環状部分をベースの接地環状部分に押圧し固定するためのリングとの3つのパーツからなる道路標識柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の道路標識柱として、従来、ポール本体、ベース及びリングの3つのパーツを互いに独立部品として各別に製作した上、それら3つのパーツを組立可能に構成したものが知られている。
【0003】
このような組立式の道路標識柱は、複数種ある路面への設置方法に応じて、それぞれに対応する種類のベースを用意し、一方、ベースやポール本体等のパーツを共通化することによってそれぞれ路面に対応するベースを持った道路標識柱を各別に作る必要がなく、効率的かつ経済的な生産計画を組むことが可能であるとともに、使用態様において車両の衝突等によって一部が破損した場合、その破損箇所を含むパーツのみを交換すればよいために、保守コストの低減も図れるという利点があり、現在では、3パーツ組立式の道路標識柱が主流である。
【0004】
ところで、3パーツ組立式の道路標識柱における3つのパーツの組立手段として従来では、(1)ポール本体の下端開口内部にベースの突起部分を圧入嵌合するとともに、リングをポール本体に圧入外嵌し、それら各内外嵌合部間に接着剤を介在させてポール本体とベース及びリングをそれぞれ接着固定する構造、(2)ポール本体とリングとをインゼクションにより一体成形した上、その一体成形品とベースとをビス止め又は接着剤で固定する構造、(3)ポール本体をウレタン等の弾性復元力を有する材料から中空形態に構成する一方、ベース及びリングをポリプロピレン等の硬質材料から構成し、この硬質材料製ベースの接地環状部分とリングの環状部分とポール本体の下端環状部分とを重なり合わせ、これら重なり合った3つのパーツの環状部分に複数本のボルトを貫通させて3つのパーツを締付け固定する構造、のいずれかが採用されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記組立手段のうち、(1)のパーツ同士を圧入嵌合し、接着剤で固定する組立手段の場合は、接着剤を均一に塗布することがむずかしい等の作業のばらつきによって所定の固定強度が得られないだけでなく、接着剤を使用することから、パフやサンドブラスト、プライマー、脱脂等の下地処理が必要となり、コストの上昇を招きやすい。また、(2)の場合は、ポール本体とリングを一体成形するための大型の成形機が必要となるだけでなく、最終的には2パーツであるために、ポール本体あるいはリングのいずれか一方のみが破損したときでも、一体成形品全体の交換が必要となり、保守コストの面で好ましくない。特に、一体成形品(ポール本体+リング)とベースとを単にビス止め又は接着剤で固定するだけでは、路面への設置固定強度が十分でなく、例えばポール本体に車両等が引っ掛かり該ポール本体が引っ張られたとき、リング部がベースから簡単に外れてポール本体が倒れてしまい、道路標識としての機能を喪失しやすい。さらに、(3)の場合は、ポール本体の下端環状部分に複数個のボルト挿通孔を形成する必要があるため、ポール本体に衝突力や引張力が繰り返し加わったとき、その孔から下端環状部分が引き裂かれて破損するなどポール本体の耐久性に問題がある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、3パーツ組立式であることによる製作コスト、保守コストの低減効果を確保しつつ、安定した固定強度が得られるとともに、破損を少なくして全体の耐久性向上を図ることができる道路標識柱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る道路標識柱は、請求項1に記載のように、他物の接触あるいは衝突によって曲り変形可能な中空形態のポール本体と、ポール本体の下端部に内嵌可能な突出部分及び路面への接地環状部分を有するベースと、ポール本体に外嵌可能な内孔及びベースの接地環状部分に対向する環状部分を有するリングとを具備してなる道路標識柱であって、上記ポール本体、ベース及びリングが互いに独立部品として製作され、ポール本体の下端部にその突出部分を内嵌させたベースの接地環状部分とポール本体に外嵌させたリングの環状部分とをベースの下側からねじ部材を介して締結固定することにより、ポール本体の下端環状部分がベースの接地環状部分とリングの環状部分との間に挟込み固定される状態で全体を組立可能に構成していることを特徴とするものである。
【0008】
上記構成の本発明によれば、ポール本体、ベース及びリングが互いに独立部品である3パーツ組立式に構成されているので、路面への設置方法に応じて、それぞれに対応するベースを持った複数種類の道路標識柱を各別に作る必要がなく、ポール本体、ベース及びリングからなるパーツの共通化が図れて効率的かつ経済的な生産計画を組むことが可能であるとともに、使用態様で車両の衝突や踏み付け等によって一部が破損した場合、その破損箇所を含むパーツのみを交換すればよく、保守コストの低減も図れる。
【0009】
また、3つのパーツの組立固定に接着剤は一切使用せず、ベースの接地環状部分とリングの環状部分との締結固定によってポール本体の下端環状部分を両者間に挟込み固定する構造としているので、サンドブラスト等の下地処理が不要となり、組立コストの低減が図れるとともに、ねじ部材の締め付けトルクを管理することで、安定よく所定の固定強度が得られる。そのうえ、ポール本体の下端環状部分は挟込み固定されるもので、そこにボルト孔等を形成する必要がないので、使用態様で衝突力や引張力が繰り返し加わったとしても、孔から引き裂かれて破損することはほとんどなく、全体の耐久性の向上が図れる。
【0010】
上記構成の道路標識柱において、請求項2に記載のように、上記ベースとして、路面に埋設されるアンカー部材にねじ込むことにより該ベースを路面に固定するための締結用ねじ部材の貫通孔及び路面に該ベースを接着固定するための接着剤の流し込み用凹入スペースが形成された構成とすることにより、単一のベースを、路面ねじ止め形式用のベースと路面接着形式用のベースに共通使用することが可能となり、複数種の路面設置方法に対応させるためのベースの種類も削減して生産効率の一層の向上を図ることができる。
【0011】
また、上記構成の道路標識柱において、請求項3に記載のように、上記ポール本体に空気孔を形成するとともに、上記ベースに空気孔から侵入した水を路面にまで排出可能な水抜き孔を形成することにより、空気孔による呼吸作用によってポール本体の曲り変形特性及び弾性復元特性を一層良好なものとしつつ、その空気孔より中空形態のポール本体内に侵入した水をスムーズに排出させてポール本体内に水が滞留することに伴う異臭の発生や衝撃吸収機能の低下を抑制することができる。
【0012】
なお、本発明に係る道路標識柱において、上記ポール本体は他物の接触あるいは衝突によって曲り変形可能な弾性及び復元力を有する材料、例えばウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)樹脂等をブロー成形や射出成形で成形することが好ましく、上記ベースは硬質材料、例えばポリプロピレン、ABS樹脂等から、また、リングは硬質材料、例えばポリプロピレン樹脂等から成形することが好ましく、このような構成材料の選定によって、各パーツそれぞれの役割を確実に達成させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上要するに、請求項1に記載の本発明によれば、ポール本体、ベース及びリングを互いに独立部品に製作した3パーツ組立式の構成であるから、路面への設置方法に応じて、それぞれに対応するベースを持った複数種類の道路標識柱を各別に作る必要がなく、パーツの共通化による効率的かつ経済的な生産計画を組むことができるとともに、使用態様で車両の衝突や踏み付け等によって一部が破損した場合、その破損箇所を含むパーツのみの交換で復元でき、保守コストの低減を図ることができる。
【0014】
しかも、3つのパーツの組立固定に接着剤は一切使用せず、ポール本体の下端環状部分をベースの接地環状部分とリングの環状部分との締結によって挟込み固定する構造としているので、サンドブラスト等の下地処理を省略して組立コストの低減が図れるとともに、ねじ部材の締め付けをトルク管理することで、安定した組立固定強度が得られる。加えて、ポール本体の下端環状部分にはボルト孔等を形成する必要がないので、使用態様で衝突力や引張力が繰り返し加わったとしても、孔から引き裂かれて破損することが非常に少なく、道路標識柱全体の耐久性を向上することができるという効果を奏する。
【0015】
また、請求項2に記載の構成を採用することによって、単一のベースを、路面ねじ止め形式用のベースと路面接着形式用のベースに共通使用することが可能となり、複数種の路面設置方法に対応させるためのベースの種類も削減して生産効率の一層の向上を図ることができる。
【0016】
また、請求項3に記載の構成を採用することによって、ポール本体の曲り変形特性及び弾性復元特性を一層良好なものとしつつ、中空形態のポール本体内に侵入した水をスムーズに排出させてポール本体内に水が滞留することに伴う異臭の発生や衝撃吸収機能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る道路標識柱の第1実施例を示す分解縦断面図である。
【図2】同第1実施例の道路標識柱の組立て完成状態の縦断面図である。
【図3】図2の底面図である。
【図4】同第1実施例の道路標識柱のボルト固定による路面設置状態を示す要部の縦断面図である。
【図5】同第1実施例の道路標識柱の接着固定による路面設置状態を示す底面図である。
【図6】図5のX−X線に沿った要部の縦断面図である。
【図7】図5のY−Y線に沿った要部の縦断面図である。
【図8】同第1実施例の道路標識柱のねじ込み固定による路面設置に用いる部品の分解縦断面図である。
【図9】同第1実施例の道路標識柱のねじ込み固定による路面設置状態を示す要部の縦断面図である。
【図10】本発明に係る道路標識柱の第2実施例の組立て完成状態の縦断面図である。
【図11】同第2実施例の道路標識柱におけるベースの平面図である。
【図12】図11のZ−Z線に沿った縦断面図である。
【図13】道路標識柱の参考例を示す分解縦断面図である。
【図14】図13の道路標識柱の組立て完成状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1は本発明に係る道路標識柱の第1実施例を示す分解縦断面図であり、この第1実施例の道路標識柱は、ポール本体1と、ベース2と、リング3とが互いに独立部品として製作され、それら3つの部品1,2,3が組立可能に構成されている。
【0019】
上記ポール本体1は、その上端頂部が蓋部1aで閉塞され、下半部分の周壁には補強用リブ1bが形成されているとともに、下端部には径外方へ向けて突出されかつその外端部を上方へ折り返しされた折返し片1d付きの環状部分1cが形成されるようにウレタン樹脂等の射出成形により中空形態に一体成形されており、使用態様で車両等の他物が接触あるいは衝突したとき、その上半部分の曲り変形により衝撃を吸収し、かつ、接触あるいは衝突力の解除に伴い起立姿勢に弾性復元可能に構成されている。また、このポール本体1の上下中間位置の周壁部には、曲り変形特性及び弾性復元特性を高めるための空気孔1eが形成されている。
【0020】
上記ベース2は、ポール本体1の下端開口部に内嵌可能な突出部分2A及び路面に安定接地する偏平な接地環状部分2Bとを有しポリプロピレン、ABS樹脂等の硬質材料から全体円環形状に成形されており、このベース2の中央部には後述するスペーサ嵌合用凹部2aと路面に埋設されるアンカー部材(後述する)にねじ込むことにより該ベース2を路面に固定するための締結用ねじ部材、すなわち、六角頭部5a付きボルト5の六角頭部5aの嵌合用凹部2b及びボルト5のねじ部分5bを挿通させる貫通孔2cとが同芯状態に形成されているとともに、下面には該ベース2を路面に接着固定するための接着剤流し込み用凹入スペース2dが形成され、さらに、接地環状部分2Bには、上記リング3とベース2とを円周方向の複数箇所で締付け固定する短尺ボルト4の貫通孔2eが形成されている。
【0021】
また、上記リング3は、上記ポール本体1に外嵌可能な内孔3a及び上記ベース2の接地環状部分2Bよりも大径の下向き開孔部3bが同芯状態に形成され、上記ベース2の接地環状部分2Bに対応する略截頭円錐形状の環状部分3Aがポリプロピレン樹脂等の硬質材料から成形されており、その略截頭略円錐形状環状部分3Aの中段位置には上記ベース2の貫通孔2eに対向させて複数個のナット6が埋込み固定されているとともに、これら埋込みナット6よりも少し径内側箇所には上記ポール本体1の環状部分1cの折返し片1dが嵌まり込む環状周溝部3cが形成されている。
【0022】
上記のような構成の3つの部品1,2,3を備えた道路標識柱は、車道のセンターライン、車線の合流分岐箇所、歩車道分離箇所等の道路面に所定の間隔を置いて設置固定することにより、車両の運転者等にセンターラインや合流分岐等の存在を視認させて道路標識としての機能を発揮させる。そして、設置使用態様で車両等が誤ってポール本体1に接触あるいは衝突した際は、ポール本体1が曲り変形して衝撃を吸収することによって車両や運転者等を保護し、また、車両等がポール本体1から離反すると、ポール本体1が起立姿勢に弾性復元して所定の標識機能を回復することになる。
【0023】
このように使用される道路標識柱の設置方法には、大別して、ベース2を路面に上述の六角頭5a付きボルト5を用いて固定設置する方法(以下、ボルト固定設置方法という)と、ベース2を路面に接着剤を用いて固定設置する方法(以下、接着固定設置方法という)と、路面下に予め埋め込み固定されて路面上に突出させたアンカー式ねじ部材に上方からねじ込んで固定設置する方法(以下、ねじ込み固定設置方法という)があり、これら固定設置方法について以下に詳しく説明する。
【0024】
ボルト固定設置方法:
図2及び図3に示すように、ベース2の嵌合用凹部2bに六角頭部5a付きボルト5の頭部5aを嵌合させるとともに、貫通孔2cを通してベース2の下方へ突出させたねじ部分5bにナット7を螺合し締付けることにより、まずボルト5をベース2に固定する。次に、ポール本体1の下端開口部にベース2の突出部分2Aを内嵌させる一方、ポール本体1の頂部側から内孔3aを介してポール本体1に外嵌させたリング3をポール本体1の下端部まで移動させて、その下向き開孔部3bをベース2の接地環状部分2Bに嵌めるとともに、その環状周溝部3cにポール本体1の環状部分1cの折返し片1dを嵌め込む。
【0025】
この状態で、ベース2における接地環状部分2Bに形成されている複数の貫通孔2eに下方から差し込んだ短尺ボルト4をリング3の埋込みナット6に螺合し締付けることにより、ポール本体1の下端環状部分1cをベース2の接地環状部分2Bとリング3の環状部分3Aとの間に挟み込み固定する状態で3つの部品1,2,3を相互に固定して道路標識柱Aの組立てを完成する。
【0026】
組立て完成後は、図4に示すように、路面Rに掘削形成された穴内に挿入され、かつ、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤8によって路床部に埋設されたアンカー部材9に上記ボルト5をねじ込むことによって、道路標識柱Aを路面Rに鉛直起立姿勢に固定設置して所定の標識機能を発揮させることができる。
【0027】
接着固定設置方法:
ベース2の嵌合用凹部2b及び貫通孔2cにはなにも嵌合させないで、3つの部品1,2,3を上記と同様に相互に固定して道路標識柱Aの組立てを完成する。その組立て完成後、図5に示すように、ベース2の下面全域に接着剤10を塗布する。このとき、塗布した接着剤10の一部が図6及び図7に示すように、リング3の下向き開孔部3b及びベース2の凹入スペース2dに流れ込むことになり、この状態で道路標識柱A全体を上から路面Rに押圧することによって、道路標識柱Aを路面Rに鉛直起立姿勢に強力に接着固定して所定の標識機能を発揮させることができる。なお、接着固定設置の場合は、路面Rと接着剤10を介しての接着がより強固になるように、ベース2材料には、接着剤10との接着力の大きいABS樹脂等を用いることが好ましい。
【0028】
ねじ込み固定設置方法:
図8に示すように、ベース2の嵌合用凹部2b及び貫通孔2cに段付きナット11を嵌め込み、この段付きナット11をプレート12及びビスねじ13を介してベース2に固定した上、3つの部品1,2,3を図9に示すように、上記した各固定設置方法と同様に相互に固定して道路標識柱Aの組立てを完成する。そして、組立て完成後、図9に示すように、路面R下に予め埋め込み固定され、路面Rから上方に突出しているアンカー式ねじ部材14に上記ベース2に固定の段付きナット11をねじ込むことにより、道路標識柱Aを路面Rに鉛直起立姿勢に固定設置して所定の標識機能を発揮させることができる。
【0029】
図10は本発明に係る道路標識柱の第2実施例を示す縦断面図であり、この第2実施例では、図11及び図12に示すように、上記ベース2における中央突出部分2Aの外周面の上端から接地環状部分2Bの上面の外縁部にまでかけて周方向で複数条の水抜き溝15を形成している。その他の構成は第1実施例と同一であるため、該当部分に同一の符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。また、この第2実施例の図10では、組立て完成した道路標識柱Aの路面への固定設置方法として、ボルト5を用いたボルト固定設置方法で示しているが、接着固定設置方法であっても、ねじ込み固定設置方法であってもよい。
【0030】
上記水抜き溝15を有するベース2とリング3とポール本体1を上記同様に組立てて図10に示すように完成された道路標識柱A(図10参照)においては、ポール本体1に形成された空気孔1eの呼吸作用によってポール本体1の曲り変形及び弾性復元性を円滑良好なものとしつつ、その空気孔1eよりポール本体1内に侵入した雨水等を水抜き溝15を通してスムーズに路面Rにまで排出させることが可能であり、ポール本体1内に雨水等が滞留することに伴う異臭の発生や衝撃吸収機能の低下を抑制することができる。
【0031】
図13は道路標識柱の参考例を示す分解(組立て前)縦断面図、図14は組立て完成した状態の縦断面図である。この参考例では、上記ベース2の嵌合用凹部2b及び貫通孔2cに段付きナット11を嵌め込むとともに、この段付きナット11の上のスペーサ嵌合用凹部2aに嵌合可能な凸部分16aとベース2の突出部分2Aと同一の外径を持つ円環状部分16bとを一体成形してなるスペーサ16を別途準備しておき、このスペーサ16をベース2にビス17を介して継ぎ足し固定する一方、上記リング3の略截頭略円錐形状環状部分3Aの上部には継ぎ足しスペーサ16の背丈に相当する筒部3Bが一体連設され、この筒部3Bの外周面に視認反射板貼着用凹部3dが形成されている。その他の構成は第1実施例と同一であるため、該当部分に同一の符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。また、この参考例の図13,図14では、組立て完成した道路標識柱Aの路面への固定設置方法として、段付きナット11を用いたねじ込み固定設置方法で示しているが、接着固定設置方法であっても、ボルトによるねじ込み固定設置方法であってもよい。
【0032】
上記参考例の道路標識柱Aは、自動車の運転者等に道路標識柱が存在することを視覚的に認識させるための視認反射板仕様の道路標識柱であって、視認反射板仕様専用のベースを作製する必要がなく、第1及び第2実施例と共通仕様可能なベース2にスペーサ16を継ぎ足し固定するだけで、視認誘導機能に優れた反射板仕様の標識柱を簡単かつ安価に組立てかつ設置することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 ポール本体
1c 下端環状部分
1e 空気孔
2 ベース
2A 突出部分
2B 接地環状部分
2a スペーサ嵌合用凹部
2b ボルト嵌合用凹部
2c,2e 貫通孔
2d 接着剤流し込み用凹入スペース
3 リング
3A 略截頭円錐形状
3a 内孔
3b 開孔部
3c 環状周溝部
4 短尺ボルト(ねじ部材)
5 六角頭付きボルト(締結用ねじ部材)
6 埋込みナット
9 アンカー部材
10 接着剤
A 道路標識柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他物の接触あるいは衝突によって曲り変形可能な中空形態のポール本体と、ポール本体の下端部に内嵌可能な突出部分及び路面への接地環状部分を有するベースと、ポール本体に外嵌可能な内孔及びベースの接地環状部分に対向する環状部分を有するリングとを具備してなる道路標識柱であって、
上記ポール本体、ベース及びリングが互いに独立部品として製作され、
ポール本体の下端部にその突出部分を内嵌させたベースの接地環状部分とポール本体に外嵌させたリングの環状部分とをベースの下側からねじ部材を介して締結固定することにより、ポール本体の下端環状部分がベースの接地環状部分とリングの環状部分との間に挟込み固定される状態で全体を組立可能に構成し、
上記ポール本体には空気孔が形成されているとともに、上記ベースにはその空気孔から侵入した水を路面にまで排出可能な水抜き溝が形成されている道路標識柱。
【請求項2】
上記ベースには、路面に埋設されるアンカー部材にねじ込むことにより該ベースを路面に固定するための締結用ねじ部材の貫通孔及び路面に該ベースを接着固定するための接着剤の流し込み用凹入スペースが形成されている請求項1に記載の道路標識柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−47038(P2012−47038A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238978(P2011−238978)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【分割の表示】特願2010−52888(P2010−52888)の分割
【原出願日】平成13年6月8日(2001.6.8)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】