説明

道路舗装機械の敷き均し装置

【課題】主スクリードと、該主スクリードの幅とほぼ等幅の一対の伸縮スクリードとを備え、該一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの後方に配設した型式、前記一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの前方に配設した型式又は前記一対の伸縮スクリードの一方と他方を前記主スクリードの前方と後方に分けて配設した型式のうちのいずれかの型式とした敷き均し装置において、マイナスクラウンでの舗装施工が不可能であった舗装施工幅領域でのマイナスクラウン舗装施工を適正に行うことを可能にして性能向上を図る。
【解決手段】一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22aが機械中心線を超えない範囲で伸張されている場合にクラウン量をマイナスに設定した際に、一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22a側における所要長さ範囲のスクリードプレート21b,22bをクラウン量のマイナス設定量に応じて引き上げる引上げ機構を備えさせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装機械の敷き均し装置に関するものであり、特に、マイナスクラウンでの舗装施工が不可能であった舗装施工幅領域でのマイナスクラウン舗装施工を適正に行うことを可能にして性能を向上させるようにした道路舗装機械の敷き均し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路舗装機械の敷き均し装置に関連する第1の従来技術として、例えば、図3及び図4の(a)、(b)に示すようなアスファルトフィニッシャ等の道路舗設車両のスクリード装置が知られている。図3において、道路舗装機械1は、機械本体2の前部にアスファルト合材をダンプ等から受けるホッパ3を備え、ホッパ3内のアスファルト合材を後方に送るためのコンベヤバーフィーダ4が設けられている。コンベヤバーフィーダ4により後方に送られたアスファルト合材は、路盤に落下した後、機械本体2の後方に設けられたスクリュースプレッダ5により敷き均し幅方向に送られる。スクリュースプレッダ5の後方においてスクリードアーム6により機械本体2と連結されたスクリード装置(敷き均し装置)7によりアスファルト合材は路盤上に敷き均される。
【0003】
スクリード装置7は、敷き均し幅を変化させることができるように構成されており、主スクリード8の後方には、主スクリード8の幅にほぼ等しい幅を有する第1、第2の伸縮スクリード9,10が前後に一対並設されており、図4(a)に示す第1、第2の伸縮スクリード9,10の収納状態においては主スクリード8の幅にほぼ等しい幅内に収められている。図4(b)に示すように、主スクリード8の後方上部両側に設けたサポート支持部11と12のそれぞれに図示しない孔を設け、この孔にガイドシャフト13又は14を横方向に摺動可能に支持している。そして、ガイドシャフト13又は14の両端部をサポート15又は16の両端に固定している。また、サポート15又は16の両端に図示しない孔を設け、この孔にガイドシャフト17又は18を横方向に摺動可能に支持し、ガイドシャフト17又は18の両端部を第1、第2の伸縮スクリード9又は10の両端に固定している。さらに図示しない油圧シリンダ等の送り装置を設け、第1の伸縮スクリード9又は第2の伸縮スクリード10をそれぞれ主スクリード8の後方位置より敷き均し幅方向でしかも互いに反対方向に移動させることにより、図4(b)に示す第1の伸縮スクリード9と第2の伸縮スクリード10を最大限に拡張した状態では、敷き均し範囲を主スクリード幅Lの約3倍(Lmax参照)まで拡張することができる構造としている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、第2の従来技術として、例えば、図5の(a)、(b)に示すようなものがある。この従来技術は、上記のような主スクリード8の後方に、該主スクリード8の幅とほぼ等幅の第1、第2の伸縮スクリード9,10が前後に一対並設された型式のスクリード装置7Aに図示しないクラウン調整機構を付設して、所要のクラウン量を設定したものである。図5(a)は平面図、図5(b)は背面図である。ここで、クラウン量とは、図5(b)中に示すように、スクリード下面の幅方向(図5(b)の横方向)中心を回転中心としたスクリード下面の傾斜角θに対応した値であり、舗装品質の向上を図る目的でプラスからマイナスの範囲で設定される。θ<180°の場合がプラスクラウンであり、θ>180°の場合がマイナスクラウンである。したがって、図5(b)の場合は、マイナスクラウンに設定された場合を示している。
【0005】
しかし、この型式のスクリード装置7Aでは、第1、第2の伸縮スクリード9,10が、その各内側端9a,10aが機械本体中心線を超えない範囲で伸張されている場合に、スクリード装置にマイナスクラウンをつけると、図5(b)に示すように、第1、第2の伸縮スクリード9,10の各内側端9a,10a近傍下面が主スクリード8の下面よりも下方にはみ出す形になってしまう。そして、この状態で、アスファルト合材を敷き均すと主スクリード8が敷き均した舗装面を第1、第2の伸縮スクリード9,10における各内側端9a,10a近傍下端がえぐってしまうため舗装品質を劣化させてしまうことになる。
【0006】
この型式のスクリード装置7Aにおいて、上記問題点が生じる場合の第1、第2の伸縮スクリード9,10の伸張状態を数値例で述べると、次の通りである。即ち、スクリード装置の最小舗装施工幅(主スクリード幅Lとほぼ同じ)を、例えば2.3m、最大舗装施工幅を6m、第1、第2の伸縮スクリード9,10が伸張して、その各内側端9a,10aが機械本体中心線の位置にある場合の舗装幅を、例えば約4mとすると、この4m以下の舗装幅に設定した場合に、第1、第2の伸縮スクリード9,10の各内側端9a,10a近傍下面が主スクリード8の下面よりも下方にはみ出す形になる。
【0007】
さらに、第3の従来技術として、例えば、図6に示すようなものがある。この従来技術は、第1、第2の伸縮スクリード9,10が主スクリード8の幅とほぼ等幅に形成されている場合において、第1の伸縮スクリード9は主スクリード8の前方に配設し、第2の伸縮スクリード10は主スクリード8の後方に配設した型式のスクリード装置7Bとしたものである。この型式のスクリード装置7Bにおいても、第1、第2の伸縮スクリード9,10が、その各内側端9a,10aが機械本体中心線を超えない範囲で伸張されている場合に、スクリード装置にマイナスクラウンをつけると、主スクリード8の後方に配設された第2の伸縮スクリード10のみならず主スクリード8の前方に配設された第1の伸縮スクリード9においても上記第2の従来技術で生じる問題点と同様の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3383908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の第1の従来技術においては、主スクリードの後方に、該主スクリードの幅とほぼ等幅の第1、第2の伸縮スクリードが前後に一対並設された型式のスクリード装置が示されている。
【0010】
図5の(a)、(b)に示した第2の従来技術においては、上記と同型式のスクリード装置において、第1、第2の伸縮スクリードの各内側端が機械本体中心線を超えない範囲で伸張されている場合に、スクリード装置にマイナスクラウンをつけると、主スクリードが敷き均した舗装面を第1、第2の伸縮スクリードにおける各内側端近傍の下端がえぐってしまうため舗装品質を劣化させてしまう。したがって、スクリード装置にマイナスクラウンでの舗装施工が不可能な舗装施工幅領域が生じて、道路舗装機械の性能低下を招くという問題がある。
【0011】
また、図6に示した第3の従来技術では、主スクリードの幅とほぼ等幅に形成された第1、第2の伸縮スクリードのうち、第1の伸縮スクリードは主スクリードの前方に配設し、第2の伸縮スクリードは主スクリードの後方に配設した型式のスクリード装置においても、第1、第2の伸縮スクリードの各内側端が機械本体中心線を超えない範囲で伸張されている場合に、スクリード装置にマイナスクラウンをつけると、上記第2の従来技術で生じる問題点と同様の問題が生じる。
【0012】
そこで、主スクリードと、該主スクリードの幅とほぼ等幅の一対の伸縮スクリードとを備え、該一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの後方に配設した型式、前記一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの前方に配設した型式又は前記一対の伸縮スクリードの一方と他方を前記主スクリードの前方と後方に分けて配設した型式のうちのいずれかの型式とした敷き均し装置において、マイナスクラウンでの舗装施工が不可能であった舗装施工幅領域でのマイナスクラウン舗装施工を適正に行うことを可能にして性能向上を図るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、主スクリードと、該主スクリードの幅とほぼ等幅で互いに反対方向に伸縮する一対の伸縮スクリードとを備え、該一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの後方に配設した型式、前記一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの前方に配設した型式又は前記一対の伸縮スクリードの一方と他方を前記主スクリードの前方と後方に分けて配設した型式のうちのいずれかの型式とした敷き均し装置において、前記一対の伸縮スクリードの各内側端が機械中心線を超えない範囲で伸張されている場合にクラウン量をマイナスに設定した際に、前記一対の伸縮スクリードの各内側端側における所要長さ範囲のスクリードプレートを前記クラウン量のマイナス設定量に応じて引き上げる引上げ機構を備えさせた道路舗装機械の敷き均し装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、一対の伸縮スクリードの各内側端が機械中心線を超えない範囲で伸張されている場合にクラウン量をマイナスに設定しても、一対の伸縮スクリードの各内側端側における所要長さ範囲のスクリードプレートをクラウン量のマイナス設定量に応じて引き上げることで、該一対の伸縮スクリードの各内側端近傍下面が主スクリードの下面よりも上に上がる。この結果、主スクリードの敷き均し面又は敷き均すべき面を、一対の伸縮スクリードの各内側端近傍下端がえぐってしまうという不具合がなくなる。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記引上げ機構は、上記一対の伸縮スクリードにおける各内側端から所要長さ部位における当該各伸縮スクリードの下面部をヒンジ部として上記各所要長さ範囲のスクリードプレートを角度をつけて引き上げる屈折上下式とした道路舗装機械の敷き均し装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、引上げ機構を屈折上下式とし、各伸縮スクリードの下面部をヒンジ部として各所要長さ範囲のスクリードプレートを角度をつけて引き上げることで、一対の伸縮スクリードの各内側端近傍下面を主スクリードの下面よりも容易確実に上に上げることが可能となる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記引上げ機構は、上記各所要長さ範囲のスクリードプレートを上記一対の伸縮スクリードにおける各内側端から所要長さ部位において上下にスライド可能に構成し、前記各所要長さ範囲のスクリードプレートをスライド面に平行にスライドさせて引き上げる平行上下式とした道路舗装機械の敷き均し装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、引上げ機構を平行上下式とし、各所要長さ範囲のスクリードプレートをスライド面に平行にスライドさせて引き上げることで、一対の伸縮スクリードの各内側端近傍下面を主スクリードの下面よりも容易確実に上に上げることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明は、主スクリードと、該主スクリードの幅とほぼ等幅の一対の伸縮スクリードとを備え、該一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの後方に配設した型式、前記一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの前方に配設した型式又は前記一対の伸縮スクリードの一方と他方を前記主スクリードの前方と後方に分けて配設した型式のうちのいずれかの型式とした敷き均し装置において、前記一対の伸縮スクリードの各内側端が機械中心線を超えない範囲で伸張している舗装施工幅領域でのマイナスクラウン舗装施工を適正に行うことができて当該敷き均し装置の性能を向上させることができるという利点がある。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えてさらに、引上げ機構を屈折上下式としたことで、一対の伸縮スクリードの各内側端近傍下面を主スクリードの下面よりも確実に上に上げることができて一対の伸縮スクリードの各内側端が機械中心線を超えない範囲で伸張している舗装施工幅領域での適正なマイナスクラウン舗装施工を容易に実現することができるという利点がある。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えてさらに、引上げ機構を平行上下式としたことで、一対の伸縮スクリードの各内側端近傍下面を主スクリードの下面よりも確実に上に上げることができて一対の伸縮スクリードの各内側端が機械中心線を超えない範囲で伸張している舗装施工幅領域での適正なマイナスクラウン舗装施工を容易に実現することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係る屈折上下式の引上げ機構を適用した敷き均し装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図。
【図2】本発明の実施例2に係る平行上下式の引上げ機構を適用した敷き均し装置の背面図。
【図3】第1の従来技術としての道路舗装機械の平面図。
【図4】図3の道路舗装機械におけるスクリード装置を示す図であり、(a)は第1、第2の伸縮スクリードが収納状態にあるときの平面図、(b)は第1の伸縮スクリードと第2の伸縮スクリードが最大限に拡張された状態を示す平面図。
【図5】第2の従来技術としてのスクリード装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図。
【図6】第3の従来技術としてのスクリード装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、主スクリードと、該主スクリードの幅とほぼ等幅の一対の伸縮スクリードとを備え、該一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの後方に配設した型式、前記一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの前方に配設した型式又は前記一対の伸縮スクリードの一方と他方を前記主スクリードの前方と後方に分けて配設した型式のうちのいずれかの型式とした敷き均し装置において、マイナスクラウンでの舗装施工が不可能であった舗装施工幅領域でのマイナスクラウン舗装施工を適正に行うことを可能にして性能向上を図るという目的を達成するために、主スクリードと、該主スクリードの幅とほぼ等幅で互いに反対方向に伸縮する一対の伸縮スクリードとを備え、該一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの後方に配設した型式、前記一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの前方に配設した型式又は前記一対の伸縮スクリードの一方と他方を前記主スクリードの前方と後方に分けて配設した型式のうちのいずれかの型式とした敷き均し装置において、前記一対の伸縮スクリードの各内側端が機械中心線を超えない範囲で伸張されている場合にクラウン量をマイナスに設定した際に、前記一対の伸縮スクリードの各内側端側における所要長さ範囲のスクリードプレートを前記クラウン量のマイナス設定量に応じて引き上げる引上げ機構を備えさせることにより実現した。
【実施例1】
【0024】
以下、本発明の好適な実施例1を図1の(a)、(b)を参照して説明する。まず、本実施例に係る道路舗装機械の敷き均し装置の構成を説明する。図1(a)において、敷き均し装置(スクリード装置)19は、主スクリード20の後方に該主スクリード20の幅とほぼ等幅で互いに反対方向に伸縮する一対の伸縮スクリード21,22が前後に並設されている。
【0025】
そして、前記図5(b)を用いて説明した不具合を避けるため、本実施例では、一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22aが機械中心線を超えない範囲で伸張されている場合にクラウン量をマイナスに設定した際に、一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22a側における所要長さ範囲のスクリードプレート21b,22bを前記クラウン量のマイナス設定量に応じて引き上げる屈折上下式の引上げ機構が備えられている。
【0026】
図1(b)に示すように、該屈折上下式の引上げ機構は、各伸縮スクリード21,22における内側端21a,22aから所要長さ部位における当該各伸縮スクリード21,22の下面部をヒンジ部23a,23bとして所要長さ範囲の各スクリードプレート21b,22bを角度をつけて引き上げるように構成されている。
【0027】
所要長さ範囲の各スクリードプレート21b,22bをヒンジ部23a,23bから角度をつけて引き上げる手段としては、手動で操作する方式と、各伸縮スクリード21,22の伸縮位置をリミットスイッチ等で自動的に検知し、この検知結果を基に角度をつけて引き上げる操作を自動制御する方法等が適用される。
【0028】
次に、上述のように構成された本実施例に係る道路舗装機械の敷き均し装置の作用を説明する。一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22aが機械中心線を超えない範囲で伸張されている場合にクラウン量をマイナスに設定しても、該クラウン量のマイナス設定量に応じて各伸縮スクリード21,22の内側端21a,22a側における所要長さ範囲のスクリードプレート内側端21b,22bが各伸縮スクリード21,22の下面部をヒンジ部23a,23bとして角度をつけて引き上げられる。
【0029】
これにより、一対の伸縮スクリード21,22の内側端近傍下面が主スクリード20の下面よりも上に上がる。この結果、主スクリード20の敷き均し面を、該主スクリード20の後方に配設された各伸縮スクリード21,22の内側端21a,22a近傍下端がえぐってしまうという不具合がなくなる。一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22aが機械中心線を超えて伸張されている場合には、クラウン量をマイナスに設定しても各伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22a近傍下面が主スクリード20の下面よりも下方にはみ出すことはないので、各伸縮スクリード21,22全体が平らになる位置まで、所要長さ範囲の各スクリードプレート21b,22bは下げられる。
【0030】
上述したように、本実施例に係る道路舗装機械の敷き均し装置においては、主スクリード20の後方に該主スクリード20の幅とほぼ等幅で互いに反対方向に伸縮する一対の伸縮スクリード21,22が前後に並設された型式の敷き均し装置19において、前記一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22aが機械中心線を超えない範囲で伸張している舗装施工幅領域でのマイナスクラウン舗装施工を適正に行うことができて当該敷き均し装置19の性能を向上させることができる。
【0031】
引上げ機構を屈折上下式としたことで、一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22a近傍下面を主スクリード20の下面よりも確実に上に上げることができて一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22aが機械中心線を超えない範囲で伸張している舗装施工幅領域での適正なマイナスクラウン舗装施工を容易に実現することができる。
【実施例2】
【0032】
本発明の実施例2を図2を参照して説明する。本実施例では、前記引上げ機構が平行上下式に構成されている。図2に示すように、該平行上下式の引上げ機構は、一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22a側における所要長さ範囲のスクリードプレート21b,22bを、各伸縮スクリード21,22における内側端21a,22aから所要長さ部位において上下にスライド可能に構成し、前記所要長さ範囲のスクリードプレート21b,22bをスライド面24a,24bにそれぞれ平行にスライドさせて引き上げるように構成されている。
【0033】
該所要長さ範囲のスクリードプレート21b,22bをスライド面24a,24bにそれぞれ平行にスライドさせて上下させる手段としては、手動で操作する方式と、各伸縮スクリード21,22の伸縮位置をリミットスイッチ等で自動的に検知し、この検知結果を基に上下操作を自動制御する方式等が適用される。
【0034】
本実施例に係る道路舗装機械の敷き均し装置は、引上げ機構を平行上下式とし、所要長さ範囲のスクリードプレート21b,22bをスライド面24a,24bに平行にスライドさせて引き上げることで、各伸縮スクリード21,22の内側端21a,22a近傍下面を主スクリード20の下面よりも容易確実に上に上げることが可能となる。
【0035】
上述したように、本実施例に係る道路舗装機械の敷き均し装置においては、引上げ機構を平行上下式としたことで、各伸縮スクリード21,22の内側端21a,22a近傍下面を主スクリード20の下面よりも確実に上に上げることができて一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22aが機械中心線を超えない範囲で伸張している舗装施工幅領域での適正なマイナスクラウン舗装施工を容易に実現することができる。
【0036】
なお、上述の実施例1、実施例2は、一対の伸縮スクリード21,22を、主スクリード20の前方に並設した型式の敷き均し装置及び前記図6に示したような、一方の伸縮スクリード21は主スクリード20の前方に配設し、他方の伸縮スクリード22は主スクリード20の後方に配設した型式の敷き均し装置にも適用しうる。敷き均し装置をこの両型式とした場合においても、屈折上下式又は平行上下式の引上げ機構は、一対の伸縮スクリード21,22の各内側端21a,22a側に備えさせる。
【0037】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
主スクリードと、該主スクリードの幅とほぼ等幅の一対の伸縮スクリードとを備え、該一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの後方に配設した型式、前記一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの前方に配設した型式又は前記一対の伸縮スクリードの一方と他方を前記主スクリードの前方と後方に分けて配設した型式のうちのいずれかの型式とした敷き均し装置において、マイナスクラウンでの舗装施工が不可能であった舗装施工幅領域でのマイナスクラウン舗装施工を適正に行うことを可能にして性能向上を図ることが不可欠な乳剤散布機能付き及び無しのアスファルトフィニッシャ等を含む敷き均し機械に広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 道路舗装機械
2 機械本体
3 ホッパ
4 コンベヤバーフィーダ
5 スクリュースプレッダ
6 スクリードアーム
7,7A,7B スクリード装置(敷き均し装置)
8 主スクリード
9 第1の伸縮スクリード
10 第2の伸縮スクリード
11,12 サポート支持部
13,14 ガイドシャフト
15,16 サポート
17,18 ガイドシャフト
19 敷き均し装置(スクリード装置)
20 主スクリード
21 伸縮スクリード
22 伸縮スクリード
21a,22a 内側端
21b,22b スクリードプレート
23a,23b ヒンジ部
24a,24b スライド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主スクリードと、該主スクリードの幅とほぼ等幅で互いに反対方向に伸縮する一対の伸縮スクリードとを備え、該一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの後方に配設した型式、前記一対の伸縮スクリードを前記主スクリードの前方に配設した型式又は前記一対の伸縮スクリードの一方と他方を前記主スクリードの前方と後方に分けて配設した型式のうちのいずれかの型式とした敷き均し装置において、
前記一対の伸縮スクリードの各内側端が機械中心線を超えない範囲で伸張されている場合にクラウン量をマイナスに設定した際に、前記一対の伸縮スクリードの各内側端側における所要長さ範囲のスクリードプレートを前記クラウン量のマイナス設定量に応じて引き上げる引上げ機構を備えさせたことを特徴とする道路舗装機械の敷き均し装置。
【請求項2】
上記引上げ機構は、上記一対の伸縮スクリードにおける各内側端から所要長さ部位における当該各伸縮スクリードの下面部をヒンジ部として上記各所要長さ範囲のスクリードプレートを角度をつけて引き上げる屈折上下式としたことを特徴とする請求項1記載の道路舗装機械の敷き均し装置。
【請求項3】
上記引上げ機構は、上記各所要長さ範囲のスクリードプレートを上記一対の伸縮スクリードにおける各内側端から所要長さ部位において上下にスライド可能に構成し、前記各所要長さ範囲のスクリードプレートをスライド面に平行にスライドさせて引き上げる平行上下式としたことを特徴とする請求項1記載の道路舗装機械の敷き均し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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