説明

道路舗装機械

【課題】変速を円滑かつ安全に行うことが可能な走行機構を有する道路舗装機械を提供する。
【解決手段】アスファルトフィニッシャは、2つのモータ11および12と、高速モータ用歯車16と、リングギヤ制動用ブレーキ14と、遊星歯車機構18と、デファレンシャルギヤ21とを備える。また、高速用モータ11の回転力は、高速モータ用歯車16およびリングギヤ連結歯車17を介して遊星歯車機構18のリングギヤに入力され、低速用モータ12の回転力は遊星歯車機構18のサンギヤに入力される。低速走行モードにおいては、高速モータ用歯車16はリングギヤ制動用ブレーキ14によって固定されるとともに、低速用モータ12が駆動する。高速走行モードにおいては、高速モータ用歯車16は回転可能とされ、高速用モータ11が駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルトフィニッシャ等の道路舗装機械に関し、より特定的には、変速機構を有する道路舗装機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルトフィニッシャ等の道路舗装機械の走行機構としては、エンジンにより油圧ポンプを駆動し、その油圧ポンプを駆動源として油圧モータにより走行輪を駆動するものがある。ここで、例えばアスファルトフィニッシャ等の道路舗装機械では、道路舗装の施行時と回送時(施工を行わずに走行する時)とで要求される走行性能が異なる。すなわち、道路舗装の施工時においては、要求される走行速度は比較的遅い(例えば10m/min以下)が、スクリード前方に抱えるアスファルト合材が抵抗となるために大きな走行牽引力とともに一定速度で走行することが要求される。一方、回送時(道路舗装の施工を行わずに走行する時)においては、要求される走行速度は比較的速い(例えば12km/hr(200m/min))が、速度の安定性は必要とされていない。このような要求を満足するために、次のような変速機構を有する建設機械が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、シフタ機構を用いた変速機構を有する建設機械が開示されている。この建設機械は、シフタ機構により変速を可能とするとともに、変速の切り換えの際にニュートラル状態となった時に一定条件下でブレーキ制動を行う。これによって、傾斜地等において変速の切り換えの際に機体が不用意に走行することを防止している。
【0004】
また、例えば特許文献2には、遊星ギヤを用いた走行機構を有する建設機械が開示されている。この建設機械は、遊星歯車機構のサンギヤ、プラネタリキャリヤ、およびリングギヤのうちの2部品を連結可能なクラッチを備える変速機構によって変速を行うものである。すなわち、低速走行時にはクラッチが切られることによって遊星歯車機構が減速機構として動作し、高速走行時にはクラッチが連結されることによって遊星歯車機構の各部品を一体として回転させることで遊星歯車機構の減速比が1となり、変速を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−247217号公報
【特許文献2】特開平11−37229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のようにシフタ機構を用いる場合には、変速の切換時においてブレーキ制動を行う必要があるので、変速を円滑に行うことが難しいという課題がある。また、上記特許文献2に記載の変速機構では、油圧で作動するクラッチを遊星歯車機構に設けるといった複雑な機構を採用している。すなわち、上記変速機構は、遊星歯車機構の軸心内に圧油を通す構成であるので、油漏れ等のリスクが高く、維持管理に手間・コストを要する。
【0007】
それ故、本発明は、変速を円滑かつ安全に行うことが可能な走行機構を有する道路舗装機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、下記(1)〜(6)の構成を採用した。
【0009】
(1)
本発明は、駆動源と、回転部材と、制動部と、遊星歯車機構と、伝達部とを備える道路舗装機械である。回転部材は、駆動源によって回転可能である。制動部は、回転部材の回転を制動可能である。遊星歯車機構は、駆動源による回転力がサンギヤに入力され、回転部材の回転がリングギヤおよびプラネタリキャリヤのいずれか一方に入力される。伝達部は、リングギヤおよびプラネタリキャリヤのいずれか他方の回転を駆動輪に伝達する。また、道路舗装機械は、制動部が回転部材を固定するとともに駆動源がサンギヤを回転させる第1状態と、制動部が回転部材を回転可能とするとともに駆動源が回転部材を回転させる第2状態とを切り換えることによって変速を行う。
【0010】
上記「駆動源」は、後述する第1の実施形態のように複数のモータによって構成されてもよいし、後述する第2の実施形態のように1つのモータによって構成されてもよい。
また、上記「第2状態」において、駆動源は、少なくとも回転部材を回転させればよく、サンギヤを回転させてもよいし、回転させなくてもよい。
【0011】
上記(1)の構成によれば、第1状態においては、回転部材が固定されるので遊星歯車機構のリングギヤ(あるいはプラネタリキャリヤ)が固定される。その結果、駆動源による回転力は、サンギヤに入力されプラネタリキャリヤ(あるいはリングギヤ)から出力されて駆動輪に伝達されるので、道路舗装機械を低速かつ高トルクで走行させることができる。一方、第2状態においては、回転部材が回転可能であるので遊星歯車機構のリングギヤ(あるいはプラネタリキャリヤ)が回転可能となる。その結果、駆動源による回転力は、リングギヤに入力されプラネタリキャリヤから出力されて(あるいは、プラネタリキャリヤに入力されリングギヤから出力されて)駆動輪に伝達されるので、道路舗装機械を高速かつ低トルクで走行させることができる。このように、上記(1)の構成によれば、道路舗装機械の変速を遊星歯車機構によって行うことが可能となる。そして、遊星歯車機構を用いて変速を行うことによって、変速を円滑に行うことができる。また、上記特許文献2に記載の技術のような、遊星歯車機構内にクラッチを設ける構成ではないので、油漏れ等のリスクが少なく安全である。以上のように、上記(1)の構成によれば、変速を円滑かつ安全に行うことが可能な道路舗装機械を提供することができる。
【0012】
(2)
駆動源は、回転部材を回転させる第1モータと、サンギヤを回転させる第2モータとを有していてもよい。このとき、第1状態においては第2モータが駆動し、第2状態においては第1モータが少なくとも駆動する。
【0013】
上記(2)においては、第1モータは、第2状態において少なくとも駆動すればよく、第1状態においても駆動してもよい。
【0014】
上記(2)の構成によれば、駆動源として2つのモータを備えるので、後述する第2の実施形態のようなクラッチを必要とする構成ではないので、クラッチの制御が不要であり制御が容易になるとともに、クラッチのメンテナンス等も不要であるので道路舗装機械の維持管理が容易になる。
【0015】
(3)
道路舗装機械は、第2モータによる回転力を減速してサンギヤへ伝達する減速機構をさらに備えていてもよい。
【0016】
上記(3)の構成によれば、第1状態においては上記減速機構と上記遊星歯車機構との両方によって減速を行うことができる。ここで、道路舗装機械においては一般的に、低速走行時と高速走行時との間の速度比として10倍といった大きな速度比が要求されるが、上記(3)の構成によれば、このような大きな速度比を有する変速機構の実現が容易になる。
【0017】
(4)
駆動源は、回転力がサンギヤへ伝達されるモータを有していてもよい。このとき、道路舗装機械は、モータの回転力を回転部材へ伝達可能なクラッチをさらに備える。クラッチは、第2状態においてはモータの回転力を回転部材へ伝達し、第1状態においてはモータから回転部材への回転力の伝達を切断するように制御される。
【0018】
上記(4)の構成によれば、駆動源を1つのモータで実現することができるので、道路舗装機械の走行機構を簡易化および小型化することができる。
【0019】
(5)
道路舗装機械は、モータによる回転力を減速してサンギヤへ伝達する減速機構をさらに備えていてもよい。
【0020】
上記(5)の構成によれば、上記(3)の構成と同様、第1状態においては上記減速機構と上記遊星歯車機構との両方によって減速を行うことができる。したがって、上記(5)の構成によれば、道路舗装機械に要求される大きな速度比を有する変速機構の実現が容易になる。
【0021】
(6)
制動部は、第2状態において、道路舗装機械を制動するための所定の制御指令があった場合、回転部材の回転を制動してもよい。
【0022】
上記(6)の構成によれば、道路舗装機械が第2状態で走行中である場合には、制動部は走行停止用のブレーキとしても機能する。つまり、上記(6)の構成によれば、制動部は変速を切り換える機能と、走行停止用のブレーキの機能とを有するので、走行停止を効果的に行うことができるとともに、(走行停止用のブレーキを別途設ける場合に比べて)構成を簡易化することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、遊星減速機構のリングギヤ(またはプラネタリキャリヤ)を固定状態と回転可能状態とで切り換える変速機構を採用することによって、変速を円滑かつ安全に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係るアスファルトフィニッシャの外観構成図
【図2】第1の実施形態に係るアスファルトフィニッシャの走行機構を示す図
【図3】図2に示す第1遊星歯車機構18および第2遊星歯車機構19等の詳細な構成を示す図
【図4】第2の実施形態に係るアスファルトフィニッシャの走行機構を示す図
【図5】図4に示す第1遊星歯車機構18等の詳細な構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係るアスファルトフィニッシャについて図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係るアスファルトフィニッシャの外観構成図である。本実施形態に係るアスファルトフィニッシャは、以下に示す変速機構によって、速度比の大きな変速を円滑かつ安全に行うことを可能とするものである。
【0026】
(アスファルトフィニッシャの基本構成)
まず、第1の実施形態に係るアスファルトフィニッシャの基本構成について説明する。図1において、アスファルトフィニッシャ1は、車体2と、スクリード9とを備えている。車体2は、ホッパ3、前輪4、後輪5、コンベヤ6、ならびにスクリュー7を有している。前輪4および後輪5は、アスファルトフィニッシャ1の走行機構であり、前輪4が操向輪であり後輪5が駆動輪である。ホッパ3は、車体2の前部(図1では左側)に設けられ、供給側(ダンプカー等)からアスファルト合材を受け入れるためのものである。コンベヤ6は、ホッパ3の下側から車体2の後部まで設けられ、ホッパ3で受けたアスファルト合材を後方へ搬送する。スクリュー7は、コンベヤ6で搬送されてきたアスファルト合材を左右方向へ拡幅しつつ路面に拡散する。また、スクリード9は、レベリングアーム8によって車体2と上下可動に連結される。スクリード9は、スクリード9の下面(スクリードプレート)を加熱する加熱装置や、スクリードを振動させるバイブレータを有している。
【0027】
以上の構成により、アスファルトフィニッシャ1は、ホッパ3に供給されたアスファルト合材をコンベヤ6を介して後方のスクリュー7から路面に拡散し、拡散されたアスファルト合材をスクリード9によって均一平坦に転圧して舗装する。なお、図1に示す構成は、従来のアスファルトフィニッシャと同じであってもよい。また、図1に示す構成は一例であり、本発明は任意の道路舗装機械に適用可能である。例えば、アスファルトフィニッシャ1は、上記の構成以外に他のアクチュエータを備えていてもよい。また、本実施形態においては、アスファルトフィニッシャ1の駆動輪、コンベヤ6、スクリュー7、スクリード9等は電気により駆動するものとするが、油圧により駆動するものであってもよい。
【0028】
(走行機構の構成)
次に、第1の実施形態に係るアスファルトフィニッシャの走行機構の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係るアスファルトフィニッシャの走行機構を示す図である。なお、図2〜図5においては、図面を見やすくする目的で、部材の断面部分について斜線を設けていない箇所がある。図2に示すように、アスファルトフィニッシャ1は、高速用モータ11、低速用モータ12、変速機構13、リングギヤ制動用ブレーキ14、停止保持ブレーキユニット15を備えている。また、変速機構13には、高速モータ用歯車16、リングギヤ連結歯車17、第1遊星歯車機構18、第2遊星歯車機構19、歯車軸20、および、デファレンシャルギヤ21が含まれる。
【0029】
高速用モータ11は、高速走行用に駆動されるモータである。また、低速用モータ12は、主に低速走行用に駆動されるモータである。このように第1の実施形態では駆動源として2つのモータを備える構成である。なお、本実施形態では、各モータ11および12は電動モータであるとするが、油圧モータであってもよい。
【0030】
高速モータ用歯車16は、駆動源(高速用モータ11)によって回転可能な回転部材であり、高速用モータ11の出力軸22に接続される。また、高速モータ用歯車16には出力軸22を介してリングギヤ制動用ブレーキ14が接続される。リングギヤ制動用ブレーキ14は、高速モータ用歯車16の回転を制動可能である。詳細は後述するが、リングギヤ制動用ブレーキ14は、制御部からの変速を行うための制御指令に応じて動作する。また、高速モータ用歯車16はリングギヤ連結歯車17と噛み合っている。リングギヤ連結歯車17は第1遊星歯車機構18に接続される。
【0031】
図3は、図2に示す第1遊星歯車機構18および第2遊星歯車機構19等の詳細な構成を示す図である。図3に示すように、第2遊星歯車機構19は、低速用モータ12に接続される。具体的には、第2遊星歯車機構19のサンギヤ31は低速用モータ12の出力軸に接続される。また、第2遊星歯車機構19のプラネタリキャリヤ32は第2遊星歯車機構19(のサンギヤ34)に接続され、リングギヤ33は固定されている。このように、第2遊星歯車機構19は、サンギヤ31を入力とし、プラネタリキャリヤ32を出力とする減速機構として機能する。換言すれば、第2遊星歯車機構19は、低速用モータ12による回転力を減速して第1遊星歯車機構18(のサンギヤ34)へ伝達する減速機構として機能する。
【0032】
また、第1遊星歯車機構18は、第2遊星歯車機構19およびリングギヤ連結歯車17に接続される。具体的には、第1遊星歯車機構18のサンギヤ34は、第2遊星歯車機構19のプラネタリキャリヤ32に接続される。第1遊星歯車機構18のリングギヤ35は、ブラケット37を介してリングギヤ連結歯車17に接続される。第1遊星歯車機構18のプラネタリキャリヤ36は、軸38を介して歯車軸20に接続される。具体的には、リングギヤ連結歯車17の中心には穴が形成されており、穴の周には軸受39が設けられる。上記軸38は軸受39によって支持されることで上記穴を通るように配置される。これによって、歯車軸20は、リングギヤ連結歯車17に対して第1遊星歯車機構18の反対側で歯車軸20と連結される。
【0033】
以上のように、第1遊星歯車機構18においては、低速用モータ12による回転力がサンギヤ35に入力され、高速モータ用歯車16の回転がリングギヤ36に入力され、プラネタリキャリヤ36が出力として機能する。詳細は後述するが、第1遊星歯車機構18の動作は高速走行時と低速走行時で異なり、これによって変速が実現される。
【0034】
また、図2に示すように、歯車軸20には、デファレンシャルギヤ21が有する歯車(デフ歯車)22が噛み合っている。デファレンシャルギヤ21は、歯車軸20の回転、すなわち、第1遊星歯車機構18の出力回転力を駆動輪(後輪5)に伝達する。具体的には、デファレンシャルギヤ21には、左右の駆動軸24aおよび24bを介してミッションスプロケット25aおよび25bが接続される。ミッションスプロケット25aおよび25bは、図示しないチェーンを介して、後輪5のホイール側のチェーンスプロケットに回転力を伝達する。以上の構成によって、各モータ11および12による駆動力によって後輪5が駆動することが可能である。なお、デファレンシャルギヤ21は、本実施形態ではいわゆるノースピンデフであるとするが、第1遊星歯車機構18の出力回転力を左右の駆動輪に分配することができればどのようなものでもよく、他の方式のデファレンシャルギヤでもよい。
【0035】
また、歯車軸20には、アスファルトフィニッシャ1の停止保持に用いられる停止保持ブレーキユニット15が接続される。停止保持ブレーキユニット15は、第1遊星歯車機構18の出力側に設けられ、当該出力側における回転(出力軸の回転)を制動可能な負作動の制動部である。図3に示すように、停止保持ブレーキユニット15は、負作動ブレーキ40および第3遊星歯車機構41を備えている。第3遊星歯車機構41は、サンギヤ42が負作動ブレーキ40に接続され、プラネタリキャリヤ43が歯車軸20に接続され、リングギヤ44が固定されている。このように、負作動ブレーキ40と歯車軸20との間に減速機構を設けることによって、負作動ブレーキ40にかかるトルクを軽減している。なお、停止保持ブレーキユニット15は負作動ブレーキ40を有する構成としたが、他の方式のブレーキを有していてもよい。また、負作動ブレーキ40(他のブレーキも同様)が油圧機構を用いない方式のブレーキ(例えば電磁ブレーキ等)である場合には、ブレーキの機構を簡易化することができる。また、停止保持用のブレーキの配置はどのようなものであってもよく、他の実施形態においては、左右の車輪にそれぞれ停止保持用のブレーキを設けるようにしてもよい。なお、本実施形態では、片輪がスリップすると自動的にデフロックが働く機能を有するデファレンシャルギヤを用いるので、停止保持用のブレーキを第1遊星歯車機構18の出力部分に配置する構成を採ることができる。
【0036】
なお、図2および図3に示す走行機構の構成は一例であり、他の実施形態においては、本実施形態における各構成の接続関係と同等の接続関係で構成される走行機構を用いてもよい。例えば、歯車軸20とデファレンシャルギヤ21との間に歯車を設ける(後述する第2の実施形態参照)といったように、第1の実施形態における各構成の間に、必要に応じて歯車を設けるようにしてもよい。
【0037】
また、アスファルトフィニッシャ1は、図示しない制御部を備えている。制御部は、各モータ11および12の駆動と、各ブレーキ14および25の駆動とを制御する。ここで、制御部は、低速走行モードと高速走行モードという2つのモードで各モータ11および12ならびにブレーキ14を制御する。低速走行モードは、走行機構による減速比が相対的に大きい低速走行用のモードであり、典型的には、道路舗装の施行時に適用される。また、高速走行モードは、走行機構による減速比が相対的に小さい高速走行用のモードであり、典型的には、施工を行わない回送時に適用される。つまり、制御部は、各モータ11および12ならびにブレーキ14を制御することによって変速を行う。なお、制御部は、CPU等の情報処理手段とメモリ等の記憶手段とを含むシーケンサであり、プログラムによって動作を行うものであってもよいし、リレー回路等を用いた専用回路によって実現されてもよい。
【0038】
(走行機構の動作)
次に、図2および図3に示す走行機構の動作を説明する。本実施形態においては、アスファルトフィニッシャ1は、上記低速走行モードおよび高速走行モードで走行が可能である。以下、低速走行モードおよび高速走行モードにおける走行機構の動作をそれぞれ説明する。
【0039】
低速走行モードにおいては、制御部は、高速用モータ11を駆動させず、また、リングギヤ制動用ブレーキ14を駆動させる。これによって、第1遊星歯車機構18のリングギヤ35は固定される。また、制御部は低速用モータ12を駆動させ、低速用モータ12の回転力は、第2遊星歯車機構19において減速されて第1遊星歯車機構18のサンギヤ34に伝達される。したがって、低速走行モードにおいては、第1遊星歯車機構18のサンギヤ34が入力となり、プラネタリキャリヤ36が出力となる。
【0040】
以上より、低速走行モードにおいては、2つの遊星歯車機構18および19がそれぞれ減速機構として機能し、低速用モータ12による回転力が各遊星歯車機構18および19によって減速されて出力される。したがって、低速走行モードにおける第1遊星歯車機構18の出力回転数(プラネタリキャリヤ36の回転数)Nglは、次の式(1)によって表すことができる。
【数1】

上式(1)において、Nlmは低速用モータ12の回転数を表し、R1は第1遊星歯車機構18の減速比を表し、R2は第2遊星歯車機構19の減速比を表している。
【0041】
一方、高速走行モードにおいては、制御部は、高速用モータ11および低速用モータ12の両方を駆動させる。また、制御部はリングギヤ制動用ブレーキ14を作動させず、高速モータ用歯車16は回転可能となる。これによって、高速用モータ11によって第1遊星歯車機構18のリングギヤが回転する。一方、高速走行モードにおいても低速用モータ12は低速走行モードと同様に動作するので、低速用モータ12によって第1遊星歯車機構18のサンギヤ34が回転する。したがって、高速走行モードにおいては、第1遊星歯車機構18のプラネタリキャリヤ36は、サンギヤ34およびリングギヤ35によって回転されるので、低速走行モードよりも高速で回転することになり、高速走行が実現される。なお、ここでは、サンギヤ34およびリングギヤ35は同じ方向に回転するものとする。
【0042】
以上より、高速走行モードにおいては、第1遊星歯車機構18のプラネタリキャリヤ36の総出力回転数は、低速用モータ12によるサンギヤ34の回転に起因する(プラネタリキャリヤ36の)出力回転数と、高速用モータ11によるリングギヤ35の回転に起因する(プラネタリキャリヤ36の)出力回転数との和となる。ここで、高速用モータ11によるリングギヤ35の回転に起因する出力回転数Ngrは、次の式(2)によって表すことができる。
【数2】

上式(2)において、Nhmは高速用モータ11の回転数を表し、Z1は高速モータ用歯車16の歯数を表し、Z2はリングギヤ連結歯車17の歯数を表す。
【0043】
上述のように、高速走行モードにおける総出力回転数Nghは、リングギヤ35の回転に起因する出力回転数Ngrと、サンギヤ34の回転に起因する出力回転数Ngsとの和となる。なお、上記出力回転数Ngsは上式(1)における回転数Ngと同じである。したがって、高速走行モードにおける総出力回転数Nghは、次に式(3)によって表すことができる。
【数3】

【0044】
さらに、各遊星歯車機構18および19の減速比R1およびR2をともに“5”とし、各歯車16および17の歯数Z1およびZ2を同じ値(つまり、Z1/Z2=1)とし、各モータ11および12の回転数を等しいと仮定すると、低速走行モードおよび高速走行モードの出力回転数NglおよびNghは次の式(4)および(5)によって表すことができる。
【数4】

【数5】

上式(5)より、上記仮定の場合には、高速走行モードにおいては低速走行モードの21倍の速度比を得ることが可能となる。
【0045】
なお、制御部は、リングギヤ制動用ブレーキ14(および各モータ11および12)を制御することによって、上記低速走行モードと高速走行モードとの間の切換動作を行う。ここで、切換動作は、ユーザ(オペレータ)による操作によって行われてもよいし、所定の条件が満たされたことに応じて制御部が自動的に行うようにしてもよい。
【0046】
また、高速走行モードで走行中の機体(アスファルトフィニッシャ1)を停止させる場合には、リングギヤ制動用ブレーキ14が用いられる。すなわち、機体を制動するための所定の制御指令があった場合、制御部は高速用モータ11を停止するとともに、リングギヤ制動用ブレーキ14を作動させる。したがって、機体は、高速用モータ11の回生とリングギヤ制動用ブレーキ14による制動とによって停止される。これによれば、2つの制動手段によって高速走行時における走行停止を効果的に行うことができる。また、変速切り換えに用いられるリングギヤ制動用ブレーキ14を走行停止用にも用いるので、走行停止用のブレーキを別途設ける必要が無く、アスファルトフィニッシャ1の構成を簡易化することができる。一方、低速走行モードで走行中の機体を停止させる場合、制御部は低速用モータ12を停止する。低速走行モードでは抵抗が大きいので、低速用モータ12を停止することで機体を十分停止させることができる。ただし、他の実施形態においては走行停止用のブレーキを別途設けるようにしてもよい。例えば、アスファルトフィニッシャ1は、低速用モータ12の出力軸の回転を制動可能な制動部(ブレーキ)をさらに備えていてもよい。この制動部は、例えば低速用モータ12と第1遊星歯車機構18との間に設けられる。制御部は、ユーザ(オペレータ)の操作に応じて制御される。つまり、低速走行時において、ユーザは、上記制動部を用いてアスファルトフィニッシャ1を停止させることができる。また、制動部が正作動のブレーキである場合には負作動のブレーキである場合に比べてブレーキの操作性(フィーリング)を向上することができる。例えば、アスファルトフィニッシャ1の運転席に設けられるフットペダルによって上記制動部が制御されることによって、ユーザは操作を容易に行うことができる。
【0047】
また、駐停車時には、負作動である停止保持ブレーキユニット15によってアスファルトフィニッシャ1の停止が維持される。本実施形態によれば、第1遊星歯車機構18の出力側(出力軸)に停止保持用の制動部が設けられるので、簡易かつ信頼性の高い停止保持構造を実現することができる。
【0048】
以上のように、第1の実施形態によれば、低速走行モードと高速走行モードとの間で大きな速度比を実現することが可能となる。ここで、アスファルトフィニッシャ等の道路舗装機械においては、一般的に、施行時の走行速度と回送時の走行速度との間の速度比として10倍程度の速度比が要求される。第1の実施形態によれば、このような要求を満たすことができるので、本実施形態における走行機構はホイール式の道路舗装機械に好適である。
【0049】
また、第1の実施形態によれば、遊星歯車機構を用いて変速を行うことによって、変速を円滑に行うことができる。さらに、第1の実施形態においては、油圧システムを用いない構成を採ることも可能であるので、そのような構成を採る場合には、油漏れ等のリスクの無い安全な道路舗装機械を提供することができる。
【0050】
また、第1の実施形態によれば、後述する第2の実施形態と比べるとクラッチを必要としない構成であるので、クラッチの制御が不要であるので制御部による制御が容易になるとともに、クラッチのメンテナンス等も不要であるので道路舗装機械の維持管理が容易になる。
【0051】
なお、上記第1の実施形態においては、第1遊星歯車機構18の前段に第2遊星歯車機構19を設け、低速用モータ12の回転力を2段の減速機構によって減速して出力する構成としている。このように、減速機構を2段とすることによって、速度比が大きい変速機構の実現を容易にしている。なお、他の実施形態においては、第2の遊星歯車機構19に代えて(または第2の遊星歯車機構19とともに)他の減速機構が用いられてもよい。また、第1遊星歯車機構18によって十分な速度比を得ることができれば、第2遊星歯車機構19を設けない構成としてもよい。
【0052】
また、上記第1の実施形態においては、高速走行モードにおいては高速用モータ11および低速用モータ12の両方が駆動するものとしたが、他の実施形態においては、高速用モータ11のみが駆動してもよい。
【0053】
また、上記第1の実施形態においては、高速用モータ11の回転力が第1遊星歯車機構18のリングギヤ35に入力され、プラネタリキャリヤ36の出力回転力が駆動輪に伝達された。ここで、他の実施形態においては、変速機構13は、高速用モータ11の回転力が第1遊星歯車機構18のプラネタリキャリヤ36に入力され、リングギヤ35の出力回転力が駆動輪に伝達される構成であってもよい。このような構成によれば、プラネタリキャリヤ36の固定状態と回転可能状態とを切り換えることによって、上記第1の実施形態と同様に変速を行うことができる。ただし、この場合、サンギヤ34に対する入力回転方向とリングギヤ35の出力回転方向とが逆になる点、および、サンギヤ34とプラネタリキャリヤ36との入力回転方向を逆にする点に留意する。
【0054】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態に係るアスファルトフィニッシャについて図面を参照して説明する。なお、第2の実施形態においてもアスファルトフィニッシャの外観構成については図1と同様であるので説明を省略する。また、以下における第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成要素には第1の実施形態と同じ参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0055】
(走行機構の構成)
図4は、第2の実施形態に係るアスファルトフィニッシャの走行機構を示す図である。また、図5は、図4に示す第1遊星歯車機構18等の詳細な構成を示す図である。図4および図5に示すように、アスファルトフィニッシャは、モータ51、変速機構52、リングギヤ制動用ブレーキ14、停止保持ブレーキユニット15を備えている。また、変速機構52は、モータ連結歯車53、クラッチ54、サンギヤ連結歯車55、高速モータ用歯車16、リングギヤ連結歯車17、第1遊星歯車機構18、歯車軸20、デフ伝達歯車56および57、ならびにデファレンシャルギヤ58を備えている。
【0056】
図4および図5に示すように、第2の実施形態では、アスファルトフィニッシャは1つのモータ51を備えている。モータ51は電動モータであるとするが、油圧モータであってもよい。モータ連結歯車53は、モータ51の出力回転軸に接続される。クラッチ54は、モータ連結歯車53および高速モータ用歯車16に接続されており、モータ51の回転力を高速モータ用歯車16へ伝達/切断することが可能である。なお、クラッチ54の種類(機構や動力源)は、どのような方式のものであってもよい。以上より、クラッチ54が繋がれている場合には、モータ51の回転は、モータ連結歯車53および高速モータ用歯車16を介して第1遊星歯車機構18のリングギヤ35に伝達される。
【0057】
図5に示すように、モータ連結歯車53はサンギヤ連結歯車55と噛み合っている。サンギヤ連結歯車55は、第1遊星歯車機構18のサンギヤ34に接続されている。したがって、モータ51の回転は、モータ連結歯車53およびサンギヤ連結歯車55を介して第1遊星歯車機構18のサンギヤ34に伝達される。第2の実施形態においては、各歯車53および55が、モータ51による回転力を減速してサンギヤ34へ伝達する減速機構として機能する。
【0058】
また、図4に示すように、第1遊星歯車機構18の出力である歯車軸20は、デフ伝達歯車56および57を介してデファレンシャルギヤ58のデフ歯車59に接続されている。すなわち、歯車軸20はデフ伝達歯車56に噛み合っており、デフ伝達歯車56に連結されるデフ伝達歯車57がデフ歯車59に噛み合っている。なお、第2の実施形態では製造の容易化等の観点で各歯車の径を小さくするべく、デフ伝達歯車56および57を用いる構成を採っているが、第1の実施形態と同様、デフ伝達歯車56および57を用いずに歯車軸20がデフ歯車59に噛み合う構成としてもよい。また、第2の実施形態では、第1の実施形態におけるデファレンシャルギヤ21による減速比と、第2の実施形態におけるデフ伝達歯車56および57ならびにデファレンシャルギヤ58による減速比とは同等であるとする。
【0059】
なお、第2の実施形態におけるデファレンシャルギヤ58から駆動輪までの機構については第1の実施形態と同様である。また、第2の実施形態における停止保持ブレーキユニット15の構成についても第1の実施形態と同様である。
【0060】
(走行機構の動作)
第2実施形態においても第1の実施形態と同様、アスファルトフィニッシャは、低速走行モードおよび高速走行モードでの走行が可能である。以下、低速走行モードおよび高速走行モードにおける走行機構の動作をそれぞれ説明する。
【0061】
まず、低速走行モードにおいては、制御部は、モータ51を駆動するとともに、クラッチ54を切り、リングギヤ制動用ブレーキ14を作動させる。これによって、モータ51の回転力は高速モータ用歯車16には伝達されず、高速モータ用歯車16は固定される。つまり、第1遊星歯車機構18のリングギヤ35は固定される。一方、モータ51の回転力は、モータ連結歯車53およびサンギヤ連結歯車55を介して第1遊星歯車機構18のサンギヤ34に伝達される。したがって、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様、低速走行モードにおいては、第1遊星歯車機構18のサンギヤ34が入力となり、プラネタリキャリヤ36が出力となる。
【0062】
以上より、低速走行モードにおいては、第1遊星歯車機構18が減速機構として機能するとともに、モータ連結歯車53およびサンギヤ連結歯車55によって回転数が調整される。したがって、低速走行モードにおける第1遊星歯車機構18の出力回転数(プラネタリキャリヤ36の回転数)Nglは、次の式(6)によって表すことができる。
【数6】

上式(6)において、Nmはモータ51の回転数を表し、Zaはモータ連結歯車53の歯数を表し、Zbはサンギヤ連結歯車55の歯数を表している。
【0063】
高速走行モードにおいては、制御部は、モータ51を駆動するとともに、クラッチ54を繋ぎ、リングギヤ制動用ブレーキ14を作動させない。これによって、モータ51の回転力は高速モータ用歯車16に伝達され、モータ51によって第1遊星歯車機構18のリングギヤが回転する。一方、高速走行モードにおいても低速走行モードと同様、モータ51の回転力は第1遊星歯車機構18のサンギヤ34に伝達される。したがって、高速走行モードにおいては、第1遊星歯車機構18のプラネタリキャリヤ36は、サンギヤ34およびリングギヤ35によって回転されるので、低速走行モードよりも高速で回転することになり、高速走行が実現される。なお、ここでは、サンギヤ34およびリングギヤ35は同じ方向に回転するものとする。
【0064】
以上より、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様、高速走行モードにおいては、第1遊星歯車機構18の総出力回転数は、サンギヤ34の回転に起因する出力回転数と、リングギヤ35の回転に起因する出力回転数との和となる。ここで、リングギヤ35の回転に起因する出力回転数Ngrは、第1の実施形態における式(2)と同様に、次の式(7)によって表すことができる。
【数7】

また、サンギヤ34の回転に起因する出力回転数Ngsは、上式(6)における回転数Ngと同じである。したがって、高速走行モードにおける総出力回転数Nghは、次に式(8)によって表すことができる。
【数8】

【0065】
さらに、第1の実施形態において仮定した条件と同様、第1遊星歯車機構18の減速比R1を“5”とし、各歯車16および17の歯数Z1およびZ2を同じ値(つまり、Z1/Z2=1)と仮定すると、低速走行モードおよび高速走行モードの出力回転数NglおよびNghは次の式(9)および(10)によって表すことができる。
【数9】

【数10】

上式(9)および(10)より、第2の実施形態においても第1の実施形態と同等の速度比を得ることができることがわかる。具体的には、上式(9)および(10)において、例えば“Za/Zb=1/3”(つまり減速比が3)となるように各歯車53および55の歯数を設定すれば、速度比は13倍となり、例えば“Za/Zb=1/4”(つまり減速比が4)となるように各歯車53および55の歯数を設定すれば、速度比は17倍となる。したがって、第2の実施形態においては、各歯車53および55の歯数を適切に設定することによって、第1の実施形態と同等の速度比を得ることができ、道路舗装機械に要求される速度比を十分満たすことができる。
【0066】
なお、制御部は、リングギヤ制動用ブレーキ14およびクラッチ54の動作を制御することによって、上記低速走行モードと高速走行モードとの間の切換動作を行う。ここで、切換動作は、ユーザ(オペレータ)による操作によって行われてもよいし、所定の条件が満たされたことに応じて制御部が自動的に行うようにしてもよい。
【0067】
また、走行中の機体(アスファルトフィニッシャ)を停止させる動作に関しては、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様である。すなわち、高速走行モードで走行中の機体を停止させる場合、制御部はモータ51を停止するとともに、リングギヤ制動用ブレーキ14を作動させる。また、低速走行モードで走行中の機体を停止させる場合、制御部はモータ51を停止する。
【0068】
以上のように、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様、低速走行モードと高速走行モードとの間で大きな速度比を実現することが可能となる。また、第1の実施形態と同様、遊星歯車機構を用いて変速を行うことによって、変速を円滑に行うことができる。なお、第2の実施形態においてはクラッチ54が設けられるが、このクラッチ54を仮に油圧により駆動するとしても、上述の特許文献2に記載の技術のように遊星歯車機構にクラッチを設ける構成ではないので、油漏れ等のリスクの低い安全な建設機械を提供することができる。さらに、上記第2の実施形態によれば、駆動源を1つのモータによって実現することができるので道路舗装機械の構成を簡易化することができる。
【0069】
なお、第2の実施形態においては、第1遊星歯車機構18の前段にモータ連結歯車53およびサンギヤ連結歯車55を設けている。これによって、第1の実施形態と同様、モータの回転力を2段の減速機構によって減速して出力する構成とし、速度比が大きい変速機構の実現を容易にしている。ここで、他の実施形態においては、上記歯車53および55に代えて(または上記歯車53および55とともに)、遊星歯車機構等の他の減速機構が用いられてもよい。また、第1遊星歯車機構18によって十分な速度比を得ることができれば、第1遊星歯車機構18の前段に減速機構を設けない構成としてもよい。
【0070】
また、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様、第1遊星歯車機構18のリングギヤ35とプラネタリキャリヤ36との役割を入れ替えてもよい。すなわち、モータ51の回転力が第1遊星歯車機構18のプラネタリキャリヤ36に入力され、リングギヤ35の出力回転力が駆動輪に伝達される構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明は、変速を円滑かつ安全に行うこと等を目的として、アスファルトフィニッシャ、リペーバ、およびリミキサ等の、道路を舗装する道路舗装機械に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 アスファルトフィニッシャ
5 後輪
11 高速用モータ
12 低速用モータ
13 変速機構
14 リングギヤ制動用ブレーキ
15 停止保持ブレーキユニット
16 高速モータ用歯車
17 リングギヤ連結歯車
18 第1遊星歯車機構
19 第2遊星歯車機構
20 歯車軸
21 デファレンシャルギヤ
23 デフ歯車
34 第1遊星歯車機構のサンギヤ
35 第1遊星歯車機構のリングギヤ
36 第1遊星歯車機構のプラネタリキャリヤ
41 第3遊星歯車機構
51 モータ
52 変速機構
53 モータ連結歯車
54 クラッチ
55 サンギヤ連結歯車
56 デフ伝達歯車
57 デフ伝達歯車
58 デファレンシャルギヤ
59 デフ歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
前記駆動源によって回転可能な回転部材と、
前記回転部材の回転を制動可能な第1制動部と、
前記駆動源による回転力がサンギヤに入力され、前記回転部材の回転がリングギヤおよびプラネタリキャリヤのいずれか一方に入力される遊星歯車機構と、
前記リングギヤおよびプラネタリキャリヤのいずれか他方の回転を駆動輪に伝達する伝達部と、
前記遊星歯車機構の出力側に設けられ、当該出力側における回転を制動可能な負作動の第2制動部とを備え、
前記制動部が前記回転部材を固定するとともに前記駆動源が前記サンギヤを回転させる第1状態と、前記第1制動部が前記回転部材を回転可能とするとともに前記駆動源が前記回転部材を回転させる第2状態とを切り換えることによって変速を行う、道路舗装機械。
【請求項2】
前記駆動源は、前記回転部材を回転させる第1モータと、前記サンギヤを回転させる第2モータとを有し、
前記第1状態においては前記第2モータが駆動し、前記第2状態においては前記第1モータが少なくとも駆動し、
前記第1モータの出力軸の回転を制動可能な正作動の第3制動部をさらに備える、請求項1に記載の道路舗装機械。
【請求項3】
前記第2モータによる回転力を減速して前記サンギヤへ伝達する減速機構をさらに備える、請求項2に記載の道路舗装機械。
【請求項4】
前記駆動源は、回転力が前記サンギヤへ伝達されるモータを有し、
前記モータの回転力を前記回転部材へ伝達可能なクラッチをさらに備え、
前記クラッチは、前記第2状態においては前記モータの回転力を前記回転部材へ伝達し、前記第1状態においては前記モータから前記回転部材への回転力の伝達を切断するように制御される、請求項1に記載の道路舗装機械。
【請求項5】
前記モータによる回転力を減速して前記サンギヤへ伝達する減速機構をさらに備える、請求項4に記載の道路舗装機械。
【請求項6】
前記第1制動部は、前記第2状態において、前記道路舗装機械を制動するための所定の制御指令があった場合、前記回転部材の回転を制動する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の道路舗装機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−112236(P2012−112236A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204610(P2011−204610)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000235163)範多機械株式会社 (26)
【Fターム(参考)】