道路補修用のロードヒータ装置
【課題】 アスファルトの切削廃材を作業現場から安全に運搬できる道路補修用のロードヒータ装置の提供と、路面加熱温度の低下を少なくしてアスファルトの切削作業をする道路補修用のロードヒータ装置の提供。
【解決手段】 切削した廃材を工事現場外に運搬するダンプトラック(14)と、アスファルト舗装路面を加熱してアスファルト舗装路体を柔らかくするロードヒータ装置と、柔らかくなったアスファルト舗装路面を切削する切削機(6)とで、隊列を組んで道路補修を行うための道路補修用のロードヒータ装置において、前記ロードヒータ装置には切削作業方向に延びて廃材を移送する中継コンベア(12)が装着され、その中継コンベア(12)の反切削作業方向の後部(10b)上方にホッパ(24)が装着されている。
【解決手段】 切削した廃材を工事現場外に運搬するダンプトラック(14)と、アスファルト舗装路面を加熱してアスファルト舗装路体を柔らかくするロードヒータ装置と、柔らかくなったアスファルト舗装路面を切削する切削機(6)とで、隊列を組んで道路補修を行うための道路補修用のロードヒータ装置において、前記ロードヒータ装置には切削作業方向に延びて廃材を移送する中継コンベア(12)が装着され、その中継コンベア(12)の反切削作業方向の後部(10b)上方にホッパ(24)が装着されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト舗装路面を切削した廃材を工事現場外に運搬するためのダンプトラックと、アスファルト舗装路面を加熱してアスファルトを柔らかくする道路補修用のロードヒータ装置と、柔らかくなったアスファルト舗装路面を切削する切削機とで、ダンプトラック、道路補修用のロードヒータ装置、切削機の順序で工事路線内に隊列を組んで道路補修を行うための道路補修用のロードヒータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事におけるアスファルト舗装路面の切削作業及びそれに引き続き実施される補修作業等は、供用されている道路の補修工事として実施されることが多いため、一般的には工事区域として臨時に規制された範囲の中で行われる。図3〜図6は、その状態を示したものである。
【0003】
図3及び図4に例を示すように、アスファルト舗装路面の切削作業は、切削廃材を道路Lの外部に運搬するダンプトラック14と、アスファルト舗装路面を切削する切削機械6とで、前後の縦隊列を組んで行われる。符合Fは、切削作業方向を示しており、切削作業方向Fは一般車両2の走行進行方向と同じである。
【0004】
図3において、切削機械6は、明示しない原動機を搭載した車体6aと、車体6aの下部に設けられた前後のクローラ7、7と、車体6aの下部に設けられてアスファルとを切削するアスファルト切削装置8と、車体6aの上部に設けられたベルトコンベア10とで構成されている。
このようなダンプトラック14と切削機械6の隊列で、切削機械6の切削装置8によって工事区域D(図4参照)から切削された切削廃材を、ベルトコンベア10によってダンプトラック14の荷台に移送する。
【0005】
所定量の切削廃材がダンプトラック14の荷台に積込まれると、ダンプトラック14は隊列を離れて前進走行して、切削廃材を道路Lの外部に運搬する。切削廃材を道路Lの外部に運搬した空積みのダンプトラック14は、隊列の後方から先頭に位置して、再度隊列を組んで切削作業を再開する。
【0006】
一般の道路では、特定する車線を工事区域として通行止めにして、その規制された中で工事が行われる。図4及び図5では、道路Lの工事用の規制車線Wを工事車線とし、車線Rを走行車線にした例である。
【0007】
また高速道路では走行車線、追越し車線の二車線のうち片側を通行止めにして、工事が行われる。
切削作業に使用される切削機械6は、前記のように、切削した廃材を回収してダンプトラック14に積込むベルトコンベア10が装備されているものが多い。
【0008】
前記のように、通常は、このベルトコンベア10による積込みは切削作業方向の先頭に配置されたダンプトラック14の荷台に行われる。
これは廃材の積込みが完了したダンプトラック14が工事区域から走り去るときに、図5に示すように、規制されている車線から、横方向の隣の車線Rではなく、工事用の規制車線Wの延長方向に工事区域から出ることが出来るようにするためである。
【0009】
これは、図6に示すように、工事用の規制車線Wから外に出るダンプトラック14と一般車両2との接触を防ぐための方策である。
特に高速道路では工事区域の隣の車線Rの速度を規制していても、その規制速度に構わずに高速で走行する車両が多く、そのような状況のもとで廃材を満載して加速性に劣る状態にあるダンプトラック14を工事用の規制車線Wの横方向から隣の走行車線Rに出すことは非常に危険であることによる。
【0010】
常温で実施されるアスファルト舗装路面の切削作業では、強固な状態の舗装をアスファルト切削装置8(図3参照)のロータ8a(図7参照)を高速回転させ、それに取付けられた多数のビット8b(超硬の刃)の衝撃によりアスファルト舗装路面15のアスファルト舗装路体16を細かく破砕して削り取るので、舗装の骨材の多くをも破砕してしまい、切削した廃材の再利用に支障を来たすことになる。
【0011】
そのような不具合を回避するために、切削作業の前にアスファルト舗装路面15を加熱するためのロードヒータ装置を導入し、アスファルト舗装路体16を柔らかくすることによりビット8bの衝撃を緩和し、骨材の破砕を回避する方法も取られている。
【0012】
図8は、ロードヒータ装置1の一例を示している。
ロードヒータ装置1は、図示しない自走用のエンジンと、運転席21と、前後のタイヤ22、22と、アスファルト舗装路面15を加熱するヒータユニット25とで構成されている。図中Tは温度計である。図8における符号Fはロードヒータ装置1の走行進行方向である。
【0013】
ヒータユニット25は、熱風炉26で600〜700℃に加熱された熱風が、ダクト27内の複数のノズル28によってアスファルト舗装路面15を加熱するようになっている。アスファルト舗装路面15を加熱し温度が低下した熱風は、フード29を経て熱風炉26に戻るようになっている。符号Tは施工条件によって異なる加熱温度を管理するための温度センサであり、符号25cは温度制御装置である。その他の加熱装置は例えば赤外線ヒータ等を用いる場合もある。
【0014】
上記の従来技術の問題点を以下に示す。
切削機6の前方にロードヒータ装置1を配置する場合、2通りの組み合わせがあるが、それぞれに問題点がある。
【0015】
1) ロードヒータ装置1、ダンプトラック14、切削機6の順に並べる。
図9及び図10がこの隊列を示している。
この隊列では、切削廃材を積むためのダンプトラック14は、ロードヒータ装置1と切削機6の間に挟まれるため、積み込み完了後には規制車線Wの横方向から隣の走行車線Rに出ざるを得ないため、高速道路での作業の場合、危険が伴う。
また、ロードヒータ装置1が加熱したアスファルト舗装路面15上にダンプトラック14が配置されるので、加熱作業と切削作業の間にタイムラグが生じ、切削時には加熱された路面温度が低下してしまい効率的な作業が出来ない。
【0016】
2) ロードヒータ装置1、切削機6、ダンプトラック14の順に並べる。
図11は、下記する積込み機13を加えた隊列を示している。
このロードヒータ装置1、切削機6、ダンプトラック14の隊列では、ロードヒータ装置1がアスファルト舗装路面15を加熱した後、すぐに切削作業が出来るため、加熱されたアスファルト舗装路体16の温度低下が少なく効率的な作業が出来る。
しかし切削機6の進行方向直前にロードヒータ装置1が配置されるため、切削機6のベルトコンベアによる切削廃材のダンプトラック14への積込みが出来ず、切削廃材は後方に垂れ流されるしかない。
【0017】
その対策として、図11のような、別の積込み機13でダンプトラック14へ積込まなければならず、余計な機械が必要になるばかりか、積込み完了後のダンプトラック14は、図10の例と同様に、規制車線Wの横方向から隣の車線Rに出ざるを得なくなる。
【0018】
舗装道路を補修するための切削技術は各種が公示されている(例えば、特許文献1、2及び3)。
しかし、上記特許文献1の技術は、亀裂などが入った表層の補修部分を効率よく剥離する技術である。また、上記特許文献2の技術は、アスファルト舗装面を垂直に切断した切断面をテーパー状に研磨して、アスファルト接続面での剥離を長期間にわたって防止する技術である。また、上記特許文献3の技術は、路面塗料を削除するに際して、騒音や振動及び粉埃の発生を低減させるとともに、回転切削工具の耐久性を高める技術である。
上記技術は、いずれも、後記する本発明の課題である切削廃材を作業現場から安全に運搬するための対策にはなっていない。
【特許文献1】特開平09−324404
【特許文献2】特開2003−328316
【特許文献3】特開2001−193012
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、アスファルトの切削廃材を作業現場から安全に運搬できる道路補修用のロードヒータ装置の提供を目的としている。また、加熱したアスファルト路面の温度の低下を少なくしてアスファルトの切削作業を効率よく行う道路補修用のロードヒータ装置の提供を別の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の道路補修用のロードヒータ装置(1)は、アスファルト舗装路面を切削した廃材を工事現場外に運搬するダンプトラック(14)と、アスファルト舗装路面を加熱してアスファルトを柔らかくするロードヒータ装置(1)と、柔らかくなったアスファルト舗装路面を切削する切削機(6)とで、ダンプトラック(14)、道路補修用のロードヒータ装置(1)、切削機(6)の順序で工事路線(W)内に隊列を組んで、道路補修を行うための道路補修用のロードヒータ装置(1)において、前記ロードヒータ装置(1)には切削作業方向に延びて廃材を移送するための中継コンベア(12)が装着され、その中継コンベア(12)の反切削作業方向の後部(10b)上方にホッパ(24)が装着されている。
上記において、切削作業方向とは、切削作業を進める方向と同じ方向を言う。
【発明の効果】
【0021】
以上の本発明の道路補修用のロードヒータ装置によれば、下記の優れた効果を奏する。
(a) ロードヒータ装置には、切削作業方向に延びて廃材を移送する中継コンベアが装着されているので、隊列の先頭に位置するダンプトラックに廃材を移送することができて、ダンプトラックは隣接路線に入ることなく工事路線内を前進走行して安全に廃材を運搬できる。
(b) ロードヒータ装置が切削機の前に位置しているので、ロードヒータ装置で加熱されたアスファルト舗装路面の温度低下がなく切削作業ができ、切削作業が効率的に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の道路補修用ロードヒータ装置1の実施形態を示している。
図1において、ロードヒータ装置1は、図示しない自走用のエンジンと、車体1aと、運転席21と、前後のタイヤ22、22と、アスファルト舗装路面15を加熱するヒータユニット25と、中継コンベア12(図2参照)とで主要部が構成されている。符号Fは、ロードヒータ装置1の切削前進方向であり、道路補修作業の進行方向でもある。
【0023】
ロードヒータ装置1は、図2に示すような、ダンプトラック14、ロードヒータ装置1、ベルトコンベア付きの切削機6、の組合せと隊列で機能するようになっている。
【0024】
図1に示すように、ロードヒータ装置1には、車体1aの上部にホッパ24が設けられている。ホッパ24は、車体1aの前後方向のほぼ中央部に、後続する切削機6のベルトコンベア10から移送される切削廃材を受取り、中継コンベア12に投入できる高さ位置に設けられている。
【0025】
ホッパ24の下部に、中継コンベア12の後部12bが位置している。中継コンベア12の前後方向の中央前部に、リンク12cを介してシリンダ23のピストン部23aが取り付けられている。シリンダ23の端部は、車体1aの前端部1cに上下動自在に取り付けられていて、シリンダ23の伸縮によって、中継コンベア12が後部12bを中心にして上下動するように構成されている。
【0026】
中継コンベア12の先端部12aは、先頭位置に停止しているダンプトラック14の荷台14aの先端部14b(図2参照)にとどく長さに構成されている。
【0027】
ヒータユニット25は、加熱炉で加熱された熱風がノズル28から噴射されて、アスファルト舗装路面15を通常600〜700℃の任意、所定の温度で加熱するように構成されている。その機能と構成は、前記図8で示した従来のヒータユニット25と同じである。
【0028】
運転席21は、走行運転のほか、中継コンベア12の操作及びヒータユニット25を運転手によって操作できるように構成されている。
【0029】
図2を参照して、上記構成のロードヒータ装置1を中央に配置して、切削前進方向の先頭に配置されたダンプトラック14は、従来技術で説明した(図3参照)ダンプトラック14と同じである。
また、ロードヒータ装置1に後続して配置された切削機6も、従来技術で説明した(図3参照)切削機6と同じである。
【0030】
上記構成のロードヒータ装置1の作用を、図2によって説明する。
最初に、補修すべきアスファルト舗装路面15の工事路線W(図4参照)に、図2に示す隊列を形成する。即ち、ダンプトラック14、ロードヒータ装置1及び、切削機6の順序に配置する。
ついで、切削機6のベルトコンベア10の先端部10aを、ロードヒータ装置1のホッパ24の上部に位置するように切削機6を配置する。
【0031】
ついで、ロードヒータ装置1の中継コンベア12の先端部12aが、ダンプトラック14の荷台14aの上部の適宜の高さに位置するように、ダンプトラック14の前後位置を調整する。
【0032】
ついで、アスファルト舗装路面15はアスファルト舗装路体16で構成されており、そのアスファルト舗装路体16の切削作業を行う。ロードヒータ装置1のヒータユニット25によって、アスファルト舗装路面15を加熱し、切削機6によってアスファルト舗装路体16を切削する。切削廃材は、ベルトコンベア10によってロードヒータ装置1のホッパ24に投入される。
【0033】
切削作業位置の前進に伴って、切削機6とロードヒータ装置1は共に前進する。
ホッパ24から排出された切削廃材は、中継コンベア12によってダンプトラック14の荷台14aの上に移送して積み込まれる。
【0034】
荷台14aに積み込まれた切削廃材が所定の量になったときに、ダンプトラック14は隊列を離れて、工事路線Wを切削方向に前進して、道路外に切削廃材を運搬する(図5参照)。ダンプトラック14が隊列を離れた段階で、切削機6はアスファルト舗装路体16の切削を一旦休止する。
【0035】
切削廃材を運搬するダンプトラック14が隊列を離れたときに、待機する別のダンプトラック14が隊列に入って、切削機6のアスファルト舗装路体16の切削が再開される。
このようにして、切削廃材を運搬するダンプトラック14の走行の安全が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の道路補修用ロードヒータ装置の側面図。
【図2】道路補修用ロードヒータ装置が配置された道路補修装置の隊列を示す側面図。
【図3】従来の道路補修の隊列の一例を示す側面図。
【図4】図3の上面図
【図5】道路補修の隊列からダンプトラックが隊列を離れて同じ路線を前進走行する状態を示す上面図。
【図6】道路補修の隊列からダンプトラックが隊列を離れて別路線に進入する危険な状態を示す上面図。
【図7】破砕ロータの斜視図。
【図8】従来のロードヒータ装置の側面図。
【図9】ロードヒータ装置を含む従来の道路補修の隊列を示す側面図。
【図10】ロードヒータ装置を含む従来の道路補修の隊列からダンプトラックが隊列を離れて別路線に進入する危険な状態を示す上面図。
【図11】ロードヒータ装置を含む従来の道路補修の隊列の別例を示す側面図。
【符号の説明】
【0037】
R・・・・・・走行路線
W・・・・・・工事(規制)路線
1・・・・・・ロードヒータ装置
1a・・・・・車体
2・・・・・・一般車両
6・・・・・・切削機
6a・・・・・車体
8a・・・・・ロータ
10・・・・・ベルトコンベア
12・・・・・中継コンベア
14・・・・・ダンプトラック
15・・・・・アスファルト舗装路面
16・・・・・アスファルト舗装路体
22・・・・・タイヤ
21・・・・・運転席
23・・・・・シリンダ
24・・・・・ホッパ
25・・・・・ヒータユニット
26・・・・・熱風炉
28・・・・・ノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト舗装路面を切削した廃材を工事現場外に運搬するためのダンプトラックと、アスファルト舗装路面を加熱してアスファルトを柔らかくする道路補修用のロードヒータ装置と、柔らかくなったアスファルト舗装路面を切削する切削機とで、ダンプトラック、道路補修用のロードヒータ装置、切削機の順序で工事路線内に隊列を組んで道路補修を行うための道路補修用のロードヒータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事におけるアスファルト舗装路面の切削作業及びそれに引き続き実施される補修作業等は、供用されている道路の補修工事として実施されることが多いため、一般的には工事区域として臨時に規制された範囲の中で行われる。図3〜図6は、その状態を示したものである。
【0003】
図3及び図4に例を示すように、アスファルト舗装路面の切削作業は、切削廃材を道路Lの外部に運搬するダンプトラック14と、アスファルト舗装路面を切削する切削機械6とで、前後の縦隊列を組んで行われる。符合Fは、切削作業方向を示しており、切削作業方向Fは一般車両2の走行進行方向と同じである。
【0004】
図3において、切削機械6は、明示しない原動機を搭載した車体6aと、車体6aの下部に設けられた前後のクローラ7、7と、車体6aの下部に設けられてアスファルとを切削するアスファルト切削装置8と、車体6aの上部に設けられたベルトコンベア10とで構成されている。
このようなダンプトラック14と切削機械6の隊列で、切削機械6の切削装置8によって工事区域D(図4参照)から切削された切削廃材を、ベルトコンベア10によってダンプトラック14の荷台に移送する。
【0005】
所定量の切削廃材がダンプトラック14の荷台に積込まれると、ダンプトラック14は隊列を離れて前進走行して、切削廃材を道路Lの外部に運搬する。切削廃材を道路Lの外部に運搬した空積みのダンプトラック14は、隊列の後方から先頭に位置して、再度隊列を組んで切削作業を再開する。
【0006】
一般の道路では、特定する車線を工事区域として通行止めにして、その規制された中で工事が行われる。図4及び図5では、道路Lの工事用の規制車線Wを工事車線とし、車線Rを走行車線にした例である。
【0007】
また高速道路では走行車線、追越し車線の二車線のうち片側を通行止めにして、工事が行われる。
切削作業に使用される切削機械6は、前記のように、切削した廃材を回収してダンプトラック14に積込むベルトコンベア10が装備されているものが多い。
【0008】
前記のように、通常は、このベルトコンベア10による積込みは切削作業方向の先頭に配置されたダンプトラック14の荷台に行われる。
これは廃材の積込みが完了したダンプトラック14が工事区域から走り去るときに、図5に示すように、規制されている車線から、横方向の隣の車線Rではなく、工事用の規制車線Wの延長方向に工事区域から出ることが出来るようにするためである。
【0009】
これは、図6に示すように、工事用の規制車線Wから外に出るダンプトラック14と一般車両2との接触を防ぐための方策である。
特に高速道路では工事区域の隣の車線Rの速度を規制していても、その規制速度に構わずに高速で走行する車両が多く、そのような状況のもとで廃材を満載して加速性に劣る状態にあるダンプトラック14を工事用の規制車線Wの横方向から隣の走行車線Rに出すことは非常に危険であることによる。
【0010】
常温で実施されるアスファルト舗装路面の切削作業では、強固な状態の舗装をアスファルト切削装置8(図3参照)のロータ8a(図7参照)を高速回転させ、それに取付けられた多数のビット8b(超硬の刃)の衝撃によりアスファルト舗装路面15のアスファルト舗装路体16を細かく破砕して削り取るので、舗装の骨材の多くをも破砕してしまい、切削した廃材の再利用に支障を来たすことになる。
【0011】
そのような不具合を回避するために、切削作業の前にアスファルト舗装路面15を加熱するためのロードヒータ装置を導入し、アスファルト舗装路体16を柔らかくすることによりビット8bの衝撃を緩和し、骨材の破砕を回避する方法も取られている。
【0012】
図8は、ロードヒータ装置1の一例を示している。
ロードヒータ装置1は、図示しない自走用のエンジンと、運転席21と、前後のタイヤ22、22と、アスファルト舗装路面15を加熱するヒータユニット25とで構成されている。図中Tは温度計である。図8における符号Fはロードヒータ装置1の走行進行方向である。
【0013】
ヒータユニット25は、熱風炉26で600〜700℃に加熱された熱風が、ダクト27内の複数のノズル28によってアスファルト舗装路面15を加熱するようになっている。アスファルト舗装路面15を加熱し温度が低下した熱風は、フード29を経て熱風炉26に戻るようになっている。符号Tは施工条件によって異なる加熱温度を管理するための温度センサであり、符号25cは温度制御装置である。その他の加熱装置は例えば赤外線ヒータ等を用いる場合もある。
【0014】
上記の従来技術の問題点を以下に示す。
切削機6の前方にロードヒータ装置1を配置する場合、2通りの組み合わせがあるが、それぞれに問題点がある。
【0015】
1) ロードヒータ装置1、ダンプトラック14、切削機6の順に並べる。
図9及び図10がこの隊列を示している。
この隊列では、切削廃材を積むためのダンプトラック14は、ロードヒータ装置1と切削機6の間に挟まれるため、積み込み完了後には規制車線Wの横方向から隣の走行車線Rに出ざるを得ないため、高速道路での作業の場合、危険が伴う。
また、ロードヒータ装置1が加熱したアスファルト舗装路面15上にダンプトラック14が配置されるので、加熱作業と切削作業の間にタイムラグが生じ、切削時には加熱された路面温度が低下してしまい効率的な作業が出来ない。
【0016】
2) ロードヒータ装置1、切削機6、ダンプトラック14の順に並べる。
図11は、下記する積込み機13を加えた隊列を示している。
このロードヒータ装置1、切削機6、ダンプトラック14の隊列では、ロードヒータ装置1がアスファルト舗装路面15を加熱した後、すぐに切削作業が出来るため、加熱されたアスファルト舗装路体16の温度低下が少なく効率的な作業が出来る。
しかし切削機6の進行方向直前にロードヒータ装置1が配置されるため、切削機6のベルトコンベアによる切削廃材のダンプトラック14への積込みが出来ず、切削廃材は後方に垂れ流されるしかない。
【0017】
その対策として、図11のような、別の積込み機13でダンプトラック14へ積込まなければならず、余計な機械が必要になるばかりか、積込み完了後のダンプトラック14は、図10の例と同様に、規制車線Wの横方向から隣の車線Rに出ざるを得なくなる。
【0018】
舗装道路を補修するための切削技術は各種が公示されている(例えば、特許文献1、2及び3)。
しかし、上記特許文献1の技術は、亀裂などが入った表層の補修部分を効率よく剥離する技術である。また、上記特許文献2の技術は、アスファルト舗装面を垂直に切断した切断面をテーパー状に研磨して、アスファルト接続面での剥離を長期間にわたって防止する技術である。また、上記特許文献3の技術は、路面塗料を削除するに際して、騒音や振動及び粉埃の発生を低減させるとともに、回転切削工具の耐久性を高める技術である。
上記技術は、いずれも、後記する本発明の課題である切削廃材を作業現場から安全に運搬するための対策にはなっていない。
【特許文献1】特開平09−324404
【特許文献2】特開2003−328316
【特許文献3】特開2001−193012
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、アスファルトの切削廃材を作業現場から安全に運搬できる道路補修用のロードヒータ装置の提供を目的としている。また、加熱したアスファルト路面の温度の低下を少なくしてアスファルトの切削作業を効率よく行う道路補修用のロードヒータ装置の提供を別の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の道路補修用のロードヒータ装置(1)は、アスファルト舗装路面を切削した廃材を工事現場外に運搬するダンプトラック(14)と、アスファルト舗装路面を加熱してアスファルトを柔らかくするロードヒータ装置(1)と、柔らかくなったアスファルト舗装路面を切削する切削機(6)とで、ダンプトラック(14)、道路補修用のロードヒータ装置(1)、切削機(6)の順序で工事路線(W)内に隊列を組んで、道路補修を行うための道路補修用のロードヒータ装置(1)において、前記ロードヒータ装置(1)には切削作業方向に延びて廃材を移送するための中継コンベア(12)が装着され、その中継コンベア(12)の反切削作業方向の後部(10b)上方にホッパ(24)が装着されている。
上記において、切削作業方向とは、切削作業を進める方向と同じ方向を言う。
【発明の効果】
【0021】
以上の本発明の道路補修用のロードヒータ装置によれば、下記の優れた効果を奏する。
(a) ロードヒータ装置には、切削作業方向に延びて廃材を移送する中継コンベアが装着されているので、隊列の先頭に位置するダンプトラックに廃材を移送することができて、ダンプトラックは隣接路線に入ることなく工事路線内を前進走行して安全に廃材を運搬できる。
(b) ロードヒータ装置が切削機の前に位置しているので、ロードヒータ装置で加熱されたアスファルト舗装路面の温度低下がなく切削作業ができ、切削作業が効率的に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の道路補修用ロードヒータ装置1の実施形態を示している。
図1において、ロードヒータ装置1は、図示しない自走用のエンジンと、車体1aと、運転席21と、前後のタイヤ22、22と、アスファルト舗装路面15を加熱するヒータユニット25と、中継コンベア12(図2参照)とで主要部が構成されている。符号Fは、ロードヒータ装置1の切削前進方向であり、道路補修作業の進行方向でもある。
【0023】
ロードヒータ装置1は、図2に示すような、ダンプトラック14、ロードヒータ装置1、ベルトコンベア付きの切削機6、の組合せと隊列で機能するようになっている。
【0024】
図1に示すように、ロードヒータ装置1には、車体1aの上部にホッパ24が設けられている。ホッパ24は、車体1aの前後方向のほぼ中央部に、後続する切削機6のベルトコンベア10から移送される切削廃材を受取り、中継コンベア12に投入できる高さ位置に設けられている。
【0025】
ホッパ24の下部に、中継コンベア12の後部12bが位置している。中継コンベア12の前後方向の中央前部に、リンク12cを介してシリンダ23のピストン部23aが取り付けられている。シリンダ23の端部は、車体1aの前端部1cに上下動自在に取り付けられていて、シリンダ23の伸縮によって、中継コンベア12が後部12bを中心にして上下動するように構成されている。
【0026】
中継コンベア12の先端部12aは、先頭位置に停止しているダンプトラック14の荷台14aの先端部14b(図2参照)にとどく長さに構成されている。
【0027】
ヒータユニット25は、加熱炉で加熱された熱風がノズル28から噴射されて、アスファルト舗装路面15を通常600〜700℃の任意、所定の温度で加熱するように構成されている。その機能と構成は、前記図8で示した従来のヒータユニット25と同じである。
【0028】
運転席21は、走行運転のほか、中継コンベア12の操作及びヒータユニット25を運転手によって操作できるように構成されている。
【0029】
図2を参照して、上記構成のロードヒータ装置1を中央に配置して、切削前進方向の先頭に配置されたダンプトラック14は、従来技術で説明した(図3参照)ダンプトラック14と同じである。
また、ロードヒータ装置1に後続して配置された切削機6も、従来技術で説明した(図3参照)切削機6と同じである。
【0030】
上記構成のロードヒータ装置1の作用を、図2によって説明する。
最初に、補修すべきアスファルト舗装路面15の工事路線W(図4参照)に、図2に示す隊列を形成する。即ち、ダンプトラック14、ロードヒータ装置1及び、切削機6の順序に配置する。
ついで、切削機6のベルトコンベア10の先端部10aを、ロードヒータ装置1のホッパ24の上部に位置するように切削機6を配置する。
【0031】
ついで、ロードヒータ装置1の中継コンベア12の先端部12aが、ダンプトラック14の荷台14aの上部の適宜の高さに位置するように、ダンプトラック14の前後位置を調整する。
【0032】
ついで、アスファルト舗装路面15はアスファルト舗装路体16で構成されており、そのアスファルト舗装路体16の切削作業を行う。ロードヒータ装置1のヒータユニット25によって、アスファルト舗装路面15を加熱し、切削機6によってアスファルト舗装路体16を切削する。切削廃材は、ベルトコンベア10によってロードヒータ装置1のホッパ24に投入される。
【0033】
切削作業位置の前進に伴って、切削機6とロードヒータ装置1は共に前進する。
ホッパ24から排出された切削廃材は、中継コンベア12によってダンプトラック14の荷台14aの上に移送して積み込まれる。
【0034】
荷台14aに積み込まれた切削廃材が所定の量になったときに、ダンプトラック14は隊列を離れて、工事路線Wを切削方向に前進して、道路外に切削廃材を運搬する(図5参照)。ダンプトラック14が隊列を離れた段階で、切削機6はアスファルト舗装路体16の切削を一旦休止する。
【0035】
切削廃材を運搬するダンプトラック14が隊列を離れたときに、待機する別のダンプトラック14が隊列に入って、切削機6のアスファルト舗装路体16の切削が再開される。
このようにして、切削廃材を運搬するダンプトラック14の走行の安全が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の道路補修用ロードヒータ装置の側面図。
【図2】道路補修用ロードヒータ装置が配置された道路補修装置の隊列を示す側面図。
【図3】従来の道路補修の隊列の一例を示す側面図。
【図4】図3の上面図
【図5】道路補修の隊列からダンプトラックが隊列を離れて同じ路線を前進走行する状態を示す上面図。
【図6】道路補修の隊列からダンプトラックが隊列を離れて別路線に進入する危険な状態を示す上面図。
【図7】破砕ロータの斜視図。
【図8】従来のロードヒータ装置の側面図。
【図9】ロードヒータ装置を含む従来の道路補修の隊列を示す側面図。
【図10】ロードヒータ装置を含む従来の道路補修の隊列からダンプトラックが隊列を離れて別路線に進入する危険な状態を示す上面図。
【図11】ロードヒータ装置を含む従来の道路補修の隊列の別例を示す側面図。
【符号の説明】
【0037】
R・・・・・・走行路線
W・・・・・・工事(規制)路線
1・・・・・・ロードヒータ装置
1a・・・・・車体
2・・・・・・一般車両
6・・・・・・切削機
6a・・・・・車体
8a・・・・・ロータ
10・・・・・ベルトコンベア
12・・・・・中継コンベア
14・・・・・ダンプトラック
15・・・・・アスファルト舗装路面
16・・・・・アスファルト舗装路体
22・・・・・タイヤ
21・・・・・運転席
23・・・・・シリンダ
24・・・・・ホッパ
25・・・・・ヒータユニット
26・・・・・熱風炉
28・・・・・ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト舗装路面を切削した廃材を工事現場外に運搬するためのダンプトラックと、アスファルト舗装路面を加熱してアスファルトを柔らかくする道路補修用のロードヒータ装置と、柔らかくなったアスファルト舗装路面を切削する切削機とで、ダンプトラック、道路補修用のロードヒータ装置、切削機の順序で工事路線内に隊列を組んで道路補修を行うための道路補修用のロードヒータ装置において、前記道路補修用のロードヒータ装置には切削作業方向に延びて廃材を移送するための中継コンベアが装着され、その中継コンベアの反切削作業方向の後部上方にホッパが装着されていることを特徴とする道路補修用のロードヒータ装置。
【請求項1】
アスファルト舗装路面を切削した廃材を工事現場外に運搬するためのダンプトラックと、アスファルト舗装路面を加熱してアスファルトを柔らかくする道路補修用のロードヒータ装置と、柔らかくなったアスファルト舗装路面を切削する切削機とで、ダンプトラック、道路補修用のロードヒータ装置、切削機の順序で工事路線内に隊列を組んで道路補修を行うための道路補修用のロードヒータ装置において、前記道路補修用のロードヒータ装置には切削作業方向に延びて廃材を移送するための中継コンベアが装着され、その中継コンベアの反切削作業方向の後部上方にホッパが装着されていることを特徴とする道路補修用のロードヒータ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−52259(P2009−52259A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219212(P2007−219212)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000181354)鹿島道路株式会社 (46)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000181354)鹿島道路株式会社 (46)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]