道路設備
【課題】通行帯を分離するための車線分離部材を必要に応じて道路から簡単に取り外すことができる道路設備を提供する。
【解決手段】道路に上面4が露出した状態で設置される側溝ブロック2と、前記道路上における通行帯を分離するために立設した状態となる車線分離部材3とを備えている。側溝ブロック2には、上面に開口したスリット5及び当該スリット5と連続し内部で拡大した空間部6を有している排水溝7が長手方向に形成されている。前記車線分離部材3は、当該車線分離部材3の本体部31の下に設けられ、スリット5を通過可能な状態と、空間部6に位置しかつスリット5を通過不能な状態とに切り替えられる固定部32を有している。
【解決手段】道路に上面4が露出した状態で設置される側溝ブロック2と、前記道路上における通行帯を分離するために立設した状態となる車線分離部材3とを備えている。側溝ブロック2には、上面に開口したスリット5及び当該スリット5と連続し内部で拡大した空間部6を有している排水溝7が長手方向に形成されている。前記車線分離部材3は、当該車線分離部材3の本体部31の下に設けられ、スリット5を通過可能な状態と、空間部6に位置しかつスリット5を通過不能な状態とに切り替えられる固定部32を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行帯を分離することが可能な道路設備に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者の歩行と自転車の走行との安全確保を目的として、道路を歩行者通行帯と自転車通行帯とに構造的に分離することが行われている。また、自転車と自動車との走行の安全確保を目的として、道路を自転車通行帯と自動車通行帯とに分離する場合もある。このように通行帯を分離するために、従来では、道路に分離柵や車線分離標を設置する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
分離柵や車線分離標は、道路の側縁から幅方向に所定の間隔をあけて設置されている。そして、分離柵や車線分離標を挟んで一方側が例えば歩行者通行帯となり、他方側が自転車通行帯となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−120577号公報(図1参照)
【特許文献2】特開平8−158319号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分離柵や車線分離標を道路に設置するために、分離柵が有する支柱や車線分離標の下部を地面に固定している。例えば分離柵の場合では、分離柵が有する支柱の下部を地面に埋設していて、特許文献2に示しているような車線分離標の場合では、アンカーによって地面に固定している。しかし、分離柵や車線分離標によって分離された歩行者通行帯の工事が後に必要となり、歩行者通行帯を迂回させる切り回しを行う場合、地面に固定された分離柵や車線分離標を一時的に撤去する作業が困難となる。
また、災害発生等の緊急時に、前記分離柵等によって自動車通行帯と分離した自転車通行帯を、緊急自動車用の通行帯に変更する必要がある場合、やはり、分離柵等を撤去する作業が困難となる。このように、従来の構造では、通行帯の改変に容易に対応することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、通行帯を分離するための部材を必要に応じて簡単に取り外すことができる道路設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の道路設備は、道路に上面が露出した状態で設けられると共に、当該上面に開口したスリット及び当該スリットと連続し内部で拡大した空間部を有している排水溝が長手方向に形成された溝ブロックと、前記道路上において通行帯を分離するために立設した状態となる車線分離部材とを備え、前記車線分離部材は、当該車線分離部材の本体部の下に設けられ、前記スリットを通過可能な状態と、前記空間部に位置しかつ前記スリットを通過不能な状態と、に切り替えられる固定部を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、例えば道路上の雨水は、溝ブロックが有している排水溝内に流れることができ、当該排水溝に沿って流れることができるので、溝ブロックは、道路に設置されることで道路の排水に利用される。
そして、このような排水機能を有する溝ブロックが、通行帯の分離を意図する境界に沿って設けられることで、当該溝ブロックによって、通行帯を分離するための車線分離部材を立設した状態とすることができ、さらに、この車線分離部材を簡単に道路から取り外すことのできる構造が得られる。すなわち、車線分離部材の本体部の下に設けられている固定部は、前記スリットを通過可能な状態(着脱可能状態)と、前記空間部に位置しかつ前記スリットを通過不能な状態(取り付け状態)とに切り替えられるので、前記取り付け状態とすれば、当該固定部は溝ブロックから抜け出ることができず、車線分離部材は溝ブロック上に立設した状態に維持される。そして、前記着脱可能状態とすれば、前記固定部はスリットから抜け出ることができ、車線分離部材を溝ブロックから容易に取り外すことが可能となる。
【0008】
また、前記スリットは、前記溝ブロックの長手方向の両端面でスリット幅が拡大して開口しているのが好ましい。
複数の前記溝ブロックを長手方向に連続して並べて設けた状態で、スリットから清掃用の棒を挿し入れ、清掃棒をスリットに沿って移動させながら排水溝を清掃する場合がある。この場合、隣り合う溝ブロックの端面同士が幅方向に少しずれていると、清掃棒が次の溝ブロックの端面で引っかかるおそれがある。しかし、前記構成によれば、スリットは端面でスリット幅が拡大して開口しているので、清掃棒の引っかかりを抑制することが可能となる。
【0009】
また、前記溝ブロックの上面は、前記道路の路面と同一面を構成する第一面と、この第一面よりも低く形成され前記スリットが開口している第二面とを有し、前記溝ブロックは、前記第一面と前記第二面との間に形成される段差部とほぼ同じ高さを有し、かつ、前記第二面上に載せられる蓋部材を有しているのが好ましい。
この場合、第二面上に蓋部材を設置することができ、排水溝のスリットを隠すことができる。そして、蓋部材は前記段差部とほぼ同じ高さを有しているので、この蓋部材を設置しても、蓋部材の上面と前記第一面とをほぼ同一面に構成ことが可能となる。この結果、蓋部材が設置された溝ブロックは、路面と同一面を形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通行帯を分離するための車線分離部材を立設させる溝ブロックは、排水機能を備えることができ、しかも、必要に応じて車線分離部材を道路から容易に取り外すことができる。このため、通行帯の改変に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】舗装道路に設置された本発明の道路設備の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】側溝ブロックの斜視図及び左右側面図である。
【図3】車線分離部材の説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】車線分離部材を側溝ブロックに固定する方法についての説明図であり、(a)は固定前の状態、(b)は固定後の状態を示している。
【図5】車線分離部材を側溝ブロックに固定する方法についての説明図であり、(a)は断面を含む側面図であり、(b)はロック機構の平面図である。
【図6】車線分離部材を側溝ブロックに固定する方法についての説明図であり、(a)は断面を含む側面図であり、(b)はロック機構の平面図である。
【図7】車線分離部材を側溝ブロックに固定する方法についての説明図であり、(a)は断面を含む側面図であり、(b)はロック機構の平面図である。
【図8】車線分離部材を側溝ブロックに固定する方法についての説明図であり、(a)は断面を含む側面図であり、(b)はロック機構の平面図である。
【図9】隣り合う側溝ブロックの連結部を示している平面図である。
【図10】舗装道路に設置された道路設備の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図11】側溝ブロック(その1)を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図12】側溝ブロックの上面の形状が、図2に示した側溝ブロック(その1)と異なる形態の断面図である。
【図13】排水溝の形状が、図2に示した側溝ブロック(その1)と異なる形態の断面図である。
【図14】排水溝が有しているスリットの長手方向の形状が、図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の平面図及び断面図である。
【図15】コーナー部材の説明図である。
【図16】側溝桝の説明図である。
【図17】側溝ブロックの別の使用例を説明する斜視図である。
【図18】図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第一の実施の形態〕
図1は、舗装道路10に設置された本発明の道路設備1の実施の一形態を示す斜視図である。舗装道路10は、縁石ブロック15によって車両通行帯11と歩行者通行帯12とが構造的に分離されている。そして、前記車両通行帯11は、本発明の道路設備1によって自転車通行帯14と自動車通行帯13とに構造的に分離されている。
車両通行帯11は、路盤11a上に不透水層11bを敷設すると共に、この不透水層11bの上に透水機能を有する排水層11cを施工することによって構成されている。排水層11cを浸透した雨水は、縁石ブロック15の下方に設けられた集水ブロック17に集水され、集水ブロック17内に形成された水路17aによって排水される。
【0013】
前記道路設備1は、車両通行帯11に設置されている側溝ブロック2と、車線分離部材とを備えている。なお、以下において、車線分離部材をポール(車線分離標)3として説明する。なお、車線分離部材は、円柱形状のポール3以外であってもよく、壁状の部材であってもよい。側溝ブロック2は、車両通行帯11の車両走行方向(縦断方向)に沿って上面4が露出した状態で、道路に埋設されている。なお、側溝ブロック2は、通行帯の分離を意図する境界に沿って設けられる。
各側溝ブロック2の全体形状は、一方向に長い直方体に形成されている。側溝ブロック2は、車両通行帯11の側縁11dから幅方向に所定の間隔をあけて設置されていて、複数の側溝ブロック2が縦断方向に連続して並んで設置されている。そして、各側溝ブロック2には、排水溝7が形成されている。排水溝7は、車両通行帯11の路面11e上の雨水を排水することができる。つまり、側溝ブロック2は、車両通行帯11の平面集水ドレンとして機能する。図2(a)は側溝ブロック2の斜視図であり、図2(b)(c)は側溝ブロック2の左右側面図である。なお、側溝ブロック2は長手方向に同じ断面形状であり、横断面の輪郭形状は、左側面図の輪郭形状と同じとなる。
【0014】
図2において、側溝ブロック2は、例えば、地先境界ブロック(JIS A 5371)と同じ寸法(幅150mm、高さ150mm、長さ600mm)を有している。側溝ブロック2に形成されている前記排水溝7は、上面4に開口したスリット5、及び、このスリット5の下部と連続していて当該側溝ブロック2の内部で拡大している空間部6を有している。排水溝7は、側溝ブロック2の長手方向に沿って、一端面8から他端面9にわたって連続して形成されている。
側溝ブロック2は、コンクリート製であり、排水溝7が形成されているが、前記地先境界ブロックと同等の強度を有している。具体的にはT−25の活荷重に耐えることができる。
【0015】
スリット5は、上面4の幅方向中央部で開口していて、また、スリット5は、空間部6で開口している。図2の実施の形態では、スリット5は空間部6に向かってスリット幅が拡大するように形成されている。
空間部6は、縦長の長円形の断面を有していて、スリット5(の下開口端)よりも特に幅方向に拡大するように形成されている。この実施の形態では、空間部6の幅は70mm、高さは90mmであり、直径φ80の水路と同等(同等以上)の断面積を有している。
【0016】
この実施の形態の側溝ブロック2の上面4は、前記車両通行帯11(図1参照)の路面11eと同一面を構成する第一面4aと、この第一面4aよりも低く形成されスリット5が開口している第二面4bとを有している。このため、側溝ブロック2の上面4には、第一面4aと第二面4bとの間に段差部4cが形成されている。
そして、側溝ブロック2は蓋部材20を有していて、蓋部材20は、前記段差部4cとほぼ同じ厚さ(高さ)を有し、第二面4b上に載せられる。さらに、蓋部材20は、スリット5を含めた左右の第二面4b,4bの合計と同じ幅寸法を有していて、その上面20aは平坦面となっている。
【0017】
また、蓋部材20は、所望の長さに設定することができ、例えば図1において、隣り合うポール3,3の間に設置する長さを有している(なお、図1では、蓋部材20を省略している)。この際、集水機能を有するように部分的にスリット5を露出させるのがよい。
このように、側溝ブロック2の上面4のうちの第二面4b上に蓋部材20を設置することで、排水溝7のスリット5を隠すことが可能となる。そして、蓋部材20は段差部4cとほぼ同じ厚さを有しているので、蓋部材20の上面20aと第一面4aとをほぼ同一面にすることが可能となる。この結果、蓋部材20が設置された側溝ブロック2は、車両通行帯11の路面11eと同一面を形成することが可能となり、路面11eに段差が生じることを防止することができる。なお、蓋部材20は、ポール3を使用しない場合であっても、単独で使用することができる。
【0018】
図3は前記ポール3の説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。ポール3は、車両通行帯11(図1参照)を自転車通行帯14と自動車通行帯13とに構造的に分離するためのものであり、側溝ブロック2から立設した状態となる。ポール3は、道路の縦断方向に沿って所定の間隔を有して設置されている。これにより、並んだ複数のポール3よりも側縁11d側が、自転車通行帯14となり、その反対である道路中央側が、自動車通行帯13となる。
【0019】
ポール3は、柱状の本体部31と、この本体部13を側溝ブロック2に固定するための固定部32とを有している。また、ポール3は、本体部31の下面から下方へ突出し、下端部に固定部32を取り付けている軸部34を有している。これにより固定部32は、ポール3の本体部31の下に設けられた構成となる。
前記本体部31は、例えば樹脂製であり可撓性を有している。可撓性を有することで、仮に自転車がポール3に衝突しても、衝撃力を和らげることができ安全である。本体部31の高さ寸法Hは、例えば600mm〜700mmである。本体部31はその下部に、下方に拡大しているベース部33を有している。ポール3を側溝ブロック2に固定した状態で、ベース部33の下面板(下面部材)33aが、側溝ブロック2の上面4に当接した状態となる。
【0020】
図4は、ポール3の下部及び側溝ブロック2を示していて、ポール3を側溝ブロック2に固定する方法についての説明図であり、(a)は固定前の状態、(b)は固定後の状態を示している。
図4(a)において、前記軸部34は、下面板33aを挿通していて上下方向に移動可能である。軸部34の上部に止め板35が取り付けられていて、止め板35と下面板33aとの間にバネ36が設けられている。バネ36は、止め板35を下面板33aから引き離す方向に付勢していて、軸部34及び固定部32を引き上げる方向に付勢している。後述するロック機構37によってバネ36は圧縮した状態に維持されている。
【0021】
また、軸部34は、本体部31に対して、ポール3の軸線C回りに回転することができるようになっている。実施の形態の場合、下面板33aと止め板35との間で圧縮変形しているバネ36が介在していることにより、軸部34及び固定部32を回転方向に拘束していない状態で、本体部31を軸線C回りに回転させると、本体部31と一体となって軸部34及び固定部32も回転する。しかし、バネ36は、捻り方向(軸線C回りの回転方向)に弾性変形が自在であることから、軸部34及び固定部32を回転方向に拘束した状態とすれば、本体部31を軸線C回りに回転させても、本体部31のみが回転し、軸部34及び固定部32は回転しないようにすることができる。
【0022】
また、軸部34の途中部には、軸直交方向に突出している突出部34aが形成されている。一方、下面板33aには、この突出部34aに係合可能な爪部33bが形成されている。軸部34及び固定部32は金属製からなる。これら突出部34a及び爪部33bによって、前記ロック機構部37が構成されている。
突出部34aと爪部33bとが係合している状態で、バネ36は圧縮された状態に維持されている。そして、前記のとおり、軸部34及び固定部32を回転方向に拘束した状態で、本体部31を軸線C回りに回転させると、爪部33baから突出部34aは離脱することができる。離脱すると、バネ36の復元力によって、軸部34は軸線C方向の上方(ポール3の上端へ向かう方向)へ移動し、固定部32と下面板33aとは接近した状態となる。
【0023】
図3(a)において、固定部32は、軸部34から分岐して横方向に延びている棒状の部材からなり、側溝ブロック2の空間部6を形成している上壁面6a(図4(a)参照)に近似している円弧形状を有している。固定部32の厚さ寸法tは、図4(a)に示しているように、側溝ブロック2のスリット5の幅寸法よりも小さく、当該スリット5を通過可能な値に設定されている。なお、軸部34の直径は、固定部32の厚さ寸法tと同じ乃至当該厚さ寸法tよりも小さく設定されている。このため、固定部32の幅方向が排水溝7の長手方向に平行となる状態とすれば(着脱可能状態)、図5(a)に示しているように、固定部32はスリット5を通過して空間部6に位置することができる。
【0024】
この状態で、図6(a)に示しているように、本体部31を90°回転させ軸部34も一体的に回転させると、固定部32は、空間部6で軸線C回りに90°回転する。つまり、固定部32の幅方向と、排水溝7の長手方向とを直交させる。この状態で説明すると、固定部32の幅寸法Wは、スリット5の幅寸法よりも大きく、スリット5を通過不能な値に設定されている。この状態では、固定部32はスリット5から抜け出ることができない。すなわち、固定部32は、スリット5を通過可能な状態(着脱可能状態)から、空間部6に位置しかつスリット5を通過不能な状態(取り付け状態)に切り替えられる。なお、固定部32の幅寸法Wは、空間部6の幅寸法よりも小さく設定されている。なお、図5及び図6の状態では、軸部34の突出部34aと爪部33bとは係合した状態にある。
【0025】
そして、図7(a)に示しているように、本体部31が側溝ブロック2の上面4から離れるように持ち上げられると、固定部32は空間部6の上壁面6aに接触しかつ上壁面6aを押圧した状態となり、この状態では、固定部32及び軸部34は、軸線C方向及び軸線C回りの回転方向に拘束された状態となる。また、バネ36はさらに圧縮弾性変形し、軸部34の突出部34aが爪部33bから軸線C方向に離れ、さらに、この状態で、本体部31を軸線C回りに回転させると、図8(b)に示しているように、軸部34の突出部34aと爪部33bとは回転方向についても離反した状態となる。この状態で、本体部31の軸方向の拘束を解除すると、図4(b)に示しているように、バネ36は復元力によって伸び、下面板33aを側溝ブロック2の上面4に押し付けた状態となる。そして、固定部32はスリット5から抜け出ることができない状態(取り付け状態)となる。また、バネ36の押し付け力によって、ポール3は、側溝ブロック2の上から立設した姿勢に維持される。これにより、ポール3を側溝ブロック2に簡単に取り付けることができる。
【0026】
一方、このポール3を側溝ブロック2から取り外すためには、本体部31を軸線C方向に引き上げ(図8(a))、本体部31を90°回転させて、軸部34の突出部34aと爪部33bと係合させた状態とする(図7(a)参照)。そして、本体部31と共に軸部34及び固定部32を90°回転させ、固定部32の幅方向を排水溝7の長手方向に平行とすれば(図5(a))、固定部32はスリット5を通過することができる。すなわち、固定部32は、空間部6に位置しかつスリット5を通過不能な状態(取り付け状態)から、スリット5を通過可能な状態(着脱可能状態)に切り替えられる。これにより、ポール3を側溝ブロック2から簡単に取り外すことができる。
【0027】
以上のような側溝ブロック2及びポール3を備えた道路設備1によれば、車両通行帯11に設置された複数の側溝ブロック2の内の、排水溝7が形成されている所望の部位に、ポール3を容易に取り付けることが可能となる。また、一時的に、このポール3を取り外すことができ、また、その作業は簡単である。
そして、この側溝ブロック2が、その長手方向を道路の縦断方向として複数連続して道路に設置されているので、これら側溝ブロック2内の排水溝7を道路の排水のために用いることができる。
【0028】
また、図9は、隣り合って設置された側溝ブロック2,2の連結部を示している平面図である。各側溝ブロック2に設けられているスリット5は、その長手方向の両端面8,9でスリット幅Bが拡大するようにして開口している拡大開口部23を有している。すなわち、スリット5は、両端部を除けば、側溝ブロック2の長手方向全長にわたって同じ断面形状に形成されているが、両端部において、スリット5は幅方向に拡大している。
【0029】
このように端部を構成することで、側溝ブロック2の排水溝7の清掃が容易となる。すなわち、複数の側溝ブロック2を連続して設置した状態で、スリット5から清掃用の棒(図示せず)を挿し入れ、この清掃棒をスリット5に沿って移動させながら排水溝7を清掃する場合がある。この場合、隣り合う側溝ブロック2,2の端面8,9同士が、図9に示しているように、幅方向に少しずれて設置されていると(ずれ量e)、左側の側溝ブロック2の排水溝7に沿って清掃棒を右へ移動させながら清掃している場合、この清掃棒が隣の右側の側溝ブロック2の端面9で引っかかることが考えられるが、スリット5は端面9で幅が拡大するようにして開口しているので、清掃棒の引っかかりを抑制することが可能となる。これにより、複数が連続して並んで設置されている側溝ブロック2内の排水溝7の清掃が容易となる。
【0030】
〔第二の実施の形態〕
図10は、舗装道路10に設置された本発明の道路設備1の他の実施の形態を示す斜視図である。この舗装道路10は、縁石ブロック15によって歩道側と車両通行帯11とが構造的に分離されている。そして、歩道側は、本発明の道路設備1によって自転車通行帯14と歩行者通行帯12とに構造的に分離されている。
この実施の形態の道路設備1は、前記実施の形態と同様に、側溝ブロック2とポール3とを備えている。そして、側溝ブロック2は、道路の車両走行方向(縦断方向)に沿って上面4が露出した状態で埋設されている。側溝ブロック2の構成は、前記実施の形態と同じである。
【0031】
ポール3は、歩道側の道路を自転車通行帯14と歩行者通行帯12とに構造的に分離するためのものであり、側溝ブロック2から立設した状態となる。ポール3は、縦断方向に沿って所定の間隔を有して設置されている。これにより、複数が並んだポール3よりも自動車通行帯13側が、自転車通行帯14となり、その反対側が、歩行者通行帯12となる。ポール3の構成及び機能は、前記実施の形態と同じである。
【0032】
以上の各実施の形態の道路設備1によれば、舗装道路10上の雨水は、側溝ブロック2のスリット5を通じて空間部6へと流入することができ、さらに、排水溝7に沿って流れることができる。すなわち、これら側溝ブロック2が舗装道路10に設置されていることで道路の排水に利用される。また、側溝ブロック2において、表面に流水が存在しないので、歩行者の歩行等に都合がよい。
そして、ポール3の本体部31の下に設けられている固定部32は、側溝ブロック2のスリット5を通過可能な状態(着脱可能状態)と、側溝ブロック2の空間部6に位置しかつスリット5を通過不能な状態(取り付け状態)とに切り替えられるので、前記取り付け状態とすれば、固定部32は側溝ブロック2から抜け出ることができず、ポール3は側溝ブロック2上に立設した状態となることが可能となる。そして、前記着脱可能状態とすれば、前記固定部32はスリット5から抜け出ることができ、ポール3を側溝ブロック2から容易に取り外すことが可能となる。
すなわち、排水機能を有する側溝ブロック2が用いられて、通行帯を分離するためのポール3を立設することができ、さらに、ポール3を簡単に道路から取り外したり、取り付けたりすることができる。
【0033】
このため、例えば、歩行者通行帯12の工事が必要となり、歩行者通行帯12を迂回させる切り回しを行う場合であっても、ポール3を一時的に撤去する作業は容易である。そして、ポール3を撤去した状態では、側溝ブロック2の上面4と路面11eとは平坦となり、通行の障害とならない。
また、災害発生等の緊急時において、例えば複数のポール3によって自動車通行帯13と分離した自転車通行帯14を、緊急自動車用の通行帯に変更する必要がある場合であっても、ポール3を撤去する作業は容易となる。このように、本発明の構成によれば、通行帯の改変に容易に対応することができる。
【0034】
また、側溝ブロック2は、前記のとおり地先境界ブロック(JIS A 5371)と同じ寸法であり、小型とすることができ、施工断面が小さくて済む。そして、この側溝ブロック2に形成されている排水溝7(空間部6)は長円形断面であり、図示しないが皿形の側溝を有するブロックよりも、流速を上げることができ、掃流力を高くすることができる。すなわち、側溝ブロック2を「排水できる地先境界ブロック」とすることができる。
さらに、実施の形態の側溝ブロック2の幅寸法は、路面11eに道路管理者によって設けられる区画線の幅と同じである。そこで、この側溝ブロック2の上面4を区画線と同じ色(例えば白や橙)に色彩を施せば、側溝ブロック2は区画線を兼ねることができる。
【0035】
図11は、前記第一の実施の形態及び前記第二の実施の形態に係る側溝ブロック2(その1)を示していて、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。正面図と背面図とは対称となる。
図11に示している側溝ブロック2の端面9には、隣り合う他の側溝ブロック2と接続するための嵌め込み部26が形成されている。嵌め込み部26は凹部として形成されていて、この凹部に止水パッキンや目地モルタルが設けられる。
さらに、側溝ブロック2の上面4の端部には、高さが低くなるように形成された切り下げ部27が設けられている。切り下げ部27は、例えば幅が5mm程度であり、上面4の第一面4aから所定寸法(例えば20mm程度)低く形成されている。この切り下げ部27によれば、舗装道路10の路面11e(図1参照)が、側溝ブロック2の上面4よりも沈下しても、切り下げ部27から雨水を集水することができ、路面11eの滞水を抑制することができる。
【0036】
また、本発明は図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、例えば、ポール3の形状は変更可能であり、また、側溝ブロック2は、図示した側溝ブロック(その1)以外の形状であってもよい。
そこで、側溝ブロック2の他の形態を以下に示す。
【0037】
〔側溝ブロック2の他の形態〕
図12(a)〜(e)それぞれは、側溝ブロック2の上面4の形状が、図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の断面図である。
図13(f)〜(l)それぞれは、排水溝7の形状が、図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の断面図である。
図14(m)〜(p)それぞれは、排水溝7のスリット5の長手方向の形状が、図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の平面図である。つまり、スリット5は、全長ではなく部分的に設けられている。なお、図14(q)は、図14(m)〜(p)それぞれにおけるV矢視の断面図である。
なお、これら他の形態それぞれの右側面は、図2(c)に準ずる構成とすることができ、嵌め込み部26及び切り下げ部27が形成されていてもよい。又は、これら嵌め込み部26及び切り下げ部27を省略してもよく、この場合、右側面図と左側面図とは同一(又は対称)となる。
さらに、図18(r)〜(t)は、側溝ブロック2の形状が、図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の正面図及び側面図である。この場合、排水層11cを浸透した雨水を、側溝ブロック2側面に形成された溝、穴から排水溝7(空間部6)へ流すことができる。
【0038】
また、本発明の道路設備1は、前記各側溝ブロック2及びポール3の他に、図15(a)に示しているコーナー部材41を更に備えていてもよい。コーナー部材41は、対の側溝ブロック2,2を直角の配置として接続させるものである。図15(b)に示しているように、コーナー部材41には、平面視で直角に折れ曲がった断面U字型の溝42が形成されている。溝42の幅寸法は、側溝ブロック2の空間部6の幅寸法と同じに設定され、この溝42は空間部6と連続する。そして、溝42は上方に開口していて、蓋部材43によって塞がれている。
【0039】
また、本発明の道路設備1は、前記各側溝ブロック2及びポール3の他に、図16(a)に示しているように、側溝桝45を更に備えていてもよい。側溝桝45は、側溝ブロック2と連続して接続されるものである。図16(b)に示しているように、側溝桝45には、断面U字型の溝46が形成されている。この溝46の幅寸法は、側溝ブロック2の空間部6の幅寸法と同じに設定され、この溝46は空間部6と連続する。そして、溝46は上方に開口していて、蓋部材47によって塞がれている。
また、図16(c)に示しているように、側溝桝45には、壁45aの厚さ方向に貫通している溝48が形成されている。この溝48は、側溝ブロック2の排水溝7と同じ断面形状を有している。この溝48が形成されている壁45aに、別の側溝ブロック2(図16(a)において二点鎖線で示している)を接続することができる。なお、側溝桝45は前記溝48が省略されたものであってもよい。
【0040】
以上の各実施の形態の側溝ブロック2を、図17(a)に示しているように、排水性舗装道路10のドレンに用いることができる。すなわち、側溝ブロック2が、当該側溝ブロック2の上面と不透水層11bの上面とが同一面となるようにして、道路の側縁11dに設けられていて、この側溝ブロック2及び不透水層11bの上に排水層(排水性舗装)11cが施工されている。排水層11cを浸透した雨水を側溝ブロック2は下方集水することができ、排水溝7によって排水することができる。
【0041】
さらに、以上の各実施の形態の側溝ブロック2を、図17(b)に示しているように、小規模な道路側溝とすることができる。この場合、側溝ブロック2は、その上面4を道路に露出させた状態として設置される。従来、道路側溝として用いられている断面L形の側溝ブロックに比べて、排水性能は高く、施工性もよい。また、前記断面L形の側溝ブロックの場合、このブロックの表面を雨水が流れることから、車両乗り入れ用のスロープ39を当該側溝ブロックの上に設置すると、スロープ39によって雨水の流れが阻害されてしまう場合がある。しかし、本発明の側溝ブロック2によれば、スロープ39を側溝ブロック2上に設置しても、このスロープ39によって雨水の流れが阻害されてしまうことを防止することができる。
また、例えば駐車場等の平面集水用の道路側溝として、図17(c)に示しているように、従来ある皿型側溝50の代わりに、前記側溝ブロック2を設置することができる。この場合、表面に勾配部分や流水が存在しなくなるため、バリアフリー化が可能となる。また、排水溝7によって排水する流速を大きくすることができ、掃流力を大きくすることが可能となる。さらに、施工断面を小さくすることができる。
【0042】
また、前記実施形態では、側溝ブロック2を、その長手方向が道路の縦断方向と一致するようにして設ける場合を説明したが、これ以外として、図示しないが、側溝ブロック2を、その長手方向が道路の横断方向と一致するようにして設けてもよい。従来、道路を横断するように排水用の溝を設ける場合は、U字溝とグレーチングとを使用する場合がある。この場合、小規模であってもコストが高くなり、また、グレーチングのがたつきを防止する必要があり、清掃の面で手間がかかるおそれがある。しかし、前記側溝ブロック2によれば、これを解消することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 道路設備
2 側溝ブロック(溝ブロック)
3 ポール(車線分離部材)
4 上面
4a 第一面
4b 第二面
4c 段差部
5 スリット
6 空間部
7 排水溝
20 蓋部材
31 本体部
32 固定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行帯を分離することが可能な道路設備に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者の歩行と自転車の走行との安全確保を目的として、道路を歩行者通行帯と自転車通行帯とに構造的に分離することが行われている。また、自転車と自動車との走行の安全確保を目的として、道路を自転車通行帯と自動車通行帯とに分離する場合もある。このように通行帯を分離するために、従来では、道路に分離柵や車線分離標を設置する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
分離柵や車線分離標は、道路の側縁から幅方向に所定の間隔をあけて設置されている。そして、分離柵や車線分離標を挟んで一方側が例えば歩行者通行帯となり、他方側が自転車通行帯となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−120577号公報(図1参照)
【特許文献2】特開平8−158319号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分離柵や車線分離標を道路に設置するために、分離柵が有する支柱や車線分離標の下部を地面に固定している。例えば分離柵の場合では、分離柵が有する支柱の下部を地面に埋設していて、特許文献2に示しているような車線分離標の場合では、アンカーによって地面に固定している。しかし、分離柵や車線分離標によって分離された歩行者通行帯の工事が後に必要となり、歩行者通行帯を迂回させる切り回しを行う場合、地面に固定された分離柵や車線分離標を一時的に撤去する作業が困難となる。
また、災害発生等の緊急時に、前記分離柵等によって自動車通行帯と分離した自転車通行帯を、緊急自動車用の通行帯に変更する必要がある場合、やはり、分離柵等を撤去する作業が困難となる。このように、従来の構造では、通行帯の改変に容易に対応することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、通行帯を分離するための部材を必要に応じて簡単に取り外すことができる道路設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の道路設備は、道路に上面が露出した状態で設けられると共に、当該上面に開口したスリット及び当該スリットと連続し内部で拡大した空間部を有している排水溝が長手方向に形成された溝ブロックと、前記道路上において通行帯を分離するために立設した状態となる車線分離部材とを備え、前記車線分離部材は、当該車線分離部材の本体部の下に設けられ、前記スリットを通過可能な状態と、前記空間部に位置しかつ前記スリットを通過不能な状態と、に切り替えられる固定部を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、例えば道路上の雨水は、溝ブロックが有している排水溝内に流れることができ、当該排水溝に沿って流れることができるので、溝ブロックは、道路に設置されることで道路の排水に利用される。
そして、このような排水機能を有する溝ブロックが、通行帯の分離を意図する境界に沿って設けられることで、当該溝ブロックによって、通行帯を分離するための車線分離部材を立設した状態とすることができ、さらに、この車線分離部材を簡単に道路から取り外すことのできる構造が得られる。すなわち、車線分離部材の本体部の下に設けられている固定部は、前記スリットを通過可能な状態(着脱可能状態)と、前記空間部に位置しかつ前記スリットを通過不能な状態(取り付け状態)とに切り替えられるので、前記取り付け状態とすれば、当該固定部は溝ブロックから抜け出ることができず、車線分離部材は溝ブロック上に立設した状態に維持される。そして、前記着脱可能状態とすれば、前記固定部はスリットから抜け出ることができ、車線分離部材を溝ブロックから容易に取り外すことが可能となる。
【0008】
また、前記スリットは、前記溝ブロックの長手方向の両端面でスリット幅が拡大して開口しているのが好ましい。
複数の前記溝ブロックを長手方向に連続して並べて設けた状態で、スリットから清掃用の棒を挿し入れ、清掃棒をスリットに沿って移動させながら排水溝を清掃する場合がある。この場合、隣り合う溝ブロックの端面同士が幅方向に少しずれていると、清掃棒が次の溝ブロックの端面で引っかかるおそれがある。しかし、前記構成によれば、スリットは端面でスリット幅が拡大して開口しているので、清掃棒の引っかかりを抑制することが可能となる。
【0009】
また、前記溝ブロックの上面は、前記道路の路面と同一面を構成する第一面と、この第一面よりも低く形成され前記スリットが開口している第二面とを有し、前記溝ブロックは、前記第一面と前記第二面との間に形成される段差部とほぼ同じ高さを有し、かつ、前記第二面上に載せられる蓋部材を有しているのが好ましい。
この場合、第二面上に蓋部材を設置することができ、排水溝のスリットを隠すことができる。そして、蓋部材は前記段差部とほぼ同じ高さを有しているので、この蓋部材を設置しても、蓋部材の上面と前記第一面とをほぼ同一面に構成ことが可能となる。この結果、蓋部材が設置された溝ブロックは、路面と同一面を形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通行帯を分離するための車線分離部材を立設させる溝ブロックは、排水機能を備えることができ、しかも、必要に応じて車線分離部材を道路から容易に取り外すことができる。このため、通行帯の改変に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】舗装道路に設置された本発明の道路設備の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】側溝ブロックの斜視図及び左右側面図である。
【図3】車線分離部材の説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】車線分離部材を側溝ブロックに固定する方法についての説明図であり、(a)は固定前の状態、(b)は固定後の状態を示している。
【図5】車線分離部材を側溝ブロックに固定する方法についての説明図であり、(a)は断面を含む側面図であり、(b)はロック機構の平面図である。
【図6】車線分離部材を側溝ブロックに固定する方法についての説明図であり、(a)は断面を含む側面図であり、(b)はロック機構の平面図である。
【図7】車線分離部材を側溝ブロックに固定する方法についての説明図であり、(a)は断面を含む側面図であり、(b)はロック機構の平面図である。
【図8】車線分離部材を側溝ブロックに固定する方法についての説明図であり、(a)は断面を含む側面図であり、(b)はロック機構の平面図である。
【図9】隣り合う側溝ブロックの連結部を示している平面図である。
【図10】舗装道路に設置された道路設備の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図11】側溝ブロック(その1)を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図12】側溝ブロックの上面の形状が、図2に示した側溝ブロック(その1)と異なる形態の断面図である。
【図13】排水溝の形状が、図2に示した側溝ブロック(その1)と異なる形態の断面図である。
【図14】排水溝が有しているスリットの長手方向の形状が、図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の平面図及び断面図である。
【図15】コーナー部材の説明図である。
【図16】側溝桝の説明図である。
【図17】側溝ブロックの別の使用例を説明する斜視図である。
【図18】図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第一の実施の形態〕
図1は、舗装道路10に設置された本発明の道路設備1の実施の一形態を示す斜視図である。舗装道路10は、縁石ブロック15によって車両通行帯11と歩行者通行帯12とが構造的に分離されている。そして、前記車両通行帯11は、本発明の道路設備1によって自転車通行帯14と自動車通行帯13とに構造的に分離されている。
車両通行帯11は、路盤11a上に不透水層11bを敷設すると共に、この不透水層11bの上に透水機能を有する排水層11cを施工することによって構成されている。排水層11cを浸透した雨水は、縁石ブロック15の下方に設けられた集水ブロック17に集水され、集水ブロック17内に形成された水路17aによって排水される。
【0013】
前記道路設備1は、車両通行帯11に設置されている側溝ブロック2と、車線分離部材とを備えている。なお、以下において、車線分離部材をポール(車線分離標)3として説明する。なお、車線分離部材は、円柱形状のポール3以外であってもよく、壁状の部材であってもよい。側溝ブロック2は、車両通行帯11の車両走行方向(縦断方向)に沿って上面4が露出した状態で、道路に埋設されている。なお、側溝ブロック2は、通行帯の分離を意図する境界に沿って設けられる。
各側溝ブロック2の全体形状は、一方向に長い直方体に形成されている。側溝ブロック2は、車両通行帯11の側縁11dから幅方向に所定の間隔をあけて設置されていて、複数の側溝ブロック2が縦断方向に連続して並んで設置されている。そして、各側溝ブロック2には、排水溝7が形成されている。排水溝7は、車両通行帯11の路面11e上の雨水を排水することができる。つまり、側溝ブロック2は、車両通行帯11の平面集水ドレンとして機能する。図2(a)は側溝ブロック2の斜視図であり、図2(b)(c)は側溝ブロック2の左右側面図である。なお、側溝ブロック2は長手方向に同じ断面形状であり、横断面の輪郭形状は、左側面図の輪郭形状と同じとなる。
【0014】
図2において、側溝ブロック2は、例えば、地先境界ブロック(JIS A 5371)と同じ寸法(幅150mm、高さ150mm、長さ600mm)を有している。側溝ブロック2に形成されている前記排水溝7は、上面4に開口したスリット5、及び、このスリット5の下部と連続していて当該側溝ブロック2の内部で拡大している空間部6を有している。排水溝7は、側溝ブロック2の長手方向に沿って、一端面8から他端面9にわたって連続して形成されている。
側溝ブロック2は、コンクリート製であり、排水溝7が形成されているが、前記地先境界ブロックと同等の強度を有している。具体的にはT−25の活荷重に耐えることができる。
【0015】
スリット5は、上面4の幅方向中央部で開口していて、また、スリット5は、空間部6で開口している。図2の実施の形態では、スリット5は空間部6に向かってスリット幅が拡大するように形成されている。
空間部6は、縦長の長円形の断面を有していて、スリット5(の下開口端)よりも特に幅方向に拡大するように形成されている。この実施の形態では、空間部6の幅は70mm、高さは90mmであり、直径φ80の水路と同等(同等以上)の断面積を有している。
【0016】
この実施の形態の側溝ブロック2の上面4は、前記車両通行帯11(図1参照)の路面11eと同一面を構成する第一面4aと、この第一面4aよりも低く形成されスリット5が開口している第二面4bとを有している。このため、側溝ブロック2の上面4には、第一面4aと第二面4bとの間に段差部4cが形成されている。
そして、側溝ブロック2は蓋部材20を有していて、蓋部材20は、前記段差部4cとほぼ同じ厚さ(高さ)を有し、第二面4b上に載せられる。さらに、蓋部材20は、スリット5を含めた左右の第二面4b,4bの合計と同じ幅寸法を有していて、その上面20aは平坦面となっている。
【0017】
また、蓋部材20は、所望の長さに設定することができ、例えば図1において、隣り合うポール3,3の間に設置する長さを有している(なお、図1では、蓋部材20を省略している)。この際、集水機能を有するように部分的にスリット5を露出させるのがよい。
このように、側溝ブロック2の上面4のうちの第二面4b上に蓋部材20を設置することで、排水溝7のスリット5を隠すことが可能となる。そして、蓋部材20は段差部4cとほぼ同じ厚さを有しているので、蓋部材20の上面20aと第一面4aとをほぼ同一面にすることが可能となる。この結果、蓋部材20が設置された側溝ブロック2は、車両通行帯11の路面11eと同一面を形成することが可能となり、路面11eに段差が生じることを防止することができる。なお、蓋部材20は、ポール3を使用しない場合であっても、単独で使用することができる。
【0018】
図3は前記ポール3の説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。ポール3は、車両通行帯11(図1参照)を自転車通行帯14と自動車通行帯13とに構造的に分離するためのものであり、側溝ブロック2から立設した状態となる。ポール3は、道路の縦断方向に沿って所定の間隔を有して設置されている。これにより、並んだ複数のポール3よりも側縁11d側が、自転車通行帯14となり、その反対である道路中央側が、自動車通行帯13となる。
【0019】
ポール3は、柱状の本体部31と、この本体部13を側溝ブロック2に固定するための固定部32とを有している。また、ポール3は、本体部31の下面から下方へ突出し、下端部に固定部32を取り付けている軸部34を有している。これにより固定部32は、ポール3の本体部31の下に設けられた構成となる。
前記本体部31は、例えば樹脂製であり可撓性を有している。可撓性を有することで、仮に自転車がポール3に衝突しても、衝撃力を和らげることができ安全である。本体部31の高さ寸法Hは、例えば600mm〜700mmである。本体部31はその下部に、下方に拡大しているベース部33を有している。ポール3を側溝ブロック2に固定した状態で、ベース部33の下面板(下面部材)33aが、側溝ブロック2の上面4に当接した状態となる。
【0020】
図4は、ポール3の下部及び側溝ブロック2を示していて、ポール3を側溝ブロック2に固定する方法についての説明図であり、(a)は固定前の状態、(b)は固定後の状態を示している。
図4(a)において、前記軸部34は、下面板33aを挿通していて上下方向に移動可能である。軸部34の上部に止め板35が取り付けられていて、止め板35と下面板33aとの間にバネ36が設けられている。バネ36は、止め板35を下面板33aから引き離す方向に付勢していて、軸部34及び固定部32を引き上げる方向に付勢している。後述するロック機構37によってバネ36は圧縮した状態に維持されている。
【0021】
また、軸部34は、本体部31に対して、ポール3の軸線C回りに回転することができるようになっている。実施の形態の場合、下面板33aと止め板35との間で圧縮変形しているバネ36が介在していることにより、軸部34及び固定部32を回転方向に拘束していない状態で、本体部31を軸線C回りに回転させると、本体部31と一体となって軸部34及び固定部32も回転する。しかし、バネ36は、捻り方向(軸線C回りの回転方向)に弾性変形が自在であることから、軸部34及び固定部32を回転方向に拘束した状態とすれば、本体部31を軸線C回りに回転させても、本体部31のみが回転し、軸部34及び固定部32は回転しないようにすることができる。
【0022】
また、軸部34の途中部には、軸直交方向に突出している突出部34aが形成されている。一方、下面板33aには、この突出部34aに係合可能な爪部33bが形成されている。軸部34及び固定部32は金属製からなる。これら突出部34a及び爪部33bによって、前記ロック機構部37が構成されている。
突出部34aと爪部33bとが係合している状態で、バネ36は圧縮された状態に維持されている。そして、前記のとおり、軸部34及び固定部32を回転方向に拘束した状態で、本体部31を軸線C回りに回転させると、爪部33baから突出部34aは離脱することができる。離脱すると、バネ36の復元力によって、軸部34は軸線C方向の上方(ポール3の上端へ向かう方向)へ移動し、固定部32と下面板33aとは接近した状態となる。
【0023】
図3(a)において、固定部32は、軸部34から分岐して横方向に延びている棒状の部材からなり、側溝ブロック2の空間部6を形成している上壁面6a(図4(a)参照)に近似している円弧形状を有している。固定部32の厚さ寸法tは、図4(a)に示しているように、側溝ブロック2のスリット5の幅寸法よりも小さく、当該スリット5を通過可能な値に設定されている。なお、軸部34の直径は、固定部32の厚さ寸法tと同じ乃至当該厚さ寸法tよりも小さく設定されている。このため、固定部32の幅方向が排水溝7の長手方向に平行となる状態とすれば(着脱可能状態)、図5(a)に示しているように、固定部32はスリット5を通過して空間部6に位置することができる。
【0024】
この状態で、図6(a)に示しているように、本体部31を90°回転させ軸部34も一体的に回転させると、固定部32は、空間部6で軸線C回りに90°回転する。つまり、固定部32の幅方向と、排水溝7の長手方向とを直交させる。この状態で説明すると、固定部32の幅寸法Wは、スリット5の幅寸法よりも大きく、スリット5を通過不能な値に設定されている。この状態では、固定部32はスリット5から抜け出ることができない。すなわち、固定部32は、スリット5を通過可能な状態(着脱可能状態)から、空間部6に位置しかつスリット5を通過不能な状態(取り付け状態)に切り替えられる。なお、固定部32の幅寸法Wは、空間部6の幅寸法よりも小さく設定されている。なお、図5及び図6の状態では、軸部34の突出部34aと爪部33bとは係合した状態にある。
【0025】
そして、図7(a)に示しているように、本体部31が側溝ブロック2の上面4から離れるように持ち上げられると、固定部32は空間部6の上壁面6aに接触しかつ上壁面6aを押圧した状態となり、この状態では、固定部32及び軸部34は、軸線C方向及び軸線C回りの回転方向に拘束された状態となる。また、バネ36はさらに圧縮弾性変形し、軸部34の突出部34aが爪部33bから軸線C方向に離れ、さらに、この状態で、本体部31を軸線C回りに回転させると、図8(b)に示しているように、軸部34の突出部34aと爪部33bとは回転方向についても離反した状態となる。この状態で、本体部31の軸方向の拘束を解除すると、図4(b)に示しているように、バネ36は復元力によって伸び、下面板33aを側溝ブロック2の上面4に押し付けた状態となる。そして、固定部32はスリット5から抜け出ることができない状態(取り付け状態)となる。また、バネ36の押し付け力によって、ポール3は、側溝ブロック2の上から立設した姿勢に維持される。これにより、ポール3を側溝ブロック2に簡単に取り付けることができる。
【0026】
一方、このポール3を側溝ブロック2から取り外すためには、本体部31を軸線C方向に引き上げ(図8(a))、本体部31を90°回転させて、軸部34の突出部34aと爪部33bと係合させた状態とする(図7(a)参照)。そして、本体部31と共に軸部34及び固定部32を90°回転させ、固定部32の幅方向を排水溝7の長手方向に平行とすれば(図5(a))、固定部32はスリット5を通過することができる。すなわち、固定部32は、空間部6に位置しかつスリット5を通過不能な状態(取り付け状態)から、スリット5を通過可能な状態(着脱可能状態)に切り替えられる。これにより、ポール3を側溝ブロック2から簡単に取り外すことができる。
【0027】
以上のような側溝ブロック2及びポール3を備えた道路設備1によれば、車両通行帯11に設置された複数の側溝ブロック2の内の、排水溝7が形成されている所望の部位に、ポール3を容易に取り付けることが可能となる。また、一時的に、このポール3を取り外すことができ、また、その作業は簡単である。
そして、この側溝ブロック2が、その長手方向を道路の縦断方向として複数連続して道路に設置されているので、これら側溝ブロック2内の排水溝7を道路の排水のために用いることができる。
【0028】
また、図9は、隣り合って設置された側溝ブロック2,2の連結部を示している平面図である。各側溝ブロック2に設けられているスリット5は、その長手方向の両端面8,9でスリット幅Bが拡大するようにして開口している拡大開口部23を有している。すなわち、スリット5は、両端部を除けば、側溝ブロック2の長手方向全長にわたって同じ断面形状に形成されているが、両端部において、スリット5は幅方向に拡大している。
【0029】
このように端部を構成することで、側溝ブロック2の排水溝7の清掃が容易となる。すなわち、複数の側溝ブロック2を連続して設置した状態で、スリット5から清掃用の棒(図示せず)を挿し入れ、この清掃棒をスリット5に沿って移動させながら排水溝7を清掃する場合がある。この場合、隣り合う側溝ブロック2,2の端面8,9同士が、図9に示しているように、幅方向に少しずれて設置されていると(ずれ量e)、左側の側溝ブロック2の排水溝7に沿って清掃棒を右へ移動させながら清掃している場合、この清掃棒が隣の右側の側溝ブロック2の端面9で引っかかることが考えられるが、スリット5は端面9で幅が拡大するようにして開口しているので、清掃棒の引っかかりを抑制することが可能となる。これにより、複数が連続して並んで設置されている側溝ブロック2内の排水溝7の清掃が容易となる。
【0030】
〔第二の実施の形態〕
図10は、舗装道路10に設置された本発明の道路設備1の他の実施の形態を示す斜視図である。この舗装道路10は、縁石ブロック15によって歩道側と車両通行帯11とが構造的に分離されている。そして、歩道側は、本発明の道路設備1によって自転車通行帯14と歩行者通行帯12とに構造的に分離されている。
この実施の形態の道路設備1は、前記実施の形態と同様に、側溝ブロック2とポール3とを備えている。そして、側溝ブロック2は、道路の車両走行方向(縦断方向)に沿って上面4が露出した状態で埋設されている。側溝ブロック2の構成は、前記実施の形態と同じである。
【0031】
ポール3は、歩道側の道路を自転車通行帯14と歩行者通行帯12とに構造的に分離するためのものであり、側溝ブロック2から立設した状態となる。ポール3は、縦断方向に沿って所定の間隔を有して設置されている。これにより、複数が並んだポール3よりも自動車通行帯13側が、自転車通行帯14となり、その反対側が、歩行者通行帯12となる。ポール3の構成及び機能は、前記実施の形態と同じである。
【0032】
以上の各実施の形態の道路設備1によれば、舗装道路10上の雨水は、側溝ブロック2のスリット5を通じて空間部6へと流入することができ、さらに、排水溝7に沿って流れることができる。すなわち、これら側溝ブロック2が舗装道路10に設置されていることで道路の排水に利用される。また、側溝ブロック2において、表面に流水が存在しないので、歩行者の歩行等に都合がよい。
そして、ポール3の本体部31の下に設けられている固定部32は、側溝ブロック2のスリット5を通過可能な状態(着脱可能状態)と、側溝ブロック2の空間部6に位置しかつスリット5を通過不能な状態(取り付け状態)とに切り替えられるので、前記取り付け状態とすれば、固定部32は側溝ブロック2から抜け出ることができず、ポール3は側溝ブロック2上に立設した状態となることが可能となる。そして、前記着脱可能状態とすれば、前記固定部32はスリット5から抜け出ることができ、ポール3を側溝ブロック2から容易に取り外すことが可能となる。
すなわち、排水機能を有する側溝ブロック2が用いられて、通行帯を分離するためのポール3を立設することができ、さらに、ポール3を簡単に道路から取り外したり、取り付けたりすることができる。
【0033】
このため、例えば、歩行者通行帯12の工事が必要となり、歩行者通行帯12を迂回させる切り回しを行う場合であっても、ポール3を一時的に撤去する作業は容易である。そして、ポール3を撤去した状態では、側溝ブロック2の上面4と路面11eとは平坦となり、通行の障害とならない。
また、災害発生等の緊急時において、例えば複数のポール3によって自動車通行帯13と分離した自転車通行帯14を、緊急自動車用の通行帯に変更する必要がある場合であっても、ポール3を撤去する作業は容易となる。このように、本発明の構成によれば、通行帯の改変に容易に対応することができる。
【0034】
また、側溝ブロック2は、前記のとおり地先境界ブロック(JIS A 5371)と同じ寸法であり、小型とすることができ、施工断面が小さくて済む。そして、この側溝ブロック2に形成されている排水溝7(空間部6)は長円形断面であり、図示しないが皿形の側溝を有するブロックよりも、流速を上げることができ、掃流力を高くすることができる。すなわち、側溝ブロック2を「排水できる地先境界ブロック」とすることができる。
さらに、実施の形態の側溝ブロック2の幅寸法は、路面11eに道路管理者によって設けられる区画線の幅と同じである。そこで、この側溝ブロック2の上面4を区画線と同じ色(例えば白や橙)に色彩を施せば、側溝ブロック2は区画線を兼ねることができる。
【0035】
図11は、前記第一の実施の形態及び前記第二の実施の形態に係る側溝ブロック2(その1)を示していて、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。正面図と背面図とは対称となる。
図11に示している側溝ブロック2の端面9には、隣り合う他の側溝ブロック2と接続するための嵌め込み部26が形成されている。嵌め込み部26は凹部として形成されていて、この凹部に止水パッキンや目地モルタルが設けられる。
さらに、側溝ブロック2の上面4の端部には、高さが低くなるように形成された切り下げ部27が設けられている。切り下げ部27は、例えば幅が5mm程度であり、上面4の第一面4aから所定寸法(例えば20mm程度)低く形成されている。この切り下げ部27によれば、舗装道路10の路面11e(図1参照)が、側溝ブロック2の上面4よりも沈下しても、切り下げ部27から雨水を集水することができ、路面11eの滞水を抑制することができる。
【0036】
また、本発明は図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、例えば、ポール3の形状は変更可能であり、また、側溝ブロック2は、図示した側溝ブロック(その1)以外の形状であってもよい。
そこで、側溝ブロック2の他の形態を以下に示す。
【0037】
〔側溝ブロック2の他の形態〕
図12(a)〜(e)それぞれは、側溝ブロック2の上面4の形状が、図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の断面図である。
図13(f)〜(l)それぞれは、排水溝7の形状が、図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の断面図である。
図14(m)〜(p)それぞれは、排水溝7のスリット5の長手方向の形状が、図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の平面図である。つまり、スリット5は、全長ではなく部分的に設けられている。なお、図14(q)は、図14(m)〜(p)それぞれにおけるV矢視の断面図である。
なお、これら他の形態それぞれの右側面は、図2(c)に準ずる構成とすることができ、嵌め込み部26及び切り下げ部27が形成されていてもよい。又は、これら嵌め込み部26及び切り下げ部27を省略してもよく、この場合、右側面図と左側面図とは同一(又は対称)となる。
さらに、図18(r)〜(t)は、側溝ブロック2の形状が、図2に示した側溝ブロック2(その1)と異なる形態の正面図及び側面図である。この場合、排水層11cを浸透した雨水を、側溝ブロック2側面に形成された溝、穴から排水溝7(空間部6)へ流すことができる。
【0038】
また、本発明の道路設備1は、前記各側溝ブロック2及びポール3の他に、図15(a)に示しているコーナー部材41を更に備えていてもよい。コーナー部材41は、対の側溝ブロック2,2を直角の配置として接続させるものである。図15(b)に示しているように、コーナー部材41には、平面視で直角に折れ曲がった断面U字型の溝42が形成されている。溝42の幅寸法は、側溝ブロック2の空間部6の幅寸法と同じに設定され、この溝42は空間部6と連続する。そして、溝42は上方に開口していて、蓋部材43によって塞がれている。
【0039】
また、本発明の道路設備1は、前記各側溝ブロック2及びポール3の他に、図16(a)に示しているように、側溝桝45を更に備えていてもよい。側溝桝45は、側溝ブロック2と連続して接続されるものである。図16(b)に示しているように、側溝桝45には、断面U字型の溝46が形成されている。この溝46の幅寸法は、側溝ブロック2の空間部6の幅寸法と同じに設定され、この溝46は空間部6と連続する。そして、溝46は上方に開口していて、蓋部材47によって塞がれている。
また、図16(c)に示しているように、側溝桝45には、壁45aの厚さ方向に貫通している溝48が形成されている。この溝48は、側溝ブロック2の排水溝7と同じ断面形状を有している。この溝48が形成されている壁45aに、別の側溝ブロック2(図16(a)において二点鎖線で示している)を接続することができる。なお、側溝桝45は前記溝48が省略されたものであってもよい。
【0040】
以上の各実施の形態の側溝ブロック2を、図17(a)に示しているように、排水性舗装道路10のドレンに用いることができる。すなわち、側溝ブロック2が、当該側溝ブロック2の上面と不透水層11bの上面とが同一面となるようにして、道路の側縁11dに設けられていて、この側溝ブロック2及び不透水層11bの上に排水層(排水性舗装)11cが施工されている。排水層11cを浸透した雨水を側溝ブロック2は下方集水することができ、排水溝7によって排水することができる。
【0041】
さらに、以上の各実施の形態の側溝ブロック2を、図17(b)に示しているように、小規模な道路側溝とすることができる。この場合、側溝ブロック2は、その上面4を道路に露出させた状態として設置される。従来、道路側溝として用いられている断面L形の側溝ブロックに比べて、排水性能は高く、施工性もよい。また、前記断面L形の側溝ブロックの場合、このブロックの表面を雨水が流れることから、車両乗り入れ用のスロープ39を当該側溝ブロックの上に設置すると、スロープ39によって雨水の流れが阻害されてしまう場合がある。しかし、本発明の側溝ブロック2によれば、スロープ39を側溝ブロック2上に設置しても、このスロープ39によって雨水の流れが阻害されてしまうことを防止することができる。
また、例えば駐車場等の平面集水用の道路側溝として、図17(c)に示しているように、従来ある皿型側溝50の代わりに、前記側溝ブロック2を設置することができる。この場合、表面に勾配部分や流水が存在しなくなるため、バリアフリー化が可能となる。また、排水溝7によって排水する流速を大きくすることができ、掃流力を大きくすることが可能となる。さらに、施工断面を小さくすることができる。
【0042】
また、前記実施形態では、側溝ブロック2を、その長手方向が道路の縦断方向と一致するようにして設ける場合を説明したが、これ以外として、図示しないが、側溝ブロック2を、その長手方向が道路の横断方向と一致するようにして設けてもよい。従来、道路を横断するように排水用の溝を設ける場合は、U字溝とグレーチングとを使用する場合がある。この場合、小規模であってもコストが高くなり、また、グレーチングのがたつきを防止する必要があり、清掃の面で手間がかかるおそれがある。しかし、前記側溝ブロック2によれば、これを解消することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 道路設備
2 側溝ブロック(溝ブロック)
3 ポール(車線分離部材)
4 上面
4a 第一面
4b 第二面
4c 段差部
5 スリット
6 空間部
7 排水溝
20 蓋部材
31 本体部
32 固定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に上面が露出した状態で設けられると共に、当該上面に開口したスリット及び当該スリットと連続し内部で拡大した空間部を有している排水溝が長手方向に形成された溝ブロックと、
前記道路上において通行帯を分離するために立設した状態となる車線分離部材と、を備え、
前記車線分離部材は、当該車線分離部材の本体部の下に設けられ、前記スリットを通過可能な状態と、前記空間部に位置しかつ前記スリットを通過不能な状態と、に切り替えられる固定部を有していることを特徴とする道路設備。
【請求項2】
前記スリットは、前記溝ブロックの長手方向の両端面でスリット幅が拡大して開口している請求項1に記載の道路設備。
【請求項3】
前記溝ブロックの上面は、前記道路の路面と同一面を構成する第一面と、この第一面よりも低く形成され前記スリットが開口している第二面とを有し、
前記溝ブロックは、前記第一面と前記第二面との間に形成される段差部とほぼ同じ高さを有し、かつ、前記第二面上に載せられる蓋部材を有している請求項1又は2に記載の道路設備。
【請求項1】
道路に上面が露出した状態で設けられると共に、当該上面に開口したスリット及び当該スリットと連続し内部で拡大した空間部を有している排水溝が長手方向に形成された溝ブロックと、
前記道路上において通行帯を分離するために立設した状態となる車線分離部材と、を備え、
前記車線分離部材は、当該車線分離部材の本体部の下に設けられ、前記スリットを通過可能な状態と、前記空間部に位置しかつ前記スリットを通過不能な状態と、に切り替えられる固定部を有していることを特徴とする道路設備。
【請求項2】
前記スリットは、前記溝ブロックの長手方向の両端面でスリット幅が拡大して開口している請求項1に記載の道路設備。
【請求項3】
前記溝ブロックの上面は、前記道路の路面と同一面を構成する第一面と、この第一面よりも低く形成され前記スリットが開口している第二面とを有し、
前記溝ブロックは、前記第一面と前記第二面との間に形成される段差部とほぼ同じ高さを有し、かつ、前記第二面上に載せられる蓋部材を有している請求項1又は2に記載の道路設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−174587(P2010−174587A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21320(P2009−21320)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(392027900)株式会社イトーヨーギョー (43)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(392027900)株式会社イトーヨーギョー (43)
【Fターム(参考)】
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