説明

遠心ポンプ用のインペラ

【課題】 キャビテーションを防ぐ高速遠心ポンプ用のインペラを提供する。
【解決手段】 遠心ポンプ用のインペラが、径方向内側ハブと、インペラの回転軸に対して垂直な方向に沿って一直線に延びる複数のブレードと、を含む。ブレードは、半径方向外側端部から半径方向内側端部へと延在するとともに、概して円錐台形の外壁部分を画定する。ブレードの半径方向内側端部と、ハブとの間に流れ制御特徴部が形成される。この流れ制御特徴部は湾曲した上面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転軸に対して垂直に走るブレードを有し、そのブレードからハブに延在する特徴部を有するインペラに関する。
【背景技術】
【0002】
高速遠心ポンプは多数の構成を含む。一つの構成はインペラの外周部から径方向内側に延在するとともに、インペラの回転軸に対して垂直に延在する複数の直線状のブレードを有する。これらのポンプでは、ブレードは概ねハブもしくはインナーシュラウドから径方向に離間された位置で終端する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ブレードの径方向内側端部とハブの外周部との間の位置にキャビテーションが生じうる。高速遠心ポンプにおけるキャビテーションは防ぐのが難しく、インレットケースの形状やハウジングを改良することにより対処されてきた。さらに、インペラの上流側にインデューサが設けられ、インペラブレードに向けてポンプの流体流れを導く役割を果たす。インデューサ設計はキャビテーションに対処するように変更されうる。さらに、ブレードの角部は場合によっては丸くされる。
【0004】
上述した全ての試みがなされていながらも、直線状のインペラブレードと、所定の動作点でインペラに流入する流れとの間の相互作用により、キャビテーションが発生しうる。キャビテーションは望ましくなく、結果として気相の形成や、流れの崩壊を生じさせ、インペラに対して損傷を及ぼすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
遠心ポンプ用のインペラが、径方向内側ハブと、インペラの回転軸に対して垂直な方向に沿って一直線に延びる複数のブレードと、を含む。ブレードは、半径方向外側端部から半径方向内側端部へと延在するとともに、概して円錐台形の外壁部分を画定する。ブレードの半径方向内側端部と、ハブとの間に流れ制御特徴部が形成される。この流れ制御特徴部は湾曲した上面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】インペラの第1の実施例を示す図。
【図2】第1の実施例の特徴部の正面図。
【図3】図2の実施例の一部を通る断面図。
【図4】第2の実施例を示す図。
【図5】第2の実施例の詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1はインデューサ24へと導く流れ入口22を有するポンプ20を示す。インデューサは流体流れをポンプインペラ26へと導く。出口23がインペラ26の下流に延在する。シャフト28はインペラ26を駆動して回転させる。
【0008】
ブレード36は径方向内側端部31に向かって上向きに傾斜した径方向外側端部33を有する。この断面からも明らかなように、ブレード36の軸方向外側面は概ね円錐台形の外壁部分を画定する。対キャビテーション特徴部すなわち流れ制御特徴部32が、ブレード36の内側端部31の径方向内側に形成され、内側ハブ37まで延在する。理解されるように、インデューサ24上のブレードの外径は概して特徴部32の外径よりも小さい。
【0009】
図2に示すように、ブレード外側面30は概ね円錐形である。さらに、ブレードはインペラ26およびシャフト28の中心回転軸Xに対して直接垂直に延びる。特徴部32はその径方向の最も外側の縁部18から内側ハブ37に符号19で合流するように延びる。特徴部32はブレード36の厚さtに比べて円周方向に厚い拡張部40に付加的な材料を有する。したがって、特徴部32の片側(後縁)に付加的な材料を有し、それによりインペラ26全体に付加的な剛性を提供する。
【0010】
特徴部32の間に空間17が形成される。
【0011】
図2からも明らかなように、特徴部32の径方向外側端部44がブレード36の径方向内側端部31を超えて径方向に延在しうる。
【0012】
図1,2の特徴部32は、拡張部40の径方向内側部に比べて拡張部40の径方向外側部44のほうが薄くなるように、径方向にテーパ状にされる。
【0013】
図3は、湾曲部51へと合流する側面すなわち前縁50から曲率半径rが存在することを示す。特徴部32の頂部に湾曲部50/51を形成することにより、流れを特徴部に沿って案内するように補助し、流れをインペラ表面から逸脱しにくくする。図に示すように、湾曲部51は半径Rにおいてである。図3において図示された半径Rは図に示す断面よりも深い平面に及ぶ。理解されるように、半径Rはテーパ部によって異なる。一実施例では、半径R延いては所定のブレード厚さtに対して有効な特徴部を最大化するために、半径rは半径Rに対して非常に小さい。実施例では、半径rのブレード厚さtに対する比率は5未満である。さらに、tのRに対する比率は概して1未満であろう。
【0014】
図1から明らかなように、特徴部32は概ねハブ37へと一直線に延びる最上面を有し、これにより複数の特徴部32の複数の最上面がインペラ26の回転軸Xに対して垂直な平面を画定する。換言すれば、図示のように特徴部32は接線方向に湾曲するが、その他の部位では、湾曲しておらず、代わりに半径方向の範囲に沿って概ね直線状に延在する。
【0015】
特徴部32は下流の流れからの逆流を防ぐ障壁として機能し、さらにキャビテーションを防ぐ役割を果たす。拡張部40における付加的な材料のテーパリングは回転軸に最も近い位置で最大となり、回転軸の近傍で厚さがより大きくなる。
【0016】
図4は、シャフト128によって駆動されるとともに入口122から流体を受けるインペラ126を有する別の実施例のポンプ120を示す。この実施例にもインデューサ124が用いられる。さらに、ブレード130は径方向内側端部に向かって上向きに傾斜しており、次いで特徴部132が始まる。理解されるように、特徴部132は内側ハブ136へと延在する。
【0017】
図5はインペラ126を示す。理解されるように、この実施例では、付加的な材料140は半径方向のテーパ部を有しておらず、全長に亘って概ね同じ厚さである。他の点では、ブレード130は特徴部132へと合流し、特徴部132はハブ136へと合流する。
【0018】
インペラを図1のインデューサとともに示すが、図5に示すようにインデューサなしでも利用されうる。任意の数のアウトレットハウジングが利用されうる。さらに、所謂「スプリッタ羽根」もこのインペラとともに利用することができる。
【0019】
本発明の実施例について記載したが、特許請求の範囲内である程度の変更が行われうることが当業者にとって理解されるであろう。そのため、本発明の真の範囲および意義を画定するために以下の特許請求の範囲を検討すべきである。
【符号の説明】
【0020】
17…空間
18…縁部
30…ブレード外側面
31…径方向内側端部
32…流れ制御特徴部
33…径方向外側端部
40…拡張部
44…特徴部の径方向外側端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心ポンプ用のインペラであって、
径方向内側ハブと、前記インペラの回転軸に対して垂直な方向に沿って一直線に延びる複数のブレードと、を含み、前記ブレードが、半径方向外側端部から半径方向内側端部へと延在するとともに、該ブレードの軸方向外側面に略円錐台形の外壁部分を画定し、前記ブレードの前記半径方向内側端部の間に配置されるとともに前記ハブへと延在する流れ制御特徴部を備え、この流れ制御特徴部が湾曲した上面を有することを特徴とする遠心ポンプ用のインペラ。
【請求項2】
前記ブレードが、前記特徴部へと合流する略円錐形の上面を有することを特徴とする請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記ブレードおよび前記特徴部の後縁に付加的な材料を有し、該後縁の付加的な材料は、前記特徴部の各々の厚さに対して追加されることを特徴とする請求項1に記載のインペラ。
【請求項4】
前記付加的な材料は、前記ハブから前記ブレードの前記半径方向内側端部を超えた位置まで径方向外側に延在することを特徴とする請求項3に記載のインペラ。
【請求項5】
前記付加的な材料はテーパ状の厚さを有し、径方向外側の部位に隣接する材料に比べて前記ハブに隣接する材料のほうが肉厚であることを特徴とする請求項3に記載のインペラ。
【請求項6】
前記特徴部が、概ね均一の厚さを有することを特徴とする請求項3に記載のインペラ。
【請求項7】
前記付加的な材料と、すぐ隣に隣接する前記特徴部の前縁と、の間に円周方向に離間された空間を有することを特徴とする請求項3に記載のインペラ。
【請求項8】
前記複数の特徴部の最上面が、前記インペラの前記回転軸に対して垂直な平面を画定することを特徴とする請求項1に記載のインペラ。
【請求項9】
前記インデューサが、前記インペラの上流に配置されることを特徴とする請求項1に記載のインペラ。
【請求項10】
前記インデューサのブレードの外径は、前記特徴部の外径よりも小さいことを特徴とする請求項9に記載のインペラ。
【請求項11】
前記湾曲した上面が、前記ブレードの円周方向厚さよりも大きい第1の曲率半径で形成された少なくとも第1の部分を有することを特徴とする請求項1に記載のインペラ。
【請求項12】
前記湾曲した上面が、前記特徴部の側壁から前記第1の部分へと合流する第2の部分を含み、前記第2の部分は、前記第1の曲率半径よりも小さい第2の曲率半径を有することを特徴とする請求項11に記載のインペラ。
【請求項13】
遠心ポンプ用のインペラであって、
径方向内側ハブと、前記インペラの回転軸に対して垂直な方向に沿って一直線に延びる複数のブレードと、を含み、前記ブレードが、半径方向外側端部から半径方向内側端部へと延在するとともに、該ブレードの軸方向外側面に略円錐台形の外壁部分を画定し、
前記ブレードの前記半径方向内側端部の間に配置されるとともに前記ハブへと延在する流れ制御特徴部を備え、この流れ制御特徴部が湾曲した上面を有し、前記複数の特徴部の最上面が、前記インペラの回転軸に対して垂直な平面を画定し、
前記ブレードが、前記特徴部へと合流する略円錐形の上面を有し、
前記ブレードおよび前記特徴部の後縁に付加的な材料を有し、該後縁の付加的な材料は、前記特徴部の各々の厚さに対して追加され、
前記付加的な材料と、すぐ隣に隣接する前記特徴部の前縁と、の間に円周方向に離間された空間を有し、
前記湾曲した上面が、前記ブレードの円周方向厚さよりも大きい第1の曲率半径で形成された少なくとも第1の部分を有するとともに、前記特徴部の側壁から前記第1の部分へと合流する第2の部分を含み、前記第2の部分は、前記第1の曲率半径よりも小さい第2の曲率半径を有することを特徴とする、遠心ポンプ用のインペラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−107616(P2012−107616A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244108(P2011−244108)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(500258053)サンダイン コーポレーション (11)
【氏名又は名称原語表記】Sundyne Corporation
【住所又は居所原語表記】14845 West 64th Avenue,Arvada,CO USA
【Fターム(参考)】