説明

遠心分離装置

【課題】汚濁原液を比重の軽い軽液と比重の重い重液とに遠心分離する装置において、汚濁原液に固体成分(重液より比重が大)が含まれる場合に回転分離容器の内部(内側面)に付着する固体成分の除去清掃保守作業等を向上させる遠心分離装置を提供すること。
【解決手段】側面101及び蓋体102などから構成する截頭円錐形状の回転分離容器10と、前記回転分離容器10の内部に汚濁原液を導入する汚濁原液導入管40と、比重の軽い軽液を排出する軽液排出流路60と、比重の重い重液を排出する重液排出流路70と、前記回転分離容器10の内部(内側面)に付着する固体成分を掻きとり排出する固体掻きとりスクレーパ501などを有する遠心分離装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、汚濁原液(固体液体混合液)を、比重の軽い軽液と比重の重い重液及び固体とに分離排出する遠心分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
汚濁原液(種々の混合液)を、比重差を利用して遠心分離する方法は種々存在する。
【0003】
例えば、特開昭49−122066がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭49−122066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の様に、比重差を利用して比重の異なる汚濁原液(種々の混合液)の分離方式は種々存在するが、汚濁原液に固体成分が含まれる場合など汚濁原液の内容によってはさらなる改良が必要な場合もある。
【0006】
そこで、汚濁原液に固体成分が含まれる場合に回転分離容器の内部(内側面)に付着堆積する固体成分の除去排出などの保守性を向上させる遠心分離装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、上述の課題を解決するために、回転分離容器と、当該回転分離容器を支持する回転分離容器支持体と、当該回転分離容器を回転させる駆動源である回転分離容器駆動機構と、当該回転分離容器の外部から内部に汚濁原液を導入する汚濁原液導入管とを有し、当該回転分離容器を回転させることにより当該回転分離容器の内部で比重の異なる2液に分離し、分離した2液を別々の流路を通じて当該回転分離容器の外部に排出する遠心分離装置において、前記回転分離容器の一方端を閉塞する蓋体と、前記回転分離容器の内側面近傍に設置する固体掻きとりスクレーパと、を有し、前記蓋体に、当該回転分離容器の内部で比重の異なる2液に分離した液体成分のうち比重の重い重液を当該回転分離容器の外部に排出する連通路である重液排出流路が形成されていることを特徴とする遠心分離装置を提供する。
【0008】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、回転分離容器と、当該回転分離容器を支持する回転分離容器支持体と、当該回転分離容器を回転させる駆動源である回転分離容器駆動機構と、当該回転分離容器の外部から内部に汚濁原液を導入する汚濁原液導入管とを有し、当該回転分離容器を回転させることにより当該回転分離容器の内部で比重の異なる2液に分離し、分離した2液を別々の流路を通じて当該回転分離容器の外部に排出する遠心分離装置において、前記回転分離容器の一方端を閉塞する蓋体と、前記回転分離容器の内側面近傍に設置する固体掻きとりスクレーパと、を有し、前記蓋体に、当該回転分離容器の内部で比重の異なる2液に分離した液体成分のうち比重の重い重液を当該回転分離容器の外部に排出する連通路である重液排出流路が形成され、さらに、前記蓋体の上部に重液排出流路位置調整体を積層設置した遠心分離装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の遠心分離装置は、汚濁原液に固形成分が含まれる場合であっても、回転分離容器の内側面近傍に設置する固体掻きとりスクレーパなどにより、回転分離容器の内部に付着堆積する固形成分を除去排出できるので保守性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、遠心分離装置の構成を説明する切断断面図である。
【図2】図2は、重液排出流路位置調整体の拡大図である。
【図3】図3は、仕切り板の別の固着例を説明する切断断面図である。
【図4】図4は、液体成分の流路(軽液排出流路及び重液排出流路)を説明する切断断面図である。
【図5】図5は、回転分離容器の上部を拡大したイメージ図である。
【図6】図6は、遠心分離中の液体の流路を示すイメージ図である(油成分1:水成分9の場合)。
【図7】図7は、遠心分離停止(供給ポンプ停止)時の残存液体の流路を示すイメージ図である(油成分1:水成分9の場合)。
【図8】図8は、固体成分の排出路及び固体排出機構を説明する切断断面図である。
【図9】図9は、遠心分離中の液体の流路を示すイメージ図である(油成分9:水成分1の場合)。
【図10】図10は、遠心分離開始直後の液体の流路を示すイメージ図である(油成分9:水成分1の場合)。
【図11】図11は、実施例2の遠心分離装置の構成及び遠心分離中の動作について説明する切断断面図である。
【図12】図12は、実施例2の遠心分離装置の遠心分離停止(供給ポンプ停止)時の残存液体の排出動作について説明をする切断断面図である(油成分1:水成分9の場合)。
【図13】図13は、実施例3の遠心分離装置の切断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
汚濁原液に固体成分が含まれ得る遠心分離装置として実施する。
【実施例1】
【0012】
まずは、遠心分離装置の構成について、図1及び図3に従い説明する。
【0013】
遠心分離装置(1)は、ケーシング内に設置する回転分離容器(10)と、当該回転分離容器を支持する回転分離容器支持体(20)と、前記回転分離容器支持体を回転駆動することにより、当該回転分離容器(10)を回転させる駆動源である回転分離容器駆動機構(30)と、当該回転分離容器(10)の軸心を貫通し設置する汚濁原液導入管(40)と、前記汚濁原液導入管(40)の直下に設置する円形状の汚濁原液拡散振切り板(41)と、当該回転分離容器(10)の内側面に付着堆積した固体を掻きとり当該回転分離容器(10)の外部へと排出する固体排出機構(50)と、比重の軽い軽液を当該回転分離容器(10)の内部から外部へと導く軽液排出流路(60)と、比重の重い重液を当該回転分離容器(10)の内部から外部へと導く重液排出流路(70)と、で構成する。
【0014】
前記回転分離容器(10)は、上部が円筒形状で下部が截頭円錐形状の側面(101)と、上端を閉塞する蓋体(102)と、前記蓋体(102)の上部に積み重ねて設置する半輪形状の2個の重液排出流路位置調整体(103)と、で構成する。
【0015】
なお、前記回転分離容器の側面(101)の形状は、前記回転分離容器(10)の内部から外部へと排出途中の固体が前記回転分離容器(10)の内側面に沿って上から下へ向かってスムーズに移動しやすい形状であることが好ましい。
【0016】
なお、前記重液排出流路位置調整体(103)は、取り替え・交換を容易にするため半輪形状の調整体を2個つなぎ合わせて輪形状にして設置している(図2)。前記重液排出流路位置調整体(103)の取り替え・交換は、ケーシング側面に設けた点検孔(M)より行う。
【0017】
前記回転分離容器(10)の内部には、前記汚濁原液拡散振切り板(41)の他、前記蓋体(102)の下部かつ平行位置で前記蓋体(102)と一定の隙間を保ちながら前記蓋体(102)と結合した仕切り板(701)と、前記回転分離容器(10)の内側面近傍に設置した固体掻きとりスクレーパ(501)とが装備されている。
【0018】
前記回転分離容器駆動機構(30)は、前記回転分離容器支持体(20)を回転させる動力源である主モータ(301)と、前記主モータ(301)の駆動軸に挿入結合した主モータ軸プーリ(302)と、前記回転分離容器支持体(20)に挿入結合した回転軸プーリ(303)と、前記主モータ軸プーリ(302)と回転軸プーリ(303)とを結合する結合ベルト(304)と、で構成する。
【0019】
なお、前記汚濁原液導入管(40)は、前記回転分離容器(10)の上部から下部へと向かって軸心を貫通し設置しているが、汚濁原液を前記回転分離容器(10)の外部から内部へと導入することができれば良く、例えば、前記回転分離容器(10)の下部から上部へと向かって軸心位置に設置することもあり得る。
【0020】
なお、前記汚濁原液拡散振切り板(41)の形状は、円形状であるが、汚濁原液を前記回転分離容器(10)の内部で相当程度拡散(飛散)させることができれば良く、適当な形状に適宜設計変更し得る。
【0021】
前記固体排出機構(50)は、前記回転分離容器(10)の内部で前記回転分離容器支持体(20)と結合する固体掻きとりスクレーパ(501)と、前記回転分離容器(10)よりも下部に設置する固体排出通路(502)と、前記固体排出通路(502)と前記回転分離容器(10)との隙間に設置する開閉自在シャッター(503)と、前記固体排出通路(502)の直下に配置する固体受け容器(504)と、前記固体掻きとりスクレーパ(501)と前記回転分離容器(10)を相対回転させる駆動源であるギヤモータ(505)と、前記ギヤモータ(505)の駆動軸に挿入結合した駆動ベベルギヤ(506)と、前記ギヤモータ(505)の駆動軸を伸縮させるギヤモータ軸伸縮機構(507)と、前記ギヤモータ軸伸縮機構(507)を作動し前記ギヤモータ(505)の駆動軸が伸びたときに前記駆動ベベルギヤ(506)と噛合するスクレーパ側ベベルギヤ(508)及び主軸側ベベルギヤ(509)と、で構成する。
【0022】
遠心分離装置(1)の下段に位置する前記軽液排出流路(60)は、前記回転分離容器(10)の最下部と前記開閉自在シャッター(503)との間に存在する軽液用隙間空間(602r)と、前記軽液用隙間空間(602r)と連通する軽液収容室(603r)と、前記軽液収容室(603r)と連通する軽液排出管(604)とからなる。
【0023】
遠心分離装置(1)の中段に位置する前記重液排出流路(70)は、前記仕切り板(701)と前記蓋体(102)及び前記重液排出流路位置調整体(103)との間に存在する重液用隙間空間(702r)と、前記重液用隙間空間(702r)と連通する重液収容室(703r)と、前記重液収容室(703r)と連通する重液排出管(704)とからなる。
【0024】
なお、前記回転分離容器の蓋体(102)には軸心を中心に放射状の長孔を複数設けている。
【0025】
なお、前記重液排出流路位置調整体(103)は、前記蓋体(102)の上面部で接合し、前記蓋体(102)の長孔の一部を覆う位置で固定している。
【0026】
なお、前記仕切り板(701)は、前記回転分離容器の蓋体(102)と結合されているが、前記蓋体(102)の下部かつ平行位置で前記蓋体(102)と一定の隙間を保ちながら固定配置できれば良く、例えば、前記固体掻きとりスクレーパ(501)に結合する構成でもよい(図3)。
【0027】
なお、後述の動作説明を容易にするため一部の寸法については、以下に記載するが、当該寸法に特定されるわけではない。前記回転分離容器(10)の最広内径部である最上部位置の内径は170mmであり、最下部位置の内径は120mmである。また、前記重液排出流路位置調整体(103)の輪形状の内径は130mmのものを使用しているが、汚濁原液に混合する液体の比重に応じて、内径が120mm超170mm未満のものに適宜交換し得る。
【0028】
次に、遠心分離装置の遠心分離中の動作について、比重1未満の油成分と水成分(油成分1:水成分9の場合)とに固体成分(比重1よりも重い)も含まれる汚濁原液を導入した場合を例に取り、図4及び図6に従い説明する。
【0029】
主モータ(301)の起動により、前記主モータ(301)の駆動軸に挿入結合された主モータ軸プーリ(302)が回転する。
【0030】
前記主モータ軸プーリ(302)が回転することにより、結合ベルト(304)を介して回転軸プーリ(303)、回転分離容器支持体(20)及び回転分離容器(10)が回転する。
【0031】
なお、前記回転分離容器(10)の回転速度は、汚濁原液の処理流量、汚濁原液の動粘度又は汚濁原液の種類などにより適宜設計変更し得るものではあるが、本実施例では主に2000rpm〜3000rpm程度で稼働する。
【0032】
回転中の前記回転分離容器(10)の外部から内部へ、汚濁原液導入管(40)を介し汚濁原液(A)を導入する。
【0033】
前記回転分離容器(10)の内部へ導入された汚濁原液(A)は、汚濁原液拡散振切り板(41)の中央部付近に放出され前記汚濁原液拡散振切り板(41)の表面に沿って中央部付近から外側部へと放射状に拡散(飛散)する。
【0034】
前記拡散(飛散)した汚濁原液(A)は、さらに遠心力により、以下のように分離する。
【0035】
水成分(C)は前記回転分離容器(10)の内側面側に分離沈降する。
【0036】
比重1未満の油成分(B)は分離沈降した水成分(C)の上面側、すなわち前記回転分離容器(10)の軸心側に分離浮上する。
【0037】
前記回転分離容器(10)の軸心側に分離浮上した比重1未満の油成分(B)の液面位置が、前記回転分離容器(10)の最下部(つまり120mmの位置)を超えると前記回転分離容器(10)の内部から外部へと溢れ出す。
【0038】
前記回転分離容器(10)の内部から外部へと溢れ出した比重1未満の油成分(B)は、前記軽液用隙間空間(602r)を経由し、前記軽液収容室(603r)へと排出される。
【0039】
なお、前記軽液収容室(603r)へと排出された比重1未満の油成分(B)は、さらに前記軽液収容室(603r)と連通した軽液排出管(604)を通じて遠心分離装置(1)の外部に排出される。
【0040】
なお、外部に排出された比重1未満の油成分(B)は、図6で示す左側を閉塞した3方自動切換え弁(80)を経由して軽液タンク(T1)に排出される(図6)。
【0041】
一方、前記回転分離容器(10)の内側面側に分離沈降した水成分(C)の液面位置が、前記重液排出流路位置調整体(103)の内径位置(つまり130mmの位置)を超えると前記回転分離容器(10)の内部から外部へと溢れだす。
【0042】
前記回転分離容器(10)の内部から外部へと溢れ出した水成分(C)は、前記重液用隙間空間(702r)を経由し、前記重液収容室(703r)へと排出される。
【0043】
なお、前記重液収容室(703r)へと排出された水成分(C)は、前記重液収容室(703r)と連通した重液排出管(704)を通じて遠心分離装置(1)の外部に排出される。
【0044】
なお、外部に排出された水成分(C)は、重液タンク(T2)に排出される(図6)。
【0045】
次に、遠心分離停止(供給ポンプ(81)停止)時の排出動作について図4、図7及び図8に従い説明する。
【0046】
継続的に遠心分離処理を行うと回転分離容器(10)の内側面に固体(D)が付着堆積する。
【0047】
主モータ(301)の運転を一旦停止することにより、前記回転分離容器(10)の回転が停止し、回転分離容器(10)の内部に残存する残存液体は前記回転分離容器(10)の最下部から軽液排出流路(602r)を経由し前記軽液収容室(603r)に排出され、前記軽液収容室(603r)と連通した軽液排出管(604)を通じて遠心分離装置(1)の外部に排出される(図4)。
【0048】
なお、外部に排出された残存液体は、図7で示す右側を閉塞した3方自動切換え弁(80)を経由して重液タンク(T2)に排出される(図7)。
【0049】
残存液体がすべて前記回転分離容器(10)から排出された後に、開閉自在シャッター(503)を開放する(図8)。
【0050】
その後、ギヤモータ伸縮機構(507)を作動し前記ギヤモータ(505)の駆動軸を伸ばし、駆動ベベルギヤ(506)をスクレーパ側ベベルギヤ(508)及び主軸側ベベルギヤ(509)に噛合させる。
【0051】
前記駆動ベベルギヤ(506)がスクレーパ側ベベルギヤ(508)及び主軸側ベベルギヤ(509)に噛合したら、ギヤモータ(505)を駆動し正転・逆転を繰り返す。
【0052】
前記ギヤモータ(505)の駆動により、前記回転分離容器(10)と固体掻きとりスクレーパ(501)とが相対回転する。
【0053】
前記相対回転動作によって、前記回転分離容器(10)の内側面に付着堆積した固体(D)は、固体掻きとりスクレーパ(501)により掻きとられる。
【0054】
前記掻き取られた固体(D)は、固体排出通路(502)を通じて固体受け容器(504)に収容される。
【0055】
次に、遠心分離装置の遠心分離中の動作について、比重1未満の油成分と水成分(油成分9:水成分1の場合)とに固体成分(比重1よりも重い)も含まれる汚濁原液を導入した場合を例に取り、図4、図5及び図9に従い比重1未満の油成分と水成分(油成分1:水成分9の場合)とに固体成分(比重1よりも重い)も含まれる汚濁原液を導入した場合と異なる部分のみについて説明する。
【0056】
前記回転分離容器(10)の内部から外部へと溢れ出した比重1未満の油成分(B)は、前記軽液用隙間空間(602r)を経由し、前記軽液収容室(603r)へと排出され、さらに前記軽液収容室(603r)と連通した軽液排出管(604)を通じて遠心分離装置(1)の外部に排出される。
【0057】
なお、外部に排出された比重1未満の油成分(B)は、軽液タンク(T1)に排出される(図9)。
【0058】
一方、前記回転分離容器(10)の内部から外部へと溢れ出した水成分(C)は、前記重液用隙間空間(702r)を経由し、前記重液収容室(703r)へと排出され、さらに前記重液収容室(703r)と連通した重液排出管(704)を通じて遠心分離装置(1)の外部に排出される。
【0059】
なお、外部に排出された水成分(C)は、重液タンク(T2)に排出される(図9)。
【0060】
次に、遠心分離停止(供給ポンプ(81)停止)時の排出動作及び再遠心分離開始直後の動作について図4、図10に従い説明する。
【0061】
主モータ(301)の運転を一旦停止することにより、前記回転分離容器(10)の回転が停止し、回転分離容器(10)の内部に残存する残存液体は前記回転分離容器(10)の最下部から軽液排出流路(602r)を経由し前記軽液収容室(603r)に排出され、前記軽液収容室(603r)と連通した軽液排出管(604)を通じて遠心分離装置(1)の外部に排出される。
【0062】
なお、外部に排出された残存液体は、軽液タンク(T1)に排出される(図10)。
【0063】
残存液体がすべて前記回転分離容器(10)から排出された後の固体排出機構及び固体成分の排出動作については、同様であるので省略する。ただし、再遠心分離運転を行うにはあらかじめ回転分離容器(10)の内部に封水が必要なため、図10で示す左側を閉塞した3方向切換え弁(80)を介して重液タンク(T2)より(もしくは図示しない別の供給ラインより)必要量だけ水成分を供給する(図10)。
【実施例2】
【0064】
実施例2の遠心分離装置は、残存液体排出流路(90)を付加した遠心分離装置であり、その構成について、図11に従い実施例1との変更点のみ説明する。
【0065】
遠心分離装置(1)は、ケーシング内に設置する回転分離容器(10)と、当該回転分離容器を支持する回転分離容器支持体(20)と、前記回転分離容器支持体を回転駆動することにより、当該回転分離容器(10)を回転させる駆動源である回転分離容器駆動機構(30)と、当該回転分離容器(10)の軸心を貫通し設置する汚濁原液導入管(40)と、前記汚濁原液導入管(40)の直下に設置する円形状の汚濁原液拡散振切り板(41)と、当該回転分離容器(10)の内側面に付着堆積した固体を掻きとり当該回転分離容器(10)の外部へと排出する固体排出機構(50)と、比重の軽い軽液を当該回転分離容器(10)の内部から外部へと導く軽液排出流路(60)と、比重の重い重液を当該回転分離容器(10)の内部から外部へと導く重液排出流路(70)と、残存液体を当該回転分離容器(10)の内部から外部へと導く残存液体排出流路(90)と、で構成する。
【0066】
遠心分離装置(1)の下段に位置する前記残存液体排出流路(90)は、前記回転分離容器(10)の最下部と開閉自在シャッター(503)との間に存在する残存液体用隙間空間(902r)と、前記残存液体用隙間空間(902r)と連通する残存液体収容室(903r)と、前記残存液体収容室(903r)と連通する残存液体排出管(904)と、前記残存液体収容室(903r)と軽液収容室(603r)とを区分けする仕切り壁(901)と、からなる。
【0067】
遠心分離装置(1)の下段に位置する前記軽液排出流路(60)は、前記回転分離容器(10)の最下部と前記仕切り壁(901)との間に存在する軽液用隙間空間(602r)と、前記軽液用隙間空間(602r)と連通する軽液収容室(603r)と、前記軽液収容室(603r)と連通する軽液排出管(604)とからなる。
【0068】
次に、遠心分離装置(1)の遠心分離中の動作について、比重1未満の油成分と水成分(油成分1:水成分9の場合)とに固体成分(比重1よりも重い)も含まれる汚濁原液を導入した場合を例に取り、図11に従い実施例1との変更点のみ説明する。
【0069】
回転分離容器(10)の軸心側に分離浮上した比重1未満の油成分(B)の液面位置が、前記回転分離容器(10)の最下部を超えると前記回転分離容器(10)の内部から外部へと溢れ出す。
【0070】
前記回転分離容器(10)の内部から外部へと溢れ出した比重1未満の油成分(B)は、前記軽液用隙間空間(602r)を経由し、前記軽液収容室(603r)へと排出される。
【0071】
なお、前記軽液収容室(603r)へと排出された比重1未満の油成分(B)は、さらに前記軽液収容室(603r)と連通した軽液排出管(604)を通じて遠心分離装置(1)の外部に排出される。
【0072】
なお、外部に排出された比重1未満の油成分(B)は、軽液タンク(T1)に排出される。
【0073】
次に、遠心分離停止(供給ポンプ停止)時の排出動作について図12に従い実施例1の遠心分離装置との変更点のみ説明する。
【0074】
主モータ(301)の運転を一旦停止することにより、回転分離容器(10)の回転が停止し、前記回転分離容器(10)の内部に残存する残存液体は前記回転分離容器(10)の最下部から残存液体排出流路(902r)を経由し前記残存液体収容室(903r)に排出され、前記残存液体収容室(903r)と連通した残存液体排出管(904)を通じて遠心分離装置(1)の外部に排出される。
【0075】
なお、外部に排出された残存液体は、重液タンク(T2)に排出される。
【0076】
残存液体がすべて前記回転分離容器(10)から排出された後に、開閉自在シャッター(503)を開放する。
【0077】
開閉自在シャッター(503)開放後の動作については、実施例1の遠心分離装置と同様であるので省略する。
【実施例3】
【0078】
実施例3の遠心分離装置は、実施例1の遠心分離装置をベースに分離動作の改善を図り分離性能を向上させた遠心分離装置である。その構成について、図13に従い実施例1との変更点のみ説明する。
【0079】
遠心分離装置(1)は、ケーシング内に設置する回転分離容器(10)と、当該回転分離容器を支持する回転分離容器支持体(20)と、前記回転分離容器支持体を回転駆動することにより、当該回転分離容器(10)を回転させる駆動源である回転分離容器駆動機構(図示せず)と、当該回転分離容器(10)の軸心を貫通し設置する汚濁原液導入管(40)と、前記汚濁原液導入管(40)の直下に位置する円形状の振切り板天面部(421)、前記振切り板天面部(421)の円周側面から下部方向に垂下形成する円筒状の振切り板側面部(422)、及び前記振切り板側面部(422)の外側面上を一定間隔で上下方向に棒状突出する複数の汚濁液同期フィン部(423)で構成する汚濁液拡散同期ユニット(42)と、前記振切り板天面部(421)へのスラッジ混入を防止するためのスラッジガード(43)と、当該回転分離容器(10)の内側面に付着堆積した固体を掻きとり当該回転分離容器(10)の外部へと排出する固体排出機構(50)と、比重の軽い軽液を当該回転分離容器(10)の内部から外部へと導く軽液排出流路(60)と、比重の重い重液を当該回転分離容器(10)の内部から外部へと導く重液排出流路(70)と、で構成する。
【0080】
前記振切り板天面部(421)の直径は、滞留液面位置に達する長さに設定している。回転分離容器(10)の外部から内部に導入直後の汚濁原液を滞留液面位置まで直接誘導するためである。この構成にすることにより、汚濁原液が分離不十分の状態で軽液排出路(60)に排出されることを防止し得る。
【0081】
なお、前記汚濁液同期フィン部(423)の形状は、汚濁液を前記回転分離容器(10)の回転に効率よく同期出来れば良く、公知の様々な形状を採用し得る。この構成を採用することにより、汚濁液の分離効率が向上する。
【0082】
なお、前記スラッジガード(43)の形状は、前記振切り板天面部(421)へのスラッジ混入を防止出来れば良く、公知の様々な形状を採用し得る。
【0083】
次に、遠心分離装置(1)の遠心分離中の動作について、比重1未満の油成分と水成分(油成分1:水成分9の場合)とに固体成分(比重1よりも重い)も含まれる汚濁原液を導入した場合を例に取り、図13に従い実施例1との変更点のみ説明する。
【0084】
2000rpm〜3000rpm程度で回転する回転分離容器(10)の外部から内部へ、汚濁原液導入管(40)を介し汚濁原液を導入すると、当該汚濁原液は汚濁液拡散同期ユニットの振切り板天面部(421)の中央部付近に放出され前記振切り板天面部(421)の表面に沿って中央部付近から外周部へと放射状に拡散(飛散)し、そのまま滞留液面内へと導出され、直ちに遠心力の影響を受ける。
【0085】
前記滞留液面内へ導出した汚濁液は、遠心力及び前記汚濁液拡散同期ユニットの汚濁液同期フィン部(423)の動作により、水成分は前記回転分離容器(10)の内側面側に分離沈降し、比重1未満の油成分は分離沈降した前記水成分の上面側、すなわち前記回転分離容器(10)の軸心側に分離浮上する。
【0086】
その後の動作は、同様であるので省略する。
【実施例4】
【0087】
実施例4の遠心分離装置は、実施例2の遠心分離装置をベースに分離動作の改善を図り分離性能を向上させた実施例3の遠心分離装置の変形例である。
【0088】
遠心分離装置は、ケーシング内に設置する回転分離容器と、当該回転分離容器を支持する回転分離容器支持体と、前記回転分離容器支持体を回転駆動することにより、当該回転分離容器を回転させる駆動源である回転分離容器駆動機構と、当該回転分離容器の軸心を貫通し設置する汚濁原液導入管と、前記汚濁原液導入管の直下に位置する円形状の振切り板天面部、前記振切り板天面部の円周側面から下部方向に垂下形成する円筒状の振切り板側面部、及び前記振切り板側面部の外側面上を一定間隔で上下方向に棒状突出する複数の汚濁液同期フィン部で構成する汚濁液拡散同期ユニットと、前記振切り板天面部へのスラッジ混入を防止するためのスラッジガードと、当該回転分離容器の内側面に付着堆積した固体を掻きとり当該回転分離容器の外部へと排出する固体排出機構と、比重の軽い軽液を当該回転分離容器の内部から外部へと導く軽液排出流路と、比重の重い重液を当該回転分離容器の内部から外部へと導く重液排出流路と、残存液体を当該回転分離容器の内部から外部へと導く残存液体排出流路と、で構成する。
【0089】
その他の構成については、実施例3と同様であるので省略する。
【0090】
また、動作についても実施例3と略同様であるので省略する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本願発明の遠心分離装置は、汚濁原液に固体成分が含まれ得る場合であっても比重差を利用して2液に分離排出するとともに、固体成分をも簡易に除去排出できるため、保守性等を飛躍的に向上させる装置であるので、産業上の利用性を有する。
【符号の説明】
【0092】
1 遠心分離装置
10 回転分離容器
101 側面
102 蓋体
103 重液排出流路位置調整体
20 回転分離容器支持体
30 回転分離容器駆動機構
301 主モータ
302 主モータ軸プーリ
303 回転軸プーリ
304 結合ベルト
40 汚濁原液導入管
41 汚濁原液拡散振切り板
42 汚濁液拡散同期ユニット
421 振切り板天面部
422 振切り板側面部
423 汚濁液同期フィン部
43 スラッジガード
50 固体排出機構
501 固体掻きとりスクレーパ
502 固体排出通路
503 開閉自在シャッター
504 固体受け容器
505 ギヤモータ
506 駆動ベベルギヤ
507 ギヤモータ伸縮機構
508 スクレーパ側ベベルギヤ
509 主軸側ベベルギヤ
60 軽液排出流路
602r 軽液用隙間空間
603r 軽液収容室
604 軽液排出管
70 重液排出流路
701 仕切り板
702r 重液用隙間空間
703r 重液収容室
704 重液排出管
80 3方自動切換え弁
81 供給ポンプ
82 ワーク供給ポンプ
90 残存液体排出流路
901 仕切り壁
902r 残存液体用隙間空間
903r 残存液体収容室
904 残存液体排出管
A 比重1未満の油(成分)と水と比重1より重い固体(成分)との汚濁原液
B 汚濁原液Aから遠心分離した油(成分)
C 汚濁原液Aから遠心分離した水(成分)
D 汚濁原液Aから分離した固体(成分)
T1 軽液タンク
T2 重液タンク
M 点検孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転分離容器と、当該回転分離容器を支持する回転分離容器支持体と、当該回転分離容器を回転させる駆動源である回転分離容器駆動機構と、当該回転分離容器の外部から内部に汚濁原液を導入する汚濁原液導入管とを有し、当該回転分離容器を回転させることにより当該回転分離容器の内部で比重の異なる2液に分離し、分離した2液を別々の流路を通じて当該回転分離容器の外部に排出する遠心分離装置において、
前記回転分離容器の一方端を閉塞する蓋体と、
前記回転分離容器の内側面近傍に設置する固体掻きとりスクレーパと、
を有し、
前記蓋体に、当該回転分離容器の内部で比重の異なる2液に分離した液体成分のうち比重の重い重液を当該回転分離容器の外部に排出する連通路である重液排出流路が形成されていることを特徴とする遠心分離装置
【請求項2】
前記蓋体の上部に重液排出流路位置調整体を積層設置した請求項1の遠心分離装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−236184(P2012−236184A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188131(P2011−188131)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(598158130)株式会社 アメロイド日本サービス社 (5)
【Fターム(参考)】