説明

遠心力基盤の微細流動装置及び該微細流動装置を用いた試料分析方法

微細流動装置を提供する。この微細流動装置は、試料チャンバーと、試料チャンバーから試料を受け入れ、試料と試薬との反応によって試料中の成分を検出する少なくとも一つの分析ユニットと、微細流動装置の貯蔵条件を決定する変性検出チャンバーと、を含む。変性検出チャンバーは、温度及び水分含量によって吸光度が変わる材料を収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心力基盤の微細流動装置及び該微細流動装置を用いた試料分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微細流動装置の微細流動構造物の例には、少量の流体を収容できるチャンバーと、流体が通流するチャンネルと、流体の流量を調節できるバルブと、流体を収容すると共にあらかじめ定められた機能が行える様々な機能ユニットがある。生化学反応を含む各種の試験を行うために、上側に微細流動装置の微細流動構造物が装着される小型チップをバイオチップ(bio chip)といい、特に、一つのチップで様々な作業を行うように形成される装置を、ラボオンチップ(lab−on−a−chip)という。
【0003】
このような微細流動装置の微細流動構造物の内部で流体を運搬するためには駆動圧力が必要とされ、このような駆動圧力には、毛細管圧力またはポンプにより提供される圧力が用いられる。近年、ディスク状のプラットホームに微細流動構造物が装着される方式の遠心力基盤の微細流動装置が提案されてきている。このような装置をラップオンディスクまたはラボCDという。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一側面は、試料と試薬との反応物の吸光度を測定して試料の成分を分析する遠心力基盤の微細流動装置を開示する。
【0005】
本発明の他の側面は、接着剤を用いて複数の層を接合する方式で遠心力基盤の微細流動装置を製造する方法を開示する。
【0006】
本発明のさらに他の側面は、遠心力基盤の微細流動装置を用いて試薬と試料を反応させ、このようにして得られた反応物の吸光度を測定して試料の成分を検出する方式で試料を分析する方法を開示する。
【0007】
追加の態様及び/または利点の一部が、後述する説明に開示されており、一部は以下の説明から明らかになり、または本発明の実施から学ぶことができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の及び/または別の態様及び利点を達成するために、本発明の一つ以上の実施例によれば、試料チャンバーと、前記試料チャンバーから試料を受け入れ、試料と試薬との反応によって試料に含まれている成分を検出する少なくとも一つの分析ユニットと、微細流動装置の貯蔵条件を決定する変性検出チャンバーと、を含み、前記変性検出チャンバーは、温度及び/または水分含量によって吸光度が変わる材料を収容する、微細流動装置が提供されることができる。
【0009】
前記少なくとも一つの分析ユニットは、前記試料チャンバーに連結され、試料から上澄み液を分離する試料分配ユニットと、試料分配ユニットから供給される上澄み液を計測するような容量を有する上澄み液計測チャンバーと、上澄み液計測チャンバーに連結され、上澄み液を希釈するための希釈剤を収容する希釈チャンバーと、希釈試料を受け入れるために分配チャンネルを介して前記希釈チャンバーに連結され、且つ、試薬を収容している複数個の反応チャンバーと、を含むことができる。
【0010】
微細流動装置は、微細流動装置が前に使用されたか否かを決定するために吸光度が測定される使用検出チャンバーをさらに含むことができ、該使用検出チャンバーは、試料分配ユニットの一端に配置される。
【0011】
微細流動装置は、試料の量を決定するために吸光度が測定され、前記試料分配ユニットの容量を超過する試料超過量を収容する過剰試料チャンバーをさらに含むことができる。
【0012】
微細流動装置は、上澄み液の状態を決定するために吸光度が測定される上澄み液検出チャンバーをさらに含むことができる。該上澄み液検出チャンバーは、上澄み液を収容するために前記上澄み液計測チャンバーと試料分配ユニットとを連結するチャンネルに連結される。
【0013】
微細流動装置は、上澄み液計測チャンバーと試料分配ユニットとを連結するチャンネルに連結され、上澄み液計測チャンバーの容量を超過する上澄み液超過量を収容する過剰上澄み液チャンバーをさらに含むことができる。
【0014】
微細流動装置は、希釈試料の濃度を検出するための基準値を提供するために吸光度が測定され、前記試料分配ユニットから上澄み液を受け入れる少なくとも一つの第1濃度検出チャンバーをさらに含むことができる。微細流動装置は、少なくとも2つの第1濃度検出チャンバーを含むこともでき、前記少なくとも2つの第1濃度検出チャンバーは互いに異なる深さを有する。
【0015】
微細流動装置は、複数個の反応チャンバーより前に希釈試料を受け入れるように前記分配チャンネルに連結され、希釈チャンバーから希釈試料を受け入れる第2濃度検出チャンバーをさらに含むことができる。前記第2濃度検出チャンバーは、希釈チャンバーから2番目のチャンバーであり、第2濃度検出チャンバーの吸光度を測定することによって希釈試料の濃度を検出するように使用される。
【0016】
微細流動装置は、希釈試料を受け入れ、他の全ての反応チャンバーが希釈試料を受け入れてから最後に希釈試料を受け入れるように分配チャンネルに連結される希釈試料検出チャンバーをさらに含むことができる。
【0017】
微細流動装置は、温度によって吸光度が変わる材料を収容する温度検出チャンバーをさらに含むことができる。
【0018】
微細流動装置は、試薬を凍結乾燥状態で収容し、複数個の反応チャンバーに設置される複数個の試薬カートリッジをさらに含むことができる。
【0019】
微細流動装置は、互いに対面する状態で接合される第1層及び第2層を含むプラットホームと、前記第1層と第2層とを互いに接合するように第1層と第2層との間に配置される接着剤をさらに含むことができる。前記試料チャンバー、少なくとも一つの分析ユニット、及び変性検出チャンバーは、前記第1層に溝の形態で形成されることができる。
【0020】
前記接着剤は、波長の長い電磁波が照射されることによって硬化されることができる。接着剤は約200nm〜約900nmの波長を持つ光を吸収することによって硬化することができる。また、接着剤は、約250nm〜約600nmの波長を持つ光を吸収することによって硬化することができる。
【0021】
前記接着剤は硬化樹脂及び光重合開始剤を含むことができる。前記光重合開始剤は、ベンゾインエーテル、ベンゾフェノン物質、アミン物質、アセトフェノン物質、チオキサントン物質、ルイス酸物質、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれることができる。前記光重合開始剤は、カンフルキニーネ、α−ナフチル、ベンジル、2,4−ジエチルチオキサントン、トリメチルベンゾイルジフェニルスルホキシド、メチルチオキサントン、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれることができる。
【0022】
上記の及び/または別の態様及び利点を達成するために、本発明の一つ以上の実施例によれば、試料チャンバー、少なくとも一つの分析ユニット及び変性検出チャンバーにそれぞれ対応する溝を含む第1層を提供する段階と、第2層を提供する段階と、前記第1層及び/または第2層上に接着剤を塗布する段階と、前記第1層及び第2層を互いに貼り付ける段階と、接着剤に光を照射することによって接着剤を硬化させる段階と、を含む微細流動装置の製造方法が提供されることができる。
【0023】
上記の及び/または別の態様及び利点を達成するために、本発明の一つ以上の実施例によれば、試料チャンバーと、前記試料チャンバーから試料を受け入れて試料と試薬とを反応させ、このようにして得られた反応物の吸光度を測定して、試料に含まれている成分を検出する少なくとも一つの分析ユニットと、を含む微細流動装置を用いて、試料に含まれている成分を分析する方法であって、微細流動装置の試料チャンバーに試料を供給する段階と、回転駆動ユニットに微細流動装置を装着する段階と、微細流動装置における変性検出チャンバーの吸光度を測定して微細流動装置の貯蔵条件が試験に適切であるか否かを決定する段階と、を含み、前記変性検出チャンバーには、温度及び水分含量によって吸光度が変わる材料が収容されている、試料成分分析方法を提供することができる。
【0024】
上記方法は、回転駆動ユニットを用いて微細流動装置を回転させることで遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させる段階と、試料分配ユニットの一端に配置される使用検出チャンバーの吸光度を測定することによって、微細流動装置が前に使われたか否かを決定する段階と、を含むことができる。
【0025】
上記方法は、回転駆動ユニットを用いて微細流動装置を回転させることで、遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させる段階と、試料分配ユニットの容量を超過する試料超過量を収容する過剰試料チャンバーの吸光度を測定することによって、試料の量が充分であるか否かを決定する段階と、を含むことができる。
【0026】
上記微細流動装置が、試料チャンバーから試料を受け入れる複数個の直列分析ユニットを含む場合、複数個の分析ユニットうち最後にある最終分析ユニットの試料分配ユニットの容量を超過する試料は過剰試料チャンバーに収容されることができる。
【0027】
上記方法は、吸光度が温度によって変わる材料を収容する温度検出チャンバーの吸光度を測定することによって、微細流動装置の温度が試験に適当であるか否かを決定する段階を含むことができ、該決定段階は検出器を用いて行う。
【0028】
上記方法は、回転駆動ユニットを用いて微細流動装置を回転させることで、遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させて試料分配ユニットに収容されている試料から、遠心力を用いて上澄み液を分離する段階と、上澄み液の状態を示す少なくとも一つの数値を検出し、試料分配ユニットから上澄み液を受け入れる上澄み液検出チャンバーの吸光度を測定することによって、試料分配ユニットの排出口に配置されているバルブに作動欠陥があるか否かを決定する段階と、を含むことができる。
【0029】
上記方法は、上澄み液を試料分配ユニットから上澄み液計測チャンバーに移動させることによって、固定した量の上澄み液を計測する段階と、上澄み液計測チャンバーの容量を超過する上澄み液超過量を過剰上澄み液チャンバーに移動させる段階と、過剰上澄み液チャンバーの吸光度を測定することによって上澄み液の量が充分であるか否かを決定する段階と、を含むことができる。
【0030】
上記方法は、回転駆動ユニットを用いて微細流動装置を回転させることで遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させ、試料分配ユニットに収容されている試料から遠心力を用いて上澄み液を分離する段階と、試料分配ユニットから上澄み液を受け入れる少なくとも一つの第1濃度検出チャンバーの吸光度を測定する段階と、希釈チャンバーに収容されている希釈剤と上澄み液とを混合することによって希釈試料を形成する段階と、分配チャンネルを介して希釈チャンバーに連結されるチャンバーのうち、希釈チャンバーから少なくとも2番目の位置に配置される第2濃度検出チャンバーに分配チャンネルを通して希釈試料を供給して、第2濃度検出チャンバーの吸光度を測定する段階と、第1及び第2濃度検出チャンバーの吸光度及び深さ(長さ)に基づいて希釈試料の希釈比が適切であるか否かを決定する段階と、を含むことができる。
【0031】
上記方法は、回転駆動ユニットを用いて微細流動装置を回転させることで遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させ、試料分配ユニットに収容されている試料から上澄み液を遠心力を用いて分離する段階と、希釈チャンバーに収容されている希釈剤と上澄み液とを混合することによって希釈試料を形成する段階と、分配チャンネルを通して、順次に配置されている第2濃度検出チャンバー、試薬を収容している複数個の反応チャンバー、及び希釈試料検出チャンバーに希釈試料を供給する段階と、複数個の反応チャンバーの端部に配置される反応チャンバー及び希釈試料検出チャンバーのうち少なくとも一方の吸光度、及び第2濃度検出チャンバーの吸光度を測定することによって、希釈試料の希釈比の均一度を決定する段階と、を含むことができる。
【0032】
上記方法は、回転駆動ユニットを用いて微細流動装置を回転させることで遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させ、試料分配ユニットに収容されている試料から上澄み液を遠心力によって分離する段階と、希釈チャンバーに収容されている希釈剤と上澄み液とを混合することによって希釈試料を形成する段階と、分配チャンネルを通して、試薬を収容している複数個の反応チャンバーに希釈試料を供給する段階と、複数個の反応チャンバーの吸光度を測定することによって複数個の反応チャンバーに気泡が過度に存在するか否かを決定する段階と、を含むことができる。
【0033】
上記方法は、回転駆動ユニットを用いて微細流動装置を回転させることで遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させ、試料分配ユニットに収容されている試料から上澄み液を遠心力によって分離する段階と、希釈チャンバーに収容されている希釈剤と上澄み液とを混合することによって希釈試料を形成する段階と、分配チャンネルを通して、試薬を収容している複数個の反応チャンバーに希釈試料を供給する段階と、複数個の反応チャンバーの一端に配置される反応チャンバーの吸光度を測定することによって、複数個の反応チャンバーに収容されている流体が希釈試料であるか否かを決定する段階と、を含むことができる。
【0034】
上記方法は、微細流動装置の一側に付けられているバーコードからバーコード読み取り機を用いて微細流動装置の製造日、微細流動装置の有効期間、及び検出された吸光度と試料成分の濃度間の関係のうちの少なくとも一つを獲得する段階を含むことができる。
【0035】
上記の及び/または別の態様及び利点を達成するために、本発明の一つ以上の実施例によれば、試料チャンバーと、前記試料チャンバーから試料を受け入れて試料と試薬とを反応させ、このようにして得られた反応物の吸光度を測定して試料に含まれている成分を検出する少なくとも一つの分析ユニットと、を含む微細流動装置を用いて、試料に含まれている成分を分析する方法であって、微細流動装置の試料チャンバーに試料を装填する段階と、遠心力によって、すなわち、回転駆動ユニットを用いて微細流動装置を回転させることによって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させ、試料分配ユニットに収容されている試料から上澄み液を遠心力によって分離する段階と、希釈チャンバーに収容されている希釈剤と上澄み液とを混合することによって希釈試料を形成する段階と、分配チャンネルを通して、試薬を収容している複数個の反応チャンバーに希釈試料を分配する段階と、希釈チャンバーに連結されるチャンバーのうち、分配チャンネルから2番目の位置に配置され、かつ、試薬を含んでいないチャンバーの吸光度、及び分配チャンネルの一端に配置される2つの反応チャンバーのうちの少なくとも一方の吸光度を測定することによって、希釈試料の希釈比の均一度を決定する段階と、を含む方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
上記の及び/または別の態様及び利点が、添付の図面と共に開示される実施例の以下の説明から明らかになり、容易に理解されるであろう。
【図1】一実施例による微細流動装置の平面図である。
【図2】一実施例による二層型微細流動装置の構造図である。
【図3】一実施例による3層型微細流動装置の構造図である。
【図4】一実施例による試料チャンバー及び試料分配ユニットの詳細図である。
【図5】一実施例による常閉弁(normally closed valve)を示す断面図である。
【図6】図5の常閉弁の開放工程を説明するための断面図である。
【図7】一実施例による試薬カートリッジを示す斜視図である。
【図8】図1の微細流動装置を示す斜視図である。
【図9】一実施例による試料分析システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の好適な実施例を、例示的に与えられた添付図面を参照しつつ詳細に説明し、ただし、図面中、同一の構成要素には同一の参照符号を付する。したがって、本発明の実施例は、様々な形態とすることができ、本明細書に開示された説明に制限して解釈してはならず、よって、以下では、これら実施例は単に本発明の態様を説明するための目的としてのみ図面を参照して説明される。
【0038】
図1には、一実施例による微細流動装置が示されている。図1を参照すると、本実施例による微細流動装置は、回転可能なプラットホーム100、例えば、ディスク状のプラットホームと、流体を収容するための空間を提供する微細流動構造物、及び流体がプラットホーム100内で流動するように通過するチャンネルを含む。プラットホーム100は、中心点Cを中心に回転することができる。すなわち、微細流動装置は、分析装置の回転駆動ユニット510(図9参照)上に装着されて回転することができる。この場合、プラットホーム100に配置される微細流動構造物内において、プラットホーム100の回転による遠心作動によって試料の移動、混合などが行われることができる。
【0039】
プラットホーム100は、成形しやすく、かつ、生物学的に非活性状態の表面を持つ、アクリル、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのような塑性材料で形成されることができる。しかし、プラットホーム100の形成に使用される材料は、上記の材料に制限されず、化学的及び生物学的安全性、光透過性、及び機械的加工性を有するいかなる材料も使用可能である。プラットホーム100は、互いに積層または組み合わせられると微細流動構造物を形成できる複数の層からなることができる。これらの層のうちの少なくとも一つの層の一面には、チャンバーまたはチャンネルのような、深さを有する凹入または陥没した形態の構造物が形成され、これら層の接合により、プラットホーム100の内部に空間及びチャンネルが形成されることができる。例えば、図2に示すように、プラットホーム100は、下部層と上部層を含む二層型構造物にすることもできる。また、図3に示すように、プラットホーム100は、流体が通流できる流動チャンネル、及び流体を収容するための空間を形成する仕切り板を含む構造物とすることもできる。なお、プラットホーム100は、その他様々な方式で形成することもできる。
【0040】
プラットホーム100が複数の層で形成される場合、これら層は、接着剤を用いて接合することができる。例えば、プラットホーム100が下部層及び上部層を含む二層型構造物である場合、下部層と上部層とは、それら下部層と上部層との間に配置される接着剤を用いて接合することができる。接着剤は、下部層及び/または上部層上に塗布される液体材料にすることができる。このような接着剤は、紫外線の照射によって硬化するUV(紫外線)硬化型接着剤にすることができる。また、該接着剤は、可視光線の照射によって硬化する可視光硬化型の接着剤にすることもできる。
【0041】
このような接着剤は、硬化樹脂及び光重合開始剤(photopolymerization initiator)を含むことができる。この硬化樹脂は、エポキシアクリレート(epoxy acrylate)、ウレタンアクリレート(urethane acrylate)、ポリエステルアクリレート(polyester acrylate)またはシリコンアクリレート(silicon acrylate)のようなアクリル材料を含むことができる。なお、硬化樹脂は、トリアリルイソシアヌレート(triarylisocyanurate)またはマレイン酸ジアリール(diarylmaleate)のようなポリエン(polyenic)物質、またはトリメチロルプロパントリスチオプロピオネート(trimethylolpropane tris−thiopropionate)のようなポリチオール(polythiolic)物質を含むこともできる。また、硬化樹脂は、エポキシ樹脂(epoxy resin)またはビニルエーテル(vinyl ether)を含むこともできる。また、硬化樹脂は、前述した物質の組み合わせを含むこともできる。
【0042】
UV硬化型接着剤用の光重合開始剤は、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ベンゾフェノン(benzophenone)物質、アミン(amine)物質、アセトフェノン(acetophenone)物質、チオキサントン(thioxanthone)物質、ルイス酸ジアゾニウム(Lewis acid diazonium)、ルイス酸スルホニウム(Lewis acid sulfonium)またはルイス酸イオジウム(Lewis acid iodium)のようなルイス酸物質、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0043】
また、可視光硬化型接着剤用の光重合開始剤は、カンフルキニーネ(camphorquinine)のようなα−ジケトン(α−diketone)物質、α−ナフチル(Naphthyl)またはベンジル(benzyl)、2,4−ジエチルチオキサントン(2,4−diethylthioxantone)、トリメチルベンゾイルジフェニルスルホキシド(trimethylbenzoil diphenylsulfineoxide)、メチルチオキサントン(methylthioxantone)、またはこれらの組み合わせを含む。
【0044】
このような光重合開始剤の吸収スペクトルは、約200nm〜約900nmの最大波長範囲を有することができる。特に、光重合開始剤の吸収スペクトルは、約250nm〜約600nmの最大波長範囲を有することができる。
【0045】
前述の硬化樹脂及び光重合開始剤に加えて、接着剤は感光剤(sensitizer)をさらに含むことができる。感光剤は、酸素を消費して水素を生成し、この水素を光重合開始剤に提供して硬化反応を促進させる役割を果たすことができる。例えば、このような感光剤は、ジメチルアミノエチルメタクリレート(dimethylaminoethyl metacrylate)、n−ブチルアミン(n−butylamine)、トリエチルアミン(triethylamine)、4−ジメチルアミノベンゾ酸(4−dimethylamino benzoic acid)、イソアミル(isoamyl)、ヒドロシラン(hydrosilane)物質、スルホニルヒドラジッド誘導体(sulfonylhydrazide derivative)またはこれらの組み合わせを含むことができる。その他にも、接着剤は、安定化剤、充填剤、染料、顔料などをさらに含むことができる。
【0046】
以下では、上部層と下部層とを接合する接着剤を用いてプラットホーム100を作製する方法の一例を説明する。接着剤は、下部層及び/または上部層上に塗布することができる。このような接着剤の塗布は、接着剤の粘性に応じて様々な方法で行うことができる。粘性の低い接着剤は、接着剤を噴射するための少なくとも一つのノズルを有するインクジェットプリンタ(inkjet printer)を用いるインクジェット方法で塗布することができる。インクジェットプリントのノズルから一度に噴射される接着剤の量の範囲は、約1pl(ピコリットル)〜100μl(マイクロリットル)とすることができる。しかし、接着剤の塗布方法は前述のインクジェット方法に制限されず、その他様々な方法にすることもできる。例えば、粘性の高い接着剤は、シルクスクリーン(silk screen)を用いる方法によって塗布することもできる。
【0047】
次に、下部層と上部層とは貼り合わせられることができ、よって、これら下部層と上部層との間に接着剤を配置することができる。この接着剤には電磁波を照射することができる。所定の波長を有する光を接着剤に照射するために、光学フィルターを用いることができる。接着剤に含まれている光重合開始剤は、光を吸収してラジカル(radical)を生成するように作用することができる。このようにして生成された光重合開始剤のラジカルによって硬化樹脂の隣接領域がラジカルに変わることができる。これによって、硬化樹脂のラジカルが光重合反応によって互いに結合することで、下部層と上部層との接合がなされることができる。
【0048】
プラットホーム100の複数の層の接合方法が、電磁波を用いて接着剤を硬化させる前述した例に制限されることはない。接着剤に応じて適当な熱、圧力及び/または電磁波を印加する方式で下部層と上部層とを互いに接合することができる。
【0049】
以下、プラットホーム100に配置される例示的な微細流動構造物を、図1及び他の関連図面を参照して説明する。まず、試料チャンバー10がプラットホーム100の中心点Cに近接して配置される。該試料チャンバー10の内部に試料が収容される。試料チャンバー10には試料を装填するための開口11を形成することができる。
【0050】
このようなプラットホーム100には、少なくとも2つの試料チャンバー、及びこれら試料チャンバーから伝達される試料を受け入れて分析するための少なくとも2つの分析ユニットが配置されることができる。本実施例において、プラットホームは、共通の試料チャンバー、すなわち、試料チャンバー10から伝達される試料を収容する第1及び第2分析ユニット101,102を含む。
【0051】
例えば、第1及び第2分析ユニット101,102は、互いに異なる希釈比が要求される項目を試験することができる。例えば、アルブミン(ALB)、アミラーゼ(AMY)、血清尿素窒素(BUN)、カルシウム(Ca++)、総コレステロール(CHOL)、塩化物(Cl−)、クレアチン(CRE)、ブドウ糖(GLU)、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)、カリウム(K+)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)、ナトリウム(Na+)、総タンパク質(TP)、トリグリセリド(TRIG)、及び尿酸(UA)のような血液用試験項目は、普通、血清対希釈剤が約1:100の希釈比で希釈される。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アラニンホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、クレアチンキナーゼ(CK)、直接ビリルビン(D−BIL)及び総ビリルビン(T−BIL)は、普通、血清対希釈剤が約1:20の希釈比で希釈される。これによって、第1分析ユニット101は、血清対希釈剤が約1:100の希釈比で希釈される項目を試験することができ、第2分析ユニット102は、血清対希釈剤が約1:20の希釈比で希釈される項目を試験することができる。
【0052】
なお、これら第1及び第2分析ユニット101,102は、同一の希釈比を有する項目を試験するのに用いることもできる。また、第1分析ユニット101は遠心分離を必要とする項目を試験することができ、第2分析ユニット102は遠心分離を必要としない項目を試験することができる。第1及び第2分析ユニット101,102の構造は基本的に同一であり、したがって、以下では、第1分析ユニット101の構造を取り上げて詳細に説明する。
【0053】
第1分析ユニット101の試料分配ユニット30は、試料チャンバー10から伝達される試料を受け入れ、試験に必要な所定量の試料を計測するためのあらかじめ定められた容量を有するように形成されることができる。試料は、プラットホーム100の回転によって発生する遠心力によって試料チャンバー10から試料分配ユニット30に運搬される。したがって、試料分配ユニット30は、試料チャンバー10に比べて、プラットホーム10の中心点Cからより遠く離れた位置に配置される。試料分配ユニット30は、プラットホーム100の回転を用いて試料、例えば、血液を上澄み液と沈殿物(固形物質)とに分離する遠心分離器として機能することもできる。このような遠心分離を基盤にする試料分配ユニット30は、様々な方式で形成することができ、その例を、図1及び図4に示す。図1及び図4を参照すると、試料分配ユニット30は、プラットホーム100の円周面に向かって半径方向に延在するチャンネル形状の上澄み液収集ユニット31と、この上澄み液収集ユニット31の一端に配置されて、比重の大きい沈殿物を収集できる沈殿物収集ユニット32と、を含むことができる。
【0054】
第1分析ユニット101の試料分配ユニット30は、試料を収容している試料チャンバー10に直接連結されている。また、第2分析ユニット102の試料分配ユニット30aは、試料運搬ユニット20を介して試料分配ユニット30に連結されている。したがって、試料は、試料チャンバー10から試料分配ユニット30に供給されて試料分配ユニット30に満たされた後、試料運搬ユニット20を通して試料分配ユニット30aに満たされる。
【0055】
図4を参照すると、試料運搬ユニット20は、試料分配ユニット30に連結される第1連結部21と、試料分配ユニット30aに連結される第2連結部22と、を含む。これら第1及び第2連結部21,22は、試料運搬ユニット20の外壁25に形成されることができる。半径方向にプラットホーム100の中心点Cから第2連結部22までの半径R2を、プラットホーム100の中心点Cから第1連結部21までの半径R1よりも大きくすることができる。第1連結部21と第2連結部22との間の一地点における外壁25の曲率半径Rは、半径R1以上とすることができ、第1連結部21から第2連結部22に向かうにつれて漸次増加することができる。これによって、試料は微細流動装置の回転によって発生する遠心力によって試料分配ユニット30に運搬されて試料分配ユニット30に満たされた後、試料運搬ユニット20に運搬される。続いて、試料は試料分配チャンバー20内で、初期には遠心力によって試料運搬ユニット20の外壁25の内面に沿って流動した後、第2連結部22を通って試料分配ユニット30に移動する。このように一つの試料チャンバーから伝達される試料を受け入れる複数個の試料分配ユニットを形成することによって、試料を複数個の試料分配ユニットのそれぞれに装填しなければならないという不便さを防止することができる。試料運搬チャンバー20の説明と関連して使われている用語“外壁25”は、チャンバー20の外形を形成する他の壁に比べて、より半径方向外側に位置しているチャンバー20の一壁を意味する。
【0056】
試料分配チャンネル34が上澄み液収集ユニット31の一側に配置され、例えば、血液が試料として使われる場合、収集した上澄み液、すなわち、血清を次の作業を行うための構造物に分配する役割を果たす。このような試料分配チャンネル34は、バルブ35を介して上澄み液収集ユニット31に連結されている。
【0057】
バルブ35は、様々な形状を有しうる微細流動バルブとすることができる。バルブ35は、あらかじめ定められた圧力が印加されると受動的に開放される毛細管バルブにすることもでき、作動信号に応じて外部から起電力またはエネルギーを受けて能動的に作動するバルブとすることもできる。このバルブ35は、電磁波エネルギーを吸収するまでは、流体がチャンネル34を通して流動できない常閉弁である。
【0058】
図5及び図6は、一実施例による常閉弁を示す断面図である。図5を参照すると、本実施例による常閉弁は、室温で固体状態であるバルブ材料V1を含むことができる。バルブ材料V1は、図5に示すように、チャンネルC内に配置されてチャンネルCを閉鎖する役割を果たす。このバルブ材料V1は高温で溶融してチャンネルCの内部空間で移動し、図6に示すように、チャンネルCが開放されている間に再び凝固する。外部エネルギー供給源から電磁波のようなエネルギーが照射されることもできる。この外部エネルギー供給源は、レーザービームを照射するレーザー光源、または可視光線や赤外線を照射するキセノン(Xenon)ランプまたは発光ダイオードにすることができる。レーザー光源を使用する場合には、少なくとも一つのレーザーダイオードを含むことができる。このような外部エネルギー供給源は、バルブ材料V1に含まれている熱発生粒子により吸収できるような電磁波の波長に応じて選択することもできる。バルブ材料V1は、シクロオレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、またはポリビニリデンフルオライド(PVDF)のような熱可塑性樹脂とすることができる。また、バルブ材料V1は、室温で固体である相変化物質(phase change material)とすることもできる。この場合、相変化物質はワックスとすることができる。ワックスは、加熱すると溶融して液化状態にされてから膨脹する特性がある。このようなワックスの例には、パラフィンワックス、微晶質ワックス、合成ワックス、天然ワックスなどが挙げられる。また、相変化物質は、ゲル(gel)または熱可塑性樹脂にすることもできる。ゲルの例には、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアミドなどが挙げられる。また、バルブ材料V1には、電磁波エネルギーを吸収して熱を発生させる複数個の微細熱発生粒子が分散されていることもできる。このような微細熱発生粒子は、深さが約0.1mmで、幅が約1mmである微細なチャンネルCを容易に通過できるように、約1nm〜約100μmの直径を有する。例えば、電磁波エネルギー、例えばレーザー光が微細熱発生粒子に加えられると、微細熱発生粒子の温度は急上昇し、これによって、粒子から熱が発生し、かつワックス中に粒子が均一に分散される。このような微細熱発生粒子は、前述したような特性を示すように、金属成分を含むコア(core)と疎水性表面構造とから構成されることができる。例えば、微細熱発生粒子は、Fe−コアと、これを包囲している層と、からなることができる。この包囲層は、界面活性剤からなることができる。すなわち、界面活性剤分子がFe−コアに接合されている構造とすることができる。このような微細熱発生粒子は、キャリアオイル(carrier oil)中に分散されていても良い。疏水性表面構造を有する微細熱発生粒子が均一に分散されうるようにキャリアオイルも同様、疏水性のものにすることができる。相変化物質は、その溶融状態で微細熱発生粒子が分散されているキャリアオイルと混合されることができ、このように得られた混合材料がチャンネルC内に装填されて凝固することによって、チャンネルCを閉鎖する機能を果たす。微細熱発生粒子は前述のポリマー粒子に制限されるものではなく、量子点(quantum dot)または磁性ビーズ(magnetic bead)であっても良い。また、微細熱発生粒子は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe、またはHfOのような金属酸化物であっても良い。一方、バルブは、微細熱発生粒子を含まず、相変化物質からのみ形成することもできる。
【0059】
試料分配チャンネル34は、試料から分離される上澄み液を収容する上澄み液計測チャンバー50に連結される。上澄み液計測チャンバー50は、バルブ51を介して希釈チャンバー60に連結される。バルブ51は、前述したバルブ35と同一の形状を有する微細流動バルブとすることができる。
【0060】
希釈チャンバー60には、上澄み液及び希釈剤が所望の割合で混合されている希釈試料が収容される。したがって、本文書で使用されている用語“希釈試料(sample diluent)”は、希釈剤を使用して濃度が所望のの値に調節されている試料を意味する。ここで、所望する試料の濃度は、あらかじめ決定されることもでき、生物学試料分析分野における熟練者によって容易に決定されることもできる。試料の分析に一般的に用いられている上澄み液対希釈剤の希釈比を考慮して、希釈チャンバー60に予定された量の希釈緩衝液(dilution buffer)が収容される。上澄み液計測チャンバー50は、希釈比を考慮してあらかじめ定められた量の試料を収容しうるような容量を有するように設計されている。上澄み液計測チャンバーが完全に満たされている場合であっても、バルブ51が閉鎖状態に維持される限り、いかなる試料も上澄み液計測チャンバー50から希釈チャンバー60に流入することはできない。これによって、希釈チャンバー60へのいかなる所望量の試料も供給可能になるわけである。
【0061】
複数個の反応チャンバー70が希釈チャンバー60よりもプラットホームの中心点Cから遠く離れた位置に設けられる。反応チャンバー70は、分配チャンネル61を介して希釈チャンバー60に連結される。バルブ62が、分配チャンネル61を通した希釈試料の分配を制御するように設けられることができる。また、希釈試料が反応チャンバー70内に容易に分配されうるように空気排出通路を提供するバルブ63が設けられる。これらバルブ62,63は、前述したバルブ33と同じ形状を有する微細流動バルブとすることができる。
【0062】
反応チャンバー70内には、試料の一成分とそれぞれ異なる反応を引き起こすのに適当な試薬が収容されることができる。このような試薬は、微細流動装置の製造過程において、プラットホーム100を形成するために上部層と下部層とを接合する前に装填されることができる。また、反応チャンバー70は、閉鎖型反応チャンバーではなく、排気口または開口が形成されている形態にすることもできる。このような反応チャンバーでは、試験が行われる前に試薬が反応チャンバー70内に装填されることができる。この場合、試薬は、液体であっても良く、凍結乾燥した固体状態であっても良い。
【0063】
例えば、液体試薬の場合は、微細流動装置の製造過程で、プラットホーム100を形成する上部層と下部層との接合段階の前に反応チャンバー70内に装填することができ、同時に、凍結乾燥プログラムに従って凍結乾燥することができる。したがって、上部層と下部層とを接合することで、凍結乾燥試薬を内部に含む微細流動装置が提供される。選択的に、凍結乾燥試薬は、反応チャンバー70の内部に装填されうる除去可能なケースまたはカートリッジに収容することもできる。このような凍結乾燥試薬は、充填剤及び界面活性剤を液体試薬に添加し、この混合物を凍結乾燥する方式で提供されることができる。充填剤を使用することによって、希釈試料が反応チャンバー70内に装填される場合、凍結乾燥試薬を容易に溶解可能なような多孔性構造とすることができる。例えば、このような充填剤は、牛血清アルブミン(BSA)、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン(dextran)、マンニトール(mannitol)、ポリアルコール、ミオイノシトール(myo−inositol)、クエン酸、デヒドロ酢酸Na(EDTA2Na)、またはポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル(BRIJ−35)とすることができる。少なくとも一つまたは2つの充填剤が使われることもできる。充填剤の種類は試薬の種類に応じて異なることもある。また、例えば、界面活性剤は、ポリオキシエチレン、ラウリルエーテル、オクトキシノール、ポリエチレンアルキルアルコール、ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル;エチレン酸化物、エトキシ化トリデシルアルコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、及びナトリウムドデシル硫酸塩のうちの一つにすることができる。少なくとも1つまたは2つの界面活性剤が添加されることができる。界面活性剤の種類は、試薬の種類に応じて異なることもある。
【0064】
また、図7に示すように、凍結乾燥状態の試薬を収容する試薬カートリッジ105が、それぞれの反応チャンバー70に配置されることもできる(またはチャンバーの内部に挿入されることもできる)。この場合、液体試薬の内蔵されている試薬カートリッジ105を凍結乾燥化反応させる方式によって凍結乾燥試薬を収容している試薬カートリッジ105を事前製作することもできる。
【0065】
また、プラットホーム100の内部には、基準値を提供する役割を果たし、かつ試料チャンバー10から試料が伝達されない基準ユニット103が配置されることができる。反応検出時に基準値を獲得するために、希釈チャンバー80には希釈剤が貯蔵されることができる。また、検出基準値を獲得するために、空いていたり希釈剤を内部に含んでいる複数個のチャンバー90が、プラットホーム100の中心点Cから希釈チャンバー80よりも遠く離れた位置に配置されることができる。これらチャンバー90は、チャンネル81を介して希釈チャンバー80に連結されている。チャンネル81にはバルブ82が形成されることができる。また、バルブ83は空気排出通路を提供するのに使用される。これらバルブ82,83はバルブ35と同一に形成されることができる。また、チャンネル81の一端には、全てのチャンバー90の内部に希釈剤が含まれているか否かを決定するためにチャンバー91を配置する。
【0066】
詳細に説明してはいないが、微細流動装置には微細流動装置の内部の空気を放出するための複数個の空気排出通路を設けることができる。
【0067】
以下では、本実施例による微細流動装置を使用して信頼性ある分析結果分を獲得するためのチャンバー(総称して品質管理(QC)チャンバーと呼ばれることもできる。)を、図1を参照して説明する。
【0068】
微細流動装置が前に使われたことがあるか否かを確認するために、試料分配ユニット30の一端に先使用(prior use)検出チャンバー41が配置される。試料チャンバー10から試料分配ユニット30に試料を供給するに先立ち、後述するような検出器520(図9)を用いて先使用検出チャンバー41の吸光度を測定し、先使用検出チャンバー41の内部に試料が存在するか否かを検出する方式によって、微細流動装置が前に使われたことがあるか否かを決定することができる。
【0069】
試験を行うのに適当な十分な量の試料が試料分配ユニット30に供給されたか否かを決定するために過剰試料チャンバー42が提供される。この過剰試料チャンバーはチャンネルを介して分析ユニットの試料分配ユニットの一端(普通、回転中心点Cに近い端部)に連結されることができる。図1に示す好適な実施例において、過剰試料チャンバー42は、チャンネル42aを介して第2分析ユニット102の試料分配ユニット30aの上端部に連結されている。試料チャンバー10の試料が試料分配ユニット30に満たされた後、試料運搬ユニット20を通過して流動して試料分配ユニット30aに満たされる。その後、残りの試料はチャンネル42aを通して過剰試料チャンバー42へと運搬される。このように、試料が試料チャンバー10から試料分配ユニット30,30aに供給された後、試験に必要な量の試料が試料分配ユニット30,30aに供給されたか否かを確認するために、遠心分離を行うに先立ち、後述するような検出器520(図9)を用いて過剰試料チャンバー42の吸光度を測定することによって、過剰試料チャンバー42内の試料の存在有無を決定することができる。単一試料チャンバー10から伝達される試料を収容する少なくとも2つの分析ユニットが含まれる場合、過剰試料チャンバー42は、最後に試料を受け入れる分析ユニットの試料分配ユニットに連結される。また、複数個の分析ユニットに試料を供給するために複数個の試料チャンバーが含まれる場合、それぞれの分析ユニットの試料分配ユニットに連結される複数個の過剰試料チャンバーが提供されることもできる。
【0070】
上澄み液検出チャンバー43が試料分配ユニット30の上澄み液収集ユニット31と希釈チャンバー60との間で試料分配チャンネル34に連結される。一実施例において、上澄み液検出チャンバー43は、チャンネル36を介して試料分配チャンネル34に連結されることもできる。他の実施例において、上澄み液検出チャンバー43は、試料分配ユニット30の上澄み液収集ユニット31と過剰上澄み液チャンバー44との間で試料分配チャンネル34に連結されることができる。バルブ35が開放されると、上澄み液検出チャンバー43が上澄み液で満たされる。その後、検出器520(図9)を使用して上澄み液検出チャンバー43の吸光度が測定される。バルブ35の作動状態は、上澄み液検出チャンバー43の吸光度を測定することによって確認することができる。例えば、測定された吸光度レベルが、上澄み液検出チャンバー43が空いている状態であることを示す場合、これは、バルブ35が適切に作動しなかったことを意味することができる。
【0071】
上澄み液検出チャンバー43は上澄み液の作用状態を確認するのに使用されることもできる。上澄み液検出チャンバー43の測定された吸光度によって溶血数値、黄疸数値及び血中脂肪数値を算出することができる。
【0072】
過剰上澄み液チャンバー44が上澄み液収集ユニット31と希釈チャンバーとの間で試料分配チャンネル34に連結されることができる。また、過剰上澄み液チャンバー44は、チャンネル37を介して試料分配チャンネル34に連結されることもできる。チャンネル37にはバルブ38を形成することができる。バルブ38は、バルブ35と同様に常閉弁とする。バルブ38が開放されると、上澄み液計測チャンバー50が上澄み液で満たされ、上澄み液は続いて過剰上澄み液チャンバー44内に流動する。過剰上澄み液チャンバー44の吸光度を決定することによって上澄み液の量が充分であるか否かが確認できる。
【0073】
上澄み液検出チャンバー43と過剰上澄み液チャンバー44を、第2濃度決定チャンバー45と共に、希釈試料の希釈比が適切であるか否かを決定するための第1濃度決定チャンバーとして使用することができる。この場合、上澄み液検出チャンバー43と過剰上澄み液チャンバー44の深さは互いに異なることもある。ランベルト・ベール(Beer−Lambert)の法則によれば、吸光度は、試料の濃度及び光経路の長さに比例する。換言すると、試料の濃度が同一であり、光経路の長さが互いに異なる場合、吸光度は、光経路の長さに比例して変わる。また、光経路の長さは同一であり、試料の濃度が互いに異なると、吸光度は、試料の濃度に比例して変わる。上澄み液検出チャンバー43と過剰上澄み液チャンバー44に収容されている上澄み液の濃度が同一であるから、上澄み液検出チャンバー43及び過剰上澄み液チャンバー44の吸光度を測定することで、光経路の長さ、すなわち、2つのチャンバーの深さ及び吸光度間の関係が算出できる。
【0074】
希釈試料の吸光度を算出するために第2濃度決定チャンバー45が提供される。この第2濃度決定チャンバー45は、分配チャンネル61を介して希釈チャンバー60に連結されているチャンバーのうち、希釈チャンバー60から2番目に早い位置に配置されて、分配チャンネル61を通して希釈試料を受け入れるように構成されている。第2濃度決定チャンバー45の前方には少なくとも一つのダミー(dummy)チャンバー45aを配置することができる。
【0075】
全ての反応チャンバー70に希釈試料が収容されているか否かを決定するために希釈試料検出チャンバー46が提供される。この希釈試料検出チャンバー46には試薬が収容されていない。希釈試料検出チャンバー46は分配チャンネル61の一端に配置され、すなわち、希釈試料が他の全ての反応チャンバーに分配された後、希釈試料が最後に分配される位置に配置される。したがって、分配チャンネル61を通して供給される希釈試料は、最後に希釈試料検出チャンバー46に満たされる。これによって、希釈試料検出チャンバー46の吸光度を測定することによって、全ての反応チャンバー70が希釈試料を内部に収容しているか否かが決定できる。例えば、希釈試料検出チャンバー46の測定された吸光度レベルが、希釈試料検出チャンバー46が空いている状態であることを示すと、これは、バルブ62の作動欠陥を意味することができる。
【0076】
試料が試験を行うのに適当な温度を有しているか否かを確認するために温度測定チャンバー47が提供される。このために、温度測定チャンバー47には、例えば、吸光度がその温度変化によって変わる材料を供給することができる。例えば、温度測定チャンバー47にthyon染料(thyon dye)が供給されることができる。後述されるような検出器520(図9)を用いて温度測定チャンバー47の吸光度を測定することによって、微細流動装置の温度が試験を行うのに適切であるか否かが決定できる。温度測定チャンバー47は微細流動装置のいずれの位置に配置されても良い。
【0077】
微細流動装置の貯蔵条件を決定するために変性検出チャンバー48が提供される。このために、変性検出チャンバー48内には、温度変化及び/または水または水分含量によって吸光度が変わる材料が収容されていることができる。本実施例では、基準ユニット103のチャンバー90のうちの一つが変性検出チャンバー48として使用されているが、本発明の実施例はこれに制限されず、2つ以上のチャンバー90が変性検出チャンバーとして使用されることもできる。
【0078】
第2濃度決定チャンバー45と希釈試料検出チャンバー46は一緒に、希釈試料の希釈比が一定であるか否かを決定するチャンバーとして機能することができる。
【0079】
検出器520(図9)の移動を最小化するために、QCチャンバー41〜48、反応チャンバー70、及びチャンバー90が、プラットホーム100の中心点Cから同一の半径方向の距離に配置されることができる。
【0080】
図8は、一実施例による微細流動装置の斜視図である。図8を参照すると、本実施例による微細流動装置は、プラットホーム100の一側に配置されるバーコード140を含む。バーコード140はプラットホーム100の一側に取り付けられることができる。このようなバーコード140には、微細流動装置の製造日及び有効期間を事前に記録することができる。また、バーコード140には、反応チャンバー70の吸光度レベルと検出/分析される材料の濃度との関係に関するデータが含まれることができ、試験結果値の即座読み取りが可能になる。また、バーコード140には、上澄み液検出チャンバー43の吸光度レベルと上澄み液の状態との関係を示す溶血数値、黄疸数値及び血中脂肪数値のようなデータを事前に記録することができる。
【0081】
図9には、一実施例による図1の微細流動装置を使用する試料分析システムを示す。図9を参照すると、一実施例による微細流動装置を使用する試料分析システムは、回転駆動ユニット510、検出器520、及び電磁波発生器530を含む。回転駆動ユニット510は、試料の遠心分離及び流体の移動に必要な遠心力を提供するように微細流動装置を回転させる。また、回転駆動ユニット510は、微細流動装置のバルブが電磁波発生器530に対面して配置されるように、あらかじめ定められた位置で微細流動装置を停止させる。電磁波発生器530はバルブを開放するために電磁波、例えば、レーザー光を照射する。電磁波発生器530は微細流動装置の半径方向に移動可能である。また、回転駆動ユニット510は、チャンバーと検出器520を整列するように、あらかじめ定められた位置で微細流動装置を停止させる。また、図9には示していないが、回転駆動ユニット510は、微細流動装置の角度位置を制御できるモーター駆動ユニットを含むことができる。例えば、モーター駆動ユニットは、ステップモーターまたは直流モーターとすることができる。検出器520は、検出しようとする材料の蛍光性、発光性及び/または吸光度のような光学特性を検出する。バーコード読み取り機540が、プラットホーム100の一側に形成されているバーコードを検出する。回転駆動ユニット510、検出器520、電磁波発生器530、及びバーコード読み取り機540はいずれも、あらかじめ定められた測定チャンバー550内に配置される。測定チャンバー550を試験に適切な温度に維持するようにヒーター560が提供される。また、試料分析工程を制御する制御ユニット570が、測定チャンバー550の外側に配置される。
【0082】
以下では、微細流動装置を用いて試料を分析するための方法について説明する。本実施例では、血液分析方法を取り上げて説明する。
【0083】
<試料供給>
微細流動装置の希釈チャンバー60,80は、希釈剤を予め内蔵していることができる。そうでない場合は、希釈剤が希釈チャンバー60,80に開口(図示せず)を通して供給されることができる。患者から得た全体血液試料が試料チャンバー10に供給され、微細流動装置は回転駆動ユニット510上に装着される。
【0084】
<バーコードデータの獲得>
プラットホーム100の一側に形成されたバーコード140のデータが、バーコード読み取り機540によって読み取られる。バーコード140に事前に記録されているデータから微細流動装置の製造日及び有効期間が確認でき、有効期間の確認を通じて微細流動装置が効果的な試験を行うような状態にあるか否かが決定できる。微細流動装置が効果的な試験を行うような状態にないとすれば、制御ユニット570が微細流動装置を入れ替えるべき旨を知らせる警告メッセージを発生させることもできる。また、バーコード140に事前に記録されているデータは、吸光度レベルと分析しようとする材料の濃度との関係に関するデータを含むことができ、よって、操作者は、測定された吸光度レベルに当該関係を適用することができる。制御ユニット570は、このような比較過程を行うことで、指示子(indicator)または所望するフォーマットの試験結果値を発生させることができる。
【0085】
<微細流動装置が使用されたことがあるか否かの決定>
試料分配ユニット30の一端に配置される先使用検出チャンバー41の吸光度が、検出器520によって測定される。その結果、測定された吸光度が、使用検出チャンバー41が内部に血液または血液成分を含んでいることを示すと、これは微細流動装置が既に使用されたことを意味する。この場合、制御ユニット570は微細流動装置の入れ替えを知らせる警告メッセージを発生させる。
【0086】
<微細流動装置の貯蔵条件の決定>
検出器520を用いて変性検出チャンバー48の吸光度を測定する。水分含量及び温度変化によって変性され、これによって吸光度が変わる材料が変性検出チャンバー48の内部に含まれているから、変性検出チャンバー48の吸光度を検出することによって微細流動装置の貯蔵条件を決定することができる。試薬の活性度を維持するために、反応チャンバー70に含まれている試料分析のための試薬は、通常、約4℃の温度に維持される。試薬の貯蔵条件が適当でない場合、すなわち、試薬が所定期間の間に不適当な条件下に貯蔵された場合、反応チャンバー70中の試薬は活性度を喪失することもある。微細流動装置の貯蔵条件が不良であれば、制御ユニット570は微細流動装置の入れ替えを知らせる警告メッセージを発生させることができる。
【0087】
<温度測定>
検出器520を用いて温度測定チャンバー47の吸光度を測定する。温度によって吸光度が変わるThyon染料が温度測定チャンバー47に供給されるから、温度測定チャンバー47の吸光度から微細流動装置の温度が検出できる。微細流動装置は、試薬と希釈剤の活性度を維持するために冷たく維持することができる。所定期間冷たく維持された微細流動装置は試験に直ちに使用されることができないから、微細流動装置の温度が試験の開始に適切な温度、例えば、20℃よりも高くない場合、制御ユニット570は装置の低温状態及び/または加温工程の必要性を示すメッセージを発生させる。この場合、装置は、例えば、1分間待機状態に設定されることもできる。ヒーター560が駆動することによって、測定チャンバー550の温度が上昇することができる。その後、微細流動装置が試験開始に適切な温度に到達するまで温度測定チャンバー47の吸光度を測定する方式で微細流動装置の温度を測定するための作動が繰り返され、以降、試験を行うことができる。ここで、反復回数は、事前に適切に設定されることができ、試験開始までも所望の温度に依然として到達しなかった場合、制御ユニット570は、誤りまたは警告メッセージを発生させることができる。
【0088】
<試料の量が適切か否かの決定>
微細流動装置が低速で回転することによって血液試料が試料チャンバー10から試料分配ユニット30へと運搬される。ここで、“低速”は、流体を移動させるのに適切な遠心力を発生させる回転速度のことをいう。例えば、微細流動装置は11秒間1800rpm/10secの加速度で回転することができる。したがって、試料は、遠心力によって試料チャンバー10から試料分配ユニット30へと移動する。試料分配ユニット30に満たされた後、試料は試料運搬ユニット20を通して試料分配ユニット30aへと移動する。試料分配ユニット30aに満たされた後には、血液試料がチャンネル42aを通して過剰試料チャンバー42に移動する。過剰試料チャンバー42の吸光度が検出器520によって測定される。この吸光度は、過剰試料チャンバー42中の血液試料の量によって変わる。過剰試料チャンバー42の測定された吸光度に基づいて血液試料の量が充分でないと決定されると、制御ユニット570は、分析を中止し、試料チャンバー10へより多量の血液試料を供給するように警告メッセージを発生させることができる。
【0089】
<試料の遠心分離>
過剰試料チャンバー42の測定された吸光度に基づいて血液試料の量が充分であると決定されると、血液の遠心分離を行う。回転駆動ユニット510により微細流動装置が高速で回転する。ここで、“高速”とは、血液が血清または血しょうのような上澄み液と血球のような沈殿物とに分離されうるような回転速度のことをいう。例えば、微細流動装置は、約160秒間3600rpm/10secの加速度で回転することができる。その後、重い血球は沈殿物収集ユニット32に運搬され、上澄み液は上澄み液収集チャンバー31内に残される。
【0090】
<上澄み液の計測>
電磁波発生器530を用いて閉鎖バルブ35に電磁波を照射する。その後、図6に示すように、バルブ材料Vが溶融され、これによってバルブ35が開放される。回転駆動ユニット510によって微細流動装置が回転されて遠心力が発生する。以降、上澄み液が、上澄み液収集ユニット31から試料分配チャンネル34を通して上澄み液計測チャンバー50と上澄み液検出チャンバー43に運搬される。上澄み液計測チャンバー50の排出口に設けられたバルブ51は閉鎖バルブであり、よって、上澄み液計測チャンバー50には上澄み液が満たされる。
【0091】
<バルブ35の誤作動の決定>
検出器520を用いて上澄み液検出チャンバー43の吸光度を測定する。上澄み液検出チャンバー43の吸光度が、上澄み液検出チャンバー43が空いている状態であることを示すと、これは、バルブ35が適切に作動しておらず、上澄み液が上澄み液計測チャンバー50及び上澄み液検出チャンバー43に移動していないことを示すことができる。この場合、電磁波発生器530を用いてバルブ35を開放する工程を再び行い、上澄み液検出チャンバー43の吸光度を再び測定することができる。このような測定回数は適切に設定すればいい。例えば、測定された吸光度が、該当の作動が1回反復された後に、上澄み液検出チャンバー43が空いている状態であることを示す場合、制御ユニット570はバルブ35の誤作動または警告メッセージを表示することもでき、微細流動装置の入れ替えを知らせる警告メッセージを発生させることもできる。
【0092】
<上澄み液の状態の決定>
測定された吸光度が、上澄み液検出チャンバー43が完全に満たされていないか、十分な量の上澄み液を含んでいないかを示す場合、上澄み液検出チャンバー43の測定された吸光度に基づいて上澄み液の状態を確認することができる。例えば、バーコード140に事前に記録されているデータを用いて、装置中の上澄み液の溶血数値、黄疸数値及び血中脂肪数値を算出することができる。これらの数値は、信頼できない結果値から信頼できる結果値を分類するのに使用することができる。
【0093】
<上澄み液の量の決定>
電磁波発生器530を用いてチャンネル37の入口に配置されているバルブ38を開放する。微細流動装置が回転する場合、上澄み液収集ユニット31と試料分配チャンネル34内の上澄み液が遠心力によって過剰上澄み液チャンバー44内に流動する。検出器520を用いて過剰上澄み液チャンバー44の吸光度を測定する。測定された吸光度が、過剰上澄み液チャンバー44が充分または適切な量(あらかじめ定められた値であっても良い。)の上澄み液を含んでいることを示す場合、これは、上澄み液計測チャンバー50に十分な量の上澄み液が収容されていることを意味する。測定された吸光度が、過剰上澄み液チャンバー44が完全に満たされていないか、または、空いた空間があらかじめ定められたレベルを超えていることを示す場合、これは、上澄み液の量が充分でないことを意味する。この場合、上澄み液計測チャンバー50内に収容されている上澄み液の量が充分でないか、バルブ38が作動不良状態でありうる。このため、バルブ38の開放工程が再び行われ、過剰上澄み液チャンバー44の吸光度を再び測定することができる、このような測定作動は1回のみ反復しても良い。吸光度の反復測定値が、上澄み液が相変らず不充分であることを示す場合、制御ユニット570は、微細流動装置を入れ替えて試験を再び行うべき旨を知らせる警告メッセージを発生させることができる。
【0094】
<希釈試料の濃度を決定するための測定基準値>
上澄み液検出チャンバー43と過剰上澄み液チャンバー44の吸光度が所望する範囲(“正常範囲”)にある場合、吸光度を、希釈試料の濃度を検出するための基準値を算出するのに用いることができる。吸光度は、チャンバー(43または44)中の上澄み液の量及び上澄み液検出チャンバー43及び過剰上澄み液チャンバー44の深さ(長さ)に左右される。上澄み液検出チャンバー43及び過剰上澄み液チャンバー44の深さが互いに異なるという仮定の下に、上澄み液検出チャンバー43と過剰上澄み液チャンバー44の深さ及びこれらの吸光度間の関係を算出することができる。
【0095】
<希釈試料の形成>
電磁波発生器530を用いてバルブ51を開放する。微細流動装置が回転すると、上澄み液が上澄み液計測チャンバー50から希釈チャンバー60に移動する。バルブ63も開放されて、空気排出通路を形成することができる。希釈剤と上澄み液とが混合されるように、回転駆動ユニット510によって微細流動装置が数回往復移動することができる。これによって、希釈チャンバー60内で希釈試料が形成される。
【0096】
<温度の再測定>
微細流動装置の温度を再び測定することができる。例えば、血液のような生体試料の分析は、約37℃±1℃の温度で行うをことができる。血液分析に用いられる試薬は通常、上記の温度であらかじめ定められた吸光度を示すように開発されたものである。したがって、検出器520は温度を測定するために温度測定チャンバー47の吸光度を検出する。温度が約37℃±1℃の温度に到達していないと、制御ユニット570は加温または加熱メッセージを発生させ、待機状態を維持する。ここで、ヒーター560が駆動することによって測定チャンバー550の温度が上昇する。以降、微細流動装置の温度を測定するために温度測定チャンバー47の吸光度を繰り返し検出する。微細流動装置の温度が約37℃±1℃に到達すると、試験を連続して行うことができる。温度の再測定回数は適切に、例えば、1回に設定することができる。反復測定にもかかわらず、微細流動装置の温度が約37℃±1℃に到達しないと、制御ユニット570は、温度誤りまたは警告メッセージを発生させることもでき、試験を終了または中止させることもできる。また、制御ユニット570は、微細流動装置の入れ替えを知らせる警告メッセージを発生させることもできる。
【0097】
<希釈試料の分配>
電磁波発生器530を用いてバルブ62を開放する。微細流動装置が回転すると、分配チャンネル61を通して希釈試料が過剰上澄み液チャンバー45、反応チャンバー70、及び希釈試料検出チャンバー46に満たされる。また、電磁波発生器530を用いてバルブ82,83を開放する。微細流動装置が回転すると、希釈チャンバー80中の希釈剤がチャンネル81を通してチャンバー90に満たされる。
【0098】
<希釈試料の分配の決定>
希釈試料が分配チャンネル61から最後に分配される、チャンネル61の一端に配置される希釈試料検出チャンバー46の吸光度を、検出器520を用いて測定する。この吸光度が、希釈試料検出チャンバー46中に希釈試料が存在していることを示す場合、これは、希釈試料が反応チャンバー70に完全に満たされたことを意味する。測定された吸光度が、反応チャンバー70が空いている状態であることを示すと、これはバルブ62の作動不良を意味することができる。この場合、バルブ62の開放工程を再び行い、希釈試料検出チャンバー46の吸光度を再び測定する。また、吸光度が再び測定される場合、バルブ51及びバルブ62の開放工程を再び行うことができる。2回反復測定時にまたはその後に、希釈試料検出チャンバー46が空いていると決定されると、制御ユニット570は、微細流動装置を入れ替えるべき旨を知らせる警告メッセージを発生させることができる。再測定回数は、例えば、1回に設定することができる。
【0099】
基準ユニット90において希釈試料が最後に分配される、チャンネル81の一端に配置されるチャンバー91の吸光度を、検出器520を用いて測定する。測定された吸光度が、チャンバー91が希釈剤を含んでいることを示す場合、これは、希釈剤がチャンバー91に満たされていることを意味する。測定された吸光度が、チャンバー91が空いていることを示す場合は、バルブ62が作動不良状態であることを意味することができる。この場合、バルブ82の開放工程を再び行い、チャンバー91の吸光度を再び測定する。チャンバー91が依然として空いていると決定されると、制御ユニット570は、微細流動装置の入れ替えを知らせる警告メッセージを発生させることができる。再測定回数は、例えば、1回に設定することができる。
【0100】
<バルブ51の誤作動の検出>
希釈試料が最後に分配される、反応チャンバー70の一端に配置される反応チャンバー71の吸光度を、検出器520を用いて測定する。測定された吸光度が、反応チャンバー71が希釈剤のみを含んでいることを示す場合、これは、バルブ51の誤作動によって上澄み液が希釈剤と混合されていないことを意味する。基準ユニット103のチャンバー91に希釈のみが収容されているので、反応チャンバー71の吸光度がチャンバー91の吸光度と同一であれば、これは、反応チャンバー71に相変らず希釈のみが存在することを意味する。この場合、制御ユニット570は、誤りまたは警告メッセージを発生させることもでき、分析を終了または中止させることもできる。
【0101】
<分析用の吸光度の測定>
希釈試料と試薬とが混合されるように、回転駆動ユニット510によって微細流動装置を往復移動させることができる。以降、反応チャンバー70と第2濃度測定チャンバー45の吸光度、そして必要時には基準ユニット103のチャンバー90の吸光度を測定する。反応が終了するまでチャンバーの吸光度を確認するために所定の時間間隔で反復して吸光度を測定することによって、それぞれのチャンバーの反応終点を決定することができる。バーコード140に事前に記録されている吸光度と検出しようとする成分の濃度との関係を用いて、複数個の分析項目のそれぞれに対して検出しようとする成分の濃度を算出する。
【0102】
<希釈比の決定>
第2濃度測定チャンバー45、上澄み液検出チャンバー43、及び/または過剰上澄み液チャンバー44の吸光度を用いて、希釈試料の希釈比が適切であるか否かを決定する。例えば、濃度Cを有する試料が、深さL1を有するチャンバー内に注入され、該試料の吸光度値がA1であり、濃度Cを有する同一試料が深さL2を有するチャンバー内に注入される場合、試料の吸光度値A2は、(L2/L1)A1である。例えば、L1が6mmで、L2が1.2mmの場合、A2は(1/5)A1である。また、L1が6mmで、L2が0.6mmの場合、A2は(1/10)A1である。以降、濃度Cを有する試料を使用して、試料対希釈剤が1:Bの希釈比を有するように希釈試料を形成する。以降、希釈試料は、深さL3を有するチャンバーに収容され、ここで、希釈試料の吸光度値はA3とする。希釈試料中の試料の濃度はC/Bであり、吸光度値は光経路の長さに比例するので、A3は、(1/B)(L3/L1)A1である。例えば、L1=L3=6mmで、B=100の場合、A3は、1/100A1である。また、L1=6mmで、L3=1.2mmで、B=100の場合、A3は、(1/100)(1/5)A1=(1/500)A1である。また、L1=L3=6mmで、B=20の場合、A3は、(1/20)A1である。また、L1=6mmで、L3=1.2で、B=20の場合、A3は、(1/20)(1/5)A1=(1/100)A1である。これによって、第2濃度測定チャンバー45、上澄み液検出チャンバー43、及び/または過剰上澄み液チャンバー44の吸光度を既に知っていると、上澄みそのものの濃度を知らなくても、希釈試料の吸光度値を算出することができる。
【0103】
上澄み液検出チャンバー43、過剰上澄み液チャンバー44、及び第2濃度検出チャンバー45の深さ(または長さ)が微細流動装置の製造過程で決定されて、既に知られている反面、希釈比が知られている希釈試料の吸光度値は、上澄み液検出チャンバー43と過剰上澄み液チャンバー44中の上澄み液の吸光度値を測定して算出することができる。これにより、第2濃度測定チャンバー45で測定される吸光度値が、上澄み液検出チャンバー43と過剰上澄み液チャンバー44で測定される吸光度値から推定される吸光度値の許容可能な誤差範囲と一致するか、または、この範囲内に属する場合、希釈試料の希釈比を適切な値として決定することができ、かつ、信頼性ある試験結果を得ることができる。また、第2濃度測定チャンバー45で測定される吸光度値、及び上澄み液検出チャンバー43及び過剰上澄み液チャンバー44で測定される吸光度値から希釈試料の希釈比を算出でき、希釈試料の算出希釈比が、所望の希釈比の許容可能な誤差範囲と一致したり、この範囲内に属する場合、試験結果は、信頼性あるものとされることができる。この方法によれば、試料上澄み液の濃度が知られていない場合であっても、単に光経路の長さ及び吸光度値を用いて希釈試料の希釈比を測定でき、試験の信頼度を確認することができる。また、希釈試料の希釈比は、上澄み液検出チャンバー43及び過剰上澄み液チャンバー44の吸光度から上澄み液の濃度及び深さ間の関係を算出することによって、かつ、第2濃度測定チャンバー45の吸光度及び深さを用いて決定することができる。
【0104】
<希釈均一度の決定>
第2濃度検出チャンバー45の吸光度と反応チャンバー70の一端に配置されている反応チャンバー71または希釈試料検出チャンバー46の吸光度とを比較する。第2濃度検出チャンバー45の吸光度が反応チャンバー71または希釈試料検出チャンバー46の吸光度と一致すると、これは、全ての反応チャンバー70内に収容されている希釈試料の希釈比が略同一であることを意味し、この場合、分析結果は正確なものとされることができる。希釈チャンバー60内で上澄み液と希釈剤が均一に混合されていない場合、第2濃度検出チャンバー45の吸光度値が、希釈試料検出チャンバー46または反応チャンバー71の吸光度値と違うこともある。
【0105】
<反応チャンバーの気泡の確認>
反応チャンバー70と吸光度及び基準ユニット103のチャンバーの吸光度が、チャンバー中に過度な気泡が存在することを示す場合、気泡の発生した試験項目と関連して誤りメッセージが発される。チャンバーまたは試料の吸光度における大幅の変化は、過度な気泡が存在することを意味することができる。したがって、チャンバーの吸光度の測定は、過度な気泡が存在するか否かを決定するのに用いられることができる。
【0106】
本明細書に開示されている好適な実施例は、単に説明のためのもので、本発明を制限するためのものでないことが理解されるであろう。それぞれの実施例における特徴または態様の説明は、通常、その他の実施例の他の類似する特徴または態様にも利用可能なものとして見なすべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料チャンバーと、
前記試料チャンバーから試料を受け入れて、試料と試薬との反応によって試料に含まれている成分を検出する少なくとも一つの分析ユニットと、
微細流動装置の温度及び水分含量のうち少なくとも一つが、あらかじめ定められた範囲にあるか否かを決定する変性検出チャンバーと、
を含み、
前記変性検出チャンバーは、温度及び/または水分含量によって吸光度が変わる材料を収容することを特徴とする、微細流動装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの分析ユニットは、
前記試料チャンバーに連結され、試料から上澄み液を分離する試料分配ユニットと、
上澄み液分配ユニットに連結され、上澄み液を希釈するための希釈剤を収容する希釈チャンバーと、
希釈試料を収容するために、第1端部及び第2端部を有する共通分配チャンネルを介して前記希釈チャンバーに平行に連結される複数個の反応チャンバーと、
を含み、
前記それぞれの反応チャンバーは試薬を収容し、
前記希釈試料は、前記分配チャンネル内で第1端部から第2端部に向かって流動することを特徴とする、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項3】
前記試料分配ユニットから供給される上澄み液を計測する役割を果たし、試料分配ユニットと希釈チャンバーとの間に配置され、チャンネルを通して試料分配ユニット及び希釈チャンバーと流体連通する上澄み液計測チャンバーをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の微細流動装置。
【請求項4】
微細流動装置が前に使用されたか否かを決定するために吸光度が測定される先使用検出チャンバーをさらに含み、
前記先使用検出チャンバーは、前記試料チャンバーまたは試料分配ユニットと流体連通することを特徴とする、請求項2に記載の微細流動装置。
【請求項5】
試料の量を決定するために吸光度が測定され、前記試料分配ユニットの容量を超過する試料超過量を収容する過剰試料チャンバーをさらに含み、
前記過剰試料チャンバーは、試料分配ユニットと流体連通することを特徴とする、請求項2に記載の微細流動装置。
【請求項6】
上澄み液の状態を決定するために吸光度が測定される上澄み液検出チャンバーをさらに含み、
前記上澄み液検出チャンバーは、前記上澄み液計測チャンバー及び試料分配ユニットを連結するチャンネルに連結されることを特徴とする、請求項3に記載の微細流動装置。
【請求項7】
希釈試料の濃度を決定するための基準値を提供するために吸光度が測定され、、前記試料分配ユニットから上澄み液を収容する少なくとも一つの第1濃度決定チャンバーをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の微細流動装置。
【請求項8】
少なくとも2つの第1濃度決定チャンバーを含み、
前記少なくとも2つの第1濃度決定チャンバーは、長さが互いに異なることを特徴とする、請求項7に記載の微細流動装置。
【請求項9】
前記分配チャンネルに連結され、希釈チャンバーから希釈試料を受け入れる第2濃度決定チャンバーをさらに含み、
前記第2濃度決定チャンバーは、複数個の反応チャンバーの前で希釈試料を受け入れるための位置で分配チャンネルに連結され、
微細流動装置は、第2濃度決定チャンバーと希釈チャンバーとの間に配置されるダミーチャンバーをさらに含み、このダミーチャンバーは、第2濃度決定チャンバーの前にで希釈試料を受け入れ、
前記第2濃度決定チャンバーは、その吸光度の測定によって希釈試料の濃度を決定するのに用いられることを特徴とする、請求項2に記載の微細流動装置。
【請求項10】
試薬を凍結乾燥状態で収容し、それぞれの反応チャンバーに設置される複数個の試薬カートリッジをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の微細流動装置。
【請求項11】
温度によって吸光度が変わる材料を収容する温度検出チャンバーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項12】
互いに対面する状態で接合される第1層及び第2層を含むプラットホームと、
前記第1層と第2層とを互いに接合するように第1層と第2層との間に配置される接着剤と、
をさらに含み、
前記試料チャンバー、少なくとも一つの分析ユニット、及び変性検出チャンバーは、前記第1層に溝の形態で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項13】
前記接着剤は、吸収スペクトルの波長が最大約200nm〜約900nmの範囲にある光重合開始剤を含むことを特徴とする、請求項12に記載の微細流動装置。
【請求項14】
前記接着剤は、吸収スペクトルの波長が最大約250nm〜約600nmの範囲にある光重合開始剤を含むことを特徴とする、請求項13に記載の微細流動装置。
【請求項15】
前記接着剤は、硬化樹脂及び光重合開始剤を含むことを特徴とする、請求項12に記載の微細流動装置。
【請求項16】
前記光重合開始剤は、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ベンゾフェノン(benzophenone)物質、アミン(amine)物質、アセトフェノン(acetophenone)物質、チオキサントン(thioxanthone)物質、ルイス酸(Lewis acid)物質、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項15に記載の微細流動装置。
【請求項17】
前記光重合開始剤は、カンフルキニーネ(camphor quinine)、α−ナフチル(Naphthyl)、ベンジル(benzyl)、2,4-ジエチルチオキサントン(2,4−diethylthioxantone)、トリメチルベンゾイルジフェニルスルホキシド(trimethylbenzoil diphenylsulfineoxide)、メチルチオキサントン(methylthioxantone)、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項15に記載の微細流動装置。
【請求項18】
試料チャンバーと、該試料チャンバーから試料を受け入れて試料と試薬との反応混合物を形成し、試料中の成分を検出するために前記反応混合物の吸光度を測定する少なくとも一つの分析ユニットと、を含む微細流動装置を用いて、試料に含まれている成分を分析する方法であって、
微細流動装置の試料チャンバーに試料を供給する段階と、
回転駆動ユニットに微細流動装置を装着する段階と、
微細流動装置の変性検出チャンバーの吸光度を測定して、微細流動装置の温度及び水分含量のうちの少なくとも一方があらかじめ定められた範囲にあるか否かを決定する段階と、
を含み、
前記変性検出チャンバーは、温度及び/または水分含量によって吸光度が変わる材料を収容していることを特徴とする方法。
【請求項19】
回転駆動ユニットを用いて微細流動装置を回転させることで遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させる段階と、
試料チャンバーまたは試料分配ユニットと流体連通する先使用検出チャンバーの吸光度を測定することによって、微細流動装置が前に使用されたか否かを決定する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させる段階と、
試料分配ユニットの容量を超過する試料超過量を収容する過剰試料チャンバーの吸光度を測定することによって、試料の量が充分であるか否かを決定する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
吸光度が温度によって変わる材料を収容する変性検出チャンバーの吸光度を測定することによって、微細流動装置の温度が試験に適当であるか否かを決定する段階を含み、
前記決定段階は、検出器を用いて行うことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させ、遠心力を用いて試料分配ユニットに収容されている試料から上澄み液を分離する段階と、
上澄み液の状態を示す少なくとも一つの数値を検出し、試料分配ユニットから上澄み液を受け入れる上澄み液検出チャンバーの吸光度を測定することによって、試料分配ユニットの排出口に配置されているバルブに作動欠陥があるか否かを決定する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
試料分配ユニットから上澄み液計測チャンバー内に流動する上澄み液の量を計測する段階と、
上澄み液計測チャンバーの容量を超過する上澄み液超過量を過剰上澄み液チャンバーに移動させる段階と、
過剰上澄み液チャンバーの吸光度を測定することによって上澄み液の量が充分であるか否かを決定する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させ、試料分配ユニットに収容されている試料から上澄み液を分離する段階と、
試料分配ユニットから上澄み液を受け入れる少なくとも一つの第1濃度決定チャンバーの吸光度を測定する段階と、
希釈チャンバーに収容されている希釈剤と上澄み液とを混合することによって希釈試料を形成する段階と、
分配チャンネルを通して希釈試料を第2濃度決定チャンバーに供給し、第2濃度決定チャンバーの吸光度を測定する段階と、
第1及び第2濃度決定チャンバーの測定された吸光度及び深さを用いて、希釈試料の希釈比が、あらかじめ定められた範囲にあるか否かを決定する段階と、
を含み、
前記第2濃度決定チャンバーは、希釈試料が試薬と接する、希釈チャンバーと反応チャンバーとの間に配置され、
前記第2濃度決定チャンバーは、希釈チャンバー及び反応チャンバーと流体連通することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させ、試料分配ユニットに収容されている試料から遠心力によって上澄み液を分離する段階と、
希釈チャンバーに収容されている希釈剤と上澄み液とを混合することによって希釈試料を形成する段階と、
分配チャンネルを通して、順次に配置されている第2濃度決定チャンバー、試薬を収容している複数個の反応チャンバー、及び希釈試料検出チャンバーに希釈試料を供給する段階と、
それぞれの反応チャンバーに分配される希釈試料の希釈比が一定であるか否かを決定するために、複数個の反応チャンバーの一端に配置される反応チャンバーと希釈試料検出チャンバーのうちの少なくとも一方の吸光度及び第2濃度決定チャンバーの吸光度を測定する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させ、試料分配ユニットに収容されている試料から遠心力によって上澄み液を分離する段階と、
希釈チャンバーに収容されている希釈剤と上澄み液とを混合することによって希釈試料を形成する段階と、
分配チャンネルを通して、試薬を収容している複数個の反応チャンバーに希釈試料を供給する段階と、
複数個の反応チャンバーの吸光度を測定することによって、複数個の反応チャンバーに気泡が過度に存在するか否かを決定する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
遠心力によって試料チャンバーから試料分配ユニットに試料を移動させ、試料分配ユニットに収容されている試料から遠心力によって上澄み液を分離する段階と、
希釈チャンバーに収容されている希釈剤と上澄み液とを混合することによって希釈試料を形成する段階と、
分配チャンネルを通して、試薬を収容している複数個の反応チャンバーに希釈試料を供給する段階と、
他の全ての複数個の反応チャンバーが希釈試料を受け入れた後に希釈試料を最後に受け入れる位置の反応チャンバーの吸光度を測定することによって、複数個の反応チャンバーに収容されている流体が希釈試料であるか否かを決定する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
微細流動装置の製造日、有効期間、及び検出された吸光度と試料成分の濃度との関係のうちの少なくとも一つの情報を決定する段階を含み、
前記情報は、微細流動装置の表面に付けられるバーコードに事前に記録され、
前記決定段階は、バーコードを読み取ることによって行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−506027(P2012−506027A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530962(P2011−530962)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005893
【国際公開番号】WO2010/044598
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】