説明

遠隔制御装置、遠隔制御システム、遠隔制御方法およびプログラム

【課題】テレビ等の対象表示装置に注目した状態でも所望の操作を継続可能な遠隔制御装置および遠隔制御システムを提供する。
【解決手段】テレビに実行させる所定の処理を割当てられた1以上のオブジェクトが表示される表示パネル101と、表示パネルに対するポインタの接触状態および接触位置Pを検出する接触状態検出部103と、オブジェクトに対する操作を検出するための所定の検出領域Aを表示パネル上でオブジェクト毎に設定し、オブジェクトの検出領域内でポインタによるタップ操作が検出されると、オブジェクトの検出領域がタップ操作時のポインタの接触位置の側にシフトするように、オブジェクトの検出領域を再設定する検出領域設定部105とを備えた、遠隔制御装置および遠隔制御システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔制御装置、遠隔制御システム、遠隔制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン受像装置等の外部機器を遠隔制御するリモートコントローラ等の遠隔制御装置が知られている。一般に、遠隔制御装置の操作に応じて外部機器の状態が変化するので、ユーザーは、外部機器の状態の変化を通じて操作の実行を確認することができる。このため、ユーザーは、遠隔制御装置上の操作子の配置を一旦確認すると、遠隔制御装置を見ずに外部機器に注目した状態で所望の操作を継続する傾向にある。
【0003】
ここで、遠隔制御装置にハードウェア的に設けられた操作子を操作する場合であれば、ユーザーは、遠隔制御装置を見ずとも、触覚により操作子の配置をある程度確認し、必要に応じて指の位置を修正することもできる。これにより、ユーザーは、外部機器にある程度注目した状態で、所望の操作を継続することができる。一方、下記特許文献1に開示されるように、ソフトウェアキーボード等、遠隔制御装置にソフトウェア的に設けられた操作子を操作する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−32509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この場合、ユーザーは、操作子の配置を一旦確認しても、触覚により操作子の配置を確認することも、必要に応じて指の位置を修正することもできない。このため、継続的な操作を通じて指の位置が意図せずに移動してしまうと、所望の操作子を操作できずに誤操作が生じてしまう場合がある。よって、ユーザーは、外部機器にある程度注目した状態で、所望の操作を継続することができない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、外部機器にある程度注目した状態でも所望の操作を継続可能な、遠隔制御装置、遠隔制御システム、遠隔制御方法およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある実施形態によれば、外部機器に実行させる所定の処理を割当てられた1以上のオブジェクトが表示される表示パネルと、表示パネルに対するポインタの接触状態および接触位置を検出する接触状態検出部と、オブジェクトに対する操作を検出するための所定の検出領域を表示パネル上でオブジェクト毎に設定し、オブジェクトの検出領域内でのポインタによるタップ操作が検出されると、オブジェクトの検出領域がタップ操作時のポインタの接触位置の側にシフトするように、オブジェクトの検出領域を再設定する検出領域設定部と、を備える遠隔制御装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、オブジェクトの検出領域内でのタップ操作に応じて、オブジェクトの検出領域が表示パネル上でタップ操作時のポインタの接触位置の側にシフトする。このため、継続的な操作を通じてポインタの位置が意図せずに移動しても、所望の操作子(オブジェクト)を操作可能であり、誤操作も生じ難くなる。よって、ユーザーは、外部機器にある程度注目した状態で、所望の操作を継続することができる。
【0009】
また、本発明の別の実施形態によれば、前述した遠隔制御装置および外部機器を有する遠隔制御システムが提供される。
【0010】
また、本発明の別の実施形態によれば、外部機器に実行させる所定の処理を割当てられた1以上のオブジェクトを表示パネルに表示し、オブジェクトに対する操作を検出するための所定の検出領域を、表示パネル上でオブジェクト毎に設定し、オブジェクトの検出領域内でのポインタによるタップ操作が検出されると、オブジェクトの検出領域がタップ操作時のポインタの接触位置の側にシフトするように、オブジェクトの検出領域を再設定する、遠隔制御方法が提供される。
【0011】
また、本発明の別の実施形態によれば、前述した遠隔制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。プログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体を用いて提供されてもよく、通信手段を介して提供されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、外部機器にある程度注目した状態でも所望の操作を継続可能な、遠隔制御装置、遠隔制御システム、遠隔制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る遠隔制御システムを示す図である。
【図2】携帯電話およびテレビに表示されるGUIを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯電話の主要な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る制御方法を示すフロー図である。
【図5A】本発明の第1の実施形態に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図5B】本発明の第1の実施形態に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図5C】本発明の第1の実施形態に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図5D】本発明の第1の実施形態に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図6A】本発明の第1の実施形態の変形例に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図6B】本発明の第1の実施形態の変形例に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図6C】本発明の第1の実施形態の変形例に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る遠隔制御方法を示すフロー図である。
【図8A】本発明の第2の実施形態に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図8B】本発明の第2の実施形態に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図8C】本発明の第2の実施形態に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図8D】本発明の第2の実施形態に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【図8E】本発明の第2の実施形態に係る遠隔制御方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
[1.遠隔制御システムの構成]
まず、図1および図2を参照しながら、遠隔制御システムの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る遠隔制御システムを示す図である。図2は、携帯電話100およびテレビ10に表示されるGUI(Graphical User Interface)M1、M2を示す図である。
【0016】
遠隔制御システムは、携帯電話100(遠隔制御装置)、およびテレビジョン受像機10(外部機器:以下、テレビ10と称する。)から構成される。なお、遠隔制御装置は、携帯電話100以外に、表示部を有するテレビ専用または汎用のリモートコントローラ等でもよく、外部機器は、テレビ10以外に、表示部を有するパーソナルコンピュータ、プロジェクター、オーディオ装置等でもよい。
【0017】
携帯電話100は、ネットワーク接続、赤外線通信等のインターフェイス、表示パネル101を有し、テレビ10を含む外部機器を遠隔制御するためのGUIアプリケーションを実装している。テレビ10は、ネットワーク接続、赤外線通信等のインターフェイス、ディスプレイ11を有し、携帯電話100を含む遠隔制御装置により制御可能なGUIアプリケーション(GUIメニュー、写真ブラウザ、Webブラウザ等)を実装している。携帯電話100およびテレビ10は、少なくとも携帯電話100からテレビ10の方向で、無線または有線により通信可能な状態にある。
【0018】
図2に示すように、携帯電話100の表示パネル101には、上・下・左・右移動(↑↓←→)ボタンO1〜O4、決定(OK)ボタンO5、およびオプションボタンO6〜O8が各々にオブジェクトとして操作メニューM1上に表示されている。テレビ10のディスプレイ11には、例えば写真ブラウザの選択メニューM2として、サムネイルIの配列とともにカーソルCが表示されている。
【0019】
ユーザーUは、上・下・左・右移動ボタンO1〜O4の操作により、所望のサムネイルI上にカーソルCを移動させ、決定ボタンO5の操作によりサムネイルIを選択する。ここで、ボタンO1〜O5が操作されると、携帯電話100は、各ボタンO1〜O5に割当てられている処理(例えばカーソルCの移動等)の実行指令をテレビ10に送信し、テレビ10は、実行指令に基づいて所定の処理を実行する。また、ユーザーUは、オプションボタンO6〜O8の操作により、各オプションボタンO6〜O8に割当てられたオプション処理の実行を選択し、所定の処理をテレビ10または携帯電話100に実行させる。
【0020】
ここで、携帯電話100では、テレビ10に実行させる所定の処理を割当てられた1以上のオブジェクトOがパネル101に表示され、表示パネル101に対するユーザーUの指等の接触状態および接触位置Pが検出される。オブジェクトOに対する操作を検出するための所定の検出領域AがオブジェクトO毎に設定される。オブジェクトOの検出領域A内でのタップ操作がトリガーとして検出される。そして、携帯電話100では、トリガーが検出されると、オブジェクトOの検出領域Aがタップ操作時の指の接触位置Pの側にシフトするように、オブジェクトOの検出領域Aが再設定される。
【0021】
[2.携帯電話100の構成]
図3は、本発明の実施形態に係る携帯電話100の主要な構成を示すブロック図である。携帯電話100は、表示パネル101、接触状態検出部103、検出領域設定部105、遠隔制御部107、警告通知部109、表示制御部111、記憶部113、通信部115を含む。
【0022】
表示パネル101は、表示制御部111から供給される表示データを表示するとともに、表示パネル101に接触するユーザーUの指等のポインタを検出する。なお、ポインタは、ユーザーUの指に限らず、スタイラス・ペン、ポインティング・デバイス等、表示パネルに対する接触/非接触および接触位置を示すことができるものであればよい。表示パネル101は、特に、アイコン、ボタン、サムネイル等、GUIを構成する任意のオブジェクトO毎に設定されるオブジェクトデータに基づいて、オブジェクトOを表示する。
【0023】
表示パネル101は、圧力式、静電容量式、光学式等のセンサ101a(以下では、センサ101aの場合を想定する。)、およびリード回路101bを含む。センサ101aは、表示パネル101に接触するポインタを検出し、リード回路101bは、センサ101aによるポインタの検出状況を検出データとして接触状態検出部103に供給する。
【0024】
接触状態検出部103は、リード回路101bから供給される検出データに基づいて、ポインタの接触/非接触状態および接触位置Pを検出する。検出領域A内でポインタの接触状態が検出されたオブジェクトOは、操作対象オブジェクトOtとして設定される。接触状態検出部103は、オブジェクトOの検出領域A内でのタップ操作(ポインタの接触状態から非接触状態への変化)をトリガーとして検出し、トリガーを検出領域設定部105および選択的に遠隔制御部107に供給する。
【0025】
検出領域設定部105は、表示パネル101上でオブジェクトO毎に所定の検出領域Aを設定する。所定の検出領域Aは、記憶部113に予め格納されているオブジェクトデータに基づいて設定される。所定の検出領域Aは、オブジェクトOの表示領域を含む領域として設定され、検出領域Aには所定の基準点が設定される。以下では、基準点が検出領域Aの中心点Gとして設定される場合を想定する。
【0026】
検出領域設定部105は、接触状態検出部103によりトリガーが検出されると、検出領域Aがタップ操作時のポインタの接触位置Pの側にシフトするように、検出領域Aを再設定する。以下では、特に、検出領域Aの中心点Gがタップ操作時のポインタの接触位置Pにシフトするように、検出領域Aが再設定される場合を想定する。これにより、ユーザーUは、同一の操作対象オブジェクトOtを連続して操作する場合に、所望の操作を継続し易くなる。
【0027】
また、検出領域設定部105は、検出領域Aが再設定された後、所定のリセット期間に亘って任意のオブジェクトOに対する操作が検出されない場合に、検出領域Aを初期化する(所定の検出領域Aに復帰する)。これにより、ユーザーUは、オブジェクトOに対する操作の開始時(ユーザーUがオブジェクトOの配置を確認すると想定される。)に、オブジェクトOの配置に対応する所定の検出領域Aに基づいて、所望の操作を開始することができる。
【0028】
また、検出領域設定部105は、後述するように検出領域Aのシフト量が所定の警告閾値を超えている状態で、検出領域Aのシフト量が所定のキャンセル閾値を超えると、検出領域Aを初期化する。ここで、警告閾値は、検出領域Aの再設定により、例えば検出領域Aの少なくとも一部が表示パネル101の表示範囲から逸脱してしまう場合のシフト量として設定され、キャンセル閾値は、検出領域Aの逸脱量が警告時よりも大きくなるシフト量として設定される。これにより、操作性の著しい低下を未然に防止することができる。
【0029】
遠隔制御部107は、オブジェクトOの検出領域A内でタップ操作(トリガーに相当する。)が検出された場合に、オブジェクトOに割当てられた処理の実行指令を、通信部115を介してテレビ10に送信する。なお、遠隔制御部107は、タップ操作が検出された場合の代わりに、オブジェクトOの検出領域A内でポインタの接触状態(タッチ操作)が検出された場合に、実行指令を送信してもよい。
【0030】
警告通知部109は、検出領域Aのシフト量が所定の警告閾値を超えると、警告手段を介してユーザーUに警告を通知する。これにより、操作性の低下が見込まれる場合に、オブジェクトOの配置の再確認をユーザーUに促すことができる。警告手段は、いずれも不図示であるが、携帯電話100に設けられたバイブレータ、スピーカー等でもよく、テレビ10に設けられたディスプレイ、スピーカー等でもよい。
【0031】
表示制御部111は、表示パネル101による表示を制御し、特にオブジェクトOの表示を制御する。表示制御部111は、オブジェクトOの表示を制御するために、記憶部113に格納されているオブジェクトデータに基づいて、オブジェクトOの画像データを表示パネル101に供給する。
【0032】
記憶部113は、オブジェクトデータをオブジェクトOのIDに関連付けて格納している。オブジェクトデータは、オブジェクトOの画像データ、表示パネル101上の表示位置・領域を示すデータ、検出領域Aのデータ、割当てられた処理等を示すデータを含む。ここで、検出領域Aのデータは、所定の検出領域Aを示す初期データ、および検出領域Aの再設定に応じて更新される更新データからなる。
【0033】
通信部115は、ネットワーク接続、赤外線通信手段等からなり、テレビ10等の外部機器との間でデータ、指令等の送受信を行う。通信部115は、特に、遠隔制御部107の指示に応じて、オブジェクトOに割当てられた処理の実行指令をテレビ10に送信する。
【0034】
なお、携帯電話100の各構成要素は、汎用的な部材、回路により構成されてもよく、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されてもよい。また、各構成要素の機能のうち少なくとも一部は、CPU上で実行されるプログラムにより実現されてもよい。本発明の実施形態に係る遠隔制御方法は、携帯電話100のCPU上で実行されるプログラムにより実現されてもよい。
【0035】
[3.第1の実施形態]
以下では、図4および図5A〜5Dを参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る遠隔制御方法について説明する。図4および図5A〜5Dは、本発明の第1の実施形態に係る遠隔制御方法を示すフロー図および説明図である。
【0036】
検出領域設定部105は、オブジェクトデータに基づいて、オブジェクトO毎に所定の検出領域Aを設定(初期化)する(ステップS101)。ここで、図5Aに示すように、所定の検出領域A(A1〜A5)は、各オブジェクトO(ボタンO1〜O5)の表示領域を含むように排他的に設定されている。なお、検出領域Aは、矩形状に限定されず、任意の形状に設定されてもよい。
【0037】
接触状態検出部103は、任意のオブジェクトOの検出領域A内でポインタの接触状態が検出されているかを判定する(S103)。接触状態が検出された場合に、接触状態が検出領域A内で検出されたオブジェクトOは、操作対象オブジェクトOtとして設定される(S105)。
【0038】
ここで、表示制御部111は、図5Bに示すように、操作対象オブジェクトOtの設定状況がユーザーUにより視認可能となるように、操作対象オブジェクトOt(図5では、ボタンO4に相当する。)の表示を変更してもよい。なお、図5では、ポインタの接触位置Pが黒丸により示されている。
【0039】
操作対象オブジェクトOtが設定されると、接触状態検出部103は、操作対象オブジェクトOtの検出領域A(At)内でポインタによるタップ操作が検出されているかを判定する(S107)。タップ操作が検出されている場合に、接触状態検出部103は、タップ操作をトリガーとみなし、遠隔制御部107および検出領域設定部105にトリガーを供給する。ここで、接触状態検出部103は、操作対象オブジェクトOtとして同一のオブジェクトOが連続して設定された場合にのみ、検出領域設定部105にトリガーを供給してもよい。
【0040】
なお、図5では、接触状態の検出後にポインタによるドラッグ操作が行われずに、非接触状態が検出される場合を想定している。このため、非接触状態が検出されない場合には、非接触状態の検出判定(S107)が繰返される。しかし、接触状態の検出後にドラッグ操作によりポインタの接触位置Pが変更される場合を想定してもよい。この場合、操作対象オブジェクトOtの検出領域At外で接触状態が検出されているかを判定し、該当する場合に検出状態の判定(S103)が再び行われるようにすればよい。
【0041】
トリガーを供給されると、遠隔制御部107は、オブジェクトデータに基づいて、操作対象オブジェクトOtに割当てられた処理の実行指令を、通信部115を介してテレビ10に送信する(S109)。
【0042】
トリガーを供給されると、検出領域設定部105は、全オブジェクトOの検出領域を再設定(シフト)する(S111)。ここで、図5では、全オブジェクトとは、上・下・左・右移動ボタンO1〜O4および決定ボタンO5を意味しているが、オプションボタンO6〜O8を含んでもよい。
【0043】
検出領域設定部105は、図5Cに示すように、ボタンO4(操作対象オブジェクトOt)の検出領域A4(At)がタップ操作時のポインタの接触位置Pの側にシフトするように、全オブジェクトO1〜O5のオブジェクトデータを再設定する。ここで、ボタンO4の検出領域A4は、検出領域A4の中心点Gがタップ操作時のポインタの接触位置Pとなるようにシフトされる。他のボタンO1〜O3、O5の検出領域A1〜A3、A5は、ボタンO4の検出領域A4のシフトに連動してシフトされる。
【0044】
ここで、検出領域設定部105は、検出領域Aの再設定を示す再設定情報を設定する。再設定情報は、操作対象オブジェクトOtのID、再設定時刻を含む。
【0045】
検出領域Aが再設定されると、警告通知部109は、検出領域Aのシフト量が所定の警告閾値を超えているかを判定する(S113)。そして、警告閾値を超えている場合に、警告通知部109は、警告手段を介してユーザーUに警告を通知する(S115)。
【0046】
検出領域設定部105は、検出領域Aのシフト量が所定の警告閾値を超えている状態で、さらに、検出領域Aのシフト量が所定のキャンセル閾値を超えているかを判定する(S117)。そして、キャンセル閾値を超えている場合に、検出領域設定部105は、ステップS101の処理に移行して検出領域Aを初期化するとともに、再設定情報を初期化する。
【0047】
ステップS103の処理で接触状態が検出されず、再設定情報が設定されている場合に、検出領域設定部105は、再設定時刻から所定のキャンセル時間が経過しているかを判定する(S119)。キャンセル時間が経過している場合に、検出領域設定部105は、再設定情報に基づいて、全オブジェクトOの検出領域Aを初期化するとともに、再設定情報を初期化する。図5Dでは、ボタンO1〜O5の検出領域A1〜A5が初期化されている。
【0048】
ここで、検出領域設定部105は、再設定情報に基づいて、所定の復帰時間内で全オブジェクトOの検出領域Aを除々に所定の検出領域Aに復帰してもよい。この場合、再設定情報として、復帰時間、復帰速度等の情報が新たに設定される。
【0049】
上記説明では、全オブジェクトOの検出領域Aがシフトされる場合について説明した。この場合、ユーザーUは、操作対象オブジェクトOtの変更に際して、オブジェクトOの検出領域Aがシフトしていても、オブジェクトO間の相対的な位置関係に基づいてポインタの位置を直感的に変更することで、所望の操作を継続することができる。
【0050】
なお、操作対象オブジェクトOtの検出領域Atのみがシフトされてもよい。この場合、シフトされた検出領域Aが隣接オブジェクトOの検出領域Aと重なる場合には、操作対象オブジェクトOtの検出領域Atが優先的に設定される(つまり、隣接オブジェクトOの検出領域Aが縮小される。)。
【0051】
(変形例)
以下では、図6A〜6Cを参照しながら、本発明の第1の実施形態の変形例に係る遠隔制御方法について説明する。図6A〜6Cは、本発明の第1の実施形態の変形例に係る遠隔制御方法を説明する図である。本変形例では、第1の実施形態のステップS111の処理において、検出領域Aがシフトされるとともに、検出領域Aの面積が変更される。
【0052】
図6Aに示す例では、ポインタの直前の接触位置Pを中心として、ボタンO4(操作対象オブジェクトOt)の検出領域A4(At)が所定の割合で拡大されている。この場合、拡大された検出領域A4が隣接オブジェクトであるボタンO1、O2の検出領域A1、A2と重なるが、ボタンO4の検出領域A4が優先的に設定されている(つまり、ボタンO1、O2の検出領域A1、A2が縮小されている。)。これにより、ユーザーUは、同一の操作対象オブジェクトOtを連続して操作する場合に、所望の操作を継続し易くなる。
【0053】
図6Bに示す例では、ポインタの直前の接触位置Pを中心として、ボタンO4(操作対象オブジェクトOt)の検出領域A4(At)が検出領域A4のシフト量に相当するように拡大されている。例えば、シフト量が左方向に20ドット、下方向に20ドットである場合を想定する。この場合、右ボタンO4の検出領域A4は、タップ操作時のポインタの接触位置Pを中心として設定された上で、矩形の状態を維持したままで左下のコーナー部が左方向に20ドット、下方向に20ドットの位置にシフトするように拡大される。これにより、ユーザーUは、同一の操作対象オブジェクトOtを連続して操作する場合に、所望の操作をさらに継続し易くなる。
【0054】
図6Cに示す例では、ボタンO4(操作対象オブジェクトOt)の検出領域A4(At)が拡大されるとともに、全オブジェクトO1〜O5の検出領域A1〜A5の合計面積を維持するように、他のオブジェクトO1〜O3、O5の検出領域A1〜A3、A5が縮小されている。これにより、操作対象オブジェクトOtの検出領域Atが拡大した場合でも、表示パネル101に表示される表示データの視認性を維持することができる。
【0055】
なお、上記説明では、検出領域Aがシフトされるとともに、検出領域Aの面積が変更される場合について説明した。しかし、検出領域Aがシフトされずに、検出領域Aの面積のみが変更されてもよい。
【0056】
[4.第2の実施形態]
以下では、図7および図8A〜8Eを参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る遠隔制御方法について説明する。図7および図8A〜8Eは、本発明の第2の実施形態に係る遠隔制御方法を示すフロー図および説明図である。なお、図7では、ステップS105の前段の処理およびステップS109の後段の処理の表示が省略されている。第2の実施形態では、第1の実施形態のステップS105の処理とS109の処理の間に、操作対象オブジェクトOtの変更処理が追加される。
【0057】
ステップS105の処理で操作対象オブジェクトOtが設定されると、遠隔制御部107は、操作対象オブジェクトOtの設定状況とともに表示指令をテレビ10に通知する(S201)。表示指令を受けると、テレビ10は、ユーザーUにより設定状況が視認可能となるように、設定状況をディスプレイ11に表示する。
【0058】
設定状況が表示されると、接触状態検出部103は、操作対象オブジェクトOtの検出領域At内でタップ操作が検出されているかを判定する(S107)。タップ操作が検出されている場合に、遠隔制御部107は、操作対象オブジェクトOtに割当てられた処理の実行指令をテレビ10に送信する(S109)。
【0059】
例えば、まず、図8Aでは、操作対象オブジェクトOtが設定されておらず、選択状態にあるサムネイルI上にカーソルCのみが表示されている。つぎに、図8Bでは、操作対象オブジェクトOtとしてボタンO4が設定されており、設定状況を示す右向きの矢印MがカーソルCの右側に表示されている。そして、図8Cでは、タップ操作が検出されており、カーソルCが右方向に移動されている。
【0060】
一方、ステップS107の処理でタップ操作が検出されていない場合に、接触状態検出部103は、ポインタのドラッグ操作が検出されているかを判定する(S203)。ドラッグ操作が検出されている場合に、接触状態検出部103は、ドラッグ操作後のポインタの接触位置Pが操作対象オブジェクトOtの検出領域At外であるかを判定する(S205)。なお、ステップS203またはS205の処理で、否定的な判定結果が得られると、ステップS107の処理に復帰する。
【0061】
操作対象オブジェクトOtの検出領域At外である場合に、接触状態検出部103は、ドラッグ操作後のポインタの接触位置Pが他のオブジェクトOの検出領域A内であるかを判定する(S207)。そして、他のオブジェクトOの検出領域A内である場合に、接触状態が検出領域A内で検出されたオブジェクトOは、新たに操作対象オブジェクトOtとして設定される(S209)。そして、ステップS201の処理に復帰し、新たな操作対象オブジェクトOtの設定状況がテレビ10に表示される。
【0062】
例えば、図8Dでは、ドラッグ操作後に操作対象オブジェクトOtとしてボタンO2が設定されており、設定状況を示す下向きの矢印MがカーソルCの下側に表示されている。この場合に、タップ操作が検出されると、カーソルCが下方向に移動される。
【0063】
一方、他のいずれのオブジェクトOの検出領域A内でもない場合に、従前の操作対象オブジェクトOtの設定がキャンセルされる(S211)。そして、操作対象オブジェクトOtの設定状況(操作対象オブジェクトOtが存在しない状態)がテレビ10に表示され(S213)、ステップS101の処理に復帰する。
【0064】
例えば、図8Eでは、ドラッグ操作後に操作対象オブジェクトOtが設定されておらず、操作対象オブジェクトOtの設定状況を示す矢印Mが表示されていない。そして、この場合に、タップ操作が検出されても、カーソルCが移動しない。
【0065】
上記説明では、カーソルCの周囲に設定状況を表示する場合について説明した。これにより、ユーザーUは、テレビ10に注目した状態で、操作対象オブジェクトOtを事前に確認し、誤操作の発生前に操作対象オブジェクトOtを変更することができる。なお、ユーザーUにより設定状況が視認可能となるように、カーソルCの周囲以外の任意の位置に設定状況が表示されてもよい。
【0066】
[5.まとめ]
本願発明の実施形態によれば、オブジェクトOの検出領域A内でのタップ操作に応じて、オブジェクトOの検出領域Aが表示パネル101上でタップ時のポインタの接触位置Pの側にシフトする。このため、継続的な操作を通じてポインタの位置が意図せずに移動しても、所望の操作子(オブジェクトO)を操作可能であり、誤操作も生じ難くなる。よって、ユーザーUは、テレビ10にある程度注目した状態で、所望の操作を継続することができる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0068】
例えば、上記実施形態の説明では、オブジェクトOとして上・下・左・右移動ボタンO1〜O4および決定ボタンO5を操作する場合について説明した。しかし、本発明は、オブジェクトOとして10キーに相当するボタン等を操作する場合についても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 テレビジョン受像装置
11 ディスプレイ
100 携帯電話
101 表示パネル
103 接触状態検出部
105 検出領域設定部
107 遠隔制御部
109 警告通知部
111 表示制御部
113 記憶部
115 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器に実行させる所定の処理を割当てられた1以上のオブジェクトが表示される表示パネルと、
前記表示パネルに対するポインタの接触状態および接触位置を検出する接触状態検出部と、
前記オブジェクトに対する操作を検出するための所定の検出領域を前記表示パネル上で前記オブジェクト毎に設定し、前記オブジェクトの検出領域内で前記ポインタによるタップ操作が検出されると、前記オブジェクトの検出領域がタップ操作時の前記ポインタの接触位置の側にシフトするように、前記オブジェクトの検出領域を再設定する検出領域設定部と、
を備える遠隔制御装置。
【請求項2】
前記検出領域設定部は、前記オブジェクトの検出領域と連動して他のオブジェクトの検出領域がシフトするように、前記他のオブジェクトの検出領域をさらに再設定する、請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項3】
前記検出領域設定部は、前記オブジェクトの検出領域がタップ操作時の前記ポインタの接触位置の側にシフトするとともに、前記オブジェクトの検出領域が拡大するように、前記オブジェクトの検出領域を再設定する、請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項4】
前記検出領域設定部は、他のオブジェクトの検出領域が縮小するように、他のオブジェクトの検出領域をさらに再設定する、請求項3に記載の遠隔制御装置。
【請求項5】
前記検出領域設定部は、前記オブジェクトの検出領域の中心点がタップ操作時の前記ポインタの接触位置にシフトするように、前記オブジェクトの検出領域を再設定する、請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項6】
前記検出領域設定部は、前記オブジェクトの検出領域を再設定した後に、任意のオブジェクトに対する操作が検出されずに所定のリセット期間が経過すると、前記オブジェクトの検出領域を前記所定の検出領域に復帰する、請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項7】
前記検出領域設定部は、さらに、前記オブジェクトの検出領域が前記所定の検出領域に所定の変更期間内で除々に変更するように、前記オブジェクトの検出領域を前記所定の検出領域に復帰する、請求項6に記載の遠隔制御装置。
【請求項8】
前記検出領域のシフト量が所定の警告閾値を超えると、ユーザーに警告を通知する警告通知部をさらに備える、請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項9】
前記検出領域設定部は、前記警告が通知されている状態で、前記検出領域のシフト量が前記警告閾値を上回る所定のリセット閾値を超えると、前記オブジェクトの検出領域を前記所定の検出領域に復帰する、請求項8に記載の遠隔制御装置。
【請求項10】
前記検出領域設定部は、同一のオブジェクトに対する操作が連続して検出された場合に、前記オブジェクトの検出領域を再設定する、請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項11】
前記オブジェクトに対する操作が検出されると、前記外部機器を遠隔制御して、前記オブジェクトに割当てられた所定の処理を前記外部機器に実行させる遠隔制御部をさらに備える、請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項12】
前記遠隔制御部は、前記オブジェクトの検出領域に対する前記ポインタの接触状態を前記外部機器に表示させるように、前記外部機器を遠隔制御する、請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項13】
外部機器および遠隔制御装置を有し、
前記外部機器は、所定の情報を表示する表示部を備え、
前記遠隔制御装置は、
前記外部機器に実行させる所定の処理を割当てられた1以上のオブジェクトが表示される表示パネルと、
前記表示パネルに対するポインタの接触状態および接触位置を検出する接触状態検出部と、
前記オブジェクトに対する操作を検出するための所定の検出領域を前記表示パネル上で前記オブジェクト毎に設定し、前記オブジェクトの検出領域内で前記ポインタによるタップ操作が検出されると、前記オブジェクトの検出領域がタップ操作時の前記ポインタの接触位置の側にシフトするように、前記オブジェクトの検出領域を再設定する検出領域設定部と、
を備える遠隔制御システム。
【請求項14】
外部機器に実行させる所定の処理を割当てられた1以上のオブジェクトを表示パネルに表示し、
前記オブジェクトに対する操作を検出するための所定の検出領域を、前記表示パネル上で前記オブジェクト毎に設定し、
前記表示パネルに対するポインタの接触状態および接触位置を検出し、
前記オブジェクトの検出領域内で前記ポインタによるタップ操作が検出されると、前記オブジェクトの検出領域がタップ操作時の前記ポインタの接触位置の側にシフトするように、前記オブジェクトの検出領域を再設定する、遠隔制御方法。
【請求項15】
外部機器に実行させる所定の処理を割当てられた1以上のオブジェクトを表示パネルに表示し、
前記オブジェクトに対する操作を検出するための所定の検出領域を、前記表示パネル上で前記オブジェクト毎に設定し、
前記表示パネルに対するポインタの接触状態および接触位置を検出し、
前記オブジェクトの検出領域内で前記ポインタによるタップ操作が検出されると、前記オブジェクトの検出領域がタップ操作時の前記ポインタの接触位置の側にシフトするように、前記オブジェクトの検出領域を再設定する、遠隔制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【公開番号】特開2011−44103(P2011−44103A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193429(P2009−193429)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】