遠隔教育支援装置、遠隔教育支援方法、及び遠隔教育支援プログラム
【課題】同期型遠隔教育と非同期型遠隔教育とを組合わせた反同期型遠隔教育を実現し、各生徒の講義内容の理解度を一層高める。
【解決手段】講義管理サーバ120は、生徒ごとの講義データの再生状況と、DBに格納されている講師質問の質問タイミング及び該質問に関して予想される対話時間と、DBに格納されている生徒質問とを参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、生徒質問がある場合は、さらに予め決められた対話時間に基づき、生徒質問に回答する対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定める。そして、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補について教育効果値を求め、教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとする。
【解決手段】講義管理サーバ120は、生徒ごとの講義データの再生状況と、DBに格納されている講師質問の質問タイミング及び該質問に関して予想される対話時間と、DBに格納されている生徒質問とを参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、生徒質問がある場合は、さらに予め決められた対話時間に基づき、生徒質問に回答する対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定める。そして、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補について教育効果値を求め、教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、eラーニング等の遠隔教育を行うために用いられる情報技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業の社内教育などにおいて、インターネット等の情報インフラを利用した遠隔教育(eラーニング等)が盛んに利用されるようになってきている。遠隔教育の長所は、生徒が好きな場所で学習することができ、また大勢の生徒が効率良く学習することが可能であるという点である。
【0003】
遠隔教育には大きく分けて、講師のライブの講義を複数の生徒が同時に受講する同期型(ライブ型)と、録画された講義を生徒が好きな時間に受講する非同期型(オンデマンド型)の2種類がある。
【0004】
なお、遠隔教育を行うために用いられる技術が下記特許文献1〜3に開示されている。
【0005】
特許文献1には、同期型に関する技術として、学習番組を視聴する生徒からの問題への回答の集計結果を反映して学習番組を進行する技術が記載されている。
【0006】
特許文献2には、非同期型に関する技術として、ミニテストに対する生徒の回答の音声を解析して生徒の自信度合いを把握し、自信のない分野の練習問題を再び回答させるという技術が記載されている。
【0007】
特許文献3には、非同期型に関する技術として、講師の発話や動作の特徴をアニメーションキャラクタに投影し、生徒に実際の教師と対話している印象を持たせる技術が記載されている。
【特許文献1】特開2007−123975号公報
【特許文献2】特開2006−293102号公報
【特許文献3】特開2006−30513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、同期型の遠隔教育には、生徒がライブゆえの緊張感を持って受講できるという長所がある反面、生徒が他の生徒に気兼ねして講師へ質問しにくいとか、時間的な制約が強いという短所がある。
【0009】
また、非同期型の遠隔教育には、生徒が自分の好きな時間に講義を受講できるという長所がある反面、録画であるがゆえに受講時の緊張感を保ちにくいとか、その場で講師に質問ができないという短所がある。
【0010】
以上のとおり、同期型の遠隔教育と非同期型の遠隔教育には、それぞれ短所があり、各生徒が講義内容を理解するという効果(教育効果)を高めるには、上記の短所を補う工夫が必要である。
【0011】
上記課題を踏まえ、本発明は、同期型の遠隔教育と非同期型の遠隔教育のそれぞれの長所を活かしつつ、それぞれの短所を補うことで教育効果を高める遠隔教育支援装置、遠隔教育支援方法、及び遠隔教育支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の遠隔教育支援装置は、生徒用端末に配信される講義データに関して、生徒が講師を占有して対話する場合の、講師と生徒の対話スケジュールを設定する遠隔教育支援装置であって、生徒ごとの前記講義データの再生状況を管理する生徒管理部と、前記講義データの再生中に講師から生徒に出される質問(以下、「講師質問」という)について、講義データの再生量で指定される質問タイミングと、該質問に関して予想される講師と生徒との間の対話時間を格納する講師質問テーブルと、生徒ごとに、前記講義データの再生中に該生徒から講師へ出される質問(以下、「生徒質問」という)を格納する生徒質問テーブルと、前記生徒管理部が管理する前記生徒ごとの前記講義データの再生状況、前記講師質問テーブル及び前記生徒質問テーブルを参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、該生徒から生徒質問が出されている場合は、該生徒質問に回答する予め決められた対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定め、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補のうち、個別対話スケジュール候補間で対話時間の時間帯が重複しない全体対話スケジュール候補について、対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値となる全体教育効果値を求め、該全体教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定する対話スケジュール設定部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の実施形態では、前記対話スケジュール設定部は、対話終了を検出した場合、前記講義データを用いた講義への生徒の出席を検出した場合、生徒から質問が出されたことを検出した場合、前記講義データを用いた講義からの生徒の退席を検出した場合のうち、少なくともいずれか1つの場合に前記対話スケジュールを設定する。
【0014】
本発明の別の実施形態では、前記全体教育効果値は、前記全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補について求まる個別教育効果値の合計であり、前記個別教育効果値は、個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど大きい値を与える対話時間評価関数の出力値と、該個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値を与える緊張度関数の出力値とに基づいて、前記全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補ごとに算出される個別教育効果値の合計である。この場合、さらに、生徒ごとに、講師と該生徒との過去の対話時間の実績を格納する対話履歴テーブルを備えておくことで、前記対話時間評価関数は、前記対話履歴テーブルに格納される過去の対話時間が長いほど大きい値を与えるように設定されている構成を採用することができる。
【0015】
本発明のまた別の実施形態では、さらに、前記対話スケジュール設定部が設定した対話スケジュールに従って、次に予定されている対話が講師質問を用いて行う対話の場合、講師と対話する予定の生徒に対して該講師質問を提示可能に出力し、次に予定されている対話が生徒質問を用いて行う対話の場合、講師に対して該生徒質問を提示可能に出力する対話管理部を備える。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態では、前記対話スケジュール設定部は、前記生徒質問テーブルに生徒質問に関する情報が格納されいている場合、該生徒質問を出した生徒については、該生徒質問を用いて行う講師との対話の時間帯が、講師質問を用いて行う講師との対話の時間帯よりも先になるように前記個別対話スケジュール候補を定める。
【0017】
本発明のまたさらに別の実施形態では、さらに、生徒用端末を介して生徒から前記講義データの配信指示を受けた場合に、該生徒用端末に対して前記講義用データをリアルタイム再生可能に配信する講義配信部を備える。この場合、前記生徒管理部は、講師と生徒が対話している間、該生徒の生徒用端末に対する前記講義配信部からの前記講義データの配信を中断させる構成を採用することができる。
【0018】
本発明の遠隔教育支援方法は、生徒用端末に配信される講義データに関して、生徒が講師を占有して対話する場合の、講師と生徒の対話スケジュールを設定する遠隔教育支援方法であって、前記管理している前記生徒ごとの前記講義データの再生状況、前記講義データの再生中に講師から生徒に出される質問(以下、「講師質問」という)について、講義データの再生量で指定される質問タイミングと、該質問に関して予想される講師と生徒との間の対話時間を格納する講師質問テーブル、及び生徒ごとに、前記講義データの再生中に該生徒から講師へ出される質問(以下、「生徒質問」という)を格納する生徒質問テーブルを参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、該生徒から生徒質問が出されている場合は、該生徒質問に回答する予め決められた対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定め、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補のうち、個別対話スケジュール候補間で対話時間の時間帯が重複しない全体対話スケジュール候補について、対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値となる全体教育効果値を求め、該全体教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定することを特徴とする。
【0019】
本発明の遠隔教育支援プログラムは、上記方法に含まれる各処理を情報処理装置に実行させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、講義データを用いて行う非同期型講義と、講師と生徒との間でライブの対話が行われる同期型講義とを組み合わせた半同期型の遠隔教育を実現することにより、教育効果を一層高めることができる。具体的には、本発明を実施することで、講師と各生徒間の対話予定を表す個別対話スケジュール候補の組み合せである全体対話スケジュール候補から、講師と生徒間で対話している時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きな値となる全体教育効果値の最も大きい全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定することができる。対話スケジュールが得られれば、これに従って、講師と生徒間で講義中に適宜対話を行わせることにより、各生徒の講義に対する緊張度を維持することができ、その結果教育効果を一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を、図を用いて説明する。なお、以下の実施例において、同一の機能を持つ要素については、複数の図面において同一の符号を付して表示し、重複する説明を省略するものとする。
【0022】
図1は、実施例の遠隔教育支援装置を用いて構成される遠隔教育システムの構成を示す。このシステムにおいては、講義管理サーバ120が本発明の遠隔教育支援装置に相当する。
【0023】
このシステムは、講師用対話端末110、複数の生徒用受講端末140、及び講義管理サーバ120を含んで構成される。講師用対話端末110と講義管理サーバ120はLANなどの通信回線で接続されており、講義管理サーバ120はインターネットなどの通信回線130を経由して生徒用受講端末140に接続されている。
【0024】
講師用対話端末110は、講師が生徒と対話する際に使用され、各種のデータの入出力を担当するコンピュータであり、講師の声あるいはキーボードから打ち込まれた文章を表すデータを講義管理サーバ120に送信するとともに、講義管理サーバ120から送信される、講師に伝えるべき指示や生徒からの質問を画面に表示する。講師用対話端末110としては、CPU、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、キーボード、マウス等の各種ハードウェアを備える一般的な情報処理装置を採用することができる。
【0025】
生徒用受講端末140は、講義を受講する際に生徒によって使用され、各種のデータの入出力を担当するコンピュータであり、講義管理サーバ120が配信する講義データの内容を画面に表示したり、生徒の質問を講義管理サーバ120に送信したり、生徒が受講を開始し又は終了したことを表す情報を講義管理サーバ120に送信する。生徒用受講端末140についても、前述の一般的な情報処理装置を採用することができる。
【0026】
本実施例においては、講師と生徒は、学校や学習等の教育機関における講師と生徒に限らず、講師には何らかの技芸、スポーツ又は知識を教授する者が含まれ、生徒にはその技芸、スポーツ又は知識の教授を受ける者が含まれるものとする。
【0027】
講義管理サーバ120は、複数の生徒用受講端末140に配信される講義データに関して、生徒が講師を占有して対話する場合の、講師と生徒の対話スケジュールを設定する。なお、講師との対話は、各生徒が1人ずつ行ってもよいし、複数の生徒からなるグループ単位で行ってもよい。グループ単位で講師と対話する構成の場合、各グループの識別子と、グループの構成員とを対応付けて記憶するテーブルを用いて管理すればよい。
【0028】
また、講義管理サーバ120は、前述の一般的な情報処理装置によって構成され、各種のデータベースとして講師質問データベース151、生徒質問データベース152、対話履歴データベース153、対話計画データベース154、進捗状況データベース155、及び講義内容データベース156を備える。以下、「データベース」を「DB」と表記する。これらのデータベースは、ハードディスクドライブやRAM等の記憶手段に格納される。
【0029】
さらに、講義管理サーバ120は、CPUが所定の遠隔教育支援プログラム(図示省略)を実行することにより実現される各種の機能部として、講義配信部121、生徒管理部122、対話設計部123、及び対話管理部124と、講師用対話端末110及び生徒用対話端末140を通信可能に接続する通信部125とを備える。
【0030】
講師質問DB151は、講義データの再生中に講師から生徒に出される質問(以下、「講師質問」という)について、講義データの再生量で指定される質問タイミングと、該質問に関して予想される講師と生徒との間の対話時間を格納する講師質問テーブルとしてのデータベースである。具体的には、図2に示すように、質問を識別するための質問ID、講義データの再生中における各質問の質問タイミング(進捗度)、講師質問の内容(質問内容)、それぞれの質問を用いて行われる対話について予想される対話時間(以後「予想対話時間」という。)が対応付けられて講師質問情報として格納される。なお、本実施例では、進捗度は、質問の提示タイミングを表すだけでなく、講義データの再生量、すなわち講義の進み具合を表す言葉としても用いられるものとする。
【0031】
生徒質問DB152は、生徒ごとに、講義データの再生中に該生徒から講師へ出される質問(以下、「生徒質問」という)を格納する生徒質問テーブルとしてのデータベースである。具体的には、図3に示すように、質問を識別するための質問ID、質問の送信元を表す情報(ここでは、質問した生徒を特定する生徒ID)、生徒用受講端末140から質問が送信された時刻、生徒用受講端末140から質問が送信された時点の講義データの進捗度、生徒質問の内容(質問内容)、及びそれぞれの質問に講師が回答したかどうかを表すフラグ(回答済と未回答)が対応付けられて生徒質問情報として格納される。実施例では、この生徒質問DB152が、本発明における生徒質問テーブルに相当する。また、本実施例では、
対話履歴DB153は、生徒ごとに、講師と該生徒の過去の対話時間の実績等の対話の履歴を記録する対話履歴テーブルとしてのデータベースである。具体的には、図4に示すように、講師ID、生徒ID、講師と生徒のどちらが提示した質問を題材とする対話であるかを表す対話種別、質問ID、対話の開始時刻、対話に要した実際の時間、及び対話内容が対応付けて格納される。対話種別は、講師が提示した質問を題材とする対話の場合は「講師質問」とし、生徒が提示した質問を題材とする対話の場合は「生徒質問」とする。
【0032】
対話計画DB154は、講師と各生徒との間の対話の個別対話スケジュール候補の組み合わせから決定された全体の対話スケジュールを記録するデータベースである。具体的には、図5に示すように、講師ID、対話相手である生徒の生徒ID、対話を開始する時間(対話開始時刻)、対話の予定時間(予定対話時間)、質問ID、及び対話種別が対応付けて格納される。予定対話時間は、対話種別が講師質問の場合は、講師質問DB151における同一質問IDの質問に関する予想対話時間の値が格納され、対話種別が生徒質問の場合は、予め一律に決められた所要時間(例えば、5分)や生徒用受講端末140から受信した質問データのサイズに応じて増減する所要時間が格納される。対話計画DB154に格納される対話スケジュールの決定方法は、図8〜12を参照して後述する。
【0033】
進捗状況DB155は、生徒ごとの講義データの再生状況、すなわち生徒ごとの講義の進捗度や、「聴講中」や「対話中」といった生徒ごとの講義の受講状態を記録するデータベースである。具体的には、図6に示すように、講義に参加している各生徒の生徒ID、各生徒が講義を開始し(講義データを再生し)た時刻、進捗度、及び受講状態が対応付けて格納される。受講状態は、未だ講義を受講し(講義データを再生し)ていない場合は「未受講」、講義を受け(講義データを再生し)ている場合は「聴講中」、講師と対話している場合は「対話中」、講義を聴講し終え(講義データの再生が終了し)ている場合は「受講済」、録画講義を用いた講義から退席し(講義データの再生を、対話開始以外の理由で中断し)ている場合は「退席中」とする。
【0034】
講義内容DB156は、生徒用受講端末140へ送信するための講義データを記録しているデータベースである。講義データの具体例としては、講義の映像(動画)又は音声が必須の情報であり、補足的にテキスト等の講義資料を採用することができる。また、講義内容DB156においては、進捗度を指定すると、講義データのうち、その指定された進捗度以降の講義データを抽出することができる。本実施例では、講義データとして、録画された講義映像(録画講義)と講義資料を用いるものとする。
【0035】
講義配信部121は、予め決められた講義の時間帯に生徒用受講端末140を介して生徒から録画講義の送信指示を受信した場合に、その生徒用受講端末140に対して講義内容DB156に格納されている録画講義をリアルタイム再生可能に送信するとともに、必要に応じて講義資料を送信する。また、講義配信部121は、録画講義の進捗度を、その都度(例えば、1〜10秒間隔で)、進捗状況DB155に記録する。
【0036】
なお、録画講義を配信している間も常に進捗状況DB155の最新情報を参照し、例えば講師と生徒が対話を始めた場合など、受講状態が「聴講中」でなくなった場合は、録画講義の配信を停止(再生途中の場合は中断)する。また、録画講義の再生が最後まで終わると、進捗状況DB155の受講状態を「受講済」に変更する。
【0037】
生徒管理部122は、生徒ごと(具体的には、生徒用受講端末140ごと)の録画講義の再生状況を進捗状況DB155上で管理する。具体的には、生徒管理部122は、生徒ごとに、受講開始(出席)、受講中断(退席)、及び受講終了を表す情報と、生徒用受講端末140から送信される質問を受け付ける。例えば、生徒用受講端末140において、生徒が画面上に表示される受講開始ボタン(出席ボタン)を押下すると、生徒管理部122は、生徒用受講端末140から受講開始情報を受信し、進捗状況DB155の受講状態を「未受講」又は「退席中」から「聴講中」に書き換える。
【0038】
また、生徒管理部122は、生徒が画面上に表示される受講中断ボタン(退席ボタン)を押下すると、生徒用受講端末140から録画講義の配信停止指示を受信し、進捗状況DB155の受講状態を「聴講中」から「退席中」に書き換える。さらに、録画講義を再生している生徒用受講端末140から質問を受信すると、生徒質問DB152に新規レコードを作成し、その質問に関する前述の生徒質問情報を格納する。またさらに、生徒管理部122は、生徒と講師の対話が開始してから終了するまでの間、その生徒が使用している生徒用受講端末140に対する講義配信部121からの録画講義の送信を中断させる。
【0039】
対話設計部123は、講師と生徒との間で行われる対話のスケジューリングを行なう対話スケジューリング設定部として機能する。具体的には、所定のタイミングで、生徒管理部122が管理する生徒ごとの録画講義の再生状況、講師質問DB151及び生徒質問DB152を参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、該生徒から生徒質問が出されている場合は、該生徒質問に回答する予め決められた対話時間(例えば、5分間)の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定める。そして、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補のうち、個別対話スケジュール候補間で対話時間の時間帯が重複しない全体対話スケジュール候補について、対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値となる全体教育効果値を求め、該全体教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定する。さらに、対話設計部123は、対話スケジューリングの結果である1つの対話スケジュールの内容を対話計画DB154に記録する。
【0040】
実施例では、生徒質問に関して予め決められた対話時間は、一律5分間に設定しているが、1分や10分など任意の時間を設定することができる。さらに、生徒質問に関して予め決められた対話時間は、一律に設定される時間に限らず、例えば、生徒質問のデータ量に応じて予め決めた基準(例えば、対話時間=データ量×計数)に基づき算出される時間を含むものとする。
【0041】
また、対話設計部123は、対話設計部123は、生徒質問DB152及び進捗状況DB155の最新情報を常に参照し、以下の(1)〜(5)のいずれかの場合に対話スケジュールの設定(対話スケジューリング)を行う。以後、これら5つの場合のことを、スケジューリング条件という。
【0042】
(1)対話終了指示を検出した場合
上記の場合は、講師と生徒の対話が終了した場合に相当し、例えば、対話管理部122が進捗状況DB155の受講状態を「対話中」から「聴講中」に書き換えたことを検出し、対話スケジューリングを行うことができる。講師と生徒との対話が終了するたびに対話スケジューリングを行うことにより、対話が予定よりも早く終了した場合や、対話が予定よりも遅れて終了した場合に、即座に対応することができる。
【0043】
(2)録画講義を用いた講義への生徒の出席を検出した場合
この場合は、生徒が録画講義の受講を開始した場合に相当し、例えば、生徒管理部122が進捗状況DB155の受講状態を「未受講」又は「退席中」から「聴講中」に書き換えたことを検出し、対話スケジューリングを行うことができる。
【0044】
(3)生徒から質問が出されたことを検出した場合
この場合は、生徒が質問した場合に相当し、例えば、生徒管理部122が生徒質問DB152に質問内容を追加したことを検出し、対話スケジューリングを行うことができる。
【0045】
(4)講義データを用いた講義からの生徒の退席を検出した場合
この場合は、録画講義受講中の生徒が録画講義の再生を、対話開始以外の理由で中断した場合に相当し、例えば、生徒管理部122が進捗状況DB155の受講状態を「聴講中」から「退席中」に書き換えたことを検出し、対話スケジューリングを行うことができる。
【0046】
なお、上記の(1)〜(5)のスケジューリング条件のうち、少なくともいずれか1つのスケジューリング条件を満たす場合に対話スケジューリングを行うように構成してもよい。対話スケジューリングのさらに詳細な処理については、図9〜12のフローチャートを参照して後述する。
【0047】
対話管理部124は、対話設計部123が設定した対話スケジュールに従って、生徒用受講端末140のうち、講師と対話する生徒が使用している生徒用受講端末140を講師と対話するための対話用端末として選択する。そして、選択した対話用端末と講師用対話端末110との間で講師と生徒の対話のデータを中継することで、講師と生徒間の対話を仲介する。
【0048】
また、対話管理部124は、対話設計部123が決定した対話スケジュールに従って講師と生徒間の対話を仲介するにあたり、対話計画DB154の対話種別が「講師質問」の場合は、講師質問DB151に格納されている講師質問情報のうちの質問に関する情報を対話予定の生徒に対して提示可能に送信する。これにより、対話予定の生徒が使用する生徒用受講端末140の画面上には講師からの質問が表示され、講師質問を題材とする対話(質疑応答)が開始する。
【0049】
一方、対話種別が「生徒質問」の場合は、生徒質問DB152に格納されている送信元を表す生徒用対話端末140を対話用端末として選択して講師と生徒の対話を仲介するとともに、生徒質問に関する情報を講師に対して提示可能に(例えば、表示可能、音声出力可能)出力する。これにより、生徒質問に関する情報は、通信部125を介して講師用対話端末110へ送信され、講師用対話端末110の画面上には生徒質問が表示され、生徒質問を題材とする対話(質疑応答)が開始する。なお、対話管理部124による処理については、図7のフローチャートを参照して後述する。
【0050】
図7は、対話管理部124による処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
対話管理部124は、対話設計部123が決定した対話スケジュールに基づいて、待機モード(講師は待機しており、生徒は録画講義を受講し又は退席している状態)201と対話モード(講師といずれかの生徒が対話している状態)203の処理を遷移する。以下、対話管理部124による待機モード201と対話モード203のそれぞれの処理について説明する。
【0052】
まず、対話管理部124は、待機モード201において、対話計画DB154の最新情報を常に参照し、講師用対話端末110に対し、対話を開始するまでの残り時間、対話の相手となる生徒の生徒ID、及び次の対話の題材となる最初の質問(講師からの質問又は生徒からの質問)に関する情報を表示可能に送信する。そして、対話計画DB154が対話設計部123によって書き換えられたときは、これに応じて新しい情報を講師用対話端末110へ送信する。
【0053】
そして、対話管理部124は、所定のタイミングで待機モード102の終了方法を判断する終了判断処理202を行い、処理全体の終了かどうか(例えば、講義時間の経過により待機モード201から対話モード203へ遷移せずに終了するかどうか)を判断する。そして、処理全体を終了する場合には、対話モード203へ遷移せずに処理を終了する。
【0054】
一方、対話管理部124は、対話スケジュール内で決められた次の対話の開始時刻になると、待機モード201から対話モード202に移る。
【0055】
対話管理部124は、対話モード202の開始時において、講師から生徒に質問を行なう場合は、質問内容を生徒用受講端末140に表示可能に送信する。また、対話予定時刻になった旨を講師用対話端末110に表示可能に送信する。この場合、例えば、対話を開始するまでの残り時間がゼロである旨を表示させる替わりに「対話を開始してください」というメッセージをさせるのがよい。さらに、進捗状況DB155の受講状態を「対話中」に変更する。
【0056】
また、対話管理部124は、対話モード202において、通信部125と生徒用受講端末140から選択した対話用端末との間で講師と生徒の対話のデータを中継することにより、講師と生徒の対話を仲介する。例えば、生徒用受講端末140で入力された発言内容を表すデータを講師用対話端末110へ中継し、講師用対話端末110の画面に表示させ、これとは逆に、講師用対話端末110で入力された発言内容を表すデータを生徒用受講端末140へ中継し、生徒用受講端末140の画面に表示させる。また、講師用対話端末110に対話の経過時間や残り時間(予定対話時間と経過時間との差)を表すデータを表示可能に送信し、画面上に表示させる。そして、講師用対話端末110の画面上に表示される対話終了ボタンが押下されると、対話の終了指示が講義管理サーバ120へ送信され、講義管理サーバ120が対話終了指示を受信すると、対話管理部124は、対話モード202から待機モード201に移る。
【0057】
なお、対話モード203においても、対話管理部124は、所定のタイミングで終了判断処理204を行い、処理全体を終了するかどうか(例えば、講義時間の経過により対話モード203から待機モード201へ遷移せずに終了するかどうか)を判断する。そして、処理全体を終了する場合には、待機モード201へ遷移せずに処理を終了する。
【0058】
一方、対話管理部124は、対話が終了してから次の対話までに時間(講師の待機時間)がある場合は、対話モード203から待機モード201に移る。
【0059】
対話管理部124は、対話モード202の終了時に、対話内容を対話履歴DB153に記録する。なお、記録した対話内容は、後でまとめてメール等で生徒に送付すると、生徒が講義の復習をするときに有用である。また、進捗状況DB155の受講状態を「対話中」から「聴講中」に変更する。また、生徒からの質問による対話を行った場合、生徒質問DB152のフラグを「未回答」から「回答済」に変更する。
【0060】
図8は、対話設計部123による対話スケジューリングの結果としての対話スケジュールの例を示すチャート図である。この図を参照して、対話スケジューリングの概念を説明する。
【0061】
図8において、横軸は時間であり、横長の棒が録画講義を用いた講義の時間帯及び生徒による講義の受講時間帯を表わしている。それぞれの時間帯において、斜線模様又は横縞模様が施された時間帯は、以下の意味を表している。
【0062】
(1)実線の枠内に横縞模様が施されている時間帯
この時間帯は、講師からの質問を題材とする過去又は現在の対話の時間帯を示す
(2)実線の枠内に斜線模様が施されている時間帯
この時間帯は、生徒からの質問を題材とする過去又は現在の対話の時間帯を示す
(3)破線の枠内に横縞模様が施されている時間帯
この時間帯は、講師からの質問を題材とすることが予定されている対話の時間帯を示す
(4)破線の枠内に斜線模様が施されている時間帯
この時間帯は、生徒からの質問を題材とすることが予定されている対話の時間帯を示す
(5)実線の枠内に模様が施されていない時間帯
この時間帯は、講師が待機中であり、生徒が録画講義を聴講している時間帯を示す。
【0063】
また、図において対話の時間帯が重複している講師と生徒は、対話の相手同士である。
【0064】
なお、講義時間は、例えば17時10分から17時50分というように時間帯で指定されるものとする。それぞれの生徒は、指定された時間帯の中で好きな時間に録画講義を受講することができる。講師は、講義の開始時刻から終了時刻まで、対話設計部123が設定した対話スケジュールに従って、それぞれの生徒と対話を行う。
【0065】
この図の例では、現在時刻は17時25分で、講師と生徒3が対話中である。予定される対話には、講師からの質問による対話、及び現時点で生徒から受け付け済みの質問に回答することよる対話の2種類の対話がある(図では、前者だけがスケジューリングされている)。
【0066】
また講師から生徒に提示する質問は、講師質問DB151内に予め複数用意され、録画講義のどの進捗度において提示するかが決められている。従って、各生徒の現時点の講義の進捗度よりも後に提示される予定の質問が未来の対話の題材候補となる。
【0067】
また、講師は、一人の生徒と複数回対話しても良いし、一度も対話しなくても良い。さらに、予め用意してあるすべての質問を、すべての生徒に対して提示する必要は無いし、生徒から受け付けた質問のすべてに答える必要もない。これらを踏まえたうえで、講師の限られた時間を有効に活用し、教育効果が高まるように対話設計部123によって対話スケジュールが設定される。
【0068】
本実施例では、生徒が講義内容をよく理解するという効果を教育効果と表現する。そして、この教育効果を、講師と生徒との対話時間が長いほど、及び両者の連続非対話時間が短いほど大きな値となる教育効果値を用いて表すものとする。教育効果値の計算方法については、図10〜12を参照して後述する。
【0069】
図9は、対話設計部123による対話スケジューリングの流れを示すフローチャートである。対話設計部123は、前述のスケジューリング条件のいずれかが満たされた場合に、この対話スケジューリングを行う。以下、処理の内容を説明する。
【0070】
ステップ301からステップ310は、進捗状況DB155の受講状態が「聴講中」である全ての生徒に対するループ処理である。
【0071】
まず、対話設計部123は、進捗状況DB155から受講状態が「聴講中」である生徒のIDと進捗度を1行分取得する(ステップ302)。以下、このステップ302で取得したレコードに関する生徒(以下「処理対象生徒」という)について、ステップ309までの処理を行なう。
【0072】
対話設計部123は、生徒質問DB152から、フラグが「未回答」である質問のうち、処理対象生徒の質問のIDと質問時刻と質問内容を取得する(ステップ303)。
【0073】
対話設計部123は、対話履歴DB153から、処理対象生徒と講師との過去の対話に関する対話種別と対話時間を取得する(ステップ304)。
【0074】
対話設計部123は、講師質問DB151から、ステップ302で取得した進捗度より進捗度の値が大きい質問の質問IDと予想対話時間と進捗度を取得する(ステップ305)。
【0075】
対話設計部123は、生徒管理部122が管理する処理対象生徒の講義データの再生状況、ステップ305で講師質問DB151を参照して取得した生徒質問、及びステップ303で生徒質問DB152を参照して取得した講師質問から、処理対象生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、処理対象生徒から生徒質問が出されている場合は、さらに生徒質問に回答する関して予め決められた対話時間に基づき、該生徒質問に回答する対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定める(ステップ306)。
【0076】
講師からの質問を題材とする対話を行なうタイミングは、講師質問DB151において質問ごとに予め指定した進捗度の時点である。具体的には、講師からの質問を題材とする対話の開始時間は、対話を開始する予定の進捗度と処理対象生徒の現在の進捗度との差だけ、現在の時刻から時間が経過した時刻である。また、生徒からの質問を題材とする対話を行う(質問に答える)タイミングは、生徒用受講端末140における録画講義の再生が終了するまでのいずれかのタイミングであり、例えば、講義終了までの残り時間を約1分間隔に分割し(例えば残り40分30秒なら40分割し)、いずれかの区切りの先頭の時刻に質問に答えるための対話を開始する。もちろん、生徒からの質問にはなるべく早く回答するのが好ましいが、他の生徒との兼ね合い上、すぐに回答できない場合も多いし、講義時間中には回答できない場合もある。回答できなかった質問については、講義終了後にメール等の手段で回答することが望ましい。
【0077】
このステップ306では、生徒からの質問に答えるか否か、答えるとしたらいつ答えるか、あるいは、講師の質問のそれぞれについて対話を行なうか否かという事情が反映された対話の組合せが作成される。具体的には、処理対象生徒の講義の残り時間がM分であり、M分割すると仮定し、取得した講師の質問の数をNとすると、作成される対話の組合せの数は、最大で(M+1)×2^Nとなる(ただし、生徒からの質問がない場合は2のN乗である)。上記式において、係数がMではなく(M+1)となっているのは、質問に回答しないケースが1つあるからである。なお、本実施例では、処理対象生徒からの質問が複数ある場合でも、それらの質問を題材として行われる対話は最大で1回とし(複数の質問に対して、一度にまとめて回答するという意味である)、予想対話時間は予め一律に5分というように決めておく。
【0078】
なお、ステップ306では、対話設計部123は、生徒からの質問を用いて行われる対話の時間帯が、講師からの質問を用いて行われる対話の時間帯よりも先になるように個別対話スケジュール候補を定める。具体的には、対話設計部123は、以下の個別対話スケジュール候補を除外する。
【0079】
(1)生徒からの質問を題材とする対話を行なわずに講師からの質問を題材とする対話を行なう予定となっている個別対話スケジュール候補
(2)生徒からの質問を題材とする対話の時間帯が、講師からの質問を題材とする対話の時間帯よりも後に予定されている個別対話スケジュール候補
上記(1)、(2)の個別対話スケジュール候補は、生徒からの質問に回答する前に、講師から質問することとなり、不自然であるため、除外するものとする。
【0080】
(3)生徒からの質問を題材とする対話の時間帯と、講師からの質問を題材とする対話の時間帯が重複している個別対話スケジュール候補
この個別対話スケジュール候補は、実現できないため、除外するものとする。
【0081】
続いて、対話設計部123は、ステップ306で作成した個別対話スケジュール候補に関するループ処理を行う(ステップ307〜309)。
【0082】
対話設計部123は、図10に示す数式(数1)を用いて、対話の所要時間が長いほど及び対話をしていない時間が短いほど大きな値となる、それぞれの個別対話スケジュール候補の教育効果値(個別教育効果値)を計算する(ステップ308を繰り返す)。個別教育効果値の計算方法については、図10を参照して後述する。
【0083】
対話設計部123は、ステップ301からステップ310までの処理をすべての生徒について行い、それぞれの生徒と講師と間の対話について個別対話スケジュール候補を決定し、各個別対話スケジュール候補に関する個別教育効果値を計算する。
【0084】
次に、対話設計部123は、ステップ301からステップ310で決定した各個別対話スケジュール候補を組み合わせ、講師とそれぞれの生徒との間で行われる対話の全体対話スケジュール候補を決定する(ステップ311)。なお、全体対話スケジュール候補の組合せの総数は、ある生徒sの個別対話スケジュール候補の数をC(s)、生徒の総数をSとすると、C(1)×C(2)×・・・C(s)×・・・×C(S)となる。
【0085】
対話設計部123は、ステップ311で決定した全体対話スケジュール候補のすべてについて全体教育効果値を計算する(ステップ312)。全体対話スケジュール候補の教育効果値(全体教育効果値)は、全体対話スケジュール候補を構成する各個別対話スケジュール候補の個別教育効果値の合計である。
【0086】
対話設計部123は、ステップ311で決定した全体対話スケジュール候補を、全体教育効果値の高い順に並び替える(ステップ313)。
【0087】
そして、対話設計部123は、ステップ313で並べ替えた全体対話スケジュール候補について、全体教育効果値の高いものから順にループ処理を行う(ステップ314からステップ316)。このループ処理は、ステップ311で決定した全体対話スケジュール候補から、個別対話スケジュール候補間で対話の時間帯が重複していない非重複スケジュール候補を選択し、非重複スケジュール候補のなかから対話スケジュールを決定するための処理である。
【0088】
対話設計部123は、このループ処理において、ステップ313で並べ替えた全体対話スケジュール候補を全体教育効果値の高いものから順に検査し、全体対話スケジュール候補を構成する各個別対話スケジュール候補間で対話の時間帯が重なっていないかどうか(時間整合性)のチェックを行なう(ステップ315)。講師が、同じ時間帯に複数の生徒と対話する予定となっていれば、この検査結果はNGとなる。
【0089】
対話設計部123は、ステップ313のチェックがOKとなる非重複スケジュール候補が見つかるまで、同ステップの検査を行う。そして、検査結果がOKとなる非重複スケジュール候補が見つかると、その非重複スケジュール候補を対話スケジュールとして決定し、その内容(質問ID、開始時間等)を対話計画DB154に記録し(ステップ317)、対話スケジューリング201を終了する。なお、ステップ311で決定される全体対話スケジュール候補の一つは、講師がいずれの生徒とも対話しないという内容の組合せであるため(例えば、すべての生徒が講義を終了しようとしている場合)、最低でも一つの全体対話スケジュール候補がステップ315の検査を通ることになる。
【0090】
なお、ステップ306では、個別対話スケジュール候補において、処理対象生徒と講師との対話を1回以下に限定する簡易法を採用することも可能である。すなわち、処理対象生徒からの質問がある場合は、その生徒に対して、質問に回答するか否か、回答する場合は講義の残り時間のどの時点で回答するのかという条件を用いて、生徒からの質問が無い場合は、講師からの質問を題材とする対話を1回行うかどうかという条件を用いて個別対話スケジュール候補が決定される。
【0091】
この場合、ある処理対象生徒に関する個別対話スケジュール候補の数は、生徒からの質問に答えるか否か、答えるとしたらいつ答えるか、あるいは、講師の質問のいずれかについて対話を行なうか否か、について組合せができるので、生徒の講義の残り時間がM分でありM分割すると仮定し、取得した講師の質問の数をNとすると、個別対話スケジュール候補の数は、(M+1)又は(N+1)となる。Nではなく(N+1)としているのは、講師からの質問を題材とする対話を行なわないケースがあるためである。以上の簡易法を用いることで、計算に必要な時間を大幅に短縮することができる。
【0092】
図10は、個別教育効果値の計算式(数1)を示す。
【0093】
具体的には、数1は、
全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど及び対話履歴DB153に格納されている該個別対話スケジュール候補に対応する生徒に関する過去の対話時間が長いほど大きい値を与えるように設定されている対話時間評価関数の出力値と、
該個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値を与えるように設定されている緊張度関数の出力値と
に基づいて、各生徒ごと、すなわち全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補ごとに個別教育効果値を求めるための計算式である。
【0094】
詳細には、対話時間評価関数は、数1において、中括弧(“{”及び“}”)で囲われた複数の項で構成される関数に相当し、
該個別対話スケジュール候補に対応する生徒について、進捗状況DB155に記録されている録画講義の再生時間が長いほど大きい値を与える項(第1項)と、
該個別対話スケジュール候補に対応する生徒について対話履歴DB153に記録されている過去の対話時間が長いほど大きい値を与える項(第2項と弟4項)と、
該個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど大きい値を与える項(第3項と弟5項)と
を含んで構成される。なお、第1項の係数アルファ(α)の値は非常に小さいため、録画講義の再生時間が長くなると、対話時間が長い場合と比較して、対話時間評価関数全体の出力値は小さくなる。
【0095】
数1の対話時間評価関数において、アルファ(α)は録画講義による個別教育効果値の大きさを表わす係数であり、ベータ(β)及びガンマ(γ)は、講師と生徒の対話による個別教育効果値の大きさを表わす係数である。録画講義の聴講よりも、講師と生徒の対話を行う方が、生徒の緊張感は維持されるため、講義の理解度が高まり、個別教育効果値は高くなる。従って、ベータとガンマは、アルファよりも大きい。また、講師から生徒への質問による対話よりも、生徒から講師への質問による対話の方が、大きな興味を持って対話することができ、講義の理解度が一層高まると思われるため、個別教育効果値が大きくなる。従って、ベータは、ガンマよりも小さい。ただし、生徒が質問してから教師が答えるまでの時間間隔が長いほど、生徒の関心が弱くなり、緊張度が低下して講義の理解度も低下すると思われるため、個別教育効果値は低下する。この点を考慮すると、例えばガンマは、図12(a)に示すような関数及び図12(b)に示す計算式で表わされる。図12において、γ0は、生徒が質問した直後に講師が回答した場合の個別教育効果値の大きさを表わす値であり、tは生徒が質問してから講師が回答するまでの時間、t0は個別教育効果値が半減するまでの時間である。
【0096】
図10に戻り、数1の対話時間評価関数において、Vは、録画講義を流した時間であり、進捗状況DB155の進捗度の値である。
【0097】
Qmは、講師から生徒に質問することによって(過去に)対話した時間であり、対話履歴DB153から取得することができる。
【0098】
Qn´は講師から生徒への質問による(未来の)対話の時間であり、対話計画DB154の予定対話時間の値である。
【0099】
Amは、生徒から講師に質問することによって(過去に)対話した時間であり、対話履歴DB153から取得することができる。
【0100】
A´は、生徒から講師に質問することによる(未来の)対話の時間であり、一律に5分といったように設定するか、あるいは生徒からの質問内容(例えば、データ量)に応じて予想した値が用いられる。生徒からの質問がない場合は、A´はゼロとるすことができる。
【0101】
cは、個別対話スケジュール候補の一つを表す。
【0102】
数1の緊張度関数は、本実施例では平均緊張度Tの関数の項に相当する。平均緊張度Tは、講義中の生徒の平均的な緊張度を表す値であり、図11(a)にその概念を示し、図11(b)に計算式を示す。本実施例では、緊張度は、講義開始時は100%であり、その後、録画講義の「聴講中」の間は低下し続け、講師と対話すると100%に戻るものとする。図11(a)のグラフの傾きkは、緊張度が低下する速度を表わす。平均緊張度Tは、講義全体に亘る緊張度の平均値であり、図11(a)の斜線部の面積を講義開始から終了までの時間で割って求める。平均緊張度を教育効果値の計算に用いることで、生徒の緊張感を加味したより精緻な教育効果値を算出できる。
【0103】
なお、本実施例では、対話時間評価関数の出力値と緊張度関数の出力値との乗算により算出される値を個別教育効果値としているが、対話時間評価関数の出力値と緊張度関数の出力値とを加算することにより算出される値(対話時間評価関数の出力値と緊張度関数の出力値との和)を個別教育効果値として採用することも可能である。
【0104】
全体教育効果値は、全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補ごとに算出される個別教育効果値の合計である。
【0105】
また、数1の係数である、緊張度の低下速度k、教育効果係数α、β、γ0、t0などは、経験的な値に設定しても良いし、重回帰分析等の統計的手法によって推定した実験値を用いても良い。例えば、実験的な講義を実施し、説明変数を対話時間等とし、被説明変数を講義前後の理解度テストの点数の差(=教育効果)とした重回帰分析を行なうことで、パラメータである上記係数を推定可能である。さらに、前述の簡易法を用いる場合は、数1のQn´の項は、和ではなく、ただ一つの項になる。
【0106】
図13は、生徒用受講端末140の表示装置に表示される画面の例を示す。左上には講義資料を表示し、その下に講義開始ボタン、講義中断ボタン(退席ボタン)、講義終了ボタンがある。講義中断ボタンは「聴講中」である場合のみ押下できる。また、講義終了ボタンは、講義終了時に押下できる。右上には、講師画像、その下が講師とその生徒の対話履歴、その下が対話内容を入力するエリアと送信ボタンである。講師の映像は、実際の講師の映像でも良いが、録画講義とライブの対話との切り替えをわかりにくくすることで生徒の緊張感をより高めることができるので、アニメーションキャラクタの映像を表示することが望ましい。なお、この画面では講師と生徒の対話の様子をテキストチャット形式で示しているが、音声による対話であっても良い。
【0107】
図14は、講師用対話端末110の表示装置に表示される対話モードの画面の例を示す。左上には講義資料を表示し、右上には現在対話中の生徒名を表示するエリア、対話履歴を表示するエリア、対話内容を入力するエリア、及び送信ボタンがある。下部は、講師への指示を表示するエリアである。現在は対話モードであるので、現在の対話の経過時間と、対話の残り時間を表示している。対話の残り時間とは、予想対話時間から現在の対話の経過時間を引いた時間である。右下には対話を終了するときに講師が押下する対話終了ボタンがある。
【0108】
図15は、講師用対話端末110の表示装置に表示される待機モードの画面の例を示す。画面構成は図14の例と同様であり、左上には講義資料を表示し、右上には次に対話を行なう生徒名を表示する。対話履歴を表示するエリアには、講師から生徒に提示する予定の質問が表示される(生徒からの質問を題材とする対話の場合は、生徒からの質問を表示する)。下部に設けられている講師への指示を表示するエリアには、次の対話開始までの時間が表示される。
【0109】
本実施例によれば、同期型講義と非同期型講義とを組合わせた反同期型講義を実現することにより、講師と生徒間の対話機会を十分に設けることができ、各生徒の講義に対する緊張度を維持することができるため、各生徒の講義内容の理解度(教育効果)を一層高めることができる。これにより、従来の同期型講義と非同期型講義のどちらにおいても、講師と生徒間の対話が十分に実現されていなかったという問題点を解消することができる。
【0110】
本実施例の半同期型講義では、録画講義を用いて行う非同期型講義と、講師と生徒間でライブの対話が行われる同期型講義とを組み合わせた講義形式であり、基本的な内容の学習は、録画された講義を生徒に聴講させることで行われるが、講師から生徒への質問あるいは生徒から講師への質問を題材とする対話を、講義の途中でライブに切り替えて行わせるというものである。半同期型講義においては、各生徒は、指定された講義時間帯の間であれば好きなときに受講を開始することができる。複数の生徒が同時に受講可能であるが、各生徒の講義の進捗は同期しておらず、講義は並列的に行われるという特徴がある。
【0111】
半同期型講義には以下のような長所がある。
【0112】
(1)生徒が講義内容についてわからなくなった時点で講師に対して気軽に質問することができるという点
(2)講師から生徒に対して適度に質問することで、生徒の講義への緊張感が持続するという点
(3)生徒は、指定された講義時間帯であれば好きなときに講義を受講することができ、時間的な制約が小さいという点
(4)講師は、一人一人の生徒との対話だけに集中すれば良いため、効率よく複数の生徒の面倒を見ることができるという点。
【0113】
また、半同期型の遠隔教育における課題は、講師と生徒間の対話のスケジューリングにある。例えば、生徒から受けた質問にはできるだけ早く答えることが望ましいが、各生徒に対する指導内容の公平性を保つためには、できるだけ全ての生徒と満遍なく対話することが望ましく、生徒から受けた質問に対して即座に答えることが必ずしも最適ではないという問題がある。あるいは、生徒の数が多い場合は、できるだけ多くの生徒と対話するため、短時間の対話で解決する質問を用意しておくといった工夫も考えられる。本実施例の講義管理サーバ120は、これらの問題を解決するため、講師用対話端末110と複数の生徒用受講端末140と通信可能に接続されることで遠隔教育システムを構成し、複数の生徒に対して並列的に講義を行うにあたり、講師と生徒間の対話の内容や順番を適宜設計する手段として機能する。
【0114】
以上、本発明の実施例を説明したが、以下のような変形例を採用することができる。
【0115】
図9の対話スケジューリングのフローチャートにおいては、ステップ312で全ての全体対話スケジュール候補について全体教育効果値を計算し、ステップ313で全体教育効果値順に並べ替えた後に、ステップ315で対話の時間帯の重複状況を検査しているが、検査を最初に行ってもよい。すなわち、まず、全体対話スケジュール候補ごとに対話の時間帯の重複状況を検査して非重複スケジュール候補だけを選び出し、その非重複スケジュール候補ごとに全体教育効果値を計算し、教育効果値の最も大きな非重複スケジュール候補を対話スケジュールとして決定すればよい。
【0116】
なお、以上に記載した実施例では、データベースや画面を具体的に説明したが、例えば、講義の進捗度を経過時間ではなくパーセンテージで表現するなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適時変更が可能である。
【0117】
また、以上に記載した実施例では、講義管理サーバ120が対話スケジューリングを行う構成とし、講師用対話端末110と生徒用受講端末140は、講義管理サーバ120を介して通信する構成を採用したが、講義管理サーバ120の通信部125に替えて、講師からデータの入力を受け付ける入力装置(キーボード、マウスなど)と、講師に対してデータを出力するデータ出力装置(ディスプレイ、スピーカ、プリンタなど)を備えし、講師が講義管理サーバ120を講師用対話端末として使用する構成も可能である。
【0118】
さらに、講義管理サーバ120内でCPUによって実行されるコンピュータプログラム(本発明の遠隔教育支援プログラム)は、あらかじめ同サーバ120内の記憶装置に格納されていても良いし、着脱可能な記憶媒体や通信媒体(有線、無線、光などのネットワーク、又はそのネットワーク上の搬送波やデジタル信号)を介して、必要なときに記憶装置に導入されても良い。
【0119】
実施例では、各DB151〜156は、講義管理サーバ120に備えられ(例えば、ハードディスクドライブやRAM等の記憶手段に備えられ)ているが、その記憶手段は講義管理サーバ120に内蔵されるタイプと外付けされるタイプのどちらでもよい。また、各DB151〜156は、講義管理サーバ120と通信可能に接続された他の装置(他のサーバなど)に備えられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の遠隔教育支援装置を用いて構成される遠隔教育支援システムのシステム構成を示すブロック図
【図2】講師質問DBの例
【図3】生徒質問DBの例
【図4】対話履歴DBの例
【図5】対話計画DBの例
【図6】進捗状況DBの例
【図7】講義管理サーバの対話設計部による処理の流れを示すフローチャート
【図8】講師と生徒間で行われる対話の対話スケジュールの例を示すチャート図
【図9】対話設計部による対話スケジューリングの流れを示すフローチャート
【図10】各生徒(各個別スケジュール候補)の個別教育効果値の計算式を示す図
【図11】(a)において、平均緊張度Tの概念を示し、(b)において、平均緊張度Tの計算式を示す図
【図12】(a)において、生徒から講師に質問することによって対話したときの効果係数γの概念を示し、(b)において、効果係数γの計算式を示す図
【図13】生徒用受講端末の表示装置に表示される画面の例を示す図
【図14】講師用対話端末の表示装置に表示される画面の例(対話モード)を示す図
【図15】講師用対話端末の表示装置に表示される画面の例(待機モード)を示す図
【符号の説明】
【0121】
110:講師用対話端末
120:講義管理サーバ
140:生徒用受講端末
121:講義配信部
122:生徒管理部
123:対話設計部
124:対話管理部
125:通信部
151:講師質問データベース
152:生徒質問データベース
153:対話履歴データベース
154:対話計画データベース
155:進捗状況データベース
156:講義内容データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、eラーニング等の遠隔教育を行うために用いられる情報技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業の社内教育などにおいて、インターネット等の情報インフラを利用した遠隔教育(eラーニング等)が盛んに利用されるようになってきている。遠隔教育の長所は、生徒が好きな場所で学習することができ、また大勢の生徒が効率良く学習することが可能であるという点である。
【0003】
遠隔教育には大きく分けて、講師のライブの講義を複数の生徒が同時に受講する同期型(ライブ型)と、録画された講義を生徒が好きな時間に受講する非同期型(オンデマンド型)の2種類がある。
【0004】
なお、遠隔教育を行うために用いられる技術が下記特許文献1〜3に開示されている。
【0005】
特許文献1には、同期型に関する技術として、学習番組を視聴する生徒からの問題への回答の集計結果を反映して学習番組を進行する技術が記載されている。
【0006】
特許文献2には、非同期型に関する技術として、ミニテストに対する生徒の回答の音声を解析して生徒の自信度合いを把握し、自信のない分野の練習問題を再び回答させるという技術が記載されている。
【0007】
特許文献3には、非同期型に関する技術として、講師の発話や動作の特徴をアニメーションキャラクタに投影し、生徒に実際の教師と対話している印象を持たせる技術が記載されている。
【特許文献1】特開2007−123975号公報
【特許文献2】特開2006−293102号公報
【特許文献3】特開2006−30513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、同期型の遠隔教育には、生徒がライブゆえの緊張感を持って受講できるという長所がある反面、生徒が他の生徒に気兼ねして講師へ質問しにくいとか、時間的な制約が強いという短所がある。
【0009】
また、非同期型の遠隔教育には、生徒が自分の好きな時間に講義を受講できるという長所がある反面、録画であるがゆえに受講時の緊張感を保ちにくいとか、その場で講師に質問ができないという短所がある。
【0010】
以上のとおり、同期型の遠隔教育と非同期型の遠隔教育には、それぞれ短所があり、各生徒が講義内容を理解するという効果(教育効果)を高めるには、上記の短所を補う工夫が必要である。
【0011】
上記課題を踏まえ、本発明は、同期型の遠隔教育と非同期型の遠隔教育のそれぞれの長所を活かしつつ、それぞれの短所を補うことで教育効果を高める遠隔教育支援装置、遠隔教育支援方法、及び遠隔教育支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の遠隔教育支援装置は、生徒用端末に配信される講義データに関して、生徒が講師を占有して対話する場合の、講師と生徒の対話スケジュールを設定する遠隔教育支援装置であって、生徒ごとの前記講義データの再生状況を管理する生徒管理部と、前記講義データの再生中に講師から生徒に出される質問(以下、「講師質問」という)について、講義データの再生量で指定される質問タイミングと、該質問に関して予想される講師と生徒との間の対話時間を格納する講師質問テーブルと、生徒ごとに、前記講義データの再生中に該生徒から講師へ出される質問(以下、「生徒質問」という)を格納する生徒質問テーブルと、前記生徒管理部が管理する前記生徒ごとの前記講義データの再生状況、前記講師質問テーブル及び前記生徒質問テーブルを参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、該生徒から生徒質問が出されている場合は、該生徒質問に回答する予め決められた対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定め、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補のうち、個別対話スケジュール候補間で対話時間の時間帯が重複しない全体対話スケジュール候補について、対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値となる全体教育効果値を求め、該全体教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定する対話スケジュール設定部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の実施形態では、前記対話スケジュール設定部は、対話終了を検出した場合、前記講義データを用いた講義への生徒の出席を検出した場合、生徒から質問が出されたことを検出した場合、前記講義データを用いた講義からの生徒の退席を検出した場合のうち、少なくともいずれか1つの場合に前記対話スケジュールを設定する。
【0014】
本発明の別の実施形態では、前記全体教育効果値は、前記全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補について求まる個別教育効果値の合計であり、前記個別教育効果値は、個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど大きい値を与える対話時間評価関数の出力値と、該個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値を与える緊張度関数の出力値とに基づいて、前記全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補ごとに算出される個別教育効果値の合計である。この場合、さらに、生徒ごとに、講師と該生徒との過去の対話時間の実績を格納する対話履歴テーブルを備えておくことで、前記対話時間評価関数は、前記対話履歴テーブルに格納される過去の対話時間が長いほど大きい値を与えるように設定されている構成を採用することができる。
【0015】
本発明のまた別の実施形態では、さらに、前記対話スケジュール設定部が設定した対話スケジュールに従って、次に予定されている対話が講師質問を用いて行う対話の場合、講師と対話する予定の生徒に対して該講師質問を提示可能に出力し、次に予定されている対話が生徒質問を用いて行う対話の場合、講師に対して該生徒質問を提示可能に出力する対話管理部を備える。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態では、前記対話スケジュール設定部は、前記生徒質問テーブルに生徒質問に関する情報が格納されいている場合、該生徒質問を出した生徒については、該生徒質問を用いて行う講師との対話の時間帯が、講師質問を用いて行う講師との対話の時間帯よりも先になるように前記個別対話スケジュール候補を定める。
【0017】
本発明のまたさらに別の実施形態では、さらに、生徒用端末を介して生徒から前記講義データの配信指示を受けた場合に、該生徒用端末に対して前記講義用データをリアルタイム再生可能に配信する講義配信部を備える。この場合、前記生徒管理部は、講師と生徒が対話している間、該生徒の生徒用端末に対する前記講義配信部からの前記講義データの配信を中断させる構成を採用することができる。
【0018】
本発明の遠隔教育支援方法は、生徒用端末に配信される講義データに関して、生徒が講師を占有して対話する場合の、講師と生徒の対話スケジュールを設定する遠隔教育支援方法であって、前記管理している前記生徒ごとの前記講義データの再生状況、前記講義データの再生中に講師から生徒に出される質問(以下、「講師質問」という)について、講義データの再生量で指定される質問タイミングと、該質問に関して予想される講師と生徒との間の対話時間を格納する講師質問テーブル、及び生徒ごとに、前記講義データの再生中に該生徒から講師へ出される質問(以下、「生徒質問」という)を格納する生徒質問テーブルを参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、該生徒から生徒質問が出されている場合は、該生徒質問に回答する予め決められた対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定め、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補のうち、個別対話スケジュール候補間で対話時間の時間帯が重複しない全体対話スケジュール候補について、対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値となる全体教育効果値を求め、該全体教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定することを特徴とする。
【0019】
本発明の遠隔教育支援プログラムは、上記方法に含まれる各処理を情報処理装置に実行させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、講義データを用いて行う非同期型講義と、講師と生徒との間でライブの対話が行われる同期型講義とを組み合わせた半同期型の遠隔教育を実現することにより、教育効果を一層高めることができる。具体的には、本発明を実施することで、講師と各生徒間の対話予定を表す個別対話スケジュール候補の組み合せである全体対話スケジュール候補から、講師と生徒間で対話している時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きな値となる全体教育効果値の最も大きい全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定することができる。対話スケジュールが得られれば、これに従って、講師と生徒間で講義中に適宜対話を行わせることにより、各生徒の講義に対する緊張度を維持することができ、その結果教育効果を一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を、図を用いて説明する。なお、以下の実施例において、同一の機能を持つ要素については、複数の図面において同一の符号を付して表示し、重複する説明を省略するものとする。
【0022】
図1は、実施例の遠隔教育支援装置を用いて構成される遠隔教育システムの構成を示す。このシステムにおいては、講義管理サーバ120が本発明の遠隔教育支援装置に相当する。
【0023】
このシステムは、講師用対話端末110、複数の生徒用受講端末140、及び講義管理サーバ120を含んで構成される。講師用対話端末110と講義管理サーバ120はLANなどの通信回線で接続されており、講義管理サーバ120はインターネットなどの通信回線130を経由して生徒用受講端末140に接続されている。
【0024】
講師用対話端末110は、講師が生徒と対話する際に使用され、各種のデータの入出力を担当するコンピュータであり、講師の声あるいはキーボードから打ち込まれた文章を表すデータを講義管理サーバ120に送信するとともに、講義管理サーバ120から送信される、講師に伝えるべき指示や生徒からの質問を画面に表示する。講師用対話端末110としては、CPU、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、キーボード、マウス等の各種ハードウェアを備える一般的な情報処理装置を採用することができる。
【0025】
生徒用受講端末140は、講義を受講する際に生徒によって使用され、各種のデータの入出力を担当するコンピュータであり、講義管理サーバ120が配信する講義データの内容を画面に表示したり、生徒の質問を講義管理サーバ120に送信したり、生徒が受講を開始し又は終了したことを表す情報を講義管理サーバ120に送信する。生徒用受講端末140についても、前述の一般的な情報処理装置を採用することができる。
【0026】
本実施例においては、講師と生徒は、学校や学習等の教育機関における講師と生徒に限らず、講師には何らかの技芸、スポーツ又は知識を教授する者が含まれ、生徒にはその技芸、スポーツ又は知識の教授を受ける者が含まれるものとする。
【0027】
講義管理サーバ120は、複数の生徒用受講端末140に配信される講義データに関して、生徒が講師を占有して対話する場合の、講師と生徒の対話スケジュールを設定する。なお、講師との対話は、各生徒が1人ずつ行ってもよいし、複数の生徒からなるグループ単位で行ってもよい。グループ単位で講師と対話する構成の場合、各グループの識別子と、グループの構成員とを対応付けて記憶するテーブルを用いて管理すればよい。
【0028】
また、講義管理サーバ120は、前述の一般的な情報処理装置によって構成され、各種のデータベースとして講師質問データベース151、生徒質問データベース152、対話履歴データベース153、対話計画データベース154、進捗状況データベース155、及び講義内容データベース156を備える。以下、「データベース」を「DB」と表記する。これらのデータベースは、ハードディスクドライブやRAM等の記憶手段に格納される。
【0029】
さらに、講義管理サーバ120は、CPUが所定の遠隔教育支援プログラム(図示省略)を実行することにより実現される各種の機能部として、講義配信部121、生徒管理部122、対話設計部123、及び対話管理部124と、講師用対話端末110及び生徒用対話端末140を通信可能に接続する通信部125とを備える。
【0030】
講師質問DB151は、講義データの再生中に講師から生徒に出される質問(以下、「講師質問」という)について、講義データの再生量で指定される質問タイミングと、該質問に関して予想される講師と生徒との間の対話時間を格納する講師質問テーブルとしてのデータベースである。具体的には、図2に示すように、質問を識別するための質問ID、講義データの再生中における各質問の質問タイミング(進捗度)、講師質問の内容(質問内容)、それぞれの質問を用いて行われる対話について予想される対話時間(以後「予想対話時間」という。)が対応付けられて講師質問情報として格納される。なお、本実施例では、進捗度は、質問の提示タイミングを表すだけでなく、講義データの再生量、すなわち講義の進み具合を表す言葉としても用いられるものとする。
【0031】
生徒質問DB152は、生徒ごとに、講義データの再生中に該生徒から講師へ出される質問(以下、「生徒質問」という)を格納する生徒質問テーブルとしてのデータベースである。具体的には、図3に示すように、質問を識別するための質問ID、質問の送信元を表す情報(ここでは、質問した生徒を特定する生徒ID)、生徒用受講端末140から質問が送信された時刻、生徒用受講端末140から質問が送信された時点の講義データの進捗度、生徒質問の内容(質問内容)、及びそれぞれの質問に講師が回答したかどうかを表すフラグ(回答済と未回答)が対応付けられて生徒質問情報として格納される。実施例では、この生徒質問DB152が、本発明における生徒質問テーブルに相当する。また、本実施例では、
対話履歴DB153は、生徒ごとに、講師と該生徒の過去の対話時間の実績等の対話の履歴を記録する対話履歴テーブルとしてのデータベースである。具体的には、図4に示すように、講師ID、生徒ID、講師と生徒のどちらが提示した質問を題材とする対話であるかを表す対話種別、質問ID、対話の開始時刻、対話に要した実際の時間、及び対話内容が対応付けて格納される。対話種別は、講師が提示した質問を題材とする対話の場合は「講師質問」とし、生徒が提示した質問を題材とする対話の場合は「生徒質問」とする。
【0032】
対話計画DB154は、講師と各生徒との間の対話の個別対話スケジュール候補の組み合わせから決定された全体の対話スケジュールを記録するデータベースである。具体的には、図5に示すように、講師ID、対話相手である生徒の生徒ID、対話を開始する時間(対話開始時刻)、対話の予定時間(予定対話時間)、質問ID、及び対話種別が対応付けて格納される。予定対話時間は、対話種別が講師質問の場合は、講師質問DB151における同一質問IDの質問に関する予想対話時間の値が格納され、対話種別が生徒質問の場合は、予め一律に決められた所要時間(例えば、5分)や生徒用受講端末140から受信した質問データのサイズに応じて増減する所要時間が格納される。対話計画DB154に格納される対話スケジュールの決定方法は、図8〜12を参照して後述する。
【0033】
進捗状況DB155は、生徒ごとの講義データの再生状況、すなわち生徒ごとの講義の進捗度や、「聴講中」や「対話中」といった生徒ごとの講義の受講状態を記録するデータベースである。具体的には、図6に示すように、講義に参加している各生徒の生徒ID、各生徒が講義を開始し(講義データを再生し)た時刻、進捗度、及び受講状態が対応付けて格納される。受講状態は、未だ講義を受講し(講義データを再生し)ていない場合は「未受講」、講義を受け(講義データを再生し)ている場合は「聴講中」、講師と対話している場合は「対話中」、講義を聴講し終え(講義データの再生が終了し)ている場合は「受講済」、録画講義を用いた講義から退席し(講義データの再生を、対話開始以外の理由で中断し)ている場合は「退席中」とする。
【0034】
講義内容DB156は、生徒用受講端末140へ送信するための講義データを記録しているデータベースである。講義データの具体例としては、講義の映像(動画)又は音声が必須の情報であり、補足的にテキスト等の講義資料を採用することができる。また、講義内容DB156においては、進捗度を指定すると、講義データのうち、その指定された進捗度以降の講義データを抽出することができる。本実施例では、講義データとして、録画された講義映像(録画講義)と講義資料を用いるものとする。
【0035】
講義配信部121は、予め決められた講義の時間帯に生徒用受講端末140を介して生徒から録画講義の送信指示を受信した場合に、その生徒用受講端末140に対して講義内容DB156に格納されている録画講義をリアルタイム再生可能に送信するとともに、必要に応じて講義資料を送信する。また、講義配信部121は、録画講義の進捗度を、その都度(例えば、1〜10秒間隔で)、進捗状況DB155に記録する。
【0036】
なお、録画講義を配信している間も常に進捗状況DB155の最新情報を参照し、例えば講師と生徒が対話を始めた場合など、受講状態が「聴講中」でなくなった場合は、録画講義の配信を停止(再生途中の場合は中断)する。また、録画講義の再生が最後まで終わると、進捗状況DB155の受講状態を「受講済」に変更する。
【0037】
生徒管理部122は、生徒ごと(具体的には、生徒用受講端末140ごと)の録画講義の再生状況を進捗状況DB155上で管理する。具体的には、生徒管理部122は、生徒ごとに、受講開始(出席)、受講中断(退席)、及び受講終了を表す情報と、生徒用受講端末140から送信される質問を受け付ける。例えば、生徒用受講端末140において、生徒が画面上に表示される受講開始ボタン(出席ボタン)を押下すると、生徒管理部122は、生徒用受講端末140から受講開始情報を受信し、進捗状況DB155の受講状態を「未受講」又は「退席中」から「聴講中」に書き換える。
【0038】
また、生徒管理部122は、生徒が画面上に表示される受講中断ボタン(退席ボタン)を押下すると、生徒用受講端末140から録画講義の配信停止指示を受信し、進捗状況DB155の受講状態を「聴講中」から「退席中」に書き換える。さらに、録画講義を再生している生徒用受講端末140から質問を受信すると、生徒質問DB152に新規レコードを作成し、その質問に関する前述の生徒質問情報を格納する。またさらに、生徒管理部122は、生徒と講師の対話が開始してから終了するまでの間、その生徒が使用している生徒用受講端末140に対する講義配信部121からの録画講義の送信を中断させる。
【0039】
対話設計部123は、講師と生徒との間で行われる対話のスケジューリングを行なう対話スケジューリング設定部として機能する。具体的には、所定のタイミングで、生徒管理部122が管理する生徒ごとの録画講義の再生状況、講師質問DB151及び生徒質問DB152を参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、該生徒から生徒質問が出されている場合は、該生徒質問に回答する予め決められた対話時間(例えば、5分間)の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定める。そして、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補のうち、個別対話スケジュール候補間で対話時間の時間帯が重複しない全体対話スケジュール候補について、対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値となる全体教育効果値を求め、該全体教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定する。さらに、対話設計部123は、対話スケジューリングの結果である1つの対話スケジュールの内容を対話計画DB154に記録する。
【0040】
実施例では、生徒質問に関して予め決められた対話時間は、一律5分間に設定しているが、1分や10分など任意の時間を設定することができる。さらに、生徒質問に関して予め決められた対話時間は、一律に設定される時間に限らず、例えば、生徒質問のデータ量に応じて予め決めた基準(例えば、対話時間=データ量×計数)に基づき算出される時間を含むものとする。
【0041】
また、対話設計部123は、対話設計部123は、生徒質問DB152及び進捗状況DB155の最新情報を常に参照し、以下の(1)〜(5)のいずれかの場合に対話スケジュールの設定(対話スケジューリング)を行う。以後、これら5つの場合のことを、スケジューリング条件という。
【0042】
(1)対話終了指示を検出した場合
上記の場合は、講師と生徒の対話が終了した場合に相当し、例えば、対話管理部122が進捗状況DB155の受講状態を「対話中」から「聴講中」に書き換えたことを検出し、対話スケジューリングを行うことができる。講師と生徒との対話が終了するたびに対話スケジューリングを行うことにより、対話が予定よりも早く終了した場合や、対話が予定よりも遅れて終了した場合に、即座に対応することができる。
【0043】
(2)録画講義を用いた講義への生徒の出席を検出した場合
この場合は、生徒が録画講義の受講を開始した場合に相当し、例えば、生徒管理部122が進捗状況DB155の受講状態を「未受講」又は「退席中」から「聴講中」に書き換えたことを検出し、対話スケジューリングを行うことができる。
【0044】
(3)生徒から質問が出されたことを検出した場合
この場合は、生徒が質問した場合に相当し、例えば、生徒管理部122が生徒質問DB152に質問内容を追加したことを検出し、対話スケジューリングを行うことができる。
【0045】
(4)講義データを用いた講義からの生徒の退席を検出した場合
この場合は、録画講義受講中の生徒が録画講義の再生を、対話開始以外の理由で中断した場合に相当し、例えば、生徒管理部122が進捗状況DB155の受講状態を「聴講中」から「退席中」に書き換えたことを検出し、対話スケジューリングを行うことができる。
【0046】
なお、上記の(1)〜(5)のスケジューリング条件のうち、少なくともいずれか1つのスケジューリング条件を満たす場合に対話スケジューリングを行うように構成してもよい。対話スケジューリングのさらに詳細な処理については、図9〜12のフローチャートを参照して後述する。
【0047】
対話管理部124は、対話設計部123が設定した対話スケジュールに従って、生徒用受講端末140のうち、講師と対話する生徒が使用している生徒用受講端末140を講師と対話するための対話用端末として選択する。そして、選択した対話用端末と講師用対話端末110との間で講師と生徒の対話のデータを中継することで、講師と生徒間の対話を仲介する。
【0048】
また、対話管理部124は、対話設計部123が決定した対話スケジュールに従って講師と生徒間の対話を仲介するにあたり、対話計画DB154の対話種別が「講師質問」の場合は、講師質問DB151に格納されている講師質問情報のうちの質問に関する情報を対話予定の生徒に対して提示可能に送信する。これにより、対話予定の生徒が使用する生徒用受講端末140の画面上には講師からの質問が表示され、講師質問を題材とする対話(質疑応答)が開始する。
【0049】
一方、対話種別が「生徒質問」の場合は、生徒質問DB152に格納されている送信元を表す生徒用対話端末140を対話用端末として選択して講師と生徒の対話を仲介するとともに、生徒質問に関する情報を講師に対して提示可能に(例えば、表示可能、音声出力可能)出力する。これにより、生徒質問に関する情報は、通信部125を介して講師用対話端末110へ送信され、講師用対話端末110の画面上には生徒質問が表示され、生徒質問を題材とする対話(質疑応答)が開始する。なお、対話管理部124による処理については、図7のフローチャートを参照して後述する。
【0050】
図7は、対話管理部124による処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
対話管理部124は、対話設計部123が決定した対話スケジュールに基づいて、待機モード(講師は待機しており、生徒は録画講義を受講し又は退席している状態)201と対話モード(講師といずれかの生徒が対話している状態)203の処理を遷移する。以下、対話管理部124による待機モード201と対話モード203のそれぞれの処理について説明する。
【0052】
まず、対話管理部124は、待機モード201において、対話計画DB154の最新情報を常に参照し、講師用対話端末110に対し、対話を開始するまでの残り時間、対話の相手となる生徒の生徒ID、及び次の対話の題材となる最初の質問(講師からの質問又は生徒からの質問)に関する情報を表示可能に送信する。そして、対話計画DB154が対話設計部123によって書き換えられたときは、これに応じて新しい情報を講師用対話端末110へ送信する。
【0053】
そして、対話管理部124は、所定のタイミングで待機モード102の終了方法を判断する終了判断処理202を行い、処理全体の終了かどうか(例えば、講義時間の経過により待機モード201から対話モード203へ遷移せずに終了するかどうか)を判断する。そして、処理全体を終了する場合には、対話モード203へ遷移せずに処理を終了する。
【0054】
一方、対話管理部124は、対話スケジュール内で決められた次の対話の開始時刻になると、待機モード201から対話モード202に移る。
【0055】
対話管理部124は、対話モード202の開始時において、講師から生徒に質問を行なう場合は、質問内容を生徒用受講端末140に表示可能に送信する。また、対話予定時刻になった旨を講師用対話端末110に表示可能に送信する。この場合、例えば、対話を開始するまでの残り時間がゼロである旨を表示させる替わりに「対話を開始してください」というメッセージをさせるのがよい。さらに、進捗状況DB155の受講状態を「対話中」に変更する。
【0056】
また、対話管理部124は、対話モード202において、通信部125と生徒用受講端末140から選択した対話用端末との間で講師と生徒の対話のデータを中継することにより、講師と生徒の対話を仲介する。例えば、生徒用受講端末140で入力された発言内容を表すデータを講師用対話端末110へ中継し、講師用対話端末110の画面に表示させ、これとは逆に、講師用対話端末110で入力された発言内容を表すデータを生徒用受講端末140へ中継し、生徒用受講端末140の画面に表示させる。また、講師用対話端末110に対話の経過時間や残り時間(予定対話時間と経過時間との差)を表すデータを表示可能に送信し、画面上に表示させる。そして、講師用対話端末110の画面上に表示される対話終了ボタンが押下されると、対話の終了指示が講義管理サーバ120へ送信され、講義管理サーバ120が対話終了指示を受信すると、対話管理部124は、対話モード202から待機モード201に移る。
【0057】
なお、対話モード203においても、対話管理部124は、所定のタイミングで終了判断処理204を行い、処理全体を終了するかどうか(例えば、講義時間の経過により対話モード203から待機モード201へ遷移せずに終了するかどうか)を判断する。そして、処理全体を終了する場合には、待機モード201へ遷移せずに処理を終了する。
【0058】
一方、対話管理部124は、対話が終了してから次の対話までに時間(講師の待機時間)がある場合は、対話モード203から待機モード201に移る。
【0059】
対話管理部124は、対話モード202の終了時に、対話内容を対話履歴DB153に記録する。なお、記録した対話内容は、後でまとめてメール等で生徒に送付すると、生徒が講義の復習をするときに有用である。また、進捗状況DB155の受講状態を「対話中」から「聴講中」に変更する。また、生徒からの質問による対話を行った場合、生徒質問DB152のフラグを「未回答」から「回答済」に変更する。
【0060】
図8は、対話設計部123による対話スケジューリングの結果としての対話スケジュールの例を示すチャート図である。この図を参照して、対話スケジューリングの概念を説明する。
【0061】
図8において、横軸は時間であり、横長の棒が録画講義を用いた講義の時間帯及び生徒による講義の受講時間帯を表わしている。それぞれの時間帯において、斜線模様又は横縞模様が施された時間帯は、以下の意味を表している。
【0062】
(1)実線の枠内に横縞模様が施されている時間帯
この時間帯は、講師からの質問を題材とする過去又は現在の対話の時間帯を示す
(2)実線の枠内に斜線模様が施されている時間帯
この時間帯は、生徒からの質問を題材とする過去又は現在の対話の時間帯を示す
(3)破線の枠内に横縞模様が施されている時間帯
この時間帯は、講師からの質問を題材とすることが予定されている対話の時間帯を示す
(4)破線の枠内に斜線模様が施されている時間帯
この時間帯は、生徒からの質問を題材とすることが予定されている対話の時間帯を示す
(5)実線の枠内に模様が施されていない時間帯
この時間帯は、講師が待機中であり、生徒が録画講義を聴講している時間帯を示す。
【0063】
また、図において対話の時間帯が重複している講師と生徒は、対話の相手同士である。
【0064】
なお、講義時間は、例えば17時10分から17時50分というように時間帯で指定されるものとする。それぞれの生徒は、指定された時間帯の中で好きな時間に録画講義を受講することができる。講師は、講義の開始時刻から終了時刻まで、対話設計部123が設定した対話スケジュールに従って、それぞれの生徒と対話を行う。
【0065】
この図の例では、現在時刻は17時25分で、講師と生徒3が対話中である。予定される対話には、講師からの質問による対話、及び現時点で生徒から受け付け済みの質問に回答することよる対話の2種類の対話がある(図では、前者だけがスケジューリングされている)。
【0066】
また講師から生徒に提示する質問は、講師質問DB151内に予め複数用意され、録画講義のどの進捗度において提示するかが決められている。従って、各生徒の現時点の講義の進捗度よりも後に提示される予定の質問が未来の対話の題材候補となる。
【0067】
また、講師は、一人の生徒と複数回対話しても良いし、一度も対話しなくても良い。さらに、予め用意してあるすべての質問を、すべての生徒に対して提示する必要は無いし、生徒から受け付けた質問のすべてに答える必要もない。これらを踏まえたうえで、講師の限られた時間を有効に活用し、教育効果が高まるように対話設計部123によって対話スケジュールが設定される。
【0068】
本実施例では、生徒が講義内容をよく理解するという効果を教育効果と表現する。そして、この教育効果を、講師と生徒との対話時間が長いほど、及び両者の連続非対話時間が短いほど大きな値となる教育効果値を用いて表すものとする。教育効果値の計算方法については、図10〜12を参照して後述する。
【0069】
図9は、対話設計部123による対話スケジューリングの流れを示すフローチャートである。対話設計部123は、前述のスケジューリング条件のいずれかが満たされた場合に、この対話スケジューリングを行う。以下、処理の内容を説明する。
【0070】
ステップ301からステップ310は、進捗状況DB155の受講状態が「聴講中」である全ての生徒に対するループ処理である。
【0071】
まず、対話設計部123は、進捗状況DB155から受講状態が「聴講中」である生徒のIDと進捗度を1行分取得する(ステップ302)。以下、このステップ302で取得したレコードに関する生徒(以下「処理対象生徒」という)について、ステップ309までの処理を行なう。
【0072】
対話設計部123は、生徒質問DB152から、フラグが「未回答」である質問のうち、処理対象生徒の質問のIDと質問時刻と質問内容を取得する(ステップ303)。
【0073】
対話設計部123は、対話履歴DB153から、処理対象生徒と講師との過去の対話に関する対話種別と対話時間を取得する(ステップ304)。
【0074】
対話設計部123は、講師質問DB151から、ステップ302で取得した進捗度より進捗度の値が大きい質問の質問IDと予想対話時間と進捗度を取得する(ステップ305)。
【0075】
対話設計部123は、生徒管理部122が管理する処理対象生徒の講義データの再生状況、ステップ305で講師質問DB151を参照して取得した生徒質問、及びステップ303で生徒質問DB152を参照して取得した講師質問から、処理対象生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、処理対象生徒から生徒質問が出されている場合は、さらに生徒質問に回答する関して予め決められた対話時間に基づき、該生徒質問に回答する対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定める(ステップ306)。
【0076】
講師からの質問を題材とする対話を行なうタイミングは、講師質問DB151において質問ごとに予め指定した進捗度の時点である。具体的には、講師からの質問を題材とする対話の開始時間は、対話を開始する予定の進捗度と処理対象生徒の現在の進捗度との差だけ、現在の時刻から時間が経過した時刻である。また、生徒からの質問を題材とする対話を行う(質問に答える)タイミングは、生徒用受講端末140における録画講義の再生が終了するまでのいずれかのタイミングであり、例えば、講義終了までの残り時間を約1分間隔に分割し(例えば残り40分30秒なら40分割し)、いずれかの区切りの先頭の時刻に質問に答えるための対話を開始する。もちろん、生徒からの質問にはなるべく早く回答するのが好ましいが、他の生徒との兼ね合い上、すぐに回答できない場合も多いし、講義時間中には回答できない場合もある。回答できなかった質問については、講義終了後にメール等の手段で回答することが望ましい。
【0077】
このステップ306では、生徒からの質問に答えるか否か、答えるとしたらいつ答えるか、あるいは、講師の質問のそれぞれについて対話を行なうか否かという事情が反映された対話の組合せが作成される。具体的には、処理対象生徒の講義の残り時間がM分であり、M分割すると仮定し、取得した講師の質問の数をNとすると、作成される対話の組合せの数は、最大で(M+1)×2^Nとなる(ただし、生徒からの質問がない場合は2のN乗である)。上記式において、係数がMではなく(M+1)となっているのは、質問に回答しないケースが1つあるからである。なお、本実施例では、処理対象生徒からの質問が複数ある場合でも、それらの質問を題材として行われる対話は最大で1回とし(複数の質問に対して、一度にまとめて回答するという意味である)、予想対話時間は予め一律に5分というように決めておく。
【0078】
なお、ステップ306では、対話設計部123は、生徒からの質問を用いて行われる対話の時間帯が、講師からの質問を用いて行われる対話の時間帯よりも先になるように個別対話スケジュール候補を定める。具体的には、対話設計部123は、以下の個別対話スケジュール候補を除外する。
【0079】
(1)生徒からの質問を題材とする対話を行なわずに講師からの質問を題材とする対話を行なう予定となっている個別対話スケジュール候補
(2)生徒からの質問を題材とする対話の時間帯が、講師からの質問を題材とする対話の時間帯よりも後に予定されている個別対話スケジュール候補
上記(1)、(2)の個別対話スケジュール候補は、生徒からの質問に回答する前に、講師から質問することとなり、不自然であるため、除外するものとする。
【0080】
(3)生徒からの質問を題材とする対話の時間帯と、講師からの質問を題材とする対話の時間帯が重複している個別対話スケジュール候補
この個別対話スケジュール候補は、実現できないため、除外するものとする。
【0081】
続いて、対話設計部123は、ステップ306で作成した個別対話スケジュール候補に関するループ処理を行う(ステップ307〜309)。
【0082】
対話設計部123は、図10に示す数式(数1)を用いて、対話の所要時間が長いほど及び対話をしていない時間が短いほど大きな値となる、それぞれの個別対話スケジュール候補の教育効果値(個別教育効果値)を計算する(ステップ308を繰り返す)。個別教育効果値の計算方法については、図10を参照して後述する。
【0083】
対話設計部123は、ステップ301からステップ310までの処理をすべての生徒について行い、それぞれの生徒と講師と間の対話について個別対話スケジュール候補を決定し、各個別対話スケジュール候補に関する個別教育効果値を計算する。
【0084】
次に、対話設計部123は、ステップ301からステップ310で決定した各個別対話スケジュール候補を組み合わせ、講師とそれぞれの生徒との間で行われる対話の全体対話スケジュール候補を決定する(ステップ311)。なお、全体対話スケジュール候補の組合せの総数は、ある生徒sの個別対話スケジュール候補の数をC(s)、生徒の総数をSとすると、C(1)×C(2)×・・・C(s)×・・・×C(S)となる。
【0085】
対話設計部123は、ステップ311で決定した全体対話スケジュール候補のすべてについて全体教育効果値を計算する(ステップ312)。全体対話スケジュール候補の教育効果値(全体教育効果値)は、全体対話スケジュール候補を構成する各個別対話スケジュール候補の個別教育効果値の合計である。
【0086】
対話設計部123は、ステップ311で決定した全体対話スケジュール候補を、全体教育効果値の高い順に並び替える(ステップ313)。
【0087】
そして、対話設計部123は、ステップ313で並べ替えた全体対話スケジュール候補について、全体教育効果値の高いものから順にループ処理を行う(ステップ314からステップ316)。このループ処理は、ステップ311で決定した全体対話スケジュール候補から、個別対話スケジュール候補間で対話の時間帯が重複していない非重複スケジュール候補を選択し、非重複スケジュール候補のなかから対話スケジュールを決定するための処理である。
【0088】
対話設計部123は、このループ処理において、ステップ313で並べ替えた全体対話スケジュール候補を全体教育効果値の高いものから順に検査し、全体対話スケジュール候補を構成する各個別対話スケジュール候補間で対話の時間帯が重なっていないかどうか(時間整合性)のチェックを行なう(ステップ315)。講師が、同じ時間帯に複数の生徒と対話する予定となっていれば、この検査結果はNGとなる。
【0089】
対話設計部123は、ステップ313のチェックがOKとなる非重複スケジュール候補が見つかるまで、同ステップの検査を行う。そして、検査結果がOKとなる非重複スケジュール候補が見つかると、その非重複スケジュール候補を対話スケジュールとして決定し、その内容(質問ID、開始時間等)を対話計画DB154に記録し(ステップ317)、対話スケジューリング201を終了する。なお、ステップ311で決定される全体対話スケジュール候補の一つは、講師がいずれの生徒とも対話しないという内容の組合せであるため(例えば、すべての生徒が講義を終了しようとしている場合)、最低でも一つの全体対話スケジュール候補がステップ315の検査を通ることになる。
【0090】
なお、ステップ306では、個別対話スケジュール候補において、処理対象生徒と講師との対話を1回以下に限定する簡易法を採用することも可能である。すなわち、処理対象生徒からの質問がある場合は、その生徒に対して、質問に回答するか否か、回答する場合は講義の残り時間のどの時点で回答するのかという条件を用いて、生徒からの質問が無い場合は、講師からの質問を題材とする対話を1回行うかどうかという条件を用いて個別対話スケジュール候補が決定される。
【0091】
この場合、ある処理対象生徒に関する個別対話スケジュール候補の数は、生徒からの質問に答えるか否か、答えるとしたらいつ答えるか、あるいは、講師の質問のいずれかについて対話を行なうか否か、について組合せができるので、生徒の講義の残り時間がM分でありM分割すると仮定し、取得した講師の質問の数をNとすると、個別対話スケジュール候補の数は、(M+1)又は(N+1)となる。Nではなく(N+1)としているのは、講師からの質問を題材とする対話を行なわないケースがあるためである。以上の簡易法を用いることで、計算に必要な時間を大幅に短縮することができる。
【0092】
図10は、個別教育効果値の計算式(数1)を示す。
【0093】
具体的には、数1は、
全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど及び対話履歴DB153に格納されている該個別対話スケジュール候補に対応する生徒に関する過去の対話時間が長いほど大きい値を与えるように設定されている対話時間評価関数の出力値と、
該個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値を与えるように設定されている緊張度関数の出力値と
に基づいて、各生徒ごと、すなわち全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補ごとに個別教育効果値を求めるための計算式である。
【0094】
詳細には、対話時間評価関数は、数1において、中括弧(“{”及び“}”)で囲われた複数の項で構成される関数に相当し、
該個別対話スケジュール候補に対応する生徒について、進捗状況DB155に記録されている録画講義の再生時間が長いほど大きい値を与える項(第1項)と、
該個別対話スケジュール候補に対応する生徒について対話履歴DB153に記録されている過去の対話時間が長いほど大きい値を与える項(第2項と弟4項)と、
該個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど大きい値を与える項(第3項と弟5項)と
を含んで構成される。なお、第1項の係数アルファ(α)の値は非常に小さいため、録画講義の再生時間が長くなると、対話時間が長い場合と比較して、対話時間評価関数全体の出力値は小さくなる。
【0095】
数1の対話時間評価関数において、アルファ(α)は録画講義による個別教育効果値の大きさを表わす係数であり、ベータ(β)及びガンマ(γ)は、講師と生徒の対話による個別教育効果値の大きさを表わす係数である。録画講義の聴講よりも、講師と生徒の対話を行う方が、生徒の緊張感は維持されるため、講義の理解度が高まり、個別教育効果値は高くなる。従って、ベータとガンマは、アルファよりも大きい。また、講師から生徒への質問による対話よりも、生徒から講師への質問による対話の方が、大きな興味を持って対話することができ、講義の理解度が一層高まると思われるため、個別教育効果値が大きくなる。従って、ベータは、ガンマよりも小さい。ただし、生徒が質問してから教師が答えるまでの時間間隔が長いほど、生徒の関心が弱くなり、緊張度が低下して講義の理解度も低下すると思われるため、個別教育効果値は低下する。この点を考慮すると、例えばガンマは、図12(a)に示すような関数及び図12(b)に示す計算式で表わされる。図12において、γ0は、生徒が質問した直後に講師が回答した場合の個別教育効果値の大きさを表わす値であり、tは生徒が質問してから講師が回答するまでの時間、t0は個別教育効果値が半減するまでの時間である。
【0096】
図10に戻り、数1の対話時間評価関数において、Vは、録画講義を流した時間であり、進捗状況DB155の進捗度の値である。
【0097】
Qmは、講師から生徒に質問することによって(過去に)対話した時間であり、対話履歴DB153から取得することができる。
【0098】
Qn´は講師から生徒への質問による(未来の)対話の時間であり、対話計画DB154の予定対話時間の値である。
【0099】
Amは、生徒から講師に質問することによって(過去に)対話した時間であり、対話履歴DB153から取得することができる。
【0100】
A´は、生徒から講師に質問することによる(未来の)対話の時間であり、一律に5分といったように設定するか、あるいは生徒からの質問内容(例えば、データ量)に応じて予想した値が用いられる。生徒からの質問がない場合は、A´はゼロとるすことができる。
【0101】
cは、個別対話スケジュール候補の一つを表す。
【0102】
数1の緊張度関数は、本実施例では平均緊張度Tの関数の項に相当する。平均緊張度Tは、講義中の生徒の平均的な緊張度を表す値であり、図11(a)にその概念を示し、図11(b)に計算式を示す。本実施例では、緊張度は、講義開始時は100%であり、その後、録画講義の「聴講中」の間は低下し続け、講師と対話すると100%に戻るものとする。図11(a)のグラフの傾きkは、緊張度が低下する速度を表わす。平均緊張度Tは、講義全体に亘る緊張度の平均値であり、図11(a)の斜線部の面積を講義開始から終了までの時間で割って求める。平均緊張度を教育効果値の計算に用いることで、生徒の緊張感を加味したより精緻な教育効果値を算出できる。
【0103】
なお、本実施例では、対話時間評価関数の出力値と緊張度関数の出力値との乗算により算出される値を個別教育効果値としているが、対話時間評価関数の出力値と緊張度関数の出力値とを加算することにより算出される値(対話時間評価関数の出力値と緊張度関数の出力値との和)を個別教育効果値として採用することも可能である。
【0104】
全体教育効果値は、全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補ごとに算出される個別教育効果値の合計である。
【0105】
また、数1の係数である、緊張度の低下速度k、教育効果係数α、β、γ0、t0などは、経験的な値に設定しても良いし、重回帰分析等の統計的手法によって推定した実験値を用いても良い。例えば、実験的な講義を実施し、説明変数を対話時間等とし、被説明変数を講義前後の理解度テストの点数の差(=教育効果)とした重回帰分析を行なうことで、パラメータである上記係数を推定可能である。さらに、前述の簡易法を用いる場合は、数1のQn´の項は、和ではなく、ただ一つの項になる。
【0106】
図13は、生徒用受講端末140の表示装置に表示される画面の例を示す。左上には講義資料を表示し、その下に講義開始ボタン、講義中断ボタン(退席ボタン)、講義終了ボタンがある。講義中断ボタンは「聴講中」である場合のみ押下できる。また、講義終了ボタンは、講義終了時に押下できる。右上には、講師画像、その下が講師とその生徒の対話履歴、その下が対話内容を入力するエリアと送信ボタンである。講師の映像は、実際の講師の映像でも良いが、録画講義とライブの対話との切り替えをわかりにくくすることで生徒の緊張感をより高めることができるので、アニメーションキャラクタの映像を表示することが望ましい。なお、この画面では講師と生徒の対話の様子をテキストチャット形式で示しているが、音声による対話であっても良い。
【0107】
図14は、講師用対話端末110の表示装置に表示される対話モードの画面の例を示す。左上には講義資料を表示し、右上には現在対話中の生徒名を表示するエリア、対話履歴を表示するエリア、対話内容を入力するエリア、及び送信ボタンがある。下部は、講師への指示を表示するエリアである。現在は対話モードであるので、現在の対話の経過時間と、対話の残り時間を表示している。対話の残り時間とは、予想対話時間から現在の対話の経過時間を引いた時間である。右下には対話を終了するときに講師が押下する対話終了ボタンがある。
【0108】
図15は、講師用対話端末110の表示装置に表示される待機モードの画面の例を示す。画面構成は図14の例と同様であり、左上には講義資料を表示し、右上には次に対話を行なう生徒名を表示する。対話履歴を表示するエリアには、講師から生徒に提示する予定の質問が表示される(生徒からの質問を題材とする対話の場合は、生徒からの質問を表示する)。下部に設けられている講師への指示を表示するエリアには、次の対話開始までの時間が表示される。
【0109】
本実施例によれば、同期型講義と非同期型講義とを組合わせた反同期型講義を実現することにより、講師と生徒間の対話機会を十分に設けることができ、各生徒の講義に対する緊張度を維持することができるため、各生徒の講義内容の理解度(教育効果)を一層高めることができる。これにより、従来の同期型講義と非同期型講義のどちらにおいても、講師と生徒間の対話が十分に実現されていなかったという問題点を解消することができる。
【0110】
本実施例の半同期型講義では、録画講義を用いて行う非同期型講義と、講師と生徒間でライブの対話が行われる同期型講義とを組み合わせた講義形式であり、基本的な内容の学習は、録画された講義を生徒に聴講させることで行われるが、講師から生徒への質問あるいは生徒から講師への質問を題材とする対話を、講義の途中でライブに切り替えて行わせるというものである。半同期型講義においては、各生徒は、指定された講義時間帯の間であれば好きなときに受講を開始することができる。複数の生徒が同時に受講可能であるが、各生徒の講義の進捗は同期しておらず、講義は並列的に行われるという特徴がある。
【0111】
半同期型講義には以下のような長所がある。
【0112】
(1)生徒が講義内容についてわからなくなった時点で講師に対して気軽に質問することができるという点
(2)講師から生徒に対して適度に質問することで、生徒の講義への緊張感が持続するという点
(3)生徒は、指定された講義時間帯であれば好きなときに講義を受講することができ、時間的な制約が小さいという点
(4)講師は、一人一人の生徒との対話だけに集中すれば良いため、効率よく複数の生徒の面倒を見ることができるという点。
【0113】
また、半同期型の遠隔教育における課題は、講師と生徒間の対話のスケジューリングにある。例えば、生徒から受けた質問にはできるだけ早く答えることが望ましいが、各生徒に対する指導内容の公平性を保つためには、できるだけ全ての生徒と満遍なく対話することが望ましく、生徒から受けた質問に対して即座に答えることが必ずしも最適ではないという問題がある。あるいは、生徒の数が多い場合は、できるだけ多くの生徒と対話するため、短時間の対話で解決する質問を用意しておくといった工夫も考えられる。本実施例の講義管理サーバ120は、これらの問題を解決するため、講師用対話端末110と複数の生徒用受講端末140と通信可能に接続されることで遠隔教育システムを構成し、複数の生徒に対して並列的に講義を行うにあたり、講師と生徒間の対話の内容や順番を適宜設計する手段として機能する。
【0114】
以上、本発明の実施例を説明したが、以下のような変形例を採用することができる。
【0115】
図9の対話スケジューリングのフローチャートにおいては、ステップ312で全ての全体対話スケジュール候補について全体教育効果値を計算し、ステップ313で全体教育効果値順に並べ替えた後に、ステップ315で対話の時間帯の重複状況を検査しているが、検査を最初に行ってもよい。すなわち、まず、全体対話スケジュール候補ごとに対話の時間帯の重複状況を検査して非重複スケジュール候補だけを選び出し、その非重複スケジュール候補ごとに全体教育効果値を計算し、教育効果値の最も大きな非重複スケジュール候補を対話スケジュールとして決定すればよい。
【0116】
なお、以上に記載した実施例では、データベースや画面を具体的に説明したが、例えば、講義の進捗度を経過時間ではなくパーセンテージで表現するなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適時変更が可能である。
【0117】
また、以上に記載した実施例では、講義管理サーバ120が対話スケジューリングを行う構成とし、講師用対話端末110と生徒用受講端末140は、講義管理サーバ120を介して通信する構成を採用したが、講義管理サーバ120の通信部125に替えて、講師からデータの入力を受け付ける入力装置(キーボード、マウスなど)と、講師に対してデータを出力するデータ出力装置(ディスプレイ、スピーカ、プリンタなど)を備えし、講師が講義管理サーバ120を講師用対話端末として使用する構成も可能である。
【0118】
さらに、講義管理サーバ120内でCPUによって実行されるコンピュータプログラム(本発明の遠隔教育支援プログラム)は、あらかじめ同サーバ120内の記憶装置に格納されていても良いし、着脱可能な記憶媒体や通信媒体(有線、無線、光などのネットワーク、又はそのネットワーク上の搬送波やデジタル信号)を介して、必要なときに記憶装置に導入されても良い。
【0119】
実施例では、各DB151〜156は、講義管理サーバ120に備えられ(例えば、ハードディスクドライブやRAM等の記憶手段に備えられ)ているが、その記憶手段は講義管理サーバ120に内蔵されるタイプと外付けされるタイプのどちらでもよい。また、各DB151〜156は、講義管理サーバ120と通信可能に接続された他の装置(他のサーバなど)に備えられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の遠隔教育支援装置を用いて構成される遠隔教育支援システムのシステム構成を示すブロック図
【図2】講師質問DBの例
【図3】生徒質問DBの例
【図4】対話履歴DBの例
【図5】対話計画DBの例
【図6】進捗状況DBの例
【図7】講義管理サーバの対話設計部による処理の流れを示すフローチャート
【図8】講師と生徒間で行われる対話の対話スケジュールの例を示すチャート図
【図9】対話設計部による対話スケジューリングの流れを示すフローチャート
【図10】各生徒(各個別スケジュール候補)の個別教育効果値の計算式を示す図
【図11】(a)において、平均緊張度Tの概念を示し、(b)において、平均緊張度Tの計算式を示す図
【図12】(a)において、生徒から講師に質問することによって対話したときの効果係数γの概念を示し、(b)において、効果係数γの計算式を示す図
【図13】生徒用受講端末の表示装置に表示される画面の例を示す図
【図14】講師用対話端末の表示装置に表示される画面の例(対話モード)を示す図
【図15】講師用対話端末の表示装置に表示される画面の例(待機モード)を示す図
【符号の説明】
【0121】
110:講師用対話端末
120:講義管理サーバ
140:生徒用受講端末
121:講義配信部
122:生徒管理部
123:対話設計部
124:対話管理部
125:通信部
151:講師質問データベース
152:生徒質問データベース
153:対話履歴データベース
154:対話計画データベース
155:進捗状況データベース
156:講義内容データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生徒用端末に配信される講義データに関して、生徒が講師を占有して対話する場合の、講師と生徒の対話スケジュールを設定する遠隔教育支援装置であって、
生徒ごとの前記講義データの再生状況を管理する生徒管理部と、
前記講義データの再生中に講師から生徒に出される質問(以下、「講師質問」という)について、講義データの再生量で指定される質問タイミングと、該質問に関して予想される講師と生徒との間の対話時間を格納する講師質問テーブルと、
生徒ごとに、前記講義データの再生中に該生徒から講師へ出される質問(以下、「生徒質問」という)を格納する生徒質問テーブルと、
前記生徒管理部が管理する前記生徒ごとの前記講義データの再生状況、前記講師質問テーブル及び前記生徒質問テーブルを参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、該生徒から生徒質問が出されている場合は、該生徒質問に回答する予め決められた対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定め、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補のうち、個別対話スケジュール候補間で対話時間の時間帯が重複しない全体対話スケジュール候補について、対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値となる全体教育効果値を求め、該全体教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定する対話スケジュール設定部と、
を備える遠隔教育支援装置。
【請求項2】
前記対話スケジュール設定部は、
対話終了を検出した場合、
前記講義データを用いた講義への生徒の出席を検出した場合、
生徒から質問が出されたことを検出した場合、
前記講義データを用いた講義からの生徒の退席を検出した場合
のうち、少なくともいずれか1つの場合に前記対話スケジュールを設定する、請求項1に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項3】
前記全体教育効果値は、前記全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補について求まる個別教育効果値の合計であり、
前記個別教育効果値は、
個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど大きい値を与える対話時間評価関数の出力値と、
該個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値を与える緊張度関数の出力値と
に基づいて、前記全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補ごとに算出される個別教育効果値の合計である、請求項1又は2に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項4】
さらに、生徒ごとに、講師と該生徒との過去の対話時間の実績を格納する対話履歴テーブルを備え、
前記対話時間評価関数は、前記対話履歴テーブルに格納される過去の対話時間が長いほど大きい値を与えるように設定されている、請求項3に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項5】
さらに、前記対話スケジュール設定部が設定した対話スケジュールに従って、次に予定されている対話が講師質問を用いて行う対話の場合、講師と対話する予定の生徒に対して該講師質問を提示可能に出力し、次に予定されている対話が生徒質問を用いて行う対話の場合、講師に対して該生徒質問を提示可能に出力する対話管理部を備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項6】
前記対話スケジュール設定部は、前記生徒質問テーブルに生徒質問に関する情報が格納されいている場合、該生徒質問を出した生徒については、該生徒質問を用いて行う講師との対話の時間帯が、講師質問を用いて行う講師との対話の時間帯よりも先になるように前記個別対話スケジュール候補を定める、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項7】
さらに、生徒用端末を介して生徒から前記講義データの配信指示を受けた場合に、該生徒用端末に対して前記講義用データをリアルタイム再生可能に配信する講義配信部を備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項8】
前記生徒管理部は、講師と生徒が対話している間、該生徒の生徒用端末に対する前記講義配信部からの前記講義データの配信を中断させる、請求項7に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項9】
生徒用端末に配信される講義データに関して、生徒が講師を占有して対話する場合の、講師と生徒の対話スケジュールを設定する遠隔教育支援方法であって、
前記管理している前記生徒ごとの前記講義データの再生状況、前記講義データの再生中に講師から生徒に出される質問(以下、「講師質問」という)について、講義データの再生量で指定される質問タイミングと、該質問に関して予想される講師と生徒との間の対話時間を格納する講師質問テーブル、及び生徒ごとに、前記講義データの再生中に該生徒から講師へ出される質問(以下、「生徒質問」という)を格納する生徒質問テーブルを参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、該生徒から生徒質問が出されている場合は、該生徒質問に回答する予め決められた対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定め、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補のうち、個別対話スケジュール候補間で対話時間の時間帯が重複しない全体対話スケジュール候補について、対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値となる全体教育効果値を求め、該全体教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定する、
遠隔教育支援方法。
【請求項10】
請求項9に記載の処理を情報処理装置に実行させる遠隔教育支援プログラム。
【請求項1】
生徒用端末に配信される講義データに関して、生徒が講師を占有して対話する場合の、講師と生徒の対話スケジュールを設定する遠隔教育支援装置であって、
生徒ごとの前記講義データの再生状況を管理する生徒管理部と、
前記講義データの再生中に講師から生徒に出される質問(以下、「講師質問」という)について、講義データの再生量で指定される質問タイミングと、該質問に関して予想される講師と生徒との間の対話時間を格納する講師質問テーブルと、
生徒ごとに、前記講義データの再生中に該生徒から講師へ出される質問(以下、「生徒質問」という)を格納する生徒質問テーブルと、
前記生徒管理部が管理する前記生徒ごとの前記講義データの再生状況、前記講師質問テーブル及び前記生徒質問テーブルを参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、該生徒から生徒質問が出されている場合は、該生徒質問に回答する予め決められた対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定め、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補のうち、個別対話スケジュール候補間で対話時間の時間帯が重複しない全体対話スケジュール候補について、対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値となる全体教育効果値を求め、該全体教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定する対話スケジュール設定部と、
を備える遠隔教育支援装置。
【請求項2】
前記対話スケジュール設定部は、
対話終了を検出した場合、
前記講義データを用いた講義への生徒の出席を検出した場合、
生徒から質問が出されたことを検出した場合、
前記講義データを用いた講義からの生徒の退席を検出した場合
のうち、少なくともいずれか1つの場合に前記対話スケジュールを設定する、請求項1に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項3】
前記全体教育効果値は、前記全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補について求まる個別教育効果値の合計であり、
前記個別教育効果値は、
個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど大きい値を与える対話時間評価関数の出力値と、
該個別対話スケジュール候補内に設定された対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値を与える緊張度関数の出力値と
に基づいて、前記全体対話スケジュール候補を構成する個別対話スケジュール候補ごとに算出される個別教育効果値の合計である、請求項1又は2に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項4】
さらに、生徒ごとに、講師と該生徒との過去の対話時間の実績を格納する対話履歴テーブルを備え、
前記対話時間評価関数は、前記対話履歴テーブルに格納される過去の対話時間が長いほど大きい値を与えるように設定されている、請求項3に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項5】
さらに、前記対話スケジュール設定部が設定した対話スケジュールに従って、次に予定されている対話が講師質問を用いて行う対話の場合、講師と対話する予定の生徒に対して該講師質問を提示可能に出力し、次に予定されている対話が生徒質問を用いて行う対話の場合、講師に対して該生徒質問を提示可能に出力する対話管理部を備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項6】
前記対話スケジュール設定部は、前記生徒質問テーブルに生徒質問に関する情報が格納されいている場合、該生徒質問を出した生徒については、該生徒質問を用いて行う講師との対話の時間帯が、講師質問を用いて行う講師との対話の時間帯よりも先になるように前記個別対話スケジュール候補を定める、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項7】
さらに、生徒用端末を介して生徒から前記講義データの配信指示を受けた場合に、該生徒用端末に対して前記講義用データをリアルタイム再生可能に配信する講義配信部を備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項8】
前記生徒管理部は、講師と生徒が対話している間、該生徒の生徒用端末に対する前記講義配信部からの前記講義データの配信を中断させる、請求項7に記載の遠隔教育支援装置。
【請求項9】
生徒用端末に配信される講義データに関して、生徒が講師を占有して対話する場合の、講師と生徒の対話スケジュールを設定する遠隔教育支援方法であって、
前記管理している前記生徒ごとの前記講義データの再生状況、前記講義データの再生中に講師から生徒に出される質問(以下、「講師質問」という)について、講義データの再生量で指定される質問タイミングと、該質問に関して予想される講師と生徒との間の対話時間を格納する講師質問テーブル、及び生徒ごとに、前記講義データの再生中に該生徒から講師へ出される質問(以下、「生徒質問」という)を格納する生徒質問テーブルを参照し、各生徒について、該生徒に各講師質問を行うか否かに基づき定まる対話時間の設定の有無と、該生徒から生徒質問が出されている場合は、該生徒質問に回答する予め決められた対話時間の設定の有無との組み合わせに基づき、個別対話スケジュール候補を定め、各生徒の個別対話スケジュール候補を組み合わせた全体対話スケジュール候補のうち、個別対話スケジュール候補間で対話時間の時間帯が重複しない全体対話スケジュール候補について、対話時間が長いほど及び連続非対話時間が短いほど大きい値となる全体教育効果値を求め、該全体教育効果値が最大となる全体スケジュール候補を対話スケジュールとして設定する、
遠隔教育支援方法。
【請求項10】
請求項9に記載の処理を情報処理装置に実行させる遠隔教育支援プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図4】
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【図11】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−300890(P2009−300890A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157212(P2008−157212)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(501325831)株式会社 日立インフォメーションアカデミー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(501325831)株式会社 日立インフォメーションアカデミー (1)
【Fターム(参考)】
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