説明

遠隔監視システム

【課題】顧客の要望を正確に伝達すると共に、顧客の心境をも踏まえた十分な対応を行うことができる遠隔監視システムの提供。
【解決手段】建物に設けられた設備機器に異常が発生したかどうかを公衆通信回線1Aを介して遠隔的に監視する監視センター装置1と、オペレーターと顧客との通話を可能にする顧客電話2〜2N及びオペレーター受信装置10〜10Nと、作業者が携帯する作業者携帯端末11と、通話内容を音声ファイルとして録音する音声録音手段7と、音声録音手段7によって録音された音声ファイルを記憶する録音情報記憶手段8と、録音情報記憶手段8によって記憶された音声ファイルを作業者携帯端末11へ送信する音声ファイル送信手段とを備え、作業者携帯端末11は、音声ファイル送信手段から受信した音声ファイルを作業者に対して再生して通知する音声再生手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の設備機器に異常が発生したかどうかを遠隔的に監視する監視センター装置を備えた遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、遠隔監視システムでは、顧客のビルに設けられる設備機器である、例えば、エレベーターにおいて異常が発生した場合、そのエレベーターの制御装置から発せられる異常信号をエレベーターの監視装置から電話回線を介して監視センター装置へ通報すると、その監視センター装置のオペレーターが作業に適した作業者を現地に出動させる指令をサービス拠点に伝える。これにより、出動した作業者によって異常が発生したエレベーターの復旧対応が行われている。
【0003】
また、顧客がエレベーターの異常を認識した場合は、顧客より直接監視センター装置へ電話が通報され、オペレーターが電話に応じると共に、作業者を顧客より依頼のあった日時に現地に出動させる指令を行っている。これら顧客からの電話で異常内容の通報を受けた際には、顧客の要望例えば「○月○日に点検にきて欲しい」とか「平日の午前中にきて欲しい」等顧客の予定に合わせた要望をオペレーターが正確に聞き取り、作業者へ伝達する必要がある。
【0004】
しかし、従来より顧客からクレームが発生した場合には、オペレーターが電話でクレーム内容を顧客から聴取し、聴取した内容を担当者に報告するようにしていたので、顧客に対して正確な回答が行われずに信頼を損ねることが問題となっていた。そこで、顧客とオペレーターとの通話からなる音声データを音声認識システムによってテキストデータに変換し、テキストデータを保存しておくことで電話による通話内容を担当者間でデータ共有することにより、顧客の要望を正確かつ効率良く伝達できるようにしたコールセンターシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
さらに、他の従来技術の1つとして、顧客からの通話受信時に顧客電話番号を検出し出力するCTI(Computer Telephony Integration)手段と、顧客に関する情報、すなわち顧客詳細情報を記憶する顧客情報記憶手段と、顧客とオペレーターとの通話内容を認識してテキストデータに変換する音声認識・変換手段と、テキストデータに変換された通話内容と記憶された顧客詳細情報とを関連付けて記憶する応対内容履歴記憶手段と、通話受信の操作を行うと共にテキストデータに変換された通話内容を表示するオペレーター受信装置とを備え、応対内容履歴記憶手段に記憶された応対内容履歴における顧客による作業依頼日時の所定期間前に、顧客情報、作業依頼内容、及び作業依頼日時について、作業者用携帯端末とオペレーター受信装置に通知して表示する対応確認通知装置を設けた遠隔監視センター装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−126966号公報
【特許文献2】特開2010−41676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に開示された従来技術のコールセンターシステム、及び特許文献2に開示された従来技術の遠隔監視センター装置は、オペレーターと顧客との通話内容をテキストデータに変換し、変換されたテキストデータの通話内容に含まれる作業依頼の内容や指定日等の顧客の要望を作業者が確認するようにしているが、オペレーターと顧客との通話内容がテキストデータに適切に変換されなかった場合には、作業者がテキストデータを確認しても顧客の要望を誤って認識したり、あるいはテキストデータを読み解くのに時間がかかる虞がある。
【0008】
また、顧客と通話するオペレーターは、顧客の声や会話の間合いから相手が怒っていたり、あるいは急いでいる等の顧客の心理状態や現在の状況の理解度をある程度読み取ることができるが、作業依頼を受けて実際に現地に赴く作業者は、上述したように顧客の要望をテキストデータに記載された文字情報だけで確認しなければならないので、顧客の心境を踏まえた十分な対応を行うことが困難となっている。そのため、作業者の対応の仕方によって顧客が不快に感じることがあるので、サービスの低下に繋がることが懸念されている。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、顧客の要望を正確に伝達すると共に、顧客の心境をも踏まえた十分な対応を行うことができる遠隔監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の遠隔監視システムは、建物に設けられた設備機器と、この設備機器に異常が発生したかどうかを公衆通信回線を介して遠隔的に監視する監視センター装置と、この監視センター装置内のオペレーターと前記建物に居住する又は前記建物を管理する顧客との通話を可能にする通話手段と、前記設備機器に異常が発生した場合に前記設備機器の異常に対処する作業者に対して当該異常に関する情報を通知する通知手段とを備えた遠隔監視システムにおいて、前記通話手段によって通話された通話内容を音声ファイルとして録音する音声録音手段と、この音声録音手段によって録音された前記音声ファイルを記憶する録音情報記憶手段と、この録音情報記憶手段によって記憶された前記音声ファイルを前記通知手段へ送信する音声ファイル送信手段とを備え、前記通知手段は、前記音声ファイル送信手段から受信した前記音声ファイルを前記作業者に対して再生して通知する音声再生手段を有することを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、建物に設けられた設備機器に異常が発生した場合には、監視センター装置内のオペレーターが通話手段によって顧客と通話し、作業依頼の内容や作業日時等の顧客の要望を受ける。このとき、音声録音手段によってオペレーターと顧客との通話内容が録音され、録音された通話内容が音声ファイルとして録音情報記憶手段に記憶されるので、オペレーターと顧客の会話のやり取りや通話中の顧客の声を保存することができる。そして、通知手段は、録音情報記憶手段によって記憶された音声ファイルを音声ファイル送信手段によって受信し、受信した音声ファイルを作業者に再生して通知することにより、作業者が再生された音声を直接聞くことでオペレーターと顧客との会話の間合いや通話中の顧客の声から顧客の心理状態を把握することができる。これにより、作業者が顧客の心境を考慮して作業に取り組むことで顧客の要望に十分に応えることができる。このように、顧客の要望を正確に伝達すると共に、顧客の心境をも踏まえた十分な対応を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る遠隔監視システムは、前記発明において、前記通話手段によって通話された通話内容を認識してテキストデータに変換する音声認識・変換手段と、この音声認識・変換手段によって変換された前記テキストデータを記憶するテキストデータ記憶手段と、このテキストデータ記憶手段によって記憶された前記テキストデータを前記通知手段へ送信するテキストデータ送信手段とを備え、前記通知手段は、前記テキストデータ送信手段から受信した前記テキストデータを前記作業者に対して表示して通知するテキストデータ表示手段を有することを特徴としている。
【0013】
このように構成した本発明は、音声認識・変換手段によってオペレーターと顧客との通話内容がテキストデータに変換され、変換された通話内容がテキストデータとしてテキストデータ記憶手段に記憶される。そして、通知手段は、テキストデータ記憶手段によって記憶されたテキストデータをテキストデータ送信手段によって受信し、受信したテキストデータを作業者に表示して通知することにより、作業者は、音声再生手段によってオペレーターと顧客との通話内容を音声で聞くことに加え、テキストデータ表示手段によって記憶されたテキストデータを開いて当該通話内容をテキストデータで注意深く読み取ることができるので、例えば通話内容のうち音声によって聞き取れなかった部分や分からなかった部分をテキストデータで確認して補うことができる。これにより、聴覚と視覚の双方によって依頼された作業の内容に関する理解を深めることができる。
【0014】
また、本発明に係る遠隔監視システムは、前記発明において、前記作業者からの依頼に応じて、前記録音情報記憶手段に記憶されている過去の音声ファイルを取出して前記過去の音声ファイルの一覧を前記通知手段へ送信すると共に、前記テキストデータ記憶手段に記憶されている過去のテキストデータを取出して前記過去のテキストデータの一覧を前記通知手段へ送信する一覧送信手段を備え、前記通知手段は、前記一覧送信手段から受信した前記過去の音声ファイルの一覧及び前記過去のテキストデータの一覧を前記作業者に対して表示して通知する一覧表示手段を有することを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、作業者は、必要なときに一覧送信手段によって過去の音声ファイルの一覧及び過去のテキストデータの一覧を自由に取出し、一覧表示手段によってこれらの過去の音声ファイルの一覧及び過去のテキストデータの一覧を表示して参照することにより、作業を依頼した顧客が過去に依頼したことがあるかどうかを容易に知ることができる。従って、作業者が現地へ出発する前に予め過去の作業内容や顧客を認識して作業の準備をすることができ、顧客に合ったきめ細かなサービスを実現することができる。
【0016】
また、本発明に係る遠隔監視システムは、前記発明において、前記作業者からの依頼に応じて、前記録音情報記憶手段に記憶されている過去の音声ファイルを取出して前記通知手段へ送信すると共に、前記テキストデータ記憶手段に記憶されている過去のテキストデータを取出して前記通知手段へ送信する過去情報送信手段を備え、前記通知手段は、前記過去情報送信手段から受信した前記過去の音声ファイルを前記作業者に対して再生して通知すると共に、前記過去情報送信手段から受信した前記過去のテキストデータを前記作業者に対して表示して通知する過去情報再生表示手段を有することを特徴としている。
【0017】
このように構成した本発明は、作業者は、必要なときに過去情報送信手段によって過去の音声ファイル及び過去のテキストデータを自由に取出し、過去情報再生表示手段によって取出した過去の音声ファイルを再生すると共に、過去のテキストデータを表示して参照することにより、作業を依頼した顧客に対する過去の通話内容を詳細に確認することができる。従って、作業者は、オペレーターと顧客における過去の通話内容と現在の通話内容とを比較したり、あるいは過去の通話内容を参考にして現在の通話内容を確認することにより、設備機器の異常の原因を容易に把握することができ、設備機器を早急に復旧させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の遠隔監視システムは、建物の設備機器の異常に対処する作業者に対して当該異常に関する情報を通知する通知手段と、通話手段によって通話された通話内容を音声ファイルとして録音する音声録音手段と、この音声録音手段によって録音された音声ファイルを記憶する録音情報記憶手段と、この録音情報記憶手段によって記憶された音声ファイルを通知手段へ送信する音声ファイル送信手段とを備え、通知手段は、音声ファイル送信手段から受信した音声ファイルを作業者に対して再生して通知する音声再生手段を有している。従って、作業者は、音声再生手段によって音声ファイルの通話内容を直接聞くことでオペレーターと顧客との会話の間合いや通話中の顧客の声から顧客の心理状態を容易に把握することができ、顧客の心境を考慮して作業に取り組むことで顧客の要望に十分に応えることができる。このように、本発明の遠隔監視システムは、オペレーターと顧客との通話内容の音声を作業者に直接聞かせることにより、オペレーターが顧客から聴取した内容を間接的に伝えたり、あるいは通話内容をテキストデータに変換して伝えることから生じる作業者の誤認識や作業依頼の漏れを防止できるので、顧客の要望を正確に伝達すると共に、顧客の心境をも踏まえた十分な対応を行うことができ、従来よりも顧客に対して良質なサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る遠隔監視システムの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】本実施形態の動作を示すフローチャートであり、特にオペレーターと顧客との通話が開始されてから通話内容が録音情報記憶手段及び応対内容履歴記憶手段に記憶されるまでの記憶動作を説明するフローチャートである。
【図3】本実施形態の動作を示すフローチャートであり、特に作業者の作業者携帯端末による確認作業の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る遠隔監視システムを実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0021】
本発明に係る遠隔監視システムの一実施形態は、複数の建物にそれぞれ設けられた設備機器と、図1に示すように各設備機器に異常が発生したかどうかを公衆通信回線1Aを介して遠隔的に監視する監視センター装置1と、この監視センター装置1内のオペレーターと建物に居住する又は建物を管理する顧客との通話を可能にする後述の通話手段と、設備機器に異常が発生した場合に設備機器の異常に対処する作業者に対して当該異常に関する情報を通知する通知手段とを備えている。この通知手段は、例えば作業者が携帯する作業者携帯端末11から成り、この作業者携帯端末11は、受信した各種の情報を表示する図示しない表示画面を有している。
【0022】
また、通話手段は、例えば各建物に設置された顧客電話2〜2Nと、監視センター装置1内に設置され、オペレーターが受電等の操作を行うオペレーター受信装置10〜10Nとから成っている。なお、これらの顧客電話2〜2N及びオペレーター受信装置10〜10Nは公衆通信回線1Aによって接続されており、オペレーター受信装置10〜10Nは作業者携帯端末11と同様に受信した各種の情報を表示する図示しない表示画面を有している。
【0023】
監視センター装置1は、各種の情報を記憶する後述の各種記憶手段と、これらの記憶手段に接続され、各記憶手段から受信した情報をオペレーター受信装置10〜10N及び作業者携帯端末11へ送信する対応内容通知装置9とを有している。また、監視センター装置1は、顧客電話2〜2Nからの受電時に電話番号を検出して出力するCTI手段3と、このCTI手段3に接続され、CTI手段3で取得した電話番号から顧客を特定できるように顧客の電話番号等の顧客に関する種々の情報を記憶する顧客情報記憶手段4とを有している。従って、各建物の設備機器のうちいずれかに異常があった場合には、顧客は顧客電話2〜2Nによってオペレーターと通話し、設備機器の状況や作業の指定日等の作業依頼を行うようにしている。
【0024】
また、本実施形態では、監視センター装置1は、顧客電話2〜2N及びオペレーター受信装置10〜10Nによって通話された通話内容を音声ファイルとして録音する音声録音手段7と、この音声録音手段7によって録音された音声ファイルを記憶する録音情報記憶手段8と、この録音情報記憶手段8によって記憶された音声ファイルを作業者携帯端末11へ送信する図示しない音声ファイル送信手段とを備え、作業者携帯端末11は、音声ファイル送信手段から受信した音声ファイルを作業者に対して再生して通知する図示しない音声再生手段を有している。なお、音声ファイル送信手段は、例えば対応内容通知装置9に含まれている。
【0025】
さらに、本実施形態では、監視センター装置1は、顧客電話2〜2N及びオペレーター受信装置10〜10Nによって通話された通話内容を認識してテキストデータに変換する音声認識・変換手段5と、この音声認識・変換手段5によって変換されたテキストデータを記憶するテキストデータ記憶手段、すなわち音声認識・変換手段5に接続された応対内容履歴記憶手段6と、この応対内容履歴記憶手段6によって記憶されたテキストデータを作業者携帯端末11へ送信する図示しないテキストデータ送信手段とを備えている。
【0026】
そして、作業者携帯端末11は、テキストデータ送信手段から受信したテキストデータを作業者に対して表示して通知する図示しないテキストデータ表示手段を有している。なお、テキストデータ送信手段は、例えば対応内容通知装置9に含まれており、上述したCTI手段3、音声認識・変換手段5、及び音声録音手段7は公衆通信回線1Aにそれぞれ接続されており、顧客情報記憶手段4、応対内容履歴記憶手段6、及び録音情報記憶手段8は相互に接続されている。
【0027】
また、本実施形態は、作業者からの依頼に応じて、録音情報記憶手段8に記憶されている過去の音声ファイルを取出して過去の音声ファイルの一覧を作業者携帯端末11へ送信すると共に、応対内容履歴記憶手段6に記憶されている過去のテキストデータを取出して過去のテキストデータの一覧を作業者携帯端末11へ送信する図示しない一覧送信手段を備え、作業者携帯端末11は、一覧送信手段から受信した過去の音声ファイルの一覧及び過去のテキストデータの一覧を作業者に対して表示して通知する図示しない一覧表示手段を有している。なお、一覧送信手段は、例えば対応内容通知装置9に含まれている。
【0028】
さらに、本実施形態は、作業者からの依頼に応じて、録音情報記憶手段8に記憶されている過去の音声ファイルを取出して作業者携帯端末11へ送信すると共に、応対内容履歴記憶手段6に記憶されている過去のテキストデータを取出して作業者携帯端末11へ送信する図示しない過去情報送信手段を備え、作業者携帯端末11は、過去情報送信手段から受信した過去の音声ファイルを作業者に対して再生して通知すると共に、過去情報送信手段から受信した過去のテキストデータを作業者に対して表示して通知する図示しない過去情報再生表示手段を有している。なお、過去情報送信手段は、例えば対応内容通知装置9に含まれている。
【0029】
本実施形態では、対応内容通知装置9は、例えば上述した音声ファイル、テキストデータ、過去の音声ファイル、過去のテキストデータ、過去の音声ファイルの一覧、及び過去のテキストデータの一覧を作業者携帯端末11だけでなくオペレーター受信装置10〜10Nにも送信し、これらの音声ファイル、テキストデータ、過去の音声ファイル、過去のテキストデータ、過去の音声ファイルの一覧、及び過去のテキストデータの一覧をオペレーターに対して再生又は表示するようになっている。また、オペレーター受信装置10〜10Nは、受信したテキストデータを編集する図示しない編集手段を有しており、編集手段によって編集されたテキストデータは応対内容履歴記憶手段6に記憶されるようになっている。
【0030】
従って、本実施形態では、対応内容通知装置9は、例えば録音情報記憶手段8に記憶された音声ファイルと応対内容履歴記憶手段6に記憶されたテキストデータを音声ファイル送信手段及びテキストデータ送信手段によって作業の指定日の数日前に作業者携帯端末11及びオペレーター受信装置10〜10Nへ送信するようになっている。さらに、対応内容通知装置9は、作業者からの依頼、すなわち過去の通話内容を確認する過去情報確認指令を作業者携帯端末11から受けた場合には、過去情報送信手段及び一覧送信手段によって過去の音声ファイル、過去のテキストデータ、及びこれらの一覧を作業者携帯端末11へ送信するようになっている。
【0031】
次に、本実施形態の動作を図2、図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0032】
図2は本実施形態の動作を示すフローチャートであり、特にオペレーターと顧客との通話が開始されてから通話内容が録音情報記憶手段及び応対内容履歴記憶手段に記憶されるまでの記憶動作を説明するフローチャート、図3は本実施形態の動作を示すフローチャートであり、特に作業者の作業者携帯端末による確認作業の動作を説明するフローチャートである。
【0033】
本実施形態は、図2に示すように各建物の設備機器のうちいずれかに異常があった場合には、顧客は顧客電話2〜2Nで監視センター装置1へ電話すると、監視センター装置1内のオペレーターがオペレーター受信装置10〜10Nの受話器を上げて顧客と会話を開始する(S1)。オペレーター受信装置10〜10Nの受話器が上がると、音声録音手段7がオペレーターと顧客との通話内容を音声ファイルとして録音すると共に(S2)、音声認識・変換手段5がオペレーターと顧客との通話を検知し、通話内容を認識することによってオペレーターと顧客が通話中に発した音声をテキストデータに変換する処理を開始する(S3)。
【0034】
手順S3における処理が開始された後、対応内容通知装置9は、手順S1においてオペレーターと顧客との通信が繋がった際にCTI手段3によって取得した顧客の発信者番号に基づいて顧客情報記憶手段4から当該顧客の顧客詳細情報を取得する(S4)。そして、対応内容通知装置9は、取得した顧客詳細情報をオペレーター受信装置10〜10Nへ送信し、オペレーター受信装置10〜10Nは、受信した顧客詳細情報を表示画面に表示する(S5)。
【0035】
次に、オペレーターと顧客との会話が終了してオペレーターがオペレーター受信装置10〜10Nの受話器を置くと、オペレーターと顧客との通信が切断される(S6)。このとき、手順S2において開始された音声録音手段7の録音が停止すると共に、手順S3において開始された音声認識・変換手段5によるオペレーターと顧客との通話の検知が停止し、音声をテキストデータへ変換する処理が終了する。
【0036】
そして、音声録音手段7の録音が停止すると、録音情報記憶手段8は音声録音手段7によって録音された音声ファイルを記憶すると共に、応対内容履歴記憶手段6は録音された音声ファイルのファイル名等を示す録音情報を記憶する(S7)。同時に、対応内容通知装置9は、音声認識・変換手段5によって変換されたテキストデータをオペレーター受信装置10〜10Nへ送信し、オペレーター受信装置10〜10Nは、受信したテキストデータを開いてテキストデータを表示画面に表示する(S8)。このとき、オペレーターは、表示画面を見ながらテキストデータ中に例えば「○月○日の午前中に作業に来て欲しい」又は「平日の14時頃来て欲しい」のような顧客の都合を示す部分を発見した場合には、当該部分を編集手段によって抜き出して表示する編集を行う。
【0037】
次に、オペレーターは、オペレーター受信装置10〜10Nの表示画面に表示されたテキストデータにおけるオペレーターと顧客との通話内容を確認し、表示された通話内容、顧客詳細情報、及び作業の指定日等が正しいかどうかを判断する(S9)。このとき、手順S9においてオペレーターは、通話内容、顧客詳細情報、及び作業の指定日等が正しくないと判断した場合には、オペレーター受信装置10〜10Nの編集手段によってテキストデータのうち正しくない部分を修正する(S10)。そして、オペレーターは、オペレーター受信装置10〜10Nを操作することによって修正されたテキストデータを表示画面に表示し(S11)、手順S9に戻る。
【0038】
手順S9においてオペレーターは、通話内容、顧客詳細情報、及び作業の指定日等が正しいと判断した場合には、オペレーター受信装置10〜10Nを操作することによって音声認識・変換手段5によって変換されたテキストデータ、及び編集手段によって編集された部分のデータをオペレーター受信装置10〜10Nから応対内容履歴記憶手段6へ送信して記憶すると共に、確認された顧客詳細情報をオペレーター受信装置10〜10Nから顧客情報記憶手段8へ送信して記憶し(S12)、オペレーターと顧客との通話内容が録音情報記憶手段8及び応対内容履歴記憶手段6に記憶されるまでの記憶動作を終了する。
【0039】
次に、オペレーターと顧客との通話内容が録音情報記憶手段8及び応対内容履歴記憶手段6に記憶され、作業の指定日の数日前になると、図3に示すように対応内容通知装置9が、記憶された音声ファイルを音声ファイル送信手段によって作業者携帯端末11へ送信し、作業者携帯端末11は受信した音声ファイルを音声再生手段によって作業者に対して再生して通知する(SS1)。同時に、対応内容通知装置9は、記憶されたテキストデータをテキストデータ送信手段によって作業者携帯端末11へ送信し、作業者携帯端末11は受信したテキストデータをテキストデータ表示手段によって作業者に対して表示して通知する(SS1)。
【0040】
次に、作業者は、作業者携帯端末11で再生された音声を聴くと共に、表示されたテキストデータを見て確認する(SS2)。そして、通話内容を確認した作業者は、応対内容履歴記憶手段6及び録音情報記憶手段8に記憶されているオペレーターと顧客との過去の通話内容を確認する必要があるかどうかを判断する(SS3)。作業者が、過去の通話内容を確認する必要があると判断した場合には、作業者携帯端末11を操作して過去情報確認指令を監視センター装置1内の対応内容通知装置9へ送信し、過去情報確認指令を受信した対応内容通知装置9は、一覧送信手段によって過去の音声ファイルの一覧及び過去のテキストデータの一覧を作業者携帯端末11へ送信する。そして、作業者携帯端末11は、受信した過去の音声ファイルの一覧及び過去のテキストデータの一覧を一覧表示手段によって作業者に対して表示して通知する(SS4)。
【0041】
また、対応内容通知装置9は、過去情報送信手段によって過去の音声ファイル及び過去のテキストデータを作業者携帯端末11へ送信し、作業者携帯端末11は、過去情報再生表示手段によって過去の音声ファイルを再生すると共に、過去のテキストデータを作業者に対して表示して通知する。作業者は、作業者携帯端末11で再生された過去の音声ファイルを聴きながら過去のテキストデータ及びこれらの一覧を見て確認し(SS5)、手順SS3に戻る。一方、手順SS3において作業者は、過去の通話内容を確認する必要がないと判断した場合には、作業者携帯端末11による確認作業の動作を終了する。
【0042】
このように構成した本実施形態は、建物に設けられた設備機器に異常が発生した場合には、手順S1において監視センター装置1内のオペレーターがオペレーター受信装置10〜10N及び顧客電話2〜2Nによって顧客と通話すると、手順S2において音声録音手段7によって通話内容が録音され、録音された通話内容が音声データとして録音情報記憶手段8に記憶されるので、オペレーターと顧客の会話のやり取りや通話中の顧客の声を保存することができる。そして、手順SS1において作業者が携帯する作業者携帯端末11は、録音情報記憶手段8によって記憶された音声ファイルを対応内容通知装置9の音声ファイル送信手段によって受信し、受信した音声ファイルを音声再生手段によって作業者に再生して通知することにより、手順SS2において作業者は再生された音声を直接聞くことでオペレーターと顧客との会話の間合いや通話中の顧客の声から顧客の心理状態を把握することができる。これにより、作業者が顧客の心境を考慮して作業に取り組むことで顧客の要望に十分に応えることができる。このように、顧客の要望を正確に伝達すると共に、顧客の心境をも踏まえた十分な対応を行うことができ、顧客に対して良質なサービスを提供することができる。
【0043】
また、本実施形態は、手順S3において音声認識・変換手段5によってオペレーターと顧客との通話内容がテキストデータに変換され、変換された通話内容がテキストデータとして応対内容履歴記憶手段6に記憶される。そして、手順SS1において作業者携帯端末11は、応対内容履歴記憶手段6によって記憶されたテキストデータを対応内容通知装置9のテキストデータ送信手段によって受信し、受信したテキストデータをテキストデータ表示手段によって作業者に表示して通知することにより、手順SS2において作業者は、音声再生手段によってオペレーターと顧客との通話内容を音声で聞くことに加え、テキストデータ表示手段によって携帯端末装置11の表示画面に表示されたテキストデータから当該通話内容を注意深く読み取ることができるので、例えば通話内容のうち音声によって聞き取れなかった部分や分からなかった部分をテキストデータで確認して補うことができる。これにより、聴覚と視覚の双方によって依頼された作業の内容に関する理解を深めることができ、顧客の要望に対して適切に対応することができる。
【0044】
また、本実施形態は、手順SS3において作業者は、オペレーターと顧客との過去の通話内容を確認する必要があると判断した場合には、手順SS4において対応内容通知装置9の一覧送信手段によって過去の音声ファイルの一覧及び過去のテキストデータの一覧を自由に取出し、一覧表示手段によってこれらの過去の音声ファイルの一覧及び過去のテキストデータの一覧を表示して参照することにより、作業を依頼した顧客が過去に依頼したことがあるかどうかを容易に知ることができる。従って、作業者が現地へ出発する前に予め過去の作業内容や顧客を認識して作業の準備をすることができ、顧客に合ったきめ細かなサービスを実現することができる。これにより、顧客に対して誠実な対応を行うことができ、良い印象を与えることができる。
【0045】
また、本実施形態は、手順SS3において作業者は、オペレーターと顧客との過去の通話内容を確認する必要があると判断した場合には、手順SS5において対応内容通知装置9の過去情報送信手段によって過去の音声ファイル及び過去のテキストデータを自由に取出し、過去情報再生表示手段によって過去の音声ファイルを再生すると共に、過去のテキストデータを開いて参照することにより、作業を依頼した顧客に対する過去の通話内容を詳細に確認することができる。従って、作業者は、オペレーターと顧客における過去の通話内容と現在の通話内容とを比較したり、あるいは過去の通話内容を参考にして現在の通話内容を確認することにより、設備機器の異常の原因を容易に把握することができる。これにより、設備機器を早急に復旧させることができ、復旧作業における効率性を高めることができる。
【0046】
また、本実施形態は、手順S8において応対内容履歴記憶手段6に記憶されたテキストデータが対応内容通知装置9のテキストデータ送信手段によってオペレーター受信装置10〜10Nにも送信され、受信したテキストデータがオペレーター受信装置10〜10Nの表示画面に表示されるので、手順SS1においてテキストデータが対応内容通知装置9のテキストデータ送信手段によって作業者携帯端末11へ送信される前に、手順S10においてオペレーターがテキストデータを再確認しながら編集手段によって編集することにより、作業者に対して通話内容が誤って伝達されることを効果的に抑制することができる。さらに、オペレーターは、編集手段によってテキストデータの中から顧客の都合を示す部分を抜き出して表示することにより、通話内容のうち必要な部分だけ作業者に強調して見せることができるので、顧客の要望を作業者に効率良く伝達することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 監視センター装置
1A 公衆通信回線
2〜2N 顧客電話
3 CTI手段
4 顧客情報記憶手段
5 音声認識・変換手段
6 応対内容履歴記憶手段(テキストデータ記憶手段)
7 音声録音手段
8 録音情報記憶手段
9 対応内容通知装置
10〜10N オペレーター受信装置
11 作業者携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられた設備機器と、この設備機器に異常が発生したかどうかを公衆通信回線を介して遠隔的に監視する監視センター装置と、この監視センター装置内のオペレーターと前記建物に居住する又は前記建物を管理する顧客との通話を可能にする通話手段と、前記設備機器に異常が発生した場合に前記設備機器の異常に対処する作業者に対して当該異常に関する情報を通知する通知手段とを備えた遠隔監視システムにおいて、
前記通話手段によって通話された通話内容を音声ファイルとして録音する音声録音手段と、
この音声録音手段によって録音された前記音声ファイルを記憶する録音情報記憶手段と、
この録音情報記憶手段によって記憶された前記音声ファイルを前記通知手段へ送信する音声ファイル送信手段とを備え、
前記通知手段は、
前記音声ファイル送信手段から受信した前記音声ファイルを前記作業者に対して再生して通知する音声再生手段を有することを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔監視システムにおいて、
前記通話手段によって通話された通話内容を認識してテキストデータに変換する音声認識・変換手段と、
この音声認識・変換手段によって変換された前記テキストデータを記憶するテキストデータ記憶手段と、
このテキストデータ記憶手段によって記憶された前記テキストデータを前記通知手段へ送信するテキストデータ送信手段とを備え、
前記通知手段は、
前記テキストデータ送信手段から受信した前記テキストデータを前記作業者に対して表示して通知するテキストデータ表示手段を有することを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の遠隔監視システムにおいて、
前記作業者からの依頼に応じて、前記録音情報記憶手段に記憶されている過去の音声ファイルを取出して前記過去の音声ファイルの一覧を前記通知手段へ送信すると共に、前記テキストデータ記憶手段に記憶されている過去のテキストデータを取出して前記過去のテキストデータの一覧を前記通知手段へ送信する一覧送信手段を備え、
前記通知手段は、
前記一覧送信手段から受信した前記過去の音声ファイルの一覧及び前記過去のテキストデータの一覧を前記作業者に対して表示して通知する一覧表示手段を有することを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項4】
請求項2に記載の遠隔監視システムにおいて、
前記作業者からの依頼に応じて、前記録音情報記憶手段に記憶されている過去の音声ファイルを取出して前記通知手段へ送信すると共に、前記テキストデータ記憶手段に記憶されている過去のテキストデータを取出して前記通知手段へ送信する過去情報送信手段を備え、
前記通知手段は、
前記過去情報送信手段から受信した前記過去の音声ファイルを前記作業者に対して再生して通知すると共に、前記過去情報送信手段から受信した前記過去のテキストデータを前記作業者に対して表示して通知する過去情報再生表示手段を有することを特徴とする遠隔監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−253665(P2012−253665A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126365(P2011−126365)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】