説明

遠隔監視制御システム、遠隔監視制御装置、監視制御方法、通信先決定方法及びプログラム

【課題】物理的に回線を切り替えない場合でも遠隔監視制御装置の通信先を論理的に切り替えることができるようにする。
【解決手段】
情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22はそれぞれ、遠隔監視制御装置10の通信先を示すTC通信先を含む診断情報を記憶する診断情報記憶部231と、所定の周期で診断情報を遠隔監視制御装置10に送信する診断情報送信部213とを備える。遠隔監視制御装置10は、情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22から送信される診断情報を受信する診断情報受信部114と、受信した診断情報に応じてTC通信先を決定し、TC通信先とDX通信先及びTC−IF通信先を比較し、DX通信先及びTC−IF通信先の少なくともいずれかがTC通信先に所定時間一致していたか否かにより、TC通信先が示す情報集配信装置21又はテレコンインタフェース22を通信先として決定する通信先決定部118とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔監視制御システム、遠隔監視制御装置、監視制御方法、通信先決定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気所の情報は、遠隔監視制御装置(TC)から制御中継所の情報集配信装置(DX)を介して遠隔地(制御所や営業所など)の監視制御装置へ伝送している。また、制御中継所にはバックアップ用の監視制御装置が設置され、バックアップ用の監視制御装置と遠隔監視制御装置(TC)との間の情報は、テレコンインタフェース(TC−IF)を介して伝送している。伝送方式としては、サイクリック伝送方式やHDLC伝送方式などが知られている。近年では、インターネットプロトコル(IP)を用いたIP伝送方式も用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3863119号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サイクリック伝送方式やHDLC伝送方式の場合、情報集配信装置(DX)とテレコンインタフェース(TC−IF)とは切替スイッチにより物理的に切り替えられてきた。しかしながら、IP伝送方式では物理的な回線の切り替えは行われない。
【0005】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、物理的に回線を切り替えない場合でも遠隔監視制御装置の通信先を論理的に切り替えることのできる遠隔監視制御システム、遠隔監視制御装置、監視制御方法、通信先決定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、遠隔監視制御装置を監視制御するための遠隔監視制御システムであって、監視制御装置と前記遠隔監視制御装置との間で前記監視制御に必要なデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と、前記第1及び第2の伝送装置に通信ネットワークを介して通信可能に接続される前記遠隔監視制御装置と、を備え、前記第1及び第2の伝送装置はそれぞれ、前記遠隔監視制御装置の通信先となる前記第1又は第2の伝送装置を示す通信先情報を記憶する通信先情報記憶部と、所定の周期で前記通信先情報を前記遠隔監視制御装置に送信する通信先送信部と、を備え、前記遠隔監視制御装置は、前記第1及び第2の伝送装置から送信される第1及び第2の前記通信先情報を受信する通信先情報受信部と、前記第1及び第2の通信先情報に応じて前記通信先の候補を決定し、前記決定した候補を示す第3の通信先情報ならびに前記第1及び第2の通信先情報を比較し、前記第1及び第2の通信先情報の少なくともいずれかが前記第3の通信先情報に所定時間一致していたか否かにより、前記第3の通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を前記通信先として決定する通信先決定部と、を備えることとする。
【0007】
本発明の遠隔監視制御システムによれば、遠隔監視制御装置が第1及び第2の伝送装置から通信先を取得し、これに応じて遠隔監視制御装置の通信先を決定することができる。したがって、物理的に伝送路が切り替えられなくても、遠隔監視制御装置は通信先を切り替えることができる。また、通信先の候補となる伝送装置から受信した情報に応じて通信先となる伝送装置を決定することができるので、確実にデータの伝送を行う相手と通信を行うことが可能となり、遠隔監視制御装置の稼働性を向上することができる。また、本発明の遠隔監視制御システムによれば、第3の通信先情報と第1及び第2の通信先情報のいずれかとが所定時間一致した場合にのみ遠隔監視制御装置の通信先を切り替えるようにすることができる。
【0008】
また、本発明の遠隔監視制御システムでは、前記遠隔監視制御装置は、前記第3の通信先情報を前記第1及び第2の伝送装置に送信する通信先送信部を備え、前記第1及び第2の伝送装置はそれぞれ、前記遠隔監視制御装置から送信される前記第3の通信先情報を受信する通信先受信部を備え、前記第1及び第2の伝送装置が備える前記通信先情報送信部は、前記通信先情報記憶部に記憶されている前記通信先情報と、前記遠隔監視制御装置から受信した前記第3の通信先情報とが不一致の場合には、前記所定の周期よりも短い周期で前記通信先情報を前記遠隔監視制御装置に送信するようにしてもよい。
この場合、遠隔監視制御装置における通信先と伝送装置における通信先とが一致していない場合、すなわち遠隔監視制御装置において通信先を切り替える必要のある場合には、伝送装置が短周期で通信先を送出することができる。したがって、遠隔監視制御装置において通信先を迅速に切り替えることができる。一方で、通信先を切り替える必要のない場合には、伝送装置から長周期で通信先を送出することができるので、通信先のやりとりに必要な通信ネットワークにおけるトラフィックの増加を抑制することができる。
【0009】
また、本発明の遠隔監視制御システムは、前記第1又は第2の伝送装置のいずれかを示すスイッチをさらに備え、前記第1及び第2の伝送装置は前記スイッチが示す前記第1又は第2の伝送装置を示す前記通信先情報を取得するスイッチ取得部をさらに備えるようにしてもよい。
この場合、2つの伝送装置が1つのスイッチから遠隔監視制御装置の通信先を取得することができるので、異なる伝送装置に異なる通信先が設定されるような状況を回避することができる。
【0010】
また、本発明の他の態様は、遠隔監視制御装置を監視制御するための遠隔監視制御システムであって、監視制御装置と前記遠隔監視制御装置との間で前記監視制御に必要なデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と、前記第1及び第2の伝送装置に通信ネットワークを介して通信可能に接続される前記遠隔監視制御装置と、前記遠隔監視制御装置の通信先を示すスイッチと、を備え、前記スイッチは、前記通信先を示す通信先情報を所定の周期で前記遠隔監視制御装置に送信する通信先送信部を備え、前記遠隔監視制御装置は、前記スイッチから送信される前記通信先情報を受信する通信先情報受信部と、前記通信先情報を記憶する通信先記憶部と、所定時間中に前記スイッチから受信した前記通信先情報が全て一致した場合に、前記通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を通信先として決定する通信先決定部と、を備えることとする。
【0011】
また、本発明の他の態様は、第1及び第2の監視制御装置から制御可能な遠隔監視制御装置であって、前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれと前記遠隔監視制御装置との間のデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と通信ネットワークを介して通信可能に接続され、前記遠隔監視制御装置の通信先となる前記第1又は第2の監視制御装置を示す通信先情報を記憶する通信先情報記憶部と、前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれから所定の周期で送信される、前記遠隔監視制御装置の通信先を示す第1及び第2の通信先情報を受信する通信先情報受信部と、前記第1及び第2の通信先情報に応じて前記通信先の候補を決定し、前記決定した候補を示す第3の通信先情報ならびに前記第1及び第2の通信先情報を比較し、前記第1及び第2の通信先情報の少なくともいずれかが前記第3の通信先情報に所定時間一致していたか否かにより、前記第3の通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を前記通信先として決定する通信先決定部と、を備えることとする。
【0012】
また、本発明の他の態様は、遠隔監視制御装置を監視制御する方法であって、監視制御装置と前記遠隔監視制御装置との間で前記監視制御に必要なデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と、前記遠隔監視制御装置と、が通信ネットワークを介して互いに通信可能に接続されており、前記第1及び第2の伝送装置はそれぞれ、前記遠隔監視制御装置の通信先となる前記第1又は第2の伝送装置を示す通信先情報を記憶し、所定の周期で前記通信先情報を前記遠隔監視制御装置に送信し、前記遠隔監視制御装置は、前記第1及び第2の伝送装置から送信される第1及び第2の前記通信先情報を受信し、前記第1及び第2の通信先情報に応じて前記通信先の候補を決定し、前記決定した候補を示す第3の通信先情報ならびに前記第1及び第2の通信先情報を比較し、前記第1及び第2の通信先情報の少なくともいずれかが前記第3の通信先情報に所定時間一致していたか否かにより、前記第3の通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を前記通信先として決定することとする。
【0013】
また、本発明の他の態様は、第1及び第2の監視制御装置から制御可能な遠隔監視制御装置の通信先を決定する方法であって、前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれと前記遠隔監視制御装置との間のデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と通信ネットワークを介して通信可能に接続される前記遠隔監視制御装置が、前記遠隔監視制御装置の通信先となる前記第1又は第2の監視制御装置を示す通信先情報を記憶し、前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれから所定の周期で送信される、前記遠隔監視制御装置の通信先を示す第1及び第2の通信先情報を受信し、前記第1及び第2の通信先情報に応じて前記通信先の候補を決定し、前記決定した候補を示す第3の通信先情報ならびに前記第1及び第2の通信先情報を比較し、前記第1及び第2の通信先情報の少なくともいずれかが前記第3の通信先情報に所定時間一致していたか否かにより、前記第3の通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を前記通信先として決定することとする。
【0014】
また、本発明の他の態様は、第1及び第2の監視制御装置から制御可能な遠隔監視制御装置の通信先を決定するためのプログラムであって、前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれと前記遠隔監視制御装置との間のデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と通信ネットワークを介して通信可能に接続される前記遠隔監視制御装置に、前記遠隔監視制御装置の通信先となる前記第1又は第2の監視制御装置を示す通信先情報を記憶するステップと、前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれから所定の周期で送信される、前記遠隔監視制御装置の通信先を示す第1及び第2の通信先情報を受信ステップと、前記第1及び第2の通信先情報に応じて前記通信先の候補を決定し、前記決定した候補を示す第3の通信先情報ならびに前記第1及び第2の通信先情報を比較し、前記第1及び第2の通信先情報の少なくともいずれかが前記第3の通信先情報に所定時間一致していたか否かにより、前記第3の通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を前記通信先として決定するステップと、を実行させることとする。
【0015】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、物理的に回線を切り替えない場合でも遠隔監視制御装置の通信先を論理的に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】遠隔監視制御システムの全体構成の一例を示す図である。
【図2】遠隔監視制御装置10、情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22の接続状態を説明する図である。
【図3】遠隔監視制御装置10、情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22に用いられる一般的なコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【図4】上位装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【図5】診断情報記憶部231の構成例を示す図である。
【図6】上位装置及び遠隔監視制御装置10の状態遷移を説明する図である。
【図7】一致条件判定部216による判定処理の流れを示す図である。
【図8】監視制御情報通信部217による監視制御情報の伝送処理の流れを示す図である。
【図9】遠隔監視制御装置10のソフトウェア構成例を示す図である。
【図10】診断情報記憶部131の構成例を示す図である。
【図11】通信先決定表51の一例を示す図である。
【図12】一致条件判定部216による判定処理の流れを示す図である。
【図13】監視制御情報通信部117による監視制御情報の伝送処理の流れを示す図である。
【図14】本実施形態の遠隔監視制御システムにおける処理の流れの一例を説明する図である。
【図15】スイッチ30が自身の状態を通信ネットワーク40に送出する場合の遠隔監視制御システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る遠隔監視制御システムについて説明する。図1は、本実施形態の遠隔監視制御システムの全体構成の一例を示す図である。本実施形態の遠隔監視制御システムは、変電所などの電気所1に設置される電力設備などの現場機器4(被制御装置)を、遠隔の制御所や営業所などの遠隔地3に設置される監視制御装置5から監視および制御するためのシステムである。また、遠隔地3と電気所1との間には監視や制御に係る通信を中継するための制御中継所2が設けられる。
【0019】
電気所1には、現場機器4に接続される遠隔監視制御装置10(IP−TC)が設置される。遠隔監視制御装置10は、通信ネットワーク40と、バックアップ用の通信ネットワーク41とに接続される。通信ネットワーク40及び41では、TCP/IPによる通信が行われる。
【0020】
制御中継所2には、遠隔監視制御装置10と監視制御装置5との間で通信される、遠隔監視制御装置10の監視制御のための情報(以下、「監視制御情報」という。)の配信を行う情報集配信装置21(DX)が設置される。また、制御中継所2には、バックアップ用の監視制御装置6が設置され、バックアップ用の監視制御装置6と遠隔監視制御装置10との間の監視制御情報の配信を行うためのテレコンインタフェース22(TC−IF)が設置される。情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22はそれぞれ、通信ネットワーク40及び41に接続されており、通信ネットワーク40又は41を介して遠隔監視制御装置10との間で監視制御情報の送受信が可能となっている。
【0021】
遠隔監視制御装置10は、情報集配信装置21又はテレコンインタフェース22のいずれか一方を介して監視制御装置5又は監視制御装置6のいずれか一方とのみ通信を行う。制御中継所2には、遠隔監視制御装置10の通信先を、情報集配信装置21にするか、テレコンインタフェース22にするかを設定するためのスイッチ30(「43DX」とも呼ばれる。)が配置される。スイッチ30は、情報集配信装置21又はテレコンインタフェース22のいずれかを通信先に切り替える。図2の例では、スイッチ30には、情報集配信装置21(DX)が通信先である状態となっている。情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22はそれぞれスイッチ30に接続され、スイッチ30の状態を取得可能である。
【0022】
以下、遠隔監視制御装置10からの通信先の切り替えについて説明する。図2に示すように、遠隔監視制御装置10は、通信ネットワーク40を介して情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22の両方と常時接続される。遠隔監視制御装置10は、スイッチ30の状態に応じて、情報集配信装置21又はテレコンインタフェース22のどちらか一方とのみ、監視制御情報の通信先を切り替える。
【0023】
図3は、遠隔監視制御装置10、情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22に用いられる一般的なコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。遠隔監視制御装置10、情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリなどである。CPU101は、記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。通信インタフェース104は、通信ネットワーク40に接続するためのインタフェースで、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタや、公衆電話回線網に接続するためのモデム、PLC通信を行うためのアダプタ、無線通信を行うための無線通信機などである。入力装置105は、データを入力する、例えばボタンやタッチパネル、キーボード、マウス、マイクロフォンなどである。出力装置106は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
【0024】
図4は、情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22(以下、この2つをまとめて「上位装置」ともいう。本発明の第1及び第2の伝送装置に該当する。)のソフトウェア構成例を示す図である。上位装置は、スイッチ状態取得部211、診断情報更新部212、診断情報送信部213、診断情報受信部214、タイマ215、一致条件判定部216、監視制御情報通信部217、診断情報記憶部231を備える。なお、スイッチ状態取得部211、診断情報更新部212、診断情報送信部213、診断情報受信部214、タイマ215、一致条件判定部216、監視制御情報通信部217は、上位装置が備えるCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現される。診断情報記憶部231は、上位装置が備えるメモリ102及び記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0025】
スイッチ状態取得部211は、スイッチ30の状態を取得する。スイッチ30の状態は、「DX」又は「TC−IF」である。スイッチ30の状態が「DX」である場合、遠隔監視制御装置10の通信先は情報集配信装置21となり、「TC−IF」である場合はテレコンインタフェース22となることが示される。
【0026】
診断情報記憶部231は、遠隔監視制御装置10の通信先を決定するための情報(以下、「診断情報」という。)を記憶する。図5は、診断情報記憶部231の構成例を示す図である。診断情報記憶部231には、TC診断情報251及び上位診断情報252が記憶される。TC診断情報251は、遠隔監視制御装置10から受信する診断情報である。TC診断情報251には、一致状態、DX通信先、TC−IF通信先、TC通信先が含まれる。上位診断情報252は、上位装置において更新される診断情報である。上位診断情報252には、一致状態、上位通信先、TC通信先が含まれる。上位通信先は、スイッチ30が示す通信先であり、TC通信先は遠隔監視制御装置10が決定した通信先である。一致状態は上位通信先とTC通信先とが一致するか否かを示すフラグ値である。本実施形態では、一致状態には、上位通信先とTC通信先とが一致することを示す「○」又は上位通信先とTC通信先とが一致しないことを示す「×」のいずれかが設定される。
【0027】
診断情報更新部212は、スイッチ30の状態と、TC診断情報251とに応じて、上位診断情報252を更新する。診断情報更新部212は、スイッチ30から取得した状態を、上位診断情報252の上位通信先に設定する。また、診断情報更新部212は、TC診断情報251のTC通信先を、上位診断情報のTC通信先に設定する。なお、診断情報更新部212は、遠隔監視制御装置10から所定時間(後述する長周期よりも長い時間)診断情報を受信できていない場合には、上位診断情報252のTC通信先に「不定」を設定する。診断情報更新部212は、上位診断情報252の上位通信先とTC通信先とが不一致の場合には、一致状態を「×」に設定する。一方、上位診断情報252の上位通信先とTC通信先とが所定時間一致している場合に、後述する一致条件判定部216が一致状態を「○」に設定する。
【0028】
診断情報送信部213は、定期的に上位診断情報252を遠隔監視制御装置10に送信する。診断情報送信部213は、上位診断情報252の一致状態が「○」である場合には、所定の長周期(例えば5秒、8秒、10秒など任意の長さの時間とすることができる。)で上位診断情報252を送出し、上位診断情報252の一致状態が「×」である場合には、上記長周期よりも短い短周期(例えば、1秒、3秒など、長周期よりも短い任意の長さの時間とすることができる。)で上位診断情報252を送出する。また、診断情報送信部213は、上位診断情報252の一致状態が変化した時点では、上記長周期又は短周期にかかわらず、上位診断情報252を遠隔監視制御装置10に送信する。なお、このように不定期に診断情報を送信することを「状変通知」という。
【0029】
図6は、上位装置の状態遷移を説明する図である。なお、後述する遠隔監視制御装置10も図6に示すような状態遷移を行う。上位装置は、起動時やリセット時には、短周期で診断情報を送出する状態31となる。後述の一致条件判定部216が上位診断情報252の一致状態を「○」に設定した場合には、診断情報送信部213が状変通知35により上位診断情報252を送出し、長周期の状態32に遷移する。診断情報更新部212が上位診断情報252の一致状態を「×」に設定した場合には、診断情報送信部213が状変通知34により上位診断情報252を送出して短周期の状態31に遷移する。
【0030】
診断情報受信部214は、遠隔監視制御装置10から定期的に送信される診断情報を受信する。診断情報受信部214は、受信した診断情報をTC診断情報251として診断情報記憶部231に記憶する。
【0031】
一致条件判定部216は、診断情報記憶部231を監視して、上位装置と遠隔監視制御装置10とにおいて、遠隔監視制御装置10の通信先が所定時間同じになっていることを判定する。図7は一致条件判定部216による判定処理の流れを示す図である。
一致条件判定部216は、上位診断情報252の一致状態が「×」である場合に(S401:NO)、上位診断情報252の上位通信先及びTC通信先が一致したことを検知して(S402:YES)、タイマ215を起動する(S403)。
一致条件判定部216は、タイマ215がタイムアウトしない間(S404:NO)、上位診断情報252の上位通信先及びTC通信先が一致していることを監視する(S405)。一致条件判定部216は、タイマ215が終了するまでに上位通信先及びTC通信先が不一致となった場合には(S405:NO)、タイマ215を中断させて(S406)、ステップS401からの処理を繰り返す。
一致条件判定部216は、タイマ215がタイムアウトした場合(S404:YES)、上位診断情報252の一致状態を「○」に設定する(S407)。
以上のようにして、タイマ215がタイムアウトするまでの所定時間、上位診断情報252の上位通信先及びTC通信先が一致した場合に、上位診断情報252の一致状態が「○」に設定される。なお、上位装置は、タイマ215(第1のタイマ)に加えて第2のタイマを備えるようにして、タイマ215がタイムアウトしたところで、第2のタイマを起動し、第2のタイマがタイムアウトするまでに遠隔監視制御装置10から一致情報が「○」の診断情報を受信することを検知したときに、上位診断情報252の一致状態を「○」に設定するようにしてもよい。
【0032】
監視制御情報通信部217は、遠隔監視制御装置10との間で監視制御情報の送受信を行う。監視制御情報通信部217は、上位装置と遠隔監視制御装置10とが一致して自分自身を通信先としているときに監視制御情報の伝送を行い、そうでなければ監視制御情報の伝送を行わないようにする(このことを「伝送ロック」という。)。図8は、監視制御情報通信部217による監視制御情報の伝送処理の流れを示す図である。監視制御情報通信部217は、上位診断情報252の一致状態が「○」であり(S421:YES)、TC診断情報251の一致状態が「○」であり(S422:YES)、かつ、上位診断情報252のTC通信先が当該上位装置である場合、すなわち情報集配信装置21ではTC通信先が「DX」であり及びテレコンインタフェース22ではTC通信先が「TC−IF」である場合には(S423:YES)、監視制御情報の伝送を行い(S424)、そうでなければ伝送ロックを行う(S425)。
【0033】
図9は、遠隔監視制御装置10のソフトウェア構成例を示す図である。遠隔監視制御装置10は、診断情報更新部112、診断情報送信部113、診断情報受信部114、タイマ115、一致条件判定部116、監視制御情報通信部117、通信先決定部118、診断情報記憶部131を備えている。遠隔監視制御装置10は、上位装置と同様の構成を有しているが、上位装置の備えるスイッチ状態取得部211が省略され、通信先決定部118が追加されている。診断情報更新部112、診断情報送信部113、診断情報受信部114、タイマ115、一致条件判定部116、監視制御情報通信部117,通信先決定部118は、遠隔監視制御装置10が備えるCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、診断情報記憶部131は、遠隔監視制御装置10が備えるメモリ102及び記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0034】
診断情報記憶部131は、診断情報を記憶する。図10は診断情報記憶部131の構成例を示す図である。診断情報記憶部131には、TC診断情報151、DX診断情報152、TC−IF診断情報153が記憶される。TC診断情報151は、遠隔監視制御装置10において更新される診断情報である。DX診断情報152は、情報集配信装置21から受信する診断情報であり、TC−IF診断情報153は、テレコンインタフェース22から受信する診断情報である。
【0035】
診断情報受信部114は、情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22のそれぞれから診断情報を受信する。診断情報受信部114は、情報集配信装置21から受信した診断情報をDX診断情報152として診断情報記憶部131に記憶し、テレコンインタフェース22から受信した診断情報をTC−IF診断情報153として診断情報記憶部131に記憶する。
【0036】
診断情報更新部112は、DX診断情報152及びTC−IF診断情報153に応じてTC診断情報151を更新する。診断情報更新部112は、DX診断情報152の上位通信先を、TC診断情報151のDX通信先に設定し、TC−IF診断情報153の上位通信先を、TC診断情報151のTC−IF通信先に設定する。診断情報更新部112は、情報集配信装置21から所定時間(長周期よりも長い時間)診断情報を受信できない場合には、TC診断情報151のDX通信先に「不定」を設定し、テレコンインタフェース22から上記所定時間診断情報を受信できない場合には、TC診断情報151のTC−IF通信先に「不定」を設定する。TC通信先は、後述する通信先決定部118により設定される。診断情報更新部112は、TC通信先が「不定」になったとき、一致状態を「×」に設定する。TC通信先が「DX」又は「TC−IF」の場合、後述する一致条件判定部116が一致状態を「○」に設定する。
【0037】
診断情報送信部113は、定期的にTC診断情報151を情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22に送信する。診断情報送信部113は、TC診断情報151の一致状態が「○」である場合には、長周期でTC診断情報151を送出し、TC診断情報251の一致状態が「×」である場合には、短周期でTC診断情報151を送出する。遠隔監視制御装置10においても、起動時やリセット時には、短周期で診断情報を送出する図6の状態31となる。後述の一致条件判定部116がTC診断情報151の一致状態を「○」に設定した場合には、診断情報送信部113が状変通知35によりTC診断情報151を送出し、長周期の状態32に遷移する。診断情報更新部112がTC診断情報151の一致状態を「×」に設定した場合には、診断情報送信部113は状変通知34によりTC診断情報151を送出して短周期の状態31に遷移する。
【0038】
通信先決定部118は、TC診断情報151のDX通信先及びTC−IF通信先に応じてTC通信先を決定する。通信先決定部118は、図11に示す通信先決定表51を用いてTC通信先を決定する。通信先決定表51には、DX通信先及びTC−IF通信先に対応づけて、TC通信先が記憶されている。通信先決定部118は、TC診断情報151のDX通信先及びTC−IF通信先に対応するTC通信先を通信先決定表51から取得して、取得したTC通信先をTC診断情報151に設定する。
【0039】
一致条件判定部116は、診断情報記憶部131を監視して、上位装置と遠隔監視制御装置10とにおいて、遠隔監視制御装置10の通信先が所定時間同じになっているかどうかを判定する。図12は一致条件判定部116による判定処理の流れを示す図である。
一致条件判定部116は、TC診断情報151の一致状態が「×」である場合に(S501:NO)、TC診断情報151のTC通信先が「DX」であれば(S502:DX)、DX診断情報152を診断情報とし(S503)、TC通信先が「TC−IF」であれば(S502:TC−IF)、TC−IF診断情報153を診断情報とし(S504)、それ以外であれば(S502:その他)、診断情報を不定値(例えば空の診断情報)として(S505)、診断情報の上位通信先と、TC診断情報151のTC通信先とが一致したことを検知し(S506:YES)、タイマ115を起動する(S507)。
一致条件判定部116は、タイマ115がタイムアウトしない間(S508:NO)、診断情報の上位通信先とTC診断情報151のTC通信先とが一致していることを監視する(S509)。一致条件判定部116は、タイマ115が終了するまでに診断情報の上位通信先とTC診断情報151のTC通信先とが不一致となった場合には(S509:NO)、タイマ115を中断させて(S510)、ステップS501からの処理を繰り返す。
一致条件判定部116は、タイマ115がタイムアウトした場合(S508:YES)、TC診断情報151の一致状態を「○」に設定し(S511)、その後に診断情報の一致状態が「○」になるまで(S512:NO)、引き続き診断情報の上位通信先とTC診断情報151のTC通信先とが一致していることを監視する(S513)。一致条件判定部116は、診断情報の一致状態が「×」の間に(S512:NO)、診断情報の上位通信先とTC診断情報151のTC通信先とが不一致となった場合には(S513:NO)、ステップS501からの処理を繰り返す。
以上のようにして、タイマ115がタイムアウトするまでの所定時間、DX診断情報152又はTC−IF診断情報153のいずれかの上位通信先と、TC診断情報151のTC通信先とが一致し、かつ、TC通信先が示す上位装置から一致情報が「○」の診断情報を受信した場合に、TC診断情報151の一致状態が「○」に設定される。
【0040】
監視制御情報通信部117は、上位装置との間で監視制御情報の送受信を行う。監視制御情報通信部117は、上位装置と遠隔監視制御装置10とが一致して、当該上位装置を通信先としているときに監視制御情報の伝送を行い、そうでなければ伝送ロックする。図13は、監視制御情報通信部117による監視制御情報の伝送処理の流れを示す図である。監視制御情報通信部117は、TC診断情報151の一致状態が「×」であれば(S521:NO)、情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22の両方について伝送ロックする(S522)。監視制御情報通信部117は、TC診断情報151の一致状態が「○」であり(S521:YES)、TC診断情報151のTC通信先が「DX」であれば(S523:YES)、テレコンインタフェース22について伝送ロックを行うとともに(S524)、DX診断情報152の一致状態が「○」であれば(S525:YES)、情報集配信装置21との間で監視制御情報の送受信を行い(S526)、DX診断情報152の一致状態が「×」であれば(S525:NO)、情報集配信装置21についても伝送ロックを行う(S527)。監視制御情報通信部117は、TC診断情報151のTC通信先が「TC−IF」である場合(S523:NO)、情報集配信装置21について伝送ロックするとともに(S528)、TC−IF診断情報153の一致状態が「○」であれば(S529:YES)、テレコンインタフェース22との間で監視制御情報の送受信を行い(S530)、TC−IF診断情報153の一致状態が「×」であれば(S529:NO)、テレコンインタフェース22についても伝送ロックを行う(S531)。
【0041】
図14は、本実施形態の遠隔監視制御システムにおける処理の流れの一例を説明する図である。図14では、スイッチ30がテレコンインタフェース22から情報集配信装置21に切り替わるときの処理の一例が示されている。スイッチ30はテレコンインタフェース22を示す状態となっており、遠隔監視制御装置10とテレコンインタフェース22とが監視制御情報の送受信を行われている。一方、遠隔監視制御装置10と情報集配信装置21との間は伝送ロックが行われている。伝送ロックが行われていても診断情報の送受信は行われる。
【0042】
情報集配信装置21及びテレコンインタフェース22は、一致情報に「○」、上位通信先及びTC通信先に「TC−IF」が設定された診断情報を上位診断装置252として記憶しており、情報集配信装置21から遠隔監視制御装置10に対してこの診断情報が送信され(S601)、テレコンインタフェース22からも診断情報が送信される(S602)。遠隔監視制御装置10は、一致情報に「○」、DX通信先、TC−IF通信先及びTC通信先に「TC−IF」が設定された診断情報をTC診断情報151として記憶しており、情報集配信装置21に対してこの診断情報を送信し(S603)、テレコンインタフェース22にもこの診断情報を送信する(S604)。
【0043】
情報集配信装置21から長周期71で診断情報が遠隔監視制御装置10に送信され(S605)、テレコンインタフェース22からも長周期71で診断情報が遠隔監視制御装置10に送信される(S606)。遠隔監視制御装置10から長周期71で診断情報が情報集配信装置21に送信されるとともに(S607)、テレコンインタフェース22にも送信される(S608)。
【0044】
ここで、スイッチ30が情報集配信装置21を示す状態に変化すると(S609)、情報集配信装置21はこれを検知して上位診断情報の上位通信先を「DX」に変更し、一致状態を「×」に変更し、この診断情報が状変通知により遠隔監視制御装置10に送信される(S610)。遠隔監視制御装置10では、TC診断情報151が更新されてDX通信先とTC通信先との不一致が発生することになるので、現在行われている監視制御情報の送受信について伝送ロックが行われる(S611)。遠隔監視制御装置10は、更新されたTC診断情報151を状変通知により、情報集配信装置21に送信するとともに(S612)、テレコンインタフェース22にも送信する(S613)。テレコンインタフェース22においても、上位診断情報252が更新され、上位通信先とTC通信先との不一致が発生することになり、伝送ロックが行われる(S614)。テレコンインタフェース22は、更新された上位診断情報252を状変通知により、遠隔監視制御装置10に送信する(S615)。
【0045】
この時点で、情報集配信装置21、遠隔監視制御装置10及びテレコンインタフェース22ではそれぞれ図6に示す短周期で診断情報を送出する状態31に遷移している。情報集配信装置21は、短周期72で上位診断情報252を遠隔監視制御装置10に送信し(S616)、遠隔監視制御装置10からも、短周期72でTC診断情報151が、情報集配信装置21に送信されるとともに(S617)、テレコンインタフェース22にも送信される(S618)。
【0046】
テレコンインタフェース22でもスイッチ30の切り替えは検出されて(S619)、上位診断情報252の上位通信先が「DX」に更新され、この上位診断情報252が状変通知により、遠隔監視制御装置10に送信される(S620)。なお、この間も、情報集配信装置21からは短周期72で診断情報が遠隔監視制御装置10に送信される(S621)。
【0047】
遠隔監視制御装置10では、情報集配信装置21から受信した診断情報の上位通信先も、テレコンインタフェース22から受信した診断情報の上位通信先も「DX」に設定されていることになるので、図11の通信先決定表51よりTC通信先も「DX」となり、タイマ115が起動される(S622)。また、遠隔監視制御装置10からは短周期72で、TC通信先が更新されたTC診断情報151が情報集配信装置21に送信されるとともに(S623)、テレコンインタフェース22にも送信される(S624)。
【0048】
情報集配信装置21では、上位診断情報252のTC通信先が更新されて上位通信先と一致することになり、タイマ215が起動される(S625)。テレコンインタフェース22においても、上位診断情報252が更新され上位通信先及びTC通信先が一致し、タイマ215が起動される(S626)。
【0049】
情報集配信装置21ではタイマ215がタイムアウトするまでの間も、短周期72で上位診断情報252が遠隔監視制御装置10に送信され(S627)、テレコンインタフェース22においてもタイマ215がタイムアウトするまでの間、短周期72で上位診断情報252が遠隔監視制御装置10に送信される(S628)。遠隔監視制御装置10でもタイマ115がタイムアウトするまで短周期72でTC診断情報151が、情報集配信装置21に送信され(S629)、テレコンインタフェース22にも送信される(S630)。
【0050】
遠隔監視制御装置10でタイマ115がタイムアウトすると、TC診断情報151の一致状態が「○」に更新されて、更新されたTC診断情報151が情報集配信装置21に送信され(S631)、テレコンインタフェース22にも送信される(S632)。しかし、情報集配信装置21ではタイマ215がタイムアウトしていないため、一致情報が「×」のままの上位診断情報252が短周期72で遠隔監視制御装置10に送信される(S633)。テレコンインタフェース22からも同様に、一致情報が「×」のままの上位診断情報252が短周期72で遠隔監視制御装置10に送信される(S634)。
【0051】
テレコンインタフェース22においてタイマ215がタイムアウトした後に、遠隔監視制御装置10から短周期72でTC診断情報151を受信すると(S635)、上位診断情報252の一致状態が「○」に更新されるが(S636)、テレコンインタフェース22は通信先ではないため、伝送ロックは解除されず、更新された上位診断情報252が状変通知により遠隔監視制御装置10に送信され(S637)、遠隔監視制御装置10においてTC−IF診断情報153の一致状態も「○」に更新される。
【0052】
一方、情報集配信装置21においてタイマ215がタイムアウトした後、遠隔監視制御装置10から短周期72でTC診断情報151が情報集配信装置21に送信されると(S638)、情報集配信装置21では上位診断情報252の一致状態が「○」に更新され(S639)、伝送ロックが解除されて、遠隔監視制御装置10との間の監視制御情報の送受信が開始される(S640)。情報集配信装置21は、更新された上位診断情報252を状変通知により遠隔監視制御装置10に送信する(S641)。これにより、遠隔監視制御装置10では、DX診断情報152の一致状態が「○」に更新され(S642)、伝送ロックが解除されて、情報集配信装置21との間の監視制御情報の送受信が開始される(S643)。この時点で、遠隔監視制御装置10と情報集配信装置21との間の通信が開始されることになる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の遠隔監視制御システムによれば、上位装置がスイッチ30から取得した通信先が遠隔監視制御装置10に送信され、遠隔監視制御装置10は受信した通信先のいずれかを決定して、その通信先を相手として監視制御情報の伝送を行うようにすることができる。したがって、スイッチ30によって物理的に通信路が切り替えられなくても、遠隔監視制御装置10は、情報集配信装置21又はテレコンインタフェース22のいずれかを通信先として論理的に伝送路を切り替えることができる。また、遠隔監視制御装置10は、診断情報を受信した上位装置を通信先として決定するため、確実に通信可能な通信先との通信を行うことができる。これにより、遠隔監視制御システムの稼働性を向上することができる。
【0054】
また、本実施形態の遠隔監視制御システムによれば、遠隔監視制御装置10が決定した通信先と上位装置が記憶している通信先とが所定時間(タイマ115がタイムアウトするまで)一致した場合にのみ通信先を決定するようにすることができる。したがって、例えばスイッチ30にばたつきがあった場合や、通信異常があったような場合に、通信先が頻繁に切り替わってしまうような状況を回避することができる。
【0055】
また、本実施形態の遠隔監視制御システムによれば、遠隔監視制御装置10と上位装置との間で通信先が一致しない場合は短周期で診断情報が送出され、一致している場合は長周期で診断情報が送出される。したがって、通信先を切り替える場合には、診断情報の送受信を高頻度に行うことで、迅速に通信先を決定することができる。その一方で、通信先を切り替えない場合には、長周期で診断情報を送出することで、診断情報の送受信による通信ネットワークのトラフィックの増加を抑制することができる。
【0056】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0057】
例えば、本実施形態の遠隔監視制御システムでは、情報集配信装置21、テレコンインタフェース22及び遠隔監視制御装置10はいずれも一般的なコンピュータであり、各機能部はCPU101がプログラムを実行することにより実現されるものとしたが、これに限らず、各機能部を専用回路で実現するようにすることもできる。
【0058】
また、本実施形態の遠隔監視制御システムでは、監視制御情報はTCP/IPによる通信によって通信ネットワークを介して伝送されるものとしたが、その他のプロトコルにより伝送されるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態の遠隔監視制御システムでは、スイッチ30の状態は上位装置が取得するものとしたが、スイッチ30が自身の状態を通信ネットワーク40に送出するようにしてもよい。この場合の遠隔監視制御システムの構成例を図15に示す。図15の例では、スイッチ30が通信ネットワーク40に接続されている。この場合、スイッチ30は、遠隔監視制御装置10に対して、長周期でスイッチ30の状態を送信するようにし、スイッチ30の状態が変化したときは短周期でスイッチ30の状態を送信するようにする。遠隔監視制御装置10は、スイッチ30からスイッチ30の状態を取得し、タイマ115がタイムアウトするまでスイッチ30の状態が変化しなければ、スイッチ30の状態が示す上位装置を通信先として決定するようにする。この場合、上位装置はスイッチ30の状態を監視する必要がなく、遠隔監視制御装置10からの指示に応じて伝送ロックの設定又は解除を行うようにすることができる。これにより、上位装置の処理負荷を軽減することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1 電気所
2 制御中継所
3 遠隔地
4 現場機器
5,6 監視制御装置
10 遠隔監視制御装置
21 情報集配信装置
22 テレコンインタフェース
30 スイッチ
40,41 通信ネットワーク
112 診断情報更新部
113 診断情報送信部
114 診断情報受信部
115 タイマ
116 一致条件判定部
117 監視制御情報通信部
118 通信先決定部
131 診断情報記憶部
211 スイッチ状態取得部
212 診断情報更新部
213 診断情報送信部
214 診断情報受信部
215 タイマ
216 一致条件判定部
217 監視制御情報通信部
231 診断情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔監視制御装置を監視制御するための遠隔監視制御システムであって、
監視制御装置と前記遠隔監視制御装置との間で前記監視制御に必要なデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と、前記第1及び第2の伝送装置に通信ネットワークを介して通信可能に接続される前記遠隔監視制御装置と、を備え、
前記第1及び第2の伝送装置はそれぞれ、
前記遠隔監視制御装置の通信先となる前記第1又は第2の伝送装置を示す通信先情報を記憶する通信先情報記憶部と、
所定の周期で前記通信先情報を前記遠隔監視制御装置に送信する通信先送信部と、
を備え、
前記遠隔監視制御装置は、
前記第1及び第2の伝送装置から送信される第1及び第2の前記通信先情報を受信する通信先情報受信部と、
前記第1及び第2の通信先情報に応じて前記通信先の候補を決定し、前記決定した候補を示す第3の通信先情報ならびに前記第1及び第2の通信先情報を比較し、前記第1及び第2の通信先情報の少なくともいずれかが前記第3の通信先情報に所定時間一致していたか否かにより、前記第3の通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を前記通信先として決定する通信先決定部と、
を備えること、
を特徴とする遠隔監視制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔監視制御システムであって、
前記遠隔監視制御装置は、前記第3の通信先情報を前記第1及び第2の伝送装置に送信する通信先送信部を備え、
前記第1及び第2の伝送装置はそれぞれ、前記遠隔監視制御装置から送信される前記第3の通信先情報を受信する通信先受信部を備え、
前記第1及び第2の伝送装置が備える前記通信先情報送信部は、前記通信先情報記憶部に記憶されている前記通信先情報と、前記遠隔監視制御装置から受信した前記第3の通信先情報とが不一致の場合には、前記所定の周期よりも短い周期で前記通信先情報を前記遠隔監視制御装置に送信すること、
を特徴とする遠隔監視制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の遠隔監視制御システムであって、
前記第1又は第2の伝送装置のいずれかを示すスイッチをさらに備え、
前記第1及び第2の伝送装置は前記スイッチが示す前記第1又は第2の伝送装置を示す前記通信先情報を取得するスイッチ取得部をさらに備えること、
を特徴とする遠隔監視制御システム。
【請求項4】
遠隔監視制御装置を監視制御するための遠隔監視制御システムであって、
監視制御装置と前記遠隔監視制御装置との間で前記監視制御に必要なデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と、前記第1及び第2の伝送装置に通信ネットワークを介して通信可能に接続される前記遠隔監視制御装置と、前記遠隔監視制御装置の通信先を示すスイッチと、を備え、
前記スイッチは、前記通信先を示す通信先情報を所定の周期で前記遠隔監視制御装置に送信する通信先送信部を備え、
前記遠隔監視制御装置は、
前記スイッチから送信される前記通信先情報を受信する通信先情報受信部と、
前記通信先情報を記憶する通信先記憶部と、
所定時間中に前記スイッチから受信した前記通信先情報が全て一致した場合に、前記通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を通信先として決定する通信先決定部と、 を備えること、
を特徴とする遠隔監視制御システム。
【請求項5】
第1及び第2の監視制御装置から制御可能な遠隔監視制御装置であって、
前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれと前記遠隔監視制御装置との間のデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と通信ネットワークを介して通信可能に接続され、
前記遠隔監視制御装置の通信先となる前記第1又は第2の監視制御装置を示す通信先情報を記憶する通信先情報記憶部と、
前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれから所定の周期で送信される、前記遠隔監視制御装置の通信先を示す第1及び第2の通信先情報を受信する通信先情報受信部と、
前記第1及び第2の通信先情報に応じて前記通信先の候補を決定し、前記決定した候補を示す第3の通信先情報ならびに前記第1及び第2の通信先情報を比較し、前記第1及び第2の通信先情報の少なくともいずれかが前記第3の通信先情報に所定時間一致していたか否かにより、前記第3の通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を前記通信先として決定する通信先決定部と、
を備えることを特徴とする遠隔監視制御装置。
【請求項6】
遠隔監視制御装置を監視制御する方法であって、
監視制御装置と前記遠隔監視制御装置との間で前記監視制御に必要なデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と、前記遠隔監視制御装置と、が通信ネットワークを介して互いに通信可能に接続されており、
前記第1及び第2の伝送装置はそれぞれ、
前記遠隔監視制御装置の通信先となる前記第1又は第2の伝送装置を示す通信先情報を記憶し、
所定の周期で前記通信先情報を前記遠隔監視制御装置に送信し、
前記遠隔監視制御装置は、
前記第1及び第2の伝送装置から送信される第1及び第2の前記通信先情報を受信し、
前記第1及び第2の通信先情報に応じて前記通信先の候補を決定し、前記決定した候補を示す第3の通信先情報ならびに前記第1及び第2の通信先情報を比較し、前記第1及び第2の通信先情報の少なくともいずれかが前記第3の通信先情報に所定時間一致していたか否かにより、前記第3の通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を前記通信先として決定すること、
を特徴とする監視制御方法。
【請求項7】
第1及び第2の監視制御装置から制御可能な遠隔監視制御装置の通信先を決定する方法であって、
前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれと前記遠隔監視制御装置との間のデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と通信ネットワークを介して通信可能に接続される前記遠隔監視制御装置が、
前記遠隔監視制御装置の通信先となる前記第1又は第2の監視制御装置を示す通信先情報を記憶し、
前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれから所定の周期で送信される、前記遠隔監視制御装置の通信先を示す第1及び第2の通信先情報を受信し、
前記第1及び第2の通信先情報に応じて前記通信先の候補を決定し、前記決定した候補を示す第3の通信先情報ならびに前記第1及び第2の通信先情報を比較し、前記第1及び第2の通信先情報の少なくともいずれかが前記第3の通信先情報に所定時間一致していたか否かにより、前記第3の通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を前記通信先として決定すること、
を特徴とする通信先決定方法。
【請求項8】
第1及び第2の監視制御装置から制御可能な遠隔監視制御装置の通信先を決定するためのプログラムであって、
前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれと前記遠隔監視制御装置との間のデータの伝送を行う第1及び第2の伝送装置と通信ネットワークを介して通信可能に接続される前記遠隔監視制御装置に、
前記遠隔監視制御装置の通信先となる前記第1又は第2の監視制御装置を示す通信先情報を記憶するステップと、
前記第1及び第2の監視制御装置のそれぞれから所定の周期で送信される、前記遠隔監視制御装置の通信先を示す第1及び第2の通信先情報を受信ステップと、
前記第1及び第2の通信先情報に応じて前記通信先の候補を決定し、前記決定した候補を示す第3の通信先情報ならびに前記第1及び第2の通信先情報を比較し、前記第1及び第2の通信先情報の少なくともいずれかが前記第3の通信先情報に所定時間一致していたか否かにより、前記第3の通信先情報が示す前記第1又は第2の伝送装置を前記通信先として決定するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−199809(P2012−199809A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63028(P2011−63028)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000211293)中国電機製造株式会社 (69)
【Fターム(参考)】