説明

適応型ファイル配信システムおよび方法

【課題】ネットワークまたはネットワーク群を介してオーディオビデオファイルなどのデータファイルの各セグメントを伝送する期間の待機部分の長さを、少なくともファイルセグメント伝送の平均速度に制限し、所定の配信期限内にファイル全体を配信させながらネットワークトラフィック負荷の変動に適応させる。
【解決手段】適応型ファイル配信システムおよび方法は、データファイルをセグメントで伝送し、各セグメントを異なる期間中に伝送する。各期間には、それに関連するファイルセグメントを伝送する伝送部分と、伝送されたセグメントに関してこれ以上ネットワークとやりとりが発生しない待機部分とがある。いくつかの実施例では、各期間の伝送部分の長さは、定常状態スループット条件に到達するのに十分であり、これによりファイルセグメント伝送の速度測定からネットワークまたはネットワーク群のトラフィック負荷状態を測定することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にコンピュータネットワークに関し、より詳細には、そのようなネットワーク上のファイル伝送に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットや広域ネットワーク(WAN)などのネットワークは、ファイル転送サービスなどのサービスを行うために相当な固定的設備を有する。これらのネットワークでは従来の伝送方法を用いて、固定的設備の能力に基づきある程度のサイズのファイルを、ネットワークに大きな影響を及ぼすことなく効率的に伝送可能である。
【0003】
ファイル転送サービスに関わる他の希望シナリオはこれまで、伝送すべきファイルのサイズの巨大さおよび/または相当の大きさのファイルの大規模マルチキャストの配信要求のために、通常のファイル転送方法ではほとんど敬遠されてきた。こうした巨大ファイルサイズの例には、ラージフォーマットの高画質オーディオビデオまたはコンピュータゲームのファイルがある。インターネットやWANなどのネットワーク用の、現行設備ベースに基づき有線(デジタル加入者回線(DSL)、ケーブル、電線)、ファイバ、無線、衛星、携帯電話タイプを含むがそれに限定されるものではない従来の方法を用いた巨大サイズファイルの伝送は、とりわけ頻繁に行われた場合、こうしたネットワークに大きな影響を与えてしまうので、実用的であるどころか実現可能とすら思われない。従来の解決法は、ネットワーク伝送能力を拡張してピークトラフィック要求を満たすことに集中してきた。不運なことに、こうした従来の解決法は資産や資金の莫大な消費を必要とし、大方のところ、問題のあるオプションにとどまっている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】適応型ファイル配信システムの例示的な実施例を大まかに示す概略図である。
【図2】図1の適応型ファイル配信システムによって用いられた方法の例示的な実施例を描いた相互作用図である。
【図3】適応型ファイル配信システムの例示的な実施例の第1の集合を示す概略図である。
【図4】適応型ファイル配信システムの例示的な実施例の第2の集合を示す概略図である。
【図5】送信システム開始時の適応型ファイル配信システムの実施例を描いた相互作用図である。
【図6】ユーザによる閲覧時の適応型ファイル配信システムの実施例を描いた概略図である。
【図7】ユーザによる編集時の図6の実施例の概略図である。
【図8】ユーザによるファイル選択時の図6の実施例の概略図である。
【図9】ユーザによる優先順位付け時の図6の実施例の概略図である。
【図10】期限計算時の図6の実施例の一部の概略図である。
【図11】状態表示およびユーザ対話時の図6の実施例の概略図である。
【図12】ユーザによるファイル順序付け時の適応型ファイル配信システムの実施例の概略図である。
【図13】順位付けられたファイルの配信時の図12の適応型ファイル配信システムの実施例の概略図である。
【図14】図12の適応型ファイル配信システムの実施例の概略図であり、ファイル再生の詳細を示す。
【図15】暗号化ファイル時の適応型ファイル配信システムの実施例の概略図であり、問い合わせステージを示す。
【図16】図15の適応型ファイル配信システムの実施例の概略図であり、暗号化ファイルの配信を示す。
【図17】図15の適応型ファイル配信システムの実施例の概略図であり、アクセス要求とアクセス拒否を示す。
【図18】図15の適応型ファイル配信システムの実施例の概略図であり、アクセス要求とアクセス許可を示す。
【図19】図15の適応型ファイル配信システムの実施例の概略図であり、ファイル再生の詳細を示す。
【図20】適応型ファイル配信システムの実施例の概略図であり、ファイルのプリロードを示す。
【図21】適応型ファイル配信システムの実施例の概略図であり、配信の態様を示す。
【図22】適応型ファイル配信システムの実施例の概略図であり、ネットワークの態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ここで述べるように、適応型ファイル配信システムおよび方法は、オーディオビデオファイルなどのデータファイルをネットワークやネットワーク群を介してセグメントで伝送するものであり、各セグメントはそれぞれの期間内に伝送される。各期間には、それに関連するファイルセグメントを伝送する伝送部分と、伝送されたセグメントに関してこれ以上ネットワークとやりとりが発生しない待機部分とがある。いくつかの実施例では、各期間の伝送部分の長さは、定常状態スループット条件に到達するのに十分であり、これによりファイルセグメント伝送の速度測定からネットワークまたはネットワーク群のトラフィック負荷ステータスを測定することが可能となる。各期間の待機部分の長さは少なくとも、有効なファイルセグメント伝送速度をもたらし、所定の配信期限内にファイル全体を配信させながらネットワークのトラフィック負荷の変動に適応するのに十分なだけ長い。
【0006】
一般に、ユーザ人口の多いネットワークは、ほぼ1日、1週、そして1年の周期で、定期的なピーク混雑期間を経験する。こうしたピーク期間を乗り切るようにネットワークを設計することはトラフィックエンジニアリングの領域である。ネットワーク資源を補償しこうした例外的動作期間の負荷に適切に対処するため、ネットワーク設計者はピーク混雑に重点を置かねばならない。不運なことに、これは必ず、ネットワークが十分に活用されていない時には大きなギャップがあることを意味している。
【0007】
さらにデータ利用の際には、発信源とあて先の間でどれほどの利用可能な回線容量が必要であるかと、情報の配信にどれくらいの時間がかかるかとの間に、トレードオフがある。多くの利用で、情報の要求と配信の間にはリアルタイム、あるいはほぼリアルタイムの待ち時間が期待されている。例えばパソコン(PC)ユーザがウェブアドレスを入力したときには、ページが数秒以内に取得されることが期待されている。同様に、大容量の電子メール転送でも、ひとたび要求がなされれば、ネットワークに可能な最高の配信速度で作業が完了することがネットワークに求められている。だが配信期限が数時間あるいは数日先である非リアルタイム利用の場合、データ転送速度は著しく減少させることができる。
【0008】
適応型ファイル配信システムおよび方法は、ネットワークの活動が最低な時間に、ラージフォーマットの高画質オーディオビデオおよび他のメディアのファイルといった巨大ファイルの配信を選択的にスケジューリングする。配信時間を延ばすことで、送信者と受信者を繋ぐ既存のネットワークにほとんどあるいはまったく影響を及ぼすことなく大量の情報を効率的に移送することが可能となる。適応型ファイル配信システムは、巨大ファイルの転送をサポートしながら、多数のユーザが同時にネットワーク上で活動している際に生じるネットワークピークを均す。適応型ファイル配信システムおよび方法はまた、配信要求に応じてスケーラブルなものとすることができる。
【0009】
適応型ファイル配信システムは、巨大ファイル転送のネットワークへの影響を減少し、他のネットワークトラフィックによって生じた混雑に即座に対応し、転送速度を調整して配信期限を維持し、そして最悪のネットワークモデルシナリオに影響を及ぼさずに多数の受信システムおよび送信システムに合わせて拡張する点で貢献する。
【0010】
適応型ファイル配信システム100が図1に示されており、いずれもネットワーク106へと通信可能にリンクされた送信システム102と受信システム104を含んでいる。送信システム102はコンピュータシステム、あるいはファイバ、有線、無線手段を介してネットワーク106へと接続されたサーバ、データベース、記憶装置、ルータ、スイッチ、ファイアウォール、あるいは他の同様な装置など、配列あるいは分散型の複数のコンピュータシステムからなるものとできる。受信システム104は、DVR、PC、ネットワーク記憶装置、クライアントワークステーション、テレビセットトップボックス、モデム、ゲートウェイ、あるいは携帯情報端末(PDA)、携帯オーディオビデオプレーヤ、携帯電話などの携帯通信装置といったその他の装置と共に、あるいは専用のハードウェア装置内に配置することができる。受信システム104は、ファイバ、有線、無線手段でネットワーク106へと接続できる。ネットワーク106は、インターネットや、有線(DSL、ケーブル、電線)、ファイバ、無線、衛星、携帯電話型ネットワークを含むがそれに限定されるものではないWANなどの他のネットワークから、ネットワーク要素を1つ以上含むものとできる。ネットワーク106は、モデム、ルータ、ブリッジ、ゲートウェイ、ネットワークインターフェース、ケーブル放送、無線放送、ローカルエリアネットワーク(LAN)、アクセスネットワーク、プロバイダネットワーク、そしてピアツーピア構成などだがこれに限定されるものではない他の同様なネットワーク要素を含むこともできる。送信システム102は図1に、ネットワーク106を介して受信システム104へとファイルセグメント108を送信するものとして示されている。送信システム102は、ネットワーク106にアクセスするためのインターフェース110、プロセッサ112、そしてネットワークを介して受信システム104へと伝送されるファイル116を保持し適応型ファイル配信方法を実施するための命令のある1つ以上のモジュールを保持する記憶装置114を含む。受信システム104は、ネットワーク106にアクセスするためのインターフェース118、プロセッサ120、そして送信システム102から受信したファイル116の一部のコピーを記憶し適応型ファイル配信方法に関する命令を実施するための1つ以上の方法を記憶する記憶装置122を含む。受信システム104は、エンドユーザの位置にあってもよいし、何らかの中間ネットワークの位置にあって、例えば複数のエンドユーザへとコンテンツを地理的に近接するように配信するキャッシュモードとして機能するものであってもよいことは当然である。
【0011】
ファイルセグメント108は、ファイル116の一部のコピーである。送信システム102はファイル116のコピーを、図1に示すセグメント108を含むような複数のセグメントへとファイルコピーを分割して受信システム104に送る。複数のセグメントは、ネットワーク106を介して、受信システム104がファイル116の全コピーを受け取るまで一度に一つずつ送られる。各セグメントは、複数の期間の異なる1つの期間で送られる。
【0012】
期間の各々は、ファイルセグメントの1つが伝送される伝送部分と、ファイルセグメントが全く伝送されない待機部分とを有する。待機部分は、送信部分に効果的に間隔をあけ、セグメントが連続した流れのセグメントとして伝送される場合と比べてかなり長い時間をかけてファイルセグメントが伝送される。期間の伝送部分は、巨大ファイルの伝送に伴うネットワーク106のトラフィック負荷に対する有害な影響を著しく小さくするように間隔があけられている。以下に詳述するアプローチに基づき、ネットワーク106のトラフィック負荷がネットワークのトラフィック負荷が比較的大きい場合よりも比較的小さいときには、サイズの大きなファイルセグメントおよび/またはたくさんのファイルセグメントが伝送される。ネットワークトラフィックの軽い時間を少なくとも部分的に利用することで、ネットワーク106のトラフィック負荷に対する有害な影響を減らしながら巨大ファイルを伝送することができる。
【0013】
いくつかの実施例では、受信システム104のユーザはグラフィカルユーザインターフェースを用い、関連する配信期限および別々のコンテンツファイルに対する複数の同様なファイル要求での優先順位を有するファイルを送信システム102に要求する。要求を通して、送信システム102と受信システム104は、受信システムが要求ファイルを受信する権限を有していることを知らされ、また転送設定の詳細について知らされる。適応型ファイル配信で生じるイベントのうちいくつかの概要は、以下に含まれるが、必ずしも以下の順ではない:(1)受信システム104がファイルを要求する、(2)送信システム102が、要求ファイル配信の権限を特定し取得し、ならびにいくつかの実施例ではデジタル著作権管理(DRM)ライセンスを取得する、(3)送信システムの適応型ファイル配信モジュールあるいはモジュール群が、配信期限や、LANのアイドルスケジュールを含むクライアントプロファイル、プロバイダネットワーク106のアイドルスケジュール、ファイルサイズなどの転送の詳細を取得する、(4)受信システムの適応型ファイル配信モジュールあるいはモジュール群が、送信システムの素性(identity)やファイルサイズなどの転送の詳細を取得する、(5)送信システムが要求配信期限を満たすのに必要な最低転送速度ならびにファイルセグメントの転送に許容される最高速度を計算する。いくつかの実施例は、サーバとしての送信システム102とクライアントとしての受信システム104の間の標準的なクライアント/サーバTCP/IPまたはUDP/IPインタラクションに基づくものである。
【0014】
例示的な適応型ファイル配信方法130が図2に示され、送信システム102へのファイル要求と配信期限Tdを送信する受信システム104を含んでいる(ステップ132)。図2に描かれた時間経過は垂直下向き方向に沿っているが、時間経過は図2においては拡張するものとは描かれていない。一般に、伝送期間の待機部分と関連する期間W_j、ならびに伝送期間のセグメント伝送部分と関連する期間dT_jと関連する期間のみが、比較的長い時間の経過を必要とする。図2では描かれているその他の活動でも比較的長い時間がかかっているように見えるが、こうした他の活動には一般に比較的短い時間しかかからず、これらの他の活動に比較的長い時間がかかっているものと示す目的ではなく表現形態上の制限から活動を示すための便宜上、図2の垂直軸に沿って追加的スペースが与えられている。
【0015】
配信期限Tdは、一般に、受信システム104のユーザがそれまでに受信システムにファイル116の全セグメントを受信することを望む時間である。いくつかの実施例では、配信期限Tdはシステム100によって、ある長さ(例えば、ファイルが最初に要求されたか、若しくは伝送が始まった時から、又は別の時から数時間あるいは数日)を持つものとして計算され、そしてその結果、ファイルの総転送速度を、ネットワーク106の全体評価でのあるいはこれまでの最低容量よりも低い、例えば、ある混雑期間またはネットワーク活動の他の期間に経験されたネットワーク容量よりも低い水準まで、効果的に減少するものとできる。次いで、受信システム104は、初期肯定応答(acknowledgement)を送信システム102に送信し、これが送信システムによって送信されるべき第1のファイルセグメントの要求として機能する(ステップ134)。初期肯定応答を受信システム104から受信すると、送信システム102は第1の最高セグメント伝送速度限度Rmax_1および第1の最低セグメント伝送速度限度Rmin_1を決定する(ステップ136)。
【0016】
一般に、最低セグメント伝送速度限度Rminは2つの要素に基づいて送信システム102によって決定される。第1の要素は、送信システム102によってこれから受信システム104へと送られることになっているファイル116の残りの部分のファイルサイズXremである。第2の要素は、決定の現在時間Tnowと配信期限の時間Tdの間で、送信システム102から受信システム104へのファイルセグメントの伝送に利用可能な残り時間の長さである。利用可能な残り時間の長さは、ネットワーク106および/または送信システム102および/または受信システム102のセグメント伝送への利用困難さによって適応型ファイル配信が、特定のファイル伝送における設定可能な下側の転送速度閾値(ゼロ以上とできる)以上で実行不可能な場合に、既知の所定長さの時間Tunavailだけ減らすことができる。
【0017】
こうした利用不可期間Tunavalは一般的に、ネットワーク106および/または送信システム102のビジー期間である。利用不可期間Tunavalは、送信システム102および/または受信システム104のプロファイルに事前設定することができる。あるいは利用不可期間Tunavalは、適応型ファイル配信伝送を含む、以前の伝送の履歴データを調べることで送信システム102および/または受信システム104によって決定されてもよい。例えば、適応型ファイル配信のj番目のセグメント伝送の1つ以上についての実セグメント伝送速度R_jに関する履歴データを調べ、送信システム102および/または受信システム104および/またはネットワーク106のビジー時間を決定することができる。
【0018】
例えば、受信システム104のユーザは、もし受信システムに対する適応型ファイル配信以外のユーザのタスク要求がそうした時間に受信システムに属するネットワーク106の一部に最高のパフォーマンスを必要としているなら、週日毎日午前9時から午前11時の特定の時間帯に適応型ファイル配信をブロックしたがるかもしれない。ブロック期間の間、受信システム104のユーザが受信システムのプロファイルを設定し、転送がこのブロック期間中に、Rmin_j以下の速度などいくらかの最低バックグラウンド速度で進行を許されるかどうか示すことができる。あるいは、ユーザが受信システム104のプロファイルを設定し、このブロック期間にいかなる適応型ファイル配信も受信しないものとできる。受信システム104のユーザが、ユーザが受信システムにファイルセグメントの受信を望まない期間を特定しない場合には、受信システムは、ビジー期間、セグメント伝送速度の変化などの事項について受信システムの使用および受信システムに属するネットワーク106の1つ以上の部分をモニタすることで、こうしたブロックアウト期間を学習することができる。同様にアクセスネットワークプロバイダも、さもなくばプロバイダネットワークが無関係のトラフィックでビジーあるいはほぼ限界となるようなら、適応型ファイル配信を毎日の特定のビジー時間帯にブロックしたがることがあり得る。プロバイダがまた、ネットワークを介しての複数の適応型ファイル配信ジョブを総合最低バックグラウンド速度へと制限したがることもあり得る。
【0019】
賢明なやり方としては、幸運にも実際の実施状況が控え目な予測よりも望ましい状況であった場合に、送信システム102が要求配信期限Tdを満たすのに必要なものより大きくなるよう各最低転送速度Rmin_jの値を控え目に決定するものとできる。この控え目なアプローチから、Rmin_jの計算が通常、残りのファイルサイズとすべての予想アイドル期間に基づき適応型ファイル配信の“ジャストインタイム”での完了を前提としていることが分かる。
【0020】
ネットワーク106は控え目なRmin_j決定に織り込まれていない余剰容量を有することがあるため、適応型ファイル配信は、適応型ファイル配信に関連した全Rmin_jの平均速度のみで行われたセグメント伝送に基づく推定値よりも早く進行することができる。その結果、さまざまな巨大ファイルの実転送の多数が早くに終了するものとできる。Rmin_j推定への控え目なアプローチの使用は、予期せぬネットワーク混雑に対して緩衝時間をもたらし、要求配信期限Tdまでの適応型ファイル配信完了の期待を維持する。もしも予期せぬ混雑のため転送が最低速度スケジュールよりも遅れると、配信期限が近づくにつれ適応型ファイル配信方法は、次に来るj番目のセグメントの各伝送後に、徐々に最低転送速度Rmin_jを上げて自動的に補正を行う。このように次に来る最低転送速度Rmin_jを徐々に上げるのは、優先順位を調整して現在あるいは直ぐに来るジョブより後のジョブを優遇するという直截的なやり方である。ファイルセグメントが送信システムから受信システムへと送られるたびに、Rmin_jは送信システム102によって、あるいは他の実施例では受信システム104によって求められる。
【0021】
j番目の伝送のRminを決定するための例示的な方程式は以下の通りである:
(1) Rmin_j=Xrem_j/(Td−Tnow_j−Tunaval_j)。
【0022】
いくつかの実施例では、送信システム102が推定配信時間に対する最新情報を送ることができ、これはネットワーク106に何らかの遅延イベントが発生するか否かによって要求配信期限Tdと同一、あるいは早い、またあるいは遅いものであってよい。推定配信時間に関して受信システム104を更新し続けることの実際的結果は、この推定配信時間に関する受信システムのユーザからの質問の数を減らすというものである。
【0023】
一般に、最高セグメント伝送速度限度Rmaxは最低セグメント伝送速度限度Rminよりも、他の伝送タスクに割り当てられていない送信システム102の追加余剰伝送容量を含む多数の可能な要素の1つ以上に基づく分だけ大きい。Rmaxに影響を及ぼすように用い得る他の可能な要素は、そのネットワークプロバイダとの役務契約によって決定されるユーザへの最高許容転送速度、最後のセグメントの実測速度または最後のNセグメント群の平均速度、事前設定されたアクセスネットワークプロバイダプロファイル、などを含む。このように最高セグメント伝送速度限度Rmaxは、3つの要素に基づいて送信システム102によって決定される。
【0024】
第1の要素は、既定の最低セグメント伝送速度限度Rminである。第2の要素は、送信システム102の最高伝送速度容量Rcapである。送信システム102の最高伝送容量は、送信システムのインターフェース110の伝送帯域幅容量などの事項によって影響を受ける。
【0025】
第3の要素は、送信システム102がファイル116を受信システム104に伝送するという現在のタスクを考慮するだけでなく、ファイル116が送信されるべき期間に受信システム104あるいはそれ以外の受信システムへと他のファイルの少なくとも一部を伝送するために送信システムが引き受けた他のファイル伝送タスクに関する実行中の他のいかなるジョブをも考慮に入れる。これらの他のタスクの数は“Q−1”と表され、数Qはファイル116の伝送タスクを含む実行中のすべての伝送ジョブを含む。
【0026】
1つのアプローチとしては、送信システム102の余剰伝送容量が伝送タスク群Qに均等に割り当てられるというものが考えられる。このアプローチによれば、ファイル116の伝送タスクへと割り当てられる伝送余剰は、Rcap/Qと伝送タスク群Qの最低セグメント伝送速度限度の平均<Rmin>の差となる。平均<Rmin>はSum(Rmin)/Qと表され、ここでSum(Rmin)は伝送タスク群Qのさまざまな最低セグメント伝送速度限度すべての合計を示している。
【0027】
ファイル116の伝送タスクのj番目のセグメント伝送において、最高セグメント伝送速度限度Rmaxを決定するための例示的な方程式は以下の通りである:
Rmax_j=Rmin_j+Rcap/Q_j−Sum(Rmin)_j/Q_j。
【0028】
方程式2で計算されるRmax_jは、Rmin_jと等しいかそれ以上の値に制限されることが分かる。
【0029】
方程式2は、送信システム102が執る方策の一例であるが、Rmaxの計算には他の方策決定も等しく採用し得る。例えば、代わりのアプローチは余剰回線容量を等しくシェアせず、代わりに選択された伝送ジョブを優先する。例えば、特定のジョブに一時的に余剰伝送容量を与えるために、送信システム102が混雑測定値を用い、最高割当速度を活用することが不可能なジョブのRmaxを減少させてもよい。
【0030】
方程式2に加えさらに、Rmax_jが、ネットワーク106で検出された混雑へとさらに反応することを目的としたさらなる多数の制約を受け得ることが分かる。ファイル116の転送タスクのj番目のセグメントにおいて、最高セグメント転送速度限度Rmaxを決定するためのさらなる例示的な方程式(2a)は以下の通りである:
(2a) Rmax_j=H(R_(j−1))*Rmax_j
ここで方程式2a右側のRmax_jは、上記の方程式2で算出されたものであり、またここでR_(j−1)は、先に送信されたセグメントの実測速度、あるいはそれが第1のセグメントの場合ゼロである。例えば、
(2b) H(R_(j−1))=(R_(j−1))/Rpeak)**n、でありn=2、3、……
ここでRpeakは、所与の受信システム104に対して一貫して許容された最大値であり、例えば、受信システムのネットワーク106によって執り行われる。方程式2bに見られるような測定速度Rへの他の関数従属や他の混雑検出メトリクスも可能であり、ネットワーク106のオペレータによる時間帯別設定プロファイル、ネットワーク106の混雑検出エージェントのフィードバック、などを含む。
【0031】
ステップ136での第1の最高セグメント伝送速度限度Rmax_1および第1の最低セグメント伝送速度限度Rmin_1の決定後、送信システム102は第1の伝送を伝送し(ステップ138)、これはファイル116の第1のセグメント、Rmax_1およびRmin_1の値、および第1の伝送が送信システムから送信された時間を指示するタイムスタンプを含む。第1の伝送は、以下に詳述するように待機部分も含んでいる第1の期間の、伝送部分である。
【0032】
第1のセグメントX_1のファイルサイズは所定のデフォルト値である。一般に、ファイルセグメントは多数のより小さいファイルサブセグメント部分からなる。いくつかの実施例では、送信システム102から受信システム102へ伝送されるべきファイルは、固定サイズの連番付きサブセグメント部分からなるセグメントへフォーマットされて、送信システムの記憶装置114に記憶されている。こうした実施例では、サブセグメント部分のサイズは変化しないが、サブセグメント部分からなる個々のセグメントは異なる数のサブセグメント部分を含むことで異なるサイズを持つことができる。サブセグメント部分は、一般的に最小の実用的価値を有する、所定の伝送容量を有するネットワークによって送信可能なファイルの最小部分となるサイズと出来る。
【0033】
送信システム102からの第1の伝送の受信時に、受信システム104は、(1)第1の伝送の実伝送速度R_1、(2)第1の伝送の有効伝送速度[R_1]、そして(3)第1の伝送に関係する全期間の第1の待機部分の時間長さW_1、に関する多数の決定を行う(ステップ140)。
【0034】
第1の伝送の実伝送速度を決定する際、受信システム104は、受信システムによって測定される第1の伝送の完了時間と、受信システムによって受信された第1の伝送に見つかるタイムスタンプによって示される第1の伝送の開始時間との間で、時間差dT_1を決定する。時間差dT_1は受信システム104によって、第1の伝送の伝送時間として用いられる。
【0035】
受信システム104は、第1の伝送時に含まれているデータから、第1の伝送で送られた第1のセグメントのセグメントサイズX_1を測定するかあるいは読み取るかする。受信システム104はこのとき、j番目の伝送について以下の一般方程式によって、第1の伝送の実伝送速度R_1を計算可能である:
R_j=X_j/dT_j。
【0036】
受信システム104はそして、第1の伝送の有効伝送速度[R_1]を決定し、送信システム102および送信システムが知るところのネットワーク106に関しての現在の状況に対応する。一般に、有効伝送は、セグメントと関係する期間の総長によって分割されたセグメントのファイルサイズである。この上述の期間は、セグメント伝送部分と待機部分を含む。待機部分がゼロの長さであれば、このとき有効伝送速度は実伝送速度と等しく、これはもしRmaxを超えていれば、巨大ファイルの伝送あるいはかなりの大きさのファイルのマルチキャスト伝送に際して、おそらくネットワークに有害な影響を及ぼすものである。実伝送速度よりもかなり小さく且つRmaxと一致した有効伝送速度を選択することによって、受信システム104は、巨大ファイルの伝送あるいはかなりの大きさのファイルのマルチキャスト伝送によるネットワーク106への有害な影響を、減らすかあるいは事実上なくすことができる。
【0037】
いくつかの実施例では、ネットワーク106は、インターネット、地域ネットワーク、および受信システム104を提供するローカルネットワークを含むような部分からなるものとできる。第1の伝送の実伝送速度R_1の決定値、ならびに第1の伝送に含まれる送信システム102のネットワークプローブやステータス情報など、他の装置から与えられる可能性のあるステータス入力を考慮して、受信システム104は、受信システムに既知のいかなるステータス情報にも適切な第1の伝送の有効伝送速度[R_1]を選択する。
【0038】
第1の伝送の決定された実伝送速度R_1および他の可能性ある入力を用いることで、受信システム104は、送信システム102と受信システムの間の混雑に、たとえ混雑がどこに位置しようとも対応することが可能である。例えば、受信システム104に属するネットワーク106の一部が無関係なトラフィックでビジー、あるいは受信システムに未知のステータスにある場合、受信システムは、第1の最低セグメント伝送速度限度Rmin_1と等しい第1の伝送の有効伝送速度[R_1]を選択することができる。第1の最低セグメント伝送速度限度の選択により、まだ配送期限Tdを満たしながら、ネットワーク106には最小の影響しか及ぼさなくなる。
【0039】
一方、ネットワーク106が事実上アイドル状態にあることが、受信システム104に既知であれば、受信システムは、第1の最高セグメント伝送速度限度Rmax_1と等しい第1の伝送の有効伝送速度[R_1]を選択することができ、これは他に何らかのネットワークトラフィックが存在していても小さなものに過ぎないため、ネットワークには有害な影響を及ぼすことがない。一般的には、ネットワーク状態および送信システム102のそれは中間的な状態にあり、この状態が受信システム104に既知であると、受信システムは第1の最低セグメント伝送速度限度Rmin_1と第1の最高セグメント伝送速度限度Rmax_1の間で、第1の伝送の有効伝送速度[R_1]を選択する。
【0040】
受信システム104はまた、適応型ファイル配信を完全に休止させるか、j番目の伝送に対する最低セグメント伝送速度Rmin_jの値さえよりも低い速度でj番目の伝送に対して有効伝送速度[R_j]で続行し、他の適応型ファイル配信や、ネットワーク106および/または送信システム102および/または受信システム104の他の活動に対応することもできる。例えば、いくつかの変形例では、受信システムによってシェアされるローカルエリアネットワークに付随したソフトウェア混雑検知エージェントによって、受信システムが、ローカルエリアネットワークが無関係なネットワークトラフィックによって混雑し始めているとの通知を受け、このとき受信システムが適応型ファイル配信を休止または有効伝送速度を減少させることができる。受信システム104が、j番目の伝送の有効伝送速度[R_j]をj番目の伝送の最低セグメント伝送速度Rmin_j以下に調整した場合、送信システム102は残りのファイルサイズおよび配信期限に基づき、j+1番目のセグメント伝送に対して段階的により大きい最低セグメント伝送速度Rmin_j+1を再計算する。その結果、セグメント伝送のペースは、予期せぬネットワーク混雑や伝送の中断に対応しやすい。他の実施例では、j番目の伝送に対する有効伝送速度[R_j]の選択が、関連する特定の伝送に対する最低セグメント伝送速度限度と最高セグメント伝送速度限度の間に常に留まるように要求することができる。
【0041】
受信システム104は、有効伝送速度の選択によりセグメント伝送のペースを調整し、送信システム102および/または受信システム104および/またはネットワーク106で変化する状況を受け入れる適応速度で、送信システム102からファイル116のコピーを転送する。第1の伝送の実伝送速度R_1の値およびその他の可能性ある入力を利用することで、受信システム104は有効伝送速度に関して賢明な選択をなすことが可能である。こうした適応型ファイル転送方法によって、セグメント伝送が、送信システム102から受信システム104へのエンドツーエンド下り回線接続容量に関して、事実上の探測(sounding)システムとして利用される。適応型ファイル配信システム100はそして、混雑の場所に関係なく、送信システム102と受信システム104の間の混雑に対応できる。
【0042】
受信システム104による第1の伝送の有効伝送速度[R_1]の選択に基づき、第1の伝送に関係する全期間の第1の待機部分の時間長さW_1が、j番目の伝送に関する以下の一般方程式によって得られる:
W_j=X_j/[R_j]−X_j/R_j。
【0043】
ステップ140の一部として、受信システム104はまた、送信システム102によって送信されるべき次のセグメント、すなわち第2のセグメントサイズX_2を有する第2のセグメント、のサイズを計算する。そのため受信システム104は、ネットワーク106がセグメント伝送において定常状態に達するための所要時間に所定の一般値Tssを用いる。例えば、TCP環境では、Tssはおよそ5秒に等しい。以下の一般方程式によって第1の伝送の実伝送速度R_1にTssが掛けられ、X_2が得られる:
X_j+1=R_j*Tss。
【0044】
また、1つのファイルからその次への順次転送の実伝送速度における変わりやすさが、X_(j+1)の計算に望ましからざる変動を引き起こすかもしれないことが例示される。これを避けるための実用的方法の1つは、実転送速度Rの最後のNサンプル群のスライディングウィンドウ平均を用いることである。
【0045】
第1の伝送に関係する全期間の第1の待機部分の時間長さW_1を待機してから(ステップ142)、受信システム104は、第2のセグメントサイズX_2を含んだ第1のセグメント肯定応答を送信システム102へと伝送する(ステップ144)。
【0046】
そして送信システム102は、方程式(1)を用いて第2の最低セグメント伝送速度限界Rmin_2を、方程式(2)を用いて第2の最高セグメント伝送速度限度Rmax_2を決定する(ステップ146)。送信システム102は第2の伝送で、第2のセグメントサイズX_2を有するファイル116の第2のセグメントを伝送する(ステップ148)。送信システム102はまた、Rmax_2、Rmin_2の値を伝送し、第2の伝送が送信システム102から送信された時間を示すタイムスタンプを伝送する。
【0047】
第2のセグメント受信の際に、受信システム104は、第2のセグメント伝送の所要時間dT_2を計算し(ステップ150)、第2のセグメントサイズX_2の値を用いて第2のセグメントの実伝送速度R_2を方程式(3)から決定する。またステップ150で受信システム104は、上述のように既知のネットワークトラフィック状態に基づき第2のセグメントの有効伝送速度[R_2]を選択し、そして方程式(4)によって第2の伝送に関係する全期間の第2の待機部分W_2を決定する。受信システム104はそして、方程式(5)によって第3のセグメントサイズX_3を決定する。
【0048】
第2の伝送に関係する全期間の第2の待機部分W_2を待機してから(ステップ152)、受信システム104は、第3のセグメントサイズX_3の値を含む第2のセグメント肯定応答を送信する(ステップ154)。
【0049】
その後、送信システム102は、ファイル116の最後のn番目のセグメントがn番目のセグメント伝送において受信システムに、要すればファイル終了の指示を含んで送信されるまで(ステップ156)、上述の手順にしたがってファイル116の残りのセグメントを受信システム104へと送信する。
【0050】
適応型ファイル配信はこのように進行し、適応型ファイル配信が完了するまで受信システム104によってペース調整される。適応型ファイル配信が立ち往生したりネットワーク故障で途絶させられるなどの不運な事態においては、適応型ファイル配信を中断の時点から再開し回線容量の無駄遣いを最小あるいは防止するために、受信システム104が転送状態を不揮発性メモリなどの記憶装置122に保持する。受信システム104は、例えば、記憶装置122に記憶されたモジュールにありプロセッサ120によって実行されるようなカウントダウンタイマを継続することで、立ち往生したセッションを検知する。
【0051】
カウントダウンタイマは、受信システム104が送信システム102へと最初の要求を行ったときに動き出すものとできる。送信システム102はそして、カウントダウンタイマがリセット後に期限切れとなるたび、所与の回数繰り返すまで対応型ファイル配信要求を繰り返すことができる。カウントダウンタイマのリセットごとに、期限切れまでのカウントダウン時間は、指数因子などの大きな因子によって延ばされ、それに応じて受信システム104による追加要求の間隔を空けるものとできる。適応型ファイル配信を求める受信システム104による最終要求が終わると、受信システムはここで特定の対応型ファイル配信セッションの立ち往生を宣言し、そして適応型ファイル配信の継続のため、もし利用可能であれば、送信システム102の第2候補への接続を試みる。受信システム104が送信システム102の第2候補と交信できなかった場合は、それを過ぎると特定の適応型ファイル配信ジョブが受信システムによって終了させられ、ファイル116の受信システムに記憶された部分が消去され、受信システムユーザへの通知のためエラーが記録されることになる配信期限Tdが過ぎるまで、受信システムは、利用可能なリストに上がっている多数の送信システムの1つに断続的に交信を試み続けることができる。
【0052】
n番目のセグメントはファイル116の最後のセグメントであるため、いくつかの実施例では、受信システム104は、n番目のセグメントの実伝送速度R_nやn番目のセグメントの有効伝送速度[R_n]などに関する決定を行わず、n番目の伝送に関する待機部分W_nを実行することなく送信システム102にn番目のセグメントの肯定応答を送信する(ステップ158)。
【0053】
適応型ファイル配信システム100の例示的な実施例の第1の集合300が図3に示されており、送信システム102の一例はアプリケーションサービスプロバイダ302へ通信可能にリンクされ、これはインターネット304に通信可能にリンクされ、これはさらに地域データノード306に通信可能にリンクされている。送信システム102の他の例は、地域データノード306に直接通信可能にリンクされている。地域データノード306は、地域ネットワーク308に通信可能にリンクされ、これは配信ハブ310に通信可能にリンクされ、これはハイブリッドファイバケーブルネットワークなどのネットワーク312に通信可能にリンクされている。
【0054】
デジタルビデオレコーダとしての受信システム104の一例は、セットトップボックス314を介してケーブルネットワーク312に通信可能にリンクされている。デジタルビデオレコーダおよびポータルメディアセンタとしての受信システム104の他の例は、ケーブルモデム316およびローカルエリアネットワーク318を介してケーブルネットワーク312に通信可能にリンクされている。いくつかの実施例では、混雑検知エージェント319がローカルエリアネットワーク318に通信可能にリンクされ、いつファイルセグメントの伝送を行うかの調整のため、ローカルエリアネットワークでのネットワークの活動およびネットワークの混雑に関して送信システム102または受信システム104に報告を行う。例えば、混雑検知エージェント319またはローカルエリアネットワーク318に通信可能にリンクされた複数の同様なエージェントは、受信装置104への適応型ファイル転送に無関係なネットワーク活動に関する報告を引き起こすため、最低スループット閾値を定めることができる。あるいは、受信システムが報告をローカルエリアネットワーク318の設定されたピーク容量あるいは測定されたピーク容量と比較することでローカルエリアネットワークの混雑を決定できるように、ネットワーク活動に関する報告が、混雑検知エージェント319によって見られ、受信システム104に報告されるローカルエリアネットワーク318の出入口トラフィック活動の指標を含むこともできる。さらに当然ながら、いくつかの変形例では、スループット閾値を超え受信システム104への報告を引き起こした後、混雑検知エージェントは、それが測定するネットワーク活動がトリガ閾値よりデルタだけ低くなるまで報告メカニズムを再作動させず、測定されたネットワーク活動がトリガ閾値のすぐ上下を行きつ戻りつしている際に過剰な報告が受信システムに送信されるのを防ぐことものとできる。
【0055】
いくつかの変形例では、例えば図3に示される配信ハブ310や地域ネットワーク308やインターネット304に通信可能にリンクされた1つまたは複数の混雑検知エージェント319が、送信システム102に、ネットワーク活動の測定報告を提供するか、又はネットワークの混雑を合図することができる。これらの混雑検知エージェントは、いくつかの変形例では送信システム102に、他の変形例では受信システム104に、報告を行い、ネットワーク106の特定地点でのネットワーク活動を合図する。
【0056】
適応型ファイル配信システム100の例示的な実施例の第2の集合400が図4に示されており、送信システム102の一例は地上局402へ通信可能にリンクされ、これは公衆交換電話網(PSTN)404に通信可能にリンクされ、これは電話局406に通信可能にリンクされ、これは加入者回線408に通信可能にリンクされ、これは非対称型デジタル加入者回線(ADSL)装置412などの加入者宅内機器を介するなどして通信可能にリンクされる。
【0057】
地上局402はまた衛星送信システム414に通信可能にリンクされ、これは信号416を衛星418へと送信し、これは信号422を受信基地422へとリレーし、これは加入者宅内機器412に通信可能にリンクされる。デジタルビデオレコーダやポータブルメディアセンタとしての受信システム104の例は、ローカルエリアネットワーク424を介して加入者宅内機器412に通信可能にリンクされている。地上局402はまた、セルラーネットワーク430に通信可能にリンクされ、これはパーソナル無線装置としての受信システム104の一例に無線信号432を送信する。
【0058】
受信システム104は特定の実施例として描かれているが、他にも多数の実施例が同様に、オーディオ出力および/またはビデオ出力および/またはその他の出力を介して巨大ファイルおよび巨大ファイルの出力コンテンツを受信するのに利用できる。一般に、アプローチはクライアント/サーバモデルを実施可能であり、そこでは受信システム104がクライアント、送信システム102がサーバである。しかしながら、他のモデルを用いる他のアプローチも利用可能である。
【0059】
ネットワーク106に関してさまざまな実施例が描かれてきたが、他にも多数の実施例が同様に利用できる。例えば、送信システムを受信システムに通信可能にリンクさせるネットワーク106の基本配信構成を変えず、送信システム102が代わりに、受信システム104のローカルアクセスネットワークに配置されていてもよい。
【0060】
適応型伝送システムおよび方法は、本質的に非常にスケーラブルである。適応型伝送システムおよび方法は、送信システム102の1つ以上の多数の例(instance)のそれぞれにおいて実行中の、同時存在する多数の適応型伝送方法の例をサポートするように拡張可能である。同時存在する多数の適応型伝送方法の例を実行することで、送信システム102のそれぞれは巨大ファイルを多数の受信システム104へと送信できる。一般に、多数の送信システム102の例は、別個の地域設備に配置され、同時実行中の適応型ファイル伝送方法の例を介した多数の受信システム104の例への巨大ファイル送信をサポートしている。送信システム102のこれらの集合または他の種類の集合は、ネットワーク106の中央位置に配置してもよいしネットワークに分散させてもよい。送信システム102のさまざまな構成要素は、同一のハードウェア装置に配置されてもよいし、さまざまなハードウェア装置に分散させてもよい。また、巨大ファイルのさまざまなセグメントを送信システム104のさまざまな例に分散させてもよいし、同じ巨大ファイルのさまざまな例が送信システム104のさまざまな例に記憶され、送信システム104のさまざまな例を含むファイル伝送システム100全体が、変動するネットワークトラフィック負荷にしたがってネットワーク106の経路を使って受信システム102へと巨大ファイルのセグメントを送信できるようにしてもよい。例えば、巨大ファイルのさまざまなセグメントが送信システム104のさまざまな例から送信され、必要ならセグメント伝送ごとを基準とした、最新あるいはほぼリアルタイムのモニタリングおよびフィードバックなどの支援要素を活用して、ネットワーク106の既に混雑した部分に対する影響を減らすようにすることができる。送信システム104の例の負荷分散を実施し、ネットワーク106への全回線容量での影響を減らし、ネットワーク資源を有効利用することが可能である。送信システム104が最大容量であるかどうかを判断するためのアプローチの1つは、他のファイル転送ジョブに対して関連する最低転送速度Rminで送信システムが対応可能かどうか確かめることである。
【0061】
上述の混雑検知エージェント319あるいは他の混雑検知エージェントや探測エージェントを含むようなさらなるモニタリングシステムおよび方法を用いて、受信システム104によるj番目の待機時間W_jの測定を精緻化してもよい。例えば、受信システム104のために適応型ファイル配信方法の一部を実施するためのコードを含んだ1つ以上のモジュールが、受信システム104に属するネットワーク106の一部を送信システム102に近接するネットワークの別の部分へと通信可能にリンクするゲートウェイ装置にあってもよい。
【0062】
一例として、そのようなモニタリングシステムをホスティングするゲートウェイ装置は、ケーブル、DSLモデム、LANスイッチ、ルータ、ハブを含むものとできる。ゲートウェイのソフトウェアエージェントは、インターネットや他のローカルネットワークの使用をモニタできる。ゲートウェイのソフトウェアエージェントは、送信システム102と受信システム104の組み合わせの1つ以上に特有な適応型ファイル配信伝送と関連しない、いかなるネットワークトラフィックであってもモニタできる。受信システム104に属するローカルネットワークトラフィックがソフトウェアエージェントによって通知されると、受信システム102のクライアントは、ローカルネットワークの一部が再び他のセグメント伝送に無理なく適応するまで、上述のように進行中のセグメント伝送を遅延もしくは停止させることで適切な行動を取ることができる。適当なタイマと使用量下限を定め、時間あたりの使用量を平均(例えば5分および10kbps)し、閾値以下の些細なバックグラウンド活動を無視することもできる。
【0063】
あるいは、ソフトウェアエージェントが受信システム104に属するネットワーク106の一部にあるコンピュータワークステーションにインストールされ、インターネット部分などのネットワークの他の部分での活動がセグメント伝送には受け入れがたいほどのビジー状態にあるとワークステーションの1つによって検知されたときにこれを発見し、ネットワークのローカル部分を介して受信および/または送信システム102へと報告するものとできる。
【0064】
あるいは、2ポートイーサネット(登録商標)ハードウェア/ソフトウェアモジュールなどの装置を受信システム104に属するゲートウェイまたはブロードバンドモデムと直列にインストールすることもできる。この装置は、そこを通るすべてのトラフィックをモニタし、インターネット活動など、送信システム102から受信システム104へのセグメント伝送とは無関係な、ネットワーク106の1つ以上の部分における活動について報告を行うことができる。
【0065】
適応型ファイル配信方法の各セッションは、実際の転送パフォーマンスをモニタし報告することで配信される各ファイルセグメントのアクセスネットワークの混雑を精査し、対応することが可能である。これに加え、ネットワーク106に関する容量/混雑問題の全体視野を、ネットワークのアクセス部分をわたって戦略的に配置され送信システム102に報告を返すソフトウェア探測エージェントによって随意に増大することができる。これらの探測エージェントは、全総合回線容量と残り容量についての局所的眺望を知らせることができる。例えばDSLネットワークでは、これらのネットワーク活動を測定する探測エージェントをDSLアクセスマルチプレクサ(DSLAM)に配置することができ、ケーブルネットワークでは、これらを各ケーブルモデムターミネーションシステム(CMTS)に配置することができ、第三世代携帯電話では、これらを基地局やアクセスサービスノードゲートウェイに配置することができる。送信システム102はこうして追加情報を有し、いかなるときでもネットワーク106を介してあるいは特定の部分へ配信されるトラフィックセッションの総量を抑制するために、特定のアクセスプロバイダまたはネットワーク106の他の部分についてのポリシープロファイルを精緻化することができる。例えば、この抑制は、時間帯やネットワーク106の利用可能な余剰容量のパーセンテージに基づき実施される。
【0066】
適応型ファイル配信システム100の実施例500が図5に描かれており、受信システム104がプロファイル503を更新し(ステップ502)、プロファイルを送信システム102へと送信している(ステップ504)。実施例500のいくつかの変形例では、断続的または他の連続的なやり方で、プロファイル503が更新され、送信システム102に送信されるものとできる。プロファイル503は最初空か何らかのデータが予め入っているが、だがやがてプロファイルのデータは通常、以下に詳述する受信システム104の1人以上のユーザによる観察に従って、更新され精緻化される。送信システム102は、受信システム104へ送信されるべきプロファイル503との関連に従って、2次的ファイル507を選択する(ステップ506)。2次的ファイル選択とプロファイル503間の関連付けは、広告および/または販売戦略など、所定の、さもなくば入手した戦略に基づき、さまざまなやり方のどれかで行うことができる。
【0067】
実施例500のいくつかの変形例では、送信システム102が受信システム104に通知509を送信する(ステップ508)。受信システムが2次的ファイルを要求したわけではないため、通知509は受信システム104に、送信システム102が選択した2次的ファイル507を適応型ファイル配信を介して受信システムに送信しつつあることを通知する。一定期間にわたり送信システム102は、送信システムによって開始された適応型ファイル配信(ステップ510)を介して、2次的ファイル507を受信システム104に送信する。送信システム102および/または受信システム104は、2次的ファイル507のどのコンテンツが受信システム104に記憶されたかを記録する。
【0068】
実施例500のいくつかの変形例では、2次的ファイル507を記憶するための記憶装置122のスペースが綿密に精査され、最小限に抑えられ、期限切れの2次的ファイルはすぐに削除される。他の実施例では、削除管理は受信システム104のユーザに一任するものとできる。そして受信システム104は、受信システムによって要求され受け取られた他のファイルと混合された2次的ファイルを再生する(ステップ512)。
【0069】
実施例500の変形例は、リッチメディアコンテンツを有する広告および他のメッセージとしての2次的ファイル507の、受信システム104の記憶装置122へのキャッシングに用いることができる。キャッシュされた2次的ファイルはその後、映画、音楽、テキスト、ゲーム、などの形態を有する娯楽、教育、あるいはそれ以外のコンテンツを有するファイルなど、受信システム104によって要求された要求ファイルの再生に挿入され、再生されるものとできる。実施例500の変形例は、例えば定期視聴(subscription)やペイパービューに加え、財務収益モデルに用いることができ、オペレータとコンテンツオーナーは消費者へのメディア提供コストを削減および/または彼らのサービスの収益性を増すためにそれを使用できる。第三者はオペレータに資金を支払い、実施例500の2次的ファイル507の適応型ファイル配信を介して、受信システム104のユーザへ第三者のメッセージを送ることができる。
【0070】
広告および他のメッセージコンテンツは、適応型ファイル配信を配信期限有りの、またいくつかの変形例では、さもなくば受信システムによって要求されたコンテンツを受信システムが受信しない期間中、配信期限無しのバックグラウンド転送として用いて、実施例500を介して、受信システム104に送信される。いったん受信システム104に記憶されると、実施例500を介して送信された2次的ファイル507は、例えば映画などの要求ファイルの再生前、再生中、あるいは再生後に挿入される。例えば、娯楽コンテンツの再生前、再生中、あるいは再生後に、受信システム104は、その娯楽コンテンツのために再生されている要求ファイルの再生を一時停止することで、広告ファイルなどの2次的ファイル507の1つ以上にアクセスし再生することができる。受信システム104が2次的ファイル507の再生の機会を検知する方法は、フェードトゥーブラック効果や他のプログラムマーカー効果をもたらす娯楽コンテンツにはっきり埋め込まれた信号など、従来の放送産業の慣習と同様のアプローチで行うことができる。再生される2次的ファイルのコンテンツは、プロファイル503に基づき受信システム104によって選択されるものとできるが、ランダムでもよいし、および/または再生装置の種類、および/または時間帯、および/または再生される娯楽または他のコンテンツの種類、および/または要求されたファイルコンテンツの種類、および/またはユーザログオンID、および/またはその他の基準に基づくものでもよい。
【0071】
2次的ファイル507のコンテンツは、2次的ファイル507の適応型ファイル配信以前に受信システム104から送信システム102に送られたプロファイル503に記憶されている特定の消費者データに適合させることが可能である。プロファイル503のデータは、受信システム104によって、要求ファイルコンテンツの種類、オンライン注文の癖などと関連付けられる。広告に用いた場合、2次的ファイル507は、要求ファイルと共に受信システム104に記憶される。受信システム104のユーザは潜在的顧客であるため、これら潜在的顧客のプロファイルに合わせての2次的ファイル507のコンテンツの調節は、2次的ファイルに含まれる広告効果を増し、より特定の視聴者向けとなるのに役立つことができる。
【0072】
プロファイル507のコンテンツは、受信システムユーザの身分証明および/またはインタラクティブブラウザインターフェースを介したオンライン注文に関する記録などの購入記録を含むが、これに限定されるものではない。他のデータは、娯楽コンテンツ記述(タイトル、ジャンル、など)、再生日、ユーザ嗜好調査からの蓄積データ、購入癖、公表された関心事、広告コンテンツが何度再生されたか、などの記録を含むものとできる。適応型ファイル配信システムの他の実施例と同様、記憶装置114を含む送信システム102は、一緒にネットワーク化されているが地理的には別々の1つ以上の大容量記憶装置を含むことができることが分かる。
【0073】
適応型ファイル配信システム100の実施例600が図6〜11に描かれている。実施例600によって、ユーザ602は、受信システム104と別にあるいはその一部として配置され、送信システム102から受信システムへと適応型ファイル配信を介して送信されるべきさまざまなファイルの配信期限や配信順を調査したり、優先順位を付けたり、処理したりするなどの機能を果たすコンピュータワークステーション、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ゲーム機、あるいは他の装置などの入力装置604を使用することができる。他の実施例の場合と同様、送信システム102は1つ以上の物理装置とでき、これらは通常の商業ネットワーク設備を用いて一緒にネットワーク化されているが地理的には別々のものとできる。
【0074】
実施例600の変形例は、ファイルの選択、配信そして再生など、互いに大きく離れた別々の時間に発生するさまざまな活動を含む。ユーザ602は入力装置604を介して、配信されるべきファイルの選択、配信期限、および配信の優先順位および/または順番をコントロールできる。
【0075】
実施例600は、さまざまな形態の適応型ファイル配信によって、配信されるべきファイルの配信および配信ステータスをコントロールする。実施例600のシステム要求および目標のいくつかの態様は、消費者への購入物品の物理的郵送との類似性に基づきある程度理解できる。一方、実施例600の他の態様は、例えば、最終期限に間に合うようなデジタルコンテンツの電子配達に関して特有のものである。例えば、実施例の例示的な態様の1つは、コンテンツファイルの受領を含み、ここで受領は一度きりの出来事ではなく、間隔をあけ時間内に分散している。態様は、メディアコンテンツファイルなど、関連した配信期限を有するファイルの適応型ファイル配信の間に実施例600とやりとりを行うユーザ602に関連する。
【0076】
図6に描かれるように、ユーザ602は入力装置604を使用し、これは無線、有線、ネットワーク、電話、あるいは他の通信媒体を介して送信システム102に通信可能にリンクされている。入力装置604は、一種のブラウザタイプアプリケーションを操作し、ユーザ602がメディアコンテンツファイルなどの適応型ファイル配信に利用可能な送信システム102に記憶されたファイルを閲覧する(ステップ606)のを助けるものとできる。
【0077】
図7に描かれるように、ユーザ602は入力装置604を介して随意に、既に受信システム102へと配信されており集合的にユーザの既存の個人メディアコンテンツライブラリを形成可能なコンテンツファイルを見ることができる。ユーザ602は入力装置604を用い、受信システムに配信されるべき新たなコンテンツファイルに十分な記憶領域があるように、受信システム104に記憶された特定のコンテンツファイルの削除指示を行うこと(ステップ610)を随意に選択できる。
【0078】
図8に描かれるように、ユーザ602は入力装置604を用いて、配信用に1つ以上のメディアコンテンツファイルを選択できる(ステップ612)。実施例600の変形例では、選択ファイル配信の当初の順番は、ファイルが選択された順番に基づき生成される。図9に示されるように、ユーザ602は選択メディアコンテンツファイル配信の当初の順番について随意に、希望通りに優先順位を見直すことができる(ステップ614)。
【0079】
図10に描かれるように、送信システム102は、保留中の適応型ファイル配信の予想配信期限を計算する(ステップ616)。送信システム102の予想配信パフォーマンスは、表示および/または入力された配信優先順位、ユーザ602の申し込みプロファイル、記憶された過去のネットワーク配信パフォーマンスデータ、および送信システムが取得した現在のネットワーク状態に基づくものとできるが、これに限定されるものではない。
【0080】
いくつかの変形例では、送信システム102がユーザに、予期せぬネットワーク減速および/または故障を考慮して多少の追加時間デルタをプラスした予想配信期限の合計から送信システムによって計算された配信期限を提示するものとできる。
【0081】
他の変形例では、送信システム102がユーザに、選択された配信期限が送信システムによって多少の追加時間デルタをプラスして計算された予想配信期限越える限り、配信期限の選択を許すものとできる。これらの変形例では、システム100が、ユーザの選んだ配信期限の長さに応じて、ユーザを記録し、ユーザに課金するものとできる。
【0082】
実施例600のいくつかの変形例では、最も優先順位の高いファイルの配信が最も早く起こり、次に優先順位の高いものが続き、これが繰り返す。この予想配信期限計算の結果は、入力装置604を介してグラフィックおよび/またはテキスト形式でユーザ602へと提示されるものとできる。実施例600のいくつかの変形例では、ユーザ602が配信計算結果を承諾し、さらに適応型ファイル配信を始めるものとできる。
【0083】
図11に描かれるように、実施例600で適応型ファイル配信が起きると、送信システムが入力装置604を介して、適応型ファイル配信と関連した配信スケジュールを表示し(ステップ618)、ユーザ602が配信スケジュールを編集可能となる(ステップ620)。表示配信スケジュールの編集によって、保留中の1つ以上の適応型ファイル配信の優先順位を、再優先順位付けまたはキャンセルできる。
【0084】
実施例600のいくつかの変形例では、ファイル配信が、配信ファイルの一部分において予め選択した特定のポイントを超えて進行すると、何らかのサービスペナルティ無しにはユーザ602は注文のキャンセルを許されないものとできる。コンテンツファイルの新たな選択は、入力装置604に表示された配信スケジュールへと追加され、同様にユーザ602によって再優先順位付けされるものとできる。
【0085】
再優先順位付け後、送信システム102は再び、保留中の適応型ファイル配信の新たなスケジュールを計算し(ステップ616)、ユーザ602に対し、新たに計算されたスケジュールを入力装置604上に表示する(ステップ618)。一連の、表示された配信スケジュールの編集、編集されたスケジュールの再計算、そして再計算されたスケジュールの表示は、特定の最大部分を超えて既に部分配信されてしまったファイルのキャンセルといった何らかのサービスペナルティを伴うなら、ユーザ604が望むだけ繰り返すことができる。
【0086】
実施例700は図12〜14に描かれ、個人コンテンツライブラリなどのユーザ向けにカスタマイズされたメディアコンテンツのライブラリを考慮に入れたものである。個人コンテンツライブラリは、ユーザの自宅または職場において、受信システム102、あるいは受信システムに加えてデジタルビデオレコーダ(DVR)などの大規模記憶可能装置、ポータブルメディアセンタ(PMC)、ネットワーク接続記憶装置、PC、携帯電話など、受信システムに関連および/または通信可能にリンクされたさまざまなコンテンツ記憶装置に局所的に記憶されるものとできる。ユーザ602は3つの段階:メディアファイルの選択、選択されたメディアファイルの適応型ファイル配信、そして配信されたコンテンツの再生、で実施例700とやりとりを行う。
【0087】
図12に描かれるように、ユーザ602は入力装置604を用い、送信システム102からファイルを選択し注文する(ステップ702)。ファイル注文は、注文の時点でか、申し込みプランによってか、定期請求に累加されるか、あるいは他の取り決めによる金銭取引を伴うものとできる。ユーザによるファイル選択および注文は、入力装置604によってサポートされており、これはウェブブラウザを介したプレゼンテーション、あるいはメディアカタログなどファイルリストの他のプレゼンテーション表示を提供できる。各ファイル選択は、送信システム102によって計算され管理される配信期限と関連している。
【0088】
図13に描かれるように、送信システム102は、選択コンテンツファイルである注文ファイル704のさまざまなユーザ602の受信システム102への適応型ファイル配信を管理し、各受信システム104にメディアファイルの個人コンテンツライブラリ706を作る。
【0089】
あるいは、注文ファイル704の適応型ファイル配信を受信システム104の1つに対して行い、1つだけの主要個人コンテンツライブラリ706を作ってもよい。同様に、受信システム104を複数の装置に通信可能にリンクさせ、配信されたファイルをより小型の個人コンテンツライブラリ706群に記憶および/または再生してもよい。
【0090】
図14に描かれるように、メディアファイルがひとたび受信システム104へ配信され個人コンテンツライブラリ706を作ると、個人コンテンツライブラリの選択されたファイル708が、受信システム104の一部としてのあるいはそれとは別の再生装置712で再生できる(ステップ710)。ファイルはひとたび個人コンテンツライブラリ706に納まると、配信ネットワーク106や送信システム102とのさらなるやりとり無しで、望むがままに再生可能である。個人コンテンツライブラリ706内のファイルの再生はこうして、ネットワーク106および/または送信システム102の経験する悪条件から切り離すことができる。
【0091】
実施例700の変形例は、遠隔注文に利用され、消費者がブラウザを介して遠隔オンラインショップサーバシステムとしての送信システム102とやりとりを行い、映画などの大きなメディアファイルを将来的に、彼らの自宅のコンテンツ記憶装置(例えば、DVR)へと最終期限で規定された時間枠内に配信するように注文を行うことを可能とできる。
【0092】
注文経験を送信システム102によって高め、消費者が興味を抱くと思われるコンテンツの提案を行うことも可能である。例えば消費者は、配信のために1つ以上のコンテンツファイルを検索し、ここで受信システム104によって送信システム102へと渡された消費者のプロファイルに基づき、コンテンツファイルの推奨リストが提供されるものとできる。消費者プロファイルは、先に注文のあったコンテンツファイルのジャンル、信頼の置ける友人の推薦、シリーズものの申し込みリスト、先に選択したコンテンツの続編、購入癖、などに基づくものとできる。消費者はまた、タイトル、著者、監督、ジャンル、ランク付け、性/暴力/言語のコンテンツプロファイル、出演者、言語、再生形式、消費者評価、批評評価、などを含むがこれに限定されるものではない検索語を用いて、利用可能タイトルのデータベースで利用可能コンテンツを検索することができる。消費者はそして、1つ以上のコンテンツファイルを選択し、各コンテンツファイルに関連する最終期限内の配信を求めることができる。
【0093】
適応型ファイル配信システム100の実施例800は図15〜19に描かれ、これは配信ファイルの再生可能な予定公開日から予定配信期限を切り離すことを含み、人気コンテンツの需要ピークを下げる、あるいは回避するのに役立つものである。実施例800は所定の公開日に先んじて、コンテンツ記憶装置群を含む、あるいは単一のネットワークまたはネットワーク群としてのネットワーク106を介して通信可能にリンクされた受信システム104へと、デジタルメディアファイルを適応型ファイル配信を介して電子配信可能とするものである。公開日とは、それまで利用不可であったコンテンツがユーザの集団によって再生利用可能となる予定の日のことである。
【0094】
例えば、配信されるべきファイルのコンテンツは、それまで一般には手に入らなかった新作映画または娯楽シリーズの新エピソードとすることができる。適応型ファイル配信は、配信ファイルのコンテンツと関連する公開日より十分に前に終了予定とすることができ、公開日前のファイル配信をほぼ確実に保証することができる。適応型ファイル配信による分配を公開日から切り離すことで、大回線容量の放送配信システムを必要とせず、他に人気コンテンツの公開日における需要の大ピークに対応するため配信ネットワークに負担を掛けることなく、消費者の大集団が特定の公開日にメディアに同時アクセスできる。ひとたび分配されれば、消費者は望みのままに、または他の何らかの申し込みプランに従って、公開日当日または以後にコンテンツを再生することができる。
【0095】
図15に描かれるように、複数の受信システム104が、利用可能になったかもしれない新たなコンテンツファイルに関して送信サーバ102に問い合わせを行う(ステップ802)。問い合わせ(ステップ802)はあるいは、上述のように入力装置604を用いて行うこともできる。これらの問い合わせは、受信システム104および/または入力装置602によって自動的に行うこともできるし、受信システムおよび入力装置のユーザによって手動で行うこともできる。送信システム102は、コンテンツ806、タイムスタンプ808、ファイルコンテンツの暗号化を表すロック810を有する暗号化ファイル804を有するものとして示されている。
【0096】
図16に描かれるように、送信システム102は、送信システムで利用可能となるすべてのファイルを配信したり、送信システムに記憶されたおよび/または受信システムに記憶されたリストに基づいて選択されたファイルのみ配信したり、受信システムのユーザによる手動選択に基づくファイルのみを配信したりといった、任意の数の注文スキームに基づいて、適応型ファイル配信を介して暗号化ファイル804を受信システム104へと配信する。例えば、所与のコンテンツファイルに対して受信システム104のうち相応しいものの集合が、事前設定された申し込みリストを用いることで決定されてもよく、これはネットワーク106の特定の部分にリンクされた受信システムの集団のうち幾つかまたはすべてを含むものとできる。
【0097】
この例では、暗号化ファイル804のコンテンツ806が、解読と再生に解読キーを必要とする一般的なデジタル暗号化方法によって早期公開から保護される。暗号化ファイル804は、暗号化ファイルのコンテンツ806の来るべき公開日を示すタイムスタンプ808を含むがこれに限定されるものではない非暗号化関連メタデータを有する。ひとたび配信されると、受信システム104はこのメタデータにアクセスし、グラフィックまたはテキストブラウザタイプのインターフェースを消費者に提供し、コンテンツがまだ利用不可であること、および公開日がいつであるかを示すことができる。
【0098】
図17に描かれるように、暗号化ファイル804が適応型ファイル配信を介して受信システム104へと送信されると、受信システムは、ライセンスシステム814にアクセス要求を行い(ステップ812)割り当てられた解読キーを要求することによって、暗号化ファイル804を再生しようと試みる。図17に示されるように、適切な解読キーは現在のところ、ライセンスシステム814に利用不可能な解読キー816として記憶されている。実施例800のいくつかの変形例では、ライセンスシステム814を送信システム102または他のシステムとできる。
【0099】
ライセンスシステム814は、アクセス拒否で応答する(ステップ818)。実施例800のいくつかの変形例では、受信システム104はまず、それ自体の内部クロックと受信システムに既に記憶されている暗号化ファイル804のタイムスタンプ808を比較することでアクセス要求を送信前に確認する。実施例800のいくつかの変形例では、受信システムの内部クロックはハッキングやエラーに弱いため、意図的でないアクセスに対する2次的保護として、受信システム104が、送信システム102とは別のシステムとしてのライセンスシステム814とやりとりするよう求められ、暗号化ファイル804のために解読キーを取得してもよい。これらの変形例では、ライセンスシステム814はそれ自体の時間基準を保持し、これが受信システム104による無効要求を拒絶するのに役立つ。
【0100】
図18に描かれるように、受信システム104は、有効なアクセス要求を公開日当日またはその後に、関連する解読キーを利用可能な解読キー822として記憶しているライセンスシステム814に送信する(ステップ820)。ライセンスシステム814は、暗号化ファイル804のその後の解読および再生のために、利用可能な解読キー822を受信システム104へと伝送することで応答する。
【0101】
図19に描かれるように、受信システム104は、利用可能なライセンスキー822を取得し記憶している。利用可能なライセンスキー822の取得に続いて、受信システム104がいつ受信システムに記憶された暗号化ファイル804の再生を開始しようとも、受信システムはこのライセンスキーを参照し、コンテンツの許可再生を認める。実施例800のいくつかの変形例では、その後の他の受信システムへのライセンスキーの許可されていない伝送を防ぐようなやり方で、ライセンスキー822が受信システムに記憶される。
【0102】
受信システムの製造時に受信システム104にコンテンツファイルを予め読み込むことに関する適応型ファイル配信システム100の実施例900が、図20に描かれている。実施例900によって、予め読み込まれたコンテンツライブラリが、受信システムの製造時に受信システム104に読み込まれる。
【0103】
個人コンテンツライブラリ706の1つを最初からデータで満たすために適応型ファイル配信システム100を用いることは、特定の環境下では望ましからざる長さの時間が必要となるため、実施例900はファイルの初期収集を考慮しており、適応型ファイル配信のきっかけ(jumpstart)として個人コンテンツライブラリが予め読み込まれ、その後に適応型ファイル配信が用いられて予め読み込まれた個人コンテンツライブラリを更新しさらに拡大するものである。個人コンテンツライブラリ用のファイル選択は、個々の購入ユーザが示す要望、典型的ユーザタイプ、あるいは典型的収集タイプ、などのさまざまなモデルに基づくものとできる。
【0104】
実施例900は、ロック908で表現されるように暗号化されているファイル906の暗号化を行い(ステップ904)関連キー910を生成するコンテンツサービスプロバイダ902を含む。実施例900はさらに、キー910のコピーを保持するためのキー記憶装置914を有するコンテンツライセンスプロバイダ912、受信システム製造者916、およびユーザ918を含む。描かれたように、暗号化はコンテンツサービスプロバイダ902で行われるものとできるが、代替変形例では、コンテンツライセンスプロバイダ912で暗号化が行われる。一般に、キー910はコンテンツライセンスプロバイダ912で記憶される。
【0105】
暗号化(ステップ904)後、コンテンツサービスプロバイダは、キー記憶装置914での記憶(ステップ922)のために、キー910のコピーをコンテンツライセンスプロバイダ912へと送信する(ステップ920)。コンテンツライセンスプロバイダ912が暗号化(ステップ904)を行った場合、ライセンスプロバイダは次にキー910の記憶に進むことができる。コンテンツサービスプロバイダ902は、受信システム製造者916へと暗号化ファイル906のコピーを送信し(ステップ924)、暗号化ファイル906を製造中の受信システム104のコピーへと統合する(ステップ926)。
【0106】
受信システム104のコピーは通常、一連の商業交換を通じて受信システム製造者916からユーザ918へと移動される(ステップ928)。ひとたびユーザ918が受信システム104を手に入れると、ユーザは通常、受信システムのインストール手続きを行い(ステップ930)、これによりコンテンツライセンスプロバイダ912からのキー910のコピーに関する要求がなされる(ステップ932)。いくつかの変形例では、予め読み込まれたコンテンツライブラリをイネーブルすることが随意であって、ユーザ918は購入を断ることもできる。実施例900のいくつかの変形例では、キー要求(ステップ932)は、コンテンツサービスプロバイダ902と関連するオンラインショップ(図示せず)とのオンラインブラウザセッションを介して実行される。
【0107】
ブラウザセッションの間、ユーザ918は、適切な変形例のキー910を供給するためにライセンスプロバイダ912によって用いられる受信システム104のハードウェアIDを示すことができる。キー910のコピーは、コンテンツライセンスプロバイダ912から受信システム104へと送信される(ステップ934)。キー910のコピーはそして、暗号化ファイル906の1つ以上を解読および再生するのに用いられる(ステップ936)。実施例900のいくつかの変形例では、暗号化ファイル908の1つを再生しようとの受信システム104の最初の試みが、キー要求932のきっかけとなる。ライセンスプロバイダ912が、ライセンスプロバイダによって保持されているサービス可能装置リストの中に、キー要求932において示されたハードウェアIDを持っていない場合、ライセンスプロバイダはキー要求を拒否する。ひとたび解読キー910が受信システム104によって取得されると、通常、さらなるキー要求(ステップ932)は要求されない。
【0108】
適応型ファイル配信システム100の実施例1000が図21に描かれ、適応型ファイル配信システム100の構成要素および関連の方法をおおまかに描き、ここで議論される適応型ファイル配信システムおよび方法がファイルセグメント送信などのために、ここで議論される特定の手順以上のものを含んでいることをさらに示している。一般に、適応型ファイル配信システム100および方法は、特定の配信期限までに分割方式でファイルを電子配信することを目指している。いくつかの変形例では他の態様が、要求または注文によって適応型ファイル配信を開始することを含むものとできる。さらなる態様は、受信ファイルの再生を含むものとできる。実施例1000の図示の変形例は、時系列1002沿いの時間分割によって機能するものであり、配信セッションには3つのイベント:コンテンツ注文(ステップ1004)、配信期限までのコンテンツ配信(ステップ1006)、およびコンテンツ再生(ステップ1008)、が含まれる。これらのイベントを切り離すことで、送信システム102は、さもなくば不特定の期間、周期的かつ予測不能に利用不可能1012である、ネットワーク利用可能期間1010中に、コンテンツを配信できる。
【0109】
実施例1000は、記憶されたメディアコンテンツファイルのライブラリと関連したサーバとして送信システム104を操作するサービスプロバイダを含むものとできる。送信システム1000は、サービスプロバイダの顧客を表す受信システム104の集合へとコンテンツファイルを配信する。配信されたコンテンツファイルは配信されたままの状態で受信システム104にローカルに記憶される。コンテンツ注文(ステップ1004)は、配信フェーズを開始し、消費者から直接、あるいは消費者の代わりに活動する別の人間あるいは機械によって代理で行われるものとできる。送信システム102はそして、ネットワークの利用可能期間1010および/または利用不可能期間1012の予測時期を見込んで、クライアントにコンテンツファイルを配信するのに必要な予想配信速度を計算する。ネットワーク配信の予測時期は、手動設定プロファイル、以前の期間に関する過去の測定値、ネットワーク活動の傾向、などに基づくものとできる。
【0110】
配信中にどこかで、ネットワークが利用不可能1012である予期せぬ期間があることがある。こうした停止が予期されていなかった場合、送信システム102は停止の終わりに、配信期限を達成するのに必要な新たな配信速度を自動的に再計算し、メディアコンテンツファイルの残りの部分の配信を再開する。配信は、ファイル全体が受信システム104へ配信されたときに終了する(ステップ1006)。配信後の不特定の時期に、注文した消費者や他のユーザによって操作される受信システム104は、受信システム104と送信システム102の間の配信ネットワークの不都合なパフォーマンスから自由に、ローカルに記憶されたメディアファイルをまるごと、受信システム104で再生することができる(ステップ1014)。
【0111】
実施例1100が図22に描かれ、ここでは送信システム102が仮想ネットワークオペレータとして用いられている。適応型ファイル配信方法の使用により、送信システム102はネットワーク106を、それぞれがさまざまな異なるタイプのネットワークローディングプロファイル1104を持ち大きなファイルを多数の受信システム104へと送信する1つ以上の配信またはサービスプロバイダネットワーク1102を含むものとして使用することが可能である。
【0112】
さらなるネットワークローディングの複雑さは、他のローディングプロファイル1108を備えたLAN1106をサービスプロバイダネットワーク1102の1つ以上にリンクさせることを含むことができる。さまざまなネットワークローディングの複雑さにもかかわらず、送信システム102は、サービスプロバイダネットワーク1102に、サービスを途絶させたりあるいはこれらのサービスプロバイダネットワークの回線容量の拡大の動機付けとなるまで影響を与えることなく、定められた配信期限を満たすように大きなファイルを首尾よく伝送することができる。
【0113】
実施例1100では、巨大メディアコンテンツ配信サービスを設立し機能させることを、特定の期間には余剰容量を持つがそれ以外の期間には持たないサービスプロバイダネットワーク1102を介して、ネットワークアクセスプロバイダと契約関係にないかもしれぬ企業に可能ならしめるために、仮想ネットワークオペレータ構成を介して送信システム102が利用可能である。一般に、仮想ネットワークオペレータサービスをサポートするための追加容量の補償を要求することなく、ネットワークの現在の容量内に留まるために、実施例1100は適応型ファイル配信を用い、図22に描かれたネットワーク106などのネットワークや、仮想ネットワークオペレータとしての送信システム102と顧客との間の他のネットワークの、オフピークネットワーク容量を利用する。
【0114】
仮想ネットワークオペレータとして、送信システム102は、1つ以上のコンテンツサーバまたは顧客によってアクセス可能なコンテンツファイルのライブラリを記憶した他の記憶装置を保持する。仮想ネットワークオペレータサービスは、ユーザのコンテンツ記憶装置(DVR、PMC、ネットワーク接続記憶装置、PCなど)での記憶のための、指定ユーザへのメディアコンテンツファイルの配信と広く定義できる。したがって、仮想ネットワークオペレータサービスは、企業の顧客へとそのコンテンツの配送を希望する企業用のデリバリエージェントサービスに近い。
【0115】
例示を目的として本発明の具体的な実施形態がここに説明されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな改変が成し得ることは上記から明らかである。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲によるものを除き、限定されるものでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルの残り部分のファイルセグメントを転送するための最低転送速度を、前記ファイルの残り部分として判定されたサイズおよび前記ファイルの残り部分の転送に利用可能な時間の長さに一部基づいて決定するステップと、
前記ファイルの残り部分のファイルセグメントを転送するための最高転送速度を、前記最低転送速度および送信システムの最高転送容量に一部基づいて決定するステップと、
前記ファイルの残り部分のファイルセグメントを、前記送信システムから受信システムへと送信するステップと、
前記ファイルセグメントが前記送信システムから前記受信システムへと送信された実転送速度を、前記ファイルセグメントのサイズおよび前記ファイルセグメントが前記送信システムから送信された時と前記ファイルセグメントが前記受信システムで受信された時の間の経過時間に一部基づいて決定するステップと、
待機期間を、前記最高転送速度、前記最低転送速度、および前記実転送速度に一部基づいて決定するステップと、
前記受信システムで前記ファイルセグメントを受信した後、前記受信システムから前記送信システムへと、前記受信システムによる前記ファイルセグメントの受信を確認する肯定応答メッセージを送信するまで前記待機期間を待機するステップと、
前記受信システムから前記送信システムへと前記肯定応答メッセージを送信するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記肯定応答メッセージがさらに、前記ファイルセグメントの実転送速度の値を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記肯定応答メッセージがさらに、前記実転送速度および前記待機期間に基づくファイルセグメントの有効転送速度の値を含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記待機期間を決定するステップがさらに、ネットワーク混雑およびネットワーク活動の少なくとも1つに一部基づくものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ネットワーク混雑および前記ネットワーク活動は、前記送信システムおよび前記受信システム以外のシステムによって判定されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記送信システムから前記受信システムへと前記最低転送速度および前記最高転送速度を送信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ファイルの残り部分のファイルセグメントを転送するための最高転送速度を決定するステップがさらに、前記送信システムを前記受信システムに通信可能にリンクするネットワークのスループット測定および混雑測定の少なくとも1つに一部基づくものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記ファイルの残り部分のファイルセグメントを転送するための最高転送速度を決定するステップがさらに、複数の時間順設定プロファイルに一部基づくものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ファイルの残り部分のファイルセグメントを転送するための最高転送速度を決定するステップがさらに、少なくとも先に送信されたファイルセグメントの実転送速度に一部基づくものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
過去の転送の履歴記録に一部基づいて、前記ファイルの残り部分の転送に利用可能な時間の長さを決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
設定プロファイルに基づく時間に一部基づき、前記ファイルの残り部分の転送に利用可能な有用時間の長さを決定するステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項12】
送信システムから受信システムへ複数のファイルセグメントからなるファイルの一部を送信するステップであって、各伝送後に生じる様々な複数の待機期間の1つの時間だけ間隔を空けた複数の伝送によって前記ファイルセグメントを送信することを含むステップと、
各ファイルセグメント伝送に関して、前記ファイルセグメントが前記送信システムから前記受信システムへと送信された実転送速度を決定するステップと、
各前記ファイルセグメント伝送に関して、前記ファイルセグメント伝送に関して決定された実転送速度に一部基づき、伝送直後に生じる前記待機期間を決定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
送信システムから受信システムへ複数のファイルセグメントからなるファイルの一部を送信するステップであって、各伝送後に生じる様々な複数の待機期間の1つを伴う複数の伝送によって、前記ファイルセグメントを1つずつ送信することを含むステップと、
各ファイルセグメント伝送に関して、前記ファイルセグメントが前記送信システムから前記受信システムへと送信された実転送速度を決定するステップと、
先行するファイルセグメント伝送を有する各ファイルセグメント伝送に関して、前記先行するファイルセグメント伝送の実転送速度に一部基づき、前記ファイルセグメント伝送で送信されるべきファイルセグメントのサイズを決定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
送信システムから受信システムへ複数のファイルセグメントからなるファイルを配信期限までに送信するステップであって、各伝送後に生じる様々な複数の待機期間の1つの時間だけ間隔を空けた複数の伝送によって前記ファイルセグメントを送信することを含むステップと、
各ファイルセグメント伝送に関して、前記ファイルセグメントが前記送信システムから前記受信システムへと送信された実転送速度を決定するステップと、
各ファイルセグメント伝送に関して、前記ファイルセグメント伝送に関して決定された実転送速度に一部基づき、且つ前記配信期限に一部基づき、伝送直後に生じる前記待機期間を決定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記配信期限が要求されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記配信期限が計算されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項17】
配信期限までに受信システムによって受信される、複数のファイルセグメントからなるファイルを、送信システムから受信システムへ複数時間かけて送信するステップと、
各ファイルセグメント伝送に関して、前記ファイルセグメントが前記送信システムから前記受信システムへと送信された実転送速度を決定し、
各前記ファイルセグメント伝送に関して、前記ファイルセグメント伝送に関して決定された実転送速度に一部基づき、前記ファイルセグメント伝送に関する有効伝送速度を決定することからなる方法。
【請求項18】
受信システムからの要求以外の開始に基づいて前記受信システムへと送信される、複数のファイルセグメントからなる要求されていない2次的ファイルを、送信システムから前記受信システムへ数時間かけて送信するステップと、
前記受信システムが前記要求されていない2次的ファイルを受信した後に、前記受信システムによって再生される、前記受信システムへ配信されることが前記受信システムによって要求された要求ファイルの一部の再生に連続して、前記要求されていない2次的ファイルを前記受信システムで再生するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
各々が公開日前の送信システムから複数の受信システムへの複数のファイルセグメントからなる、暗号化ファイルの複数のコピーを送信するステップと、
前記公開日前には、前記複数の受信システムによって受信された複数のコピーの解読を許可しないステップと、
前記公開日に、前記複数の受信システムによって受信された複数のコピーの解読を許可するするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
注文後の少なくとも第1の複数時間に生じる配信期限までに配信されるようにファイルを注文するステップと、
少なくとも第2の複数時間の期間で、配信期限までに配信されるべき前記ファイルをファイルセグメントごとに電子配信するステップと、
前記ファイル受信後に前記ファイルを再生するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
サービスプロバイダネットワークの顧客へとファイルを送信することを、前記顧客および前記サービスプロバイダネットワークのオペレータ以外の構成員を含み、前記サービスプロバイダネットワークのネットワークトラフィックに重大な影響を与えることなく前記顧客へと前記ファイルを送信することが不可能である第三者に申し出るステップと、
前記第三者の要求により、前記サービスプロバイダネットワークのネットワークトラフィックに重大な影響を与えることなく前記サービスプロバイダネットワークの顧客へと前記ファイルを送信するステップと、
前記サービスプロバイダネットワークの顧客へと前記ファイルを送信したことについて前記第三者から支払いを受けるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
受信システム製造時に該受信システムへと第1のファイル群を読み込み、
前記受信システム製造時の後に、第2のファイル群を前記受信システムへと電子配信するステップであって、前記ファイル群の少なくとも1つは複数時間をかけて送信されるステップと、
前記受信システムによる前記ファイル群の1つの再生のために、前記第1のファイル群へのアクセスを可能とするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
第1の配信期限までに電子配信されるべきファイルの配信期限を遠隔調査するステップと、
前記第1の配信期限を第2の配信期限へと遠隔修正するステップと、
少なくとも第3の複数日数の期間で、前記第2の配信期限までに配信されるべきファイルをファイルセグメントごとに配信するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記第1の配信期限を遠隔修正するステップは、複数のファイル配信のための複数の配信期限の順序付けにおいて前記第1の配信期限の位置を修正するステップを含むことを特徴とする請求項23記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−133792(P2012−133792A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−14441(P2012−14441)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【分割の表示】特願2008−505570(P2008−505570)の分割
【原出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(511003095)オパンガ ネットワークス インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】