説明

適正圧決定装置、適正圧決定方法

【課題】加圧筋力トレーニングの適正圧を、正確に、自動的に決定できるようにする。
【解決手段】加圧筋力トレーニングの利用頻度や体質等によって被験者毎に適正圧が異なる。加圧用ベルトのガス袋内の空気の圧を圧力計測部にて検出し、そこから被験者の脈波を検出する。そして、脈波の脈波振幅とガス袋内の空気の圧の関数である振幅曲線Aを求める。そして、その変曲点α1に接線Cを引き、その接線がX軸と交わる基準点β1を求め、そのときのガス袋内の空気の圧に、被験者の加圧筋力トレーニングの耐性に応じて決定される0〜1の係数を乗じたものを適正圧とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の四肢の少なくともいずれかの血流を阻害して行う筋力トレーニングに用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者である佐藤 義昭は、筋肉の増強を、容易に、安全に、且つ効率よく行えるようにする筋力トレーニング方法を開発すべく、兼ねてから研究を行っており、その成果として多くの特許出願を国内外で行い、国内外で多くの特許を取得するに至っている。
これらの出願に記載された筋力トレーニング方法は、以下に説明するような優れた効果から急激に普及して来ており、また、国内外の医師、大学がその研究を行い、本願発明者を初めとする研究者達が多数の論文を発表している。
これらの特許に係る筋力トレーニング方法は、腕又は脚の付根付近を加圧して行う従来にはない特徴的なものである。この筋力トレーニング方法(本願では当該筋力トレーニング方法を「加圧筋力トレーニング方法」と呼ぶ場合がある。なお、本願出願人は、加圧筋力トレーニング方法を、加圧トレーニング方法の名称で普及させているが、かかる名称と関係する、「加圧トレーニング」、「KAATSU TRAINING」、「KAATSU」等の各標章は、株式会社サトウスポーツプラザの商標である。)は、以下のような理論に基づいている。
筋肉には、遅筋と速筋とがあるが、遅筋はほとんど大きくなることがないため、筋肉を増強するには、遅筋と速筋のうち、速筋を活動させる必要がある。速筋が活動することによって生じる乳酸の筋肉への蓄積がきっかけとなって脳下垂体から分泌される成長ホルモンには、筋肉をつくり、体脂肪を分解する等の効果があるから、速筋を活動させ疲労させてやれば、速筋の、ひいては筋肉の増強が行われることになる。
ところで、遅筋と速筋には、前者が、酸素を消費して活動するものであり、また、軽い負荷の運動を行えば活動を開始するのに対し、後者が、酸素がなくても活動するものであり、また、かなり大きな負荷をかけた場合に遅筋に遅れて活動を開始するという違いがある。したがって、速筋を活動させるには、先に活動を開始する遅筋を早く疲労させる必要がある。
従来の筋力トレーニング方法では、バーベルなどを用いた激しい運動を行わせることによって遅筋をまず疲労させ、次いで速筋を活動させることとしている。このようにして速筋を活動させるには、大きな運動量が必要であるから、長い時間がかかり、また、筋肉及び関節への負担が大きくなりがちである。
他方、筋肉の四肢の付根付近の所定の部位を締付けて加圧し、そこよりも下流側に流れる血流を制限した状態にすると、その加圧力が適当である場合に限るが、四肢の皮膚に近いところに存在し、また、動脈より薄く硬さ(加圧による力に抗する性能)に劣る静脈が閉まり、四肢のより深いところに存在し静脈よりも厚く硬さに優れた動脈は通常の状態に近い状態を維持した状態となる。その状態を一定時間保つと、付根付近を締付けられた四肢の中には、動脈から供給されるものの静脈から出ていくことのできない血液が溜まった状態となり、通常は血液が流れ込まない毛細血管にまで血液が流れ込む。それにより、付根付近を締め付けられた四肢は、運動を激しく行っている状態と非常に近い状態となる。このとき、静脈は閉じた状態となっているので、筋肉内で生成された乳酸が筋肉の外に出にくくなるため筋肉は疲労する。また、激しく運動を行っているという情報を筋肉から伝えられた脳は、それが持っている生理的な作用により、筋肉を再生するために日常生活で生成される量はもとより、一般的な運動を行ったときの量を遥かに超える成長ホルモンを生成する。
つまり、加圧筋力トレーニング方法を実行すると、激しい運動を行ったときの状態を擬似的に作り出すことができるので、運動を行わずとも運動を行ったときと同様に筋肉を疲労させたり、また、運動を行った場合には実際に行った運動量と比較してみた場合に遥かに筋肉を疲労させることができ、また、脳をいわば騙して、また副交感神経を刺激して大量の成長ホルモンを分泌させることができる。
このような機序により、筋肉における血流を阻害することによって、筋肉の飛躍的な増強を図ることができるようになる。
加圧筋力トレーニング方法は、血流阻害による負荷を筋肉に与えることにより筋肉の増強を行うものであるため、筋肉を増強するにあたって運動を行わなくてもよくなるという大きな特徴を有する。この特徴により、加圧筋力トレーニング方法は、運動機能に異常のある者、例えば高齢者や、怪我を負っている者などの運動機能の回復に大きな効果がある。
また、加圧筋力トレーニング方法は、血流の阻害による負荷を筋肉に与えることにより筋肉に与える負荷の総量を補償することができるので、運動と組み合わせる場合には、運動による負荷を従来よりも減らせるという特徴をもっている。この特徴は、筋肉を増強するにあたって筋肉に行わせる運動量を減少させられることになるので、関節や筋肉の損傷のおそれを減少させられる、また、トレーニング期間を短縮できるようになる、といった効果を生む。
【0003】
以上のように、加圧筋力トレーニング方法を実行するには、増強を図ろうとする筋肉に流れる血流を阻害することが可能であり、また、血流の阻害の程度を正確に調節できる器具、或いは装置が不可欠である。
【0004】
加圧筋力トレーニングに用いられる加圧力制御装置としては、例えば、本願発明者の一人が開発した特許文献1に示す技術が知られている。
この特許文献1に記載された加圧力制御装置は、被験者の四肢の少なくとも一つに装着するための、装着された四肢を締め付けて圧を与える加圧用ベルトと、この加圧用ベルトに加圧力を与える加圧力制御部とを備えている。加圧力制御部は、加圧用ベルトの加圧力が、予め設定された上限の加圧力を超えないようにしつつ、加圧力を適当な圧に自動的に制御する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4322591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の加圧力制御装置は、予め設定された上限の加圧力を超えないように加圧力を自動制御するものであるため、加圧筋力トレーニングの効果を得るにあたり高い安全性が担保される。
しかしながら、上述の加圧力制御装置は、加圧用ベルトが被験者の四肢のいずれかに装着された場合において加圧用ベルトがそれが取付けられた被験者の四肢に与えるのに適正な圧である適正圧を決定することはできない。
加圧筋力トレーニングにおける適正圧は、被験者の性別、年齢、体力、体調、運動歴、既往症の有無等に伴い変化するものであり、効果的で且つ安全に加圧筋力トレーニングを実行するには、その値を正確に決定すべきものである。
しかしながら、上述のものを含め従来の加圧力制御装置には、適正圧を自動的に決定する機能はない。従来の加圧力制御装置は、加圧筋力トレーニングについての高い知識、技能を有する医師、スポーツトレーナー等の指導者に操作されるものとなっており、適正圧は、加圧筋力トレーニングを被験者に対して施術する指導者が、加圧筋力トレーニングを実行している被験者の状態を目視等で確認しながら自らの知識、経験に基づいてそれを決定する、というのが実情となっている。
【0007】
しかしながら、そのようないわばマニュアルでの適正圧の決定は、指導者の知識、技能によるところが多いため場合により正確性を欠くおそれがないとはいえず、また、被験者に加圧筋力トレーニングの施術を行いながら適正圧を決定する作業は指導者にとって負担が大きい。
【0008】
本発明の目的は、従来技術における上記問題を解決し、自動的に適正圧を決定できる、加圧筋力トレーニング用の筋力トレーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
その発明は、空気を出し入れすることのできるガス袋を備えており、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着された状態で、それが装着された被験者の四肢に対して、前記ガス袋へ入れられた空気の量に基づく任意の所定の圧を与えられるように構成された、全体として長さ方向への伸びが許容された、帯状の加圧用ベルトと、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で、前記ガス袋内へ空気を入れ又は出すことにより前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与える圧を制御する圧制御手段と、前記ガス袋へ入れられた空気の圧を測定しその時点の空気の圧である加圧力データを生成する圧計測手段と、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定し、脈波振幅についての脈波データを生成する脈波測定手段と、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与えるのに適正な圧である適正圧を決定する適正圧決定手段と、を備えてなる加圧筋力トレーニングの適正圧決定システムである。
そしてこの適正圧決定システムの前記適正圧決定手段は、前記適正圧を決定する際に、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で前記圧制御手段によって前記ガス袋内の圧が前記適正圧と目される圧を挟んで変化させられる間に、前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波測定手段から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とするようになっているとともに、当該関数を、脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲で、ガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる前記関数の変曲点を求めるようになっており、その変曲点に基づいて適正圧を決定するようになっている、適正圧決定システムである。
これは本願発明者らの得た以下の知見に基づく。
まず、前提として、加圧用ベルトは事実上、その長さ方向に多少の伸縮性が許容されている。それは加圧用ベルトを被験者の四肢に取付けた状態で被験者が運動を行うとその四肢の筋肉が太くなるので、加圧用ベルトが伸縮性をまったく持たないと加圧用ベルトが四肢に与える締め付け力が過剰となったり、被験者に痛みを与えるおそれがあるからである。
そのような加圧用ベルトをユーザの四肢に装着してガス袋内の圧を高めていくと、つまり、加圧用ベルトが四肢に与える圧を大きくしていくと、脈波振幅は、以下のように推移することがわかった。即ち、加圧用ベルトがそれが装着された四肢に与える圧が大きくなっていくと、まず静脈が、そして次に動脈が閉まってくるので、それに抗して血流を流そうとする心臓の働きにより、脈波振幅が大きくなってくる。しかしながら、ある程度以上加圧用ベルトが四肢に与える圧が大きくなると脈波振幅は結果として、加圧用ベルトが四肢に与える圧に抗しきれなくなり小さくなって行く。ところで、理想的には脈波振幅は、ガス袋内の空気の圧が大きくなるにつれてガス袋内の空気の圧に対して放物線状に落ちて行くはずなのであるが、上述したように、加圧用ベルトには多少の伸びが許容されているので、加圧用ベルトの伸びが生じ始めると(これに加えて、ガス袋の膨張方向が四肢の中心方向に向かうのではなく、加圧用ベルトの幅方向に向かう影響もあると考えられる。)、ガス袋内の空気の圧が高まっても、脈波振幅はそれほど小さくならなくなる状態が生じる。
本願発明は、必ず生じるその点が、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数として見た場合における変曲点であるとすることで、その変曲点を利用して自動的に適正圧を決定できるようにしたものである。この変曲点は、前記関数の脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲に現れるので、適正圧決定手段は、当該関数をその範囲でガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる点として変曲点を求めることとしている。
これによって、自動的に適正圧を決定することが可能になるので、適正圧の決定を正確に行え、指導者の負担も減らせる。
なお、本願適正圧決定システムは、前記適正圧決定手段が決定した前記適正圧を記録する適正圧記録手段を備えており、前記圧制御手段は、前記ガス袋内の空気の圧を前記適正圧に保つことで、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の血流を阻害させて、前記被験者に筋力トレーニングを行わせることができるようになっていてもよい。こうすれば、適正圧決定システムで決定した適正圧に基づいた効果的で且つ安全な加圧筋力トレーニングを適正圧決定システムを用いてそのまま実行できるようになる。
【0010】
本願発明の前記適正圧決定システムは、前記変曲点に基づいて前記被験者に与えることのできる圧の最大値である基準圧力を決定してから、前記基準圧力に基づいて前記適正圧を決定するようになっており、前記適正圧決定手段は、前記基準圧力に0〜1の間の所定の数を乗じたものを前記適正圧として決定するようになっていてもよい。
基準圧力を決定してからそれに0〜1の間の数を乗じて適正圧を決定することで、加圧筋力トレーニングの安全性をより担保できるし、その反面演算を複雑化することもないので、適正圧決定システムの大型化も防げる。
【0011】
本願発明の前記適正圧決定手段は、加圧筋力トレーニングに対する耐性を示す係数を加圧筋力トレーニングに対する耐性と関連付けて記載したテーブルである補正係数テーブルを記録するテーブル記録手段と、適正圧が決定される被験者の加圧筋力トレーニングに対する耐性を特定するデータを入力するための入力手段と、を備えており、前記適正圧決定手段は、前記被験者に与えることのできる圧の最大値である基準圧力を決定してから、前記基準圧力に基づいて前記適正圧を決定するようになっており、前記適正圧決定手段は、前記変曲点に基づいて、前記適正圧を決定するに先立って、前記入力手段から、前記加圧筋力トレーニングに対する耐性を特定する前記データを受取るとともに、当該データに関連付けられた前記係数を前記テーブル記録手段から読み出し、当該係数を前記基準圧力に乗じたものを前記適正圧として決定するようになっていてもよい。
基準圧力を決定してからそれに補正用の係数(この係数も0〜1の間の数とするべきである。)を乗じて適正圧を決定することで、加圧筋力トレーニングの安全性をより担保できるし、また、この演算も複雑ではないので適正圧決定システムの大型化も防げる。加えて、加圧筋力トレーニングに対する耐性を示す係数を加圧筋力トレーニングに対する耐性と関連付けて記載したテーブルである補正係数テーブルを用いることで、被験者に合わせた適正圧の決定がより容易になるので、加圧筋力トレーニングの効果をより得やすくなる。
【0012】
本願発明の適正圧決定手段が上記変曲点からどのようにして基準圧力を決定するかは適宜決定することができる。
例えば、前記適正圧決定手段は、前記変曲点における前記関数の接線が前記脈波振幅が0の線と交わる点における前記ガス袋内の空気の圧を、前記基準圧力と決定するようになっていてもよい。
前記適正圧決定手段は、前記変曲点における前記関数の接線と直交する前記変曲点を通る直線である法線が前記脈波振幅が0の線と交わる点における前記ガス袋内の空気の圧に10以上の所定の数を乗じたものを、前記基準圧力と決定するようになっていてもよい。
或いは、前記適正圧決定手段は、前記変曲点に加えて、次の(1)〜(4)で求められる2点を求め、当該2点と前記変曲点の3点を通る曲線が前記脈波振幅が0の線と交わる点における前記ガス袋内の空気の圧を、前記基準圧力と決定するようになっていてもよい。
(1)変曲点の両隣に位置する、ガス袋内の圧が僅かだけ大きい点と小さい点
(2)変曲点の両隣に位置する、脈波振幅が僅かだけ大きい点と小さい点
(3)変曲点の両隣に位置する、変曲点からの距離が等しい点
(4)変曲点の両隣に位置する、変曲点からの振幅曲線上の距離が等しい点
いずれの場合も演算が容易であり、適正圧決定システムの大型化を防ぐことが容易である。
【0013】
なお、前記適正圧決定手段は、前記変曲点に加えて、次の(1)〜(4)で求められる2点を求め、当該2点と前記変曲点の3点を通る曲線が前記脈波振幅が0の線と交わる点における前記ガス袋内の空気の圧を、前記適正圧と決定するようになっていてもよい。
(1)変曲点の両隣に位置する、ガス袋内の圧が僅かだけ大きい点と小さい点
(2)変曲点の両隣に位置する、脈波振幅が僅かだけ大きい点と小さい点
(3)変曲点の両隣に位置する、変曲点からの距離が等しい点
(4)変曲点の両隣に位置する、変曲点からの振幅曲線上の距離が等しい点
いずれの場合も演算が容易であり、適正圧決定システムの大型化を防ぐことが容易である。
この場合も演算が容易であり、適正圧決定システムの大型化を防ぐことが容易である。
【0014】
本願発明の前記圧制御手段は、ガス袋内の空気の圧が、被験者の適正圧と目されるよりも高くなるまで一旦前記ガス袋内の空気の圧を高めた後その圧を低めるようになっており、前記適正圧決定手段は、前記ガス袋内の空気の圧が低められている間に前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波測定手段から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とするようになっていてもよい。
上述した振幅曲線は、ガス袋内の空気の圧を徐々に上げていく場合と下げていく場合とで殆ど変化がないことは本願発明者らの研究の結果明らかになっている。ただし、空気の圧を下げていく場合には、弁の開放でこれを行えるので振動は生じないが、ガス袋内の空気の圧を上げていく場合には、圧制御手段に事実上含まれるポンプが振動を生じさせることを避けられず、その振動が振幅曲線にノイズとして乗り易いため、ガス袋内の空気の圧を下げつつ振幅曲線を得る方が好ましい。
【0015】
本願発明の脈波測定手段は、前記加圧力データを受け付け、前記ガス袋へ入れられた空気の圧に重畳している前記脈波振幅を前記加圧力データから分離して生成するようになっていてもよい。このようにすれば、加圧力データを生成する圧計側手段はいずれにせよ存在しているので、加圧力データを利用して脈波測定手段に脈波データを生成させることで部品点数を減らせる。
本願発明の脈波測定手段は、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定する脈波計であってもよい。このようにすれば、そのような脈波計は市販されているので、加圧力データから小さな脈波振幅を分離するという精密な作業を行わずに済む。
【0016】
以上の適正圧決定システムの作用効果を、以下の適正圧決定装置によっても得られる。
その適正圧決定装置は、空気を出し入れすることのできるガス袋を備えており、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着された状態で、それが装着された被験者の四肢に対して、前記ガス袋へ入れられた空気の量に基づく任意の所定の圧を与えられるように構成された、全体として長さ方向への伸びが許容された、帯状の加圧用ベルトと組合せて用いられるものであり、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与えるのに適正な圧である適正圧を決定する適正圧決定装置であって、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で、前記ガス袋内へ空気を入れ又は出すことにより前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与える圧を制御する圧制御手段と、前記ガス袋へ入れられた空気の圧を測定しその時点の空気の圧である加圧力データを生成する圧計測手段と、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定し、脈波振幅についての脈波データを生成する脈波測定手段と、前記適正圧を決定する適正圧決定手段と、を備えてなる。
そして、その適正圧決定手段は、前記適正圧を決定する際に、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で前記圧制御手段によって前記ガス袋内の圧が前記適正圧と目される圧を挟んで変化させられる間に、前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波測定手段から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とするようになっているとともに、当該関数を、脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲で、ガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる前記関数の変曲点を求めるようになっており、その変曲点に基づいて適正圧を決定するようになっている。
【0017】
この適正圧決定装置と同様の作用効果を以下の方法によっても得られる。
その方法は、空気を出し入れすることのできるガス袋を備えており、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着された状態で、それが装着された被験者の四肢に対して、前記ガス袋へ入れられた空気の量に基づく任意の所定の圧を与えられるように構成された、全体として長さ方向への伸びが許容された、帯状の加圧用ベルトと組合せて用いられるものであり、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で、前記ガス袋内へ空気を入れ又は出すことにより前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与える圧を制御する圧制御手段と、前記ガス袋へ入れられた空気の圧を測定しその時点の空気の圧である加圧力データを生成する圧計測手段と、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定し、脈波振幅についての脈波データを生成する脈波測定手段と、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与えるのに適正な圧である前記適正圧を決定する、コンピュータを含んで構成される適正圧決定手段と、を備えてなる適正圧決定装置、で実行される適正圧決定方法である。
この方法は、前記適正圧決定手段が、前記適正圧を決定する際に、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で前記圧制御手段によって前記ガス袋内の圧が前記適正圧と目される圧を挟んで変化させられる間に、前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波測定手段から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とする過程、当該関数を、脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲で、ガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる前記関数の変曲点を求める過程、その変曲点に基づいて適正圧を決定する過程、を含む。
【0018】
以上の適正圧決定システムの作用効果を、以下の適正圧決定装置によっても得られる。
この適正圧決定装置は、空気を出し入れすることのできるガス袋を備えており、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着された状態で、それが装着された被験者の四肢に対して、前記ガス袋へ入れられた空気の量に基づく任意の所定の圧を与えられるように構成された、全体として長さ方向への伸びが許容された、帯状の加圧用ベルトと、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定し、脈波振幅についての脈波データを生成する脈波計と、組合せて用いられるものであり、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与えるのに適正な圧である適正圧を決定する適正圧決定装置であって、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で、前記ガス袋内へ空気を入れ又は出すことにより前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与える圧を制御する圧制御手段と、前記ガス袋へ入れられた空気の圧を測定しその時点の空気の圧である加圧力データを生成する圧計測手段と、前記適正圧を決定する適正圧決定手段と、を備えている。
そして、前記適正圧決定手段は、前記適正圧を決定する際に、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で前記圧制御手段によって前記ガス袋内の圧が前記適正圧と目される圧を挟んで変化させられる間に、前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波計から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とするようになっているとともに、当該関数を、脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲で、ガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる前記関数の変曲点を求めるようになっており、その変曲点に基づいて適正圧を決定するようになっている。
【0019】
この適正圧決定装置と同様の作用効果を以下の方法によっても得られる。
その方法は、空気を出し入れすることのできるガス袋を備えており、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着された状態で、それが装着された被験者の四肢に対して、前記ガス袋へ入れられた空気の量に基づく任意の所定の圧を与えられるように構成された、全体として長さ方向への伸びが許容された、帯状の加圧用ベルトと、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定し、脈波振幅についての脈波データを生成する脈波計と、組合せて用いられるものであり、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で、前記ガス袋2X内へ空気を入れ又は出すことにより前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与える圧を制御する圧制御手段と、前記ガス袋へ入れられた空気の圧を測定しその時点の空気の圧である加圧力データを生成する圧計測手段と、前記適正圧を決定する適正圧決定手段と、を備えてなる適正圧決定装置、で実行される適正圧決定方法である。
そしてこの方法は、前記適正圧決定手段が、前記適正圧を決定する際に、前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で前記圧制御手段によって前記ガス袋内の圧が前記適正圧と目される圧を挟んで変化させられる間に、前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波計から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とする過程、当該関数を、脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲で、ガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる前記関数の変曲点を求める過程、その変曲点に基づいて適正圧を決定する過程、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による加圧システムの全体構成を示す斜視図。
【図2】図1に示した加圧システムに含まれる加圧用ベルトを示す斜視図。
【図3】図1に示した加圧システムに含まれる加圧力制御装置のハードウェア構成図。
【図4】図1に示した加圧システムに含まれる加圧力制御装置が含むコンピュータのハードウェア構成を示す図。
【図5】図1に示した加圧力制御装置にて加圧力を保持する機構を示す図。
【図6】図1に示した加圧力制御装置で行われる適正圧の決定方法を概念的に説明するためのグラフ。
【図7】図1に示した加圧力制御装置で行われる適正圧の決定方法で用いられる係数テーブルを示す表。
【図8】図1に示した加圧力制御装置で行われる変形例の適正圧の決定方法を概念的に説明するためのグラフ。
【図9】図1に示した加圧力制御装置で行われる他の変形例の適正圧の決定方法を概念的に説明するためのグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による、加圧システム(本願でいう適正圧決定システム)の全体を示している。
この加圧システムは、加圧筋力トレーニングのために用いられる。
この加圧システムによって実現される加圧筋力トレーニングは、「トレーニング」という名称が便宜上付されてはいるものの、健康な者の筋肉増強を目的とするものに限られず、治療、リハビリテーション等の医療を目的とする場合があり、また、医療類似行為を目的とする場合もあり、美肌、アンチエイジング、ダイエット等の美容を目的とする場合もあり、リラックス等の心理的効果を目的とする場合もある。加圧筋力トレーニングはそれを行うことにより筋肉増強の効果を生じるものであるが、それ以外にも様々な副次的効果が生じる。その副次的な効果を目的として実行する場合であっても、実行される行為が加圧筋力トレーニングであることには変りない。これは、本願明細書のすべてにおいて妥当する。
【0023】
この筋力トレーニング装置は、ユーザである被験者の四肢に血流制限を適正に生じさせるような所定の圧を与えるためのシステムである。
この筋力トレーニング装置は、加圧力制御装置1と、図2、及び図3にその詳細を示した加圧用ベルト2a、2bとを備えている。
【0024】
まず、加圧用ベルト2a、2bの構成から説明する。
加圧用ベルト2a、2bは、加圧力制御装置1の制御下で、それが取付けられた被験者の四肢に対して、血流の制限を生じさせるような締め付け力を与えるものである。
加圧用ベルト2a、2bは少なくとも1つ存在すれば良いが、この実施形態では、左右両腕又は両脚用の一対の加圧用ベルト2a、2bが、加圧システムに含まれるものとする。
【0025】
加圧用ベルト2a、2bは、図2、図3に示したように構成されている。
加圧用ベルト2a、2bは、ベルト形状に形成された緊締帯8a、8bを備えている。緊締帯8a、8bはその長さ方向に若干伸びる素材、例えばネオプレンゴムでできており、その長さはそれが取付けられることが予定された四肢の付根付近の所定の部位の周囲を一周して幾らか余裕がある程度となっている。緊締帯8a、8bの幅は、それを四肢の付根付近の所定の部位に取付けたときに筋腹に掛からない程度細く、また緊締帯8a、8bが四肢に喰い込み被験者に痛みを与えることがない程度に太い、そのような適当な幅とされている。
緊締帯8a、8bの内面には、400mmHg程度の空気圧に耐えることが可能な、多少の伸縮が可能な素材(例えば、ゴム製)の気密なガス袋2Xが取り付けられている。ガス袋2Xは、例えば樹脂製の管である連結管2Yと連通状態で接続されており、連結管2Yを介して、加圧力制御装置1にその基端が接続される後述のゴムホース3a、3bの先端と接続されるようになっている。
緊締帯8a、8bの内側には、また、加圧用ベルト2a、2bの緊締帯8a、8bを被験者の四肢の所定位置に巻き付けたときに緊締帯8a、8bが作ったループの径を固定する固定部2Zが設けられている。この実施形態における固定部2Zは、これには限られないが面ファスナである。緊締帯8a、8bを図2の下側から被験者の四肢に巻き付け、固定部2Zを緊締帯8a、8bの外面に固定させることにより、緊締帯8a、8bが作ったループの径が固定されることになる。
加圧用ベルト2a、2bは、被験者の四肢の適宜の部分に固定された状態で加圧力制御装置1により、ゴムホース3a、3bを介してそのガス袋2X内に空気を出し入れされる。その空気の圧により、加圧用ベルト2a、2bは、それが取付けられた被験者の四肢に対して適正な圧の締め付け力を与えることになる。
【0026】
主に、緊締帯8a、8bと、ガス袋2Xが伸縮性を有するため、加圧用ベルト2a、2bは長さ方向に幾らか伸びるようになっている。これは、加圧用ベルト2a、2bを被験者の四肢に取付けた状態で被験者が運動を行うとその四肢の筋肉が太くなるので、加圧用ベルト2a、2bが伸縮性をまったく持たないと加圧用ベルト2a、2bが四肢に与える締め付け力が過剰となるからである。
【0027】
次に、加圧力制御装置1について説明する。
加圧力制御装置1の具体的な構成は、図1、図3、図4に示される。
加圧力制御装置1は、被験者の四肢に巻き付けた加圧用ベルト2a、2bのガス袋2Xに空気を送り込み、加圧用ベルト2a、2bに被験者の四肢を締め付けさせる機能を有する。それにより、加圧力制御装置1は、被験者に加圧筋力トレーニングを施術させることができる。加圧力制御装置1はまた、被験者が加圧筋力トレーニングを行う場合に被験者の四肢に対して加圧用ベルト2a、2bが与えるべき適正な締め付け圧である適正圧を決定することができるようになっている。
加圧力制御装置1は、このように、加圧筋力トレーニングを単に実行するモードと、適正圧を決定するモードとの2つのモードを実行できるようになっている。
【0028】
この実施形態の加圧力制御装置1は、必ずしもこの限りではないが、鞄型に形成されたケーシング1Xに種々の部品を取付け、或いは内蔵させて構成されている。ケーシング1Xは一般的な鞄と同様の方法で開閉自在とされている。ケーシング1Xの内部には、スペースが設けられており、不使用時の加圧用ベルト2a、2bと後述のゴムホース3a、3bを収納できるようになっている。
【0029】
加圧力制御装置1には、上述のとおり、図3に示すようにして、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着される加圧用ベルト2a、2bが取付けられるようになっている。
加圧用ベルト2a、2bは、接続部材としてのゴムホース3a、3bを介して、必要なときに、加圧力制御装置1に接続されるようになっている。ゴムホース3a、3bは、加圧用ベルト2a、2bの個数に対応して必要であり、この実施形態では2本となっている。各ゴムホース3a、3bの一端が加圧用ベルト2a、2bのガス袋2Xに連結管2Yを介して接続され、これら各ゴムホース3a、3bの他端が加圧力制御装置1に接続される。また、これらゴムホース3a、3bの先端部には、弁付きカプラ9a、9bがそれぞれ取り付けられており、この弁付きカプラ9a、9bに対して各加圧用ベルト2a、2bのガス袋が接続されている。
【0030】
加圧力制御装置1は、図3に示すように、加圧ポンプ11a、11bを備えている。加圧ポンプ11a、11bは、上述のようにして加圧用ベルト2a、2bに接続されたゴムホース3a、3bと接続され、それらに個別の制御で空気を送り込み、これら各加圧用ベルト2a、2bに設けられたガス袋2Xに空気を送り込めるようになっている。これら各加圧ポンプ11a、11bは、エアポンプである。
【0031】
加圧力制御装置1は、また、制御部12を備えている。制御部12は、加圧ポンプ11a、11bの駆動を制御するものである。
その他、制御部12は、加圧力制御装置1全体の制御を司る。
制御部12は、加圧ポンプ11a、11bを制御することにより、加圧用ベルト2a、2bに設けられたガス袋2X内の空気の圧を制御し、それにより加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与える圧を制御する。
制御部12は、図示せぬタイマを備えており、タイマが計測した時間にしたがって、算出され又は設定されたデータを加圧ポンプ11a、11bに送るようになっている。加圧ポンプ11a、11bはこのデータにしたがって制御される。
【0032】
加圧力制御装置1は、また、圧力計測部13a、13bを備えている。圧力計測部13a、13bは、ゴムホース3a、3b内の空気の圧を測定することにより、加圧用ベルト2a、2bがその時点で被験者の四肢に与えている圧を、ガス袋2Xの圧により間接的に測定するものとなっている。必ずしもこの限りではないが、この実施形態の圧力計測部13a、13bは、ゴムホース3a、3bから枝分かれした枝管と接続され、枝管内の空気の圧を測定するようになっている。圧力計測部13a、13bは、計測した空気の圧についてのデータである加圧力データを生成するようになっている。
圧力計測部13a、13bは、また、制御部12と接続されている。圧力計測部13a、13bが生成した加圧力データは、制御部12に送られるようになっている。制御部12は、加圧力データを、後述するようにして加圧ポンプ11a、11bの制御のために用いる。
【0033】
加圧力制御装置1は、また、演算部14を備えている。演算部14は、被験者の四肢に与えるべき適正な圧である適正圧を算出し、適正圧についてのデータを生成するものである。
演算部14は、圧力計測部13a、13bに接続されており、圧力計測部13a、13bから加圧力データを受付けるようになっている。演算部14は、この加圧力データを用いて、後述するようにして、脈波データを生成し、それを利用して加圧用ベルト2a、2bがその被験者の四肢に与えるべき適正圧を算出し、適正圧についてのデータを生成するようになっている。なお、本願でいう脈波検出手段は図示を省略するが演算部14に内包されている。
演算部14は、また、制御部12に接続されており、適正圧についてのデータを制御部12に送るようになっている。演算部14は、後述のようにその適正圧についてのデータも、加圧ポンプ11a、11bの制御のために用いる。
演算部14が適正圧を算出する方法については、追って詳述する。
【0034】
なお、加圧力制御装置1は、図4に示したハードウェアを含むコンピュータを内蔵している。コンピュータは、演算装置であるCPU101、CPU101が実行すべき処理を決定するプログラム、プログラムを実行するために必要なデータを記録したROM102、CPU101がプログラムを実行する場合の作業空間を提供するRAM103、外部機器とCPU101等を接続するインターフェース104を含んでおり、また、CPU101、ROM102、RAM103、インターフェース104を相互に接続するバス105を含んでいる。ROM102には例えば、後述するデューティマップや、これも後述する係数テーブルが記録される。RAM103には、様々なデータが記録されるが、RAM103の機能は記録部18が兼ねてもよい。インターフェース104には、圧力計側部13a、13b、操作部16、表示部、脈拍計測部20、加圧ポンプ11a、11b、比例バルブ15a、15b、表示部17が接続されている。
制御部12の大半の機能と、演算部14の機能は、CPU101が上記プログラムを実行することによって、形成されることになる。
【0035】
加圧力制御装置1は、また、比例バルブ15a、15bを備えている。比例バルブ15a、15bは、ゴムホース3a、3b内の圧を比例調整可能な制御バルブである。比例バルブ15a、15bの存在により、加圧用ベルト2a、2bに掛かる加圧力がPID制御により一定に保持される。必ずしもこの限りではないが、この実施形態の比例バルブ15a、15bは、圧力計測部13a、13bが接続されたのとは更に別の、ゴムホース3a、3bの基端側から枝分かれした枝管と接続され、当該枝管内の空気の圧を調整するようになっている。
比例バルブ15a、15bは、制御部12に接続されており、この制御部12からのデータにより開閉動作の制御がされる。
【0036】
制御部12には、操作部16の操作にて入力された設定圧力や、演算部14にて演算された適正圧データ、加圧用ベルト2a、2bに掛かる加圧力を表示する圧力表示、加圧時間を表示するタイマ表示等を表示するための表示部17が接続されている。表示部17は、ケーシング1Xに設けられている。この表示部17は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)等にて構成されており、制御部12で生成されたデータに基づいて、上記の他適当な表示を行うようになっている。
さらに、制御部12には、メモリである記録部18が接続されている。記録部18には、上述した適正圧データの他、操作部16で行われた操作の履歴や、異常発生の履歴、被験者の適正圧を自動的に計測する自動計測モードの解析データの一時記録や、時計データ等が記録されるようになっている。かかる記録は、制御部12が行う。
【0037】
加圧力制御装置1のケーシング1Xには、ボタン、ダイヤルなどの適宜の形態の操作部16が設けられている。操作部16は、その操作によりデータを生成するものである。操作部16は制御部12に接続されており、必要なデータを、制御部12に入力できるようになっている。操作部16の操作により、各加圧用ベルト2a、2bによる加圧力を調整するための設定圧力についてのデータの入力や、被験者に対応させた適正圧を自動的に測定する後述の適正圧自動計測モードを開始させたり終了させたりするためのモード移行を制御部12に実行させるためのデータの入力や、加圧用ベルト2a、2bの加圧動作をスタート(オン)又はストップ(オフ)させるためのデータの入力等を実行できるようになっている。
【0038】
加圧力制御装置1は、安全センサ19を備えている。安全センサ19は、被験者の身体に生じた異常を検出するものであり、被験者の身体における何らかのパラメータを測定するものとなっている。この実施形態における安全センサ19は、被験者の耳に取付けられるイヤーセンサであり、この実施形態では被験者の脈拍を検出するものとなっている。安全センサ19は脈拍計測部20を介して演算部14に接続されており、安全センサ19で得られた脈拍についてのデータは、脈拍計測部20により脈拍数についてのデータに変換され、演算部14に送られるようになっている。
演算部14は、安全センサ19から脈拍計測部20を介して受け取った被験者の脈拍数についてのデータが、加圧筋力トレーニング実行中に、例えば45回/min以上160回/min以下の適正範囲を外れた場合そのデータを制御部12に送る。制御部12はこのデータを受取ると、加圧ポンプ11a、11bによる加圧を停止させ加圧用ベルト2a、2bの加圧力を強制的に除去させるようになっている。
この加圧力の除去を強制的に行うのは、具体的には、比例バルブ15a、15bと加圧用ベルト2a、2bの間のゴムホース3a、3bに設けられた図示を省略のソレノイドバルブ、である。これらソレノイドバルブ、は、制御部12に接続されており、この制御部12による制御にしたがって、加圧力の除去を強制的に行う。なお、加圧力の強制的な除去が不要な場合は、これらソレノイドバルブを省略しても良い。
【0039】
さらに、加圧力制御装置1には、この加圧力制御装置1を構成する制御部12、圧力計測部13a、13b、演算部14、比例バルブ15a、15b、操作部16、表示部17、記録部18、脈拍計測部20等を駆動させるためのバッテリ22が取り付けられている。
【0040】
また、制御部12は、各加圧用ベルト2a、2bの加圧力を一定に維持するための圧力保持機能を有している。具体的には、制御部12は、圧力保持機能のためのPID制御を実行するようになっており、それを実現するための構成として、図5に示すように、圧力制御部であるPID制御器12Aと、操作量分配部12Bと、パルス幅変調タイマ部としてのPWMタイマ出力部12Cとを備えている。PID制御器12Aは、加圧用ベルト2a、2bの加圧力を圧力計測部13a、13bにて測定した際の観測圧力値をフィードバック制御させて、この観測圧力値と、予め設定した設定圧力値との差分を算出する。さらに、PID制御器12Aは、この差分(err)に基づいてPID制御を行い、加圧ポンプ11a、11bと比例バルブ15a、15bとの相対的な操作量uを算出する。
【0041】
操作量分配部12Bは、正の操作量を担当する加圧ポンプ11a、11bと、負の操作量を担当する比例バルブ15a、15bとの開閉量を、0を挟んで正負に分配する。すなわち、操作量分配部12Bは、加圧ポンプ11a、11b及び比例バルブ15a、15の操作量を分配する。操作量分配部12Bは、加圧ポンプ11a、11b及び比例バルブ15a、15bのいずれもが常時閉鎖しないようにするため、これら加圧ポンプ11a、11bと比例バルブ15a、15bの開閉量をヒステリシス(hys)幅ほどオーバーラップさせて調整している。なお、これら加圧ポンプ11a、11bと比例バルブ15a、15bとの開閉量のオーバーラップの幅を負の値にし、これら加圧ポンプ11a、11b及び比例バルブ15a、15bの0(停止又は閉鎖状態)付近での動作を無くし省電力化を図ることもできる。
【0042】
PWMタイマ出力部12Cには、比例バルブ15a、15bがどの程度開いている場合に、どの程度加圧ポンプ11a、11bを駆動させれば加圧用ベルト2a、2bの加圧力を維持できるかという両者の関係をマップにして示したデューティマップ(Duty MAP)が予め記録されている。
PWMタイマ出力部12Cは、このデューティマップに基づいて加圧ポンプ11a、11b及び比例バルブ15a、15bの出力値を決定するようになっている。この実施形態では、具体的には、このPWMタイマ出力部12Cは、デューティマップに基づいて比例した電圧を出力する。そして、この出力は、例えば、これら加圧ポンプ11a、11bと比例バルブ15a、15bとの操作量|u|が等しい場合に、これら加圧ポンプ11a、11bと比例バルブ15a、15bの出力値が略同じとなるようになっている。
【0043】
次に、この加圧システムの使用方法及び動作について説明する。
【0044】
まず、加圧力制御装置1の操作部16に含まれるパワースイッチを操作して電源をオンにし加圧力制御装置1を起動させる。
【0045】
起動設定時には、起動時の加圧力制御装置1の設定が表示部17に表示されるとともに、適正圧自動計測モードに移行するかどうかの確認を、加圧筋力トレーニングについての知識、技能を持つ専門家に促す表示が表示部17に表示される。かかる表示は、制御部12の制御により行われる。
指導者は、この表示部17の表示を見て適正圧自動計測モードに移行させるかどうかを選択する。この選択は操作部16の操作にて行う。適正圧自動計測モードは上述した適正圧を決定するモードである。適正圧自動計測モードへの移行を指導者が選択しなかった場合、加圧力制御装置1は、加圧筋力トレーニングを単に実行する通常のモードを実行する。
後述するように生成されたその被験者用の適正圧データが記録部18に記録されているのであれば、指導者はその適正圧データを用いて加圧力制御装置1に被験者に対して加圧筋力トレーニングを実行させてもよいが、先に作った適正圧データが記録部18に記録されている場合であっても、被験者の健康状態に変化があったり、また被験者がよりハイレベルの加圧筋力トレーニングを希望した場合等、指導者が適正圧を改めて算出して設定し直すべきと判断した場合等には、指導者が操作部16を操作して、適正圧自動計測モードへの移行を行い、加圧力制御装置1に適正圧自動計測モードを実行させる。
以下、適正圧自動計測モードが選択されたものとして、説明を続ける。
【0046】
適正圧自動計測モードが実行されるとき、指導者は、操作部16を操作して、加圧用ベルト2a、2bにて加圧する部位を「腕」と「脚」から選択し、その選択結果を、操作部16の操作により入力する。また、指導者は選択した部位、つまり被験者の「腕」と「脚」のいずれかの基端付近の適当な部位に、加圧用ベルト2a、2bを装着させる。
この状態で、指導者は操作部16を操作して加圧ポンプ11a、11bを駆動させるためのデータを入力する。このデータは、制御部12を介して加圧ポンプ11a、11bに送られ、加圧ポンプ11a、11bが駆動する。加圧ポンプ11a、11bは制御部12の制御下で、加圧用ベルト2a、2bのガス袋2Xに空気を送り、例えば13mmHg程度の圧力を各加圧用ベルト2a、2bに加える。
【0047】
この状態で、指導者は、被験者の所定の部位に装着された加圧用ベルト2a、2bの締め付け具合を調整し、各加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与える加圧力が、例えば40mmHg程度の所定の装着圧となるように調整する。装着圧は、加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与える初期の圧であり、以後のガス袋2X内の空気の圧の変動によって加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与えることになる圧の所謂0点となるものである。
かかる調整を行うことにより、加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与える締め付け力は予定した通りのものとなる。
【0048】
各圧力計測部13a、13bにて計測される各加圧用ベルト2a、2bの加圧力が、予め定めた所定の加圧力、例えば80mmHgより大きくなった場合には、制御部12が加圧力異常と判断して、表示部17に所定の警告表示を表示させる。
この場合には、指導者は、再度加圧用ベルト2a、2bの締め付けの程度を調整する。
【0049】
次いで、ウォーミングアップとして、操作部16を操作して各加圧用ベルト2a、2bの加圧力を段階的に調整する。このとき、各加圧用ベルト2a、2bを腕に装着している場合は、指導者の経験から被験者の適正圧と思われる加圧力より30mmHgほど低い圧力を第1段階の加圧力とし、この第1段階の加圧力に10mmHgほどの圧力を加えた圧力を第2段階の加圧力とし、この第2段階の加圧力に10mmHgほどの圧力を加えた圧力を第3段階の加圧力として、段階的に増加させていく。この場合の圧の設定は、操作部16の操作により指導者がマニュアルで行う。操作部16からの入力にしたがい、制御部16は、加圧ポンプ11a、11bを制御する。各段階の加圧力を各加圧用ベルト2a、2bに加えた際には、被験者の肘を中心とした屈曲運動をさせる。
【0050】
一方、各加圧用ベルト2a、2bを脚に装着している場合は、被験者の適正圧と思われる加圧力より60mmHgほど低い圧力を第1段階の加圧力とし、この第1段階の加圧力に20mmHgほどの圧力を加えた圧力を第2段階の加圧力とし、この第2段階の加圧力に20mmHgほどの圧力を加えた圧力を第3段階の加圧力として、段階的に増加させていく。各段階の加圧力を各加圧用ベルト2a、2bに加えた際には、被験者の膝を中心とした屈曲運動をさせる。
【0051】
このウォーミングアップ時には、被験者の四肢に好ましくはない止血が生じているか否かを判定する止血判定時間が設けられている。この止血判定時間は10秒程度である。止血判定時間内においては、圧力計測部13a、13bが計測する被験者の脈拍振幅が制御部12に送られ、これが、予め設定した下限値を下回る時間が例えば5秒以上続いたことを示した場合には、制御部12は被験者の四肢に止血状態が生じたと判定して、加圧ポンプ11a、11bに空気の供給を停止させるとともに、ソレノイドバルブ、を開放動作させて、加圧用ベルト2a、2bによる加圧を停止させる。
【0052】
他方、止血状態が生じたと判定されなかった場合、ウォーミングアップが正常に終了する。ウォーミングアップが正常に終了した場合、指導者は操作部16を操作して制御部12に対して入力を行い、加圧用ベルト2a、2bのガス袋2Xに供給された空気を抜き、これら加圧用ベルト2a、2bの加圧力を取り除く。
【0053】
次いで、指導者は、操作部16を操作して適正圧自動計測モードを開始させる。
適正圧自動計測モードが開始されると、加圧ポンプ11a、11bが駆動し、ガス袋2Xに空気が送られ、加圧用ベルト2a、2bに、適正圧と目されるより高い所定の圧が加えられる。適正圧と目されるより高い所定の加圧力は、例えば、その圧を加えれば、圧を加えられた被験者の四肢に止血が生じる圧(止血圧)とすることができ、この実施形態ではそうされている。この実施形態では、ほとんどの被験者で止血が生じる、ガス袋2X内の空気の圧が380mmHgに達するまで、まず圧を上昇させることとする。なお、この圧は、必ずしもこの限りではないが、操作部16の操作により指導者が入力するようになっている。
ついで、加圧ポンプ11a、11bの駆動を停止させるとともに、比例バルブ15a、15bを開放動作させて、各加圧用ベルト2a、2bに掛かる加圧力を徐々に適正圧と目される圧よりも明らかに小さい圧まで、例えば20mmHgまで下げていく。この処理は、その処理を実行させるための入力を指導者が操作部16から制御部12に入力することで行うようにしてもよいが、この実施形態では、ガス袋2X内の圧が380mmHgに達すると、制御部12が加圧ポンプ11a、11b、比例バルブ15a、15bにデータを送ることにより自動的に行われる。
【0054】
ガス袋2X内の圧が落ちて行く間中、圧力計測部13a、13bは、ガス袋2X内の空気の圧を測定し、加圧力データを生成する。
生成された加圧力データは、演算部14へ送られる。加圧力データには、加圧ポンプ11a、11bによるガス袋2Xへの空気の注入或いは排気や、被験者が運動をすることによって生じる大きな空気の圧の変動のデータに、被験者の脈波の脈波振幅によって生じる非常に微小な空気の圧の変動のデータが乗ったものとなっている。
加圧力データを受取った演算部14は、加圧力データからその脈波振幅に基づく空気の圧のデータを分離して脈波振幅についての脈波データを生成する。そして、その分離した脈波データが示す脈波振幅(Y)をガス袋2X内の空気の圧(X)の関数とする。その関数(振幅曲線)を、図6に示す。なお、図6中に記された白い○は測定値であり、Aが振幅曲線である。
既に述べたように、ガス袋2X内の圧を高めていくと、つまり、加圧用ベルト2a、2bが四肢に与える圧を大きくしていくと、脈波振幅は大きくなり、その後小さくなる。ところで、理想的には脈波振幅は、ガス袋2X内の空気の圧が大きくなるにつれてガス袋2X内の空気の圧に対して放物線状に落ちて行くはずなのであるが、加圧用ベルト2a、2bには多少の伸びが許容されているので、加圧用ベルト2a、2bの伸びが生じ始めると(これに加えて、ガス袋2Xの膨張方向が四肢の中心方向に向かうのではなく、緊締帯8a、8bの幅方向に向かう影響もあると考えられる。)、ガス袋2X内の空気の圧が高まっても、脈波振幅はそれほど小さくならなくなる状態が生じる。そのような減少が生じる点が、図6にα1として示された変曲点である。
この実施形態の演算部14は、この変曲点α1におけるガス袋2X内の空気の圧に基づいて、適正圧を決定する。
なお、この実施形態では、ガス袋2X内の空気の圧を徐々に下げて行くので、振幅曲線Aは、図6における右から左に描かれて行くこととなるが、ガス袋2X内の空気の圧を上げていく場合と下げていく場合とで振幅曲線Aに殆ど変化がないことは本願発明者らの研究の結果明らかになっている。
なお、この実施形態では、振幅曲線Aを得るためにガス袋2X内の空気の圧を下げていくこととしたが、これを上げていくことにより振幅曲線Aを得ることができる。ただし、ガス袋2X内の空気の圧を上げていく場合には、加圧ポンプ11a、11bが生じる振動がノイズとして加圧力データに乗り易いため、ガス袋2X内の空気の圧を下げつつ振幅曲線Aを得る方が好ましい。
【0055】
変曲点の求め方も含めた適正圧の決定の方法は以下の通りである。
演算部14は、振幅曲線Aをガス袋2X内の空気の圧で2回微分して、それが0となる点(0クロス点)を求める。原則として、ここが変曲点となるが、この実施形態の演算部14は、振幅曲線Aを一回微分して、振幅曲線Aの脈波振幅の最大値となる点Bよりもガス袋2X内の空気の圧が高い側における最小値(絶対値の最大値)が0クロス点と一致した場合には、当該0クロス点を変曲点であると決定する。なお、それらが一致しなかった場合には、振幅曲線Aの生成の過程のどこかにエラーがあったとして、適正圧自動計測モードを最初からやり直す。
次いで、演算部14は、振幅曲線Aの変曲点α1に接線C(この接線Cは、負の傾きを有する直線(右下がりの直線)となる。)を引き、この接線Cと、振幅0(ゼロ)の線(X軸)に交わる点である基準点β1を求める。基準点β1の圧は、適正圧を求めるための基準となる圧(基準圧力)である。
そして、演算部14は、上記基準圧力に基づいて、その被験者についての適正圧を最終決定する。必ずしもこの限りではないが、この実施形態では、図7に示した係数テーブルが用いられる。係数は、図7に示したように、初級の1〜3、中級の4〜6、上級の7〜9、アスリートの10の10段階であり、そのそれぞれに補正率なる係数が対応付けられている。この係数は、被験者の加圧筋力トレーニングに対する耐性と関連付けられたものであり、経験則から求められたものである。この時点で(もっとも、以下の選択は例えば適正圧自動計測モードの時点で行われるようになっていてもよい。)、指導者は、その被験者が1〜10のどの段階であるかを、操作部16を用いて選択する。これにより入力されたデータは制御部12を介して演算部14に送られる。演算部14は、このデータに対応付けられた補正率を選択し、それを基準圧力に乗じる。
例えば、レベル1の初級者の場合には、基準圧力の0.40倍の圧が、また、レベル9の上級者の場合には、基準圧力の0.85倍の圧が、それぞれその被験者の適正圧として決定される。
このようにして、適正圧が決定される。
なお、この実施形態では、基準圧力に被験者の加圧筋力トレーニングに対する耐性と関連付けられた、選択された係数が乗じられるものとしたが、例えば被験者の加圧筋力トレーニングに対する耐性が一定の範囲内であることが予め判っている場合や、初心者向けの加圧力制御装置1とする場合などには、選択の過程を経ずに、0.60前後の係数を自動的に乗じるようにしてもよい。
また、この実施形態では、基準圧力に0〜1の間の適当な補正率を乗じて基準圧力を導くこととしていたが、例えば、基準圧力から10〜50mmHgの間の適当な圧を減じて、適正圧を導くことも可能である。この場合にも、加圧筋力トレーニングに対する耐性に応じて何mmHgを引けば良いかというテーブルを作成しておくことができ、また、そのようなテーブルなしに一律の圧を基準圧力から引くこととすることができる。
【0056】
なお、適正圧の決定の仕方は以上の方法に限られない。以下のような変形例を用いることも可能である。
この変形例でも、演算部14は、図6に示したのと同様の振幅曲線Aを生成し、変曲点α1を求める(図8)。振幅曲線Aの生成方法、変曲点α1の求め方は、上述の場合と同じでよい。
次いで、この変形例では、変曲点α1に、その接線に垂直な法線Dを引き、法線Dが振幅0(ゼロ)の線に交わる交点Eを求める。
この変形例の方法では、この交点Eの圧に、例えば20〜30の間の所定の数をかけたものを、基準圧力とすることとしている。基準圧力から最終的な適正圧を求める方法は、上述の場合と同じで構わない。
【0057】
なお、適正圧の決定は更に、以下のような他の変形例によることも可能である。
この変形例でも、演算部14は、図6に示したのと同様の振幅曲線Aを生成し、変曲点α1を求める(図9)。振幅曲線Aの生成方法、変曲点α1の求め方は、上述の場合と同じでよい。
次いで、この変形例では、振幅曲線A上の変曲点α1の両隣に、ガス袋2X内の圧が僅かだけ大きい点と小さい点か、脈波振幅が僅かだけ大きい点と小さい点か、変曲点からの距離が僅かだけ離れている点か、或いは変曲点からの振幅曲線上の距離が僅かΔLだけ離れている点を求め、α1、F、Gの3点のすべてを通る曲線Hを求める。なお、この曲線Hは、加圧用ベルト2a、2bに伸びが無い場合の振幅曲線の近似曲線となる。そして、この曲線が振幅0(ゼロ)の線に交わる交点β1を求め、その点の圧をこの変形例を用いた場合における適正圧とする。
なお、交点β1における圧を基準圧力とし、この基準圧力から最終的な適正圧を求めるようになっていてもよい。最終的な適正圧を求める方法は、上述の場合と同じで構わない。
【0058】
以上のようにして算出された適正圧についてのデータを演算部14は生成し、そして、それを制御部12に送る。被験者の適正圧は、制御部12により表示部17に表示される。さらに、この適正圧データは、制御部12により記録部18に記録される。
【0059】
そして、この適正圧が設定された状態で、指導者が操作部16を操作して、運転モードに移行させる。運転モードは、上述した、加圧筋力トレーニングを単に実行する通常のモードである。
運転モードを実行する場合には、被験者の耳に安全センサ19を装着させる。
【0060】
この運転モードが実行されると、制御部12の制御下で加圧ポンプ11a、11bが駆動し、被験者の四肢に巻き付けられた加圧用ベルト2a、2bの緊締帯8a、8bのガス袋2Xに空気が供給され、被験者の筋肉に適正圧が与えられた状態となる。制御部12は、ガス袋2X内の空気の圧が、記録部18に記録された適正圧データ通りの適正圧となるように、加圧ポンプ11a、11bを駆動する。
被験者はそのまま加圧筋力トレーニングを行っても良いし、或いは、加圧用ベルト2a、2bの弁付きカプラ9a、9bをゴムホース3a、3bから取り外してから加圧筋力トレーニングを行ってもよい。加圧筋力トレーニングは運動を伴っても良いし、そうでなくてもよい。なお、加圧用ベルト2a、2bの弁付きカプラ9a、9bをゴムホース3a、3bから取り外しても、弁付きカプラ9a、9bの弁を操作しない限り、ガス袋2X内の空気は抜けないので、加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与える圧は保たれる。
【0061】
各加圧用ベルト2a、2bを弁付きカプラ9a、9bの位置で加圧力制御装置1から取り外さなかった場合であって、被験者が運動等を行った際に、加圧用ベルト2a、2bの装着部位に適正圧以上の圧力が掛かった場合には、圧力計測部13a、13bにて測定された加圧用ベルト2a、2bの締め付け圧がPID制御器12Aにてフィードバック制御される。具体的には、圧力計測部13a、13bが生成した加圧力データが示すその時点におけるガス袋2X内の空気の圧と、記録部18に記録された適正圧データが示す適正圧との差分を、両データを受取った制御部12が算出し、制御部12はこの差分に基づいてPID制御を実行する。制御部12は、加圧ポンプ11a、11bと比例バルブ15a、15bとの相対的な操作量uを算出し、これを操作量分配部12Bに送る。
操作量分配部12Bは、受取った操作量uに基づいて、加圧ポンプ11a、11b及び比例バルブ15a、15bの操作量を分配する。また、予め記録されたデューティマップに基づいて、加圧ポンプ11a、11b及び比例バルブ15a、15bの出力値がPWMタイマ出力部12Cにて決定され、これら加圧ポンプ11a、11b及び比例バルブ15a、15bが適宜駆動する。このようにして、加圧用ベルト2a、2bの加圧力が被験者の適正圧に自動修正され続けることになる。
被験者が運動した場合には四肢の筋肉が太くなったり細くなったりしてガス袋2X内の空気の圧が変動する。上述の自動修正は、そのような圧の変動を補償するものである。
【0062】
また、運転モードで被験者に加圧筋力トレーニングを実行させている場合には、上述したように、被験者の耳に安全センサ19を装着させている。安全センサ19は、上述したように被験者の脈拍を常時検出しており、安全センサ19により計測されたデータに基づいて脈拍計測部20にて計測された被験者の脈拍数が、例えば45回/min以上160回/min以下の適正範囲を外れた場合には、それが制御部12に伝えられる。その場合制御部12は、加圧ポンプ11a、11bの駆動を停止するので、加圧用ベルト2a、2bの加圧力は除かれる。この場合、運転モードは終了する。
【0063】
また、運転モードの実行中においては、制御部12のタイマにより運転モードが終了したかどうかが監視されており、指導者が設定した所定の加圧時間が経過した場合に、運転モードが終了したと判断して運転モードが終了し、制御部12の制御下で、加圧ポンプ11a、11bによる加圧用ベルト2a、2bの加圧が停止される。
【0064】
なお、以上の実施形態では、脈波振幅は圧力計側部13a、13bで生成された加圧力データから分離して得られることとなっていた、つまり加圧用ベルト2a、2bのガス袋2X内の空気の圧から得られるものとなっていたが、これには限られない。
脈波振幅を測定することのできる脈波計が例えば市販されているので、加圧用ベルト2a、2bが装着された四肢の加圧用ベルト2a、2bが装着された部分か、或いはそれよりも四肢の末端側で当該脈波計により脈波振幅を測定することとし、当該脈波計が生成した脈波データを演算部14に入力することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 加圧力制御装置
2a、2b 加圧用ベルト
3a、3b ゴムホース
8a、8b 緊締帯
9a、9b 弁付きカプラ
11a、11b 加圧ポンプ
12 制御部
12A PID制御器
12B 操作量分配部
12C PWMタイマ出力部
13a、13b 圧力計測部
14 演算部
15a、15b 比例バルブ
16 操作部
17 表示部
18 記録部
19 安全センサ
20 脈拍計測部
22 バッテリ
A 振幅曲線
B 最大振幅値
C 接線
D 法線
E 交点
F、G 点
H 近似曲線
α1 変曲点
β1 基準点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を出し入れすることのできるガス袋を備えており、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着された状態で、それが装着された被験者の四肢に対して、前記ガス袋へ入れられた空気の量に基づく任意の所定の圧を与えられるように構成された、全体として長さ方向への伸びが許容された、帯状の加圧用ベルトと、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で、前記ガス袋内へ空気を入れ又は出すことにより前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与える圧を制御する圧制御手段と、
前記ガス袋へ入れられた空気の圧を測定しその時点の空気の圧である加圧力データを生成する圧計測手段と、
前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定し、脈波振幅についての脈波データを生成する脈波測定手段と、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与えるのに適正な圧である適正圧を決定する適正圧決定手段と、
を備えてなる加圧筋力トレーニングの適正圧決定システムであって、
前記適正圧決定手段は、前記適正圧を決定する際に、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で前記圧制御手段によって前記ガス袋内の圧が前記適正圧と目される圧を挟んで変化させられる間に、前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波測定手段から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とするようになっているとともに、
当該関数を、脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲で、ガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる前記関数の変曲点を求めるようになっており、
その変曲点に基づいて適正圧を決定するようになっている、
適正圧決定システム。
【請求項2】
前記適正圧決定手段は、前記変曲点に基づいて前記被験者に与えることのできる圧の最大値である基準圧力を決定してから、前記基準圧力に基づいて前記適正圧を決定するようになっており、
前記適正圧決定手段は、前記基準圧力に0〜1の間の所定の数を乗じたものを前記適正圧として決定するようになっている、
請求項1記載の適正圧決定システム。
【請求項3】
加圧筋力トレーニングに対する耐性を示す係数を加圧筋力トレーニングに対する耐性と関連付けて記載したテーブルである補正係数テーブルを記録するテーブル記録手段と、
適正圧が決定される被験者の加圧筋力トレーニングに対する耐性を特定するデータを入力するための入力手段と、
を備えており、
前記適正圧決定手段は、前記被験者に与えることのできる圧の最大値である基準圧力を決定してから、前記基準圧力に基づいて前記適正圧を決定するようになっており、
前記適正圧決定手段は、前記変曲点に基づいて、前記適正圧を決定するに先立って、前記入力手段から、前記加圧筋力トレーニングに対する耐性を特定する前記データを受取るとともに、当該データに関連付けられた前記係数を前記テーブル記録手段から読み出し、当該係数を前記基準圧力に乗じたものを前記適正圧として決定するようになっている、
請求項1記載の適正圧決定システム。
【請求項4】
前記適正圧決定手段は、前記変曲点における前記関数の接線が前記脈波振幅が0の線と交わる点における前記ガス袋内の空気の圧を、前記基準圧力と決定するようになっている、
請求項2又は3記載の適正圧決定システム。
【請求項5】
前記適正圧決定手段は、前記変曲点における前記関数の接線と直交する前記変曲点を通る直線である法線が前記脈波振幅が0の線と交わる点における前記ガス袋内の空気の圧に10以上の所定の数を乗じたものを、前記基準圧力と決定するようになっている、
請求項2又は3記載の適正圧決定システム。
【請求項6】
前記適正圧決定手段は、前記変曲点に加えて、次の(1)〜(4)で求められる2点を求め、当該2点と前記変曲点の3点を通る曲線が前記脈波振幅が0の線と交わる点における前記ガス袋内の空気の圧を、前記基準圧力と決定するようになっている、
請求項2又は3記載の適正圧決定システム。
(1)変曲点の両隣に位置する、ガス袋内の圧が僅かだけ大きい点と小さい点
(2)変曲点の両隣に位置する、脈波振幅が僅かだけ大きい点と小さい点
(3)変曲点の両隣に位置する、変曲点からの距離が等しい点
(4)変曲点の両隣に位置する、変曲点からの振幅曲線上の距離が等しい点
【請求項7】
前記適正圧決定手段は、前記変曲点に加えて、次の(1)〜(4)で求められる2点を求め、当該2点と前記変曲点の3点を通る曲線が前記脈波振幅が0の線と交わる点における前記ガス袋内の空気の圧を、前記適正圧と決定するようになっている、
請求項1記載の適正圧決定システム。
(1)変曲点の両隣に位置する、ガス袋内の圧が僅かだけ大きい点と小さい点
(2)変曲点の両隣に位置する、脈波振幅が僅かだけ大きい点と小さい点
(3)変曲点の両隣に位置する、変曲点からの距離が等しい点
(4)変曲点の両隣に位置する、変曲点からの振幅曲線上の距離が等しい点
【請求項8】
前記圧制御手段は、ガス袋内の空気の圧が、被験者の適正圧と目されるよりも高くなるまで一旦前記ガス袋内の空気の圧を高めた後その圧を低めるようになっており、
前記適正圧決定手段は、前記ガス袋内の空気の圧が低められている間に前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波測定手段から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とするようになっている、
請求項1記載の適正圧決定システム。
【請求項9】
前記脈波測定手段は、前記加圧力データを受け付け、前記ガス袋へ入れられた空気の圧に重畳している前記脈波振幅を前記加圧力データから分離して生成するようになっている、
請求項1記載の適正圧決定システム。
【請求項10】
前記脈波測定手段は、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定する脈波計である、
請求項1記載の適正圧決定システム。
【請求項11】
前記適正圧決定手段が決定した前記適正圧を記録する適正圧記録手段を備えており、
前記圧制御手段は、前記ガス袋内の空気の圧を前記適正圧に保つことで、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の血流を阻害させて、前記被験者に筋力トレーニングを行わせることができるようになっている、
請求項1記載の適正圧決定システム。
【請求項12】
空気を出し入れすることのできるガス袋を備えており、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着された状態で、それが装着された被験者の四肢に対して、前記ガス袋へ入れられた空気の量に基づく任意の所定の圧を与えられるように構成された、全体として長さ方向への伸びが許容された、帯状の加圧用ベルトと組合せて用いられるものであり、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与えるのに適正な圧である適正圧を決定する適正圧決定装置であって、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で、前記ガス袋内へ空気を入れ又は出すことにより前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与える圧を制御する圧制御手段と、
前記ガス袋へ入れられた空気の圧を測定しその時点の空気の圧である加圧力データを生成する圧計測手段と、
前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定し、脈波振幅についての脈波データを生成する脈波測定手段と、
前記適正圧を決定する適正圧決定手段と、
を備えてなり、
前記適正圧決定手段は、前記適正圧を決定する際に、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で前記圧制御手段によって前記ガス袋内の圧が前記適正圧と目される圧を挟んで変化させられる間に、前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波測定手段から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とするようになっているとともに、
当該関数を、脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲で、ガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる前記関数の変曲点を求めるようになっており、
その変曲点に基づいて適正圧を決定するようになっている、
適正圧決定装置。
【請求項13】
空気を出し入れすることのできるガス袋を備えており、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着された状態で、それが装着された被験者の四肢に対して、前記ガス袋へ入れられた空気の量に基づく任意の所定の圧を与えられるように構成された、全体として長さ方向への伸びが許容された、帯状の加圧用ベルトと、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定し、脈波振幅についての脈波データを生成する脈波計と、組合せて用いられるものであり、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与えるのに適正な圧である適正圧を決定する適正圧決定装置であって、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で、前記ガス袋内へ空気を入れ又は出すことにより前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与える圧を制御する圧制御手段と、
前記ガス袋へ入れられた空気の圧を測定しその時点の空気の圧である加圧力データを生成する圧計測手段と、
前記適正圧を決定する適正圧決定手段と、
を備えてなり、
前記適正圧決定手段は、前記適正圧を決定する際に、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で前記圧制御手段によって前記ガス袋内の圧が前記適正圧と目される圧を挟んで変化させられる間に、前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波計から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とするようになっているとともに、
当該関数を、脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲で、ガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる前記関数の変曲点を求めるようになっており、
その変曲点に基づいて適正圧を決定するようになっている、
適正圧決定装置。
【請求項14】
空気を出し入れすることのできるガス袋を備えており、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着された状態で、それが装着された被験者の四肢に対して、前記ガス袋へ入れられた空気の量に基づく任意の所定の圧を与えられるように構成された、全体として長さ方向への伸びが許容された、帯状の加圧用ベルトと組合せて用いられるものであり、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で、前記ガス袋内へ空気を入れ又は出すことにより前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与える圧を制御する圧制御手段と、
前記ガス袋へ入れられた空気の圧を測定しその時点の空気の圧である加圧力データを生成する圧計測手段と、
前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定し、脈波振幅についての脈波データを生成する脈波測定手段と、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与えるのに適正な圧である前記適正圧を決定する、コンピュータを含んで構成される適正圧決定手段と、
を備えてなる適正圧決定装置、
で実行される方法であって、
前記適正圧決定手段が、前記適正圧を決定する際に、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で前記圧制御手段によって前記ガス袋内の圧が前記適正圧と目される圧を挟んで変化させられる間に、前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波測定手段から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とする過程、
当該関数を、脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲で、ガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる前記関数の変曲点を求める過程、
その変曲点に基づいて適正圧を決定する過程、
を含む適正圧決定方法。
【請求項15】
空気を出し入れすることのできるガス袋を備えており、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着された状態で、それが装着された被験者の四肢に対して、前記ガス袋へ入れられた空気の量に基づく任意の所定の圧を与えられるように構成された、全体として長さ方向への伸びが許容された、帯状の加圧用ベルトと、前記被験者の前記加圧用ベルトが装着された四肢の前記加圧用ベルトが装着された部位又はそれより末端側の前記被験者の脈波振幅を測定し、脈波振幅についての脈波データを生成する脈波計と、組合せて用いられるものであり、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で、前記ガス袋内へ空気を入れ又は出すことにより前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢に与える圧を制御する圧制御手段と、
前記ガス袋へ入れられた空気の圧を測定しその時点の空気の圧である加圧力データを生成する圧計測手段と、
前記適正圧を決定する適正圧決定手段と、
を備えてなる適正圧決定装置、
で実行される方法であって、
前記適正圧決定手段が、前記適正圧を決定する際に、
前記加圧用ベルトが前記被験者の四肢のいずれかに装着された状態で前記圧制御手段によって前記ガス袋内の圧が前記適正圧と目される圧を挟んで変化させられる間に、前記圧計測手段から前記加圧力データを、前記脈波計から前記脈波データをそれぞれ受付けることにより、脈波振幅をガス袋内の空気の圧の関数とする過程、
当該関数を、脈波振幅が最大となる点よりもガス袋内の空気の圧が大きい範囲で、ガス袋内の空気の圧で2回微分してそれが0になる前記関数の変曲点を求める過程、
その変曲点に基づいて適正圧を決定する過程、
を含む適正圧決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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