遮水壁
【課題】 遮水シートの取り付けが容易となる遮水壁を提供する。
【解決手段】 平坦部14と凹部15とが交互に現れる矢板構造の前面に変形性及び保形性を有する遮水シート31が、第1吊り具34を介して鋼管18に吊り下げられた状態で展張される。長アーム48を介して成型ローラー49を遮水シート31に対して押圧しながら下方に移動させることによって、遮水シート31を凹部15に沿った形状に変形させる。変形が終わると鋼管47a,鋼管47bを凹部15bの下方部に固定された鞘管17a,鞘管17bに挿入すると共にその上部を凹部15bに固定する。これによって遮水シート31の取付けが容易となると共にその変形状態が鋼管47によって確実に保持されるため、遮水壁全体の信頼性が向上する。
【解決手段】 平坦部14と凹部15とが交互に現れる矢板構造の前面に変形性及び保形性を有する遮水シート31が、第1吊り具34を介して鋼管18に吊り下げられた状態で展張される。長アーム48を介して成型ローラー49を遮水シート31に対して押圧しながら下方に移動させることによって、遮水シート31を凹部15に沿った形状に変形させる。変形が終わると鋼管47a,鋼管47bを凹部15bの下方部に固定された鞘管17a,鞘管17bに挿入すると共にその上部を凹部15bに固定する。これによって遮水シート31の取付けが容易となると共にその変形状態が鋼管47によって確実に保持されるため、遮水壁全体の信頼性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は遮水壁に関し、特に廃棄物処分場に用いられる遮水壁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処分場の1つの構造として鋼製矢板等によって形成される鉛直の矢板構造の前面(処分場側)に遮水シートを取り付けて構成されている遮水壁が知られている。これによって処分場に投下された物品等を遮水壁によって周りから隔離することが可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の遮水壁にあっては、矢板を海中に投下して矢板構造を設置した後、その前面に保形性を有する遮水シートを展張する。そして矢板構造の前面の形状に合わせて潜水士によって遮水シートを変形させる。その後、矢板構造に取り付けられたボルトを遮水シートに貫通させ、これをシールした状態で遮水シートを固定するのが一般的である。
【0004】
しかしながら、このような遮水壁にあっては潜水士による作業があるため、遮水壁が長いと遮水シートの取り付けに多大な時間が掛かってしまう。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、遮水シートの取り付けが容易となる遮水壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、遮水壁であって、不透水性地層に打ち込まれた矢板構造と、矢板構造の前面に固定され、上下に伸びる少なくとも1本の管と、不透水性地層より上に配置され、矢板構造の管との間に展張された遮水シートとを備えたものである。
【0007】
このように構成すると、遮水シートは矢板構造から離れようとする動きは管によって阻止される。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、矢板構造は垂直方向に伸びる平坦部と凹部とが交互に現れるように構成され、管は凹部に固定されるものである。
【0009】
このように構成すると、遮水シートは凹部に沿うように展張される。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、凹部の下方に固定され、管の下方端が挿入自在の鞘管を更に備えたものである。
【0011】
このように構成すると、管は鞘管に挿入するとその下端が固定される。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、鞘管はその下端が矢板構造の打ち込み部分の上端に位置するように取り付けられるものである。
【0013】
このように構成すると、鞘管の下端は不透水性地層の上面に位置する。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、遮水シートの下端部を覆うように不透水性地層の上に形成された止水材を更に備えたものである。
【0015】
このように構成すると、遮水シートの下端と不透水性地層との間に露出した矢板構造が止水材で遮水される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、遮水シートが矢板構造から離れようとする動きは管によって阻止されるため、遮水シートと矢板構造との間に海水が流入した場合であっても遮水シートの変形が押さえられるため遮水壁の信頼性が向上する。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、遮水シートは凹部に沿うように展張されるため、矢板構造との一体性が高まり、安定した遮水効果を発揮する。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、管は鞘管に挿入するとその下端が固定されるため、管の凹部への取り付けが容易となる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、鞘管の下端は不透水性地層の上面に位置するため、矢板構造の打ち込みに障害とはならない。又、管の下端位置を最大に下げられるため、遮水シートの下端位置も下げられることになり効率的な遮水壁となる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、遮水シートの下端と不透水性地層との間に露出した矢板構造が止水材で遮水されるため、遮水壁全体の遮水効果が完全となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1はこの発明の第1の実施の形態による遮水壁に用いられる鋼製矢板構造の概略構成を示した図であり、図2は図1で示したII−IIラインの拡大断面図であり、図3は図1の鋼製矢板構造に用いられる矢板の一部を取り出した概略斜視図である。
【0022】
これらの図を参照して、この実施の形態に用いられる鋼製矢板構造13は垂直方向に伸びる平坦部14a〜平坦部14cと凹部15a〜凹部15cとが交互に現れる構造となっている。凹部15の部分は図3に示されているような鋼製矢板26によって構成されている。鋼製矢板26は、細長い矩形形状を有する垂直壁部27と、垂直壁部27の垂直方向の両辺に接続され垂直壁部27から離れるにつれて相互にその間隔が大きくなる一対の側壁部28a,側壁部28bとから主に構成されている。
【0023】
垂直壁部27の上方部にはL字状のフック20が取り付けられている。垂直壁部27の下方部には下端から一定距離離れた位置に上下に100mm程度伸びる一対の鞘管17a,鞘管17bが取り付けられている。この実施の形態にあっては、フック20及び鞘管17a,鞘管17bはそれぞれ溶接にて鋼製矢板26に固定されている。又、鞘管17a,鞘管17bは少なくともその上面が開放された状態となっている。更に、鋼製矢板構造13の上方に、平坦部14および凹部15を横切るように鋼管18が取り付けられている。鋼管18は鋼製矢板構造13から所定の間隔をあけて取り付けらているが、この理由については後述する。
【0024】
鋼製矢板構造13の平坦部14は、鋼製矢板26とほぼ同一形状でフック20及び鞘管17a,鞘管17bが取り付けられていない形状の鋼製矢板によって構成されている。すなわち、鋼製矢板26と鋼製矢板26とほぼ同一の外観形状を有する鋼製矢板とを交互に連結状態として不透水性地層23に打ち込むことによって鋼製矢板構造13は構成されている。この時鞘管17a,鞘管17bは、その下端が鋼製矢板構造13が不透水性地層23に打ち込まれた状態において不透水性地層23の上面に位置するように垂直壁部27に固定されている。これによって図2に示すように鋼製矢板構造13が不透水性地層23に打ち込まれた状態にあって鞘管17aの下端は、不透水性地層23の上面に整列することになる。
【0025】
図1に戻って、この鞘管17a,鞘管17bは鋼製矢板構造13を構成するすべての凹部15に対して取り付けられており、同様にフック20もすべての凹部15に対して取り付けられている。このようにして構成される鋼製矢板構造13は廃棄物処分場を全周囲うように連続的に設置されている。そして鋼製矢板構造13の外方側には中詰土砂24が充填されており、一方鋼製矢板構造13の内面側には保有水21が存在することになる。上述のように鋼製矢板構造13は不透水性地層23に打ち込まれた状態に設置されるため、鋼製矢板構造13を介して内面側と外面側とは遮水状態に保持される。
【0026】
図4は図1で示した鋼製矢板構造13の内面側に遮水シートを展張する場合の展張状態を示した概略図である。
【0027】
図を参照して、架台32に巻回状態にして保持された遮水シート31は、鋼製矢板構造13の外面側の中詰土砂24上に設置される。この状態からその先端を引き出し、鋼製矢板構造13の内面側に展張する。この時、遮水シート31の先端の辺にはワイヤ36が固定され、これをウインチ35によって巻き取ることによって遮水シート31を展張する。展張された遮水シート31は、鋼製矢板構造13の内面側に降下する前に展張時に上辺側となる辺に複数の第1吊り具34と第2吊り具40とが交互に取り付けられる。
【0028】
この実施の形態にあっては、遮水シート31として互いに接続される1枚の遮水シートごとに2つの第1吊り具34と2つの第2吊り具40とが取り付けられている。そして、第1吊り具34は、その外方端が鋼管18に取り付けられる。これによって遮水シート31は鋼管18に取り付けられた第1吊り具34によって吊り上げられた状態となる。第1吊り具34の鋼管18への取り付け状態は、後述するように鋼管18に沿って水平方向に移動自在となるように構成されている。そのためウインチ35を駆動してワイヤ36を巻回することによって、遮水シート31は保有水21にその一部を浸けた状態で鋼製矢板構造13の内面側を水平方向に進行することになる。
【0029】
図5は図4で示した遮水シート31の概略構成を示した断面図である。
【0030】
図を参照して、遮水シート31は、エチレン酢酸ビニル(EVA)からなる遮水層37と、ポリエチレン等の不織布からなる保護層38とが一体となって構成されている。遮水層37の内部には金網39が埋設されており、これによって遮水シート31に対して変形性と保形性とを与えている。
【0031】
図6は、図1に対して図4で示した遮水シート31の展張状態を示した概略構成図であり、図7は図6で示したVII−VIIラインの拡大断面図である。
【0032】
これらの図を参照して、鋼製矢板構造13の内面側に展張された遮水シート31の幅は、その上端が鋼製矢板構造13の上端より低い位置となり、その下端は鞘管17の上端より少し高い位置となるように設定されている。尚、この設定は、遮水シート31の上端側に取り付けられている吊り具のうち鋼管18にその外方端が係合する第1吊り具34の長さと遮水シート31の上下方向の長さとを配慮したものである。
【0033】
第1吊り具34は、遮水シート31の保護層38に熱融着等で取り付けられる平板状の連結体43と、連結体43にその一端が取り付けられた鋼製のチェーン42と、チェーン42の他端に取り付けられ、鋼管18に対して脱着自在に係合させることができるシャックル41とから構成されている。これによって第1吊り具34は鋼管18に係合した状態で水平方向に移動自在となるように取り付けられることになる。
【0034】
尚、遮水シート31の上端側に取り付けられている吊り具であって、鋼管18に係合しない第2吊り具40は基本的には第1吊り具34と同一の構造であるが、その長さは第1吊り具34に対して若干短く設定されている。このように、第1吊り具34と第2吊り具40とが遮水シート31の上端側に交互に取り付けられた状態で遮水シート31は展張されることになる。この状態にあっては、図7に示されているように遮水シート31は平坦部14を構成する鋼製矢板45a〜鋼製矢板45cの内面側に沿った状態で進行する。
【0035】
図8は図6の展張状態から遮水シートを鋼製矢板構造に変形させて沿わせる工程を示した概略図である。
【0036】
図を参照して、図4に示した展張工程によって所定の位置まで遮水シート31が展張されると、次にこれを凹部15の形状に沿わせる工程が開始する。具体的には、鋼製矢板構造13の外方側に設置した図示しない油圧シャベルの長アーム48の先端に成型ローラー49を取り付けて、これを下方に移動させることによって行う。成型ローラー49の押圧面の形状は、凹部15の水平断面における内面側の形状に合わせたものに設定されている。そして図6の状態から、凹部15に対応した遮水シート31の部分の上端側に対して成型ローラー49を凹部15に対して押し付ける。そして長アーム48を下降することによってその状態で成型ローラー49を下方向に移動させる。遮水シート31は上述のように変形性を有すると共に保形性を有するように構成されている。従って、成型ローラー49の押圧と下方向への移動によって、その部分の遮水シート31は凹部15の水平断面形状に沿った断面となるように変形すると共にその変形状態が維持される。
【0037】
この時、遮水シート31の変形に伴ってその部分の水平長さが変わるので、未変形の遮水シート31は変形部分に向かって引き寄せられて移動しようとする。しかし、上述のように鋼管18に係合して遮水シート31を吊り下げている第1吊り具34は水平方向に移動自在であるため、遮水シート31の移動が拘束されることはない。これによって遮水シート31の変形部分に対して不必要な引張力等が生じないため変形動作がスムーズに行われる。成型ローラー49の押圧によって変形した遮水シート31の部分にあっては、凹部15bにおいて示されているように遮水シート31は凹部15bに沿った状態に変形してこの状態が保持される。
【0038】
この状態では、平面視において遮水シート31は鞘管17a,鞘管17bより凹部15b側に位置することになる。そのためこの状態で鋼管47a,鋼管47bを上方から降下させてその下部を鞘管17a,鞘管17bの各々に挿入させると、変形した遮水シート31の部分は鋼管47a,鋼管47bと凹部15bの内面側との間に挟まれた状態となる。
【0039】
鞘管17a,鞘管17bへ設置された鋼管47a,鋼管47bの各々の上端部は遮水シート31より上方に位置するようにその長さが設定されている。そこで鋼管47a,鋼管47bの上端部を凹部15bの内面側に溶接することによって固定すると共に、第2吊り具40bの外方端部をフック20bに係合させることによって遮水シート31の変形保持工程が終了する。尚この状態は凹部15aに対しての取り付け状態として示されている。この場合、変形が不十分な遮水シート31に対しては、鋼管47は上方の固定時に遮水シート31を押圧してこれを変形させる効果も奏する。
【0040】
このようにすることによって、遮水シート31の凹部15に対する変形を容易とすると共に、変形を迅速に可能とする。又、遮水シート31の変形部分は鋼管47によって確実に保持されると共に、第2吊り具40のフック20に対する係合によって遮水シート31の変形状態が迅速に且つ確実に保持されることになる。
【0041】
図9は図8の状態から長アーム48をすべての凹部15に対して操作して遮水シート31全体を遮水壁30に対して全面に沿わせた状態を示した概略図であり、図10は図9で示したX−Xラインの拡大断面図である。
【0042】
上述のように遮水シート31は鋼製矢板構造13を構成する鋼製矢板26a,鋼製矢板26b及び鋼製矢板45a〜鋼製矢板45cの内面側の凹凸形状に沿ったものとなる。そのため、遮水シート31に加わる保有水21側の圧力を鋼製矢板構造13側で確実に支持することが可能となるため、遮水壁の構造の信頼性が向上する。又、遮水シート31は鋼製矢板構造13側と鋼管47側とで挟まれた状態に常に維持されるため、鋼製矢板構造13と遮水シート31との間に液体が流入した場合であっても遮水シート31の変形を防止することが可能となる。これによって遮水シート31の当初の変形状態が確実に保持されるため、遮水壁全体の信頼性が向上する。
【0043】
図11は図9で示したXI−XIラインの拡大断面図である。
【0044】
図を参照して、遮水シート31の下端の位置は上述のように鞘管17aの上端より若干上方に位置している。従って、遮水シート31の下部と不透水性地層23の上面との間に鋼製矢板構造の平坦部14a及び凹部15bが一部露出することになる。そのため、遮水シート31の下部を覆うように不透水性地層23の上面にアスファルトマチック等の止水材51が打設されて充填される。これによって遮水シート31の下端部も完全に遮水されることになり、遮水壁の遮水機能が完全となる。
【0045】
尚、上記の実施の形態では、矢板構造を特定形状としているが、これに代えて他の凹凸形状の矢板構造であっても良く、又、凹凸がほとんどない矢板構造であっても同様の効果を奏する。
【0046】
又、上記の実施の形態では、2本の鋼管で変形した遮水シートを外方から支持しているが、交換は1本であっても3本以上であっても良い。又、鋼管に代えて他の鋼製部材を用いても同様の効果を奏する。
【0047】
更に、上記の実施の形態では、鋼管の下部は鞘管によって支持されているが、鞘管以外であっても鋼管を下部で支持できるものであれば、他の構造であっても良い。又、鞘管の下端は不透水性地層の上面に位置しているが、他の位置に取り付けられていても良い。
【0048】
更に、上記の実施の形態では、遮水シートの構造を特定しているが、保形性は無くとも良く少なくとも遮水性を有するものであれば他の断面構造であっても良く、又、他の材料で構成されていても良い。
【0049】
更に、上記の実施の形態では、成型ローラーを機械的押圧手段として油圧ショベルを用いて押圧しているが他の重機等を用いても良い。
【0050】
更に、上記の実施の形態では、第1吊り具及び第2吊り具を特定形状としているが、これらに代えて他の形状の吊り具であっても良い。
【0051】
更に、上記の実施の形態では、矢板構造の上部に取り付ける管の取り付け位置を特定しているが、他の位置であっても良い。
【0052】
更に、上記の実施の形態では、止水材を用いて遮水シートの下部を遮水しているが、止水材は必ずしも用いなくても良いし、他の止水構造を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の第1の実施の形態による遮水壁を構成する鋼製矢板構造の概略構造を示した斜視図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
【図3】図1の鋼製矢板構造に用いられる鋼製矢板の概略構造を示した斜視図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態による遮水壁の構築において、遮水シートの展張状態を示した概略斜視図である。
【図5】図4で示した遮水シートの概略構成を示した断面図である。
【図6】図1に対応した図であって、遮水シートを展張した状態を示した概略斜視図である。
【図7】図6で示したVII−VIIラインの拡大断面図である。
【図8】図6に対応した図であって、展張された遮水シートを鋼製矢板構造の外面に沿わせる遮水シートの変形保持工程を示した斜視図である。
【図9】図8に対応した図であって、遮水シートの変形保持工程が終了した状態を示した斜視図である。
【図10】図9で示したX−Xラインの拡大断面図である。
【図11】図9で示したXI−XIラインの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0054】
13…鋼製矢板構造
14…平坦部
15…凹部
17…鞘管
18…鋼管
20…フック
23…不透水性地層
30…遮水壁
31…遮水シート
34…第1吊り具
37…遮水層
38…保護層
39…金網
40…第2吊り具
47…鋼管
49…成型ローラー
51…止水材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明は遮水壁に関し、特に廃棄物処分場に用いられる遮水壁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処分場の1つの構造として鋼製矢板等によって形成される鉛直の矢板構造の前面(処分場側)に遮水シートを取り付けて構成されている遮水壁が知られている。これによって処分場に投下された物品等を遮水壁によって周りから隔離することが可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の遮水壁にあっては、矢板を海中に投下して矢板構造を設置した後、その前面に保形性を有する遮水シートを展張する。そして矢板構造の前面の形状に合わせて潜水士によって遮水シートを変形させる。その後、矢板構造に取り付けられたボルトを遮水シートに貫通させ、これをシールした状態で遮水シートを固定するのが一般的である。
【0004】
しかしながら、このような遮水壁にあっては潜水士による作業があるため、遮水壁が長いと遮水シートの取り付けに多大な時間が掛かってしまう。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、遮水シートの取り付けが容易となる遮水壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、遮水壁であって、不透水性地層に打ち込まれた矢板構造と、矢板構造の前面に固定され、上下に伸びる少なくとも1本の管と、不透水性地層より上に配置され、矢板構造の管との間に展張された遮水シートとを備えたものである。
【0007】
このように構成すると、遮水シートは矢板構造から離れようとする動きは管によって阻止される。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、矢板構造は垂直方向に伸びる平坦部と凹部とが交互に現れるように構成され、管は凹部に固定されるものである。
【0009】
このように構成すると、遮水シートは凹部に沿うように展張される。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、凹部の下方に固定され、管の下方端が挿入自在の鞘管を更に備えたものである。
【0011】
このように構成すると、管は鞘管に挿入するとその下端が固定される。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、鞘管はその下端が矢板構造の打ち込み部分の上端に位置するように取り付けられるものである。
【0013】
このように構成すると、鞘管の下端は不透水性地層の上面に位置する。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、遮水シートの下端部を覆うように不透水性地層の上に形成された止水材を更に備えたものである。
【0015】
このように構成すると、遮水シートの下端と不透水性地層との間に露出した矢板構造が止水材で遮水される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、遮水シートが矢板構造から離れようとする動きは管によって阻止されるため、遮水シートと矢板構造との間に海水が流入した場合であっても遮水シートの変形が押さえられるため遮水壁の信頼性が向上する。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、遮水シートは凹部に沿うように展張されるため、矢板構造との一体性が高まり、安定した遮水効果を発揮する。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、管は鞘管に挿入するとその下端が固定されるため、管の凹部への取り付けが容易となる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、鞘管の下端は不透水性地層の上面に位置するため、矢板構造の打ち込みに障害とはならない。又、管の下端位置を最大に下げられるため、遮水シートの下端位置も下げられることになり効率的な遮水壁となる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、遮水シートの下端と不透水性地層との間に露出した矢板構造が止水材で遮水されるため、遮水壁全体の遮水効果が完全となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1はこの発明の第1の実施の形態による遮水壁に用いられる鋼製矢板構造の概略構成を示した図であり、図2は図1で示したII−IIラインの拡大断面図であり、図3は図1の鋼製矢板構造に用いられる矢板の一部を取り出した概略斜視図である。
【0022】
これらの図を参照して、この実施の形態に用いられる鋼製矢板構造13は垂直方向に伸びる平坦部14a〜平坦部14cと凹部15a〜凹部15cとが交互に現れる構造となっている。凹部15の部分は図3に示されているような鋼製矢板26によって構成されている。鋼製矢板26は、細長い矩形形状を有する垂直壁部27と、垂直壁部27の垂直方向の両辺に接続され垂直壁部27から離れるにつれて相互にその間隔が大きくなる一対の側壁部28a,側壁部28bとから主に構成されている。
【0023】
垂直壁部27の上方部にはL字状のフック20が取り付けられている。垂直壁部27の下方部には下端から一定距離離れた位置に上下に100mm程度伸びる一対の鞘管17a,鞘管17bが取り付けられている。この実施の形態にあっては、フック20及び鞘管17a,鞘管17bはそれぞれ溶接にて鋼製矢板26に固定されている。又、鞘管17a,鞘管17bは少なくともその上面が開放された状態となっている。更に、鋼製矢板構造13の上方に、平坦部14および凹部15を横切るように鋼管18が取り付けられている。鋼管18は鋼製矢板構造13から所定の間隔をあけて取り付けらているが、この理由については後述する。
【0024】
鋼製矢板構造13の平坦部14は、鋼製矢板26とほぼ同一形状でフック20及び鞘管17a,鞘管17bが取り付けられていない形状の鋼製矢板によって構成されている。すなわち、鋼製矢板26と鋼製矢板26とほぼ同一の外観形状を有する鋼製矢板とを交互に連結状態として不透水性地層23に打ち込むことによって鋼製矢板構造13は構成されている。この時鞘管17a,鞘管17bは、その下端が鋼製矢板構造13が不透水性地層23に打ち込まれた状態において不透水性地層23の上面に位置するように垂直壁部27に固定されている。これによって図2に示すように鋼製矢板構造13が不透水性地層23に打ち込まれた状態にあって鞘管17aの下端は、不透水性地層23の上面に整列することになる。
【0025】
図1に戻って、この鞘管17a,鞘管17bは鋼製矢板構造13を構成するすべての凹部15に対して取り付けられており、同様にフック20もすべての凹部15に対して取り付けられている。このようにして構成される鋼製矢板構造13は廃棄物処分場を全周囲うように連続的に設置されている。そして鋼製矢板構造13の外方側には中詰土砂24が充填されており、一方鋼製矢板構造13の内面側には保有水21が存在することになる。上述のように鋼製矢板構造13は不透水性地層23に打ち込まれた状態に設置されるため、鋼製矢板構造13を介して内面側と外面側とは遮水状態に保持される。
【0026】
図4は図1で示した鋼製矢板構造13の内面側に遮水シートを展張する場合の展張状態を示した概略図である。
【0027】
図を参照して、架台32に巻回状態にして保持された遮水シート31は、鋼製矢板構造13の外面側の中詰土砂24上に設置される。この状態からその先端を引き出し、鋼製矢板構造13の内面側に展張する。この時、遮水シート31の先端の辺にはワイヤ36が固定され、これをウインチ35によって巻き取ることによって遮水シート31を展張する。展張された遮水シート31は、鋼製矢板構造13の内面側に降下する前に展張時に上辺側となる辺に複数の第1吊り具34と第2吊り具40とが交互に取り付けられる。
【0028】
この実施の形態にあっては、遮水シート31として互いに接続される1枚の遮水シートごとに2つの第1吊り具34と2つの第2吊り具40とが取り付けられている。そして、第1吊り具34は、その外方端が鋼管18に取り付けられる。これによって遮水シート31は鋼管18に取り付けられた第1吊り具34によって吊り上げられた状態となる。第1吊り具34の鋼管18への取り付け状態は、後述するように鋼管18に沿って水平方向に移動自在となるように構成されている。そのためウインチ35を駆動してワイヤ36を巻回することによって、遮水シート31は保有水21にその一部を浸けた状態で鋼製矢板構造13の内面側を水平方向に進行することになる。
【0029】
図5は図4で示した遮水シート31の概略構成を示した断面図である。
【0030】
図を参照して、遮水シート31は、エチレン酢酸ビニル(EVA)からなる遮水層37と、ポリエチレン等の不織布からなる保護層38とが一体となって構成されている。遮水層37の内部には金網39が埋設されており、これによって遮水シート31に対して変形性と保形性とを与えている。
【0031】
図6は、図1に対して図4で示した遮水シート31の展張状態を示した概略構成図であり、図7は図6で示したVII−VIIラインの拡大断面図である。
【0032】
これらの図を参照して、鋼製矢板構造13の内面側に展張された遮水シート31の幅は、その上端が鋼製矢板構造13の上端より低い位置となり、その下端は鞘管17の上端より少し高い位置となるように設定されている。尚、この設定は、遮水シート31の上端側に取り付けられている吊り具のうち鋼管18にその外方端が係合する第1吊り具34の長さと遮水シート31の上下方向の長さとを配慮したものである。
【0033】
第1吊り具34は、遮水シート31の保護層38に熱融着等で取り付けられる平板状の連結体43と、連結体43にその一端が取り付けられた鋼製のチェーン42と、チェーン42の他端に取り付けられ、鋼管18に対して脱着自在に係合させることができるシャックル41とから構成されている。これによって第1吊り具34は鋼管18に係合した状態で水平方向に移動自在となるように取り付けられることになる。
【0034】
尚、遮水シート31の上端側に取り付けられている吊り具であって、鋼管18に係合しない第2吊り具40は基本的には第1吊り具34と同一の構造であるが、その長さは第1吊り具34に対して若干短く設定されている。このように、第1吊り具34と第2吊り具40とが遮水シート31の上端側に交互に取り付けられた状態で遮水シート31は展張されることになる。この状態にあっては、図7に示されているように遮水シート31は平坦部14を構成する鋼製矢板45a〜鋼製矢板45cの内面側に沿った状態で進行する。
【0035】
図8は図6の展張状態から遮水シートを鋼製矢板構造に変形させて沿わせる工程を示した概略図である。
【0036】
図を参照して、図4に示した展張工程によって所定の位置まで遮水シート31が展張されると、次にこれを凹部15の形状に沿わせる工程が開始する。具体的には、鋼製矢板構造13の外方側に設置した図示しない油圧シャベルの長アーム48の先端に成型ローラー49を取り付けて、これを下方に移動させることによって行う。成型ローラー49の押圧面の形状は、凹部15の水平断面における内面側の形状に合わせたものに設定されている。そして図6の状態から、凹部15に対応した遮水シート31の部分の上端側に対して成型ローラー49を凹部15に対して押し付ける。そして長アーム48を下降することによってその状態で成型ローラー49を下方向に移動させる。遮水シート31は上述のように変形性を有すると共に保形性を有するように構成されている。従って、成型ローラー49の押圧と下方向への移動によって、その部分の遮水シート31は凹部15の水平断面形状に沿った断面となるように変形すると共にその変形状態が維持される。
【0037】
この時、遮水シート31の変形に伴ってその部分の水平長さが変わるので、未変形の遮水シート31は変形部分に向かって引き寄せられて移動しようとする。しかし、上述のように鋼管18に係合して遮水シート31を吊り下げている第1吊り具34は水平方向に移動自在であるため、遮水シート31の移動が拘束されることはない。これによって遮水シート31の変形部分に対して不必要な引張力等が生じないため変形動作がスムーズに行われる。成型ローラー49の押圧によって変形した遮水シート31の部分にあっては、凹部15bにおいて示されているように遮水シート31は凹部15bに沿った状態に変形してこの状態が保持される。
【0038】
この状態では、平面視において遮水シート31は鞘管17a,鞘管17bより凹部15b側に位置することになる。そのためこの状態で鋼管47a,鋼管47bを上方から降下させてその下部を鞘管17a,鞘管17bの各々に挿入させると、変形した遮水シート31の部分は鋼管47a,鋼管47bと凹部15bの内面側との間に挟まれた状態となる。
【0039】
鞘管17a,鞘管17bへ設置された鋼管47a,鋼管47bの各々の上端部は遮水シート31より上方に位置するようにその長さが設定されている。そこで鋼管47a,鋼管47bの上端部を凹部15bの内面側に溶接することによって固定すると共に、第2吊り具40bの外方端部をフック20bに係合させることによって遮水シート31の変形保持工程が終了する。尚この状態は凹部15aに対しての取り付け状態として示されている。この場合、変形が不十分な遮水シート31に対しては、鋼管47は上方の固定時に遮水シート31を押圧してこれを変形させる効果も奏する。
【0040】
このようにすることによって、遮水シート31の凹部15に対する変形を容易とすると共に、変形を迅速に可能とする。又、遮水シート31の変形部分は鋼管47によって確実に保持されると共に、第2吊り具40のフック20に対する係合によって遮水シート31の変形状態が迅速に且つ確実に保持されることになる。
【0041】
図9は図8の状態から長アーム48をすべての凹部15に対して操作して遮水シート31全体を遮水壁30に対して全面に沿わせた状態を示した概略図であり、図10は図9で示したX−Xラインの拡大断面図である。
【0042】
上述のように遮水シート31は鋼製矢板構造13を構成する鋼製矢板26a,鋼製矢板26b及び鋼製矢板45a〜鋼製矢板45cの内面側の凹凸形状に沿ったものとなる。そのため、遮水シート31に加わる保有水21側の圧力を鋼製矢板構造13側で確実に支持することが可能となるため、遮水壁の構造の信頼性が向上する。又、遮水シート31は鋼製矢板構造13側と鋼管47側とで挟まれた状態に常に維持されるため、鋼製矢板構造13と遮水シート31との間に液体が流入した場合であっても遮水シート31の変形を防止することが可能となる。これによって遮水シート31の当初の変形状態が確実に保持されるため、遮水壁全体の信頼性が向上する。
【0043】
図11は図9で示したXI−XIラインの拡大断面図である。
【0044】
図を参照して、遮水シート31の下端の位置は上述のように鞘管17aの上端より若干上方に位置している。従って、遮水シート31の下部と不透水性地層23の上面との間に鋼製矢板構造の平坦部14a及び凹部15bが一部露出することになる。そのため、遮水シート31の下部を覆うように不透水性地層23の上面にアスファルトマチック等の止水材51が打設されて充填される。これによって遮水シート31の下端部も完全に遮水されることになり、遮水壁の遮水機能が完全となる。
【0045】
尚、上記の実施の形態では、矢板構造を特定形状としているが、これに代えて他の凹凸形状の矢板構造であっても良く、又、凹凸がほとんどない矢板構造であっても同様の効果を奏する。
【0046】
又、上記の実施の形態では、2本の鋼管で変形した遮水シートを外方から支持しているが、交換は1本であっても3本以上であっても良い。又、鋼管に代えて他の鋼製部材を用いても同様の効果を奏する。
【0047】
更に、上記の実施の形態では、鋼管の下部は鞘管によって支持されているが、鞘管以外であっても鋼管を下部で支持できるものであれば、他の構造であっても良い。又、鞘管の下端は不透水性地層の上面に位置しているが、他の位置に取り付けられていても良い。
【0048】
更に、上記の実施の形態では、遮水シートの構造を特定しているが、保形性は無くとも良く少なくとも遮水性を有するものであれば他の断面構造であっても良く、又、他の材料で構成されていても良い。
【0049】
更に、上記の実施の形態では、成型ローラーを機械的押圧手段として油圧ショベルを用いて押圧しているが他の重機等を用いても良い。
【0050】
更に、上記の実施の形態では、第1吊り具及び第2吊り具を特定形状としているが、これらに代えて他の形状の吊り具であっても良い。
【0051】
更に、上記の実施の形態では、矢板構造の上部に取り付ける管の取り付け位置を特定しているが、他の位置であっても良い。
【0052】
更に、上記の実施の形態では、止水材を用いて遮水シートの下部を遮水しているが、止水材は必ずしも用いなくても良いし、他の止水構造を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の第1の実施の形態による遮水壁を構成する鋼製矢板構造の概略構造を示した斜視図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
【図3】図1の鋼製矢板構造に用いられる鋼製矢板の概略構造を示した斜視図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態による遮水壁の構築において、遮水シートの展張状態を示した概略斜視図である。
【図5】図4で示した遮水シートの概略構成を示した断面図である。
【図6】図1に対応した図であって、遮水シートを展張した状態を示した概略斜視図である。
【図7】図6で示したVII−VIIラインの拡大断面図である。
【図8】図6に対応した図であって、展張された遮水シートを鋼製矢板構造の外面に沿わせる遮水シートの変形保持工程を示した斜視図である。
【図9】図8に対応した図であって、遮水シートの変形保持工程が終了した状態を示した斜視図である。
【図10】図9で示したX−Xラインの拡大断面図である。
【図11】図9で示したXI−XIラインの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0054】
13…鋼製矢板構造
14…平坦部
15…凹部
17…鞘管
18…鋼管
20…フック
23…不透水性地層
30…遮水壁
31…遮水シート
34…第1吊り具
37…遮水層
38…保護層
39…金網
40…第2吊り具
47…鋼管
49…成型ローラー
51…止水材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮水壁であって、
不透水性地層に打ち込まれた矢板構造と、
前記矢板構造の前面に固定され、上下に伸びると少なくとも1本の管と、
前記不透水性地層より上に配置され、前記矢板構造と前記管との間に展張された遮水シートとを備えた、遮水壁。
【請求項2】
前記矢板構造は垂直方向に伸びる平坦部と凹部とが交互に現れるように構成され、
前記管は前記凹部に固定される、請求項1記載の遮水壁。
【請求項3】
前記凹部の下方に固定され、前記管の下方端が挿入自在の鞘管を更に備えた、請求項2記載の遮水壁。
【請求項4】
前記鞘管は、その下端が前記矢板構造の打ち込み部分の上端に位置するように取り付けられる、請求項3記載の遮水壁。
【請求項5】
前記遮水シートの下端部を覆うように前記不透水性地層の上に形成された止水材を更に備えた、請求項1から請求項4のいずれかに記載の遮水壁。
【請求項1】
遮水壁であって、
不透水性地層に打ち込まれた矢板構造と、
前記矢板構造の前面に固定され、上下に伸びると少なくとも1本の管と、
前記不透水性地層より上に配置され、前記矢板構造と前記管との間に展張された遮水シートとを備えた、遮水壁。
【請求項2】
前記矢板構造は垂直方向に伸びる平坦部と凹部とが交互に現れるように構成され、
前記管は前記凹部に固定される、請求項1記載の遮水壁。
【請求項3】
前記凹部の下方に固定され、前記管の下方端が挿入自在の鞘管を更に備えた、請求項2記載の遮水壁。
【請求項4】
前記鞘管は、その下端が前記矢板構造の打ち込み部分の上端に位置するように取り付けられる、請求項3記載の遮水壁。
【請求項5】
前記遮水シートの下端部を覆うように前記不透水性地層の上に形成された止水材を更に備えた、請求項1から請求項4のいずれかに記載の遮水壁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−297288(P2006−297288A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123100(P2005−123100)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000106955)シバタ工業株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000106955)シバタ工業株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
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