説明

遮蔽シート

【課題】低コストで製造でき、基布の素材感を生かした遮蔽シートを提供する。
【解決手段】遮蔽シート1を、織布で形成された基布2と、基布2の両面に配設され少なくとも一方が透明で基布2と略同一形に形成された軟質の合成樹脂シート3と、で袋体のシート本体4を形成する。シート本体4の上端部に、取付部7を設ける。取付部7を、シート本体4の上端部を折り返し間に芯部材8を配設して自由端側でシート本体4と熱溶着して形成する。取付部7に装着した止め具11にフック15を取り付け、カーテンレール10に掛けて、使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室、ベランダ等に使用されて意匠、断熱効果を有する遮蔽シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴室で使用される遮蔽シートのひとつとして、特許文献1に記載されるシャワーカーテンがあった。
【0003】
上記のシャワーカーテンは、織布からなる基布の表裏両面に水性接着剤を全面塗布し、軟質合成樹脂シートを密着加熱し、一体にラミネートした両面ラミネート布を形成し、その外周端縁を重ね切り曲げて高周波加熱により熱溶着して構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−56597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のシャワーカーテンでは、基布と、軟質合成樹脂シートとの間に水性接着剤を全面塗布して、その全面を密着加熱しているため、多量の水性接着剤が必要であり、かつ、製造に時間がかかり、製造コストが増大していた。
【0006】
また、気泡の発生を抑止しながら両面ラミネート布を密着加熱して形成するので、基布の素材感が損なわれるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、低コストで製造でき、基布の素材感を生かした遮蔽シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、織布、編布又は紙で形成された基布と、該基布の両面に配設され、少なくとも一方が透明で、該基布と略同一形に形成された軟質の合成樹脂シートと、でシート本体が形成され、
該シート本体は、前記基布と、各前記合成樹脂シートとの間に空気層を有して重ね合わされ、前記基布及び各前記合成樹脂シートの外縁部で熱溶着されている
ことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記シート本体は矩形状に形成され、一辺に係止部材を備えた取付部を有し、前記取付部は、前記シート本体の端部を折り返し、自由端側で前記シート本体と熱溶着して形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、一方の前記合成樹脂シートは透明であり、他方の前記合成樹脂シートは、前記一方の前記合成樹脂シートよりも光透過率を減少させる加工が施されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記シート本体には、前記空気層内の空気の対流を抑止する少なくとも一つの区画溶着部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明では、シート本体を、基布と、各合成樹脂シートとの間に空気層を有するように重ね合せ、基布及び各合成樹脂シートの外縁部で熱溶着している。これにより、外縁部の熱溶着のみで製造できるので、短時間、かつ、低コストで遮蔽シートを製造することができる。また、基布と、各合成樹脂シートとの間に空気層を有し密着加熱していないので、基布の素材感を生かすことができる。
【0013】
また、基布を、少なくとも一方が透明の合成樹脂シートで挟んで形成しているので、基布に施されたデザインを鑑賞して楽しむことができる。
【0014】
請求項2記載の発明では、係止部材を備えた取付部を、シート本体の端部を折り返し、自由端側でシート本体と熱溶着して形成している。これにより、例えば、シャワーカーテンとして使用するときには、係止部材によりカーテンレール等に容易に取り付けることができる。また、日よけシートとして係止部材を用いてベランダの天井等に掛けて設置することが容易になる。
【0015】
請求項3記載の発明では、他方の合成樹脂シートに光透過率を減少させる加工を施しているので、遮蔽シートの反対側が見えにくくなり、プライバシーを保護することができる。
【0016】
請求項4記載の発明では、シート本体に、少なくとも一つの区画溶着部を形成しているので、空気層内の空気の対流を抑止して断熱効果を高めることができるとともに、折り畳み時の折り線として機能するので収納を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明における第一の実施形態の遮蔽シートが取り付けられた状態図である。
【図2】本発明における第一の実施形態の遮蔽シートの正面図である。
【図3】本発明における第一の実施形態の側面断面図である。
【図4】本発明における第一の実施形態の取付部の側面図である。
【図5】本発明における第二の実施形態の遮蔽シートの正面図である。
【図6】本発明における第三の実施形態の遮蔽シートの正面図である。
【図7】本発明における第四の実施形態の遮蔽シートを膨らませた状態図である。
【図8】本発明における遮蔽シートをベランダに設置した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明における遮蔽シートの第一の実施形態を図面に基づいて説明する。以下、図1における上下を上下方向、左右を左右方向、図3における左方を前、その反対側を後ろとする。なお、図2、3では、説明のため厚みを強調してある。
【0019】
図1に示すように、遮蔽シート1は、織布で形成された基布2と、基布2の両面に配設され透明で基布2と略同一形に形成された軟質の合成樹脂シート3と、でシート本体4が形成されている。
【0020】
基布2は、図2に示すように、ポリエステルで矩形状に形成され前後両面に模様が施されている。
【0021】
合成樹脂シート3は、図2に示すように、透明な軟質の塩化ビニルで基布2と略同一の矩形状に形成され、図3に示すように、前側に配置される前面シート31と、後ろ側に配置される後面シート32と、で構成されている。
【0022】
シート本体4は、図3に示すように、基布2の前後面に前面シート31及び後面シート32を配置してそれぞれの間に空気層5を有して重ね合わされている。シート本体4は、基布2及び前面シート31及び後面シート32の左右及び下の辺の外縁部を熱溶着した、溶着部6を有している。
【0023】
シート本体4の上端部には、取付部7が設けられている。取付部7は、図2、3、4に示すように、シート本体4の上端部を折り返し、間にシート本体4に用いられる部材よりも剛性を有した芯部材8を配設して、自由端側でシート本体4と熱溶着した、合わせ溶着部9を有している。取付部7には、左右方向に沿って等間隔にカーテンレール10と係止可能な止め具11(係止部材に相当)が装着されている。
【0024】
本実施形態では、遮蔽シート1をシャワー用カーテンとして用いているので、図1に示すように、止め具11にフック15を取り付け、カーテンレール10に掛けて使用する。
【0025】
本実施形態の遮蔽シート1では、シート本体4を、基布2と、前面シート31及び後面シート32との間に空気層5を有するように重ね合せ、基布2及び前面シート31及び後面シート32の左右及び下の辺の外縁部で熱溶着している。これにより、外縁部の熱溶着のみで製造できるので、短時間、かつ、低コストで遮蔽シート1を製造することができる。
【0026】
また、基布2と、前面シート31及び後面シート32との間に空気層5を有し密着加熱していないので、基布2の素材感を生かすことができる。例えは、基布2がレース地であればその透け感を損なうことがないので、意匠性に優れ、浴槽内の明るさの低下を抑制可能である。
【0027】
また、基布2に各種のデザインを施し、基布2を透明な前面シート31及び後面シート32で挟んで形成しているので、基布2に施されたデザインを鑑賞して楽しむことができる。
【0028】
また、取付部7を、シート本体4の上端部を折り返し、間に芯部材8を配設して自由端側でシート本体4と熱溶着して形成して、左右方向に沿って等間隔にカーテンレール10と係止可能な止め具11が装着されている。これにより、例えば、シャワーカーテンとして使用するときには、止め具11にフック15を取り付け、カーテンレール10に掛けることで、遮蔽シート1を容易に取り付けることができる。また、芯部材8により取付部7の形態を安定させることができるので、遮蔽シート1の取付状態を安定させることができる。
【0029】
本発明における遮蔽シートの第二の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、遮蔽シート1と同一の構成については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0030】
遮蔽シート1Aは、図5に示すように、前面シート31Aの外側全面にシボ加工が施されている。これにより、透明な場合よりも光透過率が減少して遮蔽シート1Aの反対側が見えにくくなり、プライバシーを保護することができる。
【0031】
本発明における遮蔽シートの第三の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
遮蔽シート1Bは、図6に示すように、シート本体4Bに空気層5内の空気の対流を抑止する複数の区画溶着部12が形成されている。区画溶着部12は、シート本体4Bの上下方向に沿って等間隔に二本、左右方向に沿って等間隔にそれぞれ形成されている。区画溶着部12は、基布2と、前面シート31及び後面シート32とを重ね合わせて熱溶着され、区画されたシート本体4B間で空気が移動できないように形成されている。
【0033】
シート本体4Bには、前後面合わせて18個の空気層5の室が形成されている。
【0034】
遮蔽シート1Bでは、区画溶着部12により各空気層5内の空気の対流が抑止されるとともに、各空気層5の室間の空気の移動が制限されるので、断熱効果を高めることができる。また、区画溶着部12が、折り畳み時の折り線として機能するので収納を容易にすることができる。
【0035】
本発明における遮蔽シートの第四の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0036】
遮蔽シート1Cは、図7に示すように、前面シート31及び後面シート32の外側部分に、空気層5と連通して空気を出し入れする空気弁13が装着されている。(後面シート32側は図示していない。)
遮蔽シート1Cでは、空気層5の厚さを空気弁13によって調節することができるので、使用状態に応じて断熱効果を調節することができる。なお、各空気層5の厚さは、空気の粘性を利用できる30mm程度が望ましい。
【0037】
以上の説明においては、シャワーカーテンとして使用する場合で説明したが、これらにはこだわらない。例えば、図8に示すように、取付部7を用いてベランダ14の天井部分から吊せば、基布2の素材、デザインを生かしつつ、断熱、遮蔽効果を得ることができる。また、キャンプに使用するテントや、紅白幕等、屋内外において遮蔽や区画が必要な場合に、用いることができる。
【0038】
基布2は、ポリエステルを用いているが、熱溶着に用いることができる素材であれば、天然繊維や合成繊維で形成された織布、編布又は紙で形成された素材を用いることができる。基布2の模様については、製造時に形成されるものであっても、製造後に印刷されたものであってもよい。
【0039】
また、合成樹脂シート3は塩化ビニルを用いているが、耐水性があり、熱溶着できる素材であれば、他の合成樹脂で形成された素材を用いることができる。光透過率を減少させる加工は、シボ加工にこだわらない。光透過率を減少させるものであれば、既存の加工方法のすべてを用いることができる。なお、合成樹脂シート3の「透明」は、有色透明、無色透明を含むものである。
【0040】
また、溶着部6、合わせ溶着部9、区画溶着部12の熱溶着については、基布2、合成樹脂シート3、シート本体4のそれぞれの素材が溶融して接着するものだけでなく、基布2の素材に、合成樹脂シート3、シート本体4のそれぞれの素材が含浸したものであってもよい。
【0041】
また、シート本体4の形状は矩形状にはこだわらない。他の多角形、星型等に形成することもできる。
【0042】
また、区画溶着部12は、断熱効果を高めることが出来るならば、その数、形状は、上述した形態にこだわらない。曲線や屈曲させたものでもよい。
【0043】
また、取付部7は、上述した形態にこだわらない。既存のシャワーカーテンや、日よけシート等に用いられるすべてのものを用いることができる。
【0044】
また、止め具11にフック15を取り付け、カーテンレール10に掛けているが、これにはこだわらない。既存のシャワーカーテンや、日よけシート等に用いられるすべての部材を用いて取り付けることができる。
【符号の説明】
【0045】
1、1A、1B、1C 遮蔽シート
2 基布
3 合成樹脂シート
31 前面シート
32 32C 後面シート
4 シート本体
5 空気層
6 溶着部
7 取付部
8 芯部材
9 合わせ溶着部
10 カーテンレール
11 止め具
12 区画溶着部
13 空気弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布、編布又は紙で形成された基布と、該基布の両面に配設され、少なくとも一方が透明で、該基布と略同一形に形成された軟質の合成樹脂シートと、でシート本体が形成され、
該シート本体は、前記基布と、各前記合成樹脂シートとの間に空気層を有して重ね合わされ、前記基布及び各前記合成樹脂シートの外縁部で熱溶着されていることを特徴とする遮蔽シート。
【請求項2】
前記シート本体は矩形状に形成され、一辺に係止部材を備えた取付部を有し、
前記取付部は、前記シート本体の端部を折り返し、自由端側で前記シート本体と熱溶着して形成されていることを特徴とする請求項1記載の遮蔽シート。
【請求項3】
一方の前記合成樹脂シートは透明であり、
他方の前記合成樹脂シートは、前記一方の前記合成樹脂シートよりも光透過率を減少させる加工が施されていることを特徴とする請求項1又は2記載の遮蔽シート。
【請求項4】
前記シート本体には、前記空気層内の空気の対流を抑止する少なくとも一つの区画溶着部が形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の遮蔽シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−55432(P2012−55432A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200170(P2010−200170)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(510241432)山一カーテン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】