説明

遷移金属錯体、オレフィン重合用触媒及びオレフィン重合体の製造方法

【課題】遷移金属錯体を提供すること。
【解決手段】式(1)


(式中、Mは第6族の元素を示し、R1〜R8は、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、置換アミノ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選ばれる置換基;ハロゲン、水素を表し、、R9は、アルキル基、アラルキル基、アリール基を示し、m及びnはそれぞれ0から3の整数を表し、Xは、アルキル基、アラルキル基、アリール基等、Yは孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、m及びnがそれぞれ2又は3の場合は、X、Yはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)で示される遷移金属錯体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遷移金属錯体、オレフィン重合用触媒及びオレフィン重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも2個の水酸基を有する有機化合物と遷移金属との反応物を、オレフィン重合体の製造方法に用いることが、例えば、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル4−メチルフェノキシ)チタニウムジクロライド(特許文献1参照)、2,2’−(フェニルホスフィド)ビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)(テトラヒドロフラン)チタニウムジクロライド(特許文献2参照)、2,2'−(フェニルホスフィド)ビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)クロミウムクロライド(特許文献3参照)などに報告されている。しかし、これらビスフェノール類を配位子とする金属錯体において、配位子における水酸基が中心金属に配位していない金属錯体は知られていない。
【特許文献1】WO87/02370号公報
【特許文献2】特開平10−218922号公報
【特許文献3】WO2004/037835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記に鑑み、配位子における水酸基が中心金属に配位していない金属錯体を開発し、優れた活性を有する重合用触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記の課題を解決するために、遷移金属錯体及びオレフィン重合用触媒について鋭意研究を続けてきた。その結果、新規な遷移金属錯体を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、式(1)

(式中、Mは元素の周期律表の第6族の元素を示し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭化水素基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭化水素基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基及び炭素原子数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる置換基;ハロゲン原子又は水素原子を表し、ここで上記アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基の炭化水素基、2置換アミノ基の炭化水素基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基及びアリールオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する置換基同士は結合して環構造を形成していてもよく、R9は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基を示し、m及びnはそれぞれ0から3の整数を表し、Xは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭化水素基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭化水素基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基及び炭素原子数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる置換基;ハロゲン原子を表し、ここで上記アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基の炭化水素基、該2置換アミノ基の炭化水素基、該アルコキシ基、該アラルキルオキシ基及び該アリールオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、Yは孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、m及びnがそれぞれ2又は3の場合は、X、Yはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
で示される遷移金属錯体;該遷移金属錯体と、下記化合物(A)及び/あるいは下記化合物(B)を組合わせてなるオレフィン重合用触媒ならびにオレフィン重合体の製造方法を提供するものである。

化合物(A): 下記化合物(A1)〜(A3)のいずれか、あるいはそれらの2つ以上の混合物
(A1): 式 (E1)a Al(Z)3-a で示される有機アルミニウム化合物、
(A2): 式 {−Al(E2 )−O−}b で示される構造を有する環状のアルミノキサン、
(A3): 式 (E3) {−Al(E3 )−O−}c Al(E3)2 で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E1 〜E3 は同一又は相異なり、炭素原子数1〜8の炭化水素基を示し、Zは同一又は相異なり、水素原子又はハロゲン原子を示し、aは1、2又は3を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)

化合物(B): 下記化合物(B1)〜(B3)のいずれか、あるいはそれらの2つ以上の混合物
(B1): 式 BQ1 Q2 Q3 で表されるホウ素化合物、
(B2): 式 G+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表されるホウ素化合物、
(B3): 式(T−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価のホウ素原子であり、Q1 〜Q4 は同一又は相異なり、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素で2置換されたアミノ基を示し、該炭化水素基はハロゲン原子で置換されていてもよく、G+ は無機又は有機のカチオンを示し、Tは中性ルイス塩基を示し、(T−H)+ はブレンステッド酸を示す。)。
【発明の効果】
【0005】
本発明により得られる遷移金属錯体を、触媒成分として用いることにより、高い触媒活性でポリオレフィンを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(1)において、Mは元素周期律表の第6族の遷移金属原子を表し、例えば、クロム原子、モリブテン原子、タングステン原子などがあげられ、好ましくはクロム原子である。
【0007】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Xにおける炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などが挙げられる。
【0008】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭素原子数1〜20のアルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などが挙げられる。
【0009】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Xにおける炭素原子数1〜20のアルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基又はイソペンチル基が挙げられる。
【0010】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Xにおける炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げられる。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭素原子数7〜20のアラルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。好ましくはベンジル基が挙げられる。
【0011】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Xにおける炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭素原子数6〜20のアリール基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。好ましくはフェニル基が挙げられる。
【0012】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭化水素基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基など)、アリール基(フェニル基など)などの炭化水素基で置換されたシリル基をあげることできる。具体的には、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの1置換シリル基;ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの2置換シリル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの3置換シリル基などが挙げられる。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭化水素基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基は、その炭化水素基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基又はトリフェニルシリル基が挙げられる。
【0013】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭化水素基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基など)、アリール基(フェニル基など)などの炭化水素基2つで置換されたアミノ基をあげることできる。具体的には、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロイソインドリル基などが挙げられる。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭化水素基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基は、その炭化水素基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基又はピペリジニル基が挙げられる。
【0014】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−エイコソキシ基などが挙げられる。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭素原子数1〜20のアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。好ましくはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基又はtert−ブトキシ基が挙げられる。
【0015】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられる。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。好ましくはベンジルオキシ基が挙げられる。
【0016】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などが挙げられる。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xにおける炭素原子数6〜20のアリールオキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。好ましくはフェノキシ基が挙げられる。
【0017】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Xのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などがあげられ、好ましくはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0018】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する置換基同士は結合して環構造を形成していてもよい。該環構造としては、例えば、飽和もしくは不飽和の炭化水素環などが挙げられる、具体的には、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などを挙げられる。これらの環は、炭素原子数1〜20の炭化水素基などで置換されていてもよい。
【0019】
1、R8として好ましくは、炭化水素基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基であり、ここで置換シリル基の炭化水素基、アルキル基、アラルキル基及びアリール基は、それぞれハロゲン原子で置換されていてもよく、R1、R8として更に好ましくはt−ブチル基である。
【0020】
9として好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基である。
【0021】
Xとして好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭化水素基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数6〜20のアリールオキシ基であり、ここで、アルキル基、アラルキル基、2置換アミノ基の炭化水素基、アルコキシ基及びアリールオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、Xとしてより好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基又はフェノキシ基であり、もっとも好適にはハロゲン原子である。
【0022】
Yにおける孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、エーテル化合物(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、スルフィド化合物(ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、チオフェンなど)、アミン化合物(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、ピリジンなど)、ホスフィン化合物(トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)などが挙げられ、好ましくはエーテル化合物が挙げられ、さらに好ましくはテトラヒドロフランである。
【0023】
m及びnはそれぞれ0から3の整数であり、好ましくはm及びnがそれぞれ2である。
【0024】
式(1)で示される遷移金属錯体の具体例としては、例えば、(2−ヒドロキシフェニル)(2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(5−メチル−2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)(5−メトキシ−2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)(3−クロロ−2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリル−フェニル)(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド
【0025】
(2−ヒドロキシフェニル)(2−フェノキシ)メチルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(5−メチル−2−フェノキシ)メチルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)メチルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)メチルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)メチルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)(5−メトキシ−2−フェノキシ)メチルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)(3−クロロ−2−フェノキシ)メチルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリル−フェニル)(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)メチルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド
【0026】
(2−ヒドロキシフェニル)(2−フェノキシ)(tert−ブチル)ホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(5−メチル−2−フェノキシ)(tert−ブチル)ホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)(tert−ブチル)ホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)(tert−ブチル)ホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)(tert−ブチル)ホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)(5−メトキシ−2−フェノキシ)(tert−ブチル)ホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)(3−クロロ−2−フェノキシ)(tert−ブチル)ホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリル−フェニル)(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)(tert−ブチル)ホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド
【0027】
(2−ヒドロキシフェニル)(2−フェノキシ)シクロヘキシルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(5−メチル−2−フェノキシ)シクロヘキシルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)シクロヘキシルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)シクロヘキシルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)シクロヘキシルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)(5−メトキシ−2−フェノキシ)シクロヘキシルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)(3−クロロ−2−フェノキシ)シクロヘキシルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリル−フェニル)(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)シクロヘキシルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド
【0028】
(2−ヒドロキシフェニル)(2−フェノキシ)ベンジルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(5−メチル−2−フェノキシ)ベンジルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)ベンジルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン) クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)ベンジルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)ベンジルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)(5−メトキシ−2−フェノキシ)ベンジルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)(3−クロロ−2−フェノキシ)ベンジルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライド、(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリル−フェニル)(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)ベンジルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライドなどが挙げられ、さらに上記例示化合物において、クロミウムをモリブデナム、タングステンに変換した化合物、ジクロライドをジブロマイド、ジアイドダイド、ジメトキシド、ジイソプロポキシド、ジブトキシド、ビス(ジメチルアミド)、ビス(ジエチルアミド)、ジメチル、ビス(トリメチルシリルメチル)、ジ−p−トリル、クロライド、ブロマイド、アイドダイド、メトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、ジメチルアミド、ジエチルアミド、メチル、トリメチルシリルメチル、p−トリルに変換した化合物、ビス(テトラヒドロフラン)を、ビス(ジエチルエーテル)、ビス(ジメチルスルフィド)、ビス(テトラヒドロチオフェン)、ビス(トリメチルアミン)、ビス(トリフェニルアミン)、ビス(トリメチルホスフィン)、ビス(トリフェニルホスフィン)、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、トリメチルアミン、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンに変換した化合物などが同様に挙げられる。
【0029】
式(1)で示される遷移金属錯体は、式(2)

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9は前記と同じ意味を表し、HAはブレンステッド酸を表し、qは0又は1を表す。)
で示されるホスフィン化合物と、式(3)


(式中、M、X、Yは前記と同じ意味を示し、s及びtはそれぞれ、0から6までの整数を表す)

で示される遷移金属化合物とを反応させることにより得られる。
【0030】
式(2)で示される化合物は、特開平9−104691号公報に記載の方法に準じて製造することができる。
【0031】
式(2)で示される化合物としては、例えば、
ビス(2−ヒドロキシフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0032】
ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0033】
ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0034】
ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0035】
ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0036】
ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0037】
ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0038】
ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0039】
ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−メトキシフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0040】
ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3−トリメチルシリルフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0041】
ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィン
【0042】
ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)エチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)−n−プロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)イソプロピルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)−n−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)−tert−ブチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)ベンジルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)フェニルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メシチルホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)(1−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)(2−ナフチル)ホスフィン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)(2,6−ジイソプロピルフェニル)ホスフィンなどが例示され、その塩酸塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩なども同様に例示される。
【0043】
また、式(3)で示される遷移金属化合物としては、トリクロロクロミウム、トリクロロクロミウム−3テトラヒドロフラン錯体、トリス(ビス[トリメチルシリル]メチル)クロミウム、ジメシチルクロミウム テトラヒドロフラン錯体、ジメシチルクロミウム 3テトラヒドロフラン錯体、トリメシチルクロミウム テトラヒドロフラン錯体、クロミウム(II) アセチルアセトナート、ビス(トリフルオロアセトキシ)クロミウム、トリス(トリフルオロアセトキシ)クロミウム、
【0044】
トリクロロモリブデナム、ペンタクロロモリブデナム、モリブデンアセテート、トリアリルクロロモリブデナム、メシチレントリカルボニルモリブデナム、テトラカルボニル[(1,2,5,6)−1,5−シクロオクタジエン]モリブデナム、
【0045】
四塩化タングステン、六塩化タングステン、メシチレンタングステントリカルボニル、テトラベンジルタングステン、テトラメチルタングステン、ペンタメチルタングステン、ベンジルテトラクロロタングステン、フェニルトリクロロタングステン、トリメチルクロロタングステン、トリス(ビス[トリメチルシリル]メチル)タングステンなどが挙げられる。
【0046】
式(2)で示されるホスフィン化合物と式(3)で示される遷移金属化合物のモル比は特に限定されないが、1:0.1から1:10の範囲が好ましく、さらに好ましくは1:0.5から1:2の範囲である。
【0047】
反応に際しては、必要により塩基が用いられる。かかる塩基としては、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムトリメチルシリルアセチリド、リチウムアセチリド、トリメチルシリルメチルリチウム、ビニルリチウム、フェニルリチウム、アリルリチウムなどの有機リチウム化合物といった有機アルカリ金属化合物、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムといった金属水素化物などが挙げられ、その使用量は式(2)で示されるホスフィン化合物に対して通常0.5〜5モル倍の範囲である。
【0048】
上記反応は通常、反応に対して不活性な溶媒中で行われる。かかる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの極性溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒といった非プロトン性溶媒などが挙げられる。かかる溶媒はそれぞれ単独もしくは2種以上を混合して用いられ、その使用量は式(2)で示される化合物に対して通常1〜200重量倍、好ましくは3〜50重量倍の範囲である。
【0049】
上記反応の順序は特に限定されないが、通常、溶媒、式(2)で示されるホスフィン化合物に必要に応じて塩基を加えたのち式(3)で示される遷移金属化合物を加えることによって行うことができる。反応温度は通常、−100℃以上溶媒の沸点以下、好ましくは−80〜100℃程度の範囲である。
【0050】
得られた反応混合物から、例えば生成した沈殿を濾別し、濾液を濃縮して固形物を析出させ、さらに再結晶し、精製するなどの手法により、式(1)で示される遷移金属錯体を取得することができる。
【0051】
かくして製造される式(1)で示される遷移金属錯体は、化合物(A)、あるいはさらに化合物(B)を、重合時に任意の順序で仕込み使用することができるが、またそれらの任意の化合物の組合せを予め接触させて得られた反応物を用いることもできる。
【0052】
〔化合物(A)〕
本発明において用いられる化合物(A)としては、公知の有機アルミニウム化合物が使用できる。化合物(A)の好ましいものとしては、下記化合物(A1)〜(A3)のいずれか、あるいはそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
(A1): 式 (E1)a Al(Z)3-a で示される有機アルミニウム化合物、
(A2): 式 {−Al(E2 )−O−}b で示される構造を有する環状のアルミノキサン、
(A3): 式 (E3) {−Al(E3 )−O−}c Al(E3)2 で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E1 〜E3 は同一又は相異なり、炭素原子数1〜8の炭化水素基を示し、Zは同一又は相異なり、水素原子又はハロゲン原子を示し、aは1、2又は3を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)
【0053】
式:(E1)a Al(Z)3-a で示される有機アルミニウム化合物(A1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が挙げられる。
【0054】
式:{−Al(E2 )−O−}b で示される構造を有する環状のアルミノキサン(A2)又は、式:E3) {−Al(E3 )−O−}c Al(E3)2 で示される構造を有する線状のアルミノキサン(A3)における、E2又はE3 の具体例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基を例示することができる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E2又はE3としてはメチル基、イソブチル基が挙げられ、bは2〜40、cは1〜40程度である。
【0055】
上記のアルミノキサンは各種の方法で造られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて造ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させて造る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて造る方法が例示できる。
【0056】
〔化合物B〕
本発明において用いられる化合物(B)としては、
(B1): 式 BQ1 Q2 Q3 で表されるホウ素化合物、
(B2): 式 G+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表されるホウ素化合物、
(B3): 式(T−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価のホウ素原子であり、Q1 〜Q4 は同一又は相異なり、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素で2置換されたアミノ基を示し、G+ は無機又は有機のカチオンを示し、Tは中性ルイス塩基を示し、(T−H)+ はブレンステッド酸を示す。)
で表されるホウ素化合物のいずれか、あるいはそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0057】
式:BQ1 Q2 Q3 で表されるホウ素化合物(B1)において、Bは3価のホウ素原子であり、Q1 〜Q3 はハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数1〜20の炭化水素で2置換されたアミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。好ましいQ1 〜Q3 はハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0058】
(B1)の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられるが、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが挙げられる。
【0059】
式:G+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表されるホウ素化合物(B2)において、Z+ は無機又は有機のカチオンであり、Bは3価のホウ素原子であり、Q1 〜Q4 は上記の(B1)におけるQ1 〜Q3 と同様のものが挙げられる。
【0060】
式:G+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表される化合物において、無機のカチオンであるZ+ としては、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるZ+ としては、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。(BQ1 Q2 Q3 Q4 )- としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0061】
式:G+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表される化合物の具体例としては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1'−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0062】
また、式:(T−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表されるホウ素化合物(B3)において、Tは中性ルイス塩基であり、(T−H)+ はブレンステッド酸であり、Bは3価のホウ素原子であり、Q1 〜Q4 は上記の(B1)におけるQ1 〜Q3 と同様のものが挙げられる。
【0063】
式:(T−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表される化合物において、ブレンステッド酸である(T−H)+ には、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられ、(BQ1 Q2 Q3 Q4 )- には、前記と同様のものが挙げられる。
【0064】
式:(T−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表される化合物の具体的としては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0065】
各触媒成分の使用量は、化合物(A)/遷移金属錯体(1)のモル比が0.1〜10000で、好ましくは5〜2000、化合物(B)/遷移金属錯体(1)のモル比が0.01〜100で、好ましくは0.5〜10の範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
各触媒成分を溶液状態で使う場合の濃度については、遷移金属錯体(1)が、0.0001〜5ミリモル/リットルで、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットル、化合物(A)が、Al原子換算で、0.01〜500ミリモル/リットルで、好ましくは、0.1〜100ミリモル/リットル、化合物(B)は、0.0001〜5ミリモル/リットルで、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルの範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
【0066】
本発明において、重合に使用するモノマーは、炭素原子数2〜20個からなるオレフィン、ジオレフィン等のいずれをも用いることができ、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。かかるモノマーを以下に例示するが、本発明は下記化合物に限定されるものではない。かかるオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、5−メチル−2−ペンテン−1、ビニルシクロヘキセン等が例示される。
ジオレフィン化合物としては、炭化水素化合物の共役ジエン、非共役ジエンが挙げられ、かかる化合物の具体例としては、非共役ジエン化合物の具体例として、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン等が例示され、共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等を例示することができる。
【0067】
共重合体を構成するモノマーの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−1、エチレンとヘキセン−1、プロピレンとブテン−1等、及びそれらにさらに5−エチリデン−2−ノルボルネンを用いる組み合わせ等が例示されるが、本発明は、上記化合物に限定されるものではない。
【0068】
本発明では、モノマーとして芳香族ビニル化合物も用いることができる。芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0069】
重合方法も、特に限定されるべきものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、又はメチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合、又はスラリー重合、ガス状のモノマー中での気相重合等が可能であり、また、連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。
【0070】
重合温度は、−50℃〜200℃の範囲をとり得るが、特に、−20℃〜100℃程度の範囲が好ましく、重合圧力は、常圧〜6MPa(60kg/cm2 G)が好ましい。重合時間は、一般的に、目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜選定されるが、1分間〜20時間の範囲をとることができる。また、本発明は共重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例におけるポリマーの性質は、下記の方法により測定した。
【0072】
[分子量及び分子量分布]
RapidGPCを用いて以下の条件により測定した。
送液装置 :(LCポンプ)Gilson社製
Model305(ポンプヘッド25.SC)
カラム :PolymerLaboratories (PL)社製
PLgel Mixed−B 10μm
7.5mmφ×300mm 移動相 :o-ジクロロベンゼン
溶解溶媒 :1,2,4-トリクロロベンゼン
流量 :2ml/分
カラム温度:160℃
検量線 :PL社標準品 ポリスチレン(PS) 8試料
(標準PS分子量)5,000、10,050、28,500、65,500
185,400、483,000、1,013,000、3,390,000
【0073】
合成例
[実施例1]
[(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライドの合成]
NaH(0.079g、3.3mmol)とテトラヒドロフラン溶液(20mL)の混合物に、0℃でビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)フェニルホスフィン塩酸塩(0.50g、1.1mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)を滴下し、室温で5時間攪拌した。混合物を-78℃に冷却し、CrCl(THF)(0.40g、1.1mmol)のテトラヒドロフラン溶液(40mL)を滴下した。室温に昇温し、12時間攪拌し溶媒を減圧留去した。トルエンを加え、攪拌し、不溶物を濾別した。濾液を減圧留去し、トルエン−ヘプタンから結晶化させることにより、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライドを緑色結晶として取得した(収率20%)。目的物の構造はX線結晶構造解析で確認した。ORTEP図を図1に示した(フェノール性水酸基以外の水素原子は簡略化の為、記載を省略した)。
【0074】
[実施例2]
重合
23.5mLのオートクレーブに窒素下で、トルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、アルミノキサン(東ソー・ファインケム社製 MMAO、5.8重量%Al)(100μmol)、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)フェニルホスフィン ビス(テトラヒドロフラン)クロミウム ジクロライドを加え、重合させた。重合の結果、分子量(Mw)=1.97×10、分子量分布(Mw/Mn)=131.8であるポリマーをクロミウム1mol当たり、1時間当たり、1.53×10g製造した。
【0075】
[実施例3]
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)及びペンタフルオロフェニルボラン(0.30μmol)を用いた以外は実施例2と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=1.28×10、分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるポリマーをクロミウム1mol当たり、1時間当たり、4.9×10g製造した。
【0076】
[実施例4]
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)及びジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μmol)を用いた以外は実施例3と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=7.1×10、分子量分布(Mw/Mn)=2.0であるポリマーをクロミウム1mol当たり、1時間当たり、7.28×10g製造した。
【0077】
[実施例5]
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)及びトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μmol)を用いた以外は実施例4と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=6.5×10、分子量分布(Mw/Mn)=1.9であるポリマーをクロミウム1mol当たり、1時間当たり、1.13×10g製造した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例1の錯体のX線結晶構造解析(ORTEP図)である。(フェノール性水酸基以外の水素原子は簡略化の為、記載を省略した)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、Mは元素の周期律表の第6族の元素を示し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭化水素基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭化水素基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基及び炭素原子数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる置換基;ハロゲン原子又は水素原子を表し、ここで上記アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基の炭化水素基、2置換アミノ基の炭化水素基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基及びアリールオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する置換基同士は結合して環構造を形成していてもよく、R9は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基を示し、m及びnはそれぞれ0から3の整数を表し、Xは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭化水素基で置換された炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭化水素基で置換された炭素原子数2〜20の2置換アミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基及び炭素原子数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる置換基;ハロゲン原子を表し、ここで上記アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基の炭化水素基、該2置換アミノ基の炭化水素基、該アルコキシ基、該アラルキルオキシ基及び該アリールオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、Yは孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、m及びnがそれぞれ2又は3の場合は、X、Yはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
で示される遷移金属錯体。
【請求項2】
Mがクロム原子である請求項1に記載の遷移金属錯体。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかに記載の遷移金属錯体及び下記化合物(A)及び/又は下記化合物(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒。
化合物(A): 下記化合物(A1)〜(A3)のいずれか、あるいはそれらの2つ以上の混合物
(A1): 式 (E1)a Al(Z)3-a で示される有機アルミニウム化合物、
(A2): 式 {−Al(E2 )−O−}b で示される構造を有する環状のアルミノキサン、
(A3): 式 (E3) {−Al(E3 )−O−}c Al(E3)2 で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E1 〜E3 は同一又は相異なり、炭素原子数1〜8の炭化水素基を示し、Zは同一又は相異なり、水素原子又はハロゲン原子を示し、aは1、2又は3を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)
化合物(B): 下記化合物(B1)〜(B3)のいずれか、あるいはそれらの2つ以上の混合物
(B1): 式 BQ1 Q2 Q3 で表されるホウ素化合物、
(B2): 式 G+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表されるホウ素化合物、
(B3): 式(T−H)+ (BQ1 Q2 Q3 Q4 )- で表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価のホウ素原子であり、Q1 〜Q4 は同一又は相異なり、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素で2置換されたアミノ基を示し、該炭化水素基はハロゲン原子で置換されていてもよく、G+ は無機又は有機のカチオンを示し、Tは中性ルイス塩基を示し、(T−H)+ はブレンステッド酸を示す。)
【請求項4】
請求項3に記載のオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを重合反応させることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。




【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−238582(P2007−238582A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67124(P2006−67124)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】