説明

選択透過性保護構造および使用方法

選択透過性保護構造を含む物品であって、その構造が巻き付けられたり覆われたりした物品、および腐食またはカビの増殖による物品の損傷を制限する方法であって、物品を選択透過性保護構造中に巻き付けたり覆ったりするステップを含む方法。選択透過性構造は、少なくとも200g・mil/m2/24hの水蒸気透過値を有し液体の水に対する障壁となる膜を含み、支持基材を含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送および保管の間に物体を覆うための選択透過性構造、ならびに腐食またはカビの増殖による物品の損傷を軽減する方法に関する。本発明は、選択透過性構造の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
機材は、輸送および保管の間の表面の損傷を防止するために、フィルムまたは防水布、フード、またはその他のカバーで包まれたり包装されたりすることが多い。これらのカバーは、高バリア性(高い水不浸透性)のフィルムおよび布(たとえば、http://www.heritagepackaging.com/productservices/barrierpackaging/bpbasics/bpbasics.htmを参照されたい)から製造することができる。
【0003】
相対的に小さい品物の多くは、フォークリフトまたは小型クレーンによる移動が容易な台であるパレット上で輸送される。パレットは、輸送用コンテナからの品物を載せたり下ろしたりする場合、より少ない量の品物を倉庫内など短距離にわたって移動させる場合、または小売の量を送達する場合に好都合である。小さな品物は、パレット上に載せられる場合、たとえば袋または箱の中で包装されない場合もあるし包装される場合もある。
【0004】
荷物が積まれたパレットは、品物が輸送中に損傷したり紛失したりしないように完全性および安定性を有する必要がある。必要な完全性および安定性を得るために、パレットおよびその荷物は、典型的には、機械または手作業で取り付けることが可能なポリエチレンストレッチラップのオーバーラップ層などのフィルム中にまとめて包み込まれる。たとえば、米国再発行特許第38429号明細書を参照されたい。荷物が積まれたパレットに完全性および安定性を付与するために一般に実施されている別の方法としては、パレットおよびその荷物を熱収縮性フィルム中に包み込むこと、荷物が積まれたパレットを熱収縮性または伸縮自在であってよいシースまたは「フード」の中に入れること、ならびに1つのカートンまたは箱の中に品物を収容することがあげられる。これらの方法は、個別にまたは一括して「パレット利用」と呼ばれる場合がある。
【0005】
封止された袋の中で小型の物体または物品を包むためにバリアフィルムを使用することは、袋の中に封止される前に物体を乾燥することができる、および/または乾燥剤を封止した袋の中に入れることができるので、一般に好適である。この方法は、典型的にはカバーが物体の周囲で気密封止されず、物体の完全な乾燥が実現できない場合があるため、車、ボート、モーター、機械、工業製品、より小さな物品を保持するパレットまたはコンテナ、ならびにその他の嵩高い機材などの大型の物体の場合にはあまり適してない。このことは、大型の物体が長期間にわたって悪天候にさらされることがあるため、保管中や、船または鉄道による輸送時に特に問題となる場合がある。大気中の水分および/または雨が、カバーの下の空間に入り込んで閉じ込められ凝縮することがある。高バリア性カバーを使用する場合、水がカバーの外側に浸透して戻る経路が存在せず、その結果カバー内部に水分が蓄積し、腐食の可能性が生じる。
【0006】
鉄、鋼、およびその他の金属などの腐食のために、毎年大金が失われている。水分、酸素、および塩の存在など、腐食速度に影響を与える多くの要因が存在する。一般的な腐食は、高湿度条件における電気化学反応のために発生する。たとえば、鉄が湿った空気に曝露されると、酸素と反応してさび(酸化鉄)を形成する。腐食によって、容易に剥落する金属酸化物が形成されることがあり、それによって過度のくぼみ(pitting)が生じ、それによって、金属が構造的に脆弱になり崩壊することがある。腐食は、導電性の低下または表面粗さの増加などの金属部品の他の性質にも影響を与えることがあり、それによって可動部が自由に動かせなくなることがある。
【0007】
金属の腐食に加えて、機材の表面上に凝縮した水分の中でカビの増殖も起こりうる。
【0008】
高い水蒸気透過速度を有するフィルムまたはカバーを使用すると、取り込まれた水分が周囲の雰囲気中に戻る平衡状態となることによって、カバーの内側での水の凝縮を防止することができる。このようなフィルムを使用すると、さびの形成および腐食が防止または軽減され、カビの増殖の可能性が低下する。
【0009】
幅広い範囲の機械的性質および輸送特性を有する種々の透過性材料が周知である。しかし、透過性材料が使用される個別の用途に依存して、性質のある種の組み合わせが必要となる。保護カバー用途の場合、材料は水蒸気を移動させるが、液体の水またはその他の流体の移動は遮断し、軽量であり、広い温度範囲にわたって可撓性であることが望ましい。たとえばカバーの内側の機材から環境への水蒸気の移動を促進し、水、油、または腐食性流体などの液体の流入を遮断する膜特性を有する可撓性固体材料となりうる材料が必要とされている。
【0010】
種々の参考文献には、保護カバーとして有用となりうる種々のポリマーから製造された半透性材料が記載されている。たとえば、米国特許第6,579,948号明細書を参照されたい。最近では、有機酸変性アイオノマー組成物を含む選択透過性膜を含む保護布が開示されている(米国特許第7,514,380号明細書)。
【0011】
多くの従来の透過性膜は微孔質である(すなわち、蒸気が通過できる微細な孔が存在するため透過性である)。不織布の上または間に積層されてもよい微孔質膜は、高い透過性を有するが、透過性が非選択的であるために、液体に対する十分な障壁とならない場合がある。加圧下の液体は、孔に侵入することができてもよい。ほとんどの微孔質フィルムは二軸延伸されており、そのためわずかな量でのみ収縮が可能であり、多孔性を失わずに収縮させることはできない。これらのフィルムは引裂強度が低い場合もあり、表面が汚れやすいために透過性が低下する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
すべての技術的要求を満たし、費用対効果の高い代替品となる単一材料は出現していないため、機械的性質、低温可撓性、選択的輸送、加工の容易さ、および費用対効果を併せ持ち、それによって、腐食および/またはカビの増殖を制限する物体の保護カバーとしての使用に好適となる、選択透過性膜または構造または層が提供されることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
物品または包装材料は、選択透過性保護構造を含むか、または選択透過性保護構造より製造され、その構造は、選択透過性膜を含むか、選択透過性膜から実質的になるか、または選択透過性膜より製造され;その膜は、
(a)(a)、(b)、および(c)の組み合わせを基準として30〜50重量%のブレンドされた組み合わせであって、
(1)(1)および(2)の組み合わせを基準として70〜90重量%の、式E/X/Y(式中、Eは、エチレンの共重合単位を表し、Xは、コポリマーの約2〜約35重量%で存在し、少なくとも1種類のC3〜C8α,β−エチレン系不飽和カルボン酸の共重合単位を表し、Yは、コポリマーの0〜約35重量%で存在し、アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルの共重合単位を表す)で表されるものなどの1種類以上のエチレン酸コポリマーまたは酸コポリマーのアイオノマーと;
(2)(1)および(2)の組み合わせを基準として3〜30重量%の、4〜36個の炭素原子を有するものなどの1種類以上の有機酸またはその塩とのブレンドされた組み合わせであって;酸コポリマーと有機酸との中の酸性基の合計の少なくとも50%が、名目上中和されて金属イオンとの塩となっており;金属イオンの少なくとも50%がアルカリ金属イオンである組み合わせと;
(b)ポリエチレンホモポリマー、エチレンとα−オレフィンとのジポリマー、エチレンとジオレフィンとのジポリマー、ならびに、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、および一酸化炭素からなる群から選択される少なくとも1種類の極性モノマーとの共重合によって得られるエチレンコポリマー(またはジポリマー)などの、1種類以上の、好ましくは非アイオノマーの、エチレン含有ポリマーであって、ジカルボン酸誘導体を含まないエチレン含有ポリマーと、
(c)(a)、(b)、および(c)の組み合わせを基準として1〜30重量%の、無水物などのジカルボン酸誘導体を0.1〜15重量%含むものなどのジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマー、エチレン/アクリル酸アルキル/メタクリル酸またはアクリル酸ターポリマー、エチレン/マレイン酸モノアルキルエステルコポリマー、またはそれらの2種類以上の組み合わせと、を含むか、それから実質的になるか、あるいはそれを含むか、それから実質的になか、またはそれより製造された組成物から製造することができ;(a)、(b)、および(c)の合計が100重量%である。
【0014】
本発明の膜は、少なくとも200g・mil/m2/24hの水蒸気透過値(MVPV)、および高い水侵入圧とを有することができ;本発明の選択透過性構造は、少なくとも30g/m2/24hの水蒸気透過速度(MVTR)を有する。MVPVは、37.8℃および相対湿度100%においてASTM F−1249に準拠して測定される。
【0015】
腐食またはカビの増殖による物品の損傷を制限する方法であって、物品を選択透過性保護構造中に包み込むまたは覆うステップを含み、その構造が前述の開示のものと同じであることが可能な方法。
【0016】
選択透過性の多層構造または物品の製造方法であって:
1)(i)1種類以上のエチレン酸コポリマーと;
(ii)1種類以上の有機酸と
を含むか、それから実質的になるか、またはそれからなる第1の組成物を調製するステップであって;酸コポリマーと有機酸との中の酸性基の合計の少なくとも50%が、名目上中和されて金属イオンとの塩となっており、少なくとも50%の金属イオンがアルカリ金属イオンであるステップと;
(2)第1の組成物を、1種類以上の非アイオノマーのエチレン含有ポリマーであって、ポリエチレン(PE)ホモポリマー、エチレンとα−オレフィンとのコポリマー、エチレンとジオレフィンとのコポリマー、ならびにエチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、および一酸化炭素からなる群から選択される少なくとも1種類の極性モノマーとの共重合によって得られるエチレンコポリマーからなる群から選択される1種類以上の非アイオノマーのエチレン含有ポリマーと溶融ブレンドして、第2の組成物を得るステップであって、エチレン含有ポリマーがジカルボン酸誘導体を含まないステップと;
3)第2の組成物を、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、モノアルキルエステルであってマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、またはテトラヒドロフタル酸のモノアルキルエステル、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される0.1〜15重量%のジカルボン酸誘導体を含むポリマーと溶融ブレンドして、溶融条件下で第3の組成物を得るステップと;
4)基材を溶融した第3の組成物と接触させて、溶融した組成物を基材に接着させるか、埋め込むか、含浸させるか、または基材を溶融した第3の組成物に接着させるか、埋め込むか、含浸させるかして、溶融条件下で第3の組成物で被覆された基材を得るステップと;
5)被覆された基材を冷却して、溶融した第3の組成物を冷却し固化させるステップと
を含むか、またはこれらのステップから実質的になる、方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
商品名または商標は大文字で示されている。動詞「is」が後に続く単語は、その主語の定義である場合がある。
【0018】
「(メタ)アクリル酸」はメタクリル酸および/またはアクリル酸を含み、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートおよび/またはアクリレートを含む。
【0019】
「選択透過性」は、蒸気または気体などの特定の状態の特定の分子のみ透過することができ、他の分子、あるいは液体または固体などの異なる状態は透過できないことを意味する。このような分子は、本明細書において開示される組成物のフィルムまたはシートなどのある種の材料のマトリックス中に溶解または分散することができ、その後その材料に拡散または移行することができる。
【0020】
選択保護透過性膜または層は、本明細書において後に議論する支持基材とともに同時押出するか、支持基材を含浸させるか、支持基材を組み込むか、支持基材を積層するか、支持基材に接着接合するか、支持基材上にコーティングするか、またはその他の方法で接着させてもよい。透過性膜または層は、好ましくは非多孔質である。
【0021】
選択透過性膜のMVPVは、少なくとも200、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1200、少なくとも2000、少なくとも4,000g・mil/m2/24h、またはさらに高い値であってもよい。MVPVは、1ミルの厚さに規格化されたフィルムまたはシートであってもよい膜の透湿を測定することによる、膜を構成する組成物の透過性の指標の1つである。
【0022】
選択透過性の保護カバーのMVTRは、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、または少なくとも1000g/m2/24h、またはさらに高い値であってもよい。MVTRは、単位時間中にフィルムを透過する全水蒸気を測定したものであり、構造の厚さは無視される。特定の組成およびMVPVの膜の場合、厚さが増加するとともにMVTRが減少する。
【0023】
選択透過性保護構造は、機械的性質、低温可撓性、選択的輸送、加工の容易さ、および費用対効果を併せ持つ。
【0024】
本発明の組成物から、選択透過性障壁として機能するモノリス膜または連続膜を作製することができる。微孔質膜とは対照的にモノリス連続膜は、高い水侵入圧を有し、耐水性および防液性である。高い水侵入圧は、DIN EN20811:92に記載されるような>150cm(または>250cmまたは>500cm)H2O静水頭を意味する。
【0025】
したがって、モノリス膜は、水などの液体の障壁となるが、適切な条件下では水蒸気が依然として透過性である。モノリス障壁は、水、溶媒、油、腐食性流体などの液体、あるいはほこり、刺激物、カビ胞子、アレルゲン、花粉、動物の鱗屑、毛髪などなどの粒子状物質または固体に対する曝露を防止するのにも有効である。
【0026】
本発明の選択透過性膜は、浸透物質の大きさおよび極性に依存して液体浸透物質に対して選択的であってもよく、すなわち、メタノールよりも高分子量である実質的にあらゆる有機液体よりも高い速度で水を拡散させることが可能となる選択性を有する。
【0027】
本発明の選択透過性保護構造は、1種類以上のエチレン酸コポリマー;および1種類以上の有機酸を含む第1の組成物を調製するステップであって、酸コポリマーと有機酸との中の酸性基の合計の少なくとも50%が名目上中和されて、金属イオンとの塩となっており、金属イオンの少なくとも50%がアルカリ金属イオンであるステップと;第1の組成物を、エチレン含有ポリマーおよびジカルボン酸誘導体含有コポリマーと溶融ブレンドして、溶融組成物を得るステップと;基材を溶融組成物と接触させるか、溶融組成物を基材に接着させるか、埋め込むか、含浸させるか、あるいは基材を第3の組成物に接着させるか、埋め込むか、含浸させるかして、被覆された基材を得るステップと;被覆された基材を冷却して、溶融組成物を冷却し固化させるステップとによって調製してもよい。選択透過性保護構造の調製に使用される組成物の成分および方法を、以下により詳細に説明する。
【0028】
本発明の組成物の製造に使用される酸コポリマーは、好ましくは「直接」または「ランダム」酸コポリマーである。「直接」コポリマーは、すべてのモノマーを同時に加えることによって重合させたポリマーであり、存在するポリマーの上に、多くの場合続いてフリーラジカル反応させることによって、別のモノマーをグラフトさせるグラフトコポリマーとは区別される。
【0029】
Xの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸などの不飽和酸が挙げられる。好ましくはXはE/X/Yコポリマーの5〜25重量%である。
【0030】
Yがポリマーの0重量%である(すなわち、E/Xジポリマー)であるE/X/Yコポリマーが注目される。Yが存在する場合、YはE/X/Yコポリマーの少なくとも0.1重量%、または約2〜約35重量%で存在する。
【0031】
Yの例としては、アルキル基が1〜8個、または1〜4個の炭素原子を有するアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、またはそれらの組み合わせが挙げられる。Yは、軟化コモノマーである(軟化は、ポリマーの結晶性を低くすることを意味する)。
【0032】
エチレン酸コポリマーは、米国特許第5,028,674号明細書に開示される「共溶媒技術」の使用などの当業者に周知のあらゆる方法によって製造してもよい。
【0033】
具体的な酸コポリマーとしては、エチレン/アクリル酸ジポリマー、エチレン/メタクリル酸ジポリマー、ならびにエチレン/アクリル酸/アクリル酸n−ブチル、エチレン/メタクリル酸/メタクリル酸n−ブチル、エチレン/アクリル酸/アクリル酸イソブチル、エチレン/メタクリル酸/メタクリル酸イソブチル、エチレン/アクリル酸/アクリル酸メチル、エチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル、エチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル、およびエチレン/メタクリル酸/メタクリル酸エチルのターポリマー、ならびにそれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。注目すべきエチレン/メタクリル酸ジポリマーは、メタクリル酸の共重合単位を19重量%含む。
【0034】
アイオノマーは、酸コポリマーを中和することによって得られる。酸コポリマーの酸性基の少なくとも一部を中和するために、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンなどの金属陽イオンを含む中和剤が使用される。未変性アイオノマーは、米国特許第3,264,272号明細書に開示されているような酸コポリマーから調製される。「未変性」は、ブレンドしていないアイオノマーの性質に影響を与える材料が全くブレンドされていないアイオノマーを意味する。酸コポリマーを使用して、金属化合物で処理することによって未変性で溶融加工可能なアイオノマーを調製することができる。未変性アイオノマーは、酸部分の約15〜約90%または約40〜約75%などのあらゆる程度で名目上中和することができる。
【0035】
有機酸は、36個未満の炭素原子を有する一塩基酸、またはその塩であってもよい。これらの酸は、C1〜C8アルキル、OH、およびOR1(式中、それぞれのR1は独立して、C1〜C8アルキル、C1〜C6アルコキシアルキル、またはCOR2であり;それぞれのR2はC1〜C8アルキルである)からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい。
【0036】
有機酸の例としては、C4〜C36(たとえば、C34、C4~26、C6~22、またはC12~22)の酸が挙げられる。80%を超え、最大100%までの名目上の中和(すなわち、コポリマーおよび有機酸中のすべての酸部分が名目上中和されるように十分な金属化合物が加えられる)などの高度な中和においては、揮発性が問題とならず、より低い炭素含有率の有機酸を使用してもよいが、有機酸(または塩)が不揮発性(その物質と酸コポリマーとの溶融ブレンド温度において揮発しない)、および非移行性(通常の保管条件(周囲温度)下においてポリマー表面でブルーミングが起こらない)であることが好ましい。有機酸の例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、およびリノール酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。有機(脂肪)酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、またはそれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。ステアリン酸、アラキジン酸、およびベヘン酸などの飽和有機酸が好ましい場合がある。
【0037】
有機酸は、名称が記載される有機酸と、種々のより少量の構造的に異なる多数の酸との混合物として市販されている場合がある。ある組成物がある名称の酸を含む場合、名称が記載されていない他の酸が、名称が記載された酸の商業的供給物中に存在することが従来知られている量で存在しうる。たとえば、ある市販の酸混合物は、90重量%のアラキジン酸(C20酸)およびベヘン酸(C22酸)混合物と、6重量%のC18酸類と、4重量%のその他の酸類とを含む。
【0038】
これらの有機酸の任意の塩としては、たとえば最終組成物中に存在する金属イオンが、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、および/またはセシウム塩、好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩などの少なくとも50%のアルカリ金属イオンを含むアルカリ金属塩を挙げることができる。
【0039】
酸性基を中和することができる塩基性金属化合物の量は、ブレンド中の酸コポリマーおよび有機酸の中の酸部分の目標とする量を中和する(本明細書においては「%名目上中和」または「名目上中和」と記載する)ために計算された塩基性化合物の化学量論量を加えることによって得てもよい。したがって、十分な塩基性化合物がブレンド中で利用可能となり、それによって全体として記載の程度の名目上の中和が実現できる。E/X/Yコポリマーおよび有機酸の中の50%、60%、70%、80%、または90%を超える(あるいはさらには100%)の全酸性基を金属イオンで名目上中和されてもよく;金属イオンは、少なくとも50モル%のアルカリ金属イオン、好ましくはナトリウムまたはカリウムを含む。少量のアルカリ土類金属および/または遷移金属イオンの塩がアルカリ金属以外に存在してもよい。
【0040】
金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、またはセシウム、あるいはこのような陽イオンの組み合わせなどのアルカリ金属の化合物を挙げることができる。例としては、ナトリウム、カリウム、セシウム、あるいはナトリウム、カリウム、および/またはセシウムのあらゆる組み合わせが挙げられ、他のアルカリ金属イオン、遷移金属イオン、またはアルカリ土類イオンなどの他の陽イオンを少量含んでいてもよい。注目される金属化合物としては、アルカリ金属、特にナトリウムおよびカリウムのイオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物、またはアルコキシド、ならびに、アルカリ土類金属および遷移金属のイオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、酸化物、水酸化物、またはアルコキシドが挙げられる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウムが注目される。
【0041】
エチレン酸コポリマーまたは未変性アイオノマーは、当業者に周知のあらゆる手段によって、有機酸またはその塩および/または金属化合物と混合して、前述の(1)および(2)を含むブレンドされた変性アイオノマー組成物を調製することができる。
【0042】
これは実質的に溶融加工可能であり、1種類以上のエチレン酸コポリマー、1種類以上の一塩基カルボン酸またはその塩、ならびに塩基性化合物を混合して混合物を形成し;組成物を製造するのに十分な条件下で混合物を加熱することによって製造してもよい。加熱は、約80〜約350℃、約100〜約320℃、または120〜300℃の範囲内の温度において、その温度に対応する圧力下で、約30秒から約2または3時間の時間で行ってもよい。たとえば、本発明の組成物は、酸コポリマーおよび/またはそのアイオノマーを1種類以上の有機酸またはその塩を溶融ブレンドし;同時に、またはこれに続いて、50、60、70、80、90%を超えるレベル、ほぼ100%、または100%のレベルに名目上中和するために酸部分の中和が可能となる十分な量の塩基性金属化合物を混合することによって製造してもよい。成分のごま塩状ブレンドを加熱してもよく、成分を押出機で溶融ブレンドすることもできる。たとえば、二軸スクリュー押出機を使用して、酸コポリマーおよび有機酸(または塩)と金属化合物との混合および処理を同時に行ってもよい。成分が密接に混合され、塩基性金属化合物によって酸性部分が中和されるように、ブレンドが行われることが望ましい。
【0043】
不活性希釈剤を使用しないようなこの方法による(同時または連続した)酸コポリマーおよび有機酸の金属化合物による処理によって、アイオノマー単独の場合に生じる溶融加工性および性質の低下よりも高いレベルでの加工性または靱性および伸びなどの性質の低下を引き起こすことなく組成物を製造することができる。
【0044】
選択透過性変性アイオノマー組成物は、1種類以上のエチレン含有ポリマーをも含む。このようなポリマーをブレンドすることによって、単層構造として使用する場合、または基材に接着する場合にブレンドのより良い加工性、改善された靱性、強度、可撓性、および/または相溶性を得ることができる。望ましくは、(1)および(2)の変性アイオノマーの組み合わせが調製され、続いて追加のエチレン含有ポリマーとブレンドすることによって、最終的な選択透過性組成物が調製される。しかし、ある実施形態においては、エチレン含有ポリマーは、その調製中に有機酸変性アイオノマーの成分と溶融ブレンドすることができる。すなわち、有機酸変性アイオノマーの調製およびエチレン含有ポリマーとのブレンドは、1つのプロセス作業中に同時に行うことができる。有機酸変性アイオノマーとエチレン含有ポリマーとのごま塩状ブレンドは、それらの溶融温度よりも高温に加熱して混合してもよく、成分を押出機中で溶融ブレンドしてもよい。
【0045】
エチレン含有ポリマーとしては、ポリエチレン(PE)ホモポリマーおよびコポリマーを挙げることができる。PEホモポリマーおよびコポリマーは、種々の方法、たとえば周知のZiegler−Natta触媒重合(たとえば、米国特許第4,076,698号明細書および米国特許第3,645,992号明細書)、メタロセン触媒重合、VERSIPOL触媒重合、およびフリーラジカル重合によって調製することができる。重合は、溶液相法、気相法などとして行うことができる。PEポリマーの例としては、高密度PE(HDPE)、直鎖状低密度PE(LLDPE)、低密度PE(LDPE)、極低密度または超低密度PE(VLDPEまたはULDPE)、メタロセンを使用して製造された高い可撓性および低い結晶性を有するより低密度のPE(mPE)を挙げることができる。メタロセン技術は、たとえば米国特許第5,272,236号明細書、米国特許第5,278,272号明細書、米国特許第5,507,475号明細書、米国特許第5,264,405号明細書、および米国特許第5,240,894号明細書に記載されている。
【0046】
PEの密度は、約0.865g/cc〜約0.970g/ccの範囲となりうる。直鎖状PEは、記載の密度範囲内に密度を低下させるために、ブテン、ヘキセン、またはオクテンなどのα−オレフィンコモノマーを含むことができる。たとえば、コポリマーは、3〜20個の炭素原子を有しコポリマーの最大約20重量%の別のα−オレフィンと共重合する主要部分(重量基準)のエチレンを含むことができる。別のα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン、またはそれらの2種類以上の組み合わせである。エチレン/オクテンコポリマーを含むメタロセンポリエチレンが注目される。
【0047】
PEコポリマーは、二重結合を有する少量の不飽和化合物を含有するエチレンプロピレンエラストマーであってもよい。本明細書において使用される場合、用語「PE」は、前述のエチレンを含むポリマーのいずれかまたはすべてに言及するために総称的に使用される。
【0048】
ブタジエン、ノルボルナジエン、ヘキサジエン、およびイソプレンなどのジオレフィン成分を少量有するエチレンコポリマーも一般に好適となる。エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)などのターポリマーも好適となる。
【0049】
エチレン含有ポリマーとしては、エチレンと、少なくとも1種類の極性モノマーとの共重合によって得られるエチレンコポリマー、たとえば、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン/アクリル酸エステルコポリマー、エチレン/メタクリル酸エステルコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/COコポリマー、エチレン/アクリル酸エステル/COコポリマー、および/またはこれらのいずれかの混合物を挙げることができる。
【0050】
EVAとしては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合、またはエチレンと、酢酸ビニルと、追加のコモノマーとの共重合によって得られるコポリマーが挙げられる。酢酸ビニルコモノマーは、2〜45重量%または6〜30重量%が酢酸ビニルから誘導されうる。EVAは、ASTM D−1238に準拠して測定して0.1〜60g/10または0.3〜30g/10分のメルトフローレートを有しうる。2種類以上の異なるEVAの混合物を使用しうる。
【0051】
エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーとしては、エチレンと1種類以上の(メタ)アクリル酸C1~8アルキルとのコポリマーが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸ブチルが挙げられる。コポリマーの例としては、エチレン/アクリル酸メチルコポリマーエチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/アクリル酸ブチルコポリマー、またはそれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルは、エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー中に、2〜45重量%、5〜45重量%、10〜35重量%、または10〜28重量%で混入されうる。
【0052】
エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーは、当業者に周知の方法によりオートクレーブまたは管型反応器のいずれかを使用して調製しうる。たとえば、米国特許第2,897,183号明細書、米国特許第3,404,134号明細書、米国特許第5,028,674号明細書、米国特許第6,500,888号明細書、および米国特許第6,518,365号明細書を参照されたい。エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーの製造方法は周知であるので、簡潔にするための本明細書においてそれらの説明は省略する。管型反応器によって生成されたエチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーは、ELVALOY(登録商標)ACなどがE.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware)(DuPont)から市販されている。エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーは分子量を大きく変動させることができ、ポリマーのメルトインデックス(MI)グレードの選択は、エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーの性質と中和された有機酸およびエチレン酸コポリマーの性質とのバランスをとることによって行うことができ、それによって特定の可変透過性構造体に必要とされる可撓性および構造特性の所望の組み合わせを得ることができる。2種類以上の異なるエチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーの混合物を使用することができる。少なくとも1種類のエチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーが最大15重量%で存在する組成物が注目される。
【0053】
変性アイオノマーの組み合わせとエチレン含有コポリマーとのブレンドを促進して機械的性質を改善するために、少量(1または5重量%から約15重量%)のジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマーまたはエチレン酸コポリマーが使用される。前述したように、最良の透過性および機械的性能を得るためには、追加のエチレン含有ポリマーおよびジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマーとブレンドする前に、(1)および(2)の組み合わせが調製されることが望ましい。
【0054】
無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、またはそれらの2種類以上の組み合わせから得られる単位などの、不飽和ジカルボン酸無水物から誘導されるジカルボン酸無水物単位を有するコポリマーを含む、ジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマーを、本発明の組成物中に使用することができる。変性コポリマーは、前述のエチレンホモポリマーまたはコポリマー(たとえばPE)、ポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、EVAまたはエチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーから選択されるポリマーを、不飽和ジカルボン酸無水物およびラジカル発生剤とともに有機溶媒中に溶解させ、続いて加熱撹拌を行うグラフト法;およびすべての成分を押出機に供給して無水マレイン酸グラフトエチレンコポリマーを精製する方法などの周知の技術によって得ることができる。グラフト法によって、無水物単位がポリマー主鎖からのペンダント部分となる無水物単位を0.1〜3重量%有するコポリマーが得られる。これらのグラフトコポリマーは、DuPontよりFUSABONDまたはBYNELのブランド名で市販されている。注目されるグラフトコポリマーの1つは、24重量%の共重合アクリル酸メチル単位(グラフト前)を有し1.8重量%の無水マレイン酸をグラフトさせたエチレン/アクリル酸メチルコポリマーである。
【0055】
ジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマーは、高圧フリーラジカル法によって容易に得ることもでき、この方法では、オレフィンコモノマーと無水マレイン酸などのコモノマーとを直接共重合させることで、無水物単位由来の原子がポリマー主鎖の一部を構成するコポリマーが得られる。好適な高圧法の1つが、たとえば米国特許第4,351,931号明細書に記載されている。この方法によって、3重量%を超える、たとえば約4または5重量%から約15重量%の無水物単位を有するコポリマーを調製することができる。このようなコポリマーとしては、エチレン/無水マレイン酸コポリマーなどのオレフィン/マレエートコポリマーが挙げられる。
【0056】
他のジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマーは、たとえば、マレイン酸水素エチルとも呼ばれるマレイン酸モノアルキルエステルなどのジカルボン酸エステルを含むことができる。このようなポリマーとしては、約5〜約10重量%、または約6〜約9重量%のマレイン酸モノエチルエステルを有するエチレンとマレイン酸モノエチルエステルとのコポリマーを挙げることができる。
【0057】
ブレンドを促進するために使用されるこのようなジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマーとしては、エチレン/マレイン酸モノアルキルエステルジポリマー;ならびにエチレン/マレイン酸モノアルキルエステル/(メタ)アクリル酸n−ブチル、エチレン/マレイン酸モノアルキルエステル/(メタ)アクリル酸メチル、エチレン/マレイン酸モノアルキルエステル/(メタ)アクリル酸エチルのターポリマー、またはそれらの組み合わせが挙げられる。これらのコポリマーは、高圧フリーラジカル法によって容易に得ることができ、この方法では、オレフィンコモノマーとマレイン酸モノアルキルエステルコモノマーとを直接共重合させることで、マレイン酸モノアルキルエステル単位に由来する原子がポリマー主鎖の一部を構成するコポリマーが得られる。追加のアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルコモノマーを共重合させることで、記載のターポリマーを調製することもできる。好適な高圧法の1つが、たとえば米国特許第4,351,931号明細書に記載されている。この方法によって、約4または5重量%から約15重量%のマレイン酸モノエチルエステル単位を有するコポリマーを調製することができる。注目されるマレイン酸モノアルキルエステルは、マレイン酸水素エチルとも呼ばれるマレイン酸モノエチルエステルである。注目されるコポリマーとしては、約5〜約10重量%、または約6〜約9重量%のマレイン酸モノエチルエステルの共重合単位を有するエチレンとマレイン酸モノエチルエステルとのコポリマーが挙げられる。
【0058】
(1)および(2)の変性アイオノマーの組み合わせを調製し、エチレン含有ポリマーと溶融ブレンドし、次にジカルボン酸誘導体含有ポリマーと溶融ブレンドすることができる。しかし、ある実施形態においては、有機酸変性アイオノマーを調製し、エチレン含有ポリマーおよびジカルボン酸誘導体含有ポリマーと同時に溶融ブレンドすることができる。すなわち、有機酸変性アイオノマーと、エチレン含有ポリマーおよびジカルボン酸誘導体含有ポリマーとのブレンドは、1つのプロセス作業中に同時に行うことができる。有機酸変性アイオノマー、エチレン含有ポリマー、およびジカルボン酸誘導体含有ポリマーのごま塩状ブレンドは、それらの溶融温度よりも高温に加熱して混合することができ、あるいは、ペレットのブレンドをあらかじめブレンドした後、または押出機中に計量した量の成分を供給することのいずれかによって、成分を押出機中で溶融ブレンドすることもできる。
【0059】
ポリマー樹脂をブレンドする場合、流動性が高いまたは低粘度の樹脂は、流動性がより低い他の樹脂よりも容易に流動する傾向がある。この溶融レオロジー効果のために、溶融ブレンドプロセス中、流動性の高い樹脂のブレンド中への分散および分布がより効率的となる傾向にあり、より高い溶融剪断場との界面においてより効果的に分布することができる。ブレンドおよび押出の条件に依存するが、エチレン含有ポリマーおよびジカルボン酸誘導体含有ポリマー成分は、押出物の表面付近に集中し、基材への接着が改善されることがある。
【0060】
本発明の組成物は、組成物の全重量を基準として0.01〜15重量%、0.01〜10重量%、または0.01〜5重量%の添加剤をさらに含むことができ、添加剤としては、可塑剤、粘度安定剤および加水分解安定剤などの安定剤、一次および二次酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、またはその他の着色剤、無機フィラー、難燃剤、潤滑剤、ガラス繊維およびフレークなどの補強剤、合成(たとえば、アラミド)繊維またはパルプ、起泡剤または発泡剤、加工助剤、スリップ剤、シリカまたはタルクなどのブロッキング防止剤、剥離剤、粘着付与樹脂、またはそれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。これらの添加剤は、Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technologyに記載されている。
【0061】
添加剤は、乾式ブレンド、種々の構成要素の混合物の押出成形、従来のマスターバッチ技術などのあらゆる周知の方法によって組成物に混入することができる。
【0062】
本発明の組成物は、限定するものではないが、リン化合物類、酸化アンチモン類、およびハロゲン化合物類、特に臭素化合物類、ならびに当技術分野において周知のその他のものなどの化学添加剤などの難燃剤をさらに含むことができる。これらの添加剤の充填量は、(最終風乾組成物または風乾フィルムの重量の)20から30%または約25%の間であってよい。
【0063】
本発明の組成物は、フィラー、繊維、またはパルプも含むことができ、その添加量は全組成物の最大30〜40重量%であってもよい。これらの材料によって、組成物の選択透過性に悪影響を与えることなく、組成物の機械的性質の補強またはその他の改質を行うことができる。フィラーとしては、たとえば、カーボンブラック、TiO2、炭酸カルシウム(CaCO3)などの無機材料が挙げられる。短繊維などの繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維などが挙げられる。パルプとしては、たとえばアラミドマイクロパルプが挙げられる(マイクロパルプは約0.01〜約100マイクロメートルの体積平均長さを有する)。
【0064】
本発明のポリマー組成物は、フィルムまたはシートに成形したりそれらの中に混入したりすることができる。フィルムは、ポリマー組成物の平坦面上またはフィルム中へのキャスティング、溶融ポリマー組成物を押出機から押し出すことによるキャストフィルムの形成、あるいはポリマー組成物フィルムの押出成形およびブロー成形による押出ブローフィルムなどの周知の技術によって製造することができる。
【0065】
これらのフィルムは、1〜2500μmの厚さを有することができ、多くの保護カバー用途に好ましい厚さは約5〜10ミルの厚さ、または約120〜250μmの厚さである。
【0066】
本発明の保護構造は、たとえば、防水シート、カバーなどの形態であってよい。本発明の組成物から得られる膜は、保護構造に加えられる材料の層として存在することができるし、保護構造中に組み込まれる布の一成分として存在することもできる。以下により詳細に説明するように、一般に本発明の組成物の層および支持基材は、積層または重ね合わせる方法で配置して保護構造を得ることができる。基材とともに使用する場合、本発明の選択透過性組成物は約10〜約250μmの厚さを有することができる。本発明の膜組成物は、種々の技術および方法によって基材に加工したり基材に適用したりすることができる。
【0067】
本発明の組成物は、限定するものではないが、基材への押出コーティング、または溶融形態で組成物の内部層を塗布して基材に互いに接着することによる2つの基材層の積層などによって、溶融条件下で基材に塗布することができる。ある実施形態においては、本発明のポリマー組成物は、布含浸およびコーティング技術を使用して基材上に直接コーティングすることができる。たとえば、本発明の選択透過性組成物は、(押出コーティング、吹き付け、塗装、またはその他の適切な塗布方法によって)基材上に直接塗布されるコーティングである。このようなコーティングは、ゴム製ドクターブレードまたはスリット押出機の使用などの当技術分野において周知の塗布方法を使用して塗布することができる。
【0068】
本発明の組成物は、布地基材の片面または両面に塗布することができる。基材の片面上にコーティングまたは塗布される場合、本発明の組成物を、環境に直接露出する面に塗布して、液体不浸透性外面を得ることができる。あるいは、機械的摩耗または摩滅が生じうる用途においては、本発明の組成物を、機械的摩耗に曝露される面と反対側の布地基材の面に塗布することで、ポリマー組成物を保護することができる。
【0069】
別の実施形態においては、本発明の組成物を基材中に含浸させることができ、基材を本発明のポリマー中に含浸させることができる。
【0070】
本発明の選択透過性組成物は、溶融組成物を基材に塗布し、次に基材の孔隙と接触させながら組成物を冷却することで、基材に組成物を含浸させることによって、少なくとも部分的に基材中に形成することができる。
【0071】
本発明の組成物は、目の粗い織布などの基材全体に分散させることができ、この場合、組成物が基材中の間隙に充填され、基材の表面上だけに接着することがない。積層または同時押出法によって、基材を選択透過性膜の内側に含浸させて、基材の両面上に透過性組成物を有することができる。
【0072】
本発明の組成物は、サンドイッチ状に布地の2つの層の間に配置することもできる。数層の組立体を、上下に組み合わせることもできる。たとえば、この構成は、保護構造の所望の用途に依存して、選択透過性膜層、基材層、もう1つの選択透過性膜層、もう1つの基材層などを含むことができる。他の構成では、これらを混合したものなどを含めた複数の選択透過性膜層、複数の基材層などの上記のサンドイッチ構造の変形を含むことができる。
【0073】
本発明の組成物から得た膜は、保護構造に加えられる材料の層として存在することができ、または保護構造中に組み込まれる布の一成分として存在することもできる。従来、防水シートまたはその他のカバーとして使用されたコーティング布は、少なくとも1つの耐摩耗性外層を有する場合があり、この外層は一般に、高い可撓性、摩耗、摩滅、けば立ち、および擦過による擦傷に対する高い抵抗性、高い機械的強度、ならびに靱性が一般に要求される。コーティング組成物は好ましくは、布、ならびにプラスチックフィルム、および紙や板紙などのセルロース系材料などの他の基材に対する良好な接着性を示す。これらは、良好な溶融加工性、良好な着色性、良好な印刷適正、ならびに高い透明性および/または光沢を示すことも望ましい。これらの用途の従来のコーティング組成物としては、可塑化されたまたは可撓性のポリ塩化ビニルが挙げられる。本明細書に記載の組成物は、選択透過性であるために、従来のコーティング材料よりも優れたコーティング組成物となる。
【0074】
本発明の組成物はフィルムまたはシートの形態であってよく、このフィルムは、布地に隣接して上に重なって機械的に維持または固定される。機械的な固定としては、留め金、ジッパー、マジックテープなどの締結具の使用が挙げられる。機械的固定としては、糸または繊維を使用した縫い合わせまたはキルティングも挙げられる。
【0075】
本発明の選択透過性膜は、膜層と基材との間に適合した接着剤を使用することによって基材に取り付けたり接着したりすることができる。構造の水蒸気透過性を維持するため、ある実施形態において、接着剤は膜層と基材との間の不連続層として存在し、多くの場合、接着剤は、たとえば基材表面の約10〜約40パーセントを覆う接着剤の一連の点として塗布することができる。接着剤は、膜および基材の縁端部付近に選択的に塗布することもできる。
【0076】
本発明の選択透過性膜は、ヒートシールまたは高周波(HF)溶接によって基材に取り付けることもできる。積層体は、ヒートプレスおよびカレンダー加工などのあらゆる周知の方法、あるいは層に熱を加え、次にさらに熱を加えることなく互いに押し付けることによってヒートシール(熱接合)することができる。いずれの場合も、次に軟化した層または成分によってフィルム構造が基材に接合される。ヒートシールまたはHF溶接のいずれにおいても、フィルムの基材への接合は、フィルムおよび基材の全領域にわたって連続の場合もあるし、不連続の場合もある。不連続な接合は、フィルムが基材に重なる領域の選択された部分に熱またはHF放射線を与えることによって行うことができる。
【0077】
本明細書に記載の選択透過性組成物は、最大600μm、または最大400μm、または最大200μmの大きさの粒子の粉末として調製することができる。粉末組成物は、約100〜約600μmで大きさが変動する粒子を含むことができる。粉末組成物の平均粒度は約150〜約200μmであってよい。本発明の組成物は、基材への塗布に適した所望の粒度が得られる当技術分野において周知の方法によって、粉砕、粉末化、またはその他の処理を行うことができる。
【0078】
粉末は、粉末散布などの技術によって基材に塗布することができ、基材の有効幅にわたって粉末を均等に分布させ、その後溶融させ、平滑化し、冷却して基材上に組成物の均一なコーティングが得られる。
【0079】
積層体は、接着促進物質または汚染物質遮断物質の層をさらに含むことができ、この物質は、選択透過性であり、耐摩耗性ポリマーであってもよく、選択透過性層に隣接して配置される。たとえば、この物質は、ウレタン官能基を有してもよく、約2.5〜12μmの厚さを有することができる。この層中に使用できる別のポリマーとしては、種々のエラストマー、反応性材料、および接着剤が挙げられる。好ましくは接着促進ポリマー層がフィルムとして存在するが、この層は基材のコーティングまたは含浸物でありうる。熱プレス、接合、カレンダー加工などによって積層対の層を1つにまとめることによって積層体が形成される場合、このさらなる接着促進ポリマー層が特に有用となる。この場合、耐摩耗性ポリマー層は、選択透過性層と適合性であるべきであり、それによって部材を熱プレスしたときに、それらが互いに接着する。
【0080】
基材は、構造の機能性および取り扱い性を向上させるために、支持、形状、審美的効果、保護、表面テクスチャー、嵩容積、重量、またはそれらの2種類以上の組み合わせを付与するあらゆる材料であってよい。
【0081】
基材は、選択透過性組成物を組み込むのに役立つ媒体であってよいし、透過性を妨害しないように膜を機械的に支持してもよい。好ましくは基材は、選択透過性膜の水蒸気拡散よりも多い水蒸気拡散を示し、それによって構造の水蒸気拡散特性が、本発明の選択透過性組成物によって実質的に得られる。すなわち、基材は、水蒸気による層状構造の透過に実質的に影響を与えず、たとえば少なくとも1.8、4、5、またはさらには10Kg/m2/24時間の測定MVTRを有してもよい。
【0082】
この所望の特性に適合するあらゆる支持体または基材を本発明の選択透過性組成物とともに使用することができる。例としては、布地または多孔質シート材料が挙げられる。不織布などの合成繊維紡糸布から製造したシートを、布地基材として使用することができる。織布、メリヤス生地などの布も布地基材として好適である。布は、前述した難燃剤、フィラー、または添加剤を含むことができる。
【0083】
たとえば、布は、Bradford,RIのBradford Dyeing Association,Inc.によるものなどの50%ナイロン−50%綿の混紡織布(NYCOとも呼ばれる)を含むこともできる。注目される布は、Millikin and Company(Spartanburg,SC)のポリエステル織布である。
【0084】
基材は布地として一般に説明されるが、基材は、選択透過性組成物の分散物を1つまたは複数の層の上に配置したり、それらの中に収容したりすることができるあらゆる他の材料であってよい。
【0085】
たとえば、ペーパーウェブ(たとえばクラフト紙またはわら紙)などのセルロース系材料、合成繊維紡糸布、不織布地、微孔質フィルム、またはさらには有孔PEフィルムなどの開口面積のパーセント値が大きい有孔フィルムから製造された材料を基材の材料として使用してもよい。これらの材料は、繊維で補強してもよい。注目される微孔質フィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせから製造してもよい。これらのフィルムは、単層または多層のフィルム(たとえば、ポリエチレンの2つの外層の間にポリプロピレンの1つの内層を含む3層フィルム)であってよい。微孔質フィルムは、Celgard,LLC,Charlotte,NCよりCELGARD の商品名で入手可能である。
【0086】
微孔質フィルムに適したポリマーは、(1)固有粘度が少なくとも18、好ましくは18〜39デシリットル/グラムである直鎖状超高分子量ポリエチレン、(2)固有粘度が少なくとも6デシリットル/グラムである直鎖状超高分子量ポリプロピレン、および(3)(1)と(2)との混合物である。
【0087】
微孔質フィルムは、微粉砕された粒子状で実質的に水不溶性の無機フィラー、たとえばケイ酸含有フィラーを含むことができ、この無機フィラーはマトリックス全体に分散され、フィルムの全重量を基準として50〜90%、特に50〜85%の量で存在する。フィラーは、シリカ、沈降シリカ、または0.1μm未満の平均最終粒度を有するシリカであってよく、微孔質フィルムの全体積の35〜80%を占めることができる。これらは比較的狭い範囲の孔径を有するので、フィラーと、プロセス油、たとえばパラフィン系油、ナフテン系油、または芳香族系油とが均一に分散したポリマー組成物を押出成形し;続いてプロセス油を、たとえばトリクロロエチレンで抽出することによって、フィルムを製造してもよい。あるフィルムは、たとえば米国特許第4,937,115号明細書および米国特許第3,351,495号明細書に開示されており、PPG Industriesより商品名TESLINで販売されている。
【0088】
多孔質または有孔フィルムの具体例としては、商品名CELGARD K878でHoechst Celanese Corpより入手可能な多孔度が約55%であり孔径が約0.25ミクロンである多孔質PEフィルム;商品名MSX 1137Pで3M Co.より入手可能な多孔質PEフィルム;および名称Van Leer 10XでVan Leer Corpより入手可能なフィラー含有多孔質PEフィルムが挙げられる。TESLIN SP7は、フィラー含有多孔質PEフィルムであり、約60%のシリカを含有し、厚さが約0.18mm(0.007インチ)であり、前述のように測定される引裂強度が約90gであり、多孔度が約65%であり、平均孔径が約0.1ミクロンであり、最大孔径が4〜10ミクロンである。TESLIN X457は、TESLIN SP7と類似しているが、より多孔質である。TESLIN SP10は、TESLIN SP7と類似しているが、厚さが約0.25mm(0.010インチ)である。これら3つすべてのTESLINフィルムは、PPG Industriesより入手可能である。厚さ0.11mm(4.5ミル)であり、開口領域が約36%である有孔高密度ポリエチレンフィルムが、商品名DELNETでApplied Extrusion Technologiesより入手可能である。
【0089】
基材は、フルオロポリマーを含む多孔質シート材料であってよい。基材は、W.L.Gore & Associates(Wilmington,DE)などの多くの企業から入手可能な発泡ポリテトラフルオロエチレンから製造されたシート材料であってよい。他の多孔質基材としては、多孔質または微孔質ポリウレタンフィルム、フラッシュ紡糸ポリプロピレンなどのある種のフラッシュ紡糸不織布、およびその他のスパンボンドポリマー布、Milliporeなどの企業によるフィルター材料、ナノ繊維またはマイクロ繊維構造、天然または合成繊維、寸法安定性を付与するその他の関連する支持体、あるいはそれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。
【0090】
保護構造は、接着層、断熱層、クッション層、吸収層、反応性層などの他の層をさらに含むことができる。
【0091】
絶縁層およびクッション層は、たとえば、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含む有機熱可塑性繊維系材料を含むことができる。たとえば、断熱層またはクッション層は、ポリエステルを含む繊維充填バットである。THERMOLITE ACTIVE ORIGINALとしてDuPontより販売される繊維充填バットが好適である。あるいは、断熱層は、THINSULATEとして3Mより販売されるメルトブローンポリオレフィンなどのメルトブローン繊維を含むことができる。これらは、ガラス繊維バットなどの他の材料を含むこともできる。
【0092】
選択透過性組成物の機械的性質および加工の容易さ、ならびにその水蒸気を移動させ液体を遮断する能力を、支持基材と組み合わせることによって、輸送中および保管中に物品を覆うまたは取り囲むために保護構造を使用可能になる。
【0093】
包装材料を製造するために種々の構造配置を使用することができる。たとえば、透過性が変化する多層構造は、材料の可撓性シートの形態であってよい。シート材料は、従来のプラスチックフィルムが使用される方法と同じ方法で、腐食から保護するために物品の周囲に巻き付けることができる。一部の構造配置は以下の通りである。
【0094】
(1)包装される物体の周囲に巻き付けたり上に載せたりすることが可能な選択透過性構造を含む材料のフィルムまたはシート。
【0095】
たとえば、機材の一部またはパレットおよびその荷物であってよい物体は、機械によってまたは手作業によって使用することができるフィルムの重なり合う層の中に包み込むことができる。これらのフィルムは、比較的長く幅が狭くてよく、ロールから送り出すことができる。フィルムは、延伸可能、または熱収縮性であってもよい。機械を使用して直線状に延伸されるラップフィルムで物体を包み込むことは、たとえば、物体をターンテーブル上に載せて回転させながら、フィルムを水平方向に供給し、その位置を垂直方向に変化させることによって、重なり合う層の中に物品を包み込むことによって行うことができる。手持ち式フィルムディスペンサーを作業者が使用して、十分な量のフィルムが取り付けられるまで荷物が積まれたパレットの周囲を歩くことによって、フィルムを手作業で取り付けることもできる。
【0096】
熱収縮性フィルムは、物体の周囲に巻き付けて、熱を加えることによって収縮させて、フィルムを物体の周囲にしっかりと適合させることができる。
【0097】
他の例としては、物体の上に載せることができ、(たとえばストラップ、ロープ、ゴムバンドなどを使用して)その場に機械的に固定してもよい、防水シートなどの、長さおよび幅が同程度である実質的に平坦な長方形シートが挙げられる。
【0098】
これらの包装形態は、異なる大きさ形状の多種多様な物体を特定の時間または場所において包装する場合に好ましい場合がある。
【0099】
(2)本明細書に記載の選択透過性構造のみで構成される、あるいは他のプラスチック材料、織布または不織布などの他の材料を含み、その上に選択透過性構造を含む窓、パッチ、または領域が存在する、袋、パウチ、フード、またはシース。
【0100】
これらの包装形態は、包装される物体を収容可能なくぼんだ形状に成形されたシートまたはフィルムから製造される。
【0101】
このようなものとしては、熱収縮性フードおよびパレットストレッチフードが挙げられる。パレットストレッチフードは、延伸されてパレットおよびその荷物をぴったりと覆う弾性シースである。パレットストレッチフードは、次にその弾性特性のため収縮し、その収縮力によって、荷物が積まれたパレットの完全性および安定性が得られる。
【0102】
これらの包装形態は、類似の大きさおよび形状の多数の物体が特定の時間または場所において包装される場合に好ましい場合がある。
【0103】
(3)選択透過性構造のみで構成される、あるいは可変透過性多層構造の1つ以上の窓を上に有する他の材料で一部が構成される、桶、箱、大箱などの剛性または半剛性または可撓性の構造。
【0104】
(4)選択透過性構造のみで構成される、あるいは選択透過性構造の1つ以上の窓を上に有する他の材料で一部が構成される、蓋材料。この蓋材料は、桶、箱、大箱などの剛性または半剛性または可撓性の構造とともに使用して、選択透過性構造を含む包装材料を作製することができる。
【0105】
(5)所望の透過性を付与するための包装材料の設計された開口部の上の選択透過性構造のパッチ。
【0106】
(6)適切な時点で使用者が選択透過性構造を環境に曝露することが可能となる取り外し可能な保護カバーによって選択透過性構造が覆われる包装材料。たとえば、保護カバーは、希望する時に選択透過性構造の表面から剥離することができる、選択透過性構造に対して低接着性の材料を含むことができる。あるいは、カバーは、包装材料中で選択透過性構造の上に重ねられるが、選択透過性構造には接着しない取り外し可能な材料であってもよい。たとえば、保護カバーは、希望するときに取り外すことができる保護(バリアなど)材料の蓋、フラップ、またはパッチであってよい。保護カバーは、包装材料中で選択透過性構造のパッチまたは窓の上に配置することができる。
【0107】
この形態の保護カバーは、雨またはその他の荒れた天候の間に基材を非常によく保護することができ、その後バリアフラップを取り外すことで、選択透過性膜を介して水分を排出することができる。
【0108】
これらの構造の多数の変形も可能であり、そのような構造は、本開示を読めば当業者には明らかとなるであろう。
【0109】
腐食またはカビの増殖による物品の損傷を制限する方法において、物品は上記開示の選択透過性保護構造で包み込むまたは覆うことができ、この包み込むことまたは覆うことは気密性である場合もあるし気密性でない場合もある。
【0110】
実証および例示のために以下の実施例を提供するが、これらの実施例は本発明の範囲を不当に限定するものではない。
【実施例】
【0111】
温度および圧力の制御された条件下で規定の毛細管を通過するポリマーの質量流量MIを、ASTM 1238に準拠し190℃において2160gの重りを使用してg/10分の単位で測定した。
【0112】
高い水透過性(>100g/m2・24h)のサンプルの場合、水蒸気透過試験を、Mocon PERMATRAN−W 101K上で、ASTM D6701−01に準拠し、37.8℃、相対湿度100%において行った。他のサンプルの場合、透過試験はMocon PERMATRAN−W 700上で、ASTM F1249−01に準拠して行った。フィルムサンプルに関する水蒸気透過値(MVPV)は、g・mil/m2・24hの単位で報告され、一方、MVTRはg/m2・24hの単位で報告される。本発明の組成物のMVPVは、少なくとも800(または少なくとも1200)g・mil/m2/24hであった。
【0113】
材料の「通気性」または蒸発耐性の別の測定方法では、ASTM F1868、ISO 11092に準拠したGuarded Sweating Hotplate Testを使用する。
【0114】
本明細書に記載の選択透過性組成物を含むフィルム層に関連する水蒸気透過性を示すために、以下に列挙する材料から押出キャストフィルムを作製する。
【0115】
使用した材料
EAC−2:エチレンとメタクリル酸(19重量%)とのジポリマー、MI=300。
EAC−3:エチレンとアクリル酸n−ブチル(23.5重量%)とメタクリル酸(9重量%)とのターポリマー、MIは200である。
EAC−4:エチレンとアクリル酸n−ブチル(28重量%)とアクリル酸(6.2重量%)とのターポリマー、MIは200である。
EAC−5:エチレンとアクリル酸n−ブチル(15.5重量%)とアクリル酸(8.5重量%)とのターポリマー、MIは60である。
EAC−6:エチレンとアクリル酸n−ブチル(15.5重量%)とアクリル酸(10.5重量%)とのターポリマー、MIは60である。
ABA:90重量%のアラキジン酸およびベヘン酸の混合物と、6重量%のC18酸と、4重量%の別の酸とを含有する混合物、商品名Hystrene(登録商標)9022でChemturaより市販される。
PE−1:DPE 1640の名称でDuPont Performance Elastomersより入手可能な低密度ポリエチレン
mPE−1:メタロセンポリエチレン;密度=0.920g/cc;MI=5g/10分。
mPE−2:メタロセンポリエチレン;密度=0.895g/cc;MI=3g/10分。
mPE−3:メタロセンポリエチレン;密度=0.895g/cc;MI=1g/10分。
mPE−4:メタロセンPE;密度=0.920g/cc:MI=1g/10分。
mPE−5:メタロセンPE;密度=0.870g/cc;MI=5g/10分。
mPE−6:メタロセンPE;密度=0.920g/cc;MIは3g/10分である。
mPE−7:メタロセンPE;密度=0.895g/cc;MIは5g/10分である。
mPE−8:メタロセンPE;密度=0.870g/cc;MIは3g/10分である。
mPE−9:メタロセンPE;密度=0.870g/cc;MIは1g/10分である。
EMA−1:24重量%の共重合アクリル酸メチル単位(残りはエチレン)を有するエチレン/アクリル酸メチルコポリマー、MIは2g/分である。
G−1:24重量%の共重合アクリル酸メチル単位(重合前)を有し1.8重量%の無水マレイン酸がグラフトしたエチレン/アクリル酸メチルコポリマー。
EMAME−1:6重量%のマレイン酸モノエチルエステルを有するエチレン/マレイン酸モノエチルエステルジポリマー。
【0116】
Werner & Pfleiderer1軸スクリュー押出機を使用して、80重量%のEAC−2と20重量%とを含有する組成物ABAを水酸化カリウム(組成物A)で93〜97%まで名目上中和した。組成物AのMIは0.6g/10分である。組成物Aをフィルムダイから押し出して、厚さ2ミルのキャストフィルムを作製し、このフィルムの性質を表1にまとめている。
【0117】
同様に、EAC−1とステアリン酸ナトリウムとの総重量を基準として90重量%のEAC−1と10重量%のステアリン酸ナトリウムとを含有する組成物を、水酸化ナトリウムで73%まで名目上中和した(組成物B)。組成物BのMIは2.4g/10分である。
【0118】
表1:組成物Aの性質

【0119】
続いて、組成物Aを、ポリエチレン(前述のPE−1およびmPE−1〜mPE−9)およびG−1と溶融配合して、35重量%の組成物A、10重量%のG−1、および55重量%のポリエチレンを含有する組成物を調製する。さらなる組成物としては、30重量%の組成物A、15重量%のG−1、および55重量%のポリエチレンを含有する組成物;35重量%の組成物A、15重量%のG−1、および50重量%のポリエチレンを含有する組成物;40重量%の組成物A、10重量%のG−1、および50重量%のポリエチレンを含有する組成物;あるいは45重量%の組成物A、10重量%のG−1および45重量%のポリエチレンを含有する組成物が挙げられる。
【0120】
同様に、組成物Aを、前述のポリエチレンおよびEMAME−1と溶融ブレンドして、35重量%の組成物A、5重量%のEMAME−1、および60重量%のポリエチレンを含有する組成物;30重量%の組成物A、10重量%のEMAME−1、および60重量%のポリエチレンを含有する組成物;30重量%の組成物A、15重量%のEMAME−1、および55重量%のポリエチレン;45重量%の組成物A、5重量%のEMAME−1、および50重量%のポリエチレンを含有する組成物;あるいは45重量%の組成物A、10重量%のEMAME−1、および45重量%のポリエチレンを含有する組成物を得た。
【0121】
配合したブレンドをフィルムダイから押し出して、厚さ2ミルのキャストフィルムを作製した。
【0122】
表2に示す量でごま塩状ペレットブレンドを調製することによって、組成物Aおよび組成物BをEMA−1およびG−1と溶融配合し、得られたペレットブレンドを、フィードブロックが取り付けられたEgan押出コーティング機中の2つの一軸スクリュー押出機に通して、2つの押出機から出た溶融物を混合する。以下に押出条件をまとめている。
【0123】
表2

【0124】
表2に記載の組成物を、MillikenおよびCompany(Spartanburg,SC)より市販される5kWでコロナ処理された印刷されていない白色ポリエステル織布上に押出コーティングした。コーティングは、75フィート/分のライン速度、75°Fの冷却ロール、および100psiのニップロール圧で行った。
【0125】
表3

【0126】
コーティングの布への接着をASTM F904−84に準拠して測定し、表3にまとめた。表3中、「中断」は、押出コーティング後から剥離試験を行うまでの時間を示している。無水マレイン酸グラフトコポリマーG−1を含有する組成物の実施例1〜4のすべてが、G−1を含有しない対応する組成物C1〜C4よりも布に対して良好な接着性を示した。EMA−1およびG−1のMIは、組成物AのMIよりも大きいため、これらは押出物の表面付近に集中することができ、それによって基材への接着性が改善される。実施例2および2Aに示されるように、押出溶融温度は、コーティングの接着性に影響を与えうる。接着性を高めるためには、より低い押出温度が望ましいと思われる。組成物BのMIは、EMA−1およびG−1により近い値である。組成物B、EMA−1、およびG−1のブレンドは、試験した押出条件下では接着性の向上が示されない。
【0127】
ASTM方法D−6701−01に準拠してWVTRを測定し、表3中にまとめている。無水マレイン酸グラフトコポリマーをブレンド中に混入する場合に透過率が向上しうる。
【0128】
多層構造の水蒸気透過速度(MVTR)
これは、MVTR測定のInverted Cup法[ASTM E 96 Procedure BW,Standard Test Methods for Water Vapor Transmission of Fabrics(ASTM 1999)]から得られる方法によって測定される。上部に開口部を有する容器に水を加え、開口部最初に発泡PTFEフィルム(「ePTFE」)の水蒸気透過性(液体不浸透性)層で覆い、次にMVTRを測定するサンプルで覆い、最後に、織布オーバーレイ層[耐久性撥水仕上剤で処理したNYCO50:50ナイロン/綿混紡、6.7oz/yd2(0.23kg/m2)]で覆う。これら3層を封止して固定し、30分間反転させて層のコンディショニングを行い、最小0.001gの単位まで秤量し、次に、反転させた状態で乾燥窒素流と接触させる。23℃において19時間後、サンプルを再度秤量し、次式によってMVTRを計算する(kg/m2・24h):
MVTR=1/[(1/MVTRobs)−(1/MVTRmb)]
(式中、MVTRobsは、実験で観測されたMVTRであり、MVTRmbは、ePTFE防湿バリアのMVTR(別に測定される)である)。値は、3回繰り返したサンプルの結果の平均である。
【0129】
腐食試験
以下の試験は、異なる透過性値を有する組成物から作製したフィルムの防食性能を評価するために行われる。
【0130】
炭素鋼試験クーポン(2インチ×4インチ)を支持するための底部の開放された台と、小さなアルミニウム皿を支持するための上部の開放された台とを有する小型の木製のケージを設計した。上部の台の上にはヘッドスペースを維持するための枠組みを有した。このケージは、ケージによって画定される内部容積全体を空気が自由に循環できるように設計した。3つのケージを作製し、各試験フィルムごとに1つを使用する。
【0131】
折りたたんで縁端部を互いにヒートシールすることによって、表6中の試験フィルムから袋を作製し、各袋の内部容積は、材料が十分余ってケージの周囲にゆるく適合し、そのため巻き込むことによって、開口部を閉じることができる。各試験フィルムの厚さは2ミルである。
【0132】
試験のため、鋼試験クーポンを600グリッドの紙やすりで研磨し、アセトンで洗浄する。クーポンに名前を付け、試験後に比較するために試験前の写真を撮影する。試験クーポンを各ケージの下部の台の中に配置する。各ケージ中のアルミニウム皿中に小さなスポンジを入れ、各スポンジに30gの水を吸着させる。試験袋をケージの周囲に取り付け、開口部を巻き込み、テープで留め、バネクランプで閉じた状態を維持する。開口部は気密封止されないが、開口部を介した内側の空気と外側の空気との間の自由な空気交換は防止される。この試験パッケージ(閉じた袋の中のケージ)を、60℃に設定したオーブンに入れる。オーブン中で68時間後、試験パッケージをオーブンから取り出し、開く前に、パッケージの内部に存在する水分量を定性的に評価するために目視で検査する。パッケージを開き、試験クーポンを取り出し、上面および下面上の表面腐食量を評価する。ADOBE PHOTOSHOP 7.0を使用して、クーポンのカラー写真を白黒画像に変換し、腐食領域を黒色に変換し、非腐食領域を白色に変換する。クーポンの全領域の黒色面積分率(パーセント値として)を、ソフトウェアの標準手順により計算する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択透過性構造であって、
少なくとも50g/m2/24hの水蒸気透過速度を有し;
選択透過性膜または透過性層と、場合により基材とを含むか、またはそれらより製造されていてもよく;
前記透過性膜または透過性層は、少なくとも200g・mil/m2/24hの水蒸気透過値、および少なくとも150cmH2Oの水侵入圧を有し;
前記透過性膜または透過性層は、前記膜または層の重量を基準として、(a)30〜50%の有機酸変性アイオノマー、(b)1〜30%の、ジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマー、および(c)1種類以上の非アイオノマーのエチレン含有ポリマーを含むか、またはそれらより製造され;
前記有機酸変性アイオノマーはブレンドであって、前記ブレンドの重量を基準として、70〜97%のエチレン酸コポリマーまたは前記酸コポリマーのアイオノマーと、3〜30%の有機酸またはその塩とのブレンドであり;
前記エチレン酸コポリマーは、式E/X/Yで表され;Eはエチレンの共重合単位を表し;Xは、前記ポリマーの約2〜約35重量%で存在し、少なくとも1種類のC3〜C8α,β−エチレン系不飽和カルボン酸の共重合単位を表し;Yは、前記コポリマーの0〜約35重量%で存在し、アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルの共重合単位を表し;
前記酸コポリマーと前記有機酸との中の酸性基の合計の少なくとも50%が中和されて金属イオンとの塩となっており;
前記金属イオンの少なくとも50%がアルカリ金属イオンであり;
前記エチレン含有ポリマーが、ジカルボン酸誘導体およびカルボン酸誘導体を含まない、構造。
【請求項2】
前記有機酸が、4〜36個の炭素原子を有する酸、またはそれらの塩であり;
前記ジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマーが、前記ポリマーの重量を基準として0.1〜15%の少なくとも1種類のジカルボン酸無水物単位またはジカルボン酸モノアルキルエステル単位を含み;
前記エチレン含有ポリマーが、ポリエチレンホモポリマー、エチレンとα−オレフィンとのコポリマー、エチレンとジオレフィンとのコポリマー、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、エチレンとアクリル酸エステルとのコポリマー、エチレンとメタクリル酸エステルとのコポリマー、エチレンと一酸化炭素とのコポリマー、またはそれらの2種類以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記基材を含み;
前記透過性膜または透過性層が、支持基材と同時押出されるか、支持基材が含浸されるか、支持基材に組み込まれるか、支持基材が積層されるか、または支持基材上にコーティングされるかであり;
前記基材が、布地または多孔質シート材料を含み;前記透過性膜または透過性層が、非多孔質モノリス膜であり;
前記ジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマーが、エチレン/マレイン酸モノアルキルエステルコポリマー、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、エチレン/(メタ)アクリル酸アルキル/無水マレイン酸のターポリマー、エチレン/(メタ)アクリル酸アルキル/マレイン酸モノアルキルエステルのターポリマー、およびそれらの2種類以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の構造。
【請求項4】
アラミド、ガラス繊維、またはそれらの組み合わせの布を含む層をさらに含む、請求項1、2、または3のいずれか1項に記載の構造。
【請求項5】
前記基材が、1種類以上の多孔質フィルム、フラッシュ紡糸不織布、合成繊維の織布、天然繊維、スクリム、またはフィルター材料である請求項1、2、または3のいずれか1項に記載の構造。
【請求項6】
前記基材が、1種類以上のフラッシュ紡糸ポリプロピレン、フラッシュ紡糸ポリエステル、または合成繊維の織布である、請求項5に記載の構造。
【請求項7】
前記透過性膜を中に含浸させるか、前記透過性膜上に積層またはコーティングさせるかした前記基材を含む、請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか1項に記載の構造。
【請求項8】
前記金属イオンの少なくとも50%がナトリウムイオンまたはカリウムイオンである、請求項1、2、3、4、5、6、または7のいずれか1項に記載の構造。
【請求項9】
選択透過性保護膜と基材とを含む物品であって、
前記保護膜が前記基材に押出コーティング、積層、または接着接合され;
前記物品が前記膜で包まれたり覆われたりし、少なくとも50g/m2/24hの水蒸気透過速度を有し;
透過性膜と同じである前記膜および前記基材が、請求項1から8のいずれか1項に記載された特徴を有する、物品。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載された特徴を有する選択透過性多層構造または物品を製造する方法であって:
(1)有機酸変性アイオノマーを含む第1の組成物を調製するステップと;
(2)前記第1の組成物を1種類以上の非アイオノマーのエチレン含有ポリマーと溶融ブレンドして、第2の組成物を得るステップと;
(3)前記第2の組成物をジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマーと溶融ブレンドして、溶融した第3の組成物を得るステップと;
(4)基材を前記溶融した第3の組成物と接触させて、前記溶融した組成物を前記基材に接着させるか、埋め込むか、含浸させるか、あるいは前記基材を前記溶融した第3の組成物に接着させるか、埋め込むか、含浸させるかして、前記多層構造を得るステップと;
(5)前記多層構造を冷却して、前記溶融した第3の組成物を冷却し固化させるステップと
を含み;
前記有機酸変性アイオノマー、前記エチレン含有ポリマー、前記ジカルボン酸誘導体から誘導されるポリマー、および前記基材のそれぞれが、請求項1から8のいずれか1項に記載された特徴を有する、方法。

【公表番号】特表2012−524832(P2012−524832A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507368(P2012−507368)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/031989
【国際公開番号】WO2010/124048
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】