説明

遺伝子変異検出によるモヤモヤ病発症リスクの検出又は診断方法

【課題】死に至るような脳卒中発作を手術介入などの手段で未然に防ぐために、モヤモヤ病に罹患し易い個人を遺伝子診断により特定することができる遺伝子検査方法等を提供すること。
【解決手段】脳血管造影やMRI検査に比べ、簡便・迅速・大量に実施出来る、RNF213 遺伝子におけるp.R2883K変異の有無を検出する遺伝子検査方法及び検査用システム、それに使用するポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド、並びに、それから成る遺伝子増幅用プライマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モヤモヤ病(Moyamoya disease: MMD)の疾患感受性を高める遺伝子における変異を検出することによる、モヤモヤ病発症リスクの検出又は診断方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
モヤモヤ病は、脳を養う血管の特定部位(ウィリス動脈輪)が両側性に狭窄・閉塞し、その狭窄をバイパスする細い 血管(モヤモヤ血管)の新生を特徴とし、「ウィリス動脈輪閉塞症」とも呼ばれる疾患である(非特許文献1)。血管狭窄による虚血発作と新生血管の破裂による脳出血発作が5歳と30歳をピークに出現する。死亡率は、小児は4.3%、成人では10%(出血による死亡率は小児は56%、成人では63%)である。
【0003】
モヤモヤ病患者の12.5%は同疾患の家系を有していること(非特許文献2)、一卵性双子におけるモヤモヤ病の発症率は80%と高いこと(非特許文献3)、及び、東アジア、特に、日本において欧米と較べて10−20倍の発生(人口100,000人当り3. 2人)が見られること(非特許文献4、5)等から、モヤモヤ病のモヤモヤ病の発症には、環境要因のみならず遺伝的要因が深く関るものと考えられる。これまでに行なわれた家族性モヤモヤ病患者における連鎖解析の結果、MMDの原因として常染色体における5つの遺伝子座(chromosomes 3p24-26, 6q25, 8q13-24, 12p12-13 及び17q25)が候補として明らかにされた。
【0004】
ところで、モヤモヤ病の診断には従来から、1)血管造影と2)MRIとが使われてきた。1)血管造影は動脈にカテーテルを挿入し、そこから造影剤を注入してX線撮影を行うもので、被検者に与える負担が大きく、また、カテーテル操作に伴う危険が多い。2)のMRI検査は磁気を利用した脳の断層写真である。非侵襲的であるが、検査時体を静止させる必要があるため、小児の検査ではしばしば麻酔が必要になる。又、1)及び2)の検査はいずれも高額な診断機器を必要とし、検査費用もかさむため、小規模のクリニックなどで簡便に実施することは不可能であり、又、大規模に実施できるものではない。
【0005】
上記のように、脳血管造影やMIR検査によるモヤモヤ病の検査は血管の形態を検索するもので、検査時点で血管の狭窄や新生血管の有無を調べる検査である。最近、脳MRI検査は脳ドックなどの検診に組み込まれ、発症前のモヤモヤ病が見つかった事例が報告されている。このような検査法を用いても、検査時点で脳血管に変化が認められなければ、将来モヤモヤ病になるかどうかの予測は出来ない。
【0006】
このように、従来は、モヤモヤ病の脳血管病変が出現する前に、モヤモヤ病の罹患リスクの高い人を特定することは不可能であり、モヤモヤ病に伴う脳卒中発作を予知・予防することは出来なかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Suzuki, J. & Takaku, A. Cerebrovascular "moyamoya" disease. Disease showing abnormal net-like vessels in base of brain. Arch Neurol 20, 288-99 (1969).
【非特許文献2】Akutsu, H., Sonobe, M., Sugita, K., Nakai, Y. & Matsumura, A. Familialassociation of basilar bifurcation aneurysm and moyamoya disease--four case18 reports. Neurol Med Chir (Tokyo) 43, 435-8 (2003)
【非特許文献3】Sakurai, K. et al. A novel susceptibility locus for moyamoya disease on chromosome 8q23. J Hum Genet 49, 278-81 (2004)
【非特許文献4】Yonekawa, Y., Ogata, N., Kaku, Y., Taub, E. & Imhof, H.G. Moyamoya disease in Europe, past and present status. Clin Neurol Neurosurg 99 Suppl 2, S58-60 (1997)
【非特許文献5】Ikezaki, K. Clinical manifesation: Epidemiology, symptoms and signs, laboratory findings. in Moyamoya disease (eds. Ikezaki, K. & Loftus, C.) 43-75 (Thieme, New York, 2001)
【非特許文献6】Yamauchi, T. et al. Linkage of familial moyamoya disease (spontaneous occlusion of the circle of Willis) to chromosome 17q25. Stroke 31, 930-5 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
モヤモヤ病の初期の血管病変である内頚動脈の軽度狭窄時には、症状が軽微で診断に至らないことが多い。そのため、脳梗塞や脳出血などの重篤な症状で発症することが多く、初発発作の時点で死に至る症例も存在する。従って、モヤモヤ病の予後を改善するには、脳卒中発作が起こる前にハイリスクの個人を特定し、脳血管のバイパス手術などの介入を効果的に行う必要がある。
【0009】
従って、本発明が解決しようとする課題は、モヤモヤ病に罹患し易い個人を遺伝子診断により特定し、死に至るような脳卒中発作を手術介入などの手段で未然に防ぐことである。遺伝子変異検査は、脳血管造影やMRI検査に比べ、簡便・迅速・大量に実施出来るため、モヤモヤ病による脳卒中の予知・予防に役立てることが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題を解決すべく研究の結果、連鎖解析によってモヤモヤ病の疾患感受性を高める遺伝子を特定し、約70%の日本人モヤモヤ病患者はRNF213遺伝子に同じ遺伝子変異を共有することを見出した。この遺伝子変異を持つ人は持たない人に比べ、約190倍モヤモヤ病に罹り易いことを明らかにし、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明は、以下の各態様に係るものである。
[態様1]配列番号1に示されたRNF213遺伝子の塩基配列の少なくとも一部から成り、第8648番目の塩基におけるgからaへの一塩基置換を有するポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド。
[態様2]態様1に記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、態様1記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの存在を検出するために使用できるDNAから成るポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド。
[態様3]10〜100個の連続した塩基配列から成る、態様1又は2記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド。
[態様4]態様1〜3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドから成る遺伝子増幅用プライマー。
[態様5]態様1〜3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドから成るハイブリダイゼーション用プローブ。
[態様6]RNF213遺伝子の発現産物の少なくとも一部から成り、第2883番目のアミノ酸におけるR(アルギニン)からA(リジン)への置換(R2883K)を有するポリペプチド又はオリゴペプチド。
[態様7]態様6記載のポリペプチド又はオリゴペプチドにおいて、更に1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、態様6記載のポリペプチド又はオリゴペプチドを認識する抗体の抗原として機能する、ポリペプチド又はオリゴペプチド。
[態様8]態様6又は7記載のポリペプチド又はオリゴペプチドを認識する抗体。
[態様9]配列番号1に示されたRNF213遺伝子の第8648番目の塩基におけるgからaへの一塩基置換の有無を検出することから成る、RNF213遺伝子の検査方法。
[態様10]態様1〜3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの有無を検出することによる、態様9記載の方法。
[態様11]態様6又は7記載のポリペプチド又はオリゴペプチドの存在を検出することによる、態様9記載の方法。
[態様12]態様9〜11のいずれか一項に記載の検査方法を用いる、モヤモヤ病発症リスクの診断方法。
[態様13]態様9〜12のいずれか一項に記載の方法を実施するための、検出用システム。
[態様14]態様4に記載の遺伝子増幅用プライマー、態様5記載のハイブリダイゼーション用プローブ、及び/又は態様8記載の抗体を含む、態様133記載の検出用システム。
【発明の効果】
【0012】
RNF213遺伝子における特定の変異を検出することにより、モヤモヤ病発症リスクの高い人を特定することが可能になった。少量の血液や唾液を用いてこの遺伝子変異を検出する方法も既に確立しているため、脳ドックなどの検診でこの遺伝子検査を実施することで、モヤモヤ病のリスク検・診断が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)MMDにおける異常な脳を示す。点線は脳血管造影のX線視野を示す。右内頚動脈(ICA)、前大脳動脈(ACA)、及び中大脳動脈(MCA)の正常な構造は中央に示されている。右の図における矢先はMMD患者におけるタバコ煙様の異常な側副血管を示す。ICA末端部分の閉塞によってACA及びMCAはほとんど見えないことが判る。(b)20のMMD家系における9つのマイクロサテライトマーカーを用いた17q25-terにおける連鎖解析の結果を示す。3.8-Mb領域(17q25-ter)は(*)で示されている。
【図2】(a)384個の一塩基変異多型(SNP)を用いた連鎖解析の結果を示す。(b)63名の非家族性MMD患者及び45名の健常者(コントロール被験者)について同じSNPセットを用いて関連分析(association analysis)した
【図3】(a)RNF213遺伝子における変異分析の結果を示す。(b)モヤリンの構造を示す。モヤリンはAAA−スーパーファミリーATPアーゼモチーフ, RINGモチーフ及びHRDIモチーフ(HMG-CoAレダクターゼ分化モチーフ)を有している。(c)野生型モヤリン及び変異型モヤリンの発現分析の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者は、MMD患者中に見られる、RNF213遺伝子変異、即ち、第8648番目の塩基におけるgからaへの一塩基置換を同定した。これら変異の塩基レベルにおける具体的な変異は本発明の第一の態様に係るポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに含まれるもので、それらアミノ酸レベルにおける具体的な変異は本発明の第六の態様に係るポリペプチド又はオリゴペプチドに含まれるものである。これら変異の位置は、該遺伝子のコード領域における「atg」開始コドンの最初の塩基を塩基番号の1とし、それに対応するメチオニンをアミノ酸番号の1としている。
【0015】
本発明において「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、プリンまたはピリミジンが糖にβ-N-グリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステル(ヌクレオチドATP、GTP、CTP、UTP;またはdATP、dGTP、dCTP、dTTP)が複数個結合した分子を意味する。通常、数個から数十個のヌクレオチドが結合したものをオリゴヌクレオチドといい、それ以上のヌクレオチドが結合したものをポリヌクレオチドというが、両者の間には、このようなヌクレオチドの重合度の高低による厳密な区別はない。尚、本発明におけるポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは1本鎖または2本鎖であり、1本鎖の場合はセンス鎖およびアンチセンス鎖のいずれか一方である。
【0016】
本発明のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは、例えば、MMD患者から取得した血球等の適当な試料から調製したゲノムDNA又はmRNAを鋳型として使用し、例えば、本明細書の実施例で記載されたような適当なプライマーを用いるPCR(Polymerase Chain Reaction)法又はRT-PCR法、並びに、その他のNASBA(Nucleic acid sequence based amplification)法、TMA(Transcription-mediated amplification)法およびSDA(Strand Displacement Amplification)法等の当業者に公知の任意の遺伝子増幅法により増幅することができる。
【0017】
更に、本発明のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは、当業者に周知の方法により、写本発明のオリゴヌクレオチドをプローブとして、MMD患者から取得した適当な試料の全mRNAから調製したcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。又は、野生型のRNF213遺伝子のcDNAに、当業者に公知の部位特異的突然変異誘発に基づき、市販のミューテーションシステム等を用いて塩基変異を導入して調製することも可能である。
【0018】
又、本発明のオリゴヌクレオチドは、公知の方法(例えば、Carruthers(1982)Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 47:411-418; Adams(1983)J. Am. Chem. Soc. 105:661; Belousov(1997)Nucleic Acid Res. 25:3440-3444; Frenkel(1995)Free Radic. Biol. Med. 19:373-380; Blommers(1994)Biochemistry 33:7886-7896; Narang(1979)Meth. Enzymol. 68:90; Brown(1979)Meth. Enzymol. 68:109; Beaucage(1981)Tetra. Lett. 22:1859; 米国特許第4,458,066号)に記載されているような周知の化学合成技術により、in vitroにおいて合成することもできる。また、本発明のポリヌクレオチドを適当な制限酵素で切断する等の方法によって作製することもできる。
【0019】
本発明のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドには、上記のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、上記態様1記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの存在を検出するために使用できるDNAから成るポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドも含まれる。本明細書において、ハイブリダイズにおける「ストリンジェント(stringent)な条件」とは、前記のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドと、ゲノムDNAとの選択的かつ検出可能な特異的結合を可能とする条件である。ストリンジェント条件は、塩濃度、有機溶媒(例えば、ホルムアミド)、温度、及びその他公知の条件の適当な組み合わせによって定義される。すなわち、塩濃度を減じるか、有機溶媒濃度を増加させるか、またはハイブリダイゼーション温度を上昇させるかによってストリンジェンシー(stringency)は増加する。更に、ハイブリダイゼーション後の洗浄の条件もストリンジェンシーに影響する。この洗浄条件もまた、塩濃度と温度によって定義され、塩濃度の減少と温度の上昇によって洗浄のストリンジェンシーは増加する。従って、ストリンジェントな条件の好適な一具体例としては、750 mM NaCl、75 mM クエン酸三ナトリウム、1% SDS、及び30℃の条件でハイブリダイゼーションを行い、30 mM NaCl、3 mM クエン酸三ナトリウム、0.1% SDS、及び25℃の条件で洗浄を行うものである。
【0020】
又、このような「ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの存在を検出するために使用できるDNAから成るポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド」とは、以下に記載された各種の検出方法において、増幅用プライマー及びハイブリダイゼーション用プローブとして使用して、MMD患者中に見られるRNF213遺伝子変異を検出・同定することができることを意味する。
【0021】
本発明のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは、RNF213遺伝子変異の検出方法に用いる各種の検出用システムの構成要素として有用である。代表的な例として、遺伝子(DNA)増幅用プライマー及びハイブリダイゼーション用プローブを挙げることが出来る。従って、本発明のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは、その用途に応じて、適当な長さ、例えば、10〜100個の連続した塩基配列から成る。
【0022】
本発明において「ポリペプチド」及び「オリゴペプチド」とは、アミド結合(ペプチド結合)によって複数のアミノ酸残基が互いに結合して構成された分子を意味する。通常、数個から数十個のアミノ酸残基が結合したものをオリゴペプチドといい、それ以上のアミノ酸残基が結合したものをポリペプチドというが、両者の間には、このようなアミノ酸残基の重合度の高低による厳密な区別はない。
【0023】
これらのポリペプチド又はオリゴペプチドは、本発明のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの発現産物としてMMD患者から取得した適当な試料中に含まれている場合にそれから当業者に公知の任意の方法に従って単離する方法、それぞれの変異アミノ酸残基を含むアミノ酸配列の情報に基づき当業者に公知の任意の化学合成によってペプチドを調製する方法、又は、本発明のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを含む適当な組換えベクター等を用いた組換えDNA技術で適当な宿主細胞を形質転換し、該形質転換細胞により生産する方法などにより調製することができる。更に、本発明のポリペプチドを適当なプロテアーゼによって消化することによって、オリゴペプチドを作製することも可能である。
【0024】
本発明のポリペプチド又はオリゴペプチドは、RNF213遺伝子産物における第2883番目のアミノ酸におけるR(アルギニン)からA(リジン)への置換の他に、上記のポリペプチド又はオリゴペプチドを認識する抗体の抗原として機能する限りは、更に、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたものであっても良い。即ち、該抗体が認識するエピトープ以外の部位にこのような変異が含まれていても良い。このようなポリペプチド又はオリゴペプチドは、化学合成によって直接ペプチドを調製する方法の他に、これらをコードするポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを既に記載した部位特異的突然変異誘発法等により作製し、これを当業者に公知の適当な系で発現させることによって調製することも可能である。
【0025】
本発明の抗体は、本発明のポリペプチド又はオリゴペプチドを特異的に認識するものである。本発明抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり、更に、このような結合活性を有している限り、元の完全な構造を有する抗体に限らず、例えば、Fab、F(ab')2、Fv断片等の完全な抗体由来の各種誘導体が全て含まれる。これらの各種抗体又はその誘導体は、RNF213遺伝子変異の検出方法に用いる各種の検出用システムの構成要素として有用である。
【0026】
本発明の抗体は上記のポリペプチド又はオリゴペプチド、又はそれらと適当なアジュバントとの複合体を免疫原として用いて、当業者に公知の任意の方法で作製することが出来る。例えばポリクローナル抗体の場合には、上記の免疫原で動物を免役した後、血清から得ることができる。あるいは、上記の免疫原をコードする発現ベクターを注射や遺伝子銃によって、動物の筋肉や皮膚に導入した後、血清を採取することによって作製することができる。動物としては、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ニワトリなどが用いられる。また、モノクローナル抗体は、公知のモノクローナル抗体作成法(「単クローン抗体」、長宗香明、寺田弘共著、廣川書店、1990年; "Monoclonal Antibody" James W. Goding, third edition, Academic Press, 1996)に従って作成することができる。
【0027】
本発明のRNF213遺伝子変異の検出方法は、被験者の血液等の各種試料中の、上記のポリヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチド、又は、ポリペプチド若しくはオリゴペプチドの存在を検出することを特徴とする。この検出は、測定対象に応じて、当業者に公知の任意の条件・方法で行うことが出来る。
【0028】
例えば、既に記載したPCR法及びRT−PCR法等の各種PCR法、並びに、ICAN法等の各種遺伝子増幅法を用いて得られた増幅産物中で本発明のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの存在を検出することができる。このような増幅産物中の検出は、直接塩基配列を決定する方法(シークエンス法)に加えて、例えばPCR-SSCP法、PCR-CFLP法、PCR-PHFA法等で行うことも出来る。或いは、ハイブリダーゼーション反応を利用した、例えば、タクマン法(Taqman PCR)、侵入法(Invader method)、RCA法、及びマイクロアレイ(DNAチップ)法等のスニップタイピングで使用される各種方法を用いて、本発明のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの存在を検出することも出来る。
【0029】
このような検出方法に使用する本発明のシステム(装置又はキット)は、上記塩基配列における変異を測定するための具体的な方法・手段に応じて、適当な構成をとることが出来る。該システムは、例えば、本発明のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドから成る遺伝子増幅用プライマー及びハイブリダイゼーション用のプローブを含むことが出来る。或いは、本発明のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを増幅するために使用される適当な長さの塩基配列からなるプライマーを含有する。これらは、その用途に応じて、適当な長さ、例えば、10〜100個の連続した塩基配列から成る。
【0030】
又、本発明のポリペプチド又はオリゴペプチドの存在は、例えば、本発明の抗体を用いたEIA及びELISA等の免疫学的特異反応を利用する方法、エドマン法を用いた気相シークエンサー等ペプチドのアミノ酸配列分析法、更には、MALDI−TOF/MS及びESI Q−TOF/MS法等に代表される質量分析によって検出することが出来る。
【0031】
以上のシステムに構成要素として含まれる、各種のプライマー、プローブ、又は、抗体は、当業者に公知の任意の放射性物質、蛍光物質、色素等の適当な標識物質によって標識されていても良い。更に、上記システムには、その構成・使用目的などに応じて、当業者に公知の他の要素又は成分、例えば、各種試薬、酵素、緩衝液、反応プレート(容器)等が含まれる。
【0032】
本発明の検出方法によって、被験者由来の試料に、特定の変異を含むポリヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチド、又は、それに対応するポリペプチド若しくはオリゴペプチドの存在が検出された場合には、将来、MMDに罹患するリスクが有意に高いものと診断することができる。
【0033】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。又、特に記載のない場合には、以下の実施例は、例えば、Sambrook and Maniatis, in Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等に記載されている、当業者に公知の標準的な遺伝子工学及び分子生物学的技術に従い、実施することが出来る。又、本明細書中に引用された文献の記載内容は本明細書の開示内容の一部を構成するものである。
【実施例1】
【0034】
方法
1)患者
20のMMD家系、MMD家系ではない63人のMMD患者、及び429人のコントロール被験者の血液及び/又は唾液試料からゲノムDNA試料を調製した。尚、被験者は全て日本人であった。合計で72家系(罹患44家系、非罹患28家系)がこの試験に参加した。MMDは、日本国厚生省の「ウィリス動脈輪閉塞症に関する調査研究班」で確立されたMMD診断ガイドライン(Ikezaki, K., Han, D.H., Kawano, T., Kinukawa, N. & Fukui, M. A clinical comparison of definite moyamoya disease between South Korea and Japan. Stroke 28, 2513-7 (1997))に基づき診断した。尚、本研究は、東北大学医学部倫理委員会による承認(承認番号2004-365)を受けている。Total RNAは、RNeasy kit (QIAGEN, Hilden, Germany) を用いて白血球から精製し、Oligo (dT)20 プライマー及び SuperScript II逆転写酵素 (Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)によりcDNAを合成した。
【0035】
2)連鎖解析
日本人のモヤモヤ病の20家系について予備連鎖解析を行い、既に報告されているMMDの5つの遺伝子座候補内の36個のマイクロサテライトマーカーをABI 3373A DNA シークエンサーで解析した。このマイクロサテライトマーカーは、Human Map Viewer (National Center for Biological Information: 国立生物工学情報センター)を利用して選択した。Cyrillic version 2.1ソフトウェアを用いて、家系図及びハロタイプを構築した。多点解析はGENEHUNTER 2を使用した。罹患対立遺伝子頻度及び浸透率は、夫々、1/10000 及び0.8にセットした。SPSS version 14.0J (SPSS Inc., Tokyo, Japan)を用いて統計分析を行なった。
【0036】
その結果、17q25-terにおける有意な連鎖(D17S784における最大NPLスコア:3.87)を確認した(図1)が、そのピークの位置は以前に報告されたもの(図1中、矢印で示された箇所)とは異なっていた(非特許文献6)。その他の既報の遺伝子座には有意な連鎖は見出せなかった。
【0037】
候補領域を更に限定するために、Taggerソフトウェア(de Bakker, P.I. et al. Efficiency and power in genetic association studies. Nat Genet 37, 1217-23 (2005))を用いて、二次連鎖解析及び関連分析に使用するために、染色体17q25-terに分布する384個の一塩基変異多型(SNP)を選択した。SNPの遺伝子型はGolden Gate Assay (Illumina Inc., San Diego, CA)により決定した。45名の健常人の遺伝子型のデータは、International HapMap Project のウェブサイトから入手した。尚、単一マーカー症例対照分析、ハロタイプ頻度推定、及び、ハロタイプ頻度差有意性試験は、Haploview version 3.32 ソフトウェアを用いて実施し、χテストにより評価した。
【0038】
その結果、335個のSNPにおいて遺伝子型を特定できたが、ロッドスコアが3.0より大きいか、又は、NPLスコアが5.5より大きい領域はなかった(図2a)。既に記載したように、MMD患者数は日本人で異常に高いので、MMDに関して日本人に創始者変異があると仮定した。63名の非家族性MMD患者及び45名の健常者(コントロール被験者)について同じSNPセットを用いて関連分析(association analysis)した結果、高い関連性(P<10-6)を有するSNPマーカーが塩基位置75,851,399 〜 76,012,838の161-kb領域 (SNP No.116-137)に集積していることが明らかとなった。この領域には、KIAA1618 (NM_020954), RNF213 (NM_020914) 及び FLJ35220 (NM_173627)の3種類の遺伝子が含まれている(図2b)。ハロタイプ分析によって、7つのSNP(SNP No.130-136)によって決定される一つのハロタイプがMMDの発症と強く相関していることが明らかとなった(P=5.3 x 10-10)。SNP No.130〜No.136の登録番号は、それぞれ、rs8067292, rs8070106, rs6565681, rs4889848, rs7224239, rs3185057, 及びrs4603608、である。これによって、創始者変異が塩基位置75,948,435 and 76,003,020の間、即ち、RNF213遺伝子内に存在することが示唆された。
【0039】
3)変異分析
上記の3種類の遺伝子における変異分析は各エクソンをPCR増幅した後に直接配列を決定して行なった。PCRプライマーはGeneBankのゲノム配列データに基づき設計した。RNF213遺伝子のcDNA断片を白血球mRNAから増幅して構造分析に使用した。ABI Prism BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit in ABI 310 Genetic Analyzer (Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて、PCR産物の配列を決定した。
【0040】
この変異分析の結果、図3aの家系6を除く19のMMD家系において共通の変異、即ち、RNF213 遺伝子のエクソン35上に単一塩基置換、c.8648G>A、が見られた(図3a)。エクソン35はSNP No.134とSNP No.135との間に存在する。この塩基置換によって2883番目のアルギニンからリジンへのアミノ酸置換(p.R2883K)が生じる。RNF213 遺伝子はRINGフィンガーモチーフを有する3,280個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしている(図3b)。尚、RNF213 遺伝子のcDNAの塩基配列及びそれにコードされる遺伝子産物(ポリペプチド)のアミノ酸配列を、夫々、配列番号1及び配列番号2で示す。
【0041】
63名の非家族性MMD患者中、創始者変異p.R2883K変異のヘテロ接合体を45名、及びホモ接合体を1名同定した(表1)。対照的に、429名の健常者の中、p.R2883K変異のヘテロ接合体6名を見出した(1.4%)。従って、この創始者変異はMMDのリスクを顕著に増加させるものであると考えられる(オッズ比:190.8 (95% CI=71.7-507.9), P=1.2 x 10-43)。更に、p.R2883K変異をみとめた19のMMD家系の中、この変異を持たない家族15名にはMMDが発症しなかった。
【0042】
日本におけるMMD有病率(prevalence)は1/32,000であり、上記結果から、罹患者の73%がp.R2883K変異を有していると推定される。従って、該変異を有する者のMMD有病率は1/44,000であると考えられる。一方で、日本人における該変異の保有率(carrier frequency)は1/72であったので、該変異の保有者は約1/600 (0.2%)の割合でMMDが発症すると考えられる。
【0043】
これらの事実から、RNF213 遺伝子におけるc.8648G>A 変異又はp.R2883K変異を持つ人は持たない人に比べて、約190倍モヤモヤ病に罹り易いことが明らかとなった。
【0044】
もう一つのRNF213 遺伝子変異(c.8512G>A, p.V2838M)も、MMD家系ではない個人のp.R2883Kネガティブな患者一人で検出された(図3a)。この変異は他のMMD患者及び388名のコントロール被験者では検出されなかったので、個体変異(private mutation)であると思われる。又、p.R2883K変異に関連するようなRNF213 mRNAの異常なスプライシングは観察されなかった。p.R2883K を有するRNF213の両方の対立遺伝子がMMD患者で発現しているので、この変異がmRNAの不安定化を引き起こすものではないと考えられる。MMDに対するオッズ比が非常に高いので、この遺伝子産物を「モヤリン(Moyarin)」と命名した。
【0045】
c.8648G>A、及び、c.8512G>Aの配列決定に使用した各プライマーの塩基配列は以下の通りである。
【0046】
(1)c.8648G>A (p.R2883K)
PCR増幅用フォーワード・プライマー:RNF213-E35F
(配列番号3)acaagtctcgcagccagtctca
PCR増幅用リバース・プライマー:RNF213-E35R
(配列番号4)gtcacaagcatgtctgaggtgc
【0047】
(2)c.8512G>A (p.V2838M)
PCR増幅用フォーワード・プライマー:RNF213-E34F
(配列番号5) acacccactggtggagttac
PCR増幅用リバース・プライマー:RNF213-E34R
(配列番号6)cctgagcttctgctacatcct
【0048】
【表1】

【0049】
4)モヤリン(Moyarin)、C-Met 及びHIF-1αをコードするcDNA発現
次に、RNF213遺伝子における上記2つの変異の機能的効果を調べる目的で、正常なRNF213遺伝子及びこれら2つの変異を有するRNF213遺伝子cDNAでHEK293細胞を形質転換し、HGFの受容体であるc-Met プロトオンコジーン、及び、低酸素誘導性因子1α(HIF-1α)のタンパク質レベルを測定した。c-Met及びHIF-1αは血管形成において重要な役割を担い、NMD患者の内頚動脈において過剰発現していることが報告されている(Nanba, R., Kuroda, S., Ishikawa, T., Houkin, K. & Iwasaki, Y. Increased expression of hepatocyte growth factor in cerebrospinal fluid and intracranial artery in moyamoya disease. Stroke 35, 2837-42 (2004); Takagi, Y. et al. Expression of hypoxia-inducing factor-1 alpha and endoglin in intimal hyperplasia of the middle cerebral artery of patients with Moyamoya
disease. Neurosurgery 60, 338-45; discussion 345 (2007))。
【0050】
HEK293 はAmerican Tissue Culture Collection (Manassas, VA). The HEK293 から入手した。該細胞は、10% 牛胎児血清 (FBS)、 100 U/ml ペニシリン及び 100 μg/ml ストレプトマイシンを含む D-MEM で培養・維持した。ReverTra Ace-α 逆転写キット (TOYOBO Inc., Tokyo, Japan)を用いてEpstein-Barr ウィルス感染により形質転換したリンパ芽球のpoly A+ RNAからcDNAを得た。high-fidelity PCR (KOD-FX kit, TOYOBO Inc.)により、該リンパ芽球のcDNAから9,840 bpのモヤリンcDNAを増幅し、pDONR221エントリーベクター(Invitrogen Corp.) に挿入し、全RNF213cDNAを配列決定して確認した。
【0051】
p.R2883K又はp.V2838Mの変異を有する2つの変異cDNAはKOD-Plus Mutagenesis kit (TOYOBO Inc.)を用いるin vitro突然変異法によって作製した。これらの野生型cDNA及び変異型cDNAを製造者(Invitrogen Corp.)のプロトコールに従うLR 反応によって、pcDNA/DEST40 に移した。 得られてプラスミドはサイトメガロウィルス・プロモーターの制御下で変異型cDNAを発現した。
【0052】
ヒトc-Met 及びHIF-1αの完全長cDNAをコードする最終ORFエントリークローンはInvitrogen Corp.から購入し、LR 反応によって、pcDNA3.1/nV5-DEST40 発現ベクターに移した。このnV5-DEST40 発現ベクターはV5ペプチドがアミノ末端に付加(標識)されたc-Met 又はHIF-1αを発現した。β−グルコニダーゼ(GUSB) が挿入されたpcDNA/DEST40プラスミドクローン(Invitrogen Corp.)をコントロールベクターとして使用した。HEK293細胞を6穴プレートで培養し、c-Met 又はHIF-1αの発現プラスミド(3μg)を野生型又は変異型RNF213cDNAの発現ベクター(3μg)と共にLipofectamine 2000 (Invitrogen Corp.)によりHEK293細胞にトランスフェクションした。
【0053】
48時間インキュベーション後にこの細胞を回収しイムノブロットに供した。尚、タンパク量はLowry法で測定した。ポリクローナル抗モヤリン抗体は、モヤリン由来の2種類の合成ペプチド:NH2-CNIFGPSQKVPGGEQEDA-COOH (アミノ酸番号1,094-1,110の18アミノ酸:配列番号7) (アミノ酸配列は、NCBI登録番号NP_065965による)、及びNH2-CKLKNPQTQEERFRPQW-COOHアミノ酸番号3,213-3,229の18アミノ酸:配列番号8) (アミノ酸配列は、NCBI登録番号NP_065965による)をウサギに免疫して作製した。免疫したウサギの血清を該ペプチド結合のアフィニティカラムで精製した。イムノブロット分析には、抗β-actin 抗体(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO) 及び抗-V5抗体(Invitrogen Corp.) を使用した。細胞抽出物からの全タンパク質(60μg)7.5% SDS ポリアクリルアミドゲルでサイズ分画し、ニトロセルロース膜(Trans-Blot Transfer Medium, Bio-Rad Laboratories Inc., Hercuks, CA))に移した。抗原は、Western Lightning Chemiluminescence Reagent Plus (PerkinElmer, Waltham, MA)で可視化した。バンドの強度はソフトウェア Scion Image (Scion Corp., Frederick,14 MD)で測定した。スチューデントt-test を用いて統計分析を行なった。
【0054】
その結果、野生型及び変異型の間でモヤリン(374 kDa)のタンパク質レベルに変化はなく、いずれの変異もモヤリンの安定性に影響をあたえるものではないことが示された(図3c)。野生型モヤリンは、β−グルコニダーゼ遺伝子を有するコントロール発現ベクターと比較して、c-Met (成熟型:145 kDa;前駆体:170 kDa)及びHIF-1αのタンパク質発現レベルを夫々、2.8倍及び3.4倍まで顕著に増加した(p<0.01)。c-Metタンパク質レベルは、p.R2883K変異(p<0.05)及びp.V2838M変異(p<0.01)のいずれによっても野生型モヤリンと比較して顕著に増加した。p.V2838M変異はHIF-1αタンパク質レベルを約1.3倍に増加させたが、この差は3回の実験において有意ではなかった。
【0055】
尚、本明細書中で引用される各URLは以下の通りである。
National Center for Biotchnology Information, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/;
International HapMap Project, http://www.hapmap.org/index.html.ja;
Haploview version 3.32, http://www.broad.mit.edu/mpg/haploview/;
Tagger,http://www.broad.mit.edu/index.html;
Bodymap database (Human and mouse gene expression database), http://bodymap.ims.u-tokyo.ac.jp.
【産業上の利用可能性】
【0056】
RNF213 遺伝子におけるp.R2883K変異の有無を検出する遺伝子検査によって、MMDの発症前の検査・診断が可能となりMMDの高リスク者を同定することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に示されたRNF213遺伝子の塩基配列の少なくとも一部から成り、第8648番目の塩基におけるgからaへの一塩基置換を有するポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、請求項1記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの存在を検出するために使用できるDNAから成るポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
10〜100個の連続した塩基配列から成る、請求項1又は2記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドから成る遺伝子増幅用プライマー。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドから成るハイブリダイゼーション用プローブ。
【請求項6】
RNF213遺伝子の発現産物の少なくとも一部から成り、第2883番目のアミノ酸におけるR(アルギニン)からA(リジン)への置換(R2883K)を有するポリペプチド又はオリゴペプチド。
【請求項7】
請求項6記載のポリペプチド又はオリゴペプチドにおいて、更に1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、請求項6記載のポリペプチド又はオリゴペプチドを認識する抗体の抗原として機能する、ポリペプチド又はオリゴペプチド。
【請求項8】
請求項6又は7記載のポリペプチド又はオリゴペプチドを認識する抗体。
【請求項9】
配列番号1に示されたRNF213遺伝子の第8648番目の塩基におけるgからaへの一塩基置換の有無を検出することから成る、RNF213遺伝子の検査方法。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの有無を検出することによる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
請求項6又は7記載のポリペプチド又はオリゴペプチドの存在を検出することによる、請求項9記載の方法。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか一項に記載の検査方法を用いる、モヤモヤ病発症リスクの診断方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法を実施するための、検出用システム。
【請求項14】
請求項4に記載の遺伝子増幅用プライマー、請求項5記載のハイブリダイゼーション用プローブ、及び/又は請求項8記載の抗体を含む、請求項13記載の検出用システム。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−259390(P2010−259390A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113706(P2009−113706)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】