説明

遺伝子多型の検出方法

【課題】 特定の受容体に関する遺伝子多型情報の検出方法の提供。
【解決手段】 受容体をコードする遺伝子配列若しくはその相補配列中に存在する遺伝子多型部位を含むように、又は受容体をコードする遺伝子配列及びその相補配列の少なくとも一方を増幅したときの増幅断片中に前記遺伝子多型部位が含まれるように、オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーを作製し、得られるオリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、目的の受容体をコードする遺伝子配列中の少なくとも1個の遺伝子多型を検出する遺伝子多型の検出方法であって、前記受容体が、特定のGPR(Gタンパク質共役受容体)であり、かつ、前記遺伝子多型部位が、188個の特定の塩基配列のいずれかに示される塩基配列又はその相補配列中に存在する少なくとも1つであることを特徴とする、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子多型情報、遺伝子多型情報の検出方法、遺伝子多型を用いた薬物の評価方法、及び薬物のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの姿形が千差万別であるように、30億からなる遺伝暗号も個人間で比較するとかなり多くの部位で異なっている。この遺伝暗号の違いを遺伝子多型(ポリモルフィズム)と呼んでおり、代表的な遺伝子多型として一塩基多型が知られている。
【0003】
一塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)とは、個人間における1遺伝暗号の違い(ゲノムDNA配列上の1塩基の違い)を意味する。ヒトの顔貌や体型が千差万別であるように、遺伝暗号である塩基配列も一人ひとりかなり多くの部位で異なっている。SNPは、その存在する位置によってcSNP(coding SNP)とgSNP(genome SNP)に分類され、cSNPには、さらにsSNP(silent SNP)、rSNP(regulatory SNP)及びiSNP(intron SNP)が含まれる。
【0004】
このような遺伝子多型は、疾患の発症や増悪に関連する遺伝子を見つけるためのマーカーとして有用であり、最終的に臨床分野において疾患のリスク診断や薬剤の使い分けなどに直接関係する。また、疾患の原因となっている物質を標的分子とした証拠に基づく薬剤開発は、世界的趨勢となっている。ある疾患に対して薬剤を投与した場合、患者の応答性は様々であり、著効を示すもの、有効性の低いもの、全く効果を示さないもののように、薬剤に対する応答性には大きな違いがある。これは、症状が同じで同じ診断名であっても、その背景となっている疾患を起こしている経路が異なっていたり、あるいは薬剤の受容体への結合能やその受容体の情報伝達能、受容体そのものの発現量などが大きく異なっている可能性があるからである。従って、SNP等の遺伝子多型を参考にしながら、目的の疾患に応じた薬物の選択、治療法の開発(いわゆるオーダーメイド医療)が望まれる。
【0005】
薬剤に対する応答性に加えて、時には致死的となるような強い副作用の問題も、医療従事者が対処していかなければならない大きな問題の一つである。これは、処方ミス等による過剰投与がなくても、時には思わぬ致死的な副作用に遭遇することがある。従って、薬剤の応答性に対しては、薬剤の代謝、薬剤の輸送のみならず、薬剤のレセプターの薬剤応答性や副作用に関連する受容体の感受性に関する個体差を、SNP等の遺伝子多型を参考にしながら決定・推定しておくことが望まれる。
【0006】
本発明者は、特定の受容体に関する遺伝子多型情報の検出方法(解析方法:タイピング)を提案している(特許文献1参照)が、その他の種々の受容体についても同様に遺伝子多型情報の検出方法の開発が強く望まれている。
【特許文献1】国際公開第03/097877号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特定の受容体に関する遺伝子多型情報の検出方法と、その情報に基づく薬物の有効性並びに安全性を評価するための方法、及び薬物の選択方法(スクリーニング方法)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の受容体、すなわち特定のGタンパク質共役受容体(GPR)をコードする遺伝子中の遺伝子多型を見出し、この遺伝子多型情報を用いて薬物の感受性とその薬物が標的としないであろうと思われていた受容体を介した副作用の発現を評価する方法の確立に成功し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0010】
(1) 受容体をコードする遺伝子配列若しくはその相補配列中に存在する遺伝子多型部位を含むように、又は受容体をコードする遺伝子配列及びその相補配列の少なくとも一方を増幅したときの増幅断片中に前記遺伝子多型部位が含まれるように、オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーを作製し、得られるオリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、目的の受容体をコードする遺伝子配列中の少なくとも1個の遺伝子多型を検出する遺伝子多型の検出方法であって、前記受容体が、GPR5、GPR6、GPR7、GPR8、GPR9、GPR11、GPR12、GPR13、GPR14、GPR15、GPR16、GPR17、GPR18、GPR20、GPR21、GPR22、GPR23、GPR24、GPR25、GPR26、GPR27、GPR29、GPR30、GPR31、GPR34、GPR35、GPR37、GPR39及びGPR40からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、かつ、前記遺伝子多型部位が、配列番号1から配列番号188までのいずれかに示される塩基配列又はその相補配列中に存在する少なくとも1つであることを特徴とする、前記方法。
【0011】
(2) 受容体をコードする遺伝子配列若しくはその相補配列中に存在する遺伝子多型部位を含むように、又は受容体をコードする遺伝子配列及びその相補配列の少なくとも一方を増幅したときの増幅断片中に前記遺伝子多型部位が含まれるように、オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーを作製し、得られるオリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、目的の受容体をコードする遺伝子配列中の少なくとも1個の遺伝子多型を検出する遺伝子多型の検出方法であって、前記受容体が、GPR5、GPR6、GPR7、GPR8、GPR9、GPR11、GPR12、GPR13、GPR14、GPR15、GPR16、GPR17、GPR18、GPR20、GPR21、GPR22、GPR23、GPR24、GPR25、GPR26、GPR27、GPR29、GPR30、GPR31、GPR34、GPR35、GPR37、GPR39及びGPR40からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、かつ、前記オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーが、配列番号1から配列番号188までのいずれかに示される塩基配列のうち遺伝子多型部位を含む少なくとも13塩基の配列又はその相補配列を有するものからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、前記方法。
【0012】
上記(2)の方法においては、前記オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーは、その長さが13〜60塩基であってもよい。
【0013】
上記(1)及び(2)の方法においては、前記遺伝子多型部位の情報が表1に示すものであってもよく、前記遺伝子多型が、一塩基多型、複数個の塩基の欠失、置換若しくは挿入による遺伝子多型、又はVNTR若しくはマイクロサテライトによる遺伝子多型であってもよい。また、前記オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーが、その5'末端若しくは3'末端又は中央の塩基が前記遺伝子多型部位となるように作製されたものであってもよく、前記オリゴヌクレオチドプローブが、前記受容体をコードする遺伝子配列又はその相補配列とハイブリダイズする断片と、ハイブリダイズしない断片とが結合したものであって、前記遺伝子多型部位が、当該ハイブリダイズする断片の5'末端又は3'末端の塩基であってもよい。
【0014】
(3) 上記(1)及び(2)の方法により得られた検出結果から、当該受容体を介する薬物の有効性及び/又は安全性を評価することを特徴とする、薬物の評価方法。
【0015】
(4) 上記(1)及び(2)の方法により得られた検出結果から、当該受容体を介する薬物の感受性を評価することを特徴とする、薬物の評価方法。
【0016】
(5) 上記(3)及び(4)の方法により得られた評価結果を指標として、使用すべき薬物を選択することを特徴とする、薬物の選択方法。
【0017】
(6) 受容体をコードする遺伝子配列又はその相補配列中の遺伝子多型情報と、被験者から採取した当該受容体をコードする遺伝子配列又はその相補配列中の遺伝子多型情報とを比較して、当該受容体を介して起こる薬物の有効性及び/又は安全性に関する個体差を解析し、得られる解析結果から使用すべき薬物の種類及び/又はその用量を選択する薬物の選択方法であって、前記受容体が、GPR5、GPR6、GPR7、GPR8、GPR9、GPR11、GPR12、GPR13、GPR14、GPR15、GPR16、GPR17、GPR18、GPR20、GPR21、GPR22、GPR23、GPR24、GPR25、GPR26、GPR27、GPR29、GPR30、GPR31、GPR34、GPR35、GPR37、GPR39及びGPR40からなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、前記方法。
【0018】
(7) GPR5、GPR6、GPR7、GPR8、GPR9、GPR11、GPR12、GPR13、GPR14、GPR15、GPR16、GPR17、GPR18、GPR20、GPR21、GPR22、GPR23、GPR24、GPR25、GPR26、GPR27、GPR29、GPR30、GPR31、GPR34、GPR35、GPR37、GPR39及びGPR40からなる群より選ばれるいずれか1つの受容体をコードする遺伝子配列又はその相補配列中に存在する遺伝子多型部位を含むように作製されたオリゴヌクレオチド。
【0019】
上記(7)のオリゴヌクレオチドにおいては、オリゴヌクレオチドの5'末端若しくは3'末端又は中央の塩基が前記遺伝子多型部位となるように作製されたものであってもよく、前記受容体をコードする遺伝子配列又はその相補配列とハイブリダイズする断片と、ハイブリダイズしない断片とが結合したものであり、かつ前記遺伝子多型部位が、当該ハイブリダイズする断片の5'末端又は3'末端の塩基であってもよい。
【0020】
(8) 配列番号1から配列番号188までのいずれかに示される塩基配列又はその相補配列中に存在する少なくとも1つの遺伝子多型部位を含むオリゴヌクレオチド。
【0021】
(9) 配列番号1から188までのいずれかに示される塩基配列の第21番目の塩基を含む少なくとも13塩基の配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチド。
【0022】
上記(9)のオリゴヌクレオチドは、13〜60塩基の長さを有するものであってもよい。
【0023】
(10) 配列番号1から配列番号188までのいずれかに示される塩基配列又はその相補配列からなる群より選ばれるオリゴヌクレオチド。
【0024】
(11) 配列番号1から配列番号188までのいずれかに示される塩基配列又はその相補配列中の遺伝子多型部位が含まれるゲノムDNA領域中の当該遺伝子多型部位から5'側及び/又は3'側に向かって2500bp以内の領域に対して設計されたものであり、かつ13〜60塩基の長さを有するオリゴヌクレオチド。
【0025】
(12) 上記(7)〜(11)に記載のオリゴヌクレオチドが支持体に固定されたマイクロアレイ。
【0026】
(13) 上記(7)〜(11)に記載のオリゴヌクレオチド及び/又は上記(12)に記載のマイクロアレイを含む遺伝子多型検出用キット。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、特定の受容体、すなわち特定のGタンパク質共役受容体(GPR)に関し、SNP等の遺伝子多型情報を効果的かつ容易に検出できる方法(解析(タイピング)方法)を提供することができる。また、その検出の結果得られた情報に基づく、薬物の有効性及び/又は安全性並びに感受性を的確に評価するための方法や、その評価結果を指標とした薬物を選択(スクリーニング)するための方法を提供することができる。
【0028】
本発明の方法により、目的の疾患に応じた薬物の選択をすることが可能となるため、本発明の方法は極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。
【0030】
本発明は、受容体に関する遺伝子多型情報を用いて、被検対象の遺伝子多型を検出(解析(タイピング))する方法に関する。また、本発明は、当該受容体を介して起こる薬物の有効性及び安全性の有無又は感受性の強弱を解析することを特徴とし、この解析結果により、疾患と薬物との関係を評価するものである。複数人が同じ疾患に罹患している場合であっても、受容体の遺伝子多型情報は個々の患者ごとに異なることが多い。従って、その異なる遺伝子多型情報から薬物に対する受容体感受性の違いを導き、どのような遺伝子多型情報を有する場合に特定の薬物の有効性が認められるのか又は認められないのか、また、どのような遺伝子多型情報を有する場合に副作用が出やすいのか又は出にくいのか、その薬物の有効性及び/又は安全性を評価する。その結果、ある疾患に対してどのような薬物を使用すべきなのか等、遺伝子多型情報からそれぞれの患者ごとに適した投薬(オーダーメイド医療)が可能となる。

1.遺伝子多型
遺伝子多型には、一塩基多型、インサーション/デリーション型多型、及び塩基配列の繰り返し数が異なっていることにより生じる遺伝子多型(variable number of tandem repeats; VNTR等)が含まれる。
【0031】
一塩基多型(SNP)とは、ある遺伝子配列又はその相補鎖(相補配列)領域における特定の1個の塩基が他の塩基に置換することによる遺伝子多型を意味する。また、インサーション/デリーション型多型とは、上記特定の1個の塩基が欠失していることによる遺伝子多型、若しくは上記特定の1個の塩基に更に1個の塩基が挿入されていることによる遺伝子多型、又は複数の塩基(例えば2個〜数十個の塩基)が欠失していたり挿入されていることによる遺伝子多型を意味し、中には数百塩基〜数千塩基が欠失していたり挿入されているものも存在する。さらに、塩基配列の繰り返し数が異なっていることにより生じる遺伝子多型とは、2個〜数十個の塩基からなる一定の配列が繰り返されている部位においてその繰り返し回数が個人間で異なっているものを意味する。繰り返しの単位が数塩基から数十塩基のものをVNTRといい、2〜4塩基単位程度のものをマイクロサテライト多型という。VNTRやマイクロサテライト多型においては、この繰り返し回数の違いが個々人のアレル(対立遺伝子)で異なることにより、バリエーションを獲得している。
【0032】
ここで、遺伝子多型情報とは、遺伝子配列中の当該情報と、その相補配列中の当該情報との双方を含むものである。また、「相補鎖」又は「相補配列」とは、塩基対合則の関係を有するポリヌクレオチドである。例えば、「5'-A-G-T-3'」配列は「3'-T-C-A-5'」配列に対し相補的であり上記関係に該当する。相補性は、部分的に、すなわちポリヌクレオチド中においてある程度の数の塩基のみが塩基対合則により一致しているようなものであってもよく、全体が完全に相補的であってもよい。このような相補性の程度は、ハイブリダイゼーションの効率及び強度に有意に影響を及ぼす。これは、増幅反応、及びポリヌクレオチド間の結合による検出方法において特に重要である。
【0033】
ヌクレオチド配列の相補性は、1つの配列の5'末端が他の配列の3'末端と対合するようにヌクレオチド配列を並べた場合に、オリゴヌクレオチドの配列が「逆並行の関係」にあることを意味する。相補性が完全である必要はなく、二重らせんはミスマッチ塩基対又は一致していない塩基を含んでいても安定である。当業者であれば、例えばオリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成及び配列、イオン強度、並びにミスマッチ塩基対の存在などを考慮して経験的に二重らせんの安定性を決定することが可能である。

2.受容体
「受容体」とは、一般に、ホルモン、オータコイド、神経伝達物質などの特異的なリガンドに応答する受容器の総称である。代表的なものとしては細胞膜受容体や核内受容体が知られている。医薬品の一部は、この受容体へのリガンドの結合を阻害又は拮抗するか、あるいは、リガンドと同様に受容体に結合し、その受容体が司る情報伝達を刺激するものである。そのため、受容体へのリガンドの結合能、その情報伝達能、あるいは受容体そのものの発現量が遺伝子多型によって影響を受ける場合には、薬物の効果又は副作用に個体差が生じる。
【0034】
本発明においては、遺伝子多型情報の解析の対象となる遺伝子により発現される受容体としては、以下の各種Gタンパク質共役受容体(GPR:G protein-coupled receptor)が挙げられる。
「GPR5、GPR6、GPR7、GPR8、GPR9、GPR11、GPR12、GPR13、GPR14、GPR15、GPR16、GPR17、GPR18、GPR20、GPR21、GPR22、GPR23、GPR24、GPR25、GPR26、GPR27、GPR29、GPR30、GPR31、GPR34、GPR35、GPR37、GPR39、GPR40」
上記各種Gタンパク質共役受容体は、各々特異的なリガンドによる情報伝達のみを制御する受容器である。
(1) GPR5は、Gタンパク質共役受容体5(ケモカイン(Cモチーフ)受容体1)である。
(2) GPR6は、Gタンパク質共役受容体6である。
(3) GPR7は、Gタンパク質共役受容体7である。
(4) GPR8は、Gタンパク質共役受容体8である。
(5) GPR9は、Gタンパク質共役受容体9(ケモカイン(C-X-Cモチーフ)受容体3)である。
(6) GPR11は、Gタンパク質共役受容体11(凝固因子II(トロンビン)受容体様-1)である。
(7) GPR12は、Gタンパク質共役受容体12である。
(8) GPR13は、Gタンパク質共役受容体13(ケモカイン(C-X3-Cモチーフ)受容体1)である。
(9) GPR14は、Gタンパク質共役受容体14である。
(10) GPR15は、Gタンパク質共役受容体15である。
(11) GPR16は、Gタンパク質共役受容体16(ロイコトリエンB4受容体)である。
(12) GPR17は、Gタンパク質共役受容体17である。
(13) GPR18は、Gタンパク質共役受容体18である。
(14) GPR20は、Gタンパク質共役受容体20である。
(15) GPR21は、Gタンパク質共役受容体21である。
(16) GPR22は、Gタンパク質共役受容体22である。
(17) GPR23は、Gタンパク質共役受容体23である。
(18) GPR24は、Gタンパク質共役受容体24である。
(19) GPR25は、Gタンパク質共役受容体25である。
(20) GPR26は、Gタンパク質共役受容体26である。
(21) GPR27は、Gタンパク質共役受容体27である。
(22) GPR29は、Gタンパク質共役受容体29(ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体6)である。
(23) GPR30は、Gタンパク質共役受容体30である。
(24) GPR31は、Gタンパク質共役受容体31である。
(25) GPR34は、Gタンパク質共役受容体34である。
(26) GPR35は、Gタンパク質共役受容体35である。
(27) GPR37は、Gタンパク質共役受容体37(エンドセリン受容体タイプB様)である。
(28) GPR39は、Gタンパク質共役受容体39である。
(29) GPR40は、Gタンパク質共役受容体40である。

3.遺伝子多型情報
遺伝子多型情報を得る(タイピング)方法としては、一般的に知られている遺伝子多型検出法を利用することができる。例えば、シークエンス法、PCRによる方法、断片長多型アッセイ、アレル特異的オリゴヌクレオチドを鋳型としてハイブリダイゼーションを行う方法(例えばTaqMan PCR法、インベーダー法、DNAチップ法)、プライマー伸長反応を利用する方法、シークエンス法、MALDI-TOF/MS法、DNAチップ法等が採用される。PCR法やシークエンス法はいずれの遺伝子多型の検出にも使用することができ、他の方法は、主としてSNPの検出に使用することができる。
【0035】
TaqMan PCR法とは、蛍光標識したアレル特異的オリゴとTaq DNAポリメラーゼによるPCR反応とを利用した方法である(Livak, K.J. Genet. Anal. 14, 143 (1999); Morris T. et al., J. Clin.Microbiol. 34, 2933 (1996))。
【0036】
インベーダー法とは、SNP等の遺伝子多型のそれぞれのアレルに特異的な2種類のレポータープローブ及び1種類のインベーダープローブの鋳型DNAへのハイブリダイゼーションと、DNAの構造を認識して切断するという特殊なエンドヌクレアーゼ活性を有する酵素によるDNAの切断を組み合わせた方法である(Livak, K. J. Biomol. Eng. 14, 143-149 (1999); Morris T. et al., J. Clin.Microbiol. 34, 2933 (1996); Lyamichev, V. et al., Science, 260, 778-783 (1993)等)。
【0037】
また、プライマー伸長反応を利用する方法として、例えばSniPer法を採用することもできる。SniPer法とは、RCA(rolling circle amplification)法と呼ばれる手法を基本原理とするものであり、環状の一本鎖DNAを鋳型としてDNAポリメラーゼがその上を移動しながら相補鎖DNAを連続して合成していくものである。この方法によれば、DNA増幅が起こった場合に生じる発色反応の有無を測定することによってSNP等の遺伝子多型を判定する(Lizardi, P. M. et al., Nature Genet., 19, 225-232 (1998); Piated, A. S. et al., Nature Biotech., 16, 359-363 (1998))。
【0038】
シークエンス法とは、遺伝子多型を含む領域をPCRにて増幅させ、Dye Terminatorなどを用いてDNA配列をシークエンスすることで、SNP等の遺伝子多型(特にSNP)の頻度を解析する方法である。
【0039】
MALDI-TOF/MS法とは、質量分析機(mass spectrmeter)を用いた方法で、基本的には異なる一塩基の質量の違いを利用してSNPをジェノタイピングする方法である。PCR増幅を利用した方法とmultiplexを利用した方法がある(Haff,L.A., Smirnov,I.P., Genome Res.,7,378- (1997) ; Little, D.P. et al. Eur. J. Clinica. Chem. Clin. Biochem., 35, 545- (1997) ; Ross, P., et al. Nat Biotechnol., 16, 1347- (1998))。
【0040】
DNAチップ法とは、ガラスなどの基盤上に多種類のDNAプローブを整列化し、固定し、その上で標識DNAのハイブリダイゼーションを行い、プローブ上の標識(蛍光など)シグナルを検出する方法を利用して、ハイブリダイゼーションで完全マッチと一塩基ミスマッチを分別検出し、SNP等の遺伝子多型を検出する方法である。
【0041】
本発明の方法において使用することができるSNP等の遺伝子多型情報は、下記の表1の通りである。表1中の記載の詳細については、表のあとに説明する。
【0042】
【表1】

【0043】

【0044】

【0045】
表1中の「遺伝子名」の欄には各々のGタンパク質共役受容体をコードする遺伝子名を記載した。
【0046】
表1中の「配列」の欄においてアルファベット大文字で示した塩基、つまり「配列」の欄に記載した配列の第21番目の塩基が遺伝子多型を示す情報となる。表1中の配列は、基本的に、SNP等の遺伝子多型部位の前後20塩基を示している。但し、第21番目の遺伝子多型部位からみて前後20塩基中にも遺伝子多型が存在するものもある。例えば、GPR6のNo.2(配列番号3)の第9番目の「C/T」や、GPR8のNo.5(配列番号10)の第34番目の「G/A」なども、遺伝子多型である。「/」を付した2つの塩基は、その塩基のホモ又はヘテロの遺伝子多型を示す。例えば、「A/G」と表示した場合は、アレルがA/A若しくはG/Gのホモ、又はA/Gのヘテロであることを意味する。但し、括弧「( )」を付した塩基(例えばGPR20のNo.6の(C):配列番号73)はインサートによる遺伝子多型を意味し、「Δ」(例えばGPR15のNo.3:配列番号50)は1又は複数塩基の欠失による遺伝子多型を意味する。また、括弧に数字を付した塩基は、その括弧内の塩基がその数字の数だけ繰り返されていることを意味し、例えば、配列番号78の配列(表1、GPR21のNo.3)において「(GT)16~22」とあるのは、GTが16〜22個の繰り返し配列であることを意味する。ここで、表1中の「配列」の欄に示す塩基配列の位置関係を説明する場合に使用するときの「第21番目」は、遺伝子多型部位の位置を意味するものである。したがって、欠失の遺伝子多型(Δ)の場合は、その欠失した架空の塩基が「第21番目」であり、複数の塩基が存在する場合は、複数の塩基のひとかたまりが「第21番目」の塩基となる。例えば、GPR13のNo.12(配列番号43)の場合は遺伝子多型部位「GACA」又は欠失部位が、GPR30のNo.16(配列番号152)の場合は遺伝子多型部位「CAGAGAGGAGC」が第21番目の塩基となる。なお、GPR12のNo.7(配列番号30)に関しては、遺伝子多型部位の表記が長いため、上段には5'側から第20番目までの塩基を示し、中段には第21番目の遺伝子多型部位を示し、下段に第22番目以降の塩基を示した。
【0047】
表1中の「存在位置」の欄では、遺伝子多型部位のゲノム上の位置を示す。5'フランキング(flanking)領域、エキソン(exon)領域、イントロン(intron)領域、又は3'フランキング(flanking)領域における遺伝子多型の存在位置の表記の仕方ついては、以下の通りである。
【0048】
5'フランキング(flanking)領域は、第1エキソンより5'側の領域を意味する。5'フランキング領域のSNPsの存在位置は、第1エキソンの最も5'側の塩基より1塩基5'側を-1番として数え、以下5'側に向かって-2、-3、-4、・・・とする。
【0049】
エキソン(exon)領域は、それ自体の番号は、最も5'側のエキソン領域をエキソン1(第1エキソン)とし、以下3'側に向かってエキソン2、エキソン3、・・・となる。エキソン領域の遺伝子多型の存在位置は、そのエキソンの最も5'側に位置する塩基をそのエキソンの塩基配列1番として数え、以下3'側(下流方向)に向かって数えた数字を(+)表示又は無表示で示した。一方、そのエキソンの最も3'側に位置する塩基をそのエキソンの塩基配列-1番として数え、そこから5'側(上流方向)に向かって数えた数字を(-)表示で示した。例えば、エキソン3の最も5'側の塩基から下流方向に5塩基目の塩基が遺伝子多型であれば「exon 3..5」と表示し、エキソン3の最も3'側の塩基から上流方向に5塩基目の塩基が遺伝子多型であれば、「exon 3..-5」と表示する(「..」はスペース)。さらに、エキソン領域の遺伝子多型に関しては、翻訳領域「CDS」に存在するものであるか、非翻訳領域(UTR)に存在するものであるかも示した。UTRについては、エキソン領域中、CDSより5'側の領域を「5'UTR」と、CDSより3'側の領域を「3'UTR」と表記した。
【0050】
イントロン(intron)領域は、あるエキソンの3'側端から1塩基3'側から次のエキソンまでの間を意味し、イントロン自体の番号は5'側のエキソン番号で表す。例えば、エキソン3とエキソン4との間に存在するイントロン(すなわち、エキソン3の3'側に存在するイントロン)はイントロン3という。イントロン領域の遺伝子多型の存在位置は、そのイントロンの5'側に位置するエキソン/イントロン接合点(exon/intron junction)からみて3'側の最初の塩基をそのイントロンの塩基配列1番として数える。そして、(+)表示又は無表示は3'側(下流方向)に、(-)表示は5'側(上流方向)に向かって数えた数字を示した。例えば、エキソン3/イントロン3接合点から3'側に向かって3塩基目の塩基が遺伝子多型であれば、「intron 3 3」と表示する。同様に、イントロン3/エキソン4接合点から5'側に向かって5塩基目の塩基が遺伝子多型であれば、「intron 3 -5」と表示する。
【0051】
3'フランキング(flanking)領域は、最終エキソンより3'側の領域を意味する。3'フランキング領域の遺伝子多型の存在位置は、最終エキソンの最も3'側の塩基より更に1塩基3'側の塩基を1番として数え、以下3'側に向かって2、3、4、・・・とする。
【0052】
表1中の「No.」の欄に記載された数字は、各遺伝子の遺伝子地図(図9〜37)上における遺伝子多型の位置を示す番号と対応する。表1、図面及び公知のデータベースの情報を利用することにより、遺伝子多型部位に隣接する領域の配列を特定することができる。例えば、このような情報は、遺伝子多型部位に隣接するPCRプライマーを作成する際に有用である。
【0053】
上記ゲノムデータベースとしては、限定はされないが、例えば、NCBI(米国バイオテクノロジー情報センター:National Center for Biotechnology Information)のサービス一覧:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/、IMS-JST JSNPデータベースウエブサイト(理化学研究所、遺伝子多型研究センター、遺伝子多型タイピング研究・支援チーム:http://snp.ims.u-tokyo.ac.jp/index_ja.html)が挙げられる。
【0054】
表1中の「配列番号」の欄には、順に第1〜188番目までの数字を示した。

4.オリゴヌクレオチドプローブ又はオリゴヌクレオチドプライマーの作製
本発明の検出方法においてプライマー及び/又はプローブとして使用されるオリゴヌクレオチドは、例えばSNP等の遺伝子多型を検出するときは表1に示す塩基配列(配列番号1〜188)を基本とし、これらの配列自体を合成してもよく、これらの配列の一部を含むように設計し合成してもよい。但し、その塩基配列中には必ず遺伝子多型部位(表1の「配列」の欄にアルファベット大文字で表示した部分)が含まれるようにする。また、本発明においてはこれらの配列の相補鎖(相補配列)も含まれる。
【0055】
遺伝子多型がSNPである場合を例に説明すると、SNP部位は、プライマー若しくはプローブの塩基配列の3'若しくは5'端に存在するように設計し、又は相補配列の3'若しくは5'端に存在するように設計し、又は前2者(プライマー若しくはプローブ、又は相補配列)の3'若しくは5'端から4塩基内、好ましくは2塩基内に存在するように設計する。あるいは、オリゴヌクレオチドの塩基配列全長の中央にSNPが存在するように設計する。「中央」とは、SNPの塩基よりも5'端に向かう塩基の数と、3'端に向かう塩基の数とがほぼ同数となる中心部の領域をいい、オリゴヌクレオチドの塩基数が奇数の場合は、「中央」は、中心部の5塩基が好ましく、より好ましくは中心部の3塩基、さらに好ましくは最も中心部の1塩基である。例えば、41個の塩基数の場合は、第19番目〜第23番目の塩基が中心部の5塩基にあたり「中央」として好ましく、より好ましくは中心部の3塩基にあたる第20番目〜第22番目の塩基、さらに好ましくは最も中心部の1塩基にあたる第21番目の塩基である。また、オリゴヌクレオチドの塩基数が偶数の場合は、「中央」は、中心部の4塩基が好ましく、より好ましくは中心部の2塩基である。例えば、40個の塩基数の場合は、第19番目〜第22番目の塩基が中心部の4塩基にあたり「中央」として好ましく、より好ましくは中心部の2塩基にあたる第20番目又は第21番目の塩基である。表1の「配列」の欄に示す塩基配列において、欠失の遺伝子多型の場合は、実際の配列の長さは40個で偶数となる。したがって、この配列に基づいて40個の塩基数のオリゴヌクレオチドを設計した場合は、第19番目〜第22番目の塩基が「中央」として好ましく、より好ましくは第20番目又は第21番目の塩基である。
【0056】
遺伝子多型部位が複数の塩基で構成される場合は、当該遺伝子多型部位の全部又は一部の塩基配列又はその相補配列が含まれるようにプローブ又はプライマーを設計し作製する。作製されたオリゴヌクレオチドをプローブとして用いると、ハイブリダイズの有無又は差を利用してアレルを決定することができる。プローブ又はプライマーのDNAのうち、当該遺伝子多型部位又はその周辺領域と相補鎖を形成する塩基を「対応塩基」とすると、プローブ又はプライマーは、当該遺伝子多型を構成する配列のうちいずれかの配列上に対応塩基が位置するように設計することができる。「周辺領域」とは、遺伝子多型を構成する配列の最も5'側端からさらに1〜3塩基外側(すなわち5'側)、又は遺伝子多型を構成する配列の最も3'側端からさらに1〜3塩基外側(すなわち3'側)の領域を意味する。特に、プローブ又はプライマー中の対応塩基は、相補鎖を形成するときの5'又は3'末端の塩基が、遺伝子多型を構成する配列中の5'末端側若しくは3'末端側又は中央に位置するように設計することができる。本発明では、中央に位置することが好ましい。さらに、対応塩基は、遺伝子多型を構成する配列の周辺領域上に位置するように設計することもできる。
【0057】
例えば、後述するインベーダー法により、表1のGPR37の第11番(配列番号179)に示す遺伝子多型(AAT)を検出するためにインベーダープローブ及びアレルプローブを作製する場合は、アレルプローブについては、遺伝子多型部位AATに相当する塩基、すなわち5'側から3'側に向かって「A」、「T」又は「T」がアレルプローブの対応塩基となってハイブリダイズするように設計する(図4Bのa〜c参照)。例えば、図4B(a)では、相補鎖を形成する最も5'側の対応塩基「T」が、遺伝子多型を構成する塩基(AAT)の中央に位置し、図4B(b)では、相補鎖を形成する最も5'側の対応塩基「T」が、遺伝子多型を構成する塩基(AAT)の5'側の「A」上に位置するという位置関係を示している。また、図4B(d)には、アレルプローブの対応塩基が、遺伝子多型部位(下線部)の周辺領域(3塩基)に位置するように設計したものが示されている。
【0058】
インベーダープローブについては、3'端の塩基「N」(A、T、C又はGのいずれか)の位置が、ハイブリダイズした場合に遺伝子多型部位の塩基(AAT)のいずれかと対応する位置になるように設計する。但し、アレルプローブと1塩基重複するように設計するのが最も効果的である(図4C)。一方、もう1つの遺伝子多型であるAAT欠失の場合には、その1〜3塩基分5'側又は3'側の位置に相当する塩基をインベーダープローブ及びアレルプローブの重複塩基としてAAT欠失を考慮して(配列から欠失させて)設計すればよい。図4B(e)には、欠失部位の両側2塩基がアレルプローブとハイブリダイズするようにしたものを示す。なお、TaqManプローブでは、このAATのいずれかの塩基又はその欠失位置が、TaqManプローブの中央となるように設計すればよい。
【0059】
塩基配列の長さは、少なくとも13塩基となるように設計することが好ましく、より好ましくは13〜60塩基、さらに好ましくは15〜40塩基、最も好ましくは18〜30塩基である。
【0060】
このオリゴヌクレオチド配列は、被検遺伝子を検出するためのプローブとして使用することができ、また、フォワード(センス)プライマー及びリバース(アンチセンス)プライマーのどちらに使用してもよい。
【0061】
また、オリゴヌクレオチドは、ゲノムDNAとハイブリダイズする領域(断片)とハイブリダイズしない領域(断片)とがタンデムに連結したものであってもよい。連結の順序はどちらが上流でも下流でもよい。このオリゴヌクレオチドのうちハイブリダイズする領域は、表1に記載の遺伝子多型部位を含む配列情報から設計し、ゲノムDNAとハイブリダイズする領域の最も5'側又は3'側の配列がSNPの対応塩基配列となるように作製する。上記オリゴヌクレオチドのうちハイブリダイズしない領域は、表1に記載の遺伝子多型部位を含む配列とハイブリダイズしないように、ランダムに配列を設計する。このようなオリゴヌクレオチドは、一般には、主にインベーダー法による遺伝子多型の検出においてプローブ(アレルプローブ)として使用することができる。
【0062】
さらに、本発明において使用されるプライマーは、表1に示す塩基配列のうち、その遺伝子多型に起因する機能変化、有効/無効の判断、副作用の有無を調べる目的で、PCRにて増幅される配列の中に遺伝子多型部位を含むよう設計される。この場合の、プライマーの長さは、少なくとも15塩基、好ましくは15〜30塩基、さらに好ましくは18〜24塩基の長さを有するように設計する。このときのプライマー配列は、増幅断片が2500bp以下、好ましくは1000bp以内、より好ましくは500bp以内(例えば120〜500bp)、さらに好ましくは200bp以内(例えば120〜200bp)となるように鋳型DNAの領域から適宜選択する。
【0063】
例えば、遺伝子多型部位の5'側又は3'側に隣接する塩基から起算して、センス又はアンチセンスのプライマーの少なくともどちらか一方が、それぞれ5'側又は3'側方向に2500bp以内の領域に含まれるように設計することが好ましく、より好ましくは1000bp以内、さらに好ましくは200bp以内、特に好ましくは100bp以内である。
【0064】
以上のように設計されたオリゴヌクレオチドプライマー又はオリゴヌクレオチドプローブは、公知の手段・方法により化学合成することができるが、一般には、市販の化学合成装置を使用して合成される。
【0065】
なお、プローブには、予め蛍光標識(例えばFAM、VIC、Redmond Dye等)を付加して作業の自動化を図ることも可能である。

5.遺伝子多型検出用キット
上記オリゴヌクレオチドは、遺伝子多型検出用キットに含めることができる。
【0066】
本発明の遺伝子多型検出用キットは、本発明を実施するために必要な1種以上の成分を含むものである。例えば、本発明のキットは、酵素を保存若しくは供給するためのもの、及び/又は切断アッセイ(例えばインベーダーアッセイ)を実施するために必要な反応成分を含むものである。本発明のキットは、酵素、又はアッセイに必要な(好適な)成分のうち、任意の全ての成分を含むものである。そのような成分としては、限定されるものではないが、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ(例えばTaqポリメラーゼ)、バッファー(例えばTris緩衝液)、dNTP、コントロール用試薬(例えば、組織サンプル、ポジティブ及びネガティブコントロール用標的オリゴヌクレオチドなど)、標識用及び/又は検出用試薬(VIC、FAM等の蛍光色素)、固相支持体、説明書、説明図及び/又は製品情報、阻害剤、包装環境調節剤(例えば、氷、乾燥剤)等が挙げられる。また本発明のキットは、必要な成分のうちの一部のみを含む部分的キットであってもよく、その場合には、ユーザーが他の成分を用意することができる。また、本発明のキットは、各容器が使用対象の成分のうちの一部を含む、2つ以上の別個の容器を含むものであってもよい。例えば、第1の容器が酵素を含有し、第2の容器がオリゴヌクレオチドを含有するものが挙げられる。ここで、酵素は、例えば適切な保存用バッファー中又は容器内に入れられた構造特異的切断酵素などであり、オリゴヌクレオチドは、例えばインベーダーオリゴヌクレオチド、プローブオリゴヌクレオチド、コントロール用標的オリゴヌクレオチド等である。あるいは、1種以上の反応成分を予め分配した形で提供してもよい。この場合には、本発明の方法の1ステップで使用するために予め定量して分配されているため、再度計量したり、再度分配する必要がない。また、選択した反応成分を混合して一緒に分配しておいてもよい。反応成分は、予め分配され、反応容器中に入れられていることが好ましい。反応容器としては、限定はされないが、反応チューブ又はウエル、あるいはマイクロタイタープレートなどが挙げられる。予め分配される反応成分は、例えば脱水又は凍結乾燥などにより、反応容器中で乾燥させておくことが特に好ましい。

6.遺伝子多型の検出
上記のようにして調製されたオリゴヌクレオチドをプライマーとし、DNAポリメラーゼを用いて受容体をコードする遺伝子(鋳型DNA)を増幅する。あるいは、上記のようにして調製されたプローブを鋳型DNAとハイブリダイズさせて、目的の遺伝子多型を有するDNAを検出する。鋳型となるDNAの調製は、公知の手法、例えば塩化セシウム密度勾配超遠心法、SDS溶解法又はフェノール・クロロホルム抽出法等により行うことができる。
【0067】
(1) PCRによる検出
増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により行うことができる。DNAポリメラーゼとしてはLA Taq DNAポリメラーゼ(Takara社)、Ex Taq ポリメラーゼ(Takara社)、Gold Taq ポリメラーゼ(Perkin Elmer社), AmpliTaq (Perkin Elmer社) 、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene社)等が挙げられる。
【0068】
増幅の条件は、例えば、85℃〜105℃で10秒〜40秒、好ましくは94℃で20秒〜30秒の変性工程、50℃〜72℃で20秒〜1分、好ましくは60℃で20秒〜1分のアニーリング工程、及び65℃〜75℃で1分〜4分、好ましくは72℃で2分〜3分の伸長工程を1サイクルとしてこれを30〜40サイクル行う。但し、鋳型DNA及びプライマーを十分変性させるために、上記増幅サイクルの前に95℃で1分〜5分(但し、Gold Taq ポリメラーゼ(Perkin Elmer社)を使用の際は、最低8分〜15分、好ましくは10分から12分)の変性工程を加えてもよく、また、増幅されたDNAを完全に伸長するために、増幅サイクルの後に72℃で1分〜10分の伸長工程を加えてもよい。さらに、増幅産物の検出を直ちに行わない場合は、非特異的な増幅が起こらないようにするために、増幅産物を4℃で保存する工程を加えることが好ましい。このようにして、受容体をコードする遺伝子を増幅することができる。
【0069】
その後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を1本又は2〜3本のバンド(DNAフラグメント)として検出することにより、受容体をコードする遺伝子中の遺伝子多型を含む受容体の一部分をDNAフラグメントとして検出することができる。アガロースゲル電気泳動の代わりにポリアクリルアミドゲル電気泳動、あるいはキャピラリー電気泳動等を実施してもよい。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。また、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により検出する等、電気泳動を必要としない検出方法も採用することができる。
【0070】
(2) TaqMan PCR法による検出
TaqMan PCR法は、蛍光標識したアレル特異的オリゴとTaq DNAポリメラーゼによるPCR反応とを利用した方法である。TaqMan PCR法で用いるアレル特異的オリゴ(TaqManプローブという)は、前記遺伝子多型情報に基づいて設計することができる。TaqManプローブの5'末端はFAMやVICなどの蛍光レポーター色素「R」によって標識されており、同時に3'末端がクエンチャー(消光物質)「Q」によって標識されている(図1参照)。従って、この状態ではクエンチャーが蛍光エネルギーを吸収するため蛍光は検出できない。TaqMan プローブの3'末端はリン酸化されているため、PCR反応中にTaqManプローブからの伸長反応は起こらない(図1参照)。しかし、このTaqManプローブを、遺伝子多型部位(図1、図2ではSNP)を含む領域を増幅するように設計したプライマー及びTaq DNAポリメラーゼとともにPCR反応を行うと、次の反応が起こる。
【0071】
まず、TaqManプローブが鋳型DNAの特異的な配列にハイブリダイゼーションし(図2a参照)、同時にPCRプライマーから伸長反応が起こる(図2b参照)。この際、Taq DNAポリメラーゼは5'ヌクレアーゼ活性を有しているため、PCRプライマーの伸長反応が進む際にハイブリダイゼーションしたTaqManプローブを切断する。TaqManプローブが切断されると、蛍光色素がクエンチャーの影響を受けなくなり、蛍光を検出することができる(図2c参照)。
【0072】
例えば、図3に示すように、遺伝子多型部位(図3ではSNP)がAのアレル(アレル1とする)と、Gのアレル(アレル2とする)が存在すると仮定する。アレル1に特異的なTaqManプローブはFAMで、アレル2に特異的なTaqManプローブはVICで標識する(図3参照)。2種類のアレル特異的オリゴをPCR試薬に添加し、検出の対象となる鋳型とTaqMan PCRを行う。その後、蛍光検出器にてFAM及びVICの蛍光強度を測定する。その結果、アレルの遺伝子多型部位と、TaqManプローブの当該遺伝子多型に対応する部位とが相補的である場合は、プローブがアレルとハイブリダイズし、Taqポリメラーゼによりプローブの蛍光色素が切断されて、クエンチャーの影響を受けなくなり、蛍光強度が検出される。
【0073】
なお、鋳型がアレル1のホモ接合体である場合はFAMの強い蛍光強度を認め、VICの蛍光はほとんど認められない。逆に、鋳型がアレル2のホモ接合体である場合はVICの強い蛍光強度を認め、FAMの蛍光はほとんど認められない。一方、鋳型がアレル1とアレル2のヘテロ接合体である場合は、FAMとVICの両者の蛍光を検出することができる。
【0074】
(3) インベーダー法による検出
インベーダー法は、アレル特異的オリゴヌクレオチド(オリゴ)と鋳型とをハイブリダイゼーションすることにより遺伝子多型を検出する方法である。インベーダー法では、プローブとして計3種類のオリゴ、すなわち2種類の非標識オリゴと1種類の蛍光標識オリゴを用いる。2種類の非標識オリゴのうちのひとつは、アレルプローブと呼ばれるものである。アレルプローブは、ゲノムDNA(鋳型DNA)とハイブリダイズして相補二本鎖を形成する領域と、鋳型DNAの配列とは無関係な配列であってゲノムDNAとハイブリダイズしない配列の領域(フラップという)とから構成されており、ハイブリダイズする領域のうち最も5'側又は3'側の位置が、遺伝子多型部位(図4A、図6ではSNP)に対応する塩基となっている(図4Aa参照)。上記フラップ配列は、後述するFRETプローブと相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。もうひとつのオリゴは、インベーダープローブと呼ばれるものである。このオリゴは、遺伝子多型部位からゲノムDNAの3'側方向に向かって相補的にハイブリダイズするように設計されている(図4Ab参照)。但し、遺伝子多型部位に対応する配列(図4Ab中の「N」)は任意の塩基でよい。従って、鋳型であるゲノムDNAと上記2つのプローブをハイブリダイゼーションさせると、遺伝子多型部位にインベーダープローブの1塩基(N)が割り込むように侵入し(図4Ac参照)、一時的に遺伝子多型部位が3重鎖を形成する。
【0075】
一方、蛍光標識オリゴはアレルと全く無関係な配列であり、遺伝子多型の種類によらず配列は共通であり、このプローブをFRETプローブ(fluorescence resonance energy transfer probe)という(図5参照)。FRETプローブの5'末端の塩基(レポーター)には蛍光色素「R」が標識されており、その上流にはクエンチャー「Q」が結合している。従って、この状態ではクエンチャーが蛍光色素を吸収してしまうため蛍光を検出できない。また、FRETプローブの5'末端(レポーター塩基)から一定領域(領域1とする)は、その領域1よりも3'側の領域と向き合って相補的な配列となるように設計されている(これを領域2という)。従って、領域1は領域2と自分自身で相補鎖を形成する(図5参照)。また、この相補鎖形成領域よりもさらに3'方向の領域は、アレルプローブのフラップとハイブリダイズして相補鎖を形成できるように設計されている(図5参照)。
【0076】
インベーダー法では、DNAの特殊な構造を認識して切断する特殊なエンドヌクレアーゼ活性を有する酵素(5'ヌクレオチダーゼ)の1つであるクリーバーゼ(cleavase)を用いることも重要である。クリーバーゼは、ゲノムDNA、アレルプローブ及びインベーダープローブが遺伝子多型部位で3重鎖を形成した時に、アレルプローブの遺伝子多型部位から3'側を切断する酵素であり、図4Acや図6aに示すように3つの塩基が並び、5'末端がフラップ状になっている部分を認識して、そのフラップ部分を切断し遊離させる。
【0077】
従って、インベーダ法では、上記3種のプローブ(オリゴ)とクリーバーゼとを用いることで、以下のような2段階の反応が起こる(図6a〜d参照)。
【0078】
まず(第1段階)、アレルプローブが鋳型であるゲノムDNAとハイブリダイズしたときに、遺伝子多型部位にインベーダープローブの3'末端(N)が侵入する(図6b参照)。この遺伝子多型部位の構造がクリーバーゼにより認識され、フラップの部位でアレルプローブが切断されフラップ部分が遊離する(図6b参照)。
【0079】
次に(第2段階)、アレルプローブから遊離したフラップ部分は、FRETプローブと相補的な配列をもつため相補結合する(図6c参照)。このとき、フラップの遺伝子多型部位がFRET自身の相補結合部位に割り込んで侵入する。クリーバーゼは再びこの構造を認識して蛍光色素「R」の部分を切断する(図6c参照)。そうすると、切断された蛍光色素「R」はクエンチャー「Q」の影響を受けなくなるので、蛍光色素が発した蛍光を検出することができる(図6d参照)。
【0080】
一方、アレルプローブの遺伝子多型部位に対応するとされる配列が、実際にはゲノムDNAの遺伝子多型部位とマッチしない場合は(図7参照)、クリーバーゼが認識する特異的なDNA構造をとらないため、アレルプローブのフラップ部分は切断されず、結果として十分な蛍光は検出されない。
【0081】
例えば、ある遺伝子多型がT/Cのときに、T用のインベーダープローブ、アレルプローブ、及び当該遺伝子多型に対応するレポーターにFAMを結合させたフレットプローブ、並びにこれとは別にC用のインベーダープローブ、アレルプローブ、及び当該遺伝子多型に対応するレポーターにVICを結合させたフレットプローブとを準備し、全て混合して遺伝子多型の検出を行う。その結果、遺伝子多型がT/Tのホモの場合にはFAMの蛍光を発し、C/Cのホモの場合にはVICの蛍光を発し、T/Cヘテロの場合にはFAMとVIC両者の蛍光を発する。FAMとVICは蛍光波長が異なるため、両者を分別できることになる。蛍光色素で標識された産物は、蛍光プレートリーダー、又は反応過程で生じた蛍光データを採集するよう設定した装置(リアルタイム蛍光検出器)を用いて検出することができる。リアルタイム蛍光検出器としては、例えばABI 7700 配列検出システム(Applied Biosystems社)が挙げられる。
【0082】
(4) SniPer法による検出
SniPer法でSNP等の遺伝子多型を検出するためには、アレルの識別をRCAによる増幅の有無で行うことができる。すなわち、鋳型になるべきゲノムDNAを直鎖状にしておいて、このゲノムDNAにプローブをハイブリダイズさせる。プローブの配列と鋳型であるゲノムDNAの配列とが相補的にマッチして相補鎖を形成すると、ゲノムDNAはライゲーション反応が起こって環状になることができる。その結果、環状DNAのRCAが進行する。これに対し、プローブの端がゲノムDNAとマッチしなければ、ライゲーションされず環状にならないため、RCAの反応は進まない。従ってSniPer法では、ゲノムDNAとアニールし、しかも環状になり得る一本鎖プローブを設計する。この一本鎖プローブをパドロックプローブという。このパドロックプローブの断端を検出対象となる遺伝子多型部位に対応する配列にしておいて、このパドロックプローブとゲノムDNAとを混ぜ、ライゲーション反応を行う。パドロックプローブの断端とゲノムDNAの遺伝子多型部位が相補的であれば、ライゲーション反応によってパドロックプローブは断端がつながり環状となるが、相補的でなければ環状にならない。従って、検出対象となる遺伝子多型に相当するパドロックプローブのみが環状となり、DNAポリメラーゼによって増幅する。遺伝子多型の有無は、この増幅の有無を検出することにより確認できる。検出は、両端に蛍光色素とクエンチャーをもち、ヘアピン構造を有する合成オリゴヌクレオチドを使用する。
【0083】
(5) MALDI-TOF/MS法による検出
MALDI-TOF/MS (Matrix Assisted Laser Desorption-Time of Flight/Mass Spectrometry)法は、質量分析計をSNP等の遺伝子多型のタイピングに応用した方法である。この方法は、以下のステップから構成される。
【0084】
(i) 遺伝子多型を含むDNA断片のPCR増幅及び精製
遺伝子多型部位の塩基とPCRプライマーは重複しないように設計した後DNA断片を増幅し、増幅反応産物からエキソヌクレアーゼやアルカリホスファターゼ処理によりプライマー、dNTP等を除去して増幅断片を精製する。
【0085】
(ii) プライマー伸長反応(サーマルサイクル)及び精製
PCR産物である標的領域の鋳型に対して10倍以上のプライマーを加え、サーマルサイクル反応させてプライマー伸長反応を行う。ここで使用するプライマーは、その3'末端が遺伝子多型部位の塩基に隣接するように設計する。プライマーの長さは、15〜30塩基、好ましくは20〜25塩基である。マルチプレックス反応を行う場合には、鋳型と相補的でない配列を5'末端に付加する。また、サーマルサイクルは、85〜105℃(好ましくは94℃)と35〜40℃(好ましくは37℃)との2温度間で20〜30サイクル(好ましくは25サイクル)行う。
【0086】
得られた反応産物を、質量分析機に適した状態にするため精製キット等を用いて精製する。
【0087】
(iii) 質量分析計によるDNAの質量分析
精製された伸長反応産物を質量分析機にアプライして、目的産物の質量を測定する。すなわち、精製産物をマトリックスと混合し、MALDIプレートに0.5〜1.0μLスポットする。プレートを乾燥後、試料にレーザー光を照射し、スペクトログラムを作成する。
【0088】
(6) 塩基配列決定法による検出
本発明においては、1塩基の伸長反応を利用した遺伝子多型の検出を行うことができる。つまり、異なる蛍光化合物で標識された4種類のジデオキシヌクレオチドを、検出の対象となる遺伝子が含まれる反応系に添加し、1塩基の伸長反応を行う。この場合、伸長する塩基を遺伝子多型部位としておき、また、DNA合成の停止とDNA分子の3'末端の蛍光標識という2つの反応を操作する。4種類の反応液をシークエンシング用ゲルの同一レーンやキャピラリー上で電気泳動を行ない、DNAバンドを標識した蛍光色素の違いを蛍光検出器により検出して配列決定を行う、あるいは1塩基伸長したオリゴヌクレオチドを蛍光検出装置や質量分析装置などを用いてどの塩基が伸長したかを蛍光色素の種類の違いを利用して調べる方法である。蛍光標識ジデオキシヌクレオチドの代わりにプライマーを蛍光標識し、非標識ジデオキシヌクレオチドと共に用いることもできる。
【0089】
(7) DNAマイクロアレイによる検出
DNAマイクロアレイは、支持体上にヌクレオチドプローブが固定されたものであり、DNAチップ、Geneチップ、マイクロチップ、ビーズアレイ等を含むものである。
【0090】
DNAチップなどのDNAマイクロアレイアッセイとしてはGeneChipアッセイが挙げられる(Affymetrix社;米国特許第6,045,996号、同第5,925,525号、及び同第5,858,659号参照)。GeneChip技術は、チップに貼り付けたオリゴヌクレオチドプローブの小型化高密度マイクロアレイを利用するものである。プローブアレイは、例えば固相化学合成法と半導体産業において用いられているフォトリソグラフィー製造技術とを組み合わせた光照射化学合成法(Affymetrix社)により製造される。チップの化学反応部位の境界を明確するためにフォトリソグラフィーマスクを利用し、特定の化学合成工程を行うことによって、アレイの所定の位置にオリゴヌクレオチドプローブが貼り付けられた高密度アレイを構築することができる。マルチプルプローブアレイは、大きなガラス基板上で同時に合成する。続いてこの基板を乾燥し、個々のプローブアレイを射出成形プラスチックカートリッジに充填する。このカートリッジは、外部環境からアレイを保護し、またハイブリダイゼーションチャンバーとしても機能する。
【0091】
まず、分析対象のポリヌクレオチドを単離し、PCRにより増幅し、蛍光レポーター基により標識する。続いて、流体ステーションを用いて、標識化DNAをアレイと共にインキュベートする。次にこのアレイをスキャナーに差し込み、ハイブリダイゼーションパターンを検出する。ハイブリダイゼーションのデータは、プローブアレイに結合した(すなわち標的配列に取り込まれた)蛍光レポーター基からの発光として採集する。標的配列と完全に一致したプローブは、一般的には、標的配列と一致していない部分を有するものよりも強いシグナルを生じる。アレイ上の各プローブの配列及び位置は分かっているため、相補性によって、プローブアレイと反応させた標的ポリヌクレオチドの配列を決定することができる。
【0092】
また本発明においては、電子工学的に捕捉されたプローブを有するDNAマイクロチップを利用することもできる(Nanogen社;例えば、米国特許第6,017,696号、同第6,068,818号、及び同第6,051,380号参照)。Nanogen社の技術は、マイクロエレクトロニクスを利用することによって、半導体マイクロチップ上の所定の試験部位に及びその部位から荷電分子を移動したり、濃縮したりできる。所定のSNP又は変異に特有なDNA捕捉型プローブは、マイクロチップ上の特定の部位に電子工学的に配置されるか、又はアドレス指定される。DNAは強く負に荷電しているため、正電荷領域へ電子的に移動することが可能である。
【0093】
最初に、マイクロチップ上の試験部位又は試験部位の列を正電荷により電子的に活性化する。続いて、DNAプローブ含有溶液をマイクロチップ上に導入する。負に荷電したプローブは、正に荷電した部位に迅速に移動するため、マイクロチップ上のその部位にプローブが濃縮され、化学的に結合する。続いてマイクロチップを洗浄し、さらに別の異なるDNAプローブ溶液を添加してDNAプローブとの特異的結合を行う。
【0094】
次に、被検サンプル中に標的DNA分子が存在するか否かを分析する。この分析は、被検サンプル中の相補的DNAとハイブリダイズしたDNA捕捉型プローブの種類を判定することにより行う。ここで被検サンプルとしては、例えばPCRにより増幅した検出対象の遺伝子が挙げられる。また、電荷を利用することにより、マイクロチップ上の1以上の試験部位に標的分子を移動させ、濃縮することができる。各試験部位におけるサンプルDNAの電気的濃縮によって、サンプルDNAとそれに対し相補的な捕捉型プローブとのハイブリダイゼーションが迅速に行われる。例えば、このような操作によりハイブリダイゼーションが数分で起こるようになる。未結合DNA又は非特異的結合DNAを各試験部位から除去するために、その部位の極性又は電荷を陰性に逆転し、それにより未結合DNA又は非特異的結合DNAを溶液中に戻すことができる。この方法においては、例えばレーザーを利用した蛍光スキャナーを用いて特異的結合を検出することができる。
【0095】
さらに、本発明においては、表面張力の違いによる平面(チップ)上での流体の分離現象を利用したアレイ技術も利用可能である(ProtoGene社;例えば、米国特許第6,001,311号、同第5,985,551号、及び同第5,474,796号参照)。Protogene社の技術は、化学的被膜により付与される表面張力の違いによって、流体が平面上で分離するという事実に基づいている。オリゴヌクレオチドプローブは、上述のような原理に基づいて分離させることができるため、プローブを含む試薬をインクジェットプリントすることによりチップ上で直接合成することができる。表面張力により規定される反応部位を有するアレイを、1セット(4つ)の圧電性ノズル下に配置されたX/Y移動ステージ上に載せる。各圧電性ノズルには、それぞれ4種の標準的なDNA塩基が含有されている。この移動ステージはアレイの各列に沿って移動し、適切な試薬(例えばアミダイト)を各反応部位に供給する。アレイの表面全体を、アレイの反応部位に共通の試薬及び洗浄液に浸漬し、その後回転させることによりこれらの溶液を除去する。
【0096】
検出対象となる遺伝子多型部位に特異的なDNAプローブをProtogene社の技術を利用してチップに貼り付ける。続いて、チップを、PCRで増幅した検出対象遺伝子と接触させる。ハイブリダイゼーション後、未結合DNAを除去し、任意の適切な方法を利用してハイブリダイゼーションを検出する。
【0097】
さらに、「ビーズアレイ」を利用してSNP等の遺伝子多型を検出することができる(Illumina社;例えば、PCT国際公開 WO 99/67641号及び同WO 00/39587号参照)。Illumina社は、光ファイバー束と、アレイに自己会合するビーズとを組み合わせたビーズアレイ技術を利用している。各光ファイバー束は、その束の直径に応じて数百万のファイバーを含有する。ビーズは、検出対象となる遺伝子多型部位に特異的なオリゴヌクレオチドにより被覆する。各種所定量のビーズを混ぜて、アレイに特異的なプールを形成させる。アッセイを行うために、ビーズアレイと調製済みの被験者サンプルとを接触させる。そして、ハイブリダイゼーションを任意の適切な方法により検出する。

7.薬物の評価
本発明においては、前記のようにして得られるSNP等の遺伝子多型の検出結果から、当該受容体を介した薬物の有効性及び/又は安全性、あるいは当該薬物に対する感受性を評価することができる。
【0098】
薬物の評価は、タイピングシステムにより行うことができる。すなわち、上記いずれかの検出手法に従って、毒性(副作用)発現群と非発現群のアレル頻度を比較する。両者を比較した際、アレル頻度に差が生じるものを毒性発現認識のためのマーカーとして選出する。統計学的検定は、一般にはχ2検定によるが、例えばFisher検定などの他の統計処理を行うこともできる。なお、この結果を、リガンドと受容体との結合活性やその結合活性に対する薬物の阻害作用の強さ、当該受容体を有する細胞などをリガンドで刺激した際の細胞応答およびその作用に対する薬物の詐害活性、当該受容体の発現量をリガンド結合量や該当する抗受容体抗体などの結合量などに反映させることも可能である。当該全ての遺伝子多型に関して、作用あるいは毒性との因果関係を調べ、相関のあった遺伝子多型のみを選出する。その全ての遺伝子多型解析用プローブ又はプライマーと各手法に応じた試薬を、反応プレート、カード又はガラス基盤等に予め用意し、そこに予測したいヒトのゲノムDNAを添加し、反応させることで、アレルパターンを調べることができる。作用又は毒性と相関する遺伝子多型を有する場合には、そのヒトの作用発現又は副作用発現予測が可能となる。薬物の有効性についても同様である。また、薬物の違いにより、副作用又は有効性と相関する遺伝子多型も異なるので、それぞれに関して、当該遺伝子多型を用いてタイピング操作を行えば、有効性や副作用の予測をすることが可能となる。
【0099】
このことを利用して、その遺伝子多型頻度と有効/無効又は副作用の有/無等を比較し、アレル頻度に差がある時に判定可能となる。
【0100】
例えば、薬物Aの投与によってある毒性(副作用)を示した者の遺伝子多型を解析した結果、統計的に全体の90%がT/Tを持つ者(例えばFAMの蛍光強度を検出)であることが判明し、一方、毒性(副作用)を示さなかった者についても同様に解析した結果、T/Tを持つ者は全体の10%にすぎず、C/Cを持つものが90%を占めることが判明したとすると、遺伝子多型解析の結果、T/Tを持つ者には薬物Aの投与はできないと評価することができる。

8.薬物のスクリーニング
本発明において前記の通り得られた遺伝子多型情報は、被験者から採取した当該受容体をコードする遺伝子又はその相補配列の遺伝子多型情報と比較することにより、当該受容体に作用する薬物、すなわち受容体を介した薬物の有効性及び/又は安全性、あるいは当該薬物に対する感受性を解析するための指標として利用される。上記多型情報を用いて、薬物の有効性や安全性等に関する個体差を解析することも可能である。従って、本発明において得られた遺伝子多型情報は、どの薬物が治療に最も有効であるか、その使用すべき薬物の種類及び/又はその用量を選択するための情報源となる。
【0101】
手法としては、前項「7.薬物の評価」に記載の評価方法を利用すればよい。つまり、前項で副作用又は有効性と相関が認められた遺伝子多型は、その受容体へのリガンド結合能、受容体の情報伝達能、転写・翻訳に由来する受容体発現量に影響を与えるものであるといえる。また、副作用又は有効性の発現機構と間接的であっても何らかの因果関係があるといえる。ある薬物に対する感受性は、製薬会社などにおいて前臨床又は臨床試験にて調査・確認される。よって、それらの酵素遺伝子中に存在する遺伝子多型の中に重篤な副作用と相関する遺伝子多型がある場合にはこれを削除すること、あるいは条件付きで使用することが可能となる。また、有効性についても同様である。この副作用と有効性の情報から薬物の選択(スクリーニング)が可能となる。
【0102】
さらに、臨床試験(第I〜III相試験)において副作用発現症例のボランティアと副作用非発現症例の遺伝子多型頻度解析を行うことで、前記した以外に副作用や有効性と相関する新たな遺伝子多型を検出することが可能となる。これを、上記と同様に調べることで薬物のスクリーニングが可能となる。

以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0103】
遺伝子多型情報の取得
(1) DNA抽出
血縁関係のない48人からEDTA存在下に採血を行った。DNAの抽出は、ゲノム解析ラボマニュアル(中村祐輔編 シュプリンガー・フェアラーク東京)の方法に従って以下の通り行った。
【0104】
血液10mLを50mLのファルコンチューブに移し、室温で3000rpm、5分間遠心を行った。ピペットにて上清(血清)を採取した後、RBC溶解バッファー(10mM NH4HCO3, 144mM NH3Cl)を30mL加えた。沈殿がほぐれるまで混和した後、室温で20分放置した。室温で3000rpm、5分間遠心を行った後、ピペットにて上清(血清)を捨て、白血球のペレットを得た。RBC溶解バッファーを30mL加え、同様の操作をさらに2回行った。白血球のペレットにProteinase Kバッファー(50mM Tris-HCl(pH7.4), 100mM NaCl, 1mM EDTA(pH8.0))を4mL、10% SDSを200μL、10mg/mL Proteinase Kを200μL加え、転倒混和した後、37℃で一晩静置した。フェノールを4mL加え、ローテーター(Rotator T-50, Taitec)にて4時間ゆっくりと転倒混和した。室温で3000rpm、10分間遠心を行い、上層を新しいチューブに回収した。4mLのフェノール-クロロホルム-イソアミルアルコール(容積比25:24:1)を加え、同様に2時間転倒混和した後、遠心した。上層を新しいチューブに回収し、4mLのクロロホルム-イソアミルアルコール(容積比24:1)を加え、同様に30分転倒混和した後、遠心した。上層を新しいチューブに回収し、8M 酢酸アンモニウム400μL、イソプロパノール4mLを加え、転倒混和した。糸状の白色析出物(DNA)を、容量2mLのチューブに回収し、70%エタノールを1mL加え、転倒混和した。新しい容量2mLのチューブにDNAを回収し風乾した後、TE溶液(10mM Tris-HCl(pH7.4), 1mM EDTA(pH7.4))を500μL加え、溶解後、ゲノムDNAサンプルとした。
【0105】
(2) PCR
下記の各受容体の遺伝子のゲノムDNAシークエンスは、GenBank DNAデータベースから得た(各受容体遺伝子のAccession No.は図9〜37を参照)。
「GPR5、GPR6、GPR7、GPR8、GPR9、GPR11、GPR12、GPR13、GPR14、GPR15、GPR16、GPR17、GPR18、GPR20、GPR21、GPR22、GPR23、GPR24、GPR25、GPR26、GPR27、GPR29、GPR30、GPR31、GPR34、GPR35、GPR37、GPR39、GPR40」
RepMaskコンピュータプログラムを用い、リピート配列を除いた後、PCR産物が1kb前後になるようにPCRプライマーを設計した。ゲノムDNAは、同濃度に調製した血縁関係のない48人のDNAを使用した。それぞれ3人分のDNAを1本のチューブに同量混ぜ、このうち20ngをPCRに使用した。PCRは、Ex-Taq(1.25 Units; TaKaRa)を使用し、GeneAmp PCR System 9700(PE Applied Biosystems)を用いて行った。94℃で2分間反応後、94℃で30秒の変性、60℃又は55℃で30秒のアニーリング、72℃で2分以上の伸長を行い、これを1サイクルとして35サイクル行った。
【0106】
(3) シークエンス
PCR産物は、Arraylt(Telechem)を使用し精製を行った後、BigDye Terminator RR Mix(PE Applied Biosystems)を用い、シークエンス反応を行った。GeneAmp PCR System 9700(PE Applied Biosystems)を用い、96℃で2分間反応後、96℃で20秒の変性、50℃で30秒のアニーリング、60℃で4分の伸長を行い、これを1サイクルとして25サイクル行った。シークエンス反応後、ABI PRISM 3700 DNA Analyzerにてシークエンス解析を行った。
【0107】
(4) 遺伝子多型の検出
SNP等の遺伝子多型の検出には、PolyPhredコンピュータープログラム(Nickerson et al., 1997, Nucleic Acids Res., 25, 2745-2751)を使用し、解析を行った。
【0108】
(5) 結果
表1に示すSNP等の遺伝子多型の結果が得られた。また、図9〜37に、解析を行った受容体遺伝子の構造、及びSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示した。これら各図には、受容体名とその遺伝子の略号、及び当該遺伝子のアクセッション番号(Accession No.)も併記した。上記アクセッション番号とは、所定の遺伝子配列(ゲノムDNA)を特定する、GenBank DNAデータベース由来の登録番号である。
【0109】
なお、図9〜37においては、エキソンは水平線で表示した遺伝子上に白抜きのボックス又は黒の線で示し、SNPの存在位置は、遺伝子の上側に実線で示して番号を付した。図12、15、16、18、19、21〜24、27〜31、35、36においては、SNP以外の遺伝子多型の存在位置についても、遺伝子の下側に実線で示して番号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】TaqMan プローブを示す図である。
【図2】TaqMan PCR法の概要を示す図である。
【図3】蛍光色素を付したプローブを示す図である。
【図4A】インベーダー法の概要を示す図である。
【図4B】インベーダープローブとアレルプローブとの位置関係を示す図である。
【図4C】インベーダープローブとアレルプローブとの位置関係を示す図である。
【図5】フレットプローブを示す図である。
【図6】インベーダー法の概要を示す図である。
【図7】アレルとマッチしないプローブを示す図である。
【図8】ライゲーション反応によるアレルの識別の概要を示す図である。
【図9】GPR5遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0111】
アクセッション番号(Accession No.):AC099782.2
【図10】GPR6遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0112】
アクセッション番号(Accession No.):AL591076.5
【図11】GPR7遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0113】
アクセッション番号(Accession No.):AC087348.6
【図12】GPR8遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0114】
アクセッション番号(Accession No.):AL121581.41
【図13】GPR9遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0115】
アクセッション番号(Accession No.):AL590763.1
【図14】GPR11遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0116】
アクセッション番号(Accession No.):AC114962.2
【図15】GPR12遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0117】
アクセッション番号(Accession No.):AL159978.14
【図16】GPR13遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0118】
アクセッション番号(Accession No.):AC104850.2
【図17】GPR14遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0119】
アクセッション番号(Accession No.):AC132938.9
【図18】GPR15遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0120】
アクセッション番号(Accession No.):AC021660.16
【図19】GPR16遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0121】
アクセッション番号(Accession No.):AL096870.5
【図20】GPR17遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0122】
アクセッション番号(Accession No.):AC010976.5
【図21】GPR18遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0123】
アクセッション番号(Accession No.):AL160155.19
【図22】GPR20遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0124】
アクセッション番号(Accession No.):AC100803.10
【図23】GPR21遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0125】
アクセッション番号(Accession No.):AC007066.4
【図24】GPR22遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0126】
アクセッション番号(Accession No.):AC002381.1
【図25】GPR23遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0127】
アクセッション番号(Accession No.):AL590083.8
【図26】GPR24遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0128】
アクセッション番号(Accession No.):Z86090.10
【図27】GPR25遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0129】
アクセッション番号(Accession No.):AC099756.2
【図28】GPR26遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0130】
アクセッション番号(Accession No.):AC009987.17
【図29】GPR27遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0131】
アクセッション番号(Accession No.):AC096970.2
【図30】GPR29遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0132】
アクセッション番号(Accession No.):AL121935.17
【図31】GPR30遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0133】
アクセッション番号(Accession No.):AC091729.4
【図32】GPR31遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0134】
アクセッション番号(Accession No.):AL121935.17
【図33】GPR34遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0135】
アクセッション番号(Accession No.):AL627402.10
【図34】GPR35遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0136】
アクセッション番号(Accession No.):AC124862.4
【図35】GPR37遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0137】
アクセッション番号(Accession No.):AC004925.1
【図36】GPR39遺伝子の構造とSNP等の遺伝子多型部位の存在位置を示す図である。
【0138】
アクセッション番号(Accession No.):AC098800.3 and AC079773.8
【図37】GPR40遺伝子の構造とSNPの存在位置を示す図である。
【0139】
アクセッション番号(Accession No.):U62631.2
【配列表フリーテキスト】
【0140】
配列番号15:nはggの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号27:nはtc又は欠失を表す(存在位置7)。
配列番号29:nはcgの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号30:nはgcggggagcgtgtgggccgggcgggcgc又は欠失を表す(存在位置21)
配列番号31:nはtc又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号43:nはgaca又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号50:nはa又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号55:nはg又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号70:nはt又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号73:nはcの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号74:nはc又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号78:nはgtの16〜22回の繰り返しを表す(存在位置21)。
配列番号79:nはt又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号82:nはt又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号83:nはa又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号91:nはcの挿入を表す(存在位置14)。
配列番号91:nはt又は欠失を表す(存在位置23)。
配列番号93:nはgaの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号94:nはcccgの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号95:nはcの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号95:nはt又は欠失を表す(存在位置30)。
配列番号96:nはcの挿入を表す(存在位置12)。
配列番号96:nはt又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号126:nはaの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号127:nはt又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号129:nはggcの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号130:nはtttc又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号144:nはgの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号146:nはcagagaggagcの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号152:nはcagagaggagcの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号153:nはtcの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号154:nはct又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号155:nはtg又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号179:nはaat又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号180:nはttaa又は欠失を表す(存在位置21)。
配列番号181:nはagaの挿入を表す(存在位置21)。
配列番号185:nはaacaの挿入を表す(存在位置21)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受容体をコードする遺伝子配列若しくはその相補配列中に存在する遺伝子多型部位を含むように、又は受容体をコードする遺伝子配列及びその相補配列の少なくとも一方を増幅したときの増幅断片中に前記遺伝子多型部位が含まれるように、オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーを作製し、得られるオリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、目的の受容体をコードする遺伝子配列中の少なくとも1個の遺伝子多型を検出する遺伝子多型の検出方法であって、
前記受容体が、GPR5、GPR6、GPR7、GPR8、GPR9、GPR11、GPR12、GPR13、GPR14、GPR15、GPR16、GPR17、GPR18、GPR20、GPR21、GPR22、GPR23、GPR24、GPR25、GPR26、GPR27、GPR29、GPR30、GPR31、GPR34、GPR35、GPR37、GPR39及びGPR40からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、かつ、前記遺伝子多型部位が、配列番号1から配列番号188までのいずれかに示される塩基配列又はその相補配列中に存在する少なくとも1つであることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
受容体をコードする遺伝子配列若しくはその相補配列中に存在する遺伝子多型部位を含むように、又は受容体をコードする遺伝子配列及びその相補配列の少なくとも一方を増幅したときの増幅断片中に前記遺伝子多型部位が含まれるように、オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーを作製し、得られるオリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、目的の受容体をコードする遺伝子配列中の少なくとも1個の遺伝子多型を検出する遺伝子多型の検出方法であって、
前記受容体が、GPR5、GPR6、GPR7、GPR8、GPR9、GPR11、GPR12、GPR13、GPR14、GPR15、GPR16、GPR17、GPR18、GPR20、GPR21、GPR22、GPR23、GPR24、GPR25、GPR26、GPR27、GPR29、GPR30、GPR31、GPR34、GPR35、GPR37、GPR39及びGPR40からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、かつ、前記オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーが、配列番号1から配列番号188までのいずれかに示される塩基配列のうち遺伝子多型部位を含む少なくとも13塩基の配列又はその相補配列を有するものからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーの長さが13〜60塩基である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記遺伝子多型部位の情報が表1に示すものである、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチドプローブ及び/又はオリゴヌクレオチドプライマーが、その5'末端若しくは3'末端又は中央の塩基が前記遺伝子多型部位となるように作製されたものである、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、前記受容体をコードする遺伝子配列又はその相補配列とハイブリダイズする断片と、ハイブリダイズしない断片とが結合したものであって、前記遺伝子多型部位が、当該ハイブリダイズする断片の5'末端又は3'末端の塩基である、請求項1から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記遺伝子多型が、一塩基多型、複数個の塩基の欠失、置換若しくは挿入による遺伝子多型、又はVNTR若しくはマイクロサテライトによる遺伝子多型である、請求項1から6までのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれかの方法により得られた検出結果から、当該受容体を介する薬物の有効性及び/又は安全性を評価することを特徴とする、薬物の評価方法。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれかの方法により得られた検出結果から、当該受容体を介する薬物の感受性を評価することを特徴とする、薬物の評価方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の方法により得られた評価結果を指標として、使用すべき薬物を選択することを特徴とする、薬物の選択方法。
【請求項11】
受容体をコードする遺伝子配列又はその相補配列中の遺伝子多型情報と、被験者から採取した当該受容体をコードする遺伝子配列又はその相補配列中の遺伝子多型情報とを比較して、当該受容体を介して起こる薬物の有効性及び/又は安全性に関する個体差を解析し、得られる解析結果から使用すべき薬物の種類及び/又はその用量を選択する薬物の選択方法であって、
前記受容体が、GPR5、GPR6、GPR7、GPR8、GPR9、GPR11、GPR12、GPR13、GPR14、GPR15、GPR16、GPR17、GPR18、GPR20、GPR21、GPR22、GPR23、GPR24、GPR25、GPR26、GPR27、GPR29、GPR30、GPR31、GPR34、GPR35、GPR37、GPR39及びGPR40からなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
GPR5、GPR6、GPR7、GPR8、GPR9、GPR11、GPR12、GPR13、GPR14、GPR15、GPR16、GPR17、GPR18、GPR20、GPR21、GPR22、GPR23、GPR24、GPR25、GPR26、GPR27、GPR29、GPR30、GPR31、GPR34、GPR35、GPR37、GPR39及びGPR40からなる群より選ばれるいずれか1つの受容体をコードする遺伝子配列又はその相補配列中に存在する遺伝子多型部位を含むように作製されたオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドの5'末端若しくは3'末端又は中央の塩基が前記遺伝子多型部位となるように作製されたものである、請求項12に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
前記受容体をコードする遺伝子配列又はその相補配列とハイブリダイズする断片と、ハイブリダイズしない断片とが結合したものであり、かつ前記遺伝子多型部位が、当該ハイブリダイズする断片の5'末端又は3'末端の塩基である、請求項12に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
配列番号1から配列番号188までのいずれかに示される塩基配列又はその相補配列中に存在する少なくとも1つの遺伝子多型部位を含むオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
配列番号1から188までのいずれかに示される塩基配列の第21番目の塩基を含む少なくとも13塩基の配列又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項17】
13〜60塩基の長さを有する、請求項16に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項18】
配列番号1から配列番号188までのいずれかに示される塩基配列又はその相補配列からなる群より選ばれるオリゴヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号1から配列番号188までのいずれかに示される塩基配列又はその相補配列中の遺伝子多型部位が含まれるゲノムDNA領域中の当該遺伝子多型部位から5'側及び/又は3'側に向かって2500bp以内の領域に対して設計されたものであり、かつ13〜60塩基の長さを有するオリゴヌクレオチド。
【請求項20】
請求項12から19までのいずれかに記載のオリゴヌクレオチドが支持体に固定されたマイクロアレイ。
【請求項21】
請求項12から19までのいずれかに記載のオリゴヌクレオチド及び/又は請求項20に記載のマイクロアレイを含む遺伝子多型検出用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2006−141301(P2006−141301A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336716(P2004−336716)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【出願人】(501002471)
【出願人】(501002482)
【出願人】(501002493)
【Fターム(参考)】