説明

還元水ミスト発生装置、還元水ミスト発生方法

【課題】水素水ミストを還元水ミストとして発生させることができる、還元水ミスト発生装置及び還元水ミスト発生方法を提供する。
【解決手段】硝酸分子(HNO3)との間で起こる化学反応により水素分子(H2)を発生する金属元素(Zn)からなる放電電極10と、放電電極10へ水を供給する水供給部11と、放電電極10へ高電圧を印加して電界を発生させて放電電極10に供給された水を静電霧化させるための高電圧印加部15と、を備えており、放電電極10は、高電圧印加部15により印加された高電圧により電界を発生させて、放電電極10に供給された水を静電霧化して、微粒子状態とされた水とする静電霧化機能と、水が静電霧化される際に発生する硝酸分子(HNO3)との間で化学反応を起こして、水素分子(H2)を発生する水素分子発生機能と、を備えており、微粒子状態とされた水に水素分子(H2)を含む水素水ミストを還元水ミストMとして発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素水ミストを還元水ミストとして発生させることができる、還元水ミスト発生装置及び還元水ミスト発生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、皮膚や髪の抗酸化、食品の保存、金属への錆付着の防止、などを目的として、水素水を利用することが行われている。
【0003】
特許文献1には、この種の水素水を製造できる水素水給水装置が提案されている。この種の水素水給水装置では、住戸へ給水されるべき水の一部が、戸外に設置された電気分解槽へ導入されて水素ガス及び酸素ガスを含んだ水とされる。その後、水素ガス及び酸素ガスを含んだ水が前記住戸へ給水されるべき水と混合された状態で住戸へ給水される。
【特許文献1】特開2005−105289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の水素水給水装置は、水素ガス及び酸素ガスを含んだ水が住戸へ給水されるべき水と混合された状態で住戸に供給される。しかしながら、皮膚や髪の抗酸化、食品の保存、金属への錆付着の防止を目的とするためには、水素水をミスト状態で対象物品に満遍なく発生させることが所望される。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、水素水ミストを還元水ミストとして発生させることができる、還元水ミスト発生装置及び還元水ミスト発生方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る還元水ミスト発生装置は、硝酸分子との間で起こる化学反応により水素分子を発生する金属元素からなる放電電極と、前記放電電極へ水を供給する水供給部と、前記放電電極へ高電圧を印加して電界を発生させて前記放電電極に供給された前記水を静電霧化させるための高電圧印加部と、を備えており、前記放電電極は、前記高電圧印加部により印加された前記高電圧により前記電界を発生させて、前記放電電極に供給された前記水を静電霧化して、微粒子状態とされた水とする静電霧化機能と、前記水が静電霧化される際に発生する前記硝酸分子との間で化学反応を起こして、前記水素分子を発生する水素分子発生機能と、を備えており、前記微粒子状態とされた水に前記水素分子を含む水素水ミストを還元水ミストとして発生させることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
この構成によれば、放電電極に高電圧が印加された際には、放電電極が、電界を発生させて、水供給部から供給された水を静電霧化して、微粒子状態とされた水とする。また、水が静電霧化される際に静電霧化される水の一部が空気中の窒素を取り込んで発生する硝酸分子との間で、放電電極が化学反応を起こして、水素分子を発生させる。その結果、微粒子状態とされた水の中に、大量の水素分子が含まれたミスト状の水素水ミストが発生する。
【0008】
そのため、還元水ミスト発生装置が、簡易な構成で、水から水素分子が大量に含まれた水素水ミストを還元水ミストとして発生させることができる。また、水素水ミストが、人の皮膚や髪、食品、金属などの対象物品の隅々にまで達して、効率的な抗酸化効果を与えることができる。
【0009】
上記構成において、前記放電電極が、水素よりもイオン化傾向が高い前記金属元素からなる構成とすることができる(請求項2)。
【0010】
この構成によれば、放電電極が、水が静電霧化される際に発生する硝酸分子と容易に化学反応を起こして水素分子を発生することができる。
【0011】
上記構成において、前記放電電極が前記水を静電霧化する際に発生するOHラジカルを除去するOHラジカル除去部を備える構成とすることができる(請求項3)。
【0012】
この構成によれば、OHラジカル除去部が、酸化作用を有するOHラジカルを除去するので、OHラジカルの含有量が極めて小さな水素水ミストを発生することができ、より効率的に、対象物品に対して抗酸化効果を与えることができる。
【0013】
上記構成において、前記OHラジカル除去部が、メッシュ状のステンレス材で構成されている構成とすることができ(請求項4)、また、前記OHラジカル除去部が、空洞を有した複数の正六角柱が集合したハニカム構造とされているステンレス材で構成されている構成とすることができる(請求項5)。
【0014】
この構成によれば、OHラジカル除去部において、除去対象であるOHラジカルと接触する接触面が多く確保される。特に、OHラジカル除去部が、空洞を有した複数の正六角柱が集合したハニカム構造とされているステンレス材で構成されていれば、除去対象であるOHラジカルと接触する接触面がより多く確保される。
【0015】
そのため、還元水ミスト発生装置は、大量のOHラジカルを多く除去することができるので、OHラジカルの含有量が極めて小さな還元水ミストを発生させることができ、対象物品に対してより効率的に抗酸化効果を与えることができる。
【0016】
上記構成において、前記放電電極と対となって設けられた対向電極を備えており、前記OHラジカル除去部を、前記対向電極に対して、前記OHラジカルの発生方向の下流側に備える構成とすることができる(請求項6)。
【0017】
この構成によれば、対向電極が、放電電極と対となって設けられているので、放電電極及び対向電極へ高電圧が印加された際には、放電電極に供給された水と、対向電極との間にクーロン力が発生する。
【0018】
そのため、還元水ミスト発生装置は、放電電極に供給された水を、放電電極に供給された水と対向電極との間に発生したクーロン力により効率的に静電霧化させて微粒子状態とされた水とすることができる。効率的な静電霧化を行うことができれば、静電霧化される水の量が増加するので、空気中の窒素分子を取り込んで硝酸分子となる水の量も比例的に増加する。そのため、還元水ミスト発生装置は、硝酸分子を大量に発生させることができる。そして、大量に発生された硝酸分子に対して、放電電極との間で化学反応を起こさせることができるので、大量に水素分子を発生させることができる。
【0019】
結果として、還元水ミスト発生装置は、微粒子状態とされた水に水素分子が大量に含まれる水素水を還元水ミストとして発生させることができる。
【0020】
また、OHラジカル除去部が、対向電極に対して、OHラジカルの発生方向の下流側に設けられているので、対向電極を通過したOHラジカルを適切に除去することができる。
【0021】
上記構成において、前記放電電極と対となって設けられ、且つ、前記放電電極に対して、前記OHラジカルの発生方向の下流側に前記OHラジカル除去部を有した対向電極を備える構成とすることができる(請求項7)。この構成によれば、対向電極がOHラジカル除去部を有しているので、部品点数が減るという効果が奏される。
【0022】
また、本発明の他の局面に係る還元水ミスト発生方法は、硝酸分子との間で起こる化学反応により水素分子を発生する金属元素からなる放電電極へ水を供給する水供給ステップと、前記放電電極へ高電圧を印加して電界を発生させて、前記放電電極に供給された前記水を静電霧化させる静電霧化ステップと、前記水が静電霧化される際に発生する前記硝酸分子との間で化学反応を起こして前記水素分子を発生させ、前記微粒子状態とされた水に前記水素分子を含む水素水を還元水ミストとして発生させる還元水ミスト発生ステップと、 を備えることを特徴とする(請求項8)。
【0023】
この方法によれば、前記水供給ステップ、前記静電霧化ステップ、及び、前記還元水ミスト発生ステップという簡易なステップで、水から水素分子を大量に含む水素水ミストを還元水ミストとして発生させることができる。
【0024】
上記方法において、前記放電電極が前記水を静電霧化する際に発生するOHラジカルを除去するOHラジカル除去ステップを備える方法とすることができる(請求項9)。
【0025】
この方法によれば、OHラジカル除去ステップにおいて、酸化作用を有するOHラジカルが除去されるので、OHラジカルの含有量が極めて小さな還元水ミストを発生させることができ、対象物品に対してより効率的に抗酸化効果を与えることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、還元水ミスト発生装置が、簡易な構成で、水から水素分子が大量に含まれた水素水ミストを還元水ミストとして発生させることができる。また、水素水ミストが、人の皮膚や髪、食品、金属などの対象物品の隅々にまで達して、効率的な抗酸化効果を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る還元水ミスト発生装置及び還元水ミスト発生方法について説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る還元水ミスト発生装置の要部構成の一例を示す図である。図2は、金属メッシュの構造の一例を示す斜視図である。図3は、テーラーコーンについて説明するための図である。
【0029】
図1に示す還元水ミスト発生装置1は、水素水ミストを還元水ミストMとしてミスト状に発生させることができる装置である。このような還元水ミスト発生装置1は、水供給管18を有する放電電極10、冷却面12及び放熱面13を有するペルチェ素子(水供給部)11、放熱フィン14、高電圧印加部15、金属メッシュ(OHラジカル除去部)16、ペルチェ素子用電源17、及び、対向電極19を備える。
【0030】
このような還元水ミスト発生装置1において、放電電極10は、硝酸分子(HNO3)との間で起こる化学反応により水素分子(H2)を発生する金属元素からなる。このような金属元素は、水素(H)よりもイオン化傾向が高い金属元素であることが好適である。水素よりもイオン化傾向が高い金属元素は、硝酸分子と容易に化学反応を起こして水素分子を発生することができるからである。
【0031】
このように、水素よりもイオン化傾向が高く、硝酸分子と容易に化学反応を起こして水素分子を発生することができる金属元素は種々存在する。しかしながら、このような金属元素としては亜鉛(Zn)が好適である。亜鉛は、アルミニウム(Al)等の元素とは異なり、硝酸分子との間で化学反応を起こした際に不導体を発生しないからである。
【0032】
また、放電電極10は、先端部10aに向かって先細り形状とされている。放電電極10の先端部10aにおいて、後述するテーラーコーンが安定して生成されるからである。
【0033】
放電電極10において、水供給管18は、ペルチェ素子11の冷却面12で発生した結露水を放電電極10の先端部10aまで供給するために設けられている。このような水供給管18が結露水を放電電極10の先端部10aまで供給する方法は種々考えられる。しかしながら、このような方法としては毛細管が好適である。ポンプなどの汲み上げ手段を使用せずに、結露水を放電電極10の先端部10aまで供給することができるからである。
【0034】
ペルチェ素子11は、ペルチェ素子用電源17により通電された際には、ペルチェ素子11の冷却面12が冷却される。その結果、冷却面12の周辺の空気に含まれる水分が冷却面12の表面で結露して結露水とされる。一方、ペルチェ素子11の放熱面13からは熱が発生するが、その熱は放熱フィン14により放熱される。
【0035】
尚、本実施形態において、水供給部はペルチェ素子11で構成されているが、熱交換器、ゼオライト等の吸着剤、等で構成されることも挙げられる。また、人手により水が補給される構成も挙げられる。
【0036】
このようなペルチェ素子11により冷却面12に発生した結露水は、毛細管現象などにより水供給管18を通じて汲み上げられて放電電極10の先端部10aへと達する。
【0037】
高電圧印加部15は、放電電極10及び対向電極19に接続されており、放電電極10及び対向電極19へ高電圧を印加させ、放電電極10と対向電極19との間で電界を発生させる。その結果、放電電極10に供給された水が先端部10aにおいて静電霧化されて、微粒子状態の水とされる。そして、このような微粒子状態とされた水が、後述するクーロン力により対向電極19の方向へと導かれる。
【0038】
金属メッシュ16は、対向電極19に対して、放電電極10から発生するOHラジカルの発生方向の下流側(図1では対向電極19の上側)に設けられている。放電電極10が水を静電霧化する際に、静電霧化される水の一部から、対向電極19の方向へOHラジカルが発生するので、抗酸化目的のためには、対向電極19を通過するOHラジカルを除去する必要があるからである。
【0039】
このような金属メッシュ16は、ハニカム構造とされているステンレス材で構成されている。図2に示すように、金属メッシュ16は、ステンレス材で構成され空洞を有した複数の正六角柱16A・・・が蜂の巣状に集合した構造とされている。このように、金属メッシュ16が、ハニカム構造とされているステンレス材で構成されているので、金属メッシュ16において、除去対象であるOHラジカルと接触する接触面が多く確保される。そのため、還元水ミスト発生装置1は、大量のOHラジカルを除去することができる。
【0040】
尚、金属メッシュ16は、メッシュ状のステンレス材で構成されていてもよい。メッシュ状のステンレス材で構成されている際にも、金属メッシュ16において、除去対象であるOHラジカルと接触する接触面が多く確保され、効率的にOHラジカルを除去することができるからである。
【0041】
対向電極19は、図1に示すように、放電電極10と対となって設けられている。このように、対向電極19が、放電電極10と対となって設けられているので、放電電極10及び対向電極19へ高電圧が印加された際には、放電電極10に供給された水と、対向電極19との間にクーロン力が発生する。そのため、還元水ミスト発生装置1は、放電電極10に供給された水を、放電電極10に供給された水と対向電極19との間で生じた電界により効率的に静電霧化させて、微粒子状態とされた水とすることができる。効率的な静電霧化を行うことができれば、静電霧化される水の量が増加するので、空気中の窒素分子を取り込んで硝酸分子となる水の量も比例的に増加する。そのため、還元水ミスト発生装置1は、硝酸分子を大量に発生させることができる。そして、大量に発生された硝酸分子に対して、放電電極10との間で化学反応を起こさせることができるので、大量に水素分子を発生させることができる。
【0042】
結果として、還元水ミスト発生装置1は、微粒子状態とされた水に水素分子が大量に含まれる水素水ミストを還元水ミストMとして発生させることができる。
【0043】
このような還元水ミスト発生装置1において、ペルチェ素子11に通電した際には、ペルチェ素子11の冷却面12による冷却効果によって、冷却面12において、冷却面12の周辺の空気中の水分が結露水(以下、単に「水」という)とされる。このような水は、毛細管現象などにより水供給管18を通じて放電電極10の先端部10aへ供給される。
【0044】
そして、高電圧印加部15により放電電極10及び対向電極19へ高電圧が印加された際には、放電電極10と対向電極19との間で電界が発生する。また、放電電極10及び対向電極19へ高電圧が印加された際には、放電電極10の先端部10aに供給された水が電荷を帯びた状態となる。
【0045】
その結果、放電電極10の先端部10aに供給された水と対向電極19との間に、対向電極19の方向へクーロン力が働き、水の液面が局所的に錐状に盛り上がる。このように水の液面が局所的に錐状に盛り上がった箇所が、図3に示すテーラーコーンTである。このようなテーラーコーンTの先端は、放電電極10へ印加された高電圧により更に電荷を帯びた状態となる。その結果、テーラーコーンTの先端では、対向電極19の方向に生じるクーロン力が大きくなり、その結果、テーラーコーンTが成長する。
【0046】
しかしながら、このようにテーラーコーンTが成長すると、テーラーコーンTの先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となる。すると、テーラーコーンTの先端部分の水が大きなエネルギー(高密度となった電荷の反発力)を受け、表面張力を超えて分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返す。その結果、ナノメートルサイズの粒径を有する微粒子状態の水が、対向電極19の方向へ大量に発生する。
【0047】
このように、放電電極10が、放電電極10の先端部10aにおいてテーラーコーンTを成長させ、テーラーコーンTの先端部分の水に対してレイリー分裂を繰り返させて、微粒子状態の水を対向電極19の方向へ大量に発生させる機能を、静電霧化機能という。
【0048】
このような静電霧化機能が実行されている際には、放電電極10の先端部10aの水の一部が、空気中の窒素分子(N2)を取り込み硝酸分子となる。このように放電電極10の先端部10aにおいて発生した硝酸分子は、放電電極10と化学反応を起こして水素分子を発生する。このように、放電電極10が、放電電極10aの先端部10aにおいて発生した硝酸分子と化学反応を起こして水素分子を発生する機能を水素分子発生機能という。
【0049】
図4は、放電電極10において水素分子が発生する仕組みを説明するための図である。放電電極10は本実施形態では亜鉛で構成されている。そのため、放電電極10の先端部10aにおいて発生した硝酸分子(HNO3)は放電電極10を構成する亜鉛(Zn)と化学反応を起こして水素分子(H2)を発生する。かかる化学反応は、Zn+2(HNO3)→H2+Zn(NO3)2なる化学反応式で示される。その結果、放電電極10において水素分子が発生する。このような水素分子は空気より比重が小さいため、対向電極19の方向に導かれる。その結果、放電電極10からは、水素分子を含んだ微粒子状態の水が、還元水ミストMとして対向電極19の方向へ発生する。
【0050】
しかしながら、放電電極10の先端部10aにおいて、静電霧化される水の一部が空気中の窒素分子を取り込んで硝酸分子となる際には、酸化作用を有するOHラジカルが同時に発生する。つまり、OHラジカルが、還元水ミストMに混入して対向電極19の方向に発生する。しかしながら、このようなOHラジカルは金属メッシュ16において除去される。つまり、金属メッシュ16がOHラジカルに酸化されることで、OHラジカルを除去する。
【0051】
尚、還元水ミスト発生装置1において対向電極19は必ずしも必須ではない。対向電極19が無くても放電電極10に高電圧が印加された際には、放電電極10において放電が生じるからである。この場合、放電電極65から、微粒子状態の水が、図示しない筐体方向などに向かって散布される。この場合、放電電極10に対して、微粒子状態の水が散布される方向の下流側に、金属メッシュ16が設けられていれば、金属メッシュ16に対して、微粒子状態の水が散布される方向の下流側では、OHラジカルが除去され、且つ、水素分子を大量に含んだ微粒子状態の水が、還元水ミストMとして発生する。
【0052】
図5は、本発明の一実施形態に係る還元水ミスト発生装置の要部構成の他の例を示す図である。尚、図5において、図1に示す還元水発生装置1と同一の要素は、図1に示す符号と同一の符号が付される。また、説明が省略される。
【0053】
図5に示す還元水ミスト発生装置1Aは、図1に示す還元水ミスト発生装置1と同様に、水素水ミストを還元水ミストMとしてミスト状に発生させることができる装置である。このような還元水ミスト発生装置1Aにおいて、OHラジカル除去部を有した対向電極19Aが、OHラジカルの発生方向の下流側(図5では放電電極10の上側)に設けられている。つまり、対向電極19Aが、OHラジカル除去部としての機能を兼ね備えている。尚、このような対向電極19Aの構造は、図2に示す金属メッシュ16と同じである。
【0054】
このような対向電極19Aにおいて、還元水ミストMに混入して対向電極19Aの方向へ発生したOHラジカルが除去される。このような還元水ミスト発生装置1Aによれば、対向電極19AがOHラジカル除去部を有しているので、部品点数が減るという効果が奏される。
【0055】
図6は、本発明の一実施形態に係る還元水ミスト発生方法の概要を示すフローチャートである。還元水ミスト発生装置1及び1Aは、以下のステップS1〜ステップS6に示す一連の手順により、水素水ミストを還元水ミストMとして発生させる。
【0056】
すなわち、還元水ミスト発生装置1及び1Aは、ペルチェ素子用電源17によりペルチェ素子11への通電を開始させる(ステップS1)。その結果、ペルチェ素子11の冷却面12において結露水を取得することができる(ステップS2)。ついで、冷却面12において取得された結露水を、毛細管現象などにより水供給管18を通じて汲み上げて放電電極10の先端部10aへと供給する(ステップS3)。
【0057】
ついで、高電圧印加部15により、放電電極10及び対向電極19へ高電圧を印加させ、放電電極10と対向電極19との間で電界を発生させる(ステップS4)。その結果、放電電極10の先端部10aへ供給された結露水が静電霧化される(ステップS5)。その結果、放電電極10の先端部10aから、微粒子状態とされた水が対向電極19の方向へ大量に発生する。
【0058】
ついで、放電電極10に対して、前記結露水が静電霧化される際に発生する硝酸分子と化学反応を起こさせて、水素分子を発生させる(ステップS6)。その結果、ステップS5の処理において発生した微粒子状態の水に水素分子が含まれた還元水ミストMが、対向電極19の方向へ発生する。
【0059】
また、硝酸分子と同時に発生するOHラジカルを金属メッシュ16において除去する(ステップS6)。その結果、還元水ミスト発生装置1及び1Aは、OHラジカルの含有量が極めて小さな水素水ミストを還元水ミストMとして発生させることができる。
【0060】
尚、本実施形態に係る還元水ミスト発生装置1及び1Aは、シャワーヘッド、美顔器、サウナスーツ、ヘアドライヤ、ヘアブラシ、ヘアアイロン、空気調和器、サウナ装置、ユニットバスなど、各種の物品に内蔵させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る還元水ミスト発生装置の要部構成の一例を示す図である。
【図2】金属メッシュの構造の一例を示す斜視図である。
【図3】テーラーコーンについて説明するための図である。
【図4】放電電極において水素分子が発生する仕組みを説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る還元水ミスト発生装置の要部構成の他の例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る還元水ミスト発生方法の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1,1A 還元水ミスト発生装置
10 放電電極
11 ペルチェ素子
12 冷却面
15 高電圧印加部
16 金属メッシュ
19,19A 対向電極
M 還元水ミスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝酸分子との間で起こる化学反応により水素分子を発生する金属元素からなる放電電極と、
前記放電電極へ水を供給する水供給部と、
前記放電電極へ高電圧を印加して電界を発生させて前記放電電極に供給された前記水を静電霧化させるための高電圧印加部と、
を備えており、
前記放電電極は、
前記高電圧印加部により印加された前記高電圧により前記電界を発生させて、前記放電電極に供給された前記水を静電霧化して、微粒子状態とされた水とする静電霧化機能と、 前記水が静電霧化される際に発生する前記硝酸分子との間で化学反応を起こして、前記水素分子を発生する水素分子発生機能と、を備えており、前記微粒子状態とされた水に前記水素分子を含む水素水ミストを還元水ミストとして発生させることを特徴とする還元水ミスト発生装置。
【請求項2】
前記放電電極が、水素よりもイオン化傾向が高い前記金属元素からなることを特徴とする請求項1に記載の還元水ミスト発生装置。
【請求項3】
前記放電電極が前記水を静電霧化する際に発生するOHラジカルを除去するOHラジカル除去部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の還元水ミスト発生装置。
【請求項4】
前記OHラジカル除去部が、メッシュ状のステンレス材で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の還元水ミスト発生装置。
【請求項5】
前記OHラジカル除去部が、空洞を有した複数の正六角柱が集合したハニカム構造とされているステンレス材で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の還元水ミスト発生装置。
【請求項6】
前記放電電極と対となって設けられた対向電極を備えており、
前記OHラジカル除去部を、前記対向電極に対して、前記OHラジカルの発生方向の下流側に備えることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の還元水ミスト発生装置。
【請求項7】
前記放電電極と対となって設けられ、且つ、前記放電電極に対して、前記OHラジカルの発生方向の下流側に前記OHラジカル除去部を有した対向電極を備えることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の還元水ミスト発生装置。
【請求項8】
硝酸分子との間で起こる化学反応により水素分子を発生する金属元素からなる放電電極へ水を供給する水供給ステップと、
前記放電電極へ高電圧を印加して電界を発生させて、前記放電電極に供給された前記水を静電霧化させて微粒子状態の水とする静電霧化ステップと、
前記水が静電霧化される際に発生する前記硝酸分子との間で化学反応を起こして前記水素分子を発生させ、前記微粒子状態とされた水に前記水素分子を含む水素水ミストを還元水ミストとして発生させる還元水ミスト発生ステップと、
を備えることを特徴とする還元水ミスト発生方法。
【請求項9】
前記放電電極が前記水を静電霧化する際に発生するOHラジカルを除去するOHラジカル除去ステップを備えることを特徴とする請求項8に記載の還元水ミスト発生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−82560(P2010−82560A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254969(P2008−254969)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】