説明

還元炉およびこれを含む鎔鉄製造装置

本発明は、鉄含有物装入装置を備えて、偏析の発生を防止する、還元炉およびこれを含む鎔鉄製造装置に関する。本発明の一実施例による還元炉は、鎔鉄の製造に使用する鉄含有物を還元する。還元炉は、i)鉄含有物が装入される装入口、ii)還元炉の内部に第1方向に向かって傾斜して固定されて、鉄含有物を還元炉の内部にガイドする第1誘導板、およびiii)還元炉の内部に第1方向と交差する第2方向に向かって傾斜して固定されて、第1誘導板によってガイドされて落下する鉄含有物をガイドする第2誘導板を含み、第1誘導板によってガイドされて落下する鉄含有物は、第2誘導板によってガイドされながらその落下方向が変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元炉およびこれを含む鎔鉄製造装置に関し、より詳しくは、鉄含有物装入装置を備えて、偏析の発生を防止する、還元炉およびこれを含む鎔鉄製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、鎔鉄製造方法として、高炉法に代替される溶融還元製鉄法が開発されている。溶融還元製鉄法では、燃料および還元剤として一般炭を直接使用し、鉄源として鉄鉱石を直接使用する。還元炉では、鉄鉱石を還元して還元鉄を製造し、溶融ガス化炉では、還元鉄を溶融して鎔鉄を製造する。溶融ガス化炉に一般炭を一定の大きさに成形した成形炭を供給し、酸素を吹き込んで成形炭を燃焼させることによって、還元鉄を溶融する。
【0003】
鉄鉱石は、還元炉に装入されて還元される。鉄鉱石は、別途の装置なく還元炉に直接装入されるので、還元炉の内部に均一に分散されない。したがって、還元炉の内部で偏析が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0711774号公報
【特許文献2】韓国公開特許第20−2000−0013338号公報
【特許文献3】米国特許第4525120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、偏析が発生せず、鉄含有物を均一に分布させることができる、装入装置を備えた還元炉を提供する。また、本発明は、前述した還元炉を含む鎔鉄製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例による還元炉は、鎔鉄の製造に使用する鉄含有物を還元する。還元炉は、i)鉄含有物が装入される装入口、ii)還元炉の内部に第1方向に向かって傾斜して固定されて、鉄含有物を還元炉の内部にガイドする第1誘導板、およびiii)還元炉の内部に第1方向と交差する第2方向に向かって傾斜して固定されて、第1誘導板によってガイドされて落下する鉄含有物をガイドする第2誘導板を含み、第1誘導板によってガイドされて落下する鉄含有物は、第2誘導板によってガイドされながらその落下方向が変更される。
【0007】
第1誘導板および第2誘導板は、それぞれ装入口と対向する。第1誘導板および第2誘導板からなる群より選択された一つ以上の誘導板は、アーチ型に形成される。還元炉の長さ方向に延びて還元炉の中心を通過する仮想線および第2誘導板は、互いに離隔して位置する。仮想線は第1誘導板と会う。第2誘導板の下側には凸部が形成され、凸部は仮想線に向かって凸状である。
【0008】
第1誘導板および第2誘導板が設置されたガイドチューブをさらに含み、ガイドチューブは、第1ガイドチューブ部、および第1ガイドチューブ部に連結されて、第1ガイドチューブ部と連通する第2ガイドチューブ部を含み、第1ガイドチューブ部の断面積は、鉄含有物の進行方向に沿って次第に減少する。
【0009】
第1ガイドチューブ部の断面積は、第2ガイドチューブ部の断面積以上である。第1誘導板は、アーチ型縁部を含み、アーチ型縁部は、第1ガイドチューブ部の内面に接する。
【0010】
第2誘導板は、第2ガイドチューブ部の内部を横切って設置される。第1誘導板は、第1ガイドチューブ部および第2ガイドチューブ部に設置される。第2ガイドチューブ部は、傾斜部を含み、傾斜部は、第2方向と実質的に同一な方向に傾斜する。傾斜部は、第2誘導板と実質的に平行である。第1方向は、第2誘導板の板面に向かう。第1方向および第2方向が成す角度は、60°乃至140°である。
【0011】
第1誘導板上に装入口に向かって突出した突出部材が形成されて、鉄含有物と接触する。突出部材は、第1傾斜面および第1傾斜面と会う第2傾斜面を含み、第1傾斜面および第2傾斜面は、第1誘導板に接する。第1傾斜面および第2傾斜面が会って形成される縁部の一端が第1誘導板に接する。
【0012】
第1方向は、還元炉の長さ方向に延びて還元炉の中心を通過する仮想線と20°乃至60°を成す。第2方向は、還元炉の長さ方向に延びて還元炉の中心を通過する仮想線と20°乃至60°を成す。
【0013】
鉄含有物は、部分還元された還元鉱または鉄鉱石を含む。
【0014】
また、本発明の一実施例による鎔鉄製造装置は、鉄含有物を還元して還元鉄を製造する還元炉、および還元炉に連結されて、還元鉄を装入して鎔鉄を製造する溶融ガス化炉を含む。還元炉は、i)鉄含有物が装入される装入口、ii)還元炉の内部に第1方向に向かって傾斜して固定されて、鉄含有物を還元炉の内部にガイドする第1誘導板、およびiii)還元炉の内部に第1方向と交差する第2方向に向かって傾斜して固定されて、第1誘導板によってガイドされて落下する鉄含有物をガイドする第2誘導板を含み、第1誘導板によってガイドされて落下する鉄含有物は、第2誘導板によってガイドされながらその落下方向が変更される。
【0015】
還元炉は、充填層型還元炉である。鉄含有物は、鉄鉱石を含む。鎔鉄製造装置は、充填層型還元炉に連結されて、充填層型還元炉に鉄含有物を供給する塊成体製造装置をさらに含み、鉄含有物は、塊成体製造装置によって塊成化される。
【0016】
鎔鉄製造装置は、塊成体製造装置に連結されて、鉄含有物を塊成体製造装置に供給する流動層型還元炉をさらに含み、流動層型還元炉は、鉄含有物を予備還元する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、還元炉の内部の高温環境にかかわらず、装入装置によって安定的に鉄含有物を装入することができ、鉄含有物を還元炉の内部に均一に分布させることができる。したがって、操業安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施例による鎔鉄製造装置の概略的な図面である。
【図2】図1のII部分を拡大して示した概略的な図面である。
【図3】図2の装入装置の斜視図である。
【図4】図2の装入装置を示した概略的な図面である。
【図5】本発明の第2実施例による鎔鉄製造装置の概略的な図面である。
【図6】本発明の実験例による還元炉の内部の鉄含有物の分布図である。
【図7】従来の技術の比較例による還元炉の内部の鉄含有物の分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付した図面を参照して、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例を説明する。後述する実施例は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に理解することができるように、本発明の概念および範囲を逸脱しない限度内で多様な形態に変更することができる。図面では、可能な限り、同一または類似する部分には同一な図面符号を付けて示した。
【0020】
以下で使用される技術用語および科学用語を含む全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一な意味を有する。通常使用される辞書に定義された用語は、関連技術文献および現在開示された内容に符合する意味を有するものと追加解釈され、定義されない限り、理想的であったり極めて公式的な意味に解釈されない。
【0021】
鉄含有物は、鉄そのものであったり、鉄を含む全ての物質である。例えば、鉄含有物は、副原料をさらに含むことができる。鉄含有物は、鉄鉱石を含む。また、鉄は、純鉄、酸化鉄、または還元鉄である。鉄含有物の粒度は制限されない。したがって、鉄含有物は、ペレット(pellet)、細粒鉄鉱石、粗粒鉄鉱石、および塊成体などを含む。
【0022】
還元炉は、鉄含有物を還元して製造する装置を意味する。還元炉は、流動層型還元炉または充填層型還元炉を含む。
【0023】
図1は、本発明の第1実施例による鎔鉄製造装置100を概略的に示した図面である。
【0024】
図1に示したように、鎔鉄製造装置100は、流動層型還元炉10、充填層型還元炉20、塊成体製造装置30、および溶融ガス化炉40を含む。
【0025】
鎔鉄製造装置100は、鉄鉱石および石炭を利用して鎔鉄を製造する。ここで、鉄鉱石としては、細粒鉄鉱石および粗粒鉄鉱石を利用する。細粒鉄鉱石は、粗粒鉄鉱石より粒度が小さい。例えば、細粒鉄鉱石の粒度は約8mmより小さく、粗粒鉄鉱石の粒度は約8mm以上である。細粒鉄鉱石は、流動層型還元炉10を通過しながら流動還元される。粗粒鉄鉱石は、充填層型還元炉20で還元される。
【0026】
流動層型還元炉10は、その内部に供給された鉄鉱石を流動させる。鉄鉱石としては細粒鉄鉱石を使用し、必要時には副原料を混合して使用する。流動層型還元炉10の内部には流動層が形成されて、鉄鉱石を還元させる。流動層型還元炉10は、第1流動還元炉12、第2流動還元炉14、第3流動還元炉16、および第4流動還元炉18を含む。図1には4個の流動還元炉を示したが、1個以上の流動還元炉を使用することができる。また、図1には流動還元炉を示したが、これは本発明を例示するためのものであり、本発明はこれに限定されない。したがって、他の種類の還元炉を使用することもできる。
【0027】
第1流動還元炉12は、第2流動還元炉14から排出される還元ガスによって鉄鉱石を予熱する。第2流動還元炉14および第3流動還元炉16は、予熱した鉄鉱石を予備還元する。そして、第4流動還元炉18は、予備還元した鉄鉱石を最終還元して、還元鉄に変換する。還元鉄は、塊成体製造装置30によって塊成体に製造される。
【0028】
塊成体製造装置30は、装入ホッパー32、一対のロール34、および破砕機36を含む。それ以外にも、塊成体製造装置30は、必要に応じて他の装置をさらに含むことができる。装入ホッパー32は、還元鉄を貯蔵する。一対のロール34は、装入ホッパー32から装入される還元鉄を圧着成形して、ストリップ形態の塊成体を製造する。塊成体は、破砕機36によって破砕されて、高温均排圧装置38に移送される。
【0029】
高温均排圧装置38は、その両端の間の圧力を調節して、塊成体を充填層型還元炉20に装入する。充填層型還元炉20には粗粒鉄鉱石も装入される。図1には、粗粒鉄鉱石を充填層型還元炉20に装入することを示したが、粗粒鉄鉱石を装入しなくてもよい。前述した塊成体および粗粒鉄鉱石は、充填層型還元炉20に同時に装入されてもよく、それぞれ交互に装入されてもよい。還元ガスは、還元ガス供給管43を通して充填層型還元炉20に供給される。充填層型還元炉20には充填層が形成されて、塊成体および粗粒鉄鉱石を含む鉄含有物を還元鉄に変換する。
【0030】
前述した還元鉄は、溶融ガス化炉40に装入される。一方、鉄含有物を溶融する熱源として、揮発分を含む塊状炭材を溶融ガス化炉40に装入する。塊状炭材としては、成形炭または塊炭を使用する。成形炭は、微粉炭を加圧成形して製造する。それ以外にも、必要に応じてコークスを溶融ガス化炉40に装入することもできる。
【0031】
塊状炭材は、溶融ガス化炉40に装入されて、石炭充填層を形成する。溶融ガス化炉40の内部には酸素(O)を吹き込む。酸素は、石炭充填層に吹き込まれて、燃焼帯を形成し、塊状炭材は、燃焼帯で燃焼されて、還元ガスを発生させる。還元ガスは、還元ガス供給管42、43を通してそれぞれ流動層型還元炉10および充填層型還元炉20に供給される。流動層型還元炉10および充填層型還元炉20は、還元ガスを利用して鉄鉱石を還元する。塊状炭材の燃焼によって還元鉄が溶融されると、鎔鉄が製造されて、外部に排出される。以下では、図1の充填層型還元炉20の内部構造についてより詳細に説明する。
【0032】
図2は、図1のII部分を拡大した断面構造を示した図面である。図2に点線で示した仮想線Cは、充填層型還元炉20の中心を通過して、充填層型還元炉20の長さ方向、つまりz軸方向に沿って延びている。
【0033】
図2に示したように、充填層型還元炉20は、装入口22および装入装置50を含む。鉄含有物は、装入口22を通して装入される。装入装置50は、充填層型還元炉20の内側に形成される。鉄含有物は、装入装置50の下部空間で還元される。
【0034】
装入口22は、充填層型還元炉20の上部方向に形成される。鉄含有物は、高温均排圧装置38(図1に図示)と連通する供給管39に沿って充填層型還元炉20に装入される。装入装置50は、落下する鉄含有物をガイドしてその落下方向を調整する。したがって、装入装置50は、充填層型還元炉20の内部の鉄含有物の分布を調節することができる。装入装置50は、第1誘導板52、第2誘導板54、およびガイドチューブ56を含む。
【0035】
第1誘導板52は、仮想線Cに会うように位置する。つまり、第1誘導板52は、充填層型還元炉20の中心に位置して、第1誘導板52の板面521が装入口22に対向する。第1誘導板52は、第1方向に沿って傾斜して、ガイドチューブ56に設置される。ここで、第1方向は、第1誘導板52が下部に延びた方向を意味する。第1誘導板52の板面521には突出部材522が形成される。突出部材522は、仮想線Cに会って、装入口22に向かって突出する。
【0036】
第2誘導板54は、第1誘導板52の下部に第1誘導板52と離隔して位置する。つまり、第2誘導板54は、仮想線Cと互いに離隔して位置して、第2誘導板54の板面541が装入口22に対向する。第2誘導板54は、第2方向に沿って傾斜する。ここで、第2方向は、第2誘導板54が下部に延びた方向を意味する。第2方向は、第1方向と交差するので、第1誘導板52および第2誘導板54は互いに異なる方向に向かう。
【0037】
ガイドチューブ56は、その内側で鉄含有物を案内する。ガイドチューブ56は、固定手段(図示せず)によって充填層型還元炉20の内部に固定される。第1誘導板52および第2誘導板54は、ガイドチューブ56の内側に設置される。ガイドチューブ56は、第1ガイドチューブ部561および第2ガイドチューブ部562を含む。
【0038】
第1ガイドチューブ部561は、装入口22の直下に位置して、鉄含有物の進行方向に沿ってその断面積が次第に減少する。つまり、第1ガイドチューブ部561をxy平面方向に切断した場合、第1ガイドチューブ部561の断面積は鉄含有物の進行方向に沿って減少する。したがって、供給管39を通して充填層型還元炉20に装入される鉄含有物は、第1ガイドチューブ部561によって集められて下部に落下する。
【0039】
第2ガイドチューブ部562は、第1ガイドチューブ部561と連通して、第1ガイドチューブ部561の下部に位置する。したがって、第2ガイドチューブ部562は、第1ガイドチューブ部561の断面積が最小である部分で第1ガイドチューブ部561に接する。したがって、第1ガイドチューブ部561の断面積は、第2ガイドチューブ部562の断面積以上である。その結果、第1ガイドチューブ部561によって集められた鉄含有物は、第2ガイドチューブ部562によって拡散されずに、落下口24側に矢印で示したように円滑に装入される。
【0040】
第2ガイドチューブ部562は、傾斜部562aを含む。傾斜部562aは、落下口24に向かうので、鉄含有物をガイドして落下口24に鉄含有物を装入する。傾斜部562aは、第2誘導板54と離隔して、前述した第2方向と実質的に同一な方向に傾斜する。したがって、第2誘導板54によって案内される鉄含有物の落下方向と同一な方向に傾斜部562aを利用して鉄含有物を落下させることができるので、鉄含有物が互いに衝突せずに、円滑に落下する。
【0041】
図3は、図2の装入装置50を立体的に示した斜視図である。図3は、装入口22側から装入装置50の内部を見た状態を示した図面である。
【0042】
図3に示したように、第1誘導板52は、第1ガイドチューブ部561および第2ガイドチューブ部562にわたって形成される。つまり、第1誘導板52の上部は第1ガイドチューブ部561に位置するが、第1誘導板52の下部は第2ガイドチューブ部562に位置する。第1誘導板52は、アーチ型縁部523を含む。縁部523は、第1ガイドチューブ56の内面形状に対応するアーチ型に形成される。したがって、第1誘導板52は、ガイドチューブ56の内面に密着して設置される。その結果、鉄含有物が第1誘導板52およびガイドチューブ56の内面の間に漏出しない。縁部523に対向する他の縁部525は、ガイドチューブ56の中心に対して凹状である。
【0043】
図3に示したように、突出部材522は、第1誘導板52上に設置されて、装入口22を通して装入される鉄含有物と衝突する。突出部材522は、複数の傾斜面522a、522bを含む。複数の傾斜面522a、522bは、第1傾斜面522aおよび第2傾斜面522bを含む。第1傾斜面522aおよび第2傾斜面522bは、第1誘導板52に接する。したがって、突出部材522および第1誘導板52の間を鉄含有物が通過しない。第1傾斜面522aおよび第2傾斜面522bが会って形成される縁部5221の一端5221aは、第1誘導板52に接するので、落下する鉄含有物が突出部材522および第1誘導板52の間を通過しない。
【0044】
図3に示したように、第2誘導板54は、第2ガイドチューブ部562に設置される。第2誘導板54は、第2ガイドチューブ部562の内部を横切って設置される。第2誘導板54の両側縁は、第2ガイドチューブ部562に固定される。第2誘導板54は、凸部542を含む。凸部542は、第2誘導板54の下部に形成される。したがって、鉄含有物は、凸部542を通過しながら凸部542の両側に拡散して落下するので、鉄含有物は、凸部542によって均一に分散される。
【0045】
傾斜部562aは、第2誘導板54と互いに離隔する。したがって、傾斜部562aおよび第2誘導板54の間には空間が形成される。第1誘導板52に沿ってガイドされた鉄含有物のうちの一部は、傾斜部562aおよび第2誘導板54の間に形成された空間を通して落下し、残りの鉄含有物は、第2誘導板54に沿って落下する。
【0046】
図4は、図2の装入装置50を拡大して示した図面である。図4で、実線の矢印は前述した第1方向を示し、点線の矢印は前述した第2方向を示す。
【0047】
図4に示したように、第1誘導板52および第2誘導板54は、仮想線Cとそれぞれ角度θおよび角度θを形成する。ここで、角度θは20°乃至60°である。角度θが20°未満である場合には、鉄含有物が第2誘導板54に接触せずに、第1誘導板52のみに接触した後で落下する。角度θが60°を超える場合には、鉄含有物が落下することができずに、第1誘導板52上に堆積する。そして、角度θが20°未満である場合には、鉄含有物が第2誘導板54にうまく接触せずに、鉄含有物の方向がほとんど変更されない。また、角度θが60°を超える場合には、鉄含有物が落下することができずに、第1誘導板52および第2誘導板54の間に堆積される。また、角度θおよび角度θが60°を超える場合には、鉄含有物の落下速度が減少して、鉄含有物の円滑な投入が難しく、工程時間を遅延させる。
【0048】
一方、図4に示したように、第1方向および第2方向は角度θを形成する。ここで、角度θは60°乃至140°である。角度θが60°未満である場合には、鉄含有物が第1誘導板52から第2誘導板54にガイドされながら落下速度が急激に減少する。したがって、鉄含有物が第1誘導板52および第2誘導板54の間に堆積される。また、角度θが140°を超える場合には、鉄含有物の進行方向がほとんど変更されない。したがって、鉄含有物を充填層型還元炉20(図1に図示)の内部に均一に分布させることができない。
【0049】
図4に示したように、鉄含有物は、落下しながら第1誘導板52および第2誘導板54によって進行方向が変更される。鉄含有物は、第1誘導板52によって第1方向に沿ってガイドされ、第2誘導板54によって第2方向に沿ってガイドされる。したがって、第1方向および第2方向を調節して、鉄含有物を所望の方向に落下させることができる。
【0050】
突出部材522は、第1誘導板52の中央に偏って落下する鉄含有物を第1誘導板52の左右に分散させる。したがって、鉄含有物は、第1誘導板52を通過しながら偏析を解消する。次に、鉄含有物は、第2誘導板54によってガイドされて、凸部542によって第2誘導板54の左右に再度分散される。したがって、第2誘導板54を通過しながら偏析が解消された鉄含有物は、落下口24(図2に図示)に向かって均等に拡散して落下する。
【0051】
図5は、本発明の第2実施例による鎔鉄製造装置200を示した図面である。図5に示した鎔鉄製造装置200は、図1に示した鎔鉄製造装置100と類似するので、同一な部分には同一な図面符号を付け、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図5に図示したように、鎔鉄製造装置200は、一つの充填層型還元炉20を含む。充填層型還元炉20には鉄鉱石が装入され、溶融ガス化炉40で生成された還元ガスが還元ガス供給管43を通して充填層型還元炉20に供給される。
【0053】
したがって、充填層型還元炉20は、還元ガスによって鉄鉱石を還元鉄に変換する。還元鉄は、溶融ガス化炉40に装入されて、塊状炭材によって形成された石炭充填層によって溶融される。したがって、溶融ガス化炉40で鎔鉄を製造することができる。ここで、充填層型還元炉20は、前述した装入装置50(図2に図示)を含むことができる。
【0054】
以下、実験例を通して本発明をより詳細に説明する。このような実験例は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明はこれに限定されない。
【0055】
実験例
図2の充填層型還元炉に還元鉄を装入して、充填層型還元炉の内部に積み重ねられた還元鉄の分布を測定した。充填層型還元炉の中心を原点に設定して、原点を基準に全方向にわたって分散した還元鉄の分布をグラフで示した。
【0056】
実験例の実験結果
図6は、実験例による還元鉄の落下分布を示した図面である。図6の円は充填層型還元炉の内部断面を示す。図6で太線で表示された領域は20mm以上の粒度を有する還元鉄が分布した領域を示し、細線で表示された領域は20mm未満の粒度を有する還元鉄が分布した領域を示した。
【0057】
図6に示したように、還元鉄は、原点を中心にして充填層型還元炉の内部に上下左右に均一に分散して分布した。つまり、還元鉄は、特定の方向に偏って分布せず、偏析が発生しなかった。還元鉄は、その粒度に関係なく、落下口の中心を基準に均一に分布した。
【0058】
比較例
装入装置を備えていない従来の充填層型還元炉に還元鉄を装入して、充填層型還元炉の内部に積み重ねられた還元鉄の分布を測定した。充填層型還元炉の中心を原点に設定して、原点を基準に全方向にわたって分散した還元鉄の分布をグラフで示した。
【0059】
比較例の実験結果
図7は、比較例による還元鉄の落下分布を示した図面である。図7の円は充填層型還元炉の内部断面を示す。図7で太線で表示された領域は20mm以上の粒度を有する還元鉄が分布した領域を示し、細線で表示された領域は20mm未満の粒度を有する還元鉄が分布した領域を示した。
【0060】
図7に示したように、還元鉄は、原点を中心にして一側に偏って分布した。つまり、粒度が20mm以上である還元鉄は、充填層型還元炉の左側上部に偏って分布した。そして、粒度が20mm未満である還元鉄は、充填層型還元炉の右側下部に偏って分布した。このように、還元鉄は、原点を基準に一側に偏って分布した。特に、還元鉄は、粒度に応じて原点を基準に互いに対向する方向に分布した。
【0061】
前述した実験例のように、充填層型還元炉に装入装置を設置した場合には、還元鉄を均一に分布させることができ、偏析が発生しなかった。還元鉄が充填層型還元炉の内部に均一に分布する場合、充填層型還元炉内の還元ガスの流れが均一になるので、還元鉄の再還元率を大きく向上させることができる。反面、比較例のように、充填層型還元炉に装入装置を設置しない場合には、還元鉄が不規則に分布した。したがって、偏析が解消されず、還元鉄の再還元率を向上させることができない。
【0062】
本発明を前記の記載によって説明したが、本発明は、特許請求の範囲の概念及び範囲を逸脱しない限り、多様な修正及び変形が可能であることが、本発明が属する技術分野の当業者には簡単に理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎔鉄の製造に使用する鉄含有物を還元する還元炉であって、
前記鉄含有物が装入される装入口、
前記還元炉の内部に第1方向に向かって傾斜して固定されて、前記鉄含有物を前記還元炉の内部にガイドする第1誘導板、および
前記還元炉の内部に前記第1方向と交差する第2方向に向かって傾斜して固定されて、前記第1誘導板によってガイドされて落下する前記鉄含有物をガイドする第2誘導板を含み、
前記第1誘導板によってガイドされて落下する鉄含有物は、前記第2誘導板によってガイドされながらその落下方向が変更される、還元炉。
【請求項2】
前記第1誘導板および前記第2誘導板は、それぞれ前記装入口と対向する、請求項1に記載の還元炉。
【請求項3】
前記第1誘導板および前記第2誘導板からなる群より選択された一つ以上の誘導板は、アーチ型に形成される、請求項2に記載の還元炉。
【請求項4】
前記還元炉の長さ方向に延びて前記還元炉の中心を通過する仮想線および前記第2誘導板は、互いに離隔して位置する、請求項1に記載の還元炉。
【請求項5】
前記仮想線は、前記第1誘導板に会う、請求項4に記載の還元炉。
【請求項6】
前記第2誘導板の下側には凸部が形成され、前記凸部は前記仮想線に向かって凸状である、請求項4に記載の還元炉。
【請求項7】
前記第1誘導板および前記第2誘導板が設置されたガイドチューブをさらに含み、
前記ガイドチューブは、
第1ガイドチューブ部、および
前記第1ガイドチューブ部に連結されて、前記第1ガイドチューブ部と連通する第2ガイドチューブ部を含み、
前記第1ガイドチューブ部の断面積は、前記鉄含有物の進行方向に沿って次第に減少する、請求項1に記載の還元炉。
【請求項8】
前記第1ガイドチューブ部の断面積は、前記第2ガイドチューブ部の断面積以上である、請求項7に記載の還元炉。
【請求項9】
前記第1誘導板は、アーチ型縁部を含み、前記アーチ型縁部は、前記第1ガイドチューブ部の内面に会う、請求項7に記載の還元炉。
【請求項10】
前記第2誘導板は、前記第2ガイドチューブ部の内部を横切って設置される、請求項7に記載の還元炉。
【請求項11】
前記第1誘導板は、前記第1ガイドチューブ部および前記第2ガイドチューブ部に設置される、請求項7に記載の還元炉。
【請求項12】
前記第2ガイドチューブ部は、傾斜部を含み、前記傾斜部は、前記第2方向と実質的に同一な方向に傾斜する、請求項7に記載の還元炉。
【請求項13】
前記傾斜部は、前記第2誘導板と実質的に平行である、請求項12に記載の還元炉。
【請求項14】
前記第1方向は、前記第2誘導板の板面に向かう、請求項1に記載の還元炉。
【請求項15】
前記第1方向および前記第2方向が成す角度は、60°乃至140°である、請求項1に記載の還元炉。
【請求項16】
前記第1誘導板上に前記装入口に向かって突出した突出部材が形成されて、前記鉄含有物と接触する、請求項1に記載の還元炉。
【請求項17】
前記突出部材は、第1傾斜面および前記第1傾斜面に会う第2傾斜面を含み、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記第1誘導板に接する、請求項16に記載の還元炉。
【請求項18】
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面が会って形成される縁部の一端が前記第1誘導板に接する、請求項17に記載の還元炉。
【請求項19】
前記第1方向は、前記還元炉の長さ方向に延びて前記還元炉の中心を通過する仮想線と20°乃至60°を成す、請求項1に記載の還元炉。
【請求項20】
前記第2方向は、前記還元炉の長さ方向に延びて前記還元炉の中心を通過する仮想線と20°乃至60°を成す、請求項1に記載の還元炉。
【請求項21】
前記鉄含有物は、部分還元された還元鉱または鉄鉱石を含む、請求項1に記載の還元炉。
【請求項22】
鉄含有物を還元して還元鉄を製造する還元炉、および
前記還元炉に連結されて、前記還元鉄を装入して鎔鉄を製造する溶融ガス化炉を含む鎔鉄製造装置であって、
前記還元炉は、
前記鉄含有物が装入される装入口、
前記還元炉の内部に第1方向に向かって傾斜して固定されて、前記鉄含有物を前記還元炉の内部にガイドする第1誘導板、および
前記還元炉の内部に前記第1方向と交差する第2方向に向かって傾斜して固定されて、前記第1誘導板によってガイドされて落下する前記鉄含有物をガイドする第2誘導板を含み、
前記第1誘導板によってガイドされて落下する鉄含有物は、前記第2誘導板によってガイドされながらその落下方向が変更される、鎔鉄製造装置。
【請求項23】
前記還元炉は、充填層型還元炉である、請求項22に記載の鎔鉄製造装置。
【請求項24】
前記鉄含有物は、鉄鉱石を含む、請求項23に記載の鎔鉄製造装置。
【請求項25】
前記充填層型還元炉に連結されて、前記充填層型還元炉に前記鉄含有物を供給する塊成体製造装置をさらに含み、
前記鉄含有物は、前記塊成体製造装置によって塊成化される、請求項23に記載の鎔鉄製造装置。
【請求項26】
前記塊成体製造装置に連結されて、前記鉄含有物を前記塊成体製造装置に供給する流動層型還元炉をさらに含み、前記流動層型還元炉は、前記鉄含有物を予備還元する、請求項25に記載の鎔鉄製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−508074(P2011−508074A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539298(P2010−539298)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007510
【国際公開番号】WO2009/082125
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(592000691)ポスコ (130)
【Fターム(参考)】