説明

部品の非破壊検査のための装置

部品、特に航空機エンジンファン用のブレード根元の表面または深さが浅いところでの欠陥を検出するための渦電流探傷検査。装置は、ハンドル(27)の端部にヒンジ取付けされ、かつセンサ(21)を含むプローブ(20)と、基準面(31)を有するガイド(29)と、ハンドルの軸線に平行なガイドの位置を調節するための手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の非破壊検査のための装置に関し、装置は、走査されるべき部分の上方にセンサを移動させることによって作動する。本発明は、特に、部品の表面に、またはその中の深さが浅いところに存在し、または現れる可能性のあるクラック(特に小さなクラック)などの欠陥を検出するのに使用されるような渦電流探傷検査に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、航空機エンジンのファンにおけるブレードの根元の検査に最も特に適用される。
【0003】
遠心力の影響を受けるファンでは、ブレード根元は、数トン程度の高いレベルの応力を受ける。疲労に最も曝される部分は、各ブレード根元と、根元が取り付けられるロータホイールのスロットの側方スプラインとの間の接触ゾーンである。
【0004】
ある種の非破壊検査、たとえば超音波探傷、とりわけ渦電流探傷検査は、このタイプの欠陥を検出するのに適していることが知られている。
【0005】
このような非破壊検査を行う場合、使用されることになる現象を明らかにするセンサ(たとえば、部品が金属で作られる場合には、渦電流検出のために交流が供給される単純コイル)を収容するプローブは、検査するためのゾーンの表面の上方に移動される必要がある。クラックの上方にセンサを移動させると、受信される信号に著しい外乱を生じさせ、その外乱は、たとえばオシロスコープによって見られ得る。検査のための表面が徹底的にかつうまく走査されることを確実にするために、部品に対してプローブによって追従される経路にわたって良好な制御をすることが必要である。各経路に沿って、スキャニングが、数ミリメートルの幅を有するストリップの上方に適切に行われることが受け入れられている。したがって、一定のゾーンを走査するために、最良の手順は、上述のストリップの幅よりも小さい所与の距離のより間隔を置いて配置される複数の並行経路を描いて進むことであり、前記距離は、各スリップの間で十分なオーバーラップを確保するように選択される。
【0006】
例示として、従来のファンのブレード根元の場合には、検査のための略長方形の表面が、ブレード根元の全長にわたって、かつ約1センチメートルの幅にわたって延在する。したがって、互いから偏位している複数の並行経路、たとえば、ブレード根元の全長にわたって延在する6つの並行経路を画定することが必要である。ブレードの破壊の結果は、非常に過酷であるので、破壊の原因となることもある最も僅かなクラックの発生を検出するために、ブレード根元は、メインテナンス作業中に常に検査されることを確実にすることが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今まで、このタイプの検査は、検査のための表面が走査されている段階を通して、センサが検査のための表面に対して正確に直角であることも保証しながら、経路を正確に画定することができる自動機器を必要としてきた。このような機器は、高価であり、メインテナンスユニットすべてに取り付けることはできない。そういうわけで、最も装備の薄いメインテナンスユニットの場合でさえ、良好な信頼性のあるこのタイプの検査を行うのに適切な、簡単で良好な性能を有するマニュアルシステムを開発しようとする試みが行われている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により、この目的が達成できるようになる。
【0009】
より詳細には、本発明は、走査されるべき部分の上方にセンサを移動させることによって部品を非破壊検査するための装置であって、ハンドルの端部にヒンジ取付けされ、このようなセンサを含むプローブと、基準面を有するガイドと、前記ハンドルの軸線に平行な方向に前記ガイドの位置を調節するための手段とを備えることを特徴とする装置を提供する。
【0010】
したがって、プローブに対して制御された方法でガイドを移動させることができるということにより、部品自体の共通の案内面に当接することによって、異なる並行経路を画定することができる。
【0011】
上で述べたように、センサは、金属部品を検査するために、渦電流センサであることが有利である。
【0012】
さらに、ブレード根元を検査する特定の環境の場合、プローブの案内を容易にし、さまざまな経路を画定するように、その一定の輪郭を利用することが有利である。
【0013】
換言すれば、ガイドおよびプローブは、ブレード根元の内側半径方向表面、および前記ブレード根元の隣接する外側半径方向表面と接触するようにそれぞれ形成される。
【0014】
有利な特徴によれば、ガイドの一般的な形状は、前記プローブが現れる前記ハンドルと同軸のスリーブの形状である。
【0015】
適切にプローブの位置を適応させるために、かつ特にセンサが走査されるべき表面に対して常に実質的に直角であることを確実にするために、装置は、有利には、前記プローブが、前記ハンドルの軸線に直角な軸線を中心に枢動することができるために支持体にヒンジ取付けされ、支持体が、前記ハンドルの一端でスリーブに取り付けられることを特徴とする。
【0016】
他の有利な特徴によれば、ハンドルは、前記スリーブに固定されるナットがその上に取り付けられるねじ部を含む。ねじ部は、管状であってもよい。前記管状ねじ部の内壁は、スリーブの中に突出しかつプローブのために前記支持体の一部を構成する管で裏打ちされることが有利である。
【0017】
他の有利な特徴によれば、前記管は、電線を通過させるためのダクトを構成し、前記電線は、前記プローブのセンサに接続される。
【0018】
単に例示として与えられ、添付の図面を参照して行われる、本発明の原理による非破壊検査装置の次の説明を考慮に入れて、本発明はよりよく理解されることができ、本発明の他の利点がより明確に現れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】検査されるべきブレード根元の斜視図である。
【図2】本発明による検査装置の斜視図である。
【図3】半回転により回転させた後の図2のガイドを示す図である。
【図4】図2の装置の長手方向断面図である。
【図5】検査動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図示されたタイプのブレード根元11に関しては、ファンホイールのスロットにおいてブレードを保持するための2つの直線側方スプライン12および13を見ることができる。各スプラインは、外側半径方向傾斜面15および内側半径方向傾斜面17を有する。表面15は、遠心力の影響を受けてロータホイールのスロットの対応する側方スプライン(図示せず)と接触しているので、より多く露出されている。有利な特徴によれば、隣接する表面17は、簡単な設計のプローブを用いながら、手動検査用の案内面として役立てることができる。
【0021】
したがって、検査のための部分は、ブレード根元の全長にわたって延在するある一定の幅の長方形の形をとっている。
【0022】
従来の渦電流探傷検査が、この例で行われる。交番信号が供給されるコイル(センサ)を含むプローブは、検査のためのゾーンの画定される経路に沿って、この例では手で移動されることが想起される。信号は、たとえば鋼やチタンで作られる金属部品に渦電流を発生させる。部品とプローブとの間の相対的移動中に監視される信号は、センサが均一な表面の上方を移動している限りは、幾分安定した位置を有する光点の形でオシロスコープによって見られる。センサが不均一部(識別可能の、または下層のクラック)の上を通過する場合、点は、経路での渦電流の急激な変化のために突然動く。この動きが、クラックの存在を示す。
【0023】
説明した例では、プローブによって追従される各経路25が、小幅のストリップを検査する働きをすること、およびスキャニングのための前記ゾーンが、所定の距離だけ間隔を置いて配置される6つの固定された並行経路を画定することによって効果的に検査され得ることが分かっていることが想起され、走査されるストリップの間のオーバーラップは、任意のクラックが検出されることを保証する働きをする。
【0024】
検査が効果的であり信頼性のあることを確実にするために、ハンドル27の端部でヒンジ式に取り付けられる渦電流センサ21を含むプローブ20を備える非破壊検査装置が、開発されている。さらに、ハンドルは、基準面31を有するガイド29と関連している。より正確には、前記ガイド29は、全体として、前記プローブが現れる前記ハンドルに対して同軸であるスリーブの形をとっている。スリーブの一方の端部は、前記基準面31を構成する環状前面を有する。例では、この基準面は、スリーブの拡大されたカラーの端部において画定される。
【0025】
また、装置は、前記スリーブの軸線Xに平行な方向に前記ガイドの位置を調節する手段も含んでいる。
【0026】
図示のように、プローブ20は、支持体32に取り付けられる。より正確には、これは、前記ハンドルの軸線Xに直角である軸線Yを中心に枢動するように取り付けられる。支持体32は、ハンドル27の一端でスリーブに取り付けられる。ガイド29を形成するスリーブは、ハンドル27に対して、したがってプローブ20に対して移動できる。この目的のために、ハンドルは、ガイド29に固定されるナットがその上に取り付けられているねじ部35を含む。
【0027】
ねじ部35は、電線を通過させるために管状である。管状ねじ部の内壁は、スリーブの中に突出しかつプローブの支持体32の一部を構成する管39で裏打ちされることが有利である。管は、プローブ20のセンサ21に接続される電線41を通過させるためのダクトを構成する。他方の端部では、管39は、ハンドルの軸線方向キャビティ43の中に開いており、電線は、ハンドル27の後端に位置しているコネクタ45の端子に接続される。処理後、信号は、オシロスコープ(図示せず)によって表示され得る。
【0028】
ガイド29を形成するスリーブは、ハンドル27の円筒形部分と重なり合う後部スカート47を有することを見ることができる。その結果として、ハンドルをねじ込むかまたは外す方向に回すと、基準面31に対してプローブ20の位置の調節がもたらされ、これは、ハンドルに面するスカート47の端部の移動によって容易に測定され得る。したがって、検査中の表面全体を走査することができる6つの並行経路を画定するために、ねじピッチは、スリーブを半回転により回転させることによって、ある経路から別の経路に変化するように決定される。したがって、スリーブは、2つの対角線上反対側の線49および線50を有する。線49のうちの1つは、奇数経路1、3、および5に対応するが、他方の線50は、偶数経路2、4、および6に対応する。さらに、ハンドルは、線51と、6つの軌跡に対応する6つの平行な円形マーク53とを含む。ある軌道から別の軌跡へ進むために、スリーブを半回転により回転させれば足り、それの後縁は、1つの円形マークから次の円形マークへ進む。
【0029】
管39の狭くされた前方部分は、2つの対向する分岐55を有するプローブのピボット要素を受け入れ、この対向する分岐55は、一種のフォークを形成し、プローブが枢動するように拘束されるピボット軸線Yを画定する。この前方部分は、プローブが検査のための表面に適切に配置されることを確実にする傾斜面ファセットを有する。この位置では、センサを構成するコイル21は検査のための表面に実質的に直角なその軸線を有することが確実である。前記基準面31を構成する前面がブレード根元の表面17と接触しているとき、この場合、プローブは、ブレード根元の表面15と接触しており、その結果所望の配向を有する。各経路については、検査は、ブレード根元の中間から開始し、かつ一方の端部に向かって、次いで他方の端部に向かって進む2つの経路で行われることが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査されるべき部分の上方にセンサ(21)を移動させることによって部品を非破壊検査するための装置であって、ハンドル(27)の端部にヒンジ取付けされ、このようなセンサ(21)を含むプローブ(20)と、基準面(31)を有するガイド(29)と、前記ハンドルの軸線(X)に平行な方向に前記ガイドの位置を調節するための手段とを備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ガイド(29)が、全体として、前記プローブが現れる前記ハンドル(27)と同軸であるスリーブの形をとっており、スリーブの一端が、前記基準面(31)を構成する環状前面を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プローブが、前記ハンドルの軸線(X)に直角な軸線(Y)を中心に枢動することができるために、支持体(32)にヒンジ取付けされ、前記支持体が、前記ハンドルの一端でスリーブに取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハンドル(27)が、前記スリーブに固定されるナット(37)がその上に取り付けられているねじ部(35)を含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記ねじ部(35)が、管状であることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記管状ねじ部の内壁が、スリーブの中に突出しかつ前記支持体の一部を構成する管(39)で裏打ちされることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記管(39)が、電線(41)を通過させるためのダクトを構成し、前記電線が、前記プローブのセンサ(21)に接続されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記センサが、渦電流センサであることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
ガイド(29)およびプローブ(20)が、ブレード根元の内側半径方向表面(17)、および前記ブレード根元の隣接する外側半径方向表面(15)と接触するようにそれぞれ形成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−531610(P2012−531610A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518109(P2012−518109)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051124
【国際公開番号】WO2011/001056
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【Fターム(参考)】