説明

部品トレーおよび部品トレーの共通化方法

【課題】複数種類の部品の収容が可能であると共に、部品の収容保持性に優れ、部品の収容密度を高めることが可能な、部品トレーを供給し、当該部品トレーにより、部品トレーの共通化を図る。
【解決手段】1本の棒状部材からなる部品、または、複数本の棒状部材を略平行に所定間隔で連結部材によって連結一体化した部品、部品1cを収容する部品トレー2において、部品トレーに収容凹部を設け、収容凹部を、棒状部材11が収容される棒状凹部21、21が前記所定間隔で平行に連設されると共に、連設される棒状凹部の間が、前記連結部材を収容可能に形成された連結凹部22,22により連絡するようにされて、連設された棒状凹部と連結凹部とにより串ざし形状の収容凹部となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の搬送などに使用する部品トレーに関する。特に、棒状部材を有する部品を収容可能に形成される部品トレーおよびそのような部品トレーを共通化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種部品の搬送および梱包・収納・保管に際し、部品トレーが用いられている。部品トレーとしては、収容したい姿勢での部品形状に合致させた形状の収容凹所(凹部)を、部品トレー上に複数個並べて設けた部品トレーが代表的に用いられる。このような部品トレーを用いると、部品を整列状態で並べて収容でき、部品の取扱い性がよくなる上に、部品数の管理にも都合がよくなり、また、部品の破損防止にも効果的である。
【0003】
これら部品トレーは、もっぱら、個々の部品形状に対応した専用品として製造され、使用されるものであるので、部品の種類が増えると、専用品である部品トレーの種類も増えてしまい、部品トレーのコストが増大すると共に部品トレー管理も煩雑となってその管理コストも増加する。
【0004】
そのため、部品トレーを共用化・共通化する技術的試みが行われている。例えば、特許文献1には、搬送用トレーの内側に、部品形状に対応する形状の収納凹部を複数個設けた専用の包装用トレーを配置し、包装用トレーを取り出し自在に構成し、包装用トレーを部品の種類に応じて交換可能にして、搬送用トレーを共用化する技術が開示されている。
また、特許文献2には、部品トレーの部品収容凹所を、大きさの異なる部品であっても収容可能なような形態の収容凹所として、部品種類に関わらず部品トレーを共用化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−336274号公報
【特許文献2】特開昭63−012485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術においては、搬送トレーについては共用化が図れるものの、その内側の包装用トレーは個々の部品種類ごとに専用の物が必要となるため、部品トレー共用化の効果は限定的であった。
【0007】
一方で、特許文献2のように、部品トレーにおける収容凹所を大きな部品にあわせて作ると共に、小さな部品も当該凹所に収容可能として、大小の部品の間で部品トレーの共用化を図る技術においては、小さな部品を収容する場合、部品の収容保持が的確に行われずに、収容凹所内で部品が動いてしまって搬送時に部品が脱落するといったおそれがあるほか、部品を部品トレーに並べる密度が低くなってしまい、部品搬送や収納の密度が低くなってしまい効率が低下するという課題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、複数種類の部品の収容が可能であると共に、部品の収容保持性に優れ、部品の収容密度を高めることが可能な、部品トレーを供給し、当該部品トレーにより、部品トレーの共通化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、鋭意検討の結果、棒状部材が連結された形態の一連の部品については、部品トレーに多数の棒状凹部が連結された串ざし形状の収容凹部を設けることによって、それぞれの部品において棒状部材が何個連結されたものであるかには関わりなく、多種類の部品が収容凹所に収容可能となることを知見し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、1本の棒状部材からなる部品、または、複数本の棒状部材を略平行に所定間隔で連結部材によって連結一体化した部品を収容する部品トレーであって、部品トレーには、棒状部材が収容される棒状凹部が前記所定間隔で平行に連設されると共に、連設される棒状凹部の間が、前記連結部材を収容可能に形成された連結凹部により連絡するようにされて、連設された棒状凹部と連結凹部とにより串ざし形状の収容凹部が形成された部品トレーである(第1発明)。
本発明において、部品トレーには収容凹部を複数個設けることができる。
【0011】
また、本発明は、1本の棒状部材からなる部品、または、複数本の棒状部材を略平行に所定間隔で連結部材によって連結一体化した部品を収容する部品トレーの共通化方法であって、部品トレーを、棒状凹部が前記所定間隔で平行に連設されると共に、連設される棒状凹部の間が、連結凹部により連絡するようにされて、連設された棒状凹部と連結凹部とにより串ざし形状の収容凹部が形成された部品トレーとして、棒状部材を棒状凹部に収容し、連結部材を連結凹部に収容することにより、複数種類の部品を1種類の部品トレーで収容する、部品トレーの共通化方法である(第2発明)。
【発明の効果】
【0012】
本発明の部品トレー(第1発明)や本発明の部品トレーの共通化方法(第2発明)によれば、互いに共通する棒状部品を有する部品であれば、棒状部品が連結された個数に関わりなく、複数種類の部品を、1種類の部品トレーで収容可能であり、部品トレーの共通化ができる。
【0013】
また、部品は、収容凹部内に的確に収容保持されて、搬送時などに収容凹部内で移動することが抑制可能である。また、棒状部材の数が少ない部品であれば、部品を詰めて配置し、収容することにより、部品の収容密度を高めることができ、従来技術のように部品が小さい場合に部品の収容配置がまばらとなって収容密度が低下してしまうことが防止可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】部品トレーに収容されるコネクタ部材の形状例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の部品トレーの形状を示す正面図である。
【図3】図2におけるX−X断面およびY−Y断面を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態の部品トレーに1本の棒状部材からなる部品を配置し収容した使用例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態の部品トレーに3本の棒状部材を有する部品を配置し収容した使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。
【0016】
まず、本実施形態の部品トレーに収容される部品について説明する。本実施形態における部品はゴムチューブを接続するための中空管状のチューブコネクタ(管継手)である。図1に代表的なコネクタ部品の形状を例示する。図1(a)に示すコネクタ部品1aは、中空管状に形成された棒状の部材11からなる。コネクタ部品1aは一対のゴムチューブ(図示せず)を棒状部材11の両端部に外挿して、一対のチューブを接続する用途に使用する。棒状部材11の両端部には、環状の突条が形成され、これら突条は、ゴムチューブの抜け止めやシール性に寄与する。
【0017】
図1(b)に示すコネクタ部品1bは、2本の前記棒状部材11、11を所定の間隔を隔てて平行に並べ、棒状部材の間を板状の連結部材12で連結し一体化した形状のコネクタ部品である。コネクタ部品1bは、2対のゴムチューブをそれぞれ接続可能である。
【0018】
さらに、図1(c)には、3本の前記棒状部材11,11が2つの連結部材12,12で連結された形状のコネクタ部品1cが示されている。コネクタ部品1cの3本の棒状部材11,11は、ほぼ1つの平面内に配置されている。コネクタ部品1cによれば、3対のゴムチューブをそれぞれ接続可能である。
【0019】
コネクタ部品1bやコネクタ部品1cにおける棒状部材の間隔は、これら部品の間で略同等にされることが好ましく、棒状部材長さ方向における連結部材の位置は、コネクタ部品1bやコネクタ部品1cで共通にされることが好ましい。
【0020】
コネクタ部品1aないしコネクタ部品1cは、例えば、合成樹脂の射出成形などにより製造される。
【0021】
本実施形態の部品トレー2は、熱可塑性樹脂(例えばポリプロピレン樹脂など)の樹脂板や樹脂シートを真空成形して、凹凸を有するトレー状に形成した部材である。図2は、本実施形態の部品トレーの形状を示す正面図である。図3には、図2におけるX−X断面およびY−Y断面を示す。
【0022】
部品トレー2には、コネクタ部品1aないし1cを収容可能な収容凹部20が設けられている。収容凹部20は、棒状凹部21と連結凹部22とが連結されて構成された凹部である。棒状凹部21とは、コネクタ部材の棒状部材11を収容保持可能な形状および寸法に設けられ、部品トレー2において相対的に凹部となるように形成された部分である。連結凹部22とは、コネクタ部材の連結部材12の部分を収容保持可能な形状・位置および寸法に設けられ、部品トレー2において相対的に凹部となるように形成された部分である。
【0023】
そして、収容凹部20の構成において、棒状凹部21,21は、所定の間隔で略平行に、複数本(本実施形態では9本)が連設(図の左右方向に)されている。そして、連結凹部22,22は、それら連設された棒状凹部21,21の全てを連絡させるように設けられており、収容凹部20全体で見れば、複数本の棒状凹部21,21を一連の連結凹部22,22によって串ざし状にしたような、串ざし形状の凹部になっている。ここで、棒状凹部21,21の間の部分で、連結凹部22となっていない部分は、これら凹部に対して相対的に飛び出したような凸部23とされて、凸部23が棒状凹部の間の仕切りの働きをしている。
【0024】
そして、部品トレー2には、上記収容凹部20が、図の上下方向に4つ(4段に)並べて設けられている。本実施形態においては、収容凹部は、図の左右方向には1つだけであるが、収容凹部20を図の左右方向に(例えば2列に)並べることも可能である。
【0025】
部品トレー2の使用方法について説明する。部品トレー2は、複数種類のコネクタ部品1a、1b、1cを収容して、搬送および保管などの用途に使用できる。
図4には、一本の棒状部材11からなるコネクタ部品1aを収容保持する際の収容例を示す。コネクタ部品の棒状部材11が、部品トレー2の収容凹部の棒状凹部21に収容されるようにして、コネクタ部品1aを部品トレー2に収容する。この場合、全ての棒状凹部21,21に対してコネクタ部品1aを収容するようにすることができるので、非常に部品の収容効率が高い。
【0026】
図5には、3本の棒状部材11,11を有するコネクタ部材1cを収容保持する際の収容例を示す。コネクタ部品の棒状部材11、11が、部品トレー2の収容凹部の棒状凹部21、21に収容され、コネクタ部品の連結部12,12が、部品トレーの収容凹部の連結凹部22,22に収容されるようにして、コネクタ部品1cを部品トレー2に収容する。
【0027】
同様にして、部品トレー2には、2本の棒状部材11,11を有するコネクタ部材1bを収容保持することもできる。また、1つの部品トレー2に、複数種類のコネクタ部品(例えばコネクタ部品1aとコネクタ部品1b)を混在させて収容することもできる。
【0028】
上記実施形態の部品トレーによれば、共通する部分を持ちながらも互いに形状の異なる複数種類のコネクタ部品を、1種類の部品トレーにより収容できる。即ち、部品トレーの共通化が図れる。
【0029】
また、収容される部品の構成要素である棒状部材11や連結部材12は、それらを収容(あるいは/もしくは保持)可能な形状とされた棒状凹部21や連結凹部22に収容されるので、収容凹所に収容された部品は、収容凹所内で動き回ったりすることなく、確実に保持され、部品の収容保持性に優れる。
【0030】
さらに、上記実施形態の部品トレーにおいては、収容すべき部品が有する棒状部材の数に反比例するように、多数の部品を1つのトレーに保持することが可能である。例えば、特許文献2に記載されたような、大小さまざまな部品を収容可能な収容凹所を設けた部品トレーであれば、小さな部品であっても、設けられた収容凹所の数しか収容できず、収容の密度が低くなってしまうが、本実施形態の部品トレーにおいては、収容すべき部品が有する棒状部材の数に合わせて、詰めて部品を配置・収容でき、部品の収容密度を高めることができる。従って、部品の搬送や保管の効率を高めることができる。
【0031】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に本発明を改変可能な事項や、他の実施形態について説明する。
【0032】
本発明の部品トレーは、特にその形状やその使用形態に特徴を有するものであり、部品トレーの材質や製造方法は特に限定されない。
部品トレーの材質は、合成樹脂材料や金属、紙、木材、陶器、磁器など、多様な材料が採用可能である。また、部品トレーの成形方法も、樹脂の真空成形のほか、樹脂の射出成形や、金属板のプレス成形や金属材料の溶接や、切削可能な材料の切削加工など、多様な手段で成形できる。そして、部品トレー2における相対的な凹部・凸部の形成は、リブを立てたり、部材を追加したり、部材を除去したりするなど、多様な形成方法により形成できる。
【0033】
部品トレーに設けられる収容凹部の棒状凹部や連結凹部の具体的形状(幅や長さ・深さ)は、部品の棒状部材や連結部材の形状に応じて、部材の収容や保持が良好に行われるように定めればよい。部品の的確な保持の観点からは、収容凹部内で部品が動かないように、部材と凹部の間の遊びを少なくして凹部を設けることが好ましい。
【0034】
また、収容凹部の底部形状は、部品形状と合致させても良いし、そうでなくてもよい。棒状部材11が中空円筒状である場合には、上記実施形態における図3に示すように、底部は半円状が好ましい。収容凹部の底部形状は平坦であっても良いし、V字状としてもよい。半円状やV字状とすると、収容凹部内部での部品の位置および姿勢がより安定的に維持されて好ましい。
【0035】
また、収容すべき部品の棒状部材が連設される間隔(ピッチ)と、収容凹部の棒状凹部が連設される間隔(ピッチ)とは、一致していることが好ましいが、棒状凹部や連結凹部と棒状部材や連結部材と間にある程度の遊びが生ずるようにしておけば、部品と収容凹部の両者における連設のピッチが多少異なっていても、部品を収容することが可能となる。
【0036】
すなわち、収容凹部や連結凹部と棒状部材や連結部材との間に遊びを設けることにより、棒状部材が連設される間隔が多少異なるような部品であっても、共通する部品トレーに収容可能となり、より効果的に部品トレーの共用化を図ることができる。
【0037】
本発明の部品トレーに収容する部品は、上記実施形態のチューブコネクタに限定されるものではない。すなわち、複数種類の部品の間で、形状にある程度共通性がある棒状部材を有し、それら棒状部材が所定間隔で略平行に連結一体化された形状の部品である限りにおいて、本発明の部品トレーは適用可能である。そして、棒状部材は、円筒状であっても良いし、角棒状であっても良い。そして、これら部品における棒状部材は、共通する部材であることが好ましいが、共通する棒状凹部に収容可能な形状の棒状部材である限りにおいて、部品間で棒状部材の形状が多少異なっていても良い。
【0038】
そして、本発明の部品トレーに収容する部品としては、チューブやホースなどの可撓管用の管継手(例えばチューブコネクター)はもちろんのこと、剛性管を接続する管継手部材、電気ケーブルや光ケーブルや光ファイバなどを接続するためのコネクタ部品などが例示できる。これら広範な用途の部品に対し、本発明の部品トレーは適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の部品トレーは、各種部品を並べて搬送・保管する用途に使用できる。本発明の部品トレーは複数種類の部品間で共通化することができるので、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0040】
1 コネクタ部品(チューブコネクタ)
11 棒状部材
12 連結部材
2 部品トレー
20 収容凹部
21 棒状凹部
22 連結凹部
23 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本の棒状部材からなる部品、または、複数本の棒状部材を略平行に所定間隔で連結部材によって連結一体化した部品を収容する部品トレーであって、
部品トレーには、棒状部材が収容される棒状凹部が前記所定間隔で平行に連設されると共に、
連設される棒状凹部の間が、前記連結部材を収容可能に形成された連結凹部により連絡するようにされて、
連設された棒状凹部と連結凹部とにより串ざし形状の収容凹部が形成された部品トレー。
【請求項2】
1本の棒状部材からなる部品、または、複数本の棒状部材を略平行に所定間隔で連結部材によって連結一体化した部品を収容する部品トレーの共通化方法であって、
部品トレーを、
棒状凹部が前記所定間隔で平行に連設されると共に、
連設される棒状凹部の間が、連結凹部により連絡するようにされて、
連設された棒状凹部と連結凹部とにより串ざし形状の収容凹部が形成された部品トレーとして、
棒状部材を棒状凹部に収容し、連結部材を連結凹部に収容することにより、
複数種類の部品を1種類の部品トレーで収容する、部品トレーの共通化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−101807(P2012−101807A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249817(P2010−249817)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000108498)タイガースポリマー株式会社 (187)
【Fターム(参考)】