説明

部品供給装置及び部品供給方法

【課題】本発明は部品装填室に装填した部品が部品供給部から供給される部品供給装置に関し、小型で簡単な構成ながら種々の形状の部品を確実に供給することを課題とする。
【解決手段】部品16が装填される部品装填室12Aが形成された装置本体11と、部品装填室12A内に圧縮空気を吹き出す吹き出し口13Aと、部品装填室12Aの上部に設けられた蓋体15と、天板17に部品装填室12Aの側面20Aと連通するよう設けられており圧縮空気の流入に伴い部品16が導入される溝状の部品供給部14Aとを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部品供給装置及び部品供給方法に係り、特に部品装填室に装填した部品が部品供給部から供給される部品供給装置及び部品供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ねじ、ブッシュ、チップ部品等の小型部品は、これを基板等に実装する際に部品供給装置を用いて整列した状態で供給することが行われている。これにより、実装の自動化や、また実装・組み立て作業の効率化を図ることができる。
【0003】
この部品供給装置は、従来から種々の形態のものが提供されている。具体的には、個々の部品を予めトレイ、エンボステープ、スティック等に整列させて収納しておき、これにより部品を整列させた状態で供給するようにしたものがある。
【0004】
また他の構成としては、装置本体内に部品が装填される部品装填室を有し、この部品装填室を振動させることにより部品を整列するようにした装置、特許文献1に開示されているように重力により下部に配設した供給チューブに導入する装置、更に部品装填室を回転ドラム形状とすると共にこの部品装填室を回転させることにより供給チューブへ遠心力を利用して部品を整列させて導入する装置等が知られている。
【特許文献1】実開平5−040229号公報(実願平3−097816号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トレイ、エンボステープ、スティック等を用いる部品供給方法では、整列に必要なトレイ、エンボステープ、スティック等の費用が掛かり、コストの面で不利である。また、トレイ等がかさばり、小型の卓上設備には不向きである。
【0006】
また、部品装填室を振動させることにより部品を整列させる装置では、多種形状の部品を供給できるが、振動発生装置が必要となり、部品供給装置が大型化してしまうという問題が生じる。また、他の重力や回転ドラムを利用した部品供給装置では、例えば長いチップ部品やねじ等ではチューブに詰まるために供給はできず、また複雑な機構も必要となり装置が高価になる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、小型で簡単な構成ながら種々の形状の部品を確実に供給しうる部品供給装置及び部品供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項1記載の発明に係る部品供給装置は、
部品が装填される部品装填部と、
前記部品装填部内に空気を吹き出す吹き出し口と、
前記部品装填部の側面上端と連通するよう設けられており、前記空気の流入に伴い前記部品が導入される部品供給部とを有することを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載の部品供給装置において、
前記部品装填部の側面上端に隙間を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、
請求項1または2記載の部品供給装置において、
前記部品装填部の形状を円筒形状とすると共に、前記吹き出し口を該部品装填部の側面に設けたことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部品供給装置において、
前記部品供給部が、前記部品装填部の内周円の法線方向に延在するよう設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、
請求項3または4記載の部品供給装置において、
前記部品装填部の底面を、前記吹き出し口に対して昇降動作させる昇降機構を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項6記載の発明に係る部品供給方法は、
部品装填部に部品を装填するステップと、
吹き出し口から前記部品装填部内に空気を吹き出すステップと、
前記部品装填部の側面上端と連通するよう設けられた部品供給部に、前記空気の流入に伴い前記部品が導入されるステップとを有することを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項7記載の発明は、
請求項6記載の部品供給方法において、
前記部品装填部の側面上端に隙間を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項8記載の発明は、
請求項6または7記載の部品供給方法において、
前記部品装填部の形状を円筒形状とすると共に、前記吹き出し口を該部品装填部の側面に設けたことを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項9記載の発明は、
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の部品供給方法において、
前記部品供給部が、前記部品装填部の内周円の法線方向に延在するよう設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項10記載の発明は、
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の部品供給方法において、
前記部品装填部の底面を、前記吹き出し口に対して昇降動作させる昇降機構を設けたことを特徴とするものである。
【0019】
上記請求項1及び請求項6記載の発明によれば、圧縮空気を用いて部品を吹き上げ、空気の流れに乗せて部品を部品供給部に導入する構成であるため、簡単な構成で部品供給が可能となり、また装置本体の小型化を図ることができる。
【0020】
また、請求項2及び請求項7記載の発明によれば、圧縮空気は隙間からも外部に流出するため、蓋体の下部に部品が整列して部品供給部への部品供給の円滑化を図ることができる。
【0021】
また、請求項3及び請求項8記載の発明によれば、円筒形状とされた部品装填室の側面に吹き出し口を設けたことにより、圧縮空気は部品装填室の内壁に沿って回転するよう流れるため、部品を部品供給部に円滑に導入させることができる。
【0022】
また、請求項4及び請求項9記載の発明によれば、部品供給部を部品装填室の内周円の法線方向に延在するよう設けたことにより、部品供給部の溝内壁と部品装填室の側壁との間の角度を比較的大きくとることができ、部品供給部が部品装填室に開口する縁部に部品が引っ掛かることを抑制することができる。
【0023】
また、請求項5及び請求項10記載の発明によれば、昇降機構により部品装填室の底面が吹き出し口に対して昇降動作するため、部品収容量の変化に応じて部品装填室の容積を可変することができる。また、部品が重く底面における圧縮空気の圧気のみでは底面から上昇できない場合でも、底面を高くし吹き出し口に近付けることにより上昇させることが可能となり、部品の安定供給が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、圧縮空気を用いて部品を吹き上げ、空気の流れに乗せて部品を部品供給部に導入する構成であるため、簡単な構成で部品供給が可能となり、また装置本体の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0026】
図1及び図2は、本発明の第1実施例である部品供給装置10Aを示している。本実施例に係る部品供給装置10Aは、大略すると装置本体11,部品装填室12A,吹き出し口13A、部品供給口14A、及び蓋体15等により構成されている。
【0027】
装置本体11は筐体形状を有しており、上部に天板17を有すると共に、この天板17に開口する部品装填室12Aを有している。部品装填室12Aは、供給を行う部品16が装填される部位である。部品装填室12Aは、本実施例では漏斗形状とされており、よって側面20Aは傾斜面となっている。この部品装填室12Aの底部には、吹き出し口13Aが形成されている。
【0028】
吹き出し口13Aは、スリット形状とされている。即ち、吹き出し口13Aの形状は、円形ではなく、長方形状とされている。この吹き出し口13Aは、装置本体11内に設けられた空気導入通路18の一端部に接続されている。
【0029】
この空気導入通路18の他端部には、圧縮空気を生成するコンプレッサー(図示せず)が接続される。よって、コンプレッサーで生成される圧縮空気は、空気導入通路18を通り吹き出し口13Aから部品装填室12A内に吹き出される。この吹き出し口13Aから吹き出された圧縮空気により、部品16は部品装填室12A内において吹き上げらける。
【0030】
コンプレッサーは装置本体11の外部に配置することが可能であるため、装置本体11の内部には部品装填室12A,吹き出し口13A,及び空気導入通路18が設けられただけの構成となる。このため、部品供給装置10Aの小型化及び低コスト化を図ることができる。尚、コンプレッサーは種々の形態のものが市販されているが、部品装填室12A内において部品16を吹き上げられる圧縮空気を生成できれば、いずれの形態であっても適用が可能である。
【0031】
部品供給口14Aは溝形状を有しており、装置本体11の天板17に形成されている。具体的には、部品供給口14Aの内側端部は部品装填室12Aの側面20Aの上縁と連通するよう構成され、また外側端部は装置本体11の外壁に開口するよう構成されている。後述するように、部品16は圧縮空気の流入に伴い部品装填室12Aからこの部品供給口14A内に導入され、この部品供給口14Aから部品16の実装(組み立て)処理を行う作業員、或いは実装処理を行う実装装置に供給される。
【0032】
一方、装置本体11の天板17の上部には、蓋体15が設けられる。この蓋体15は円盤形状を有しており、部品装填室12Aの上部開口を覆うように配設される。この配設状態において、部品供給口14Aの一部も蓋体15に覆われた構成となっている。また図2に示されるように、蓋体15を装置本体11に配設した状態において、天板17と蓋体15との間には約0.05mm程度の隙間19が形成されるよう構成されている。
【0033】
続いて、上記構成とされた部品供給装置10Aの動作について説明する。部品供給装置10Aにより部品16の供給処理を行うには、先ず蓋体15を開けて部品装填室12A内に供給を行う部品16を装填する。この際、コンプレッサーは停止されており、よって圧縮空気の吹き出しは停止されている。
【0034】
部品16の部品装填室12A内への装填が終了すると、蓋体15は装置本体11の天板17の上部に隙間19が形成されるように取り付けられる。次に、コンプレッサーが起動され、圧縮空気は空気導入通路18を介して吹き出し口13Aから部品装填室12A内に吹き出される。これにより、部品装填室12Aの下部に装填されていた部品16は、圧縮空気の風圧により上方に吹き上げられる。
【0035】
また、圧縮空気が部品装填室12A内に導入されることにより、部品装填室12A内の圧力は大気圧より高くなる。このため、部品装填室12A内の空気は、部品装填室12Aに連通している部品供給口14A及び蓋体15と天板17との間に形成された隙間19から外部に流出する。
【0036】
この際、部品16は圧縮空気の流れに沿って部品装填室12A内で移動するため、部品16の一部は部品供給口14A内に導入される。この際、部品供給口14Aの形状は部品16の形状に対応した形状とされている。
【0037】
具体的には、部品16が矩形状のチップ部品であった場合には、図9に示すように部品供給口14Aの断面は部品16の形状に対応して長方形状(部品16よりも若干大きな形状)とされる。また、部品16がねじであった場合には、図10に示すように部品供給口14Aの断面はネジ部に対応した細長の溝形状(ネジ部よりも若干大きな形状)とされると共に、隙間19の高さもねじの頭の高さよりも高くなるよう設定される。
【0038】
部品供給口14Aは、その形状が上記のように部品16の形状に対応させて適宜設定されているため、圧縮空気により吹き上げられ部品供給口14Aの端部(側面20Aに開口した端部)に至った部品16の内、その姿勢が部品供給口14Aの形状と一致したものは、部品供給口14A内に導入される。よって、部品供給口14A内における部品16は、全て同一の姿勢(向き)の状態で並んだ状態となっている。これにより、部品供給口14Aの他端部(装置本体11の外壁側の端部)からは、部品16が同一姿勢で装置外部に供給される。
【0039】
このように、本実施例に係る部品供給装置10Aは、圧縮空気を用いて部品16を吹き上げ、空気の流れに乗せて部品16を部品供給口14Aに導入する構成である。このため、簡単な構成で部品供給が可能となり、また装置本体11の小型化を図ることができる。
【0040】
また、本実施例では、部品装填室12Aの形状が漏斗形状とされている。よって、吹き上げられた後、落下してきた部品16は部品装填室12Aの中央下部に集まる。この落下した部品16が集まる部位は、吹き出し口13Aが形成された位置である。更に、吹き出し口13Aの形状はスリット形状とされており、この形状は部品16が吹き出し口13Aに残留し難い形状である。このため、落下した部品16は効率よく再吹き上げされ、これにより部品供給口14Aへの部品16の導入効率を高めることができる。
【0041】
また、本実施例では、装置本体11の天板17と蓋体15との間に隙間19が設けられている。このため、コンプレッサーから部品装填室12Aに導入された圧縮空気は、部品供給口14Aばかりでなく、この隙間19からも外部に流出する。このため、吹き上げられた部品16の一部は、隙間19(蓋体15と天板17との間)に並んで吸着された状態となる。
【0042】
このように隙間19に吸着された部品16は、隙間19を流れる圧縮空気に付勢されて徐々に移動し、その一部は部品供給口14Aの端部に至り、部品供給口14A内に導入される。部品装填室12A内において吹き上げられた部品16が直接的に部品供給口14Aの中に導入される可能性は低く、実際は上記のように隙間19に吸着された部品16が移動することにより部品供給口14Aに導入されるものが多い。よって、隙間19を形成することにより、部品供給口14Aへの部品供給の円滑化を図ることができる。
【0043】
次に、図3乃至図8を参照し、本発明の第2乃至第7実施例について説明する。
【0044】
図3は、本発明の第2実施例に係る部品供給装置10Bを示している。図3(A)は部品供給装置10Bの斜視図であり、図3(B)は部品供給装置10Bの平面図である。尚、図3において、図1または図2に示した構成と同一構成については同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0045】
前記した第1実施例に係る部品供給装置10Aは、装置本体11に漏斗形状の部品装填室12Aを形成し、その底部には吹き出し口13Aが形成された構成とされていた。これに対して本実施例に係る部品供給装置10Bは、部品装填室12Bの形状を円筒形状とすると共に、吹き出し口13Bを部品装填室12Bの側面20Bに設けたことを特徴としている。
【0046】
吹き出し口13Bは、上下方向に長いスリット形状とされている。また、吹き出し口13Bの側面20Bへの開口位置は、部品装填室12Bの側面20Bの高さ方向に対する略中央位置に設定されている。また、部品供給口14Bは、図3(B)に示すように、平面視で円形とされた部品装填室12Bに対し、略接線方向に延在するように配設されている。
【0047】
上記構成とされた部品供給装置10Bにおいて、部品装填室12B内に部品16を装填した後にコンプレッサーを起動すると、圧縮空気は空気導入通路18を介して吹き出し口13Bから部品装填室12B内に吹き出される。これにより、部品装填室12Bの下部に装填されていた部品16は、圧縮空気の風圧により吹き上げられる。
【0048】
この際、吹き出し口13Bは円筒形状とされた部品装填室12Bの側面20Bに設けられているため、圧縮空気は部品装填室12Bの内壁20Bに沿って回転するよう流れる。よって部品16は、この圧縮空気の流れに乗って部品装填室12Bの内壁20Bに沿って回転するよう移動する。
【0049】
また、部品供給口14Bは、部品装填室12Bに対して接線方向に形成されている。よって、内壁20Bに沿って回転する部品16が部品供給口14Bの開口位置に至ると、この部品16は部品供給口14Bの内部に圧縮空気と共に導入される。
【0050】
この際、本実施例に係る部品供給装置10Bは、部品供給口14Bが部品装填室12Bに対して接線方向に延在するよう設けられている。また、円形の内壁20Bに沿って回転する部品16は、その速度成分として接線方向への速度成分を有している。よって、回転に伴い部品16が部品供給口14Bの端部に至ると、部品16は円滑に部品供給口14B内に導入される。よって、部品16の部品供給口14Bへの導入効率を高めることができる。
【0051】
図4は、本発明の第3実施例に係る部品供給装置10Cを示している。
【0052】
図4(A)は部品供給装置10Cの斜視図であり、図4(C)は部品供給装置10Bの平面図である。尚、図4において、図1乃至図3に示した構成と同一構成については同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0053】
本実施例に係る部品供給装置10Cは、前記した第2実施例に係る部品供給装置10Bと略同一構成である。しかしながら、第2実施例に係る部品供給装置10Bでは、部品供給口14Bが部品装填室12Bの接線方向に延在するよう設けられていたのに対し、本実施例に係る部品供給装置10Cでは部品供給口14Cが部品装填室12Bの法線方向に延在するよう設けられている点で相違する。
【0054】
本実施例の構成とすることにより、部品供給口14Cの溝内壁(具体的には、圧縮空気の流れに対して下流側に位置する溝内壁)と部品装填室12Bの側面20Bとの間の角度(図4(B)に矢印θ2で示す)を第2実施例に係る部品供給装置10Bに比べて大きくとることができる。
【0055】
即ち、部品供給装置10Bにおける部品供給口14Bの溝内壁(圧縮空気の流れに対して下流側に位置する溝内壁)と部品装填室12Bの側面20Bとの間の角度(図3(B)に矢印θ1で示す)は、部品供給口14Bが部品装填室12Bの接線方向に延在しているため鋭角になっている。また、第2実施例に係る構成では、部品供給口14Bの側面20Bに開口する面積(開口面積)が広くなる。このため、圧縮流体の流れに沿って部品装填室12B内を回転移動する部品16が部品供給口14Bの端部(図3(B)に矢印T1で示す)に至った場合、部品16が端部T1に衝突する可能性が高くなる。
【0056】
これに対し、本実施例では部品供給口14Cを部品装填室12Bの法線方向に延在するよう設けているため、溝内壁と部品装填室12Bの側面20Bとの間の角度θ2は第2実施例における溝内壁と部品装填室12Bの側面20Bとの間の角度θ1よりも大きくなる(θ2>θ1)。よって、圧縮流体の流れに沿って部品装填室12B内を回転移動する部品16が部品供給口14Cの端部(図4(B)に矢印T2で示す)に至っても、部品16が端部T2に衝突する可能性は低くなる。これにより、本実施例に係る部品供給装置10Cによれば、部品16が部品供給口14Cの縁部T2に引っ掛かることを抑制でき、部品16の供給効率を高めることができる。
【0057】
図5は、本発明の第4実施例に係る部品供給装置10Dを示している。尚、図5において、図1乃至図4に示した構成と同一構成については同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0058】
本実施例に係る部品供給装置10Dは、前記した第2実施例に係る部品供給装置10Bと略同一構成である。しかしながら、第2実施例に係る部品供給装置10Bでは、部品装填室12Bの深さが浅く、吹き出し口13Bの下端部が底面21に近接した状態となっていた。これに対して本実施例に係る部品供給装置10Dは、部品装填室12Cの深さを第2実施例に比べて深くしたことを特徴とするものである。
【0059】
具体的には、部品装填室12Cにおける吹き出し口13Bの開口位置よりも下部に空間部27を形成したことを特徴とするものである。本実施例では、図5に矢印Hで示す高さを有する空間部27が形成されている。このように、部品装填室12C内において、吹き出し口13Bの開口位置よりも下部に空間部27形成することにより、側面20Bに沿って部品を回転させる効果を損なうことなく、部品装填室12Cの部品収容量を拡大することが可能となる。
【0060】
図6は、本発明の第5実施例に係る部品供給装置10Eを示している。尚、図6において、図1乃至図5に示した構成と同一構成については同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0061】
本実施例に係る部品供給装置10Eは、部品装填室12Dの下部に配設される底板22を吹き出し口13Bに対して昇降動作しうるよう構成したことを特徴とするものである。具体的には、底板22の下部にはアクチュエータ23が配設されており、このアクチュエータ23により底板22は上下方向(矢印Z1,Z2方向)に昇降動作する構成とされている。尚、ここで吹き出し口13Bに対して昇降動作するとは、底板22が吹き出し口13Bから圧縮空気を吹き出すのを邪魔することなく、換言すると吹き出し口13Bの形成位置を上限として昇降動作を行うことを意味している。
【0062】
上記構成とされた部品供給装置10Eでは、アクチュエータ23により部品装填室12Dの底面21(底板22)が吹き出し口13Bに対して昇降動作するため、部品16の収容量の変化に応じて部品装填室12Dの容積を可変することができる。また、部品16の重量が重く圧縮空気により吹き上げ難い部品であっても、底面21を高くし吹き出し口13Bに近付けることにより上昇させることが可能となり、重い部品16であっても安定供給が可能となる。
【0063】
図7は、本発明の第6実施例に係る部品供給装置10Fを示している。尚、図7において、図1乃至図6に示した構成と同一構成については同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0064】
本実施例に係る部品供給装置10Fは、部品装填室12Eを円筒状部24と漏斗状部25とによりなる構成とすると共に、二つの吹き出し口13A,13Bを設けたことを特徴とするものである。漏斗状部25は円筒状部24に対して下部に配設されており、その底部には吹き出し口13Aが形成されている。また、円筒状部24は漏斗状部25の上部に連続的に形成されており、その側面20Bには吹き出し口13Bが形成されている。
【0065】
この構成とすることにより、漏斗状部25内に装填或いは落下した部品16は吹き出し口13Aから吹き出される圧縮空気により円筒状部24に向け吹き上げられ、円筒状部24に至ると吹き出し口13Bから吹き出される圧縮空気により側面20B内を回転するように移動する。このため、落下した部品16を確実に円筒状部24に吹き上げて部品16に導入させることが可能となり、よって部品16のより安定した供給が可能となる。
【0066】
図8は、本発明の第7実施例に係る部品供給装置10Gを示している。尚、図8において、図1乃至図7に示した構成と同一構成については同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0067】
前記した図7に示した第6実施例に係る部品供給装置10Fは、円筒状部24と漏斗状部25とが連続的に接続した構成とされていた。これに対して本実施例に係る部品供給装置10Gは、部品装填室12Fの側面で、吹き出し口13Aと吹き出し口13Bとの間の位置に段差部26を形成したことを特徴としている。
【0068】
この段差部26は、部品16がその上部に載置可能な形状及び大きさとされている。また、本実施例では段差部26を側面20Bに沿って環状に形成しているが、段差部26を側面20Bに沿って間欠的に設けた構成としてもよい。尚、本実施例では、側面20Bから内側に向け突出する部材(突起やボス等)により、実質的に段差部26と等価の作用を行う構成も段差部というものとする。
【0069】
本実施例のように、二つの吹き出し口13A,13Bの間に段差部26を形成することにより、部品装填室12F内で上部の円筒状部24から下部の漏斗状部25に落下する部品16の一部は、底部に落下せずに段差部26に引っ掛かった状態となる。このため、段差部26に引っ掛かった部品16は、漏斗状部25の底部からではなく、それよりも高い位置にある段差部26の形成位置から吹き上げればよいため、部品16の吹き上げ効率を高めることができる。
【0070】
尚、上記した実施例では、部品16としてチップ部品やネジを例に挙げて説明したが、本発明に係る部品供給装置の適用はこれに限定されるものではなく、種々の小型部品に対して適用が可能なものである。
【0071】
また、本実施例では、部品供給装置自体の小型化を図るため、また種々のコンプレッサーとの接続を可能とするために、コンプレッサーを部品供給装置と別体とする構成としたが、コンプレッサーを部品供給装置に一体に組み込んだ構成としてもよいことは勿論である。
【0072】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
部品が装填される部品装填部と、
前記部品装填部内に空気を吹き出す吹き出し口と、
前記部品装填部の側面上端と連通するよう設けられており、前記空気の流入に伴い前記部品が導入される部品供給部と
を有することを特徴とする部品供給装置。
(付記2)
前記部品装填部の側面上端に隙間を設けたことを特徴とする付記1記載の部品供給装置。
(付記3)
前記部品装填部の形状を漏斗形状とすると共に、前記吹き出し口を前記部品装填部の底部に配置したことを特徴とする付記1または2記載の部品供給装置。
(付記4)
前記部品装填部の形状を円筒形状とすると共に、前記吹き出し口を該部品装填部の側面に設けたことを特徴とする付記1または2記載の部品供給装置。
(付記5)
前記部品供給部が、前記部品装填部の内周円の接線方向に延在するよう設けられていることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の部品供給装置。
(付記6)
前記部品供給部が、前記部品装填部の内周円の法線方向に延在するよう設けられていることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の部品供給装置。
(付記7)
前記部品装填部の前記吹き出し口の開口位置より下部に空間部を形成したことを特徴とする付記4乃至6のいずれか1項に記載の部品供給装置。
(付記8)
前記部品装填部の底面を、前記吹き出し口に対して昇降動作させる昇降機構を設けたことを特徴とする付記4乃至7のいずれか1項に記載の部品供給装置。
(付記9)
前記部品装填部の側面に第1の吹き出し口を配置し、前記部品装填部の底面に第2の吹き出し口を配置したことを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項に記載の部品供給装置。
(付記10)
前記部品装填部の側面で、前記第1の吹き出し口の配置位置と、前記第2の吹き出し口
の配置位置との間に段差部を形成したことを特徴とする付記9記載の部品供給装置。
(付記11)
部品装填部に部品を装填するステップと、
吹き出し口から前記部品装填部内に空気を吹き出すステップと、
前記部品装填部の側面上端と連通するよう設けられた部品供給部に、前記空気の流入に伴い前記部品が導入されるステップと
を有することを特徴とする部品供給方法。
(付記12)
前記部品装填部の側面上端に隙間を設けたことを特徴とする付記11記載の部品供給方法。
(付記13)
前記部品装填部の形状を漏斗形状とすると共に、前記吹き出し口を前記部品装填部の底部に配置したことを特徴とする付記11または12記載の部品供給方法。
(付記14)
前記部品装填部の形状を円筒形状とすると共に、前記吹き出し口を該部品装填部の側面に設けたことを特徴とする付記11または12記載の部品供給方法。
(付記15)
前記部品供給部が、前記部品装填部の内周円の接線方向に延在するよう設けられていることを特徴とする付記11乃至14のいずれか1項に記載の部品供給方法。
(付記16)
前記部品供給部が、前記部品装填部の内周円の法線方向に延在するよう設けられていることを特徴とする付記11乃至14のいずれか1項に記載の部品供給方法。
(付記17)
前記部品装填部の前記吹き出し口の開口位置より下部に空間部を形成したことを特徴とする付記14乃至16のいずれか1項に記載の部品供給方法。
(付記18)
前記部品装填部の底面を、前記吹き出し口に対して昇降動作させる昇降機構を設けたことを特徴とする付記14乃至17のいずれか1項に記載の部品供給方法。
(付記19)
前記部品装填部の側面に第1の吹き出し口を配置し、前記部品装填部の底面に第2の吹き出し口を配置したことを特徴とする付記11乃至18のいずれか1項に記載の部品供給方法。
(付記20)
前記部品装填部の側面で、前記第1の吹き出し口の配置位置と、前記第2の吹き出し口の配置位置との間に段差部を形成したことを特徴とする付記19記載の部品供給方法。
(付記21)
部品が装填される部品装填室が形成された装置本体と、
前記部品装填室内に圧縮空気を吹き出す吹き出し口と、
前記部品装填室の上部に設けられた蓋体と、
前記装置本体の天板に前記部品装填室の側面上縁と連通するよう設けられており、前記圧縮空気の流入に伴い前記部品が導入される溝状の部品供給部と
を有することを特徴とする部品供給装置。
(付記22)
前記装置本体の天板と前記蓋体との間に隙間を設けたことを特徴とする付記21記載の部品供給装置。
(付記23)
前記部品装填室の形状を漏斗形状とすると共に、前記吹き出し口の形状をスリット形状とし、かつ該吹き出し口を前記部品装填室の底部に配置したことを特徴とする付記21または22記載の部品供給装置。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明の第1実施例である部品供給装置の要部を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施例である部品供給装置の要部を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施例である部品供給装置を説明するための図であり、(A)は部品供給装置の要部を示す斜視図であり、(B)は部品供給装置の平面図である。
【図4】図4は、本発明の第3実施例である部品供給装置を説明するための図であり、(A)は部品供給装置の要部を示す斜視図であり、(B)は部品供給装置の平面図である。
【図5】図5は、本発明の第4実施例である部品供給装置の要部を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の第5実施例である部品供給装置の要部を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の第6実施例である部品供給装置の要部を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の第7実施例である部品供給装置の要部を示す断面図である。
【図9】図9は、部品供給口の具体的な構成の一例を示す断面図である(その1)。
【図10】図10は、部品供給口の具体的な構成の一例を示す断面図である(その2)。
【符号の説明】
【0074】
10A〜10G 部品供給装置
11 装置本体
12A〜12F 部品装填室
13A,13B 吹き出し口
14A,14B 部品供給口
15 蓋体
16 部品
17 天板
19 隙間
20A,20B 側面
21 底面
22 底板
23 アクチュエータ
24 円筒状部
25 漏斗状部
26 段差部
27 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が装填される部品装填部と、
前記部品装填部内に空気を吹き出す吹き出し口と、
前記部品装填部の側面上端と連通するよう設けられており、前記空気の流入に伴い前記部品が導入される部品供給部と
を有することを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記部品装填部の側面上端に隙間を設けたことを特徴とする請求項1記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記部品装填部の形状を円筒形状とすると共に、前記吹き出し口を該部品装填部の側面に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記部品供給部が、前記部品装填部の内周円の法線方向に延在するよう設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記部品装填部の底面を、前記吹き出し口に対して昇降動作させる昇降機構を設けたことを特徴とする請求項3または4記載の部品供給装置。
【請求項6】
部品装填部に部品を装填するステップと、
吹き出し口から前記部品装填部内に空気を吹き出すステップと、
前記部品装填部の側面上端と連通するよう設けられた部品供給部に、前記空気の流入に伴い前記部品が導入されるステップと
を有することを特徴とする部品供給方法。
【請求項7】
前記部品装填部の側面上端に隙間を設けたことを特徴とする請求項6記載の部品供給方法。
【請求項8】
前記部品装填部の形状を円筒形状とすると共に、前記吹き出し口を該部品装填部の側面に設けたことを特徴とする請求項6または7記載の部品供給方法。
【請求項9】
前記部品供給部が、前記部品装填部の内周円の法線方向に延在するよう設けられていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の部品供給方法。
【請求項10】
前記部品装填部の底面を、前記吹き出し口に対して昇降動作させる昇降機構を設けたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の部品供給方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−134412(P2007−134412A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323841(P2005−323841)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】