説明

部品供給装置

【課題】本発明は、頭付き部品、鍔付き部品等の部品を整列供給して、ねじ締め機等の締付け作業機が取り出し易い姿勢にして、部品を供給する部品供給装置に関する。
【解決手段】本発明は,ねじSを吊下して案内し、かつ直線方向に延びる案内溝9aが設けられた搬送レール9と、案内溝9aが所定角傾斜するように搬送レール9を保持する直進振動部12と、搬送レール9の先端に到達したねじSを直立させるエスケープユニット17とを備えることを特徴とする部品供給装置である。この部品供給装置1では、搬送レール9が直線方向に延びる構成なので、機械加工のみで搬送レール9を加工することでき、搬送レール9ごとのばらつきを低減させることができる。さらに、搬送レール9の先端に到達した部品を単純な構成のエスケープユニット17によって直立させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭付き部品、鍔付き部品等の部品を整列供給して、ねじ締め機等の締付け作業機が取り出し易い姿勢にして、部品を供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭付き部品の一例のねじを整列供給する装置としては、図6に示す部品供給装置101がある。この部品供給装置101は、回転駆動源(図示せず)と、基台102に取り付けられてねじを多数貯蓄可能なホッパ103と、前記回転駆動源の駆動を受けて前記ホッパ103内の部品をすくい上げ可能に構成された扇形ブレード104と、この扇形ブレード104を案内するガイド具109とを有している。また、この部品供給装置101は前記基台102の上面に取り付けられた直進振動部108を有しており、この直進振動部108にはほぼ水平方向に延びる搬送レール105が設けられている。この搬送レール105は全長にわたって2枚の側壁を有しており、これら側壁により前記搬送レール105にはねじを吊下して案内する案内溝105aが形成されている。
【0003】
図7および図8に示すように、前記搬送レール105の後退端の案内溝105aは,傾斜しており、ねじを傾斜させて保持するように構成されているが、当該搬送レール105は先端に向かうに従って前記案内溝105aが直立する方向にねじ戻されるように構成されている。また、前記搬送レール105の後退端の側壁には受け板106と、ガイド板107とが取り付けられており、これら受け板106とガイド板107とは前記扇形ブレード104によってすくい上げられたねじをできるだけ多く前記案内溝105aに送り込み可能に構成されている。さらに、前記搬送レール105には前記受け板106よりも先端側に位置する側壁を切欠いた切欠き部110が設けてあり、この切欠き部110は前記案内溝105aに遊嵌されなかった不整列ねじを前記ホッパ内103に自然落下させるように構成されている。この構成によって、搬送レール105の案内溝105aに遊嵌されたねじのみが切欠き部110を通過して最先端に直立した姿勢で供給され、エア吸引式のねじ締め装置は移動するだけで、ねじを吸着することができる。
【0004】
【特許文献1】特開昭60−102313
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この装置では、前記扇形ブレード104によってすくい上げられたねじを前記搬送レール105の案内溝105aへ確実に遊嵌させるために、搬送レール105の一端を傾斜させている。しかも、ねじをねじ締め機のドライバビットの先端に係合可能な姿勢にするため、傾斜した搬送レール105の先端側をねじ曲げ、搬送されるねじを最終的に直立させている。そのため、前記搬送レール105にはねじ曲げる加工が必要となり、機械加工では曲面部の案内溝105aが精度よくできず、手作業で追加工しなければならない。また、搬送レール105を製造するに際し、手作業が必要なため形状のばらつきが発生してしまう問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、部品を吊下して案内し、かつ直線方向に延びる案内溝が設けられた搬送レールと、前記案内溝が所定角傾斜するように前記搬送レールを保持する直進振動部と、搬送レールの先端に到達した部品を直立させるエスケープユニットとを備えることを特徴とする部品供給装置である。また、前記エスケープユニットは、前記搬送レールの先端に到達した部品を保持する保持溝が設けられたシャトルブロックと、このシャトルブロックを所定角度揺動回転可能なロータリアクチュエータとから構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の部品供給装置では、搬送レールが直線方向に延びる構成なので、機械加工のみで搬送レールを加工することができ、また搬送レールごとのばらつきを低減させることができる。さらに、搬送レールの先端に到達した部品を単純な構成のエスケープユニットによって直立させることができるので、搬送レールをねじれ加工する必要がなくなった。しかも、この部品供給装置では部品点数は増えるものの全体的なコストの低減を図りながら、部品を作業機が取り出し易い姿勢で供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の最良の実施形態を説明する。図1ないし図3において、1は頭付き部品の一例のねじSを整列供給する部品供給装置であり、基台2に取り付けたモータ3を有し、このモータ3の駆動軸3aにはカップリング3bを介して駆動ローラ機構4が取り付けられている。この駆動ローラ機構4は、ローラ軸4aと、このローラ軸4aの両端でこれを回転可能に保持する軸受け台4bと、前記ローラ軸4aに巻き付けられて、後記回転ドラム7を密着させた状態で回転可能な弾性リング4cと、回転ドラム7の位置を規制するストッパ4dとから構成される。また、前記基台2には前記駆動ローラ機構4に対して所定の間隔を有して平行に配置された従動ローラ機構5が取り付けられている。この従動ローラ機構5は前記モータ3の駆動軸3aには連結されておらず、この点以外は駆動ローラ機構4と同様の構成である。これらローラ機構4,5上には回転ドラム7が載置され、前記駆動ローラ機構4の作動により回転可能に構成されている。
【0009】
前記回転ドラム7は有底中空円筒状に形成されており、この回転ドラム7は例えば透明アクリル樹脂で形成され、回転ドラム7内のねじSの残量を確認可能に構成されている。また、この回転ドラム7の内側には複数個のすくい羽根8が設けてあり、このすくい羽根8によって掻き上げられたねじSが後記搬送レール9および後記受け板11上に落下するように構成されている。
【0010】
前記基台2の中央付近には直進振動部12が取り付けられており、この直進振動部12はバイブレータ12aと板ばね12bと振動台12cとから構成されている。この振動台12cの上面には搬送レール固定台10が固定されており、これら振動台12cと搬送レール固定台10とはバイブレータ12aの振動を後記搬送レール9に伝達可能に構成されている。この搬送レール固定台10には前記振動台12cの上面に対してほぼ水平に延びる搬送レール9が取り付けられており、この搬送レール9はその全長にわたって2枚の側壁を有し、これら側壁により、ねじSが遊嵌されるに十分な幅を持つ案内溝9aが形成されている。また、この搬送レールは9は、案内溝9aが所定角傾斜するように取り付けられており、ねじSが一方の側壁に案内されて前進可能に構成されている。
【0011】
前記搬送レール9の後退端は前記回転ドラム7に囲まれるように配置されており、回転ドラム7の回転にともないすくい羽根8により掻き上げられたねじSが搬送レール9の端部上に落下するように構成されている。また、この搬送レール9の後退端には受け板11が固定されており、前記回転ドラム7内から落下するねじSを前記案内溝9a内に送り込むように構成されている。さらに、前記搬送レール9には受け板11より前進側に位置する側壁を切欠いた切欠き部16が設けてあり、この切欠き部16は前記搬送レール9の案内溝9aに脚部が案内されていない不整列なねじSを自然落下により回動ドラム7内に落下させるように構成されている。
【0012】
前記搬送レール9にはその上方に位置して当該ねじSの浮き上がりを防止するための押さえ部材13が連結板14によって固定されており、前記直進振動部12の作動により前記切欠き部16を通過したねじSのみが前記搬送レール9の先端に到達するように構成されている。
【0013】
前記搬送レール9の先端付近には取付具19を介してエスケープユニット17が設けられており、このエスケープユニット17は駆動軸20aを持つロータリアクチュエータ20を有している。このロータリアクチュエータ20は作業開始信号により所定時間間隔でエアの吸排を繰り返し、駆動軸20aを所定角度往復回転させるように構成されている。また、前記ロータリアクチュエータ20の駆動軸20aにはシャトルブロック18が一体に連結され、前記搬送レール9の延びる方向に対して垂直に交わる方向に揺動可能に構成されている。このシャトルブロック18は四角柱状に形成されており、当該シャトルブロック18の上面にはその上面を切欠いて搬送レール9の案内溝9aに連設可能で、かつ1個のねじSを保持する幅を備えた保持溝18aが設けられている。さらに、このシャトルブロック18は、前記搬送レール9の案内溝9aと対向する位置と、保持溝18aが直立する位置との間で往復移動するように規制されており、保持溝18aに保持されるねじSを取り出し易い姿勢で供給可能するように構成されている。
【0014】
前記取付具19の上面にはセンサ21が取り付けられており、このセンサ21は保持溝18aが直立する位置まで前記シャトルブロック18が揺動した時、シャトルブロック18上のねじSを検出するように構成されている。また、このセンサ21はねじSを検出すると、ロータリアクチュエータ20の作動を停止させるとともに、エア吸引式のねじ締め機(図示せず)にねじ吸着指令信号を送るように構成されている。
【0015】
上記の構成の部品供給装置1の動作を説明する。まず、モータ3が回転し、駆動ローラ機構4のローラ軸4aとともに弾性リング4cが回転する。これにともない、回転ドラム7が回転し、回転ドラム7内に収容されたねじSは回転ドラム7のすくい羽根8により掻き上げられ、搬送レール9および受け板11上に滑落する。この滑落したねじSは直進振動部12の作動により搬送レール9上を移動するが、搬送レール9の案内溝9aに脚部が遊嵌されて吊下されたねじSだけが切欠き部16を通過し、それ以外の不整列なねじSは切欠き部16からは回転ドラム7内に落下する。前記切欠き部16を通過したねじSはさらに前進し、搬送レール9の先端に到達する。このねじSは、最先端ものから、図4に示すように、シャトルブロック18の保持溝18aに保持される。一方、シャトルブロック18は作業開始とともに揺動しているため、ねじSは、図5に示すように、搬送レール9から切り離されて直立姿勢に保持されて、これがセンサ21により検出される。そのため、ロータリアクチュエータ20はその位置で停止し、センサ21からねじ締め機にねじ吸着指令信号が出力され、エア吸引式のねじ締め機がこのねじSを吸着する。その後、シャトルブロック18上のねじSが無くなったことをセンサ21が検出すると、センサ21からの信号により、ロータリアクチュエータ20が作動してシャトルブロック18を原位置に復帰させ、再び搬送レール9上のねじSをシャトルブロック18の保持溝18aに保持することができる。そのため、搬送レール9は直線上に延びる簡単な構造でよく、またシャトルブロック18も簡単な構造でよく、しかもねじ締め機が取り出し易い姿勢でねじSを供給することができる。
【0016】
なお、前記部品供給装置1では、搬送レール9にねじSを供給するのに回転ドラムが用いられているが、この回転ドラムSに換え、ブレードを用いたブレード式の供給方法でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一部を切欠いた正面図である。
【図2】本発明の上面図である。
【図3】図1のA−A線拡大断面図である。
【図4】図1のB−B線拡大断面図である。
【図5】本発明に係るエスケープユニットの動作状態を示す説明図である。
【図6】従来例の部品供給装置の平面図である。
【図7】図6のC−C線要部拡大断面図である。
【図8】図6のD−D線要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 部品供給装置
2 基台
3 モータ
3a 駆動軸
3b カップリング
4 駆動ローラ機構
4a ローラ軸
4b 軸受け台
4c 弾性リング
4d ストッパ
5 従動ローラ機構
7 回転ドラム
8 すくい羽根
9 搬送レール
9a 案内溝
10 搬送レール固定台
11 受け板
12 直進振動部
12a バイブレータ
12b 板ばね
12c 振動台
13 押さえ部材
14 連結板
16 切欠き部
17 エスケープユニット
18 シャトルブロック
18a 保持溝
19 取付具
20 ロータリアクチュエータ
20a 駆動軸
21 センサ
S ねじ
101 部品供給装置
102 基台
103 ホッパ
104 扇形ブレード
105 搬送レール
105a 案内溝
106 受け板
107 ガイド板
108 直進振動部
109 ガイド具
110 切欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を吊下して案内し、かつ直線方向に延びる案内溝が設けられた搬送レールと、前記案内溝が所定角傾斜するように前記搬送レールを保持する直進振動部と、搬送レールの先端に到達した部品を直立させるエスケープユニットとを備えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記エスケープユニットは、前記搬送レールの先端に到達した部品を保持する保持溝が設けられたシャトルブロックと、このシャトルブロックを所定角度揺動回転可能なロータリアクチュエータとから構成されることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−94522(P2008−94522A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275802(P2006−275802)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【Fターム(参考)】