説明

部品供給装置

【課題】コストを低減できるとともに、装置をコンパクト化できる部品供給装置を提供する。
【解決手段】ワークWを前方向に向けて摺動可能な第一ガイド部51を有する切出シュート50と、第一ガイド部51との間に隙間10bを空けた状態で、ワークWが第一ガイド部51より進入可能であるとともに、所定の搬送先に向けてワークWを摺動可能な第二ガイド部81、およびワークWの軸部が落下可能であるとともに、ワークWの頭部が落下不能であるスリットが形成される起立シュート80と、ワークWが載置される載置部34、および隙間10bを揺動するストッパ35が形成される整列機構20の整列プレート31と、余剰ワークWの重心を、外側にずらす規制部材60と、整列機構20の整列プレート31に連結され、整列機構20の整列プレート31の上下方向への揺動を行うアクチュエータ40とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト等の頭部を有する軸状のワークを一つずつ供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルト等の頭部を有する軸状のワーク(部品)を一つずつ供給する部品供給装置は、組付ライン等で用いられている。
部品供給装置は、例えば、図14に示すように、振動ボウルフィーダ110でワークW・W・・・を所定の姿勢で整列させた状態で搬送し、振動ボウルフィーダ110と連通する直進振動フィーダ120にワークW・W・・・を移送して、ワークW・W・・・を所定の搬送先まで搬送する。
【0003】
このような振動ボウルフィーダ110は、ワークWの軸方向が搬送方向を向いた状態でワークW・W・・・を搬送する。従って、振動ボウルフィーダ110は、緩やかなカーブを描くようにワークW・W・・・を搬送することとなる。この場合、振動ボウルフィーダ110の形状を大きくする必要があり、対象ワークWの大きさや供給能力(例えば、整列したワークWのストック量等)に対して、装置が大型化してしまう。
特に、振動ボウルフィーダ110は、ワークWの軸方向の長さが長くなったときに搬送できなくなるため、ワークWの搬送軌跡である緩やかなカーブをさらに緩やかにする必要がある。つまり、ワークWの軸方向の長さに比例して、振動ボウルフィーダ110の外径を大きくする必要がある。
【0004】
このような問題を解決するための部品供給装置としては、例えば、特許文献1に開示された部品供給装置(頭付棒状部品供給装置)がある。
特許文献1に開示された部品供給装置は、かき上げ板、シュート、振動体等を具備する。かき上げ板は、その上面でワークを所定の姿勢で載置して、シュートに向けて搬送する。シュートは、かき上げ板より搬送されるワークを振動させて搬送する。振動体は、かき上げ板を振動させる。
このような部品供給装置は、かき上げ板を揺動させて、所定の高さ位置で停止し、振動体によりかき上げ板を振動させる。これにより、所定の姿勢で支持されるワーク以外のワークがかき上げ板から落下する。つまり、振動体は、かき上げプレートに載置されるワークのうち、決まった姿勢で載置されるワークのみを選別する。
そして、さらにかき上げ板を揺動させて、かき上げ板からワークを滑り落としてシュートに搬送する。
【0005】
このような特許文献1に開示された部品供給装置では、かき上げ板を揺動させるためのアクチュエータ、振動体、およびシュートを振動させるための駆動源等、複数のアクチュエータが必要な構成となる。このため、各アクチュエータの制御および調整が複雑となり、コストが増大してしまう。
また、振動体等が振動する場合、部品供給装置自体の騒音、およびワークの接触による騒音が大きくなる。従って、組付ライン等で作業を行う作業者の近傍に部品供給装置を配置すると、作業環境が悪化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−132497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、コストを低減できるとともに、装置をコンパクト化できる部品供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1においては、頭部および頭部より小さな外形の軸部を有するワークの供給を行う部品供給装置であって、前記ワークを一端部に向けて摺動可能な第一ガイド部を有する第一搬送手段と、前記第一搬送手段の一端部側に配置され、前記第一ガイド部との間に前記ワークが摺動可能な隙間を空けた状態で、前記ワークが前記第一ガイド部より進入可能であるとともに、所定の搬送先に向けて前記ワークを摺動可能な第二ガイド部、および前記ワークの軸部が落下可能であるとともに、前記ワークの頭部が落下不能であるスリットが形成される第二搬送手段と、上下方向へ揺動可能であり、前記ワークを前記第一ガイド部側へ摺動可能であるとともに、下方向へ揺動させたときに前記ワークが載置される載置部、および前記第一ガイド部と前記第二ガイド部との隙間を揺動するストッパが形成される整列手段と、前記第一ガイド部に沿って配置され、前記整列手段の載置部より前記第一ガイド部に進出するワークに乗り上げたワークである余剰ワークと当接し、前記余剰ワークの重心を、前記第一ガイド部に進出するワークの重心よりも外側にずらす乗上規制手段と、前記整列手段に連結され、前記整列手段の上下方向への揺動を行う駆動手段と、を具備し、前記駆動手段により、前記整列手段を上方向へ揺動させることで、前記載置部に載置されるワークを第一ガイド部へ進出させ、前記整列手段のストッパにより前記第一ガイド部と前記第二ガイド部との隙間を閉塞し、前記第一ガイド部上を摺動するワークを前記ストッパに当接させて、前記第一ガイド部で保持し、前記駆動手段により、前記整列手段を下方向へ揺動させることで、前記余剰ワークを前記第一ガイド部の外側へ落下させ、前記余剰ワークを落下させた後で、前記整列手段をさらに下方向へ揺動させることで、前記ストッパによる前記隙間の閉塞状態を解除して、前記第一ガイド部で保持するワークを前記第二ガイド部へ進出させ、前記第二ガイド部上を摺動させながら前記ワークの軸部を前記スリットに落下させることで、前記ワークを起立させた状態で前記ワークの供給を行う、ものである。
【0009】
請求項2においては、前記第一ガイド部の他端部側に配置され、前記整列手段に向けて前記ワークを摺動させるテーパ部が形成される落下手段をさらに具備し、前記落下手段のテーパ部には、前記整列手段の載置部に載置されるワークのうち、前記ストッパと当接するワーク以外のワークが載置される、ものである。
【0010】
請求項3においては、前記ワークの供給を監視する検出手段をさらに具備する、ものである。
【0011】
請求項4においては、前記ワークの頭部および軸部は、外形が円柱状である、ものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、一つのアクチュエータでワークを供給するため、コストを低減できるとともに、装置をコンパクト化できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】部品供給装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】同じく側面断面図。
【図3】同じく平面断面図。
【図4】同じく正面断面図。
【図5】整列プレートを上方向へ揺動させた状態を示す側面断面図。
【図6】整列プレートを上方向へ揺動させたときのワークの動作を示す説明図。(a)前側に位置するワークの動作を示す図。(b)後側に位置するワークの動作を示す図。
【図7】切出シュートに載置されるワークを示す側面断面図。
【図8】整列プレートを下方向へ揺動させたときのワークの動作を示す説明図。(a)前側に位置するワークの動作を示す図。(b)後側に位置するワークの動作を示す図。
【図9】整列プレートを揺動させたときの前側の余剰ワークの動作を示す説明図。(a)上方向へ揺動させたときの状態を示す図。(b)余剰ワークが摺動する状態を示す図。(c)下方向へ揺動させたときの状態を示す図。
【図10】整列プレートを揺動させたときの後側の余剰ワークの動作を示す説明図。(a)余剰ワークが摺動する状態を示す図。(b)下方向へ揺動させたときの状態を示す図。
【図11】起立シュートへワークが摺動する状態を示す側面断面図。
【図12】頭部が前方向に位置するワークを起立させる状態を示す側面断面図。
【図13】軸部が前方向に位置するワークを起立させる状態を示す側面断面図。
【図14】従来の部品供給装置の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る部品供給装置の実施の一形態である部品供給装置1について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、部品供給装置1は、装置本体10に投入される複数のワークW(部品)から、一つのワークWの供給を行う(ワークWを切り出す)ものである。部品供給装置1は、例えば、組付ライン等に設置される。
【0016】
図3に示すように、部品供給装置1により供給されるワークWは、頭部W1および軸部W2を有する。
【0017】
頭部W1は、その外径が軸部W2の外径よりも大きな略円盤状に形成される。
【0018】
軸部W2は、頭部W1の略中央部より頭部W1の厚み方向に沿って突出する。つまり、軸部W2は、それぞれ頭部W1よりも小さな外径を有する略棒状に形成される。
【0019】
このように、ワークWは、頭部W1を有する軸状の部材である。このようなワークWとしては、例えば、キャップボルト等がある。
【0020】
なお、以下では、説明の便宜上図2における紙面の上下方向を基準として部品供給装置1の上下方向を規定する。また、図2における紙面の左方向を前方向として部品供給装置1の前後方向を規定する。そして、図2における紙面の手前側に向かう方向を左方向として部品供給装置1の前後方向を規定する。
【0021】
図1および図2に示すように、部品供給装置1は、装置本体10、整列機構20、アクチュエータ40、切出シュート50、規制部材60、ガイドレール70、起立シュート80、および検出センサ90等を具備する。
【0022】
装置本体10は、その内側に中空部分を有する略箱状の部材である。装置本体10の前側面の上下中途部には、外部に開口する開口部10aが形成される。装置本体10には、蓋部11、ピン12、および固定部材13等が取り付けられる。
【0023】
蓋部11は、装置本体10の上端部に着脱可能に取り付けられる。本実施形態の各ワークW・W・・・は、蓋部11を取り外して投入される(図4に示す矢印A参照)。
なお、各ワークW・W・・・を投入する構成はこれに限定されるものでなく、例えば、蓋部11に代えて外部に開口する開口部を装置本体10の後上部に形成し、当該開口部から各ワークW・W・・・を投入しても構わない。
【0024】
ピン12は、装置本体10の前側にその軸心方向が左右方向に対して平行となるように、装置本体10に回動可能に支持される。
【0025】
固定部材13は、略リング状の部材の一部を切り取ったような形状を有するとともに、装置本体10の前側面および左右両側面に沿った形状を有し、装置本体10に揺動不能に支持される。固定部材13には、連通孔13aが形成される。
【0026】
図2および図3に示すように、連通孔13aは、固定部材13の右側部に形成され、固定部材13の後面側から前下方向に沿って固定部材13を貫通する孔部である。連通孔13aは、ワークWの頭部W1の外径よりもやや大きな内径を有する略円柱状に形成される。連通孔13aは、その内側に位置するワークWがその自重によって前方向に向かって摺動するように、水平方向に対して所定の角度で傾斜している。
【0027】
整列手段としての整列機構20は、各ワークW・W・・・を所定の姿勢で整列させるものである。整列機構20は、装置本体10の後側に設けられ、取付部材21および整列プレート31を備える。
【0028】
取付部材21は、その後側面および左側面が装置本体10の後側面および左側面に沿った形状であるとともに、その前側面が固定部材13の外周面に沿った形状であり、装置本体10の上下中途部に取り付けられる。取付部材21には、テーパ部22および切欠部23が形成される。
【0029】
図4に示すように、テーパ部22は、取付部材21の上面であり、装置本体10の右側に向かうにつれて下方向へ傾斜する傾斜面に形成されている。テーパ部22の右端部は、側面視において固定部材13の連通孔13aよりも下方に位置する(図2参照)。
このようなテーパ部22に各ワークW・W・・・が載置されたとき、各ワークW・W・・・は、それぞれその自重によってテーパ部22に沿って摺動する。つまり、各ワークW・W・・・は、それぞれテーパ部22より滑り落ちて、装置本体10の右側に向かって移動する(図3および図4に二点鎖線で示す矢印参照)。
【0030】
切欠部23は、取付部材21の右端部に形成され、取付部材21の前端部から後部まで前後方向に長く延びた隙間である。切欠部23は、取付部材21を上下方向に貫通する。このような切欠部23は、各ワークW・W・・・が落下可能であるとともに、後述する整列プレート31が揺動可能に構成される。
【0031】
整列プレート31は、取付部材21の右側に配置されるとともに、その一部が取付部材21の切欠部23の内側(本実施形態では装置本体10の右側)に配置される。図1および図2に示すように、整列プレート31には、直線部32と湾曲部33と載置部34とストッパ35とが形成される。
【0032】
直線部32は、その上端部がピン12へ揺動可能に支持される。直線部32の上下中途部は、連結部材43(図5参照)を介してアクチュエータ40に連結される。
【0033】
湾曲部33は、直線部32の後下部よりピン12の軸心を中心として図2において反時計回り方向に突出する部分である。つまり、直線部32の上下途中部から下端部にかけての範囲が、ピン12の軸心を中心として図2における反時計回り方向に延出した形状に形成されている。
湾曲部33の左右方向の長さ寸法は、取付部材21の切欠部23の左右方向の長さ寸法よりも短くなる。また、湾曲部33は、切欠部23内を摺動可能な大きさの外径を有する(ピン12の中心から切欠部23の後端側面までの寸法と湾曲部33の外径寸法とが略同一に形成される)とともに、固定部材13の外径よりも大きな内径を有する。
つまり、湾曲部33は、切欠部23内を上下摺動可能に構成される。言い換えれば、切欠部23は整列プレート31の湾曲部33が上下摺動可能に構成されている。
【0034】
載置部34は、湾曲部33の上面であり、各ワークW・W・・・が右側へ摺動可能となるように、湾曲部33の右側に向かうにつれて下方向へ傾斜するような傾斜面に形成される。本実施形態の載置部34は、同時に二つのワークW・Wが載置可能となるように、その前後方向の長さ寸法(つまり、湾曲部33の外径と内径との差)が設定される。
図2に示す状態において、載置部34は、固定部材13および取付部材21の切欠部23の間に配置される。
【0035】
ここで、ワークWの軸方向が前後方向を向いて載置部34に載置された場合、ワークWの頭部W1および軸部W2が載置部34に支持される。従って、ワークWは、側面視において、その軸方向が載置部34の傾斜方向と平行ではない(載置部34の傾斜方向に対して緩やかに傾斜する)が、図2から図13においては、説明の便宜上、ワークWの軸方向と載置部34(および後述する各ガイド部51・81)の傾斜方向とを平行としている。
【0036】
以下では、このような整列プレート31の載置部34(および後述する各ガイド部51・81)に載置され、平面視においてワークWの軸方向が前後方向を向いた姿勢を、「搬送姿勢」と表記する。
載置部34は、搬送姿勢で載置されるワークWを右側へ摺動可能である。
【0037】
ストッパ35は、湾曲部33の前上端部より右方向に延出し、固定部材13の外周面に沿って湾曲部33より上方向へ突出する。つまり、ストッパ35は、整列プレート31の上方向への揺動方向に沿って突出する。
【0038】
駆動手段としてのアクチュエータ40は整列機構20の整列プレート31に連結され、整列プレート31の載置部34を上下方向へ揺動させるものである。アクチュエータ40は、既存の電動シリンダ等によって構成され、装置本体10の下側に、ロッド41が前側に配置されるとともに、ロッド41の伸縮方向が前後方向を向くように配置される。アクチュエータ40の後端部は、ピン42等を介して装置本体10に回動可能に支持される。
このようなアクチュエータ40は、ロッド41の収縮動作によって、その後端部が回動するとともにピン12を回動させ、整列プレート31をピン12を中心として回動させて、載置部34を上下方向へ揺動させる。
【0039】
なお、アクチュエータ40の構成は、整列プレート31の上下方向への揺動を行うことが可能な構成であれば、本実施形態に限定されるものでない。すなわち、アクチュエータ40は、流体シリンダ等であっても構わない。また、正逆回転可能なモータによりピン12を回動させるような構成であっても構わない。
【0040】
図2および図4に示すように、整列プレート31の載置部34の左端部が取付部材21のテーパ部22の右端部よりも低い位置となるまで整列プレート31を下方向へ揺動させたとき、テーパ部22に位置する各ワークW・W・・・は、搬送姿勢で載置部34に落下する。このとき、整列プレート31のストッパ35は、固定部材13の連通孔13aよりも低い位置に位置する。
【0041】
以下において、整列プレート31を下方向へ揺動させたときに、取付部材21のテーパ部22に位置する各ワークW・W・・・が整列プレート31の載置部34に落下するとともに、整列プレート31のストッパ35が固定部材13の連通孔13aよりも低い位置に位置する位置を「整列プレート31の下降端」と表記する。
【0042】
第一搬送手段としての切出シュート50は、ワークWを前方向に搬送するものである。図3および図4に示すように、切出シュート50は、略板状の部材の板面が前後方向を向いた状態で装置本体10の右側面に取り付けられ、整列プレート31の右側に配置される。切出シュート50の後端部は、装置本体10の後側面と当接する。また、切出シュート50の下端部と取付部材21の下端部とは、互いに同じ高さ位置に位置する。
つまり、搬送姿勢のワークWを整列プレート31の載置部34で載置したとき、左方向にワークWが落下しないように、載置部34と切出シュート50の左側面52とによりワークWの外周面を支持する。切出シュート50には、第一ガイド部51が形成される。
【0043】
第一ガイド部51は、切出シュート50の上面であり、搬送姿勢で載置されるワークWを前方向(一端部)に向けて摺動可能となるように、左右中央部に向けて下方向へ傾斜するようなテーパ状に形成される。つまり、搬送姿勢で摺動するワークWが左右方向に落下しないように正面視略V字状に形成される。また、図2に示すように、固定部材13の連通孔13aの後方に配置され、連通孔13aの傾斜角度と略同一の角度で傾斜している。
【0044】
このような切出シュート50と固定部材13との間には、整列プレート31のストッパ35が揺動可能となるとともに、ワークWが摺動可能となる程度の隙間10bが形成される。
つまり、切出シュート50の第一ガイド部51に搬送姿勢で載置されるワークWは、第一ガイド部51の前端部まで摺動した後で、隙間10bを跨いで後述する起立シュート80の第二ガイド部81に進出する。
【0045】
乗上規制手段としての規制部材60は、図2および図4に示すように、略板状の部材であり、切出シュート50の第一ガイド部51の傾斜角度と略同一の角度だけ傾斜した状態で第一ガイド部51の上方に配置され、装置本体10の右側面に取り付けられる。つまり、規制部材60は、第一ガイド部51に沿って配置される。
【0046】
落下手段としてのガイドレール70は、略板状の部材の上下中途部を左方向に向けて折り曲げて、左方向に向かうにつれて下方向へ傾斜するテーパ部71が形成される。ガイドレール70は、規制部材60の傾斜角度と略同一の角度だけ傾斜した状態で、規制部材60の左側面に取り付けられる。
つまり、ガイドレール70は、切出シュート50の第一ガイド部51よりも上方に位置する。また、図3および図4に示すように、テーパ部71の左端部は、第一ガイド部51の左端部と同じ位置に位置する。
【0047】
ガイドレール70は、一つのワークWが搬送姿勢で載置可能となるように、その前後方向の長さ寸法が設定される。つまり、ガイドレール70の長さ寸法は、ワークWの長さ寸法と略同一か、またはワークWの長さ寸法よりも若干長い程度の寸法に設定される。
【0048】
図6(b)に示すように、整列プレート31の載置部34の右端部とガイドレール70のテーパ部71の左端部との高さ位置が同じ高さ位置となるまで、整列プレート31を上方向へ揺動させたとき、載置部34とテーパ部71とにより、正面視略V字状の溝が形成される。以下では、このような略V字状の溝を「溝部72」と表記する。
【0049】
図1および図2に示すように、第二搬送手段としての起立シュート80は、ワークWを起立させるものである。
【0050】
なお、本実施形態において「起立」とは、頭部W1がワークWの上側に位置した状態で、ワークWの軸方向と上下方向とが同じ方向を向いている状態(首吊り状態)であることを指す。
【0051】
起立シュート80は、装置本体10の前端部に取り付けられる。つまり、起立シュート80は、切出シュート50の前端部側(一端部側)に配置される。このような起立シュート80には、第二ガイド部81、スリット82、および支持部83が形成される。
【0052】
第二ガイド部81は、起立シュート80の上面であり、切出シュート50の第一ガイド部51と略同一の形状を有する。第二ガイド部81の後端部は、固定部材13の連通孔13aの後端部まで延出し、第一ガイド部51より進出するワークWを進入可能に構成される。
【0053】
つまり、隙間10bは切出シュート50の第一ガイド部51と起立シュート80の第二ガイド部81との間の隙間である。また、第二ガイド部81は、隙間10bを空けた状態でワークWが第一ガイド部51より進入可能である。
【0054】
このような起立シュート80の第二ガイド部81は、切出シュート50の第一ガイド部51の傾斜角度と略同一の角度で傾斜している。つまり、第二ガイド部81に搬送姿勢で載置されるワークWは、その自重によって前方向へ摺動する。
【0055】
図5に示すように、整列プレート31を上方向へ揺動させて溝部72を形成するとき、整列プレート31のストッパ35は、隙間10bを上方向へ揺動して隙間10bより突出して隙間10bを閉塞する。これにより、ワークWは、起立シュート80の第二ガイド部81に進出不能となる。
【0056】
以下において、整列プレート31を上方向へ揺動させたときに、整列プレート31の載置部34とガイドレール70のテーパ部71とにより溝部72が形成されるとともに、整列プレート31のストッパ35が隙間10bを閉塞する位置を「整列プレート31の上昇端」と表記する。
【0057】
図1および図2に示すように、スリット82は、起立シュート80の第二ガイド部81の左右中央部に形成され、起立シュート80を上下方向に貫通するような隙間である。スリット82は、装置本体10の外側に、つまり、第二ガイド部81の、装置本体10の開口部10aに対応する位置より前側に形成される。スリット82の左右方向の幅は、ワークWの軸部W2の外径以上であるとともに、ワークWの頭部W1の外径よりも小さくなる。つまり、スリット82は、ワークWの頭部W1が落下不能であるとともに、ワークWの軸部W2が落下可能である。
【0058】
支持部83は、起立シュート80の第二ガイド部81の前端部に形成される側面視略四角形状の部分である。支持部83の後端部には、起立シュート80のスリット82と連通し、平面視略C状に支持部83を上下方向に貫通する貫通孔84が形成される。
本実施形態の貫通孔84の内径は、スリット82の左右方向の幅よりもやや大きく、ワークWの頭部W1よりも小さい。つまり、貫通孔84は、ワークWの頭部W1が落下不能であるとともに、ワークWの軸部W2が落下可能である。
【0059】
貫通孔84にワークWの軸部W2が落下した状態でワークWの摺動が停止したとき、ワークWは起立した状態となる。起立したワークWは、作業者または所定の装置により取り出される。つまり、本実施形態では、起立シュート80の支持部83がワークWの搬送先である。
このように、起立シュート80の第二ガイド部81は、所定の搬送先に向けてワークWを摺動可能な構成である。
【0060】
検出手段としての検出センサ90は、例えば、規制部材60の前側の上方に配置され、切出シュート50の第一ガイド部51にワークWが載置されているかを監視する。このような検出センサ90は、既存のレーザセンサ等によって構成される。
【0061】
このように構成される部品供給装置1は、蓋部11を開けて装置本体10に各ワークW・W・・・が投入され、当該各ワークW・W・・・が装置本体10、固定部材13、取付部材21、および整列プレート31により囲まれる空間に貯溜される。以下では、このような各ワークW・W・・・が貯溜される空間を、「ホッパー部10c」と表記する。
【0062】
次に、部品供給装置1の動作について説明する。
なお、説明の便宜上、整列プレート31は、下降端に位置しているものとする。また、ワークWが貯溜されていない状態のホッパー部10cに、各ワークW・W・・・を投入するところから部品供給装置1の動作を開始するものとする。
【0063】
まず、図4に示すように、蓋部11を開けて、各ワークW・W・・・をホッパー部10cに投入する。投入された各ワークW・W・・・は、その自重によって取付部材21のテーパ部22(ホッパー部10cの底部)に沿って摺動する。つまり、各ワークW・W・・・は、整列プレート31の載置部34に向かって摺動する。
【0064】
整列プレート31が下降端に位置している場合、各ワークW・W・・・の一部は、取付部材21の切欠部23より落下し、整列プレート31の載置部34に載置される。
このように、部品供給装置1は、アクチュエータ40のロッド41を伸ばすことにより、整列機構20の整列プレート31(載置部34)を下方向へ揺動させて、載置部34にワークWを載置する。
【0065】
ここで、図2に示すように、整列プレート31の載置部34は、二つのワークW・Wが載置可能となるような長さ寸法である。
以下では、頭部W1が前側に位置した状態の二つのワークW・Wが、搬送姿勢で載置部34に前後方向に並んだ状態で載置されたものとして説明を行う。また、前後方向に並んだ二つのワークW・Wのうち、前側に位置するワークWを「前側のワークW10」、後側に位置するワークWを「後側のワークW20」と表記する。
【0066】
図2および図5に示すように、整列プレート31の載置部34に各ワークW10・W20が載置された後で、整列プレート31を上方向へ揺動させる(図2に示す矢印U参照)。つまり、各ワークW10・W20をかき上げる。このとき、各ワークW10・W20は、それぞれ切出シュート50の左側面52と整列プレート31の載置部34とに支持されて、上方向へ揺動する。
【0067】
図6(a)および図6(b)に示すように、整列プレート31を上昇端まで揺動させたとき、各ワークW10・W20は、その自重によって右側へ摺動する。
このように、部品供給装置1は、アクチュエータ40のロッド41を縮めることにより、整列機構20の整列プレート31(載置部34)を上方向へ揺動させて、載置部34に載置される前側のワークW10を切出シュート50の第一ガイド部51へ進出させる。
また、載置部34は、各ワークW10・W20を第一ガイド部51側へ摺動可能な構成である。
【0068】
整列プレート31を上昇端まで揺動させたとき、図7に示すように、整列プレート31のストッパ35は、切出シュート50の第一ガイド部51と起立シュート80の第二ガイド部81との間の隙間10bを閉塞する。
従って、前側のワークW10は、第一ガイド部51上を前方向へ摺動しようとするが、その頂部(頭部W11の一端面)がストッパ35と当接する。つまり、前側のワークW10は、第一ガイド部51に支持された状態で、その摺動を停止する。言い換えれば、第一ガイド部51は、前側のワークW10を保持する。
【0069】
一方、後側のワークW20は、図6(b)および図7に示すように、溝部72に支持される。そして、後側のワークW20は溝部72上を前方向へ摺動しようとするが、その頂部(頭部W21の一端面)が前側のワークW10の軸部W12と当接する。つまり、後側のワークW20は、溝部72に支持された状態で、その摺動を停止する。言い換えれば、溝部72は後側のワークW20を保持する。
仮に、前側のワークW10がない場合、後側のワークW20は、溝部72上を前方向へ向かって摺動し、切出シュート50の第一ガイド部51に保持される。
【0070】
各ワークW10・W20の摺動が停止した後で、整列プレート31を下方向へ揺動させる(図5および図7に示す矢印D参照)。
【0071】
このとき、図8(a)に示すように、前側のワークW10は、整列プレート31を下方向へ揺動させても、前側のワークW10は、切出シュート50の第一ガイド部51に保持されたままである。
【0072】
一方、後側のワークW20は、図8(b)に示すように、整列プレート31を下方向へ揺動させると、ガイドレール70のテーパ部71に載置されることとなり、ガイドレール70より滑り落ちる。
このように、テーパ部71は、切出シュート50の第一ガイド部51の後端部(他端部)側に配置され、整列機構20の整列プレート31(載置部34)に向けて後側のワークW20を摺動させる。
【0073】
ここで、図9(a)に示すように、整列プレート31は、上下方向に沿って複数のワークW10・W30を載置部34に載置した状態で、上昇端まで揺動する場合がある。この場合、図9(b)および図10(a)に示すように、切出シュート50の第一ガイド部51および溝部72にて各ワークW10・W20に別のワークW30・W40が乗り上げる場合がある。
【0074】
以下では、このような前側のワークW10および後側のワークW20に乗り上げたワークWを「前側の余剰ワークW30」および「後側の余剰ワークW40」と表記する。
【0075】
図9(b)に示すように、前側の余剰ワークW30の右側面には、規制部材60の左側面が当接する。このため、前側の余剰ワークW30は、規制部材60の左右方向の幅だけ前側のワークW10よりも左側に位置することとなる。つまり、前側の余剰ワークW30の重心は、規制部材60により、前側のワークW10の重心よりも左側にずらされた状態となる(図9(b)に示す線L1・L2参照)。
また、前側の余剰ワークW30は、前方向へ摺動しようとするが、その頭部が整列プレート31のストッパ35と当接するため、前方向へ摺動できない。
【0076】
このような状態で整列プレート31を下方向へ揺動させると、図9(c)に示すように、前側の余剰ワークW30は、前側のワークW10より左側に滑り落ち、切出シュート50の第一ガイド部51の外側(整列プレート31の載置部34または取付部材21のテーパ部22)に落下する。
このように、規制部材60は、整列機構20の整列プレート31(載置部34)より第一ガイド部51に進出する前側の余剰ワークW30と当接し、前側の余剰ワークW30の重心を、第一ガイド部51に進出する前側のワークW10の重心よりも左側(前側のワークW10の第一ガイド部51上における摺動方向と直交する方向の外側)にずらす乗上規制手段として機能する。
【0077】
図10(a)に示すように、後側の余剰ワークW40の右側面には、ガイドレール70の左側面が当接する。つまり、後側の余剰ワークW40は、後側のワークW20の右上側に乗り上げた状態となる。
この場合、後側の余剰ワークW40の重心は、図10(b)に示すように、後側のワークW20の重心よりも右側にずらされることとなるが、整列プレート31を下方向へ揺動させたときに、後側のワークW20とともに、切出シュート50の第一ガイド部51の外側に落下する。
【0078】
仮に、前側の余剰ワークW30がない場合、後側の余剰ワークW40は、前方向へ摺動し、前側のワークW10に乗り上げた状態となる。この場合、規制部材60によりその重心が前側のワークW10よりも右側にずらされ、整列プレート31を下方向へ揺動させたときに、前側のワークW10より滑り落ちる(図9(b)および図9(c)参照)。
【0079】
このように、部品供給装置1は、アクチュエータ40のロッド41を伸ばすことにより、整列プレート31を下方向へ揺動させて、各余剰ワークW30・W40を切出シュート50の第一ガイド部51の外側へ落下させる。また、溝部72に支持される後側のワークW20をガイドレール70より落下させる。
つまり、整列プレート31を下方向へ揺動させたとき、前側のワークW10のみが第一ガイド部51に載置される。
【0080】
また、ガイドレール70のテーパ部71には、整列機構20の整列プレート31(載置部34)に載置される各ワークW10・W20のうち、整列プレート31のストッパ35と当接するワークW10以外のワークW20が載置される。
【0081】
仮に、整列プレート31の載置部34に三つのワークW・W・Wが搬送姿勢で載置可能な構成である場合、ガイドレール70は、後側の二つのワークW・Wを搬送姿勢で載置可能な長さ寸法に設定される。そして、ガイドレール70は、三つのワークW・W・Wのうち最も前側のワークWだけを切出シュート50の第一ガイド部51に載置するような位置に配置される。
また、ガイドレール70のテーパ部71(溝部72)は、最も前側のワークWの頭部W1が前側に位置するとともに、その後側のワークWの軸部W2が前側に位置する場合でも、互いの軸部W2同士が当接するように構成される。
【0082】
後側のワークW20および各余剰ワークW30・W40を切出シュート50の第一ガイド部51の外側へ落下させた後で、図7および図11に示すように、整列プレート31をさらに下方向へ揺動させる。このとき、整列プレート31のストッパ35は、各ガイド部51・81よりも下側へ揺動し、隙間10bの閉塞状態を解除する。従って、第一ガイド部51で保持される前側のワークW10は、起立シュート80の第二ガイド部81(固定部材13の連通孔13a内)に進入する。
このようにストッパ35は、隙間10bを上下方向へ揺動する。
【0083】
起立シュート80の第二ガイド部81に進入した前側のワークW10は、前方向に向かって摺動し、前側のワークW10の前端部(図11では頭部W11)が装置本体10の外側まで移動する。
このとき、前側のワークW10は、第二ガイド部81上を摺動しながら徐々に起立されていき、起立シュート80の支持部83にて完全に起立された状態となる。
【0084】
ここで、頭部W11が前側に位置する場合と、頭部W11が後側に位置する場合とで、前側のワークW10が起立されるまでの動作が異なる。
従って、以下では、まず、図12を参照して、頭部W11が前側に位置する場合の前側のワークW10の動作について説明する。
【0085】
頭部W11が装置本体10の外側まで摺動した前側のワークW10は、その頭部W11が起立シュート80のスリット82上を摺動することとなる(図12に示す前側のワークW10A参照)。ここで、スリット82の左右方向の幅が前側のワークW10の頭部W11の外径よりも小さいため、前側のワークW10の頭部W11はスリット82に落下しない。
従って、前側のワークW10は、そのままの姿勢で、起立シュート80の第二ガイド部81上を前方向に向かって摺動する(図12に示す前側のワークW10B参照)。
【0086】
そして、軸部W12の後端部が装置本体10の外側まで摺動したとき、軸部W12が前側のワークW10の自重によって起立シュート80のスリット82に落下する(図12に示す前側のワークW10C参照)。このとき、前側のワークW10の頭部W11は、起立シュート80の第二ガイド部81に支持される。
つまり、前側のワークW10は、前方向へ摺動しながら、その頭部W11を中心として図12における時計回り方向に回動する(図12に示す前側のワークW10C・W10D参照)。
【0087】
図12における時計回り方向に回動した前側のワークW10は、その軸方向が上下方向を向いた状態で起立シュート80の第二ガイド部81上を摺動し、起立シュート80の支持部83の貫通孔84にその軸部W12の外周面が当接して、その摺動を停止する。これにより、前側のワークW10は起立した状態で支持部83に支持される。
【0088】
次に、図13を参照して、軸部W12が前側に位置する場合の前側のワークW10の動作について説明する。
【0089】
軸部W12が装置本体10よりも外側まで摺動した前側のワークW10は、その軸部W12が起立シュート80のスリット82上を摺動することとなる(図13に示す前側のワークW10A参照)。ここで、スリット82の左右方向の幅がワークW10の軸部W12の外径以上であるため、前側のワークW10の軸部W12はスリット82に落下する(図13に示す前側のワークW10B参照)。このとき、前側のワークW10の頭部W11は、起立シュート80の第二ガイド部81に支持される。
つまり、前側のワークW10は、前方向へ摺動しながら、その頭部W11を中心として図13における反時計回り方向に回動する(図13に示す前側のワークW10C・W10D参照)。
【0090】
図13における反時計回り方向に回動した前側のワークW10は、その軸方向が上下方向を向いた状態で起立シュート80の第二ガイド部81上を摺動し、起立シュート80の支持部83の貫通孔84にその軸部W12の外周面が当接して、その摺動を停止する。これにより、前側のワークW10は起立した状態で支持部83に支持される。
【0091】
以上のようにして起立シュート80の支持部83に起立した状態で支持される前側のワークW10は、作業者または所定の装置により取り出される。
このように、部品供給装置1は、起立シュート80の第二ガイド部81上を摺動させながら前側のワークW10の軸部W12を起立シュート80のスリット82に落下させることで、前側のワークW10を起立させた状態で前側のワークW10の供給を行う。
【0092】
部品供給装置1は、前側のワークW10の頭部W11および軸部W12のどちらが前側に位置した状態であっても、前側のワークW10を起立可能である。つまり、前側のワークW10の向き(頭部W11および軸部W12の前後方向の位置関係)に関係なく前側のワークW10を起立できる。このため、効率的にワークWの供給を行うことができる。
【0093】
図7に示すように、検出センサ90は、前述のように、切出シュート50の第一ガイド部51に前側のワークW10が載置されているかを監視する。
第一ガイド部51に前側のワークW10が載置されていれば、整列プレート31を下方向へ揺動させることで、前側のワークW10を所定の搬送先に供給できる。このようにして本実施形態の検出センサ90は、ワークWの供給を監視する。
【0094】
仮に、整列プレート31を上昇端まで揺動させたときに、切出シュート50の第一ガイド部51に前側のワークW10が載置されていない場合、部品供給装置1は、もう一度整列プレート31を上下方向へ揺動させる。つまり、ワークWの供給ができないと判定し、ワークWの供給動作をリトライする。
【0095】
これによれば、一回の供給動作でワークWを所定の搬送先に供給できなかった場合でも、ワークWの供給動作を自動的にリトライできる。また、ワークWの供給動作が成功するまで自動的にリトライできるため、確実にワークWの供給を行うことができる。
【0096】
また、部品供給装置1による一回の供給動作にて、起立シュート80の第二ガイド部81上を摺動するワークWは、前側のワークW10だけである。つまり、部品供給装置1は、一回の揺動動作で最大一つのワークWを供給するような構成である。
つまり、ガイドレール70により前側のワークW10だけを切出シュート50の第一ガイド部51に載置するとともに検出センサ90により供給したワークWの個数をカウントすることで、任意設定数のワークWを所定の搬送先に供給できる。
【0097】
なお、検出センサ90は、ワークWの供給を監視できればよく、例えば、起立シュート80の支持部83に取り付けるような構成であっても構わない。
【0098】
各ガイド部51・81に載置される前側のワークW10は、それぞれ上下方向へ摺動(移動)しながら前方向に移動する構成となる。つまり、左右方向には移動しない構成となり、前後方向に沿った直線上にワークWが流れる構成となる。
従って、部品供給装置1の左右方向の寸法は、ホッパー部10cに各ワークW・W・・・を投入できる程度であればよい。具体的には、図4に示すように、投入される各ワークW・W・・・が装置本体10の左側面と整列プレート31の右側面との間を回転できる程度であればよい(図4に示す符号C参照)。
【0099】
このように、部品供給装置1は、左右方向に大きな寸法を要することなく、ワークWを供給できるため、従来技術にあるような振動ボウルフィーダ110を用いた場合と比較して、部品供給装置1の左右方向の寸法を大幅に縮小でき、装置をコンパクト化できる(図3および図14参照)。
【0100】
また、各ワークW・W・・・を投入してから一つのワークW(前側のワークW10)を供給するまでの一連の動作を一つのアクチュエータ40で行う構成であるため、部品供給装置1の制御を簡素化できる。つまり、部品供給装置1のコストを低減できる。
【0101】
本実施形態のワークWに代えて、ワークWの形状(外径および軸方向の長さ等)が異なるワークWを供給する場合、例えば、振動ボウルフィーダ110を具備する従来の部品供給装置では、振動ボウルフィーダ110の形状をワークWの形状に対応させる必要がある(図14参照)。
つまり、段変えにおいて、振動ボウルフィーダ110の形状を調整する必要がある。このような調整作業は困難な作業である。
【0102】
一方、本実施形態の部品供給装置1では、異なるワークWの形状に対応する構成部材(整列プレート31、切出シュート50、起立シュート80等)に取り替える。そして、アクチュエータ40のストローク(つまり、整列プレート31の揺動範囲)および動作速度を調整することで、異なるワークWの形状に対応できる。
これによれば、ワークWの変更に容易に対応できるため、段変えを容易に行うことができる。つまり、段変え性を向上できる。
【0103】
従って、組付ラインでワークを多種供給する(つまり、異なる形状のワークを同じ搬送先に供給する)場合でも、容易な作業で複数の部品供給装置1・1・・・を設置できる。
【0104】
本実施形態の部品供給装置1によれば、振動によりワークWを搬送しない構成となる。
従って、部品供給装置1自体より騒音が発生することを防止できる。また、ワークWを振動させて搬送する場合と比較して、ワークW同士が接触することが少ない。つまり、振動によりワークWを搬送する構成の部品供給装置と比較して、騒音の発生を低減できる。
このため、組付ライン等で作業を行う作業者の近傍に部品供給装置1を配置した場合でも、作業環境の悪化を防止できる。
【0105】
つまり、従来技術にあるような振動ボウルフィーダ110を用いてワークWを多種供給する場合、その形状や騒音により、搬送先の近傍に並列配置できない場合がある(図14参照)。この場合、例えば、振動ボウルフィーダ110を搬送先より離間させ、比較的長い距離をワークWが流れる構成となり、設備全体のスペースが大きくなってしまう。
一方、本実施形態の部品供給装置1は、その形状(左右方向の幅)および騒音が小さいため、搬送先の近傍に並列配置可能である。従って、部品を多種供給する場合でも、複数の部品供給装置1・1・・・を搬送先の近傍に並列配置するだけであるため、設備全体を省スペース化できる。
【0106】
なお、本実施形態では、ガイドレール70により一つのワークW(前側のワークW10)だけを起立シュート80の第二ガイド部81へ進出させる構成としたが、これに限定されるものでない。すなわち、複数のワークW・W・・・を同時に所定の搬送先へ供給する場合や、整列プレート31の載置部34に一つだけワークWを載置するような形状である場合、ガイドレール70を用いる必要はない。
ただし、載置部34に一つだけワークWを載置するような形状である場合、ワークWの供給動作のリトライ回数が増える可能性がある。このため、載置部34は、複数のワークW・W・・・を載置するような形状であることが好ましい。
【0107】
ワークWは、本実施形態に限定されるものでない。ただし、六角ボルト等のように外形に頂点部分があるような部材を供給する場合、各ガイド部51・81の形状は、各ガイド部51・81上を摺動する際のワークWの支持状態(つまり、ワークWがどのように各ガイド部51・81に支持されているか)を考慮する必要がある。
【0108】
具体的には、ワークWは、前記頂点部分が、各ガイド部51・81の左右中央部と当接した状態で摺動する場合と、各ガイド部51・81のテーパ部分の中途部と当接した状態で摺動する場合とを想定し、どちらの場合でもワークWが摺動可能な形状とする必要がある。
また、どちらの場合でも各ガイド部51・81上を摺動するようにアクチュエータ40のストロークを調整する必要がある。
そして、どちらの場合でも前側の余剰ワークW30が前側のワークW10より落下するように規制部材60の左右方向の寸法を設定する必要がある。
【0109】
ワークWは、各ガイド部51・81上を摺動するワークWの支持状態を考慮する必要がないという観点から、頭部W1および軸部W2の外形が円柱状の部材であることが好ましい。
【符号の説明】
【0110】
1 部品供給装置
10b 隙間
20 整列機構(整列手段)
34 載置部
35 ストッパ
40 アクチュエータ(駆動手段)
50 切出シュート(第一搬送手段)
51 第一ガイド部
60 規制部材(乗上規制手段)
80 起立シュート(第二搬送手段)
81 第二ガイド部
82 スリット
W・W10・W20 ワーク
W1・W11・W21 頭部
W2・W12・W22 軸部
W30・W40 余剰ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部および頭部より小さな外形の軸部を有するワークの供給を行う部品供給装置であって、
前記ワークを一端部に向けて摺動可能な第一ガイド部を有する第一搬送手段と、
前記第一搬送手段の一端部側に配置され、
前記第一ガイド部との間に前記ワークが摺動可能な隙間を空けた状態で、前記ワークが前記第一ガイド部より進入可能であるとともに、所定の搬送先に向けて前記ワークを摺動可能な第二ガイド部、および前記ワークの軸部が落下可能であるとともに、前記ワークの頭部が落下不能であるスリットが形成される第二搬送手段と、
上下方向へ揺動可能であり、前記ワークを前記第一ガイド部側へ摺動可能であるとともに、下方向へ揺動させたときに前記ワークが載置される載置部、および前記第一ガイド部と前記第二ガイド部との隙間を揺動するストッパが形成される整列手段と、
前記第一ガイド部に沿って配置され、前記整列手段の載置部より前記第一ガイド部に進出するワークに乗り上げたワークである余剰ワークと当接し、前記余剰ワークの重心を、前記第一ガイド部に進出するワークの重心よりも外側にずらす乗上規制手段と、
前記整列手段に連結され、前記整列手段の上下方向への揺動を行う駆動手段と、
を具備し、
前記駆動手段により、前記整列手段を上方向へ揺動させることで、前記載置部に載置されるワークを第一ガイド部へ進出させ、
前記整列手段のストッパにより前記第一ガイド部と前記第二ガイド部との隙間を閉塞し、前記第一ガイド部上を摺動するワークを前記ストッパに当接させて、前記第一ガイド部で保持し、
前記駆動手段により、前記整列手段を下方向へ揺動させることで、前記余剰ワークを前記第一ガイド部の外側へ落下させ、
前記余剰ワークを落下させた後で、前記整列手段をさらに下方向へ揺動させることで、前記ストッパによる前記隙間の閉塞状態を解除して、前記第一ガイド部で保持するワークを前記第二ガイド部へ進出させ、
前記第二ガイド部上を摺動させながら前記ワークの軸部を前記スリットに落下させることで、前記ワークを起立させた状態で前記ワークの供給を行う、
部品供給装置。
【請求項2】
前記第一ガイド部の他端部側に配置され、前記整列手段に向けて前記ワークを摺動させるテーパ部が形成される落下手段をさらに具備し、
前記落下手段のテーパ部には、
前記整列手段の載置部に載置されるワークのうち、前記ストッパと当接するワーク以外のワークが載置される、
請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記ワークの供給を監視する検出手段をさらに具備する、
請求項1または請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記ワークの頭部および軸部は、外形が円柱状である、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−71967(P2012−71967A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219543(P2010−219543)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】