説明

部品内蔵配線板、部品内蔵配線板の製造方法

【課題】両方の面上に実装された外付け実装部品のそれぞれとの関係として電気的特性を向上するような部品内蔵を実現すること。
【解決手段】内蔵部品を接続するための第1の接続領域を備えた第1の配線層と、第1の配線層の第1の接続領域に接続された第1の部品と、第1の部品を埋め込むように、第1の配線層上に積層して位置する板状絶縁層と、板状絶縁層が第1の部品を埋め込むため要している該板状絶縁層の空間領域を避けるように、該板状絶縁層の厚み内に内層配線層として設けられた、内蔵部品を接続するための第2の接続領域を備えた第2の配線層と、第2の配線層から見た方向が、第1の配線層から見た第1の部品の方向とは反対になるように、板状絶縁層に埋め込まれて、該第2の配線層の第2の接続領域に接続された第2の部品とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板厚み内部に部品を位置させた部品内蔵配線板およびその製造方法に係り、特に、両側の面のそれぞれに部品実装がなされる形態に好適な部品内蔵配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型電子機器の小型化、高性能化、多機能化を進展させる基盤技術のひとつとして、受動素子部品を板厚み内部に位置させて部品の配置密度を向上させる部品内蔵配線板が利用されている。内部に位置させる部品としては、例えば、部品単体として流通している表面実装型の受動素子部品を用いることができる。このような部品を使うと、その実装を内層配線層となる配線パターン上に対して、例えばはんだで行うことが容易であり、生産性や効率の点で利点がある。
【0003】
かかる配線板構造においては、内部の部品と配線パターンとの電気的接続は、直接的にはひとつの配線層に対して行われる。このような接続を板厚み方向の導電路設計という観点で見ると、部品から見て板厚み方向のうちの一方の方向には、配線パターンの面どうしの間に設けることができる公知の接続ビアなどを利用して、配線長の短い設計が可能である。しかしながら、板厚み方向のうちの他方の方向には、内蔵のその部品自体の位置を避けるため、実装されている配線層で横方向(板厚み方向に直交する方向)に引き出し、さらに縦方向(板厚み方向)に引き出すように導電路が必要である。
【0004】
したがって、配線板の一方の面上に実装される外付けの部品との関係として、内部の部品は、配線長の短い電気的により好ましい状態での内蔵になるものの、配線板の他方の面上に実装される外付けの部品との関係としては、配線長の長い状態での内蔵にならざるを得ない。配線長の長い状態での内蔵は、電気的特性をさらに向上する上では適性を欠き、また、縦方向の導電路を多く配置させるため配線板の内部がそれだけ混雑することにもなる。
【0005】
なお、板厚み内部に受動素子部品などの部品を位置させた部品内蔵配線板の公知例には、特開2003−197849号公報記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−197849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、板厚み内部に部品を位置させた部品内蔵配線板およびその製造方法において、両側の面に実装された外付け実装部品のそれぞれとの関係として電気的特性を向上するように部品内蔵を実現できる部品内蔵配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である部品内蔵配線板は、内蔵部品を接続するための第1の接続領域を備えた第1の配線層と、前記第1の配線層の前記第1の接続領域に接続された第1の部品と、前記第1の部品を埋め込むように、前記第1の配線層上に積層して位置する板状絶縁層と、前記板状絶縁層が前記第1の部品を埋め込むため要している該板状絶縁層の空間領域を避けるように、該板状絶縁層の厚み内に内層配線層として設けられた、内蔵部品を接続するための第2の接続領域を備えた第2の配線層と、前記第2の配線層から見た方向が、前記第1の配線層から見た前記第1の部品の方向とは反対になるように、前記板状絶縁層に埋め込まれて、該第2の配線層の前記第2の接続領域に接続された第2の部品とを具備することを特徴とする。
【0009】
すなわち、この部品内蔵配線板は、第1の配線層に接続された内蔵の第1の部品と、第2の配線層に接続された内蔵の第2の部品との関係が以下のようである。つまり、第1の配線層から見た第1の部品の方向が、第2の配線層から見た第2の部品の方向と反対になっている。したがって、第1の配線層を挟んで第1の部品と反対の側に位置する外付け実装部品とは、この第1の部品との間で配線長を短くでき、第2の配線層を挟んで第2の部品と反対の側に位置する外付け実装部品とは、この第2の部品との間で配線長を短くできる。よって、両方の面上に実装された外付け実装部品のそれぞれとの関係として電気的特性を向上するように部品内蔵を実現できる。
【0010】
なお、第2の配線層は、板状絶縁層が第1の部品を埋め込むため要しているこの板状絶縁層の空間領域を避けるように設けられた内層配線層であり、よって、厚み方向に見て、第1の配線層と第1の部品とで規定される高さ方向と入れ子の関係で、第2の配線層と第2の部品とが位置していることになっている。したがって、第1、第2の部品の接続の方向が逆であっても配線板として厚くはならず、薄型の配線板にできる。
【0011】
また、別の態様である部品内蔵配線板の製造方法は、第1の配線層である第1の金属層上または第1の配線層とすべき第1の金属層上に第1の部品を電気的、機械的に接続する工程と、前記第1の金属層の前記第1の部品が位置する側の該第1の金属層上に板状絶縁層を、該板状絶縁層に前記第1の部品が埋め込まれるように積層してコア基板を形成する工程と、前記コア基板の前記第1の部品が設けられた領域を避けた位置に貫通開口部を形成する工程と、第2の配線層である第2の金属層上または第2の配線層とすべき第2の金属層上に第2の部品を電気的、機械的に接続する工程と、前記コア基板の前記貫通開口部内に前記第2の部品を位置させかつ該貫通開口部内を樹脂で充填するように、前記第2の金属層の前記第2の部品が位置する側の該第2の金属層上に前記コア基板を該コア基板の前記第1の金属層が位置する側を上側にして積層する工程とを具備することを特徴とする。
【0012】
この製造方法は、上記の部品内蔵配線板を製造するためのひとつの方法である。
【0013】
また、さらに別の態様である部品内蔵配線板の製造方法は、第1の配線層である第1の金属層上または第1の配線層とすべき第1の金属層上に第1の部品を電気的、機械的に接続する工程と、前記第1の金属層の前記第1の部品が位置する側の該第1の金属層上に板状絶縁層を、該板状絶縁層に前記第1の部品が埋め込まれるように積層してコア基板を形成する工程と、前記コア基板の前記第1の部品が設けられた領域を避けた位置に貫通開口部を形成する工程と、第2の配線層とすべき第2の金属層上にプリプレグ層を積層する工程と、前記プリプレグ層の前記第2の金属層が位置する側とは反対の面上に第2の部品を載置する工程と、前記コア基板の前記貫通開口部内に前記第2の部品を位置させかつ該貫通開口部内に前記プリプレグ層を由来とする樹脂を入り込ませるようにして、前記プリプレグ層の前記第2の部品が位置する側の該プリプレグ層上に前記コア基板を該コア基板の前記第1の金属層が位置する側を上側にして積層する工程と、前記プリプレグ層を由来とする第2の板状絶縁層と前記第2の金属層とを貫通するように、前記第2の部品の端子電極に達するビアホールを形成する工程と、前記第2の金属層と電気導通して該第2の金属層から前記第2の部品の前記端子電極に達するめっきビアを前記ビアホール内に形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0014】
この製造方法は、上記の部品内蔵配線板を製造するためのもうひとつの方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、板厚み内部に部品を位置させた部品内蔵配線板およびその製造方法において、両側の面に実装された外付け実装部品のそれぞれとの関係として電気的特性を向上するような部品内蔵を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図。
【図2】図1に示した部品内蔵配線板を製造するための一工程を模式的に示す態様図。
【図3】図2に示した工程の後になされる、図1に示した部品内蔵配線板の製造するための別の一工程を模式的に示す態様図。
【図4】別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図。
【図5】図4に示した部品内蔵配線板を製造するための一工程を模式的に示す態様図。
【図6】さらに別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図。
【図7】図6に示した部品内蔵配線板を製造するための一工程を模式的に示す態様図。
【図8】図7に示した工程の後になされる、図6に示した部品内蔵配線板の製造するための別の一工程を模式的に示す態様図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施態様として、前記板状絶縁層の板厚み方向に見た前記第1の部品のサイズが、該板厚み方向に見た前記第2の部品のサイズより大きい、とすることができる。この態様は、第1、第2の部品に与えられる板状絶縁層内での空間領域を効率よく活かした内蔵態様である。すなわち、第1の部品が接続されている第1の配線層は、内層の第2の部品の空間領域の影響を受けずに位置させることができ、その意味で、第1の部品は第2の部品より板厚み方向のサイズを大とすることができる。
【0018】
また、実施態様として、前記第1の部品と前記第1の配線層との接続が、はんだ、導電性組成物、またはビアホール内めっきビアでなされており、前記第2の部品と前記第2の配線層との接続が、前記第1の部品と前記第1の配線層との前記接続と同じ種の接続による、とすることができる。第1の部品と第1の配線層との接続には、はんだ、導電性組成物、ビアホール内めっきビアなど各種の接続方法を用いることができる。これらによりそれぞれその特長を活かすことができる。はんだは、第1の部品として表面実装型受動素子部品などを使用した場合に製造の効率化を図ることができる。導電性組成物は、再溶融の心配がない点で信頼性向上を図ることができる。ビアホール内めっきビアは、これに加えてより微細に形成でき高密度化に向く。第2の部品と第2の配線層との接続に、第1の部品と第1の配線層との接続と同じ種の接続を用いると、工程の複雑さを避け製造負担を減らすことができる。
【0019】
また、実施態様として、前記第1の部品と前記第1の配線層との接続が、はんだ、導電性組成物、またはビアホール内めっきビアでなされており、前記第2の部品と前記第2の配線層との接続が、前記第1の部品と前記第1の配線層との前記接続と異なる種の接続による、とすることができる。第1の部品と第1の配線層との接続、および第2の部品と第2の配線層との接続には、部品の種などに応じて、はんだ、導電性組成物、ビアホール内めっきビアなど各種の接続方法を用いることができる。これらによりそれぞれその特長を活かすことができる。
【0020】
また、実施態様として、前記板状絶縁層の厚み内に内層配線層として設けられた、前記第2の配線層とは異なる第3の配線層と、前記第1の配線層と前記第3の配線層とに挟まれて前記板状絶縁層の板厚み方向に設けられた層間接続体と、をさらに具備し、前記層間接続体が、導電性組成物でできた接続体であり、かつ、前記板状絶縁層の板厚み方向に見て径が変化していない形状を有するかまたは前記第3の配線層に接する側の径がより大径になるように前記板状絶縁層の前記板厚み方向に見て径が変化している形状を有する、とすることができる。このような層間接続体は、スルーホール導電体のような層間接続体より高密度に設けることが可能であり、配線板として高密度化に向いている。
【0021】
また、実施態様として、前記板状絶縁層の厚み内に、前記第2の配線層から見て前記第2の部品が位置する方向と同じ方向に内層配線層として設けられた、前記第2の配線層とは異なる第3の配線層と、前記第2の配線層と前記第3の配線層とに挟まれて前記板状絶縁層の板厚み方向に設けられた層間接続体と、をさらに具備し、前記層間接続体が、導電性組成物でできた接続体であり、かつ、前記板状絶縁層の板厚み方向に見て径が変化していない形状を有するかまたは前記第3の配線層に接する側の径がより大径になるように前記板状絶縁層の前記板厚み方向に見て径が変化している形状を有する、とすることができる。このような層間接続体は、スルーホール導電体のような層間接続体より高密度に設けることが可能であり、配線板として高密度化に向いている。
【0022】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この部品内蔵配線板は、絶縁層(板状絶縁層)11〜19、配線層(配線パターン)20〜29(=合計10層配線)、層間接続体31〜39、部品(表面実装型受動素子部品)41、42、はんだ(接続部材)51、52、はんだレジスト61、62を有する。
【0023】
この部品内蔵配線板は、配線層21に接続された内蔵の部品41と、配線層27に接続された内蔵の部品42との関係が以下のようである。つまり、配線層21から見た部品41の方向が、配線層27から見た部品42の方向と反対になっている。したがって、配線層21を挟んで部品41と反対の側(図示下側の面)に位置する外付け実装部品(不図示)とは、この部品41との間で配線長を短くでき、配線層27を挟んで部品42と反対の側(図示上側の面)に位置する外付け実装部品(不図示)とは、この部品42との間で配線長を短くできる。よって、両方の面上に実装された外付け実装部品のそれぞれとの関係として電気的特性を向上するように部品内蔵ができている。
【0024】
ここで、配線層27は、図示するように、部品41を埋め込むため要している絶縁層の空間領域を避けるように設けられた内層配線層であり、よって、厚み方向に見て、配線層21と部品41とで規定される高さ方向と入れ子の関係で、配線層27と部品42とが位置していることになっている。したがって、部品41、42の接続を含めたその向きが互いに逆であっても配線板として厚くはならず、薄型の配線板にできる。
【0025】
以下、この部品内蔵配線板の構成についてさらにより具体的に説明する。
【0026】
部品41、42は、表面実装型受動素子部品(いわゆるチップ抵抗、チップキャパシタ、チップインダクタなど)であり、その形状は直方体状である。チップ抵抗、チップキャパシタの場合、平面的大きさは、例えば、0.6mm×0.3mm(0603型)、0.4mm×0.2mm(0402型)など小型のものが市販されており、部品内蔵の高密度化のためこれらを利用できる。
【0027】
この部品内蔵配線板では、特に、部品41に与えられる絶縁層内での領域が部品42のそれより原理的に大きくなるので、部品41としては、部品42より高さ方向の大きな部品を使うことができる。すなわち、部品41が接続されている配線層21は、部品42の空間領域の影響を受けずに位置させることができる一方、部品42が接続されている配線層27は、部品41を内蔵させるため形成パターンに制限のある配線層であり、その意味で、部品41は、部品42より配線板の板厚み方向のサイズを大とすることができる。部品41、42には、表面実装型受動素子部品のほか、面配置(グリッド配置)の表面実装用端子を備えた半導体パッケージ品(例えば、チップスケールパッケージ品)を用いることも可能である。
【0028】
部品41、42の端子電極は、市販品の場合、その表面に通常、すずのめっきが形成されている場合が多いが、はんだ51、52で接続可能という意味で、これに代えて銅のめっきが形成されているものも使用できる。また、はんだ51、52は、これらに代えて導電性組成物を用いることも可能であり、この場合には、部品41、42の端子電極の表層が銅である方が電気的接続の相性がよく、好ましい。
【0029】
部品41(42)の両端の端子電極は、その下側面が、配線層21(27)が含む、埋め込みの部品実装用のランド(接続領域)に対向位置している。部品41(42)の端子とこのランドとは、少なくともすずを含むはんだ51(52)により電気的、機械的に接続されている。はんだ51(52)は、部品41(42)の端部面上に及ぶように端子電極周りに形成されたフィレットを含む形状で配線層21(27)のこのランド上に位置している。
【0030】
配線層20、29は、配線板としての両主面上の配線層であり、その上に各種の部品が実装され得る。実装ではんだが載るべき配線層20、29のランド部分を除いて両主面上には、はんだ接続時に溶融したはんだをランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト61、62が形成されている(厚さはそれぞれ例えば20μm程度)。このランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成するようにしてもよい。
【0031】
配線層21〜28は、それぞれ内層の配線層である。両面の配線層20、29を含めて、これらは、順に、配線層20と配線層21の間に絶縁層11が位置し、配線層21と配線層22の間に絶縁層12が位置し、配線層22と配線層23の間に絶縁層13が位置し、配線層23と配線層24との間に絶縁層14が位置する、…というように積層され、最後に配線層28と配線層29との間に絶縁層19が位置している。各配線層20〜29は、例えばそれぞれ厚さ18μmの金属(電解銅箔)層からなっている。このうち、配線層21は、部品41を電気的、機械的に接続するためのランド(接続領域)を有し、配線層27は、部品42を電気的、機械的に接続するためのランド(接続領域)を有している。
【0032】
各絶縁層11〜19は、例えばそれぞれ厚さ60μmで、それぞれ例えばガラスエポキシ樹脂からなるリジッドな素材である。このうち中間の絶縁層13〜18は、埋め込みの部品41に相当する位置部分が開口部となっており、部品41を埋め込むための空間を提供する。そして、その上下の絶縁層12、19は、部品41の表面に密着するように絶縁層13〜18の上記開口部内の空間を埋めて変形進入しており内部に空隙となる空間は存在しない。
【0033】
また、中間の絶縁層13〜18のさらに中間の絶縁層14〜16は、もうひとつの埋め込みの部品42に相当する位置部分が開口部となっており、部品42を埋め込むための空間を提供する。そして、その上下の絶縁層13、17は、部品42の表面に密着するように絶縁層14〜16の上記開口部内の空間を埋めて変形進入しており内部に空隙となる空間は存在しない。
【0034】
配線層20と配線層21とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層11を貫通する層間接続体31により導通し得る。配線層21と配線層22とは、絶縁層12を貫通する層間接続体32により導通し得る。以下同様に、図示の上層まで、配線層と層間接続体との関係が築かれ、最後に、配線層28と配線層29とが、絶縁層19を貫通する層間接続体39により導通し得るようになっている。
【0035】
層間接続体31〜39は、それぞれ、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とするものであり、その製造工程に依拠して軸方向(図1の図示で上下の積層方向、配線板の板厚み方向)に径が変化している。その直径は、太い側で例えば100μmである。
【0036】
この実施形態は、接続部材51、52としてはんだを使用しており、製造途上で部品41、42の実装を行う際の生産性や効率の点で有利である。特に、部品41、42の端部面上にも及ぶようにはんだ51、52を位置させ良好な形状のはんだフィレットを形成しているので、実装の安定性、信頼性をより向上できる。
【0037】
次に、図1に示した部品内蔵配線板の製造工程を図2、図3を参照して説明する。図2は、図1に示した部品内蔵配線板の製造するための一工程を模式的に示す態様図であり、図3は、図2に示した工程の後になされる、図1に示した部品内蔵配線板の製造するための別の一工程を模式的に示す態様図である。これらの図において図1中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。
【0038】
図2は、具体的には、図1に示した部品内蔵配線板のうちのコア基板となる積層部材を得るための積層工程を示している。この積層工程では、積層部材1、2、3を使用する。各積層部材1、2、3の形成方法については公知技術に属するが、概略的に一応それぞれ説明する。
【0039】
(積層部材1)
積層部材1は、各面に配線層27、金属層28Aを備えた絶縁層18の配線層27(のランド)上に部品42をはんだ52を用いて実装したものである。このような実装は、はんだ52とすべきクリームはんだを例えばスクリーン印刷により配線層27のランド上へ付着させ、次に、部品42を例えばマウンタによりクリームはんだ上へ載置し、次に、クリームはんだをリフローするという一連の工程でなされ得る。
【0040】
各面に配線層27、金属層28Aを備えた絶縁層18は、あらかじめ、次のようにして形成できる。配線層27とすべき、パターン形成されていない金属層上、所定の位置に層間接続体38となる導電性バンプ(底面径例えば100μm、高さ例えば100μmの円錐状)をペースト状導電性組成物(例えば銀粒をペースト状樹脂中に多量に分散させた銀ペースト)のスクリーン印刷により形成する。印刷の後、乾燥させてこれをある程度硬化させる(説明便宜上、以下この状態の導電性バンプも「層間接続体」と表現する)。
【0041】
続いて、絶縁層18とすべきFR−4のプリプレグ層を、配線層27とすべき金属層上にプレス機を用い積層する。この積層工程では、層間接続体38の頭部をプリプレグ層に貫通させる(頭部は多少塑性変形して層間接続体38は円錐台状になる)。次に、プリプレグ層上にさらに重ねて金属層28Aを位置させ、加熱、加圧してプリプレグ層を完全に硬化させて絶縁層18とする。この加圧により、層間接続体38として、その頭部が金属層28Aに接して固定され電気導通が確立した状態になる。続いて、配線層27とすべき金属層を例えばフォトリソグラフィ工程により所定にパターン化し配線層27を得ることで、部品42を実装するための上記の部材が得られる。
【0042】
(積層部材2)
積層部材2は、部品42を位置させるための貫通開口部71の形成された板状の部材である。このような開口部71は、例えばドリルを用いて円形の貫通穴として形成できる。貫通開口部71が形成される前の板部材は、あらかじめ、次のようにして形成できる。まず、配線層23とすべき金属層、絶縁層14、配線層24、層間接続体34を有する部材を、積層部材1における配線層27、絶縁層18、金属層28A、層間接続体38を有する部材とほぼ同様の要領で得る(「ほぼ」は、パターン形成する金属層が逆側のためである)。また、配線層26とすべき金属層、絶縁層16、配線層25、層間接続体36を有する部材を得る。これも同様である。
【0043】
次に、配線層23とすべき金属層、絶縁層14、配線層24、層間接続体34を有する部材の配線層24上、所定位置に、層間接続体38と同様の要領で層間接続体35となる導電性バンプを印刷、形成する。さらに、絶縁層15とすべきFR−4のプリプレグ層を、配線層24上にプレス機を用い積層する。この積層工程では、層間接続体35の頭部をプリプレグ層に貫通させる。次に、プリプレグ層上にさらに重ねて、配線層26とすべき金属層、絶縁層16、配線層25、層間接続体36を有する部材(の配線層25の側)を位置させ、加熱、加圧してプリプレグ層を完全に硬化させてこれを絶縁層15とする。この加圧により、層間接続体35として、その頭部が配線層25に接して固定され電気導通が確立した状態になる。続いて、配線層23とすべき金属層および配線層26とすべき金属層を例えばフォトリソグラフィ工程により所定にパターン化して配線層23、26を得る。
【0044】
次に、パターン化され得られた配線層26上、所定位置に、層間接続体38と同様の要領で層間接続体37となる導電性バンプを印刷、形成する。さらに、絶縁層17とすべきFR−4のプリプレグ層17Aを、配線層26上にプレス機を用い積層する。この積層工程では、層間接続体37の頭部をプリプレグ層17Aに貫通させる。以上により得られた部材に貫通開口部71を形成することで、積層部材2が得られる。
【0045】
(積層部材3)
積層部材3は、部品42を内蔵するための蓋として位置する絶縁層13とすべきプリプレグ層13Aを含む部材である。この部材の形成については、積層部材1の途中までの形成工程を参照すれば容易に理解できる。
【0046】
以上説明した積層部材1、2、3を用い、図2に示すような配置でこれらを積層配置しプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ層13A、17Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ層13A、17Aの流動性により、部品42の周りの空間にはプリプレグ層13A、17A(樹脂)が変形進入し空隙は発生しない。
【0047】
また、層間接続体33は、配線層23に電気的に接続され、層間接続体37は、配線層27に電気的に接続される。この結果、層間接続体33、層間接続体37は、それぞれ、頭部が塑性変形で潰れた形状(すなわち、図1に示したように、配線板の板厚み方向に見て径が変化している形状)で固定される。
【0048】
図2に示す積層工程は、積層部材1、2を図示のものとは構成を少し変えて行うことも可能である。すなわち、積層部材2においては、プリプレグ層17Aおよび層間接続体37を絶縁層16および配線層26上に設けているが、プリプレグ層17Aおよび層間接続体37については、これを積層部材2の側には設けず、代わりに積層部材1の側にそれらに相当する構成を設けるようにする方法である。このようにするため、積層部材1の側に層間接続体37を印刷、形成する場合は、部品42の実装工程との関係として互いに干渉を避けるような考慮が必要である。この方法によって製造される配線板には、積層後の形態として層間接続体37の径の大小が図1に示したものとは反対になる。
【0049】
図2に示す積層工程の後、上下両面の金属層22A、28Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングする。これにより、図3中に示す中間の積層部材123の前段階の形態のものが得られる。そこで、次に、図3に示す積層工程を説明する。 図3は、具体的には、図1に示した部品内蔵配線板における最終段階の積層工程を示している。この積層工程では、積層部材4、123、5を使用する。このうち、積層部材4は、図2における積層部材3の説明と同様にして形成することができ、積層部材5は、図2における積層部材1の説明と同様にして形成することができる。
【0050】
積層部材123の形成方法については以下である。すなわち、図2に示した積層工程、その後に行う配線層22、28の形成がなされた板部材に対して、まず、層間接続体32の形成およびプリプレグ層12Aの積層を行う。これについては、図2に示した積層部材2での、層間接続体37の形成およびプリプレグ層17Aの積層と同様である。そして、部品41を位置させるための貫通開口部72の形成を、部品42が設けられた領域を避けた所定の位置に行う。開口部72は、例えばドリルを用いて円形の貫通穴として形成できる。
【0051】
以上説明した積層部材4、123、5を用い、図3に示す積層工程を行う。図3に示すような配置で積層部材4、123、5を積層配置しプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ層12A、19Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ層12A、19Aの流動性により、部品41の周りの空間にはプリプレグ層12A、19A(樹脂)が変形進入し空隙は発生しない。
【0052】
また、層間接続体32は、配線層21に電気的に接続され、層間接続体39は、配線層28に電気的に接続される。この結果、層間接続体32、層間接続体39は、それぞれ、頭部が塑性変形で潰れた形状(すなわち、図1に示したように、配線板の板厚み方向に見て径が変化している形状)で固定される。
【0053】
図3に示す積層工程の後、上下両面の金属層20A、29Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、続いてはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図1に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。
【0054】
図3に示す積層工程についても、図2に示した工程と同じ考えで、積層部材123、5を図示のものとは構成を少し変えて行うことが可能である。すなわち、積層部材123においては、プリプレグ層12Aおよび層間接続体32を絶縁層13および配線層23上に設けているが、プリプレグ層12Aおよび層間接続体32については、これを積層部材123の側には設けず、代わりに積層部材5の側にそれらに相当する構成を設けるようにする方法である。この方法によって製造される場合には、積層後の形態として層間接続体32の径の大小が図1に示したものとは反対になる。
【0055】
次に、以上述べた実施形態とは別の実施形態について図4を参照して説明する。図4は、別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
【0056】
この実施形態は、図1に示したものと比較して、層間接続体32、37の代わりに、これらとは形状の異なる層間接続体32L、37Lを設けた点に違いがある。層間接続体32L、37Lは、それぞれ円柱状の形状(すなわち、配線板の板厚み方向に見て径が変化していない形状)であり、この形状は、次に説明するように、それらの形成方法に由来している。
【0057】
図5は、図4に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的に示す工程図であり、上記の実施形態における図3に示した積層段階に相当する段階の工程を示している。図5において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
【0058】
図5に示すように、この積層工程では、プリプレグ層12Aおよび層間接続体32Lを有する積層部材6が、積層部材123Aとは別の積層部材として用いられる。積層部材123Aには、積層部材123とは異なり、プリプレグ層12Aおよび層間接続体32を設けない。プリプレグ層12Aには、層間接続体32Lがこの時点より前に形成されている。
【0059】
層間接続体32Lを形成するには、まず、プリプレグ層12Aの所定位置に例えばドリルで貫通孔を形成し、この貫通孔内にペースト状の導電性組成物(例えば、図1中に示した層間接続体31〜39で使用のものと同一のもの)を充填、さらに乾燥させる。そして、プリプレグ層12Aに、積層部材123Aが有する部品用貫通開口部72Aと同位置の、埋め込む部品41用の開口部72Bを、例えば層間接続体32Lの形成後に設けておく。
【0060】
図5に示すような配置で各積層部材を積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ層12A、19Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ層12A、19Aの流動性により、部品41の周りの空間にはプリプレグ層12A、19A(樹脂)が変形進入し空隙は発生しない。また、層間接続体32Lは、配線層21および配線層22に電気的に接続され、層間接続体39は、配線層28に電気的に接続される。
【0061】
図5に示す積層工程の後、上下両面の金属層20A、29Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、続いてはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図4に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。なお、以上の説明では、層間接続体37Lの形成に関して述べていないが、これについては層間接続体32Lの形成と同様に行うことができる。すなわち、積層部材123Aを得るための、図2に示した積層段階に相当する工程を考えれば容易に理解できる。
【0062】
この実施形態では、層間接続体32L、37Lを、層間接続体32、37と同程度までに高精度、高密度に形成するには考慮が必要である。それらの形成方法が大きく異なるためである。また、図5に示した積層工程時に、その貫通しているプリプレグ層12Aの流動により、層間接続体32Lの位置がずれやすい点での多少の難も存在する。層間接続体37Lについても同様である。しかしながら、プリプレグ層12A(または絶縁層17とすべきプリプレグ層17A)の厚みについて自由度が高く、内蔵する部品のための貫通開口部を埋めるのに必要な樹脂量によっては利点が得られる形態である。
【0063】
次に、さらに別の実施形態について図6を参照して説明する。図6は、さらに別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
【0064】
この形態は、図1に示した実施形態における層間接続体32およびはんだ51に変更を加えている。すなわち、図1に示したものと比較して、層間接続体32の代わりに、これとは材質の異なる、ビアホール内めっきビアである層間接続体32Mを設け、はんだ51の代わりに、これとは材質の異なる、ビアホール内めっきビアである接続部材51Mを設けている点に違いがある。また、図1に示したものには存在した絶縁層11、層間接続体31、および配線層20のない構成である。
【0065】
ビアホール内めっきビア32Mは、配線層21と電気導通してこの配線層21から、配線層22に電気導通するように延設されている。また、ビアホール内めっきビア51Mは、配線層21と電気導通してこの配線層21から、部品41の端子電極に電気導通するように延設されている。層間接続体32M、接続部材51Mは、それぞれ例えば円錐台状の形状(すなわち、図示に示すように配線板の板厚み方向に見て径が変化している形状)であり、この形状は、次に説明するように、それらの形成方法に由来している。
【0066】
図7、図8は、図6に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的に示す工程図であり、それぞれ、図3に示した積層工程に相当する段階の工程、およびその積層後に行う工程の一部を示している。図7、図8において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
【0067】
図7に示す積層工程においては、積層部材4、123A、6を用いる。このうち、積層部材4、123Aは、すでに説明した図5中に示した構成である。積層部材6は、配線層21とすべき金属層21A上に、絶縁層12とすべきプリプレグ層12Aを積層し、そのあとに、プリプレグ層12Aの金属層21Aが位置する側とは反対の面上、所定位置に部品41を載置して得た部材である。
【0068】
図7に示すような配置で各積層部材4、123A、6を積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ12A、19Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ12A、19Aの流動性により、部品41の周りの空間にはプリプレグ12A、19Aが変形して入り込み空隙は発生しない。この点は、図3などでの説明と同様である。
【0069】
この積層のあと、図8に示す工程を行う。すなわち、図7に示した積層工程で得られた板部材に対して、ビアホール内めっきビア32M、51Mを形成するためのビアホール32h、51hを加工形成する。
【0070】
より具体的に、図8に示すように、金属層21Aの露出面の側から、その必要な位置にビアホール32h、51hを例えばレーザ加工で形成する。ビアホール32hは、配線層21となる金属層21Aと配線層22との層間接続が必要な位置に、金属層21A、絶縁層12を連通、貫通して配線層22に達するように設ける。ビアホール51hは、部品41の端子電極の位置に対応して、金属層21A、絶縁層12を連通してその端子電極に達するように設ける。ビアホール32hとビアホール51hとは、同じ工程で同時期に形成することができ、生産効率向上の妨げにならない。
【0071】
ビアホール32h、51hの形成は、レーザ加工で金属層21Aおよび絶縁層12を連続して消失させるように穴加工する方法のほかに、まず、金属層21Aのみをエッチング加工で貫通させその後に、そのエッチングされた金属層21Aをマスクにその後絶縁層12をレーザ加工で消失させ穴加工するという2段階の工程とすることもできる。金属層21Aのみをエッチング加工する段階では、パターン化された、エッチング用のレジストマスクを金属層21A上に形成しておく。前者の方法は、効率的には好ましいと考えられ、後者の方法は、効率で劣るものの穴形状の制御性に優れていると考えられる。
【0072】
ビアホール32hの大きさは、直径としてそのより大きい側で例えば100μm程度とすることができる。ビアホール51hの大きさは、図示するように、部品41の端子電極の大きさに応じてその直径を決めることができる。レーザ加工によるビアホール32h、51hは、一般にその奥に至るほど多少その直径が小さい形状になる。これは、レーザ加工時のレーザスポットが、そのエネルギ密度としてスポットの縁で多少小さく出力されるためである。
【0073】
図8に示すようにビアホール32h、51hの形成後、無電解めっきおよび電解めっきの工程を行い、金属層21Aと電気導通してこの金属層21Aから、配線層22、および部品41の端子電極に電気導通するように、ビアホール内めっきビア32M、51Mを形成する。めっきビア32M、51Mは、少なくともビアホール32h、51hの内壁上に形成されることが必要であるが、ビアホール32h、51h内をほとんど充填し埋めるように形成されてもよい。このようなビアとしての形状コントロールのためには、金属層21A上に、パターン化されたレジストマスクを形成した上で上記のめっき工程を行ってもよい。めっきビア32M、51Mは、同じ工程で同時期に形成することができ、生産効率向上の妨げにならない。
【0074】
ビアホール内めっきビア32M、51Mは、それらの材質として、例えば銅を使用することができるが、これに対応して、部品41の端子電極についても、この表面が銅のめっき層を有する方が、端子電極とビアホール内めっき51Mとの対接の信頼性を効果的に向上させる上で好ましい。
【0075】
以上の工程の後、上下両面の金属層21A、29Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、続いてはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図6に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。なお当然ながら、部品42についても、部品41のようにビアホール内めっきビアで配線層27に電気的に接続する形態もあり得る。この場合は、図7を参照すれば、絶縁層18、層間接続体38、および配線層28のない構成になることは容易に理解できる。
【0076】
以上、実施形態をいくつか説明したが、これらを参照すれば、さらなる変形例を容易に挙げることができる。まず、部品41と配線層21との接続は、はんだ、導電性組成物、またはビアホール内めっきビアのいずれかで行うことができることに対応して、部品42と配線層27との接続は、部品41と配線層21との接続と同じ種の接続で行うことができる。
【0077】
はんだは、部品41、42として表面実装型受動素子部品などを使用した場合に製造の効率化を図ることができる。導電性組成物は、再溶融の心配がない点で信頼性向上を図ることができる。ビアホール内めっきビアは、これに加えて、より微細に形成でき高密度化に向く。部品42と配線層27との接続に、部品41と配線層22との接続と同じ種の接続を用いると、準備する工程の煩雑さを避け製造負担を減らすことができる。
【0078】
また、部品42と配線層27との接続を、部品41と配線層21との接続と異なる種の接続で行うようにした形態も考えられる。これは、内蔵する部品の種などに応じて、はんだ、導電性組成物、ビアホール内めっきビアのうちから、その特長より活かすことを意図して採用できる。
【0079】
また、例えば図3で、部品41を配線層21上に実装した積層部材5を使用しているが、これに代えて、金属層20A、絶縁層11、および層間接続体31が存在せず、かつ、配線層21の代わりに配線層21とすべき金属層を用い、この金属層上に部品41を電気的、機械的に接続した積層部材を用いることも採用できる形態である。部品41、42のはんだ実装(または導電性組成物による実装)についてはいずれも同様である。この場合、部品41についてこのような実装を採用することで配線層数(および絶縁層数)がひとつ減少した配線板になる。部品42についてこのような実装を採用することでも配線層数(および絶縁層数)がひとつ減少した配線板になる。
【符号の説明】
【0080】
1,2,3,4,5,6…積層部材、11,12,13,14,15,16,17,18,19…板状絶縁層、12A,13A,17A,19A…プリプレグ層、20,21,22,23,24,25,26,27,28,29…配線層(配線パターン)、20A,21A,22A,28A,29A…金属(電解銅箔)層、31,32,33,34,35,36,37,38,39…層間接続体(導電性組成物の印刷による導電性バンプ)、32h…ビアホール、32L,37L…層間接続体(導電性組成物の充填による導電性バンプ)、32M…層間接続体(ビアホール内めっきビア)、41,42…表面実装型受動素子部品、51,52…はんだ(接続部材)、51h…ビアホール、51M…ビアホール内めっきビア(接続部材)、61,62…はんだレジスト、71,72,72A,72B…部品用貫通開口部、123,123A…積層部材(コア基板)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵部品を接続するための第1の接続領域を備えた第1の配線層と、
前記第1の配線層の前記第1の接続領域に接続された第1の部品と、
前記第1の部品を埋め込むように、前記第1の配線層上に積層して位置する板状絶縁層と、
前記板状絶縁層が前記第1の部品を埋め込むため要している該板状絶縁層の空間領域を避けるように、該板状絶縁層の厚み内に内層配線層として設けられた、内蔵部品を接続するための第2の接続領域を備えた第2の配線層と、
前記第2の配線層から見た方向が、前記第1の配線層から見た前記第1の部品の方向とは反対になるように、前記板状絶縁層に埋め込まれて、該第2の配線層の前記第2の接続領域に接続された第2の部品と
を具備することを特徴とする部品内蔵配線板。
【請求項2】
前記板状絶縁層の板厚み方向に見た前記第1の部品のサイズが、該板厚み方向に見た前記第2の部品のサイズより大きいことを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項3】
前記第1の部品と前記第1の配線層との接続が、はんだ、導電性組成物、またはビアホール内めっきビアでなされており、
前記第2の部品と前記第2の配線層との接続が、前記第1の部品と前記第1の配線層との前記接続と同じ種の接続によること
を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項4】
前記第1の部品と前記第1の配線層との接続が、はんだ、導電性組成物、またはビアホール内めっきビアでなされており、
前記第2の部品と前記第2の配線層との接続が、前記第1の部品と前記第1の配線層との前記接続と異なる種の接続によること
を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項5】
前記板状絶縁層の厚み内に内層配線層として設けられた、前記第2の配線層とは異なる第3の配線層と、
前記第1の配線層と前記第3の配線層とに挟まれて前記板状絶縁層の板厚み方向に設けられた層間接続体と、をさらに具備し、
前記層間接続体が、導電性組成物でできた接続体であり、かつ、前記板状絶縁層の板厚み方向に見て径が変化していない形状を有するかまたは前記第3の配線層に接する側の径がより大径になるように前記板状絶縁層の前記板厚み方向に見て径が変化している形状を有すること
を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項6】
前記板状絶縁層の厚み内に、前記第2の配線層から見て前記第2の部品が位置する方向と同じ方向に内層配線層として設けられた、前記第2の配線層とは異なる第3の配線層と、
前記第2の配線層と前記第3の配線層とに挟まれて前記板状絶縁層の板厚み方向に設けられた層間接続体と、をさらに具備し、
前記層間接続体が、導電性組成物でできた接続体であり、かつ、前記板状絶縁層の板厚み方向に見て径が変化していない形状を有するかまたは前記第3の配線層に接する側の径がより大径になるように前記板状絶縁層の前記板厚み方向に見て径が変化している形状を有すること
を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
【請求項7】
第1の配線層である第1の金属層上または第1の配線層とすべき第1の金属層上に第1の部品を電気的、機械的に接続する工程と、
前記第1の金属層の前記第1の部品が位置する側の該第1の金属層上に板状絶縁層を、該板状絶縁層に前記第1の部品が埋め込まれるように積層してコア基板を形成する工程と、
前記コア基板の前記第1の部品が設けられた領域を避けた位置に貫通開口部を形成する工程と、
第2の配線層である第2の金属層上または第2の配線層とすべき第2の金属層上に第2の部品を電気的、機械的に接続する工程と、
前記コア基板の前記貫通開口部内に前記第2の部品を位置させかつ該貫通開口部内を樹脂で充填するように、前記第2の金属層の前記第2の部品が位置する側の該第2の金属層上に前記コア基板を該コア基板の前記第1の金属層が位置する側を上側にして積層する工程と
を具備することを特徴とする部品内蔵配線板の製造方法。
【請求項8】
第1の配線層である第1の金属層上または第1の配線層とすべき第1の金属層上に第1の部品を電気的、機械的に接続する工程と、
前記第1の金属層の前記第1の部品が位置する側の該第1の金属層上に板状絶縁層を、該板状絶縁層に前記第1の部品が埋め込まれるように積層してコア基板を形成する工程と、
前記コア基板の前記第1の部品が設けられた領域を避けた位置に貫通開口部を形成する工程と、
第2の配線層とすべき第2の金属層上にプリプレグ層を積層する工程と、
前記プリプレグ層の前記第2の金属層が位置する側とは反対の面上に第2の部品を載置する工程と、
前記コア基板の前記貫通開口部内に前記第2の部品を位置させかつ該貫通開口部内に前記プリプレグ層を由来とする樹脂を入り込ませるようにして、前記プリプレグ層の前記第2の部品が位置する側の該プリプレグ層上に前記コア基板を該コア基板の前記第1の金属層が位置する側を上側にして積層する工程と、
前記プリプレグ層を由来とする第2の板状絶縁層と前記第2の金属層とを貫通するように、前記第2の部品の端子電極に達するビアホールを形成する工程と、
前記第2の金属層と電気導通して該第2の金属層から前記第2の部品の前記端子電極に達するめっきビアを前記ビアホール内に形成する工程と
を具備することを特徴とする部品内蔵内線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−102047(P2013−102047A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244678(P2011−244678)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】