説明

部品手配装置及び部品手配方法

【課題】保守の優先度を考慮しつつ、対応期限に間に合うように出庫元からの部品の出庫を手配する部品手配装置及び部品手配方法を提供することを課題とする。
【解決手段】出庫を手配する部品手配装置2であって、要求ごとに出庫元候補の識別子と部品の出庫期限時刻とを記憶手段に記憶する手段と、出庫期限時刻が到来したとき要求ごとに優先順位情報に基づいて、出庫期限時刻が到来した出庫元候補より優先順位の高い他の出庫元候補があるか否かを判定する手段と、優先順位の高い他の出庫元候補があれば他の出庫元候補の識別子と部品の出庫期限時刻とを記憶手段に記憶すると共に、出庫期限時刻が到来した出荷元候補の識別子と出庫期限時刻の情報を記憶手段から削除し、優先順位の高い他の出庫元候補がなければ、出庫期限時刻が到来した出庫元候補へ部品の出庫を手配する手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は出庫元からの部品の出庫を手配する部品手配装置及び部品手配方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば保守対象設備の保守を行うメーカは、全国のユーザに迅速に対応するため、全国に分散してパーツセンタを設置している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
保守対象設備の保守を行うメーカは、従来、保守の必要性が認識された順に、複数のパーツセンタの中から、配送距離などに基づいて保守部品の出庫を手配するパーツセンタを特定し、出庫を手配していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−95444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、保守対象設備の保守を行うメーカは、保守の必要性が認識された順に、配送距離などに基づいて特定したパーツセンタへ保守部品の出庫を手配していた為、優先度の低い保守に対する保守部品の出庫を第1のパーツセンタへ手配したあと、同一の保守部品を必要とする優先度の高い保守の必要性が認識された場合、優先度の高い保守に対する保守部品の出庫を第1のパーツセンタへ手配できないことがあった。
【0006】
これは、一度出庫を手配した保守部品の出庫先の変更は、伝票の切り直し(現伝票のキャンセル、新伝票の発行)が必要となる等の手間が掛かる等の事情によるものである。
【0007】
また、優先度の高い保守に対する保守部品の出庫を第1のパーツセンタよりも遠い第2のパーツセンタへ手配した場合は、第1のパーツセンタから配送するよりも保守部品の到着が遅れてしまう状況も生じていた。なお、優先度の高い保守に対する保守部品の出庫を優先する場合には、優先度の低い保守に対する保守部品の到着が保守の対応期限に間に合わないことが無いようにしなければならない。
【0008】
本発明の一実施形態は、保守の優先度を考慮しつつ、対応期限に間に合うように出庫元からの部品の出庫を手配する部品手配装置及び部品手配方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態は、出庫先への部品の出庫を、出庫元に手配する部品手配装置であって、前記部品の出庫の要求ごとに、前記部品の出庫が可能な出庫元である出庫元候補の識別子と、該出庫元候補における前記部品の出庫期限時刻の情報とを記憶手段に記憶する仮押さえ手段と、前記出庫元候補の前記出庫期限時刻が到来したとき、前記要求ごとに出庫元候補の優先順位を定めた優先順位情報に基づいて、当該出庫期限時刻が到来した出庫元候補より優先順位の高い他の出庫元候補があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって、優先順位の高い他の出庫元候補があると判定された場合には、該他の出庫元候補の識別子と該他の出庫元候補における前記部品の出庫期限時刻の情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記出庫期限時刻が到来した出荷元候補の識別子と出庫期限時刻の情報を前記記憶手段から削除し、優先順位の高い他の出庫元候補がないと判定された場合には、当該出庫期限時刻が到来した出庫元候補へ前記部品の出庫を手配する部品出庫処理手段とを有する。
【0010】
なお、本発明の一実施形態の構成要素、表現又は構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、保守の優先度を考慮しつつ、対応期限に間に合うように出庫元からの部品の出庫を手配できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】保守部品手配システムの一例の構成図である。
【図2】保守部品手配システムの処理手順を表した一例のシーケンス図である。
【図3】パーソナルコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【図4】本実施例の保守部品手配装置の一例のブロック図である。
【図5】部品要求管理テーブルの一例の構成図である。
【図6】緊急度レベル管理テーブルの一例の構成図である。
【図7】部品在庫管理テーブルの一例の構成図である。
【図8】配送状況管理テーブルの一例の構成図である。
【図9】配送手段選択テーブルの一例の構成図である。
【図10】出庫元パーツセンタ候補リストの一例の構成図である。
【図11】本実施例の保守部品手配装置が行う処理の一例のフローチャートである。
【図12】ステップS12の部品要求管理テーブル作成処理の一例のフローチャートである。
【図13】ステップS14の出庫元パーツセンタ候補リスト作成処理の一例のフローチャートである。
【図14】ステップS16の部品出庫処理の一例のフローチャートである。
【図15】保守部品手配システムのパーツセンタ及び配送エリアを表した一例の構成図である。
【図16】「要求01」が発生したあとの部品要求管理テーブルの一例の構成図である。
【図17】「要求01」が発生したあとの部品在庫管理テーブルの一例の構成図である。
【図18】「要求01」が発生したあとの配送状況管理テーブルの一例の構成図である。
【図19】「要求01」が発生したあとの出庫元パーツセンタ候補リストの一例の構成図である。
【図20】「要求02」が発生したあとの部品要求管理テーブルの一例の構成図である。
【図21】「要求02」が発生したあとの部品在庫管理テーブルの一例の構成図である。
【図22】「要求02」が発生したあとの配送状況管理テーブルの一例の構成図である。
【図23】「要求02」が発生したあとの出庫元パーツセンタ候補リストの一例の構成図である。
【図24】「要求03」が発生したあとの部品要求管理テーブルの一例の構成図である。
【図25】「要求03」が発生したあとの部品在庫管理テーブルの一例の構成図である。
【図26】「要求03」が発生したあとの配送状況管理テーブルの一例の構成図である。
【図27】「要求03」が発生したあとの出庫元パーツセンタ候補リストの一例の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。なお、本実施例ではパーツセンタからの保守部品の出庫を手配する例について説明するが、如何なる出庫元からの部品の出庫を手配するものであってもよい。
【0014】
(システム構成)
図1は保守部品手配システムの一例の構成図である。図1の保守部品手配システム1は保守部品手配装置2、保守対象設備3、パーツセンタ#1〜#3に設置されたパーツセンタ端末4−1〜4−3が、インターネットやLANなどのネットワーク5を介してデータ通信可能に接続されている。なお、パーツセンタ#1〜#3の何れでもよい場合はパーツセンタ#nと呼ぶ。パーツセンタ端末4−1〜4−3の何れでもよい場合はパーツセンタ端末4と呼ぶ。
【0015】
保守部品手配装置2は保守対象設備3からメッセージコードを受信する。保守部品手配装置2は受信したメッセージコードから障害又は障害の予兆を検出し、保守の必要性を判定する。保守部品手配装置2は保守に保守部品が必要であると判定すると、複数のパーツセンタ#nの保守部品を仮押さえする。そして、保守部品手配装置2は保守の対応期限に間に合うように、保守部品の出庫元であるパーツセンタ#nを後述のように選定し、選定したパーツセンタ#nに保守部品の出庫を手配する。
【0016】
保守対象設備3は保守対象の一例である。保守対象設備3は何れかの配送エリア6に配置されている。配送エリア6は例えば主要都市を中心とした広域行政区域などを想定することができる。配送エリア6は県内を数ブロック程度に分割するなども想定することができる。保守対象設備3は障害又は障害の予兆を検出できるメッセージコードを保守部品手配装置2に送信する。
【0017】
パーツセンタ#nは保守部品の出庫元の一例である。パーツセンタ#nは保守部品手配装置2から保守部品の出庫の手配を受け付ける。パーツセンタ#nの出庫を行う担当者はパーツセンタ端末4を操作して、保守部品手配装置2から受け付けた保守部品の出庫の手配を確認する。パーツセンタ#nの出庫を行う担当者は確認した保守部品の出庫の手配に基づき、保守部品を例えば保守対象設備3の設置場所などの出庫先に配送する。保守を行う担当者は出庫先で保守部品を受け取り、保守対象設備3の保守を行う。
【0018】
(システム処理手順)
図2は保守部品手配システムの処理手順を表した一例のシーケンス図である。ステップS1に進み、保守対象設備3は障害又は障害の予兆を検出できるメッセージコードを保守部品手配装置2に送信する。
【0019】
ステップS2に進み、保守部品手配装置2は検出した障害又は障害の予兆に応じて保守に必要な保守部品を特定する。このとき、保守部品手配装置2はメッセージコードを受信してから保守対象設備3が障害で停止に至るまでの時間を過去の障害データなどから予測して保守の対応期限を決定しておく。
【0020】
保守部品手配装置2は保守部品を在庫として持つパーツセンタ#nを複数選出する。選出したパーツセンタ#nの在庫が既に仮押さえされた保守部品だった場合は、保守の緊急度を比較する。既に仮押さえしていた要求よりも緊急度が高ければ、既に仮押さえされていたパーツセンタ#nの在庫は新たな要求に振り替えられる。
【0021】
保守部品手配装置2は選出した複数のパーツセンタ#nの保守部品の仮押さえをパーツセンタ端末4−1〜4−3に要求する。選出した複数のパーツセンタ#nには、所要時間や所要費用などのコストパフォーマンスの優れた順に優先順位を付加しておく。
【0022】
保守部品手配装置2は保守の対応期限に間に合うように配送エリア6までの所要時間を考慮した出庫待ち制限時刻をパーツセンタ#nごとに設定する。保守部品手配装置2は出庫待ち制限時刻になるまで出庫・配送指示を行わず、出庫・配送を一時見合わせる。保守部品手配装置2は出庫・配送を一時見合わせている間に、部品補充などにより在庫に変化があった場合や配送状況に変化があった場合、再度、保守ごとに複数のパーツセンタ#nの保守部品の仮押さえを行う。
【0023】
ステップS3に進み、出庫待ち制限時刻になったパーツセンタ#nがあると、保守部品手配装置2は、優先順位の高い他のパーツセンタ#nがあれば出庫待ち制限時刻になったパーツセンタ#nを出庫元パーツセンタ候補から削除し、優先順位の高い他のパーツセンタ#nがなければ出庫待ち制限時刻になったパーツセンタ#n(図2ではパーツセンタ#1)のパーツセンタ端末4−1に出庫・配送指示を行う。
【0024】
ステップS4に進み、パーツセンタ#1の出庫を行う担当者はパーツセンタ端末4−1を操作して、保守部品の出庫・配送指示を確認する。パーツセンタ#1の出庫を行う担当者は確認した保守部品の出庫・配送指示に基づき、保守部品を例えば保守対象設備3の設置場所などの出庫先に配送する。保守を行う担当者は出庫先で保守部品を受け取り、保守対象設備3の保守を行う。
(保守部品手配装置2のハードウェア構成)
保守部品手配プログラムがインストールされているパーソナルコンピュータは保守部品手配装置2の一例である。ここでは、保守部品手配プログラムがインストールされているパーソナルコンピュータのハードウェア構成を説明する。
【0025】
パーソナルコンピュータは本実施例の保守部品手配装置2と同様の機能を有する保守部品手配プログラムを実行する。図3はパーソナルコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【0026】
パーソナルコンピュータ10は入力装置21、表示装置22、パーソナルコンピュータ本体23を有する。パーソナルコンピュータ本体23はバス37で相互に接続されている主記憶装置31、演算処理装置32、インターフェース装置33、記録媒体読取装置34及び補助記憶装置35を有する。また、バス37には入力装置21及び表示装置22が接続されている。
【0027】
バス37で相互に接続されている入力装置21、表示装置22、主記憶装置31、演算処理装置32、インターフェース装置33、記録媒体読取装置34及び補助記憶装置35は、演算処理装置32による管理下で相互にデータの送受を行うことができる。演算処理装置32は、パーソナルコンピュータ10全体の動作制御を司る中央処理装置である。
【0028】
インターフェース装置33は他のパーソナルコンピュータ又はサーバなどからのデータを受信し、そのデータの内容を演算処理装置32に渡す。さらにインターフェース装置33は演算処理装置32からの指示に応じて他のパーソナルコンピュータ又はサーバなどにデータを送信する。
【0029】
補助記憶装置35には、保守部品手配装置2と同様の機能をパーソナルコンピュータ10に発揮させるプログラムの一部として、少なくとも保守部品手配装置2における保守部品手配処理をパーソナルコンピュータ10に実行させる保守部品手配プログラムが記憶されている。
【0030】
そして、演算処理装置32が保守部品手配プログラムを補助記憶装置35から読み出して実行することで、保守部品手配装置2として機能するようになる。保守部品手配プログラムは演算処理装置32とアクセス可能な主記憶装置31に格納されていても良い。入力装置21は演算処理装置32の管理下でデータの入力を受付ける。保守部品手配プログラムはパーソナルコンピュータ10が読み取り可能な記録媒体36に記録しておくことができる。
【0031】
パーソナルコンピュータ10で読み取り可能な記録媒体36には、磁気記録媒体、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録媒体には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)などがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。また、光磁気記録媒体には、MO(Magneto − Optical disk)などがある。
【0032】
保守部品手配プログラムを流通させる場合には、例えば、保守部品手配プログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型の記録媒体36が販売されることが考えられる。
【0033】
そして保守部品手配プログラムを実行するパーソナルコンピュータ10は、例えば記録媒体読取装置34が保守部品手配プログラムを記録した記録媒体36から、保守部品手配プログラムを読み出す。演算処理装置32は、読み出された保守部品手配プログラムを主記憶装置31若しくは補助記憶装置35に格納する。そして、パーソナルコンピュータ10は、自己の記憶装置である主記憶装置31若しくは補助記憶装置35から保守部品手配プログラムを読み取り、保守部品手配プログラムに従った処理を実行する。
(ブロック構成)
図4は本実施例の保守部品手配装置の一例のブロック図である。保守部品手配装置2はメッセージコード受信部41、部品要求管理テーブル作成部42、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43、部品出庫処理部44、部品要求管理テーブル45、緊急度レベル管理テーブル46、部品在庫管理テーブル47、配送状況管理テーブル48、配送手段選択テーブル49、出庫元パーツセンタ候補リスト50、部品在庫データベース(DB)51を有する。
【0034】
メッセージコード受信部41、部品要求管理テーブル作成部42、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43及び部品出庫処理部44は演算処理装置32が保守部品手配プログラムを実行することにより実現される。部品要求管理テーブル45、緊急度レベル管理テーブル46、部品在庫管理テーブル47、配送状況管理テーブル48、配送手段選択テーブル49、出庫元パーツセンタ候補リスト50及び部品在庫DB51の一部又は全部はデータベースサーバ等で別途管理するようにしてもよい。
【0035】
メッセージコード受信部41は保守対象設備3からメッセージコードを受信する。部品要求管理テーブル作成部42は部品要求管理テーブル作成処理を行う。出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は出庫元パーツセンタ候補リスト作成処理を行う。部品出庫処理部44は部品出庫処理を行う。
【0036】
部品要求管理テーブル45は保守部品の配送要求を管理する。緊急度レベル管理テーブル46は保守対象設備3の保守の緊急度レベルを管理する。部品在庫管理テーブル47はパーツセンタ#n単位で保守部品の在庫と保守部品の配送要求との関連を管理する。配送状況管理テーブル48はパーツセンタ#n単位で配送手段ごとの配送状況を管理する。配送手段選択テーブル49は配送エリア6単位で各パーツセンタ#nにおける配送手段ごとの所要時間、所要費用を管理する。出庫元パーツセンタ候補リスト50は保守部品の配送要求ごとに保守部品の出庫元候補であるパーツセンタ#nを複数管理する。部品在庫DB51はパーツセンタ#nの保守部品の在庫を管理する。
【0037】
図5は部品要求管理テーブルの一例の構成図である。部品要求管理テーブル45は、保守部品の配送要求ごとに要求内容を管理している。要求内容には、データ項目として保守対象設備、障害対応期限(日時)、配送先、配送エリア、配送集約先、要求部品、緊急度レベルが含まれる。データ項目「部品配送要求」は保守部品の配送要求を識別するための識別情報である。データ項目「保守対象設備」は保守部品によって保守を行う保守対象である。データ項目「障害対応期限(日時)」は保守の対応期限である。データ項目「配送先」は保守部品の配送先である。データ項目「配送エリア」は保守部品の配送エリア6である。データ項目「配送集約先」は集約先の保守部品の配送要求である。データ項目「要求部品」は配送要求を行う保守部品である。データ項目「緊急度レベル」は保守の緊急度レベルである。
【0038】
図6は緊急度レベル管理テーブルの一例の構成図である。緊急度レベル管理テーブル46は、保守対象設備3ごとに緊急度レベルを算出するための条件と緊急度レベルとを管理している。緊急度レベルを算出するための条件には、データ項目として障害対応期限(猶予期間)、顧客業務・社会への影響度、クレーム化指数(障害発生回数)が含まれる。
【0039】
データ項目「障害対応期限(猶予期間)」は障害対応期限に基づく緊急度を数値で表している。データ項目「顧客業務・社会への影響度」は顧客業務・社会への影響度に基づく緊急度を数値で表している。データ項目「クレーム化指数(障害発生回数)」は障害発生回数に基づく緊急度を数値で表している。データ項目「緊急度レベル」は保守対象設備3の保守の緊急度レベルを数値で表している。
【0040】
図7は部品在庫管理テーブルの一例の構成図である。部品在庫管理テーブル47はパーツセンタ#n単位に設けられる。部品在庫管理テーブル47は保守部品の種類毎に、在庫と配送要求との関連を管理する。部品在庫管理テーブル47のデータ項目には、部品種類、在庫数量、出庫待ちフラグ、出庫待ち制限時刻、部品配送要求が含まれる。
【0041】
データ項目「部品種類」は保守部品の種類である。データ項目「在庫数量」は保守部品の在庫数量である。データ項目「出庫待ちフラグ」は保守部品が仮押さえされているか否かを表している。データ項目「出庫待ち制限時刻」は、保守の対応期限を考慮して決められる保守部品の出庫時刻を表している。データ項目「部品配送要求」は保守部品を仮押さえしている部品配送要求を表している。
【0042】
図8は配送状況管理テーブルの一例の構成図である。配送状況管理テーブル48はパーツセンタ#n単位に設けられる。配送状況管理テーブル48は配送手段ごとの配送状況を管理する。配送状況には、データ項目として実車/空車、パーツセンタ出発時刻、配送エリア、部品引渡し時刻、帰着中フラグが含まれる。
【0043】
データ項目「配送手段」は保守部品を配送する配送手段である。データ項目「実車/空車」は配送手段が使用中(実車)であるか使用中でない(空車)であるかを表す。データ項目「パーツセンタ出発時刻」は配送手段がパーツセンタ#nを出発する時刻を表す。データ項目「配送エリア」は配送手段が保守部品を配送する配送エリア6である。データ項目「部品引渡し時刻」は保守部品を引渡す時刻である。データ項目「帰着中フラグ」は配送手段が帰着中であるか否かを表す。
【0044】
図9は配送手段選択テーブルの一例の構成図である。配送手段選択テーブル49は配送エリア6単位に設けられている。配送手段選択テーブル49は各パーツセンタ#nにおける配送手段ごとの所要時間、所要費用を管理する。また、配送手段選択テーブル49は各パーツセンタ#nにおける保守部品の在庫検索順を表す。
【0045】
図10は出庫元パーツセンタ候補リストの一例の構成図である。出庫元パーツセンタ候補リスト50は保守部品の配送要求及び保守部品単位に設けられている。出庫元パーツセンタ候補リスト50は保守部品の配送要求及び保守部品ごとに保守部品の出庫元候補であるパーツセンタ#nを優先順位付けして複数管理する。出庫元パーツセンタ候補リスト50のデータ項目には、優先順位、出庫元パーツセンタ候補、配送手段、所要時間、所要費用が含まれる。
【0046】
データ項目「優先順位」は保守部品の出庫元候補であるパーツセンタ#nの優先順位を表している。データ項目「出庫元パーツセンタ候補」は保守部品の出庫元候補であるパーツセンタ#nを表している。データ項目「配送手段」は保守部品を配送エリア6まで配送する配送手段である。データ項目「所要時間」は配送エリア6までの配送に要する所要時間である。データ項目「所要費用」は配送エリア6までの配送に要する所要費用である。
【0047】
(処理フロー)
図11は本実施例の保守部品手配装置が行う処理の一例のフローチャートである。図11のフローチャートの処理は、メッセージコード受信時、在庫又は配送状況変化時、一定時間経過時などに行う。
【0048】
ステップS11に進み、保守部品手配装置2のメッセージコード受信部41は保守対象設備3からメッセージコードを受信したか否かを判定する。保守対象設備3からメッセージコードを受信していれば、部品要求管理テーブル作成部42はステップS12に進み、部品要求管理テーブル作成処理を行う。部品要求管理テーブル作成処理の詳細は後述する。
【0049】
部品要求管理テーブル作成処理のあと、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS14に進み、出庫元パーツセンタ候補リスト作成処理を行う。出庫元パーツセンタ候補リスト作成処理の詳細は後述する。出庫元パーツセンタ候補リスト作成処理のあと、部品出庫処理部44はステップS15に進み、部品在庫管理テーブル47を参照して出庫待ち制限時刻を過ぎているレコードがあるか否かを判定する。出庫待ち制限時刻を過ぎているレコードがあれば、部品出庫処理部44はステップS16に進み、部品出庫処理を行う。部品出庫処理の詳細は後述する。
【0050】
なお、ステップS11において保守対象設備3からメッセージコードを受信していなければ、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は部品在庫管理テーブル47及び配送状況管理テーブル48を参照し、保守部品の在庫又は配送手段の配送状況に変化があるか否かを判定する。保守部品の在庫又は配送手段の配送状況に変化があれば、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS14に進み、上記の処理を行う。保守部品の在庫又は配送手段の配送状況に変化がなければ、部品出庫処理部44は一定時間経過時にステップS15に進み、上記の処理を行う。
【0051】
図12はステップS12の部品要求管理テーブル作成処理の一例のフローチャートである。ステップS21に進み、部品要求管理テーブル作成部42はメッセージコード受信部41が受信したメッセージコードから被疑部品の特定を行う。ここで被疑部品とはメッセージコードから検出される障害又は障害の予兆に応じて保守に必要と判定される保守部品をいう。
【0052】
部品要求管理テーブル作成部42は保守対象設備3から受信したメッセージコードと、過去の保守対象設備3の障害データと照合し、保守の必要性を判定する。部品要求管理テーブル作成部42は保守が必要と判定すると、過去の保守対象設備3の障害データを参照し、保守部品が必要か否かを判定する。保守に保守部品が必要と判定すると、部品要求管理テーブル作成部42は過去の保守で使用した保守部品を過去の保守対象設備3の障害データから読み出し、被疑部品として特定する。
【0053】
部品要求管理テーブル作成部42は部品要求管理テーブル45のデータ項目「部品配送要求」に一意の識別情報を設定する。部品要求管理テーブル作成部42は部品要求管理テーブル45のデータ項目「保守対象設備」に、メッセージコードを送信してきた保守対象設備3を設定する。部品要求管理テーブル作成部42は部品要求管理テーブル45のデータ項目「配送先」に、メッセージコードを送信してきた保守対象設備3のユーザを識別する識別情報を設定する。部品要求管理テーブル作成部42は部品要求管理テーブル45のデータ項目「配送エリア」に、メッセージコードを送信してきた保守対象設備3の配送エリア6を設定する。部品要求管理テーブル作成部42は部品要求管理テーブル45のデータ項目「要求部品」に特定した被疑部品を設定する。
【0054】
ステップS22に進み、部品要求管理テーブル作成部42は緊急度レベル管理テーブル46を参照し、保守対象設備3及び配送先に対応するデータ項目「障害対応期限(猶予期間)」を取得する。なお、部品要求管理テーブル作成部42は過去の保守対象設備3の障害データと照合し、保守対象設備3からメッセージコードを受信してから保守対象設備3が停止に至るまでの期間を障害対応期限として算出してもよい。部品要求管理テーブル作成部42は取得した障害対応期限又は算出した障害対応期限に基づき、部品要求管理テーブル45のデータ項目「障害対応期限(日時)」を設定する。
【0055】
ステップS23に進み、部品要求管理テーブル作成部42は緊急度レベル管理テーブル46を参照し、保守対象設備3及び配送先に対応するデータ項目「緊急度レベル」を取得する。部品要求管理テーブル作成部42は取得した緊急度レベルを部品要求管理テーブル45のデータ項目「緊急度レベル」に設定する。
【0056】
ステップS24に進み、部品要求管理テーブル作成部42は部品要求管理テーブル45を参照し、他の保守部品の配送要求に同一の配送エリア6への配送があるか否かを判定する。ステップS24の処理は同一の配送エリア6への配送があれば、配送を集約することにより効率化するものである。他の保守部品の配送要求に同一の配送エリア6への配送があれば、部品要求管理テーブル作成部42はステップS25に進み、同一の配送エリア6への保守部品の配送を集約(例えば緊急度レベルの高い方へ集約)するように、部品要求管理テーブル45のデータ項目「配送集約先」を設定する。図5の部品要求管理テーブル45は部品配送要求「要求03」の保守部品の配送が部品配送要求「要求02」の保守部品の配送に集約するように設定されている。
【0057】
ステップS24において、他の保守部品の配送要求に同一の配送エリア6への配送がなければ、部品要求管理テーブル作成部42は図12のフローチャートの処理を終了する。また、部品要求管理テーブル作成部42はステップS25の処理のあと、図12のフローチャートの処理を終了する。
【0058】
図13はステップS14の出庫元パーツセンタ候補リスト作成処理の一例のフローチャートである。ステップS31に進み、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は処理対象の配送要求(以下、該当要求という)を部品要求管理テーブル45から選定する。出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は該当要求のデータ項目「要求部品」に設定された保守部品(以下、該当部品という)を選定する。出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は該当部品を配送可能なパーツセンタ#n及び配送手段を、部品在庫管理テーブル47、配送状況管理テーブル48、配送手段選択テーブル49を参照して選定する。ステップS31はパーツセンタ#n及び配送手段の再選定を含むものである。
【0059】
例えば出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は配送手段選択テーブル49が表す在庫検索順に部品在庫管理テーブル47を参照することで、該当部品を配送可能なパーツセンタ#nを選定できる。また、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は配送状況管理テーブル48を参照することで該当部品の配送に利用可能な配送手段を選定できる
ステップS32に進み、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS31で選定したパーツセンタ#nにおける該当部品の出庫待ちフラグが「ON」であるか否かを判定する。出庫待ちフラグが「ON」である該当部品は既に他の配送要求(以下、既要求という)によって仮押さえされている(競合が発生している)保守部品である。
【0060】
選定したパーツセンタ#nにおける該当部品の出庫待ちフラグが「ON」であれば、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS33に進み、部品要求管理テーブル45の該当要求のデータ項目「緊急度レベル」が既要求のデータ項目「緊急度レベル」よりも高いか、言い換えれば該当要求が優先かを判定する。該当要求のデータ項目「緊急度レベル」の方が高ければ、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS34に進み、既要求の出庫元パーツセンタ候補リスト50に他の出庫元パーツセンタ候補があるか否かを判定する。
【0061】
既要求の出庫元パーツセンタ候補リスト50に他の出庫元パーツセンタ候補があれば、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS35に進み、既要求により仮押さえされている保守部品の出庫先を変更可能か否かを判定する。
【0062】
既要求により仮押さえされている保守部品の出庫先を変更可能であれば、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS36に進み、仮押さえされている部品の出庫先を変更するように既要求の出庫元パーツセンタ候補リスト50を修正する。つまり、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は既要求の出庫元パーツセンタ候補リスト50から仮押さえされている該当部品の出庫元のパーツセンタ#nを削除する。
【0063】
なお、ステップS32において、選定したパーツセンタ#nにおける該当部品の出庫待ちフラグが「ON」でなければ、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS37に進む。ステップS33において、該当要求のデータ項目「緊急度レベル」の方が高くなければ、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS31に戻る。ステップS34において、既要求の出庫元パーツセンタ候補リスト50に他に出庫元パーツセンタ候補がなければ、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS31に戻る。ステップS35において、既要求により仮押さえされている保守部品の出庫先を変更可能でなければ、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS31に戻る。
【0064】
ステップS37では、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43が仮押さえされている部品の出庫元のパーツセンタ#nを該当要求の出庫元パーツセンタ候補リスト50へ登録し、配送手段選択テーブル49に従って優先順位を付与する。ステップS38に進み、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は該当要求の部品在庫管理テーブル47へ出庫待ち制限時刻を設定すると共に、出庫待ちフラグを「ON」にする。
【0065】
ステップS39に進み、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は該当要求の出庫元パーツセンタ候補リスト50を参照し、出庫元パーツセンタ候補が一定数選出されたか否かを判定する。出庫元パーツセンタ候補が一定数選出されていなければ、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS31に戻り、処理を続ける。出庫元パーツセンタ候補が一定数選出されていれば、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43はステップS40に進み、該当要求のデータ項目「配送集約先」の配送要求が設定されているか否かを判定する。
【0066】
該当要求のデータ項目「配送集約先」の配送要求があれば、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は集約する該当要求及び既要求の出庫元パーツセンタ候補リスト50を修正したあと、図13のフローチャートの処理を終了する。該当要求のデータ項目「配送集約先」の配送要求がなければ、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43は図13のフローチャートの処理を終了する。
【0067】
図14はステップS16の部品出庫処理の一例のフローチャートである。ステップS51に進み、部品出庫処理部44は部品在庫管理テーブル47を参照して出庫待ち制限時刻を過ぎている(出庫時刻を過ぎている)保守部品(以下、該当部品という)、パーツセンタ#n(以下、該当パーツセンタという)及び該当部品の配送要求(以下、該当要求という)の組み合わせがあるか否かを判定する。
【0068】
出庫待ち制限時刻を過ぎている該当部品、該当パーツセンタ及び該当要求の組み合わせがあれば、部品出庫処理部44はステップS52に進み、出庫元パーツセンタ候補リスト50を参照して、該当要求及び当該部品の出庫元パーツセンタ候補リスト50に該当パーツセンタよりも優先順位が高い他のパーツセンタが出庫元パーツセンタとして設定されているか否かを判定する。
【0069】
該当要求及び当該部品の出庫元パーツセンタ候補リスト50に該当パーツセンタよりも優先順位が高い他のパーツセンタが出庫元パーツセンタとして設定されていなければ、部品出庫処理部44はステップS53に進み、該当部品の出庫・配送指示を該当パーツセンタに対して行う。ステップS54に進み、部品出庫処理部44は該当要求及び当該部品の出庫元パーツセンタ候補リスト50を削除したあと、図14のフローチャートの処理を終了する。
【0070】
該当要求及び当該部品の出庫元パーツセンタ候補リスト50に該当パーツセンタよりも優先順位が高い他のパーツセンタが出庫元パーツセンタとして設定されていれば、部品出庫処理部44はステップS55に進み、該当パーツセンタが出庫元パーツセンタとして設定されているレコードを該当要求及び当該部品の出庫元パーツセンタ候補リスト50から削除したあと、図14のフローチャートを終了する。
【0071】
なお、ステップS51において、出庫待ち制限時刻を過ぎている該当部品、該当パーツセンタ及び該当要求の組み合わせがなければ、部品出庫処理部44は図14のフローチャートの処理を終了する。
【実施例1】
【0072】
以下では本実施例の保守部品手配システム1の処理手順の具体例を説明する。図15は保守部品手配システムのパーツセンタ及び配送エリアを表した一例の構成図である。図15は4つの配送エリア6a〜6dにそれぞれ配置された4つのパーツセンタ#1〜#4を表している。
【0073】
パーツセンタ#1は保守部品の在庫として部品d、eを有している。パーツセンタ#2は保守部品の在庫を有していない。パーツセンタ#3は保守部品の在庫として部品f、gを有している。パーツセンタ#4は保守部品の在庫として部品d、fを有している。
【0074】
まず、1月23日11:00に配送エリア6aで部品dの配送要求「要求01」が発生したとする。このときの部品要求管理テーブル45、部品在庫管理テーブル47、配送状況管理テーブル48及び出庫元パーツセンタ候補リスト50は図16〜図19に示すようになる。図16は「要求01」が発生したあとの部品要求管理テーブルの一例の構成図である。図17は「要求01」が発生したあとの部品在庫管理テーブルの一例の構成図である。図18は「要求01」が発生したあとの配送状況管理テーブルの一例の構成図である。図19は「要求01」が発生したあとの出庫元パーツセンタ候補リストの一例の構成図である。
【0075】
図16の部品要求管理テーブル45は配送エリア6aで発生した部品dの配送要求「要求01」のレコードが追加されている。図17の部品在庫管理テーブル47は配送要求「要求01」の部品dを在庫として有しているパーツセンタ#1、#4のレコードが修正されている。図17に示した修正は部品dが仮押さえされたことによる修正であり、データ項目「出庫待ちフラグ」「出庫待ち制限時刻」「部品配送要求」が修正されている。
【0076】
図18の配送状況管理テーブル48は配送エリア6aで発生した部品dの配送要求「要求01」に応じて部品dを配送する配送手段「庸上車11」のレコードが修正されている。図19の出庫元パーツセンタ候補リスト50は配送エリア6aで発生した部品dの配送要求「要求01」に応じて新たに作成される。
【0077】
次に、1月23日13:00に配送エリア6bで部品d、gの配送要求「要求02」が発生したとする。なお、配送要求「要求01」と「要求02」とは保守部品の競合が生じているものとする。このときの部品要求管理テーブル45、部品在庫管理テーブル47、配送状況管理テーブル48及び出庫元パーツセンタ候補リスト50は図20〜図23に示すようになる。図20は「要求02」が発生したあとの部品要求管理テーブルの一例の構成図である。図21は「要求02」が発生したあとの部品在庫管理テーブルの一例の構成図である。図22は「要求02」が発生したあとの配送状況管理テーブルの一例の構成図である。図23は「要求02」が発生したあとの出庫元パーツセンタ候補リストの一例の構成図である。
【0078】
図20の部品要求管理テーブル45は配送エリア6bで発生した部品d、gの配送要求「要求02」のレコードが追加されている。図21の部品在庫管理テーブル47は配送要求「要求02」の部品d、gを在庫として有しているパーツセンタ#1、#3のレコードが修正されている。図21に示した修正は部品d、gが仮押さえされたことによる修正であり、データ項目「出庫待ちフラグ」「出庫待ち制限時刻」「部品配送要求」が修正されている。なお、配送要求「要求02」の方が配送要求「要求01」よりも緊急度レベルが高いため、パーツセンタ#1の部品在庫管理テーブル47の部品dのレコードは、配送要求「要求01」から配送要求「要求02」へ振り替えられている。
【0079】
図22の配送状況管理テーブル48は配送エリア6bで発生した部品d、gの配送要求「要求02」に応じて部品d、gを配送する配送手段「庸上車11」「スポット便31」のレコードが修正されている。また、図22の配送状況管理テーブル48は配送エリア6aで発生した部品dの配送要求「要求01」に応じて部品dを配送する配送手段「スポット便42」のレコードが修正されている。図23の配送要求「要求02」及び部品d、gの出庫元パーツセンタ候補リスト50は配送エリア6bで発生した部品d、gの配送要求「要求02」に応じて新たに作成される。また、図23の配送要求「要求01」及び部品dの出庫元パーツセンタ候補リスト50は配送エリア6bで発生した配送要求「要求02」に振り替えられた優先順位「順位1」のレコードが削除されている。
【0080】
次に、1月23日13:10に配送エリア6bで部品fの配送要求「要求03」が発生したとする。なお、配送要求「要求03」は配送要求「要求02」に集約することにより効率化されるものとする。このときの部品要求管理テーブル45、部品在庫管理テーブル47、配送状況管理テーブル48及び出庫元パーツセンタ候補リスト50は図24〜図27に示すようになる。図24は「要求03」が発生したあとの部品要求管理テーブルの一例の構成図である。図25は「要求03」が発生したあとの部品在庫管理テーブルの一例の構成図である。図26は「要求03」が発生したあとの配送状況管理テーブルの一例の構成図である。図27は「要求03」が発生したあとの出庫元パーツセンタ候補リストの一例の構成図である。
【0081】
図24の部品要求管理テーブル45は配送エリア6bで発生した部品fの配送要求「要求03」のレコードが追加されている。配送要求「要求03」のレコードは配送要求「要求02」のレコードと同じ配送エリア6bへの配送であるため、緊急度レベルの高い配送要求「要求02」に集約するように、配送集約先に「要求02」が設定される。
【0082】
図25の部品在庫管理テーブル47は配送要求「要求03」の部品fを在庫として有しているパーツセンタ#3、#4のうち、集約された配送要求「要求02」と同じパーツセンタ#3のレコードが修正されている。図25に示した修正は部品fが仮押さえされたことによる修正であり、データ項目「出庫待ちフラグ」「出庫待ち制限時刻」「部品配送要求」が修正されている。
【0083】
図26の配送状況管理テーブル48は配送エリア6bで発生した部品fの配送要求「要求03」に応じて修正されていない。これは、配送要求「要求03」は配送要求「要求02」に集約された為である。
【0084】
図27の配送要求「要求03」及び部品fの出庫元パーツセンタ候補リスト50は配送エリア6bで発生した部品fの配送要求「要求03」に応じて新たに作成される。また、図27の配送要求「要求02」及び部品gの出庫元パーツセンタ候補リスト50、配送要求「要求03」及び部品fの出庫元パーツセンタ候補リスト50は配送を集約した優先順位「順位1」のレコードの所要費用を2分の1に修正している。
【0085】
(まとめ)
本実施例の保守部品手配システム1では、保守部品の配送要求が発生したとき、保守部品の出庫・配送まで余裕がある場合に、出庫を一時見合わせる代わりに仮押さえしておくことで、保守部品の競合が生じた場合や保守部品の在庫又は配送状況変化時、あるいは同一の配送エリアへの配送要求が新たに発生時に、出庫元パーツセンタ及び配送手段の見直しを容易にできる。また、配送要求ごとに出庫元パーツセンタ及び配送手段の組み合わせを複数確保することで、より緊急性の高い配送要求に対する保守部品の振り分けを可能とすると共に、その時点で最適な出庫元パーツセンタ及び配送手段の再選定を行うことができる。
【0086】
本実施例における保守部品手配プログラムは、パッケージソフトの他、WEBサービス等によっても提供可能である。なお、特許請求の範囲に記載した仮押さえ手段は部品要求管理テーブル作成部42、出庫元パーツセンタ候補リスト作成部43に相当する。判定手段及び部品出庫処理手段は部品出庫処理部44に相当する。
【符号の説明】
【0087】
1 保守部品手配システム
2 保守部品手配装置
3 保守対象設備
4、4−1〜4−3 パーツセンタ端末
5 ネットワーク
6、6a〜6d 配送エリア
#1〜#3 パーツセンタ
10 パーソナルコンピュータ
21 入力装置
22 表示装置
23 パーソナルコンピュータ本体
31 主記憶装置
32 演算処理装置
33 インターフェース装置
34 記録媒体読取装置
35 補助記憶装置
36 記録媒体
37 バス
41 メッセージコード受信部
42 部品要求管理テーブル作成部
43 出庫元パーツセンタ候補リスト作成部
44 部品出庫処理部
45 部品要求管理テーブル
46 緊急度レベル管理テーブル
47 部品在庫管理テーブル
48 配送状況管理テーブル
49 配送手段選択テーブル
50 出庫元パーツセンタ候補リスト
51 部品在庫データベース(DB)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出庫先への部品の出庫を、出庫元に手配する部品手配装置であって、
前記部品の出庫の要求ごとに、前記部品の出庫が可能な出庫元である出庫元候補の識別子と、該出庫元候補における前記部品の出庫期限時刻の情報とを記憶手段に記憶する仮押さえ手段と、
前記出庫元候補の前記出庫期限時刻が到来したとき、前記要求ごとに出庫元候補の優先順位を定めた優先順位情報に基づいて、当該出庫期限時刻が到来した出庫元候補より優先順位の高い他の出庫元候補があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、優先順位の高い他の出庫元候補があると判定された場合には、該他の出庫元候補の識別子と該他の出庫元候補における前記部品の出庫期限時刻の情報を前記記憶手段に記憶すると共に、前記出庫期限時刻が到来した出荷元候補の識別子と出庫期限時刻の情報を前記記憶手段から削除し、優先順位の高い他の出庫元候補がないと判定された場合には、当該出庫期限時刻が到来した出庫元候補へ前記部品の出庫を手配する部品出庫処理手段と
を有する部品手配装置。
【請求項2】
前記仮押さえ手段は、
前記要求ごとに、複数の前記出庫元候補の識別子と、各出庫元候補における前記部品の出庫期限時刻の情報を前記記憶手段に記憶し、
前記部品出庫処理手段は、
前記複数の出庫元候補のうち、前記出庫期限時刻が到来した出庫元候補について、前記優先順位の高い他の出庫元候補があれば当該出庫期限時刻が到来した出庫元候補の識別子と出庫期限時刻の情報を前記記憶手段から削除し、
前記優先順位の高い他の出庫元候補がなければ前記出庫期限時刻が到来した出庫元候補へ前記部品の出庫を手配することを特徴とする請求項1記載の部品手配装置。
【請求項3】
前記記憶部には、前記部品の出庫の要求ごとに、緊急度の情報が記憶され、
前記仮押さえ手段は、同一の前記出庫元の同一の前記部品に対して前記要求があった場合、前記要求の緊急度に応じて定められた一の前記要求に対して前記出庫元の前記部品を仮押さえする請求項1または2記載の部品手配装置。
【請求項4】
コンピュータによって実行される部品手配方法であって
前記コンピュータが、
前記部品の出庫の要求ごとに、前記部品の出庫が可能な出庫元である出庫元候補の識別子と、該出庫元候補における前記部品の出庫期限時刻の情報とを記憶手段に記憶する仮押さえステップと、
前記出庫元候補について前記出庫期限時刻が到来したとき、前記要求ごとに出庫元候補の優先順位を定めた優先順位情報に基づいて、当該出庫期限時刻が到来した出庫元候補より優先順位の高い他の出庫元候補があるか否かを判定するステップと、
優先順位の高い他の出庫元候補があると判定された場合には、該他の出庫元候補の識別子と出庫期限情報を前記記憶手段に記憶すると共に、当該出庫期限時刻が到来した出荷元候補の識別子と出庫期限時刻の情報を前記記憶手段から削除し、優先順位の高い他の出庫元候補がないと判定された場合には、当該出庫期限時刻が到来した出庫元候補へ前記部品の出庫を手配する部品出庫処理ステップと
を実行することを特徴とする部品手配方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−213453(P2011−213453A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83466(P2010−83466)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】