説明

部品整列器と、これを用いた検査装置

【課題】電子部品の方向を回転できず、方向性のあるような電子部品の整列には、別途方向を回転させるための回転手段が必要であった。
【解決手段】磁性体材料を含む電極25を有した電子部品24が搭載されるとともに、非磁性体の部品整列板27と、この部品整列板27の表面に設けられた整列溝29と、部品整列板27に対して前記整列溝29の反対側に設けられるとともに電子部品24の電極25へ磁力を供給する磁石32と、この磁石32と部品整列板27とのうちのいずれか一方に連結された磁力線方向変化手段33とを有し、磁力線方向変化手段33は、電子部品24の電極25に対する磁力線の方向を部品整列板27に垂直な方向と整列溝29に平行な方向とへ交互に変化させるものである。
これにより、磁石32から発する磁気は、電子部品24を電極25における磁気抵抗が小さくなる方向へと回転させて移動して整列溝29に整列する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の整列を行う部品整列器とこれを用いた検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の部品整列器1を用いた電子部品2の外観検査について図面を用いて説明する。図11は、従来の部品整列器1の側面図であり、図12は、同、部品整列器1における整列トレイの上面図であり、図13(a)は電子部品2反転前における部品整列器1の断面図であり、図13(b)は電子部品2反転後における部品整列器1の断面図である。まず図11、図12において従来の部品整列器1は、基台部4に対し、回転軸5によって揺動可能に軸支された揺動台6と、この揺動台6に固定される整列トレイ7とから構成されている。そしてこの整列トレイ7には、整列すべき電子部品2に対応する大きさの凹部8が並んで設けられている。
【0003】
次に従来の部品整列器1で部品を整列する動作について説明する。整列トレイ7を揺動台6に取付けた状態で、整列トレイ7に凹部8の個数分だけの電子部品2を供給し、揺動台6を矢印(図10に示す)方向に繰り返し揺動させることで、電子部品2を凹部8へ整列させる。
【0004】
そしてこのようにして整列させた電子部品2における上側に見える面における電極10の状態などを目視で外観検査する。そして次に検査した面とは反対の面の電極10を検査するために、電子部品2を反転させる。そのために図13(a)に示すように、凹部8に対応する位置に反転用凹部11を有した反転トレイ12を整列トレイ7へ嵌合する。この状態で図13(b)に示すように、反転トレイ12を反転することで電子部品2の反転が行われる。そして、整列トレイ7を外せば面13が上側となり、この面13における電極10状態などの外観検査を行う。そして整列と反転とがさらに2回ずつ繰り返されることによって、残りの4面の検査が行われる。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2004−268229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらこのような従来の部品整列器においては、整列トレイを揺動させることによって、電子部品を凹部へ挿入して整列させるが、電子部品が凹部へ入る個数は時によって異なり安定せず、凹部へ入らなかった電子部品は手作業で凹部へ整列させる作業が必要であった。またその電子部品の方向を変えて整列させる場合、別途電子部品の方向を回転させるための回転作業も必要であり、整列作業に時間がかかるという課題があった。
【0007】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、手作業や回転治具なども必要とせず、素早く電子部品を整列させることのできる部品整列器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明の電子部品整列器は、磁性体材料を含む電極を有した電子部品が搭載されるとともに、非磁性体で形成された部品整列板と、この部品整列板に設けられた溝と、前記部品整列板に対して前記溝の反対側に設けられるとともに前記電子部品の前記電極へ磁力を供給する磁石と、この磁石と前記部品整列板とのうちのいずれか一方に連結された磁力線方向変化手段とを有し、前記磁力線方向変化手段は、前記電子部品の前記電極に対する磁力線の方向を前記部品搭載部に垂直な方向と前記溝に平行な方向とへ交互に変化させる部品整列器を有するものである。これにより所期の目的が達成できる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、磁性体材料を含む電極を有した電子部品が搭載されるとともに、非磁性体で形成された部品整列板と、この部品整列板に設けられた溝と、前記部品整列板に対して前記溝の反対側に設けられるとともに前記電子部品の前記電極へ磁力を供給する磁石と、この磁石と前記部品整列板とのうちのいずれか一方に連結された磁力線方向変化手段とを有し、前記磁力線方向変化手段は、前記電子部品の前記電極に対する磁力線の方向を前記部品搭載部に垂直な方向と前記溝に平行な方向とへ交互に変化させるものである。
【0010】
これにより、磁力線方向変化手段は、前記電子部品の前記電極に対する磁力線の方向を前記部品整列板に垂直な方向と前記溝に平行な方向とへ交互に変化させるので、磁石から発する磁気が、電子部品を電極に対し磁気抵抗の小さくなる方向へと回転させる。これによって、電子部品は自ら回転することで溝に沿って搬送、整列されることとなる。従って、電子部品を整列させるための手作業などを必要とせず、素早く電子部品を整列させることができる。
【0011】
また電子部品が自ら回転するので、電子部品の方向を変えるための作業や、治具などを用いずとも、部品整列器において容易に電子部品の方向を変化させて、電子部品を整列させることができる。
【0012】
さらに、電子部品の電極に対する磁力線の方向を部品整列板に垂直な方向と溝に平行な方向とへと交互に変化させることによって、電子部品は部品整列板上を溝に沿って転がりながら進むこととなる。これにより磁石は、電子部品の方向を変えるとともに、搬送することとなる。従って、別途電子部品を搬送するための駆動手段などが不要となるので、部品整列器の構造を簡素化できる。
【0013】
更にまた、部品搭載部に複数の溝を設けてやれば、一度に複数個の電子部品の方向を変化させて整列させることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態における検査装置21について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態における部品整列器22を用いた検査装置21の断面図である。図1において、本実施の形態における検査装置21は、検査者23が電子部品24の6面全面に対し、電極25の不具合(電極25の欠損やショートなど)や切断部でのバリなどを目視で外観検査を行うための検査装置21である。そのために、本実施の形態における検査装置21は、部品整列器22と拡大レンズ26とから構成され、拡大レンズ26は、部品整列器22の上方に配置される。
【0015】
図2は、本実施の形態における電子部品24の平面図である。図2において本実施の形態における電子部品24は、長さ41が1.6mm、幅42が0.8mmで厚み43が約0.5mmの電子部品24であり、基材の回路形成面44a,44bに銀あるいは銅導体などによる回路が形成されたものである。なお、電子部品24の長さ方向側面45a,45bには電極25がそれぞれ2箇所ずつ形成されている。そしてこれらの電極25は、電子部品24とこの電子部品24が装着される親基板との間を接続するための接続端子としての役割を果たすとともに、両面に形成された回路間の接続も行っている。そしてこの電極25の下地には銅あるいは銀導体を用い、この導体の上に磁性体材料であるニッケルなどによるメッキが施される。つまり、電子部品24は電極25部分に磁性体材料を含むこととなる。なお、電子部品24の幅方向側面46a,46bには、電極25が形成されていない。
【0016】
次に、本実施の形態における部品整列器22について説明する。図3は、本実施の形態における部品整列板27の上面図である。図1、図3において部品整列器22には、電子部品24を整列のために複数個の電子部品24が搭載される部品整列板27が設けられる。この部品整列板27における上面の一方端近傍には部品投入部28が設けられ、この部品投入部28は一時的に電子部品24を貯めておくために窪んだ形状としている。そしてこの部品投入部28の下流には、電子部品24を整列させるための整列溝29が複数本設けられる。また、部品投入部28とそれぞれの整列溝29との間には、電子部品24を整列溝29へ導入しやすくするために、部品投入部28側から下流(整列溝29側)に向かってその幅が徐々に狭まる方向の傾斜を有した傾斜部51を設けている。なお傾斜部51には、上側に向かって開口が大きくなる方向の傾斜も設けている。
【0017】
そして整列溝29には、電子部品24の厚み43と略同じ幅寸法の細幅溝30と、この細幅溝30の下流に電子部品24の幅42と略同じ幅寸法の広幅溝31とを有している。これにより電子部品24を細幅溝30と広幅溝31のそれぞれに応じた方向で整列させることができるわけである。なお、本実施の形態における溝の深さは、0.7mmとし、細幅溝30の幅42を約0.6mm、広幅溝31の幅42を約0.9mmとしている。そして本実施の形態においては部品整列板27上に7本の整列溝29を設けているので、一度に数多くの電子部品24を整列させることができる。
【0018】
そして部品整列板27の下方には、N極側がこの部品整列板27と対向するように複数の磁石32が設けられ、これらの磁石32は、磁力線方向変化手段33によって磁力線の方向が変化させられる。
【0019】
では、磁力線方向変化手段33について説明する。磁力線方向変化手段33は、所定の間隔を空けて磁石32が配置されたベルト34(搬送帯の一例として用いた)と、このベルト34が架け渡される2個のローラ35aとローラ35b、およびこのローラ35aに連結されたステッピングモータ(駆動部の一例として用いた)とから構成される。このとき、磁石32は拡大レンズ26の視野範囲内に少なくとも3個が入るような間隔で設ける。そしてこのベルト34は、磁石32のN極側が外側となるように架け渡され、ステッピングモータの回転(矢印Aの方向)によって移動する。なお、ステッピングモータは検査者23(操作者)が操作するスイッチ(図示しない)の指示によって、規定の角度だけ回転するようにしている。これにより磁石32は、部品整列板27の下面に沿って矢印Bの方向へと移動し、磁力線の方向が変化させられる。
【0020】
次にこのような部品整列器22において電子部品24が整列される動作を説明する。図4(a)から(d)は、磁石32の移動に伴う磁力線と細幅42部での電子部品24との関係を示し、図5(a)から(d)は、磁石32の移動に伴う磁力線と広幅溝31での電子部品24との関係を示している。図4(a)と図4(c)および、図5(a)、図5(c)とは電子部品24が2個の磁石32の間となる位置にある場合を示し、図4(b)と図4(d)および図5(b)、図5(d)とは、電子部品24が磁石32の上方の位置にある場合を示している。
【0021】
図4(a)、図4(c)および図5(a)、図5(c)に示すように、電子部品24が2個の磁石32の間となる位置にある場合、電子部品24の位置での磁力線は、整列溝29と略平行な方向となる。一方図4(b)、図4(d)および図5(b)、図5(d)に示すように、電子部品24が磁石32の上方の位置にある場合、電子部品24の位置での磁力線は、部品整列板27の上面に対して略垂直な方向となる。そしてこれらのいずれの場合においても、電子部品24は常に磁力線に対し磁気抵抗が小さくなる方向となる。
【0022】
ここで、電子部品24は電極25に磁性体材料を含むので、磁力線の影響を受けるのは電極25である。従って本実施の形態では、電子部品24は4箇所の電極25において磁気抵抗が小さくなる方向となる。つまり本実施の形態において磁力線が整列溝29と略平行となる状態では、電子部品24は長さ方向側面45aあるいは45bが上側となるような方向となり、部品整列板27上で寝ることとなる。一方、磁力線が整列溝29と略垂直となる状態では、電子部品24は幅方向側面46aあるいは46bが上側となるような方向となり、部品整列板27上で立つこととなる。
【0023】
そして本実施の形態では、磁石32を矢印B方向(図1、図4、図5に示す)へ移動させる。これにより、電子部品24を通過する磁力線は、図4(a)、図5(a)から図4(b)、図5(b)へとそれぞれ変化する。つまり、電子部品24を通過する磁力線は、整列溝29と略平行な方向から部品整列板27の上面に対して垂直な方向へと順次変化することとなる。このとき細幅溝30の溝幅52(図3に示す)は電子部品24の厚み43と略同じとしているので、細幅溝30において電子部品24は図4(a)に示すように矢印C方向へと起き上がり、当初の長さ方向側面45aが上となる状態から幅方向側面46aが上となる状態へと転がることとなる。一方、広幅溝31の溝幅53(図3に示す)を電子部品24の幅42と略同じとしているので、広幅溝31において電子部品24は図5(a)に示すように矢印G方向へと起き上がり、当初の回路形成面44aが上となる状態から幅方向側面46aが上となる状態へと転がることとなる。
【0024】
次に、磁石32をさらに移動させることで、電子部品24を通過する磁力線は、図4(b)、図5(b)から図4(c)、図5(c)へとそれぞれ変化する。つまり、電子部品24を通過する磁力線は逆に、部品整列板27の上面に対して垂直な方向から整列溝29と略平行な方向へと順次変化することとなる。これによって、細幅溝30において電子部品24は図4(b)に示すように矢印D方向へと倒れ、幅方向側面46aが上となる状態から長さ方向側面45bが上となる状態へと転がることとなる。一方、広幅溝31において電子部品24は図5(b)に示す矢印H方向へと倒れ、幅方向側面46aが上となる状態から回路形成面44bが上となる状態へと転がることとなる。
【0025】
さらに磁石32を移動させると、電子部品24を通過する磁力線は、図4(c)、図5(c)から図4(d)、図5(d)へとそれぞれ変化する。つまり、電子部品24を通過する磁力線は、整列溝29と略平行な方向から部品整列板27の上面に対して垂直な方向へと順次変化することとなる。これによって、細幅溝30において電子部品24は図4(c)に示すように矢印E方向へと立ち、長さ方向側面45bが上となる状態から幅方向側面46bが上となる状態へと転がることとなる。一方、広幅溝31において電子部品24は図5(c)に示す矢印I方向へと倒れ、回路形成面44bが上となる状態から幅方向側面46bが上となる状態へと転がることとなる。
【0026】
そしてさらに磁石32を移動させると、図4(a)、図5(a)の状態へ戻る。つまり、電子部品24を通過する磁力線は、部品整列板27の上面に対して垂直な方向から整列溝29と略平行な方向へと変化することとなる。これによって、細幅溝30において電子部品24は図4(d)に示すように矢印F方向へと立ち、幅方向側面46bが上となる状態から再度長さ方向側面45aが上となる状態へと転がることとなる。一方、広幅溝31において電子部品24は図5(d)に示す矢印J方向へと倒れ、幅方向側面46bが上となる状態から回路形成面44aが上となる状態へと転がることとなる。
【0027】
なお、このとき電子部品24と部品整列板27との間の静摩擦力が、磁石32による電子部品24の吸引力よりも大きくなるようにすることが重要である。このようにすることにより、電子部品24は磁石32の移動方向へ吸引されることなく、磁石32の進行方向とは逆の方向に進む方向に回転することができるわけである。そしてそのために、部品整列板27には摩擦係数の大きなものを用いることが必要となるので、部品整列板27には樹脂やゴム系材料などを用いると良い。
【0028】
以上のように、本実施の形態における部品整列器22を用いれば、電子部品24は各細幅溝30と広幅溝31において、それぞれに定められた一定の方向に回転し、6面全ての面を必ず1回は上に向かせることができる。これによって、検査者23は回転作業などを行うことなく、容易に電子部品24を整列し、電子部品24の6面全てを検査できる。
【0029】
また、磁石32を移動させることで、電子部品24自身が転がり、電子部品24は下流へ進むこととなるので、別途電子部品24を搬送する装置などが不要とできる。
【0030】
さらにまた、磁石32を部品投入部28の下方を通過させることにより、電子部品24は回転移動し整列溝29に導かれ、整列溝29において整列できることとなる。
【0031】
さらに加えて、磁石32を離散的に設けているので、磁石32の使用個数を少なくできる。従って、低価格な部品整列器22そして検査装置21を実現できる。
【0032】
なお、本実施の形態ではN極同士を外側に向けたが、これはS極同士あるいは、隣り合う極が異なる極となるようにS極とN極とを交互に設けても良い。
【0033】
また、本実施の形態において、細幅溝30から広幅溝31へ溝幅52を変える位置における電子部品24は、幅方向側面46aあるいは幅方向側面46bが上を向いた位置に設けることにより、確実に電子部品24の回転方向を変更できる。具体的には磁石32を移動させて電子部品24を倒してゆくと、途中までは細幅溝30によって規制された状態で回転し、完全に回転が完了したときには、電子部品24全てが広幅溝31内に収まるようにする。このとき回転が完了し、長さ方向側面45が上となる状態で広幅溝31内に収まった電子部品24は、磁石32の吸引力によって長さ方向側面45が上となる状態から回路形成面44aあるいは44bが上となる方向へ倒される。これは、長さ方向側面45が上を向いた状態に比べて、回路形成面44aあるいは44bが上を向いた状態の方が磁気抵抗は小さくなるためである。
【0034】
また、本実施の形態における電子部品24として電極25を4箇所に有したものを例として用いたが、基材の両端部に電極25を有したものや、電極25を5箇所以上設けたものなどを用いても良く、その場合においても上記と同様の効果を有する。
【0035】
さらに、本実施の形態では磁石32側を移動させたが、磁石32側を固定として、部品整列板27側で磁石32上を摺動するようにしても良い。この場合使用する磁石32の個数を約半分とできるので、さらに低価格な部品整列器22や検査装置21を実現できる。
【0036】
(実施の形態2)
以下実施の形態2における部品整列器61を用いた検査装置について図面を用いて説明する。図6(a)、(b)は、本実施の形態における部品整列器61の断面図であり、図6(a)は磁石62のN極が部品載置板と対向する角度となる場合であり、図6(b)は磁石62のN極とS極双方が部品載置板と対向する角度となる場合である。図6において図1、図2と同じものは同じ番号を用いて、その説明は簡略化している。図6において、本実施の形態における検査装置は、実施の形態1と同様に部品整列板27の上方には拡大レンズ26(図示せず)が設けられ、部品整列板27の下方に磁石62を設ける点は同じである。
【0037】
しかし本実施の形態では、実施の形態1に比べ磁石62を移動させる磁力線方向変化手段63が異なっている。具体的には、本実施の形態における磁力線方向変化手段63では、磁石62の中心(N極とS極との境界線64上であり、磁石幅65の中心)に回転軸66を設ける。この回転軸66に連結したステッピングモータ(駆動部の一例として用いた)によって磁石62を反時計方向(図6に示す矢印方向)に回転させることで、電子部品24を通過する磁力線方向を変化させている。なお、この回転軸66は整列溝29に対して直角となる方向に設けられる。
【0038】
本実施の形態において、磁石62のN極あるいはS極が部品整列板27と対向する角度となる場合、磁力線は部品整列板27の上面と垂直方向となり、電子部品24の幅方向側面46aあるいは幅方向側面46bが上を向いて立つ。一方、磁石62のN極とS極双方が部品整列板27と対向する角度となる場合、磁力線は整列溝29の方向に対して平行方向となり、電子部品24の長さ方向側面45aあるいは長さ方向側面45bが上を向いた状態となる。
【0039】
では次に本実施の形態における動作について図7(a)から(d)を用いて説明する。図7(a)から(d)は、本実施の形態における部品整列器61での磁力線と電子部品24との関係図である。図7(a)から(d)に示すように、磁石62の回転角度は90度ずつ変化させる。これにより、実施の形態1でも説明したように、電子部品24を通過する磁力線方向が交互に変化し、電子部品24は下流の方向へと転がることとなる。従って、電子部品24は整列溝29の中で整列するとともに、自らの回転によって進んでゆくこととなるので、検査者23は容易に電子部品24外観を検査できる。
【0040】
なお本実施の形態では、磁石32を1個のみで電子部品24を整列させることができるので、部品整列器61の構成が簡単であり、低価格な部品整列器61を実現できるという効果もある。
【0041】
ここで、本実施の形態における電子部品24として電極25を4箇所に有したものを例として用いたが、基材の両端部に電極25を有したものや、電極25を5箇所以上設けたものなどを用いても良く、その場合においても上記と同様の効果を有する。
【0042】
なお、本実施の形態における検査装置においても拡大レンズ26は、この拡大レンズ26視野範囲内において電子部品24の6面全てが少なくとも1回は上を向くような大きさとしておくことが必要である。
【0043】
(実施の形態3)
以下実施の形態3における部品整列器71を用いた検査装置72について図面を用いて説明する。図8は、本実施の形態における電子部品整列器71を用いた検査装置72の断面図である。本実施の形態において、整列溝29に対向して拡大レンズ26を設け、部品整列板27において整列溝29を形成した反対側に磁石73を設けた点は、実施の形態1や2と同じである。そして図8において、図1から図7と同じものは同じ番号を用いて、その説明は簡略化している。
【0044】
本実施の形態の部品整列器71において、磁石73はN極とS極とが交互に配列され、これら磁石73同士が接するように設けている(以降、磁石連結体74という)。なお、本実施の形態の磁石連結体74は、8個の磁石73が基台75上に一列に並んで固定されている。
【0045】
また部品整列板27側にスライダ(磁力線方向変化手段の一例として用いた。図示せず)などを連結し、部品整列板27が磁石73上を摺動するようにしている。そしてスライダによって部品整列板27を図示矢印方向(K方向)へ移動させることによって、電子部品24を通過する磁力線の方向を交互に変化させている。これにより、図9に示すように、電子部品24は実施の形態1で説明したと同様に、整列溝29の中で整列するとともに、自ら回転することによって、部品整列板27の進行方向(K方向)と同じ方向(図中L方向)に向かって進んでゆくこととなる。従って、6面全ての面を必ず1回は上に向かせることができる。これによって、検査者23は回転作業などを行うことなく、容易に電子部品24を整列し、電子部品24の6面全てを検査できる。
【0046】
また、部品整列板27を移動させることで、電子部品24自身が転がり、電子部品24は下流へ進むこととなるので、別途電子部品24を搬送する装置などが不要とできる。
【0047】
なお本実施の形態では、磁石73が連続して配置された磁石連結体74を用いているので、電子部品24の位置によらず電子部品24を通過する磁力線の強さを略一定とできる。つまり、磁石32が電子部品24を常に吸引しているので、部品整列板27を立てて設けても電子部品24は落ち難い。従って、部品整列板27を立てて配置させることができるので、省スペース・小型の部品整列器71や検査装置72を実現できる。
【0048】
そしてこのような部品整列器71において、部品整列板27に対向するように拡大レンズ26を設けることで、拡大レンズ26も立った状態となる。これにより検査者23は、顔を下向きにするなどのような無理な姿勢を維持することなく検査ができるので、検査者23の検査作業に対する姿勢維持の苦痛を軽減できる。また、その場合に反射鏡などを用いることが不要であるので、低価格な検査装置72が実現できる。なお、本実施の形態では部品整列板27を約80度傾斜した角度で立てて設けている。
【0049】
また、基台75は磁石固定部76と設置台77とより構成されている。この設置台77には約80度の傾斜を有した斜面を設けている。そして磁石固定部76は設置台77に対して、設置台77の傾斜に沿って上下方向へスライドし、拡大レンズ26は磁石固定部76に対して固定された構成を有している。これによって、検査者23の視線の高さに応じて拡大レンズ26の位置の調整が可能となり、さらに検査者23の検査作業に対する姿勢維持の苦痛を軽減できる。
【0050】
さらに本実施の形態では部品投入部28に対して、L字形状を有した部品収納部78を設けている。この部品収納部78によって、部品整列板27が約80度傾斜した状態において電子部品24が部品投入部28より落下しないようにできる。それに加えて、この部品収納部78の下方も磁石73が通過する構成としている。つまり、部品収納部78に貯えられた電子部品24は磁石73によって磁石73方向に吸引されるとともに、磁力線方向の変化によって回転する。これによって電子部品24は重力に抗して、部品整列板27上を上昇し、整列溝29に導かれる。このとき、傾斜部51などにおいても溝に整列できなかった電子部品24などは磁石73による吸引力が小さくなるので、部品収納部78に落下する。従って、部品収納部78に数多くの電子部品24を収納しても、電子部品24を整列し易くなる。
【0051】
ここで、本実施の形態における電子部品24として電極25を4箇所に有したものを例として用いたが、基材の両端部に電極25を有したものや、電極25を5箇所以上設けたものなどを用いても良く、その場合においても上記と同様の効果を有する。
【0052】
また、本実施の形態における検査装置においても拡大レンズ26は、この拡大レンズ26視野範囲内において電子部品24の6面全てが少なくとも1回は上を向くような大きさとしておくことが必要である。
【0053】
(実施の形態4)
以下、本実施の形態における部品整列器81について図面を用いて説明する。図10は、本実施の形態における部品整列器81の断面図である。本実施の形態における部品整列器81は、実施の形態1に対し拡大レンズ26は設けずに、部品整列板27の整列溝29上に検査体82(検査手段の一例として用いた)を設けている。なお、本実施の形態における電子部品83は、方向性を有したものである。
【0054】
そして検査体82には、電子部品83の電極84と接触するための方向検査端子85と、電子部品83を吸着するための吸着ノズル86とを有し、この方向検査端子85は検査体82が部品整列板27に対して上下することで、電子部品83の電極84に当接する。そして方向検査端子85が電極84に接続されたときに、規定の試験信号を電子部品83の電極84に供給することによって、電子部品83の方向を検知する。例えばダイオードなどであれば順方向であれば電流が流れ、逆方向であれば電流が流れないことをもって、方向性を検知できる。本実施の形態では、このようにして電子部品83の方向性を検知することができるので、一方向の電子部品83を吸着して抽出することができる。
【0055】
そして本実施の形態では、検査体82を複数個設け、検査体82の下流で電子部品83を回転させることで、同じ方向へ揃えて電子部品83を吸引することができるようにしてある。
【0056】
なお本実施の形態において吸着ノズル86は、電子部品83における最も大きな面積の面を吸引するようにしておくことが望ましい。これによって、確実に電子部品83を吸着できる。
【0057】
本実施の形態における磁力線方向変化手段33としては、実施の形態1を用いたが、これは実施の形態2や実施の形態3を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明にかかる部品整列装置は、電子部品の方向を回転変化させて整列させることができるという効果を有し、電子部品を整列させた状態で各面を目視などで検査する検査装置等に用いる部品整列装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1における部品整列器を用いた検査装置の断面図
【図2】本発明の実施の形態1における電子部品の平面図
【図3】同、部品整列器の上面図
【図4】(a)〜(d)同、部品整列器の細幅部での電子部品と磁力線との関係図
【図5】(a)〜(d)同、部品整列器の広幅部での電子部品と磁力線との関係図
【図6】(a)、(b)本発明の実施の形態2における部品整列器の断面図
【図7】(a)〜(d)同、部品整列器の細幅部での電子部品と磁力線との関係図
【図8】本発明の実施の形態3における部品整列器の断面図
【図9】同、部品整列器の細幅部での電子部品と磁力線との関係図
【図10】本発明の実施の形態4における部品整列器の断面図
【図11】従来の部品整列器の側面図
【図12】同、部品整列器における検査トレイの上面図
【図13】(a)電子部品反転前における部品整列器の断面図、(b)電子部品反転後における部品整列器の断面図
【符号の説明】
【0060】
24 電子部品
25 電極
27 部品整列板
29 整列溝
32 磁石
33 磁力線方向変化手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体材料を含む電極を有した電子部品が搭載されるとともに、非磁性体で形成された部品整列板と、この部品整列板に設けられた溝と、前記部品整列板に対して前記溝の反対側に設けられるとともに前記電子部品の前記電極へ磁力を供給する磁石と、この磁石と前記部品整列板とのうちのいずれか一方に連結された磁力線方向変化手段とを有し、前記磁力線方向変化手段は、前記電子部品の前記電極に対する磁力線の方向を前記部品搭載部に垂直な方向と前記溝に平行な方向とへ交互に変化させる部品整列器。
【請求項2】
磁石は棒状の磁石を用いるとともに、磁力線方向変化手段は、前記磁石のN極とS極との境界近傍を中心として前記磁石を溝に対して直角方向に回転させる請求項1に記載の部品整列器。
【請求項3】
磁力線方向変化手段には、搬送帯とこの搬送帯に連結された駆動部とを有し、前記搬送帯には複数の磁石が離散的に設けられた請求項1に記載の部品整列器。
【請求項4】
磁石は、溝方向に複数個が近接して並設されるとともに、隣り合う磁石同士の極性が逆極性となるように配列されて磁石連結体を構成し、磁力線方向変化手段は、前記磁石連結体と部品整列板とのうちのいずれか一方を溝の形成方向へ移動させる請求項1に記載の部品整列器。
【請求項5】
部品整列板の側端部には部品収納部を設け、前記部品整列板は前記部品収納部が下側となるように立設された請求項4に記載の部品整列器。
【請求項6】
磁石は、部品整列板の裏側を滑動する請求項3または4に記載の部品整列器。
【請求項7】
部品整列板は樹脂とした請求項1に記載の部品整列器。
【請求項8】
部品整列板には溝が複数本並設された請求項1に記載の部品整列器。
【請求項9】
溝に対向するとともに電子部品の方向を検査する検査手段を有し、磁力線方向変化手段は、前記検査手段の下流において、前記電子部品の前記電極に対する磁力線の方向を変化させる請求項1に記載の部品整列器。
【請求項10】
磁性体材料を含む電極を有した電子部品が搭載されるとともに、非磁性体で形成された部品整列板と、この部品整列板に設けられた溝と、前記部品整列板の前記溝と反対側に設けられるとともに前記電子部品の前記電極へ磁力を供給する磁石と、この磁石と前記部品整列板とのうちのいずれか一方に連結された磁力線方向変化手段と、溝に対向して設けられた拡大レンズとを有し、前記磁力線方向変化手段は、少なくとも前記拡大レンズの視野範囲内において、前記電子部品の前記電極に対する磁力線の方向を前記部品搭載部に垂直な方向と前記溝に平行な方向とへ交互に変化させる検査装置。
【請求項11】
磁石は、溝方向に複数個が近接して並設されるとともに、隣り合う磁石同士の極性が逆極性となるように配列されて磁石連結体を構成し、磁力線方向変化手段は、前記磁石連結体と部品整列板とのうちのいずれか一方を溝の形成方向へ移動させる請求項10に記載の検査装置。
【請求項12】
部品整列板の側端部には部品収納部を設け、前記部品整列板は前記部品収納部が下側となるように立設された請求項11に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−106515(P2007−106515A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296288(P2005−296288)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】