説明

部品整列装置

【課題】部品の被装着物に対応した専用の部品装着装置が必要であった。
【解決手段】半田ボール12の供給部11と、この供給部11に供給された前記部品を搬送する搬送手段と、この搬送手段による搬送途中に設けられた部品整列部16と、搬送手段の下流に設けられた部品取出し部17とを備え、部品整列部16は、搬送手段を形成するとともに非磁性体で形成された搬送ベルト15と、この搬送ベルト15の下面側に設けられたS極及びN極の少なくとも2個の磁石22a、22bと、搬送ベルト15の上面に前記S極及びN極に対応して載置された少なくとも2個の磁性体球23a、23bとを有したものである。これにより、所期の目的が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品整列装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の部品整列装置について説明する。従来の部品整列装置は、図9に示すように、挿通孔1aを有する整列マスク1と、この整列マスク1の下方に移動可能に設けられた保持マスク2と、整列マスク1の上面に載置された半田ボール(部品の一例として用いた)3を挿通孔1aに挿入させるスキージブラシ4とで構成されていた。
【0003】
以上のように構成された部品整列装置について、以下にその動作を説明する。先ず、整列マスク1の下方に保持マスク2を移動させる。このとき、半田ボール3が挿入される挿通孔1aと、保持マスク2に設けられた半田ボール3の保持孔2aとを合わせる。
【0004】
そして、スキージブラシ4を矢印5方向に移動させる。すると、整列マスク1の上面に載置された半田ボール3が挿通孔1aに挿入される。この挿通孔1aに挿入された半田ボール3は、保持マスク2の保持孔2aで保持される。
【0005】
次に、保持マスク2を矢印6方向に下げる。すると半田ボール3は、整列マスク1から離れ、保持マスク2の保持孔2aに保持される。即ち、半田ボール3は保持マスク2の保持孔2a上に整列されることになる。
【0006】
この半田ボール3を保持した状態で、保持マスク2を基板(図示せず)まで移動させる。そして、この半田ボール3を基板に装着させる。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−328017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながらこのような従来の部品整列装置では、基板に装着される半田ボール3の位置に対応した専用の整列マスク1や、保持マスク2が必要であった。従って、このような部品整列装置を少量生産に用いる場合には、半田ボール3を装着する基板が変わる度に、その基板専用の整列マスク1や保持マスク2を用意する必要があり、その取り替え作業は大変であった。
【0009】
本発明は、この問題を解決したもので、少量生産に適合した部品整列装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために本発明の部品整列装置は、部品の供給部と、この供給部に供給された前記部品を搬送する搬送手段と、この搬送手段による搬送途中に設けられた部品整列部と、前記搬送手段の下流に設けられた部品取出し部とを備え、前記部品整列部は、前記搬送手段を形成するとともに非磁性体で形成された搬送ベルトと、この搬送ベルトの下面側に設けられたS極及びN極の少なくとも2個の磁石と、前記搬送ベルトの上面に前記S極及びN極に対応して載置された少なくとも2個の磁性体球とを有したものである。これにより、所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、部品の供給部と、この供給部に供給された前記部品を搬送する搬送手段と、この搬送手段による搬送途中に設けられた部品整列部と、前記搬送手段の下流に設けられた部品取出し部とを備え、前記部品整列部は、前記搬送手段を形成するとともに非磁性体で形成された搬送ベルトと、この搬送ベルトの下面側に設けられたS極及びN極の少なくとも2個の磁石と、前記搬送ベルトの上面に前記S極及びN極に対応して載置された少なくとも2個の磁性体球とを有したものであり、部品整列部において、部品が磁性体球の間を通り抜けることにより整列される。そして、この整列された部品は、整列された状態で部品取出し部から取り出される。従って、この取り出した部品を自由に装着することができるので、少量生産に適合した部品整列装置を得ることができる。
【0012】
また、磁性体球が回転することにより、部品は揺動されて整列されるので、部品が詰まってロックされることはない。
【0013】
更に、一つの部品整列装置のみで汎用的に部品を整列して供給することができるので、将来のように多種類の部品整列装置を用意する必要はなく、低価格化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における部品整列装置の斜視図である。図1において、11は半田ボール(部品の一例として用いた)12の供給部であり、この供給部11には、半田ボール12が収納されたホッパー13が挿抜自在に装着される。供給部11は通路14aを介して搬送ベルト15上に連結されている。この搬送ベルト15は、非磁性体で形成されており、厚み0.05mmのステンレスで形成されている。このように搬送ベルト15に硬質材料を用いているので、半田ボール12の整列時に変形することはない。
【0016】
この搬送ベルト15は、プーリ15a、15bで水平方向に張架されており、プーリ15bはモータに連結されて矢印15c方向に駆動される。この駆動は、0.2sec間に4mm移動する間欠駆動としている。また、搬送ベルト15は電気的には接地されており、整列部品間の摩擦により生ずる静電気の影響を防止している。15dは搬送ベルト15に適度のテンションを与えるためのプーリである。
【0017】
搬送ベルト15の上流側には、半田ボール12を整列させる部品整列部16が搬送ベルト15と一体的に設けられている。また、搬送ベルト15の下流側は、第2の通路14bに連結しており、この第2の通路14bの終端には、半田ボール12を取り出す部品取出し部17が形成されている。
【0018】
18は、部品取出し部17の上方を移動可能に設けられた吸引ノズルである。19は、部品整列部16を形成する磁石ブロックであり、この磁石ブロック19は、搬送ベルト15の下面側に交換自在に設けられている。従って、本実施の形態で説明する整列される部品としての半田ボール12以外にも、整列部品の大きさに合わせて、この部品整列部16を交換することにより対応することができる。
【0019】
図2は、半田ボール12の断面図である。この半田ボール12は、常磁性体(非磁性体又は弱磁性体)であり、樹脂12aで形成された中心部の外側はニッケル12bで覆われ、更にこのニッケル12bの外側は錫・銀・銅12cで覆われたものであり、その直径は0.5mmである。
【0020】
図3は、部品整列部16の側面図である。図3において、19は搬送ベルト15の下面側に近接して設けられた磁石ブロックであり、この非磁性体で形成されている磁石ブロック19内には、約4000ガウスの磁力を有する円筒状の永久磁石22が収納されている。この磁石22は(搬送ベルト15側が)S極の磁石22aと、N極の磁石22bとが組みになって構成されている。この磁石22の直径は1.75mmであり、その長さは2mmのものを用いている。
【0021】
23a、23bは搬送ベルト15の上面に載置された鋼球(磁性体球の一例として用いた)であり、磁石22a、22bに対応した位置に回転自在に載置されている。なお、この鋼球23(鋼球23a、23bの総称)には、直径2.0mmのベアリングを用いている。鋼球23はこの他にも鉄等の磁性体材料であれば使用することができる。この鋼球23の直径は、磁石22の直径より大きくしておくことが、鋼球23を予め定められた位置に載置する上で重要である。
【0022】
14cは、鋼球23a、23bと搬送ベルト15とで形成される通路であり、この通路14cを通過することにより、半田ボール12が一列に整列される。
【0023】
図4は、部品整列部16を上方から見た平面図である。鋼球23a、23bの近傍には、ガイド24が設けられている。このガイド24は、鋼球23a、23bの上流側では、上流側に向かって広がった形状24aに形成されている。また、鋼球23a、23b内では、直径1.75mmのアールで円弧状24bに形成されている。そして、下流側は、半田ボール12が通過する0.6mmの幅寸法24cを有する整列路24dを形成している。
【0024】
この鋼球23a、23bを搬送ベルト15上に載置し、搬送ベルト15を矢印25方向に移動させることにより、鋼球23a、23bは、磁石22a、22bの作用と搬送ベルト15の摩擦抵抗によって矢印26a、26b方向に回転する。
【0025】
このように、鋼球23a、23bが回転することにより、半田ボール12同士が揺動されるので、鋼球23a、23bの入口で詰まってロック状態になることはない。即ち、形状24a内に供給された整列前の半田ボール12は、鋼球23a、23b間に形成された通路14cを通り抜け、一列に整列されて整列路24dから流出する。
【0026】
図5は、部品取出し部17を正面から見た断面図である。この部品取出し部17は、搬送ベルト15の終端に連結された通路14bに連結されており、この通路14bの終端の壁17b上面は開口して開口部17aを形成している。この開口部17aは半田ボール12が取り出せるように、はんだボール12の直径の1倍以上、2倍以下の大きさにしている。
【0027】
なお、部品取出し部17を形成する通路14bは、搬送ベルト15であっても良い。即ち、搬送ベルト15の下流(略終端)に部品取出し部17を設けても良い。
【0028】
開口部17aの上方には吸引ノズル18が移動可能に設けられている。この吸引ノズル18の先端18aは、開口部17aを貫通して壁17b側の半田ボール12を吸引する。先端18aは半田ボール12を吸着し易いように凹形状に形成されている。
【0029】
半田ボール12を吸着した吸引ノズル18は、上方に引き上げられ、その後、基板(図示せず)の上面に移動する。そして、この基板上の予め定められた位置に半田ボール12を装着する。この吸引ノズル18の上下左右方向の制御と、吸引・装着の制御により、半田ボール12を基板の自由な位置に装着することができる。即ち、汎用的に用いることができる。即ち、少量生産における部品装着に適したものである。
【0030】
半田ボール12の吸引は、吸引ノズル18の中心に形成された負圧路18bに負圧を加えることにより行われる。半田ボール12の基板への装着は、負圧路18bを常圧にするか或いは加圧することにより行われる。半田ボール12が装着される基板には、ペーストが塗布されており、吸引ノズル18から分離された半田ボール12は、このペーストに装着されて基板に装着される。
【0031】
この吸引ノズル18による半田ボール12の吸引と基板への装着動作は、0.2secに一回の速度で行っている。従って、搬送ベルト15では、この吸引ノズル18の速度に合わせて半田ボール12を供給している。
【0032】
また、この部品取出し部17を形成する通路14bの終端には、高さ0.3mmの壁17bが形成されている。この壁17bは、半田ボール12の中心までの高さより高く、半田ボール12の上端(直径)より低くしておくことが重要である。このような壁17bの高さ寸法にすることにより、半田ボール12が飛び出すことはなく、壁17bに密着して停止させることができる。従って、吸引ノズル18では半田ボール12を容易に吸引することができる。
【0033】
27は、部品取出し部17を形成する通路14bの下面側に装着された永久磁石であり、部品取出し部17に位置する半田ボール12を吸引し、更に半田ボール12の開口部17aからの飛び出し防止を確実にしている。
【0034】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2における部品取出し部30を上面から見た断面図であり、実施の形態1における部品取出し部17に該当するものである。本実施の形態においては、部品取出し部30のみ実施の形態1と相違する。従って、この相違点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同じものについては、同符号を付して説明を簡略化する。
【0035】
本実施の形態における部品取出し部30は、通路14bの終端に接続されている。この部品取出し部30は、通路14bに対して水平方向に略180度折り曲げられている。そして、この終端には上方に向かって開口した開口部30aが形成されている。この開口部30aも実施の形態1と同様であって、半田ボール12の取り出しを容易にするために、半田ボール12の直径の1倍以上、2倍以下の大きさにしている。
【0036】
この開口部30aを形成する壁30bの高さは、実施の形態1と同様であって0.3mmである。また、部品取出し部30は搬送ベルト15の下流(略終端)に設けても良い。
【0037】
このように、水平方向に折れ曲がった部品取出し部30を形成することにより、通路14bを矢印31方向に進行してきた半田ボール12が、この折れ曲がりで進行方向に加わる力が吸収されるので、開口部30aから半田ボール12の流出を更に防止する効果がある。この効果を有効にするために、この折れ曲がり角は、90度以上あることが好ましい。
【0038】
この開口部30aの上方には、実施の形態1と同様に吸引ノズル18が移動可能に装着されている。従って、この開口部30aで半田ボール12を吸引して基板に接着するものである。
【0039】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3における部品整列部35の側面図であり、実施の形態1における部品整列部16に該当するものである。本実施の形態においては、鋼球とそれに対応する磁石が2組(複数組)設けられている点と、整列する部品が直方体形状をした部品36である点で実施の形態1と相違する。鋼球と磁石で形成された組が2組設けられていることにより、これに対応して供給部11から部品取出し部17までの構成も、この部品整列部35の前後に夫々設けられている。また、部品36は長さ寸法が1.6mm、高さ寸法が0.6mm、幅寸法が0.8mmの直方体形状をした非磁性体部品である。その他については実施の形態1と同様であり、この相違点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同じものについては、同符号を付して説明を簡略化する。
【0040】
実施の形態1においては、半田ボール12を整列するための通路14cは一つであった。実施の形態3においては、通路37a、37bと2本の通路が設けられている。即ち、実施の形態1における部品整列装置を2台並べたものである。従って、一度に2個の部品36の整列が可能となるものであり、整列時間の短縮化を図ることができる。
【0041】
図7において、39は搬送ベルトであり、実施の形態1における搬送ベルト15と幅寸法を除いて同一材質、同一材厚のものである。この搬送ベルト39と近接(ほとんど密着)した下方には直径3.0mmの磁石40a〜40dがこの順に搬送ベルト39の幅方向に設けられている。ここで、磁石40aと磁石40cとはS極が搬送ベルト39側であり、磁石40bと磁石40dとはN極が搬送ベルト39側である。
【0042】
また、この搬送ベルト39の上方には直径3.17mmの鋼球41a〜41dがこの順に載置されており、これらの鋼球41a〜41dは全て同じ材質、直径を有するものである。そして、これらは磁石40a〜40dに夫々対応している。
【0043】
これらの鋼球41a〜41dは、磁石40a〜40dへ夫々吸引力42a〜42dで吸引されている。また、これらの鋼球41aと41bは対応する磁石40a〜40dにより磁化されている。即ち、鋼球41a、41cはN極化され、鋼球41b、41dはS極化されている。従って、鋼球41aと41bは吸引力43aと43bで吸引され、鋼球41cと41dは吸引力43cと43dで吸引される。
【0044】
以上のように本実施の形態においては、部品36を整列させる通路37a、37bが2本設けられているので、実施の形態1に比べて略2倍の部品整列能力を有するものである。なお、本実施の形態では通路37を2本としたが、これは2本に限ることはなく、n本であっても良い。この場合の部品36の整列処理速度は、1本の通路14cを有する実施の形態1に比べてn倍となる。
【0045】
(実施の形態4)
図8は、実施の形態4における部品整列部50の側面図である。なお、実施の形態1、2、3と同じものは、同一番号を付して説明を簡略化している。
【0046】
実施の形態4は、部品51が大きい場合に適用するものである。即ち、鋼球52a、52bの間に大通路53を形成したものである。この場合、鋼球52aは組みとなった磁石54a、54bの上方に搬送ベルト55を介して載置している。同様に、鋼球52bも組みとなった磁石54c、54dの上方に搬送ベルト55を介して載置している。
【0047】
このように構成することにより、大通路53を形成することができ、例えば鋼球52a、52bより大きな部品51でも整列させることができる。なお、部品整列部50以外については実施の形態1〜3と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の部品整列装置は、整列された部品の装着場所の変更対応が容易であるので、少量生産に適合した部品整列装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態1における部品整列装置の斜視図
【図2】同、部品整列装置で整列される半田ボールの断面図
【図3】同、部品整列装置を構成する部品整列部の側面図
【図4】同、上面図
【図5】同、部品取出し部の断面図
【図6】同、実施の形態2における部品取出し部の断面図
【図7】同、実施の形態3における部品整列部の側面図
【図8】同、実施の形態4における部品整列部の側面図
【図9】従来の部品整列装置の断面図
【符号の説明】
【0050】
11 供給部
12 半田ボール
15 搬送ベルト
16 部品整列部
17 部品取出し部
22a 磁石
22b 磁石
23a 鋼球
23b 鋼球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の供給部と、この供給部に供給された前記部品を搬送する搬送手段と、この搬送手段による搬送途中に設けられた部品整列部と、前記搬送手段の下流に設けられた部品取出し部とを備え、前記部品整列部は、前記搬送手段を形成するとともに非磁性体で形成された搬送ベルトと、この搬送ベルトの下面側に設けられたS極及びN極の少なくとも2個の磁石と、前記搬送ベルトの上面に前記S極及びN極に対応して載置された少なくとも2個の磁性体球とを有した部品整列装置。
【請求項2】
搬送ベルトは、ステンレスで形成された請求項1に記載の部品整列装置。
【請求項3】
部品整列部の上流側には、部品を集めるガイドが設けられた請求項1に記載の部品整列装置。
【請求項4】
部品取出し部は、開口部と、この開口部に対向して設けられた吸引ノズルとで構成された請求項1に記載の部品整列装置。
【請求項5】
部品取出し部の下面側には、磁石が設けられた請求項4に記載の部品整列装置。
【請求項6】
部品取出し部は水平方向に折り曲げられた請求項4に記載の部品整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−44758(P2008−44758A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223810(P2006−223810)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】