説明

部品移送装置

【課題】供給口で発生した部品の詰まりを自動的に解消することが可能な部品移送装置を提供する。
【解決手段】部品移送装置1は、受取り側Aの供給口4aから引渡し側Bの取出し口4bへ振動によって部品Wを移送し、次工程に引き渡すものであり、振動を与える振動体3と、振動体3上に設けられ、引渡し側Bに取出し口4bが形成された本体部12、及び、本体部12の受取り側Aに設けられ、受取り側Aに供給口4aが形成された入口部13で構成されるとともに、供給口4aから取出し口4bまで、部品Wを移送可能な移送用溝16が本体部12及び入口部13に延設されたシュート4とを備えている。入口部13には、部品Wを、受取り側Aから引渡し側Bへ移送可能な正振動と、引渡し側Bから受取り側Aへ移送可能な逆振動とを正逆切替え可能な超音波モータ22が内蔵されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受取り側に配置されたパーツフィーダなどの部品供給装置から供給される部品を引渡し側まで移送し、次工程に引き渡す部品移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーツフィーダなどの部品供給装置と、例えば検査装置や組立装置などの次工程の装置との間には、振動作用によって部品を移送する部品移送装置が設けられ、部品を次工程に引渡す方法が行われている。より詳しくは、部品移送装置の受取り側を部品供給装置に近接して配置するとともに、引渡し側を次工程の装置に近接して配置する。そして、部品供給装置の取出し口と部品移送装置の供給口との間に部品を整列させて誘導することが可能なガイド部材を掛け渡すことで、部品は部品供給装置で選別され、一つずつガイド部材に供給される。さらに、ガイド部材で所定の向きに整列された部品は、順次供給口から部品移送装置に供給されて引渡し側まで移送されることになる。ガイド部材には、供給された部品を部品移送装置に誘導するための溝が形成されている。このガイド部材の溝は、部品が供給され易く、かつ正確に部品移送装置に誘導するために、部品移送装置に向ってテーパ状に幅が縮小するように形成されている。ところが、溝がテーパ状に形成されているが故に、ガイド部材が掛け渡される部品移送装置の供給口においては、部品同士、あるいは、部品の一部が欠落した破片部品などの不要物と部品とがクサビ状態に嵌り込んで、詰まってしまう場合がある。また、ガイド部材と部品移送装置の供給口との間には、微小な段差や隙間が生じやすい。このため、このような微小な段差や隙間に上記のような不要物がクサビ状態に嵌り込むことで、供給された部品が供給口で詰まってしまう場合がある。従来、このような部品の詰まりが発生した場合には、オペレータが原因となる部品及び不要物を確認して取り除くことで、部品の詰まりを解消していた。しかしながら、このような部品の詰まりが発生するごとに、人手によって原因を確認して取り除く作業は非常に時間のかかるものであり、自動的に詰まりを解消し、再度部品の移送を行うことが可能な部品移送装置が望まれている。
【0003】
例えば、部品を送り出す通路内の底面と一側面を構成する内側面を有する固定ガイドと、上記通路の上面と他の一側面を構成する内側面を有する可動ガイドと、部品の進行方向に漸次狭くなるように傾斜した異常検出部と、異常検出部で部品が停止したことを検出する検出手段と、固定ガイドに対して可動ガイドを開閉させる開閉機構とを備えた異常部品自動除去装置を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような装置を有することで、不良品など、詰まりの原因となる形状の異なる異常部品が異常部品自動除去装置まで移送されると、異常検出部で異常部品が停止して検出手段で検出されることで、可動ガイドが開き、異常部品は自動的に除去されるとされている。また、部品詰まり検知手段を備え、部品の詰まりを検出した時は、所定の方向とは逆方向に部品を移動するように振動させる部品供給装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−317406号公報
【特許文献2】特開平2−305707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1によれば、詰まりの原因の一つとなる不良品の除去は可能であるものの、供給口で部品同士、あるいは部品と不要物とが互いにクサビ状態に嵌り込んで詰まってしまった場合には、詰まりを解消することができない問題があった。また、特許文献2によれば、部品供給装置で発生した詰まりを解消することはできるものの、部品移送装置の供給口で発生した詰まりを解消することはできない。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、供給口で発生した部品の詰まりを自動的に解消することが可能な部品移送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、受取り側に設けられた供給口から供給された部品を、引渡し側に設けられた取出し口まで振動によって移送し、次工程に引き渡す部品移送装置であって、前記振動を与える振動体と、該振動体上に設けられ、前記引渡し側に取出し口が形成された本体部、及び、該本体部の前記受取り側に設けられ、前記受取り側に供給口が形成された入口部で構成されるとともに、該入口部の前記供給口から前記本体部の前記取出し口まで、前記部品を移送可能な移送用溝が前記本体部及び前記入口部に延設されたシュートとを備え、前記入口部には、前記移送用溝に配置された前記部品を、前記受取り側から前記引渡し側へ移送可能な正振動と、前記引渡し側から前記受取り側へ移送可能な逆振動とを正逆切替え可能な超音波モータが内蔵されていることを特徴としている。
【0007】
この発明に係る部品移送装置によれば、受取り側の供給口からシュートの移送用溝に供給された部品は、シュートの入口部に内蔵された超音波モータから伝達される正振動、及び振動体からシュートの本体部に伝達される振動によって、移送用溝の内部を引渡し側へ移送され、引渡し側の取出し口から次工程へ引き渡される。また、供給口において、部品がクサビ状態に嵌り込んで詰まってしまった場合には、振動体の振動を停止させるとともに、超音波モータから伝達される振動を逆振動に切替える。このため、供給口で詰まっていた部品は、超音波モータから伝達される振動によって引渡し側から受取り側へ移送され、部品同士、あるいは部品と不要物とのクサビ状態を解除することができる。そして、振動体を起振し、超音波モータの振動を正振動に切り替えることで、再度引渡し側へ部品を移送することができる。上記のように、供給口において部品が詰まってしまった場合、詰っている供給口の近傍において、引渡し側から受取り側へ移送可能な振動を起振するので、効率良く振動を伝達し、供給口で発生した詰まりを解消することができる。また、入口部で正振動及び逆振動を発生させる手段を超音波モータとすることで、小型で、かつ、容易に正振動と逆振動を切替可能なものとすることができる。
【0008】
また、上記の部品移送装置において、前記シュートの前記本体部と前記入口部とは隙間を有して設けられているとともに、前記入口部は、前記振動体と離隔して配置された支持部材によって支持されていることがより好ましいとされている。
【0009】
この発明に係る部品移送装置によれば、シュートの入口部は、本体部と隙間を有して設けられており、また、振動体と離隔して配置された支持部材によって支持されている。このため、超音波モータから発生する振動と振動体から発生する振動とが、互いに干渉してしまうことが無い。このため、受取り側から引渡し側へ移送する際は、入口部においては、超音波モータの正振動によって移送用溝の内部を移送され、本体部においては、振動体の振動によって移送用溝の内部を移送される。また、供給口において部品が詰まってしまった場合には、超音波モータの逆振動が入口部のみに伝達され、さらに効率良く振動を伝達し、より確実に詰まりを解消することができる。
【0010】
また、上記の部品移送装置において、前記シュートの前記移送用溝には、前記受取り側において、前記移送用溝に供給される前記部品の有無を検出する受取り側検出センサーが設けられているとともに、前記引渡し側において、前記移送用溝を通過する前記部品の有無を検出する引渡し側検出センサーが設けられており、前記受取り側検出センサーで前記部品が検出され、前記引渡し側検出センサーで前記部品が検出されなかった時に、前記入口部の前記超音波モータの振動を前記正振動から前記逆振動に切替える制御部を備えることがより好ましいとされている。
【0011】
この発明に係る部品移送装置によれば、受取り側検出センサーで前記部品が検出され、引渡し側検出センサーで前記部品が検出されなかった時、すなわち、受取り側からは部品が供給されるものの、供給口において詰まってしまい引渡し側へ移送されない場合に、制御部によって超音波モータの振動が正振動から逆振動に切替られる。このため、受取り側検出センサー及び引渡し側検出センサーを設けることによって、供給口の近傍に部品が詰まってしまった時のみに、的確に超音波モータの振動が切替えられ、効率良く詰まりを解消することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の部品移送装置によれば、シュートを本体部及び入口部で構成し、入口部に正振動と逆振動を正逆切替可能な超音波モータを内蔵することで、供給口で発生する詰まりを効率良く、確実に解消することができる。特に、超音波モータであることで、小型で、容易に振動の切替を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図6は、この発明に係る実施形態を示している。図1に示すように、部品移送装置1は、受取り側Aに設けられた部品供給装置である円筒ボール式パーツフィーダ50から供給される部品Wを引渡し側Bまで移送し、図示しない搬送ロボットに引渡すものである。円筒ボール式パーツフィーダ50は、上面50aがボウル状に形成されており、振動することで、上面50aに載置された部品Wを整列させ、一つずつガイド部材51を経由して部品移送装置1に部品Wを供給するものである。ここで、ガイド部材51は、円筒ボール式パーツフィーダ50の上面50aと部品移送装置1との間に掛け渡されており、部品Wを誘導する溝51aが、円筒ボール式パーツフィーダ50から部品移送装置1に向ってテーパ状に幅が縮小して形成されている。また、部品Wは、振動によって選別及び整列、また、移送が可能な程度に微小な部品であって、ねじや精密機器に搭載される微小な歯車などの機械部品、あるいは電子部品などである。本実施形態においては、部品Wとして、時計などに使用される歯車Wを例に挙げている。
【0014】
図1に示すように、部品移送装置1は、支持台2と、支持台2に固定された振動体3と、振動体3上に設けられたシュート4とを備えている。図2に示すように、振動体3は、受取り側A及び引渡し側Bにおいて、それぞれ受取り側Aに傾斜して支持台2に固定された一対の板バネ5、6と、板バネ5、6の上端部5a、6a間に固定された支持板7と、板バネ5、6のそれぞれの両面に貼り合わされた起振手段である圧電素子8、9とを備える。図3に示すように、各圧電素子8、9は、制御部10とコントローラ11を介して接続されており、電圧を印加することにより交互に伸縮することが可能である。すなわち、圧電素子8、9が交互に伸縮することにより、各板バネ5、6には撓みが生じて、支持板7を前後に振動させることができる。
【0015】
また、図1及び図2に示すように、シュート4は、振動台3の支持板7に固定された本体部12と、本体部12の受取り側Aに設けられた入口部13とで構成されている。入口部13は、振動体3と離隔して配置された支持部材14によって支持されており、本体部12と隙間15を有して配置されている。なお、隙間15は、振動体3から伝達される振動によってシュート4の本体部12が前後に振動した際に、本体部12と入口部13とが互いに干渉しない大きさに設定されている。また、入口部13の受取り側Aには、歯車Wが供給される供給口4aが形成され、本体部12の引渡し側Bには、移送された歯車Wが引渡される取出し口4bが形成されている。さらに、シュート4には、供給口4aから取出し口4bまで、供給口4aから供給された歯車Wを移送可能な移送用溝16が、本体部12及び入口部13に、各上面12a、12aに上部開口16aを形成して延設されている。図4に示すように、移送用溝16は、歯車Wの円板部W1を移送可能な形状を有する上部溝16bと、歯車Wの軸部W2を移送可能な形状を有する下部溝16cとで構成されている。さらに、移送用溝16の底部には、歯車Wの幅より狭い不要物回収溝17が形成されている。すなわち、図4に示すように、移送用溝16によって歯車Wを移送する場合において、歯車Wは円板部W1が上部溝16bに、軸部W2が下部溝16cに嵌り込んで位置決めされた状態で移送されるとともに、不要物回収溝17の分だけ下方に隙間を有した状態を保つことができる。また、図3に示すように、移送用溝16及び不要物回収溝17の引渡し側Bの先端部には、歯車Wの幅よりも小さい径を有して下方に貫通する不要物排出口18が形成されている。
【0016】
また、図1及び図2に示すように、シュート4の本体部12及び入口部13の各上面12a、13aにおいて移送用溝16の両側には、一対のシュートカバー19が延設されている。一対のシュートカバー19は、移送用溝16の幅方向に隙間20を有して配置されているとともに、それぞれが幅方向に移送用溝16の一部を閉じた状態となっている。シュートカバー19は、固定ネジ19aによって、シュート4の本体部12の上面12aに固定されている。また、シュートカバー19は、シュート4の入口部13において、入口部13の上面13aと隙間21を有して配置されている。また、シュート4の入口部13において、移送用溝16の下部には、超音波モータ22が内蔵されている。超音波モータ22は、所定の間隔で受取り側Aから引渡し側Bに向って配列された複数の圧電素子22aで構成されている。図3に示すように、超音波モータ22の圧電素子22aは、コントローラ23を介して制御部10に接続されている。そして、各圧電素子22aに周期的に電圧を印加することで各圧電素子22aが周期的に収縮して、引渡し側Bから受渡し側Aへ進行する進行波(以下、正振動とする)、あるいは受渡し側Aから引渡し側Bへ進行する進行波(以下、逆振動とする)を起振させることが可能である。これら正振動及び逆振動は、コントローラ23によって正逆切替可能である。すなわち、シュート4の入口部13において、移送用溝16の内部に配置された歯車Wは、超音波モータ22によって正振動を起振させることによって受取り側Aから引渡し側Bへ移送され、また、逆振動を起振させることによって引渡し側Bから受取り側Aへ移送される。なお、制御部10は、円筒ボール式パーツフィーダ50の起振部とも、パーツフィーダ用コントローラ52を介して接続されている。
【0017】
また、図1に示すように、シュート4の移送用溝16には、受取り側Aにおいてガイド部材51に固定された受取り側検出センサー24と、引渡し側Bにおいてシュートカバー19に固定された引渡し側検出センサー25とが設けられている。さらに、取出し口4bの側方には、取出し確認センサー26が設けられている。受取り側検出センサー24、引取り側検出センサー25及び取出し確認センサー26は、例えば本実施形態では反射型光電センサーであり、透過型光電センサーあるいはフォトセンサなどでも良い。すなわち、ガイド部材51から供給口4aに供給される歯車Wは、受取り側検出センサー24によって検出され、さらに移送用溝16を通過し、引渡し側Bまで移送された歯車Wは、引渡し側検出センサー25によって検出される。さらに、取出し口4bまで到達し、図示しない搬送ロボットに引き渡されると、取出し確認センサー26によって検出される。また、図3に示すように、受取り側検出センサー24、引渡し側検出センサー25及び取出し確認センサー26は、制御部10と接続されている。
【0018】
次に、部品移送装置1の作用について説明する。図1に示すように、受取り側Aにおいて、円筒ボール式パーツフィーダ50で整列された歯車Wは、一つずつガイド部材51を経由して供給口4aからシュート4の移送用溝16に供給される。この際、受取り側検出センサー24によって歯車Wの供給が順次検出されている。そして、供給された歯車Wは、シュート4の入口部13において、超音波モータ22から伝達される正振動によって移送用溝16の内部を引渡し側Bへ移送される。さらに、本体部12において、振動体3から伝達される振動によって、移送用溝16の内部を受取り側Aから引渡し側Bへ移送される。この際、図2及び図3に示すように、移送用溝16は、上部溝16bと下部溝16cとで構成されているので、歯車Wを所定の向きで整列して移送することができる。また、一対のシュートカバー19によって隙間20を除いて移送用溝16の上部開口16aを幅方向に閉じているので、振動によって歯車Wが回転する、あるいは上部開口16aから上方に跳ね上がるようなこと無く、歯車Wを整列して移送することができる。また、隙間20を有していることによって、歯車Wの移送状況を適時目視によっても確認することができる。また、引渡し側Bには、引渡し側検出センサー25が設けられているので、引渡し側検出センサー25によって歯車Wが移送用溝16の内部を引渡し側Bまで移送されたかどうかが順次検出されている。そして、引渡し側Bの取出し口4bまで移送されると、取出し口4bから図示しない搬送ロボットによって次工程に引渡される。この際、取出し確認センサー26によって、歯車Wが取り出されたかどうかが順次検出されている。
【0019】
ここで、図5に示すように、シュート4の供給口4aにおいて、歯車W同士が互いにクサビ状態に嵌り込んでしまい、詰まってしまう場合がある。すなわち、円筒ボール式パーツフィーダ50から供給された歯車Wがガイド部材51に滞留し、受取り側検出センサー24で歯車Wが検出されているにもかかわらず、引渡し側検出センサー25では歯車Wが検出されない場合である。このような場合には、制御部10は、受取り側検出センサー24及び引渡し側検出センサー25の検出結果をもとに、パーツフィーダ用コントローラ52を介して円筒ボール式パーツフィーダ50の振動を停止して、歯車Wの供給を停止させる。また、コントローラ11を介して振動体3の圧電素子8、9の振動を停止させる。そして、制御部10がコントローラ23を介して超音波モータ22の振動を正振動から逆振動に切替えることによって、超音波モータ22の振動がガイド部材51にも伝達され、詰まっていた歯車Wを引渡し側Bから受取り側Aへ、すなわち円筒ボール式パーツフィーダ50の方へ移送させ、歯車Wの詰まりを解消させることができる。この際、超音波モータ22が内蔵され、超音波モータ22の振動が伝達される入口部13は、本体部12及びシュートカバー19と隙間15、21を有して配置されている。また、入口部13は、振動体3と離隔して配置された支持部材14によって支持されている。このため、超音波モータ22の振動を入口部13のみに効率良く伝達させて、確実に詰りを解消することができる。そして、超音波モータ22からの逆振動を一定時間伝達させた後、制御部10は、再び超音波モータ22の振動を正振動に切替えるとともに、振動体3の振動を発生させる。このため、クサビ状態を解除された歯車Wは、再び引渡し側Bへ移送され、取出し口4bから次工程に引渡される。
【0020】
また、図6に示すように、シュート4の供給口4aにおいて、例えばガイド部材51との間に生じてしまった微小な隙間に、何らかの原因で混入してしまった不要物W4がクサビ状態に嵌り込んでしまい、これを原因として歯車Wが詰まってしまう場合もある。ここで、不要物W4とは、例えば、歯車Wの一部が欠落した破片部品や、外部から混入してしまった異物、あるいは堆積した汚物などである。このような場合でも同様に、超音波モータ22の振動を逆振動にすることによって、正振動時に隙間に嵌り込んでしまった不要物W4は、隙間から外れるとともに、歯車Wも円筒ボール式パーツフィーダ50の方へ移送され、詰まりを解消することができる。この場合も同様に、超音波モータ22からの逆振動を一定時間伝達させた後、制御部10は、再び超音波モータ22の振動を正振動に切替えるとともに、振動体3の振動を発生させる。このため、クサビ状態を解除された歯車Wは、再び引渡し側Bへ移送され、取出し口4bから次工程に引渡される。また、不要物W4も同様に、引渡し側Bへ移送されるが、不要物W4は移送用溝16から不要物回収溝17に落下し、引渡し側Bにおいて不要物排出口18から排出される。なお、不要物回収溝17の幅及び不要物排出口18の径は、歯車Wの幅よりも小さく設定されているので、歯車Wが不要物回収溝17に落下し、また不要物排出口18から排出されてしまうことは無い。
【0021】
以上のように、シュート4を本体部12及び入口部13で構成し、入口部13に正振動と逆振動を正逆切替可能な超音波モータ22を内蔵することで、供給口4aで発生する詰まりを効率良く、確実に解消することができる。特に、超音波モータ22であることで、小型で、容易に振動の切替を行うことができる。また、受取り側検出センサー24及び引渡し側検出センサー25並びに制御部10を設けることによって、供給口4aの近傍に歯車Wが詰まってしまった時のみ、的確に超音波モータ22の振動が切替えられ、効率良く詰まりを解消することができる。
【0022】
なお、シュート4において、本体部12と入口部13とは、隙間15を有して配置されているものとしたが、少なくとも入口部13に超音波モータ22が内蔵されている構成であれば、本体部12と入口部13とが接続されている構成であったとしても、供給口4aにおける詰まりを解消させる効果を期待することができる。また、振動体3は、板バネ5、6と、圧電素子8、9で構成されているものとしたが、これに限ること無く、移送用溝16に内部に配置された部品を移送可能な振動を起振させることが可能であれば良い。また、超音波モータ22の振動の切替は、受取り側検出センサー24及び引渡し側検出センサー25の検出結果をもとに行われるとしたが、これに限ることは無い。例えば、取出し口4bにおいて一定時間連続して取出しができなかった場合に切り替えられるものとしても良いし、定期的に切り替えられて、一定時間逆振動が伝達されるものとしても良い。
【0023】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施形態の部品移送装置の斜視図である。
【図2】この発明の実施形態の部品移送装置の断面図である。
【図3】この発明の実施形態の部品移送装置のブロック図である。
【図4】この発明の実施形態の部品移送装置の入口部の断面図である。
【図5】この発明の実施形態の部品移送装置の説明図である。
【図6】この発明の実施形態の部品移送装置の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 部品移送装置
3 振動体
4 シュート
4a 供給口
4b 取出し口
10 制御部
12 本体部
12a 上面
13 入口部
13a 上面
14 支持部材
15 隙間
16 移送用溝
16a 上部開口
22 超音波モータ
24 受取り側検出センサー
25 引渡し側検出センサー
A 受取り側
B 引渡し側
W 歯車(部品)
W4 不要物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受取り側に設けられた供給口から供給された部品を、引渡し側に設けられた取出し口まで振動によって移送し、次工程に引き渡す部品移送装置であって、
前記振動を与える振動体と、
該振動体上に設けられ、前記引渡し側に取出し口が形成された本体部、及び、該本体部の前記受取り側に設けられ、前記受取り側に供給口が形成された入口部で構成されるとともに、該入口部の前記供給口から前記本体部の前記取出し口まで、前記部品を移送可能な移送用溝が前記本体部及び前記入口部に延設されたシュートとを備え、
前記入口部には、前記移送用溝に配置された前記部品を、前記受取り側から前記引渡し側へ移送可能な正振動と、前記引渡し側から前記受取り側へ移送可能な逆振動とを正逆切替え可能な超音波モータが内蔵されていることを特徴とする部品移送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品移送装置において、
前記シュートの前記本体部と前記入口部とは隙間を有して設けられているとともに、前記入口部は、前記振動体と離隔して配置された支持部材によって支持されていることを特徴とする部品移送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の部品移送装置において、
前記シュートの前記移送用溝には、前記受取り側において、前記移送用溝に供給される前記部品の有無を検出する受取り側検出センサーが設けられているとともに、前記引渡し側において、前記移送用溝を通過する前記部品の有無を検出する引渡し側検出センサーが設けられており、
前記受取り側検出センサーで前記部品が検出され、前記引渡し側検出センサーで前記部品が検出されなかった時に、前記入口部の前記超音波モータの振動を前記正振動から前記逆振動に切替える制御部を備えることを特徴とする部品移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−210739(P2007−210739A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32127(P2006−32127)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】