説明

部材、表示部構造及び携帯端末装置

【課題】保護材の割れを防止でき、結果的に、更なる携帯端末装置の薄型化に貢献できる、部材、表示部構造及び携帯端末装置を提供する。
【解決手段】情報を表示する表示パネルと、表示パネルを背面から照光する照光手段と、表示パネルを保護する保護材と、照光手段及び保護材の近傍に位置する部材と、を有する表示部構造であって、照光手段及び保護材の近傍には、部材の形状に応じた空間部分が設けられており、部材の形状は、曲面、斜面、保護材に対して垂直な面のうちいずれか1つを含む形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面などの表示部を備えた筐体に適用される部材に関し、更には、上記部材を適用した表示部構造及び携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の携帯端末装置では、薄型化を実現するため、新機種の立ち上げ時に数々のアイデアが実施されているが、その中の1つとして、表示部の保護材の薄型化がある。しかし、保護材は透明樹脂材で構成されているため、保護材を薄くすると割れやすくなり、保護材の薄型化には限界があった。
【0003】
保護材が割れてしまう原因について説明する。一般的な携帯端末装置の表示部構造は、図6の側断面図に示すように、上ケース23の鍔部24の角部26がエッジとなっており、保護材21及び照光ユニット27近傍に存在する。よって、外部からの衝撃等を受けると、保護材21が角部26に当たるため、角部26の直上付近に応力集中が発生し、保護材21が割れてしまう。
【0004】
このような表示部構造の従来技術例としては、筐体の内面に位置決め凸部を一体形成し、筐体の成形時に外観不良を生じさせることなく、位置決め凸部の強度を高め、落下時などの破断を防止する「位置決め構造、位置決め方法、筐体、携帯通信端末」がある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1における表示部構造も、特許文献1の図5に示されるように、透明パネル(保護材)34及び照光ユニット37近傍に、位置決め凸部32dの角部がエッジとして存在する。よって、図4を用いて説明した上記例と同様に、外部からの衝撃等を受けた場合、透明パネル34が位置決め凸部32dの角部に当たるので、角部の直上付近に発生した応力集中を原因として、透明パネル34が割れてしまうおそれがある。
【特許文献1】特開2006−86220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことから、特許文献1記載の発明を含む従来の携帯端末装置の表示部構造では、応力集中を緩和させることにより、保護材の割れを防止する必要性がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、保護材の割れを防止でき、結果的に、更なる携帯端末装置の薄型化に貢献できる、部材、表示部構造及び携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、情報を表示する表示パネルを背面から照光する照光手段及び表示パネルを保護する保護材の近傍に備えられる部材であって、部材は、照光手段及び保護材の近傍に空間部分が設けられる形状であることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、部材の形状は、曲面、斜面、保護材に対して垂直な面のうちいずれか1つを含む形状であることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、情報を表示する表示パネルと、表示パネルを背面から照光する照光手段と、表示パネルを保護する保護材と、照光手段及び保護材の近傍に位置する部材と、を有する表示部構造であって、照光手段及び保護材の近傍には、部材の形状に応じた空間部分が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、部材の形状は、曲面、斜面、保護材に対して垂直な面のうちいずれか1つを含む形状であることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の発明において、保護材を部材に固定する固定手段を有し、固定手段は、空間部分を覆うように保護材上に備えられていることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1又は2記載の部材、あるいは、請求項3から5のいずれか1項に記載の表示部構造を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保護材の割れを防止することが可能となり、結果的に、更なる携帯端末装置の薄型化に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明の一実施形態である携帯端末装置として、折り畳み型携帯電話機10について説明する。図1は、本実施形態の折り畳み型携帯電話機の外観を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態の折り畳み型携帯電話機10は、表示部12を備えた上側筐体14と、各種操作が行われるボタン部13を備えた下側筐体15とがヒンジ部11を介して折り畳み自在に連結して構成されている。図1は、ヒンジ部11を軸にして両筐体を開いた状態を示している。なお、本実施形態では、折り畳み型携帯電話機としたが、これに限られず、筐体に表示部構造を備えた携帯端末装置であればよい。
【0016】
次に、上記のように構成された本実施形態の折り畳み型携帯電話機の表示部構造の実施例1〜4について、以下にそれぞれ説明する。
【実施例1】
【0017】
図2は、図1における表示部12のA−A断面の一部を示しており、図1に示す折り畳み型携帯電話機10の表示部構造の側断面図である。
【0018】
図2に示すように、本実施例1の表示部構造は、透明樹脂材などで構成され、液晶2に対する外部からの衝撃や塵埃等を保護する保護材(透明パネル)1、文字や画像などの各種情報を表示する液晶(表示パネル)2、液晶2を背面から照らす照光ユニット(照光手段)7、これら照光ユニット7、液晶2、保護材1が順に組み込まれる上ケース(部材)3、を有して構成されている。
【0019】
また、図2に示すように、上ケース3には、鍔部4と、角部6とが形成されている。なお、本実施例1(及び以下の実施例2〜4)において、本発明の部材の実施例である上ケース3は、図2に示すように、外部に露出して上側筐体14の頂上部を構成する部材でもあるが、本発明の部材の実施例としては、筐体外部に露出せずに、筐体内部に備えられる部材であってもよい。また、本実施例1(及び以下の実施例2〜4)において、本発明の部材の実施例である上ケース3は、図2に示すように、照光ユニット7及び保護材1を保持する部材としているが、本発明の部材の実施例としては、必ずしも照光ユニット7や保護材1を保持する必要はなく、照光ユニット7及び保護材1近傍に備えられるものであればよい。
【0020】
また、図2に示すように、保護材1は、上ケース3の鍔部4の周囲面に貼付される両面テープ(固定手段)5を介して、上ケース3に固定されている。
【0021】
また、図2に示すように、上ケース3の下方には、基板や部品が実装される基板・実装部8が備えられ、その基板・実装部8の下方には、下ケース9が備えられている。
【0022】
本実施例1の表示部構造では、図2に示すように、上ケース3は、保護材1及び照光ユニット7近傍部分(鍔部4左方の角部6)が、丸みのある曲面形状となっている。この曲面形状により、保護材1及び照光ユニット7と、角部6との間に空間部分が形成される。この空間部分によって、外部からの力で保護材1が押されても、保護材1が上ケース3の角部6に当たることがなくなり、応力集中を緩和でき、保護材1の割れを防止できる。
【実施例2】
【0023】
図3は、図1における表示部12のA−A断面の一部を示しており、図1に示す折り畳み型携帯電話機10の表示部構造の側断面図である。なお、図3における各部は、上記実施例1で説明した図2における各部と同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0024】
本実施例2の表示部構造では、図3に示すように、上ケース3は、保護材1及び照光ユニット7近傍部分(鍔部4左方の角部6)が、斜面形状となっている。この斜面形状により、保護材1及び照光ユニット7と、角部6との間に空間部分が形成される。この空間部分によって、外部からの力で保護材1が押されても、保護材1が上ケース3の角部6に当たることがなくなり、応力集中を緩和でき、保護材1の割れを防止できる。
【実施例3】
【0025】
図4は、図1における表示部12のA−A断面の一部を示しており、図1に示す折り畳み型携帯電話機10の表示部構造の側断面図である。なお、図4における各部は、上記実施例1で説明した図2における各部と同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0026】
本実施例3の表示部構造では、図4に示すように、上ケース3は、保護材1及び照光ユニット7近傍部分(鍔部4左方の角部6)が、両面テープ5の端部から保護材1に対して垂直となっており、照光ユニット7底部から水平に延伸した方向と直交する形状となっている。この形状により、保護材1及び照光ユニット7と、角部6との間に空間部分が形成される。この空間部分によって、外部からの力で保護材1が押されても、保護材1が上ケース3の角部6に当たることがなくなり、応力集中を緩和でき、保護材1の割れを防止できる。
【0027】
以上説明したように、本発明の実施例1〜3によれば、保護材及び照光ユニット近傍における上ケース(部材)の形状からエッジをなくし、保護材1及び照光ユニット7と、角部6との間に空間部分を形成することにより、保護材の割れを防止でき、結果的に、更なる携帯端末装置の薄型化に貢献できる。
【0028】
また、本実施例1〜3によれば、保護材及び照光ユニット近傍における上ケース(部材)の形状からエッジをなくすことにより、鍔部における両面テープの貼付箇所を減らすことができ、結果的に、コスト削減に貢献できる。
【0029】
なお、保護材及び照光ユニット近傍における上ケース(部材)の形状は、上記実施例1〜3の形状に限られず、保護材1及び照光ユニット7と、角部6との間に空間部分を形成できる形状であればよい。
【実施例4】
【0030】
図5は、図1における表示部12のA−A断面の一部を示しており、図1に示す折り畳み型携帯電話機10の表示部構造の側断面図である。本実施例4において、保護材1及び照光ユニット7近傍における上ケース3の部分(鍔部4左方の角部6)は、上記実施例1と同様の形状であるが、本実施例4は、両面テープ5の貼付方法が上記実施例1とは異なる。
【0031】
本実施例4の表示部構造では、図5に示すように、両面テープ5は、保護材1上において、鍔部4左方の角部6に形成された空間部分を覆うように、照光ユニット7上の近傍まで延長して貼付されている。このように、保護材1上に両面テープ5を延長して貼付することにより、応力集中をさらに緩和することが可能となるので、保護材1の割れ防止について改善効果がさらに期待できる。
【0032】
なお、本実施例4の両面テープ5の貼付方法は、上記実施例2及び3にも適用できる。
【0033】
以上説明したように、本実施例4によれば、保護材及び照光ユニット近傍における上ケース(部材)の形状からエッジをなくし、かつ、保護材上における両面テープを、照光ユニット上近傍まで延長して貼付することにより、保護材の割れ防止をさらに強化できる。
【0034】
以上、本発明の実施形態及び各実施例について説明したが、上記記載に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、筐体に表示部を有する装置・機器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態である携帯端末装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態である携帯端末装置の実施例1に係る表示部構造を示す側断面図である。
【図3】本発明の一実施形態である携帯端末装置の実施例2に係る表示部構造を示す側断面図である。
【図4】本発明の一実施形態である携帯端末装置の実施例3に係る表示部構造を示す側断面図である。
【図5】本発明の一実施形態である携帯端末装置の実施例4に係る表示部構造を示す側断面図である。
【図6】従来の携帯端末装置における表示部構造の一例を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1、21 保護材
2、22 液晶
3、23 上ケース(部材)
4、24 鍔部
5 両面テープ(固定手段)
6、26 角部
7、27 照光ユニット(照光手段)
8、28 基板・部品実装部
9、29 下ケース
10 折り畳み型携帯電話(携帯端末装置)
11 ヒンジ部
12 表示部
13 ボタン部
14 上側筐体
15 下側筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示パネルを背面から照光する照光手段及び該表示パネルを保護する保護材の近傍に備えられる部材であって、
前記部材は、前記照光手段及び前記保護材の近傍に空間部分が設けられる形状であることを特徴とする部材。
【請求項2】
前記部材の形状は、曲面、斜面、前記保護材に対して垂直な面のうちいずれか1つを含む形状であることを特徴とする請求項1記載の部材。
【請求項3】
情報を表示する表示パネルと、
該表示パネルを背面から照光する照光手段と、
該表示パネルを保護する保護材と、
前記照光手段及び前記保護材の近傍に位置する部材と、を有する表示部構造であって、
前記照光手段及び前記保護材の近傍には、前記部材の形状に応じた空間部分が設けられていることを特徴とする表示部構造。
【請求項4】
前記部材の形状は、曲面、斜面、前記保護材に対して垂直な面のうちいずれか1つを含む形状であることを特徴とする請求項3記載の表示部構造。
【請求項5】
前記保護材を前記部材に固定する固定手段を有し、
前記固定手段は、前記空間部分を覆うように前記保護材上に備えられていることを特徴とする請求項3又は4記載の表示部構造。
【請求項6】
請求項1又は2記載の部材、あるいは、請求項3から5のいずれか1項に記載の表示部構造を備えたことを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−191380(P2008−191380A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25469(P2007−25469)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】