説明

配向膜用組成物、配向膜の製造方法、及び光学異方体

【課題】 生産性に優れ、かつ、基材に対する塗布性、特にプラスチック基板に対する塗布性に優れた光配向膜用組成物、及び、均一な光配向膜、そして、光学異方体を提供することにある。また、光学異方体製造時に使用する重合性液晶組成物溶液や配向膜溶液等に使用する有機溶剤に侵されることのない光配向膜用組成物、光配向膜、及び、該光配向膜を使用した、有機溶剤等に侵されることのない光学異方体を提供する。
【解決手段】 有機材料からなる基材に接触させて使用する光配向膜用組成物であって、配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類は含フッ素アルコール系溶剤であることを特徴とする光配向膜用組成物、当該光配向膜用組成物を用いた光学異方体、液晶表示素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子や光学異方体の液晶配向膜として有用な配向膜用組成物に関し、該配向膜用組成物からなる層上に重合性液晶組成物を積層し配向させた状態で重合させて得られる光学異方体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置においては、液晶の分子配列の状態を電場等の作用によって変化させて、これに伴う光学特性の変化を表示に利用している。多くの場合、液晶は二枚の基板の間隙に注入して用いられるが、この液晶分子を特定の方向に配列させるために、基板の内側に液晶配向膜を配置する。
【0003】
また最近では、液晶セルと偏光板との間に光学異方体の一種である光学補償シート(位相差板)として、重合性液晶材料を配向させた状態で硬化させて得た光学異方体が使用されるようになり、該重合性液晶材料を配向させる材料としても液晶配向膜が使用される。従来液晶配向膜としては、ポリイミド等の高分子の膜を一方向に布等で摩擦したラビング膜が使用される。しかしながら、ラビング法では機械的に擦ることによる高分子膜表面の微細な傷が、液晶配向欠陥の原因となったり、ラビング時の押し付け圧の不均一性などにより、配向ムラが生じたりすることで、液晶素子の精細度が低下するという問題がある。
【0004】
また、曲げることが可能なフレキシブルな液晶表示装置の開発が盛んに行われており、次世代の表示媒体として期待されているが、基材が従来のガラスからプラスチックに置き換わるため、従来のような高温での製造が困難となる。ポリイミド等の高分子の膜では、一般的に200℃以上の加熱が必要であるため、基材がプラスチックの場合には適していない。
【0005】
一方、光学補償シート(位相差板)は、広波長帯域化や視野角安定性を高精度化させる目的で使用する場合も多く、その場合は、例えば1/4波長板と1/2波長板との積層体、あるいは、A−プレートとC−プレートとの積層体が使用される。しかし、該積層体を製造する方法、即ち液晶配向膜層を作成後、重合性液晶層を硬化させる工程を繰り返す場合、重合性液晶層をラビングで作成したのでは、装置が非常に大がかりとなり、連続的に作成することは困難である。従って、液晶配向膜、及び液晶層の全ての積層工程を連続的に行うことができるような、液晶配向膜を得る方法が求められている。
【0006】
位相差板を製造する場合においても、多くの場合は基材がプラスチックであり、液晶配向層を作成する際に高温で処理を行うことは困難である。
このような問題を解決するために、近年ラビングを行わない液晶配向膜作製技術が注目されている。とりわけ、基板上に設けた塗膜に何らかの異方性を有する光を照射することで液晶の配向を得る光配向法は、量産性に優れ、大型の基板にも対応できることから実用化が期待されている。
【0007】
このような光配向膜となり得るものとしてはアゾベンゼン誘導体のように光異性化反応をする化合物、シンナメート、クマリン、カルコン等の光二量化反応を生じる部位を有する化合物やポリイミドなど異方的な光分解を生じる化合物がある。しかしながら、ポリイミドなどは一般的に高温で行う必要があり(特許文献1、2、3、4参照)、基材がプラスチックの場合には適していない。
【0008】
比較的低温で光配向膜を形成でき、かつ、液晶配向能に優れる光配向膜材料としては、例えば、下記構造式で表されるようなアゾ化合物が知られている(特許文献5、非特許文献1参照)。
【0009】
しかし、該光配向膜と重合性液晶層の積層を繰り返すような積層された光学異方体の製造においては、プラスチック基板上に光配向膜用組成溶液を塗布する工程、及び、光配向膜上に重合性液晶組成物溶液を塗布する工程や、重合性液晶層上に光配向膜用組成物溶液を塗布する工程を有するが、これらの塗布溶液に使用する溶剤等によって、プラスチック基板上にむらやハジキが発生して均一な光配向膜が得られなかったり(特許文献6)、既に作成後の重合性液晶層上にも同様にむらやハジキが発生して均一な光配向膜が形成されなかったりすることあった。
【0010】
【化1】

【0011】
【特許文献1】特開平6−289374号公報
【特許文献2】特開2004−151157号公報
【特許文献3】特開平9−265096号公報
【特許文献4】特許代3582074号公報
【特許文献5】特開平5−232473号公報
【特許文献6】特開2004−206100号公報
【非特許文献1】SID01 DIGEST 1170(2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、生産性に優れ、かつ、基材に対する塗布性、特にプラスチック基板に対する塗布性に優れた光配向膜用組成物、及び、均一な光配向膜、そして、光学異方体を提供することにある。また、光学異方体製造時に使用する重合性液晶組成物溶液や配向膜溶液等に使用する有機溶剤に侵されることのない光配向膜用組成物、光配向膜、及び、該光配向膜を使用した、有機溶剤等に侵されることのない光学異方体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、基材に対する塗布性を向上させる手段として、光配向膜用組成物に特定のアルコール系の溶剤組成を用いることで上記課題を解決した。
【0014】
プラスチック基材は有機ポリマーで形成されており、ガラス基板や金属基板と比較すると表面張力が低い。一般的に配向膜に用いる溶剤は、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチロラクトン、シクロペンタノンなど表面張力が高い溶剤が用いられる。しかしながら、前記溶剤は、同時にプラスチック基材を侵しやすい溶剤でもある。そのため、プラスチック基材を侵さない溶剤が求められる。アルコール系溶剤は表面張力も低く、プラスチック基材に用いる溶剤としては適している。さらに含フッ素アルコールを用いることでプラスチック基材に対する塗布性を向上させることができる。
【0015】
即ち、本願発明は、有機材料からなる基材に接触させて使用する光配向膜用組成物であって、配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類は含フッ素アルコール系溶剤であることを特徴とする光配向膜用組成物、該配向膜用組成物を、有機材料からなる基材に塗布、乾燥後に異方性のある紫外線光又は可視光を照射し異方性を付与させることによる配向膜の製造方法、該配向膜上に、熱又は光により重合可能な重合性液晶組成物を積層させたことを特徴とする光学異方体、更に、本願発明は透明電極を有する有機材料からなる基板上に、光配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類が含フッ素アルコール系溶剤である配向膜用組成物を塗布、乾燥後に異方性のある紫外線光又は可視光を照射し異方性を付与させることによる配向膜を有し、該配向膜を有する二枚の基板に液晶材料を挟持させたことを特徴とする液晶表示素子を提供する。
カルボキシル基
【発明の効果】
【0016】
本発明の光配向膜用組成物を使用することで、均一性に優れた、特にプラスチック基材に対して均一性に優れた光配向膜、及び、光学異方体を得ることができる。また、重合性液晶組成物溶液、配向膜溶液等に使用する有機溶剤に侵されることのない光配向膜、及び、該光配向膜を使用した、有機溶剤等に侵されることのない光学異方体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(光配向膜用組成物)
本発明に用いる光配向膜用組成物は、配向材料及びアルコール系溶剤を含有するが、配向材料としては、2色性色素を用いることが好ましい。2色性色素としては、主にアゾベンゼン誘導体のように光異性化反応をする化合物、シンナメート、クマリン、カルコン等の光二量化反応を生じる部位を有する化合物のような公知慣用の化合物を用いることができる。前記化合物の中では、前述したように比較的低温で光配向膜を形成でき、かつ、液晶配向能に優れる光配向膜材料として、例えば、アゾ化合物が知られているので、以下に詳細に説明する。
(アゾ化合物)
本発明で使用するアゾ化合物は一般式(1)で表される化合物が好ましい。
【0018】
【化2】

(一般式(1)中、R及びRは各々独立してヒドロキシ基、又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、ビニルオキシ基、グリシジル基、及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表し、
及びAは各々独立して単結合又はアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基を表し、
及びBは各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−又は−O−CO−NH−を表すが、R及びRの結合において、−O−O−結合を形成することはなく、
m及びnは各々独立して0〜4の整数を表し(但し、m又はnが2以上のとき、複数あるA、B、A及びBは同じであっても異なっていても良く、二つのB又はBの間に挟まれたA又はAはアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基を表す。)、
【0019】
〜Rは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基若しくはそのアルカリ金属塩、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化メトキシ基、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基若しくはそのアルカリ金属塩、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、ビニルオキシ基及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表す。) 一般式(1)において、RおよびRが重合性官能基であると、光や熱に対する安定性の点で好ましい。重合性基の中では、特に(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。またマレイミド基は、重合開始剤が不要となるのでより好ましい。
【0020】
及びAにおいて、アルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き炭素数1〜18の直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチルトリエチレン基、2-メチルトリエチレン基、1-メチルテトラエチレン基、2−メチルテトラエチレン基、1−メチルペンタメチレン基、2-メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基の如き炭素数1〜18の分枝状アルキレン基;p−フェニレン基の如きフェニレン基;2−メトキシ−1,4−フェニレン基、3−メトキシ-1,4−フェニレン基、2−エトキシ−1,4−フェニレン基、3−エトキシ−1,4−フェニレン基、2,3,5−トリメトキシ−1,4−フェニレン基の如き炭素数1〜18の直鎖状又は分枝上アルコキシ基を有するフェニレン基;2,6−ナフタレンジイル基の如きアリーレン基が挙げられる。
【0021】
及びBは各々独立して単結合、−CO−O−又は−O−CO−が好ましく、m及びnは各々独立して0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。
、及びRが(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、連結基A、及びAとしてアルキレンオキシフェニレン基(フェニレン基がB又はBと結合するものとする。)を表し、B及びBが−CO−O−又は−O−CO−を表す形態が、高い配向規制力を得るために、これらの中で特に好ましい。
【0022】
〜Rにおいて、カルボキシル基カルボキシル基、及びスルホニルオキシ基はアルカリ金属塩であっても良いが、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等を用いることが好ましい。
【0023】
ハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリクロロメチル基又はトリフルオロメチル基が挙げられる。ハロゲン化メトキシ基としては、クロロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、アルキル基部分が、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基又は炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル基が挙げられる。また、炭素原子数1〜6の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルエチル基等が挙げられる。炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル基としては、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
【0024】
ヒドロキシアルキル基としては、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基が挙げられ、具体的にはヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
カルバモイル基としては、アルキル基部分が炭素原子数1〜6のものが挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルエチル基等が挙げられる。
【0025】
これらの中でも、ハロゲン原子、カルボキシル基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシメチル基、カルバモイル基、ジメチルカルバモイル基又はシアノ基が好ましく、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基は良好な配向性が得られる点で特に好ましい。
【0026】
また、R及びRは、4,4‘−ビス(フェニルアゾ)ビフェニル骨格の両端のフェニレン基のメタ位に置換していると、優れた光配向膜が得られ、R及びRは、4,4’−ビス(フェニルアゾ)ビフェニル骨格の2、2’位に置換していると、優れた光配向性が得られ、特に好ましい。
【0027】
一般式(1)で表されるアゾ化合物は、例えば、特開平5−232473号公報に記載の化合物が上げられる。中でも、下記構造のアゾ化合物が好ましい。
【0028】
【化3】

一般式(1)で表される化合物は、水あるいは極性有機溶媒に高い溶解性を示し、かつガラス等に対して良好な親和性を示す。該化合物を水あるいは極性有機溶媒に溶解してなる光配向膜用組成物を、ガラス等の基板に塗布した後、水あるいは極性有機溶媒を除去するだけで、基板上に一様で、かつ安定な光配向膜用塗膜を形成することができる。
また、一般式(1)で表される化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上の化合物を混合して使用することもできる。
【0029】
(溶剤)
本発明で使用する配向膜用組成物は、塗布性を良好にする目的で、通常溶剤を使用する。使用する溶剤としては特に限定はないが、通常は配向膜用化合物が溶解するような溶媒を使用する。例えば、メタノール、エタノール、1―プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール等のジオール系溶剤、テトラヒドロフラン、等のエーテル系溶剤、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、等が挙げられる。
【0030】
(アルコール系溶剤)
本発明で使用するアルコール系溶剤としては、上記のアルコール系溶剤の他に例えば、2−メトキシエターノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−(メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,3-ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、酢酸ヒドロキシエチル、2−フェニルエタノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
これらは、上記溶剤との組み合わせで使用することができ、2種類以上混合して使用することもできる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、公知慣用の添加剤を添加してもよい。
(含フッ素アルコール系溶剤)
本発明で使用する含フッ素系アルコール溶剤としては、例えば、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール、1H,1H−ヘプタフルオロブタノール、2−(パーフルオロブチル)エタノール、3−(パーフルオロブチル)プロパノール、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロブチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、2−(パーフルオロオクチル)プロパノール、3−(パーフルオロオクチル)プロパノール、6−(パーフルオロオクチル)ヘキサノール、2−(パーフルオトドデシル)エタノール、6−(パーフルオロ−1−メチルエチル)ヘキサノール、1H,1H−トリフルオロエタノール、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H,−ドデカフルオロペンタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール、2−パーフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパノール、1H,1H−2,5−ジ(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサウンデカフルオロノナノール、などが挙げられる。
【0031】
これらは、上記溶剤との組み合わせで使用することができ、2種類以上混合して使用することもできる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、公知慣用の添加剤を添加してもよい。
本発明で使用する含フッ素アルコール系溶剤の比率は、配向膜用組成物に対して0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜25%質量%がより好ましい。
本発明の配向膜用組成物の固形分比は、通常0.1質量%以上となるように調製する。中でも0.2〜5質量%となるように調製することが好ましい。
【0032】
(添加剤)
本発明で使用する配向膜用組成物をさらに均一に塗布し、膜厚の均一な光配向膜を得るために、汎用の添加剤を使用することもできる。例えば、レベリング剤、チキソ剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、表面処理剤、等の添加剤を液晶の配向能を著しく低下させない程度添加することができる。
本願発明においては、前述の配向膜用組成物を用いた配向膜の製造方法を提供するものであるが、配向膜を坦持させる基材については以下に記載するような有機材料からなる基材が好ましく、配向膜用組成物の塗布、乾燥、光異性化の各工程は次のような方法が好ましい。
【0033】
(基材)
本発明で使用する基材は、液晶表示素子や光学異方体に通常使用する基材であって、配向膜用組成物溶液の塗布後の乾燥時、あるいは液晶素子製造時における加熱に耐えうる耐熱性を有する有機材料であれば、特に制限はない。そのような基材としては、主にプラスチック基材等が挙げられる。プラスチック基材としては、セルロース誘導体、ポリシクロオレフィン誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン、ポリスチレン等を使用することができる。配向膜用組成物の塗布性や接着性向上のために、これらの基材の表面処理を行っても良い。表面処理として、オゾン処理、プラズマ処理などが挙げられる。また、光の透過率や反射率を調節するために、基板表面に有機薄膜、無機酸化物薄膜や金属薄膜等を蒸着など方法によって設けても良い。
より具体的には、本発明のプラスチック基材に対する塗布性に優れる効果を発現し易いことから、PETフィルム、ポリアリレート、セルロース誘導体、ポリシクロオレフィン誘導体、等の基材が特に好ましい。
【0034】
(塗布工程)
塗布工程において用いられる方法としては、スピンコーティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、ディッピング等、公知慣用の方法を行うことができる。又、塗布後は乾燥させ、光配向膜用塗膜を得る。
【0035】
(光異性化工程)
前記方法により得た光配向膜用塗膜に、異方性を有する光を照射(以下、光異性化工程と略す)して、光配向膜用組成物からなる層に光照射して液晶配向能を生じさせた層(A)(以下層(A)と略す)を作成する。光異性化工程で使用する、異方性を有する光としては、直線偏光や楕円偏光等の偏光、もしくは基材面に対して斜めの方向から非偏光があげられる。偏光は直線偏光、楕円偏光のいずれでも良いが、効率よく光配向を行うためには、消光比の高い直線偏光を使用することが好ましい。
また、光照射装置において偏光を得るためには偏光フィルタ等を使用する必要があるので、膜面に照射される光強度が減少するといった欠点があるが、膜面に対して斜め方向から非偏光を照射する方法では、照射装置に偏光フィルタ等を必要とせず、大きな照射強度が得られ、光配向のための照射時間を短縮することができるという利点がある。このときの非偏光の入射角は基材法線に対して10°〜80°の範囲が好ましく、照射面における照射エネルギ−の均一性、得られるプレチルト角、配向効率等を考慮すると、20°〜60°の範囲が更に好ましく、45°が最も好ましい。
【0036】
照射する光は、使用する化合物の光配向性基が吸収を有する波長領域の光であれば良い。例えば光配向性基がアゾベンゼン構造を有する場合は、アゾベンゼンのπ→π遷移による強い吸収がある、波長330〜500nmの範囲の紫外線が特に好ましい。照射光の光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レ−ザ−等が挙げられる。本発明においては光配向性基がアゾベンゼン構造であるので、365nmの紫外線の発光強度が特に大きい超高圧水銀ランプを有効に使用することができる。
前記光源からの光を偏光フィルタやグラントムソン、グランテ−ラ−等の偏光プリズムを通すことで紫外線の直線偏光を得ることができる。
【0037】
また、偏光、非偏光のいずれを使用する場合でも、照射する光は、ほぼ平行光であることが特に好ましい。
また、偏光を照射する際に、フォトマスクを使用すれば、光配向膜にパターン状に2以上の異なった方向に液晶配向能を生じさせることができる。具体的には、本発明の光配向膜用組成物を塗布乾燥した後に、基材にフォトマスクを被せて全面に偏光もしくは非偏光を照射し、パターン状に露光部分に液晶配向能を与える。必要に応じてこれを複数回繰り返すことで、複数方向に液晶配向能を生じさせることができる。
さらに場合によっては、前記光異性化工程の後に光配向膜を冷却することもできる。冷却方法としては、光異性化した光配向膜用塗膜が冷却されればよく、例えば、コールドプレート、チャンバー、低温恒温器等、公知慣用の冷却装置で基材ごと冷却を行う。
【0038】
冷却条件としては、冷却温度が20℃で1分以上であるが、冷却温度が20℃よりも低い場合は、その限りではない。冷却温度としては、使用する溶剤の融点以上であればよいが、通常−40℃〜20℃の範囲が好ましい。液晶配向機能が向上した、より安定な光配向膜を得るには10℃以下が好ましく、冷却時間としては5分以上が好ましい。さらに冷却時間を短縮させるには冷却温度は5℃以下が好ましい。
また、結露防止のため、冷却をする際に乾燥空気や窒素、アルゴン雰囲気下で行ってもよいし、乾燥空気や窒素等を基材に吹きかけながら冷却してもよい。
【0039】
(光配向膜の重合工程)
本発明で得られる光配向膜を予め重合させる場合は、光異性化工程後、親水性基を有する(メタ)アクリレートを重合させる。この場合は、後述の光重合開始剤を添加しておくことが好ましい。重合方法は光照射又は熱でよいが、光照射で行う場合は、光異性化工程で得られた配向状態を乱さないようにするため、アゾベンゼン骨格が持つ吸収帯以外の波長で行われることが好ましいとされる。このような光は、具体的には320nm以下の紫外光であるが、320nm以下の紫外光により光配向膜及び重合性液晶組成物が分解などを引き起こす場合は、320nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。
【0040】
320nm以上の紫外光によって、既に得られたアゾベンゼン骨格の配向が乱されないようにするためには、通常は、アゾベンゼン骨格が有する光の吸収帯とは異なる光吸収波長帯域を持つ光重合開始剤を使用するのが好ましい。また、通常の光重合開始剤の吸収帯よりも長波長の光を吸収し、重合開始剤へのエネルギー移動を起こすことによって重合反応を誘起する化合物を混合しても良い。これらにより、光配向操作で固定されている光配向膜用組成物の配向状態を乱さずに、重合させることができる。一方、重合のための光を光配向操作と同じ方向から照射する場合や、アゾベンゼン骨格の吸収遷移モーメントと直交する偏波面を有する偏光照射を行えば、得られた配向状態を乱す恐れがないので、任意の波長を使用することができる。
【0041】
例えば、光配向材料に光重合開始剤を添加しておき光配向材料を配向させるような光を照射すると、光配向と光重合を同時に行うことができる。また、光配向を重合阻害をおこすような雰囲気、例えば空気中で行うことにより、光配向のみ行い、その後、雰囲気を重合阻害を及ぼさない、例えば、窒素中に変更することにより、光重合を開始させることもできる。この場合は、光配向の時の照射量を調整し、重合阻害の雰囲気で光配向を行っているうちに、すべての光重合開始剤を消費しないようにすることが好ましい。
【0042】
一方、熱による重合の場合は、80〜250℃で行うのが好ましく、80〜160が好ましい。この場合は、熱重合開始剤を添加しておくのが好ましい。
本発明で使用する光重合開始剤は公知慣用のものが使用できる。
320nm以下の紫外光で使用できる光重合開始剤としては1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)などが挙げられる。
また、アゾベンゼン骨格が有する光の吸収帯とは異なる光吸収波長帯域を持つ光重合開始剤としては、例えば、特許第3016606号に記載の近赤外線吸収色素と有機ホウ素を組み合わせたもの等が挙げられる。
【0043】
その他の光重合開始剤としては、例えば、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)。ベンジルメチルケタ−ル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)。2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ−ドプレキンソップ社製「カンタキュア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)、などが挙げられる。
【0044】
また、熱重合の際に使用する熱重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば、メチルアセトアセテイトパ−オキサイド、キュメンハイドロパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカ−ボネイト、t−ブチルパ−オキシベンゾエイト、メチルエチルケトンパ−オキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパ−オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、p−ペンタハイドロパ−オキサイド、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、ジクミルパ−オキサイド、イソブチルパ−オキサイド、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パ−オキシジカ−ボネイト、1,1−ビス(t−ブチルパ−オキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオン−アミヂン)ジハイドロクロライド等のアゾアミヂン化合物、2,2’アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、2,2’アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアルキルアゾ化合物等を使用することができる。
(本発明の光学異方体の製造方法)
本発明の光学異方体は、前記方法で得た光配向膜層に重合性液晶組成物を積層し、前記光配向膜により配向させた状態で光照射もしくは加熱により重合させて得ることができる。
【0045】
あるいは、一般式(1)で表される化合物におけるR及びRが重合性官能基の場合は、前記光配向膜用組成物からなる層に光照射して液晶配向能を生じさせた層(A)(以下、層(A)と略す)に、重合性液晶組成物中の重合性基を有する液晶化合物を、前記層(A)により配向させた状態で重合して得られる重合体層(B)(以下、層(B)と略す)との積層膜を基材上に形成し、層(A)に液晶配向能を生じさせながら、あるいは生じさせて、液晶化合物の配向状態を保ったまま重合性基を反応させることで得ることができる。この場合、各々の層が完全に重合硬化している必要はない。
【0046】
具体的な方法としては、例えば、下記(方法1)〜(方法3)の方法が挙げられる。
(方法1)
基材上に、前記光配向膜用組成物の塗膜を作成する工程1と、前記光配向膜用組成物塗膜上に重合性液晶組成物塗膜を作成する工程2と、異方性を有する光を照射して、配向材料を含む層及び液晶分子を配向させながら重合性液晶組成物を重合させる工程3を、この順に行う製造方法。
該方法においては、異方性を有する光を1度照射するだけで、光配向工程と重合とを同時に行うことができるので、効率的である。
【0047】
(方法2)
基材上に、前記光配向膜用組成物の塗膜を作成する工程1と、前記光配向膜用組成物塗膜に異方性を有する光を照射して光配向膜層を得る工程2と、前記光配向膜用組成物塗膜上に重合性液晶組成物塗膜を作成する工程3と、熱又は光により重合性液晶組成物を重合させる工程4を、この順に行う製造方法。
該方法においては、前記光配向膜用組成物塗膜に直接光を照射するので、より液晶配向能の高い光配向膜を得ることができる。
【0048】
(方法3)
基材上に、前記光配向膜用組成物の塗膜を作成する工程1と、前記光配向膜用組成物塗膜に異方性を有する光を照射して光配向膜層を得る工程2と、光配向膜中の(メタ)アクリレート基がある場合、熱又は光により重合させる工程3と、前記光配向膜用組成物塗膜上に重合性液晶組成物塗膜を作成する工程4と、熱又は光により重合性液晶組成物を重合させる工程5を、この順に行う製造方法。
該方法においては、機械的、あるいは化学的強度に優れた光配向膜が得られ、光配向膜を形成した基板を積み重ねたり巻き取ったりするプロセスが含まれる場合には好適である。また、光配向の工程を光重合の工程とは分けて行うので配向規制力の制御が容易である。
【0049】
場合によっては、光学異方体を数層にわたり積層することもできる。その場合は前記工程を複数繰り
これら方法は光学異方体の製造プロセスに応じて適宜選択すればよい。重合性液晶を塗布する工程の前に光配向膜が他の基板等や装置などの物体に接することがないようなプロセスでは、(方法1)又は(方法2)が、重合操作が一度で済み簡便であり好ましく、(方法2)が、配向に優れた光学異方体が簡便に得られるのでさらに好ましい。一方、重合性液晶を塗布する工程の前に、基板の堆積あるいは巻き取りにより光配向膜が他の基板等や装置などの物体に接する可能性がある場合には光配向膜の構造を固定化するために(方法3)を選択することが好ましい。
【0050】
(重合性液晶組成物を構成する化合物)
本発明において、重合体層(B)を構成する重合可能な液晶組成物において、重合性基を有する液晶化合物は、単独または他の液晶化合物との組成物において液晶性を示す。重合性基を有する化合物であれば、特に限定はない。例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行,1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編,1994年)、あるいは、特開平7−294735号公報、特開平8−3111号公報、特開平8−29618号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−148079号公報、特開2000−178233号公報、特開2002−308831号公報、特開2002−145830号公報に記載されているような、1,4−フェニレン基1,4−シクロヘキレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、エポキシ基といった重合性官能基を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは特開2004−2373号公報、特開2004−99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物、 あるいは特開2004−149522号公報に記載されているようなアリルエーテル基を有する棒状重号性液晶化合物、 あるいは、例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行,1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編,1994年)や、特開平7−146409号公報に記載されているディスコティク重合性化合物が挙げられる。中でも、重合性基を有する棒状液晶化合物が、液晶温度範囲として室温前後の低温を含むものを作りやすく好ましい。
【0051】
(重合開始剤)
前記重合性液晶組成物を重合させるには、一般には紫外線等の光照射あるいは加熱により行う。光照射によって行う場合に使用する光重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・ジャパン株式会社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン株式会社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(チバ・ジャパン株式会社製「ダロキュア1116」)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−1(チバ・ジャパン株式会社製「イルガキュア907」)。ベンジルメチルケタ−ル(チバ・ジャパン株式会社製「イルガキュア651」)。2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ−ドプレキンソップ社製「カンタキュア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)、などが挙げられる。光重合開始剤の使用量は重合性液晶化合物に対して10質量%以下が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
【0052】
また、熱重合の際に使用する熱重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば、メチルアセトアセテイトパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカーボネイト、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパ−オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、p−ペンタハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネイト、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオン−アミヂン)ジハイドロクロライド等のアゾアミヂン化合物、2,2’アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、2,2’アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアルキルアゾ化合物等を使用することができる。熱重合開始剤の使用量は重合性液晶化合物に対して10質量%以下が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
【0053】
前記層(B)の重合操作については、一般に紫外線等の光照射あるいは加熱によって行われる。重合を光照射で行う場合は、本発明の光配向膜用組成物からなる光配向膜の配向状態を乱さないようにするため、一般には、二色性化合物が有する光の吸収帯、例えば、アゾベンゼン骨格やアントラキノン骨格が持つ吸収帯以外の波長で行われることが好ましい。具体的には320nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜300nmの波長の光を照射することが最も好ましい。但し、320nm以下の紫外光により光配向膜及び重合性液晶組成物が分解などを引き起こす場合は、320nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。
【0054】
この光は、既に得られた光配向性基の配向を乱さないために、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。そのために、通常は、二色性化合物が有する光の吸収帯とは異なる光吸収波長帯域を持つ光重合開始剤を使用するのが好ましい。一方、重合のための光を光配向操作と同じ方向から照射する場合は、光配向材料の配向状態を乱す恐れがないので、任意の波長を使用することができる。
【0055】
一方、加熱による重合は、重合性液晶組成物が液晶相を示す温度又はそれより低温で行うことが好ましく、特に加熱によりラジカルを放出する熱重合開始剤を使用する場合にはその開裂温度が上記の温度域内にあるものを使用することが好ましい。また該熱重合開始剤と光重合開始剤とを併用する場合には上記の温度域の制限と共に光配向膜と重合性液晶膜の両層の重合速度が大きく異なることの無い様に重合温度と各々の開始剤を選択することが好ましい。加熱温度は、重合性液晶組成物の液晶相から等方相への転移温度にもよるが、熱による不均質な重合が誘起されてしまう温度よりも低い温度で行うことが好ましく、20℃〜300℃が好ましく、30℃〜200℃がさらに好ましく、30℃〜120℃が特に好ましい。また例えば、重合性基が(メタ)アクリロイル基である場合は、90℃よりも低い温度で行うことが好ましい。
得られた光学異方体の耐溶剤特性や耐熱性の安定化のために、光学異方体を加熱処理することもできる。この場合、前期重合性液晶膜のガラス転移点以上で加熱することが好ましい。通常は、50〜250℃が好ましく、80〜200℃がさらに好ましい。
【0056】
(溶剤)
前記重合性液晶組成物に使用する溶剤としては、特に限定はないが、前記化合物が良好な溶解性を示す溶媒が使用できる。例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。また、添加剤を添加することもできる。
【0057】
本発明の重合性液晶組成物は、重合性基を有していない液晶化合物を必要に応じて添加してもよい。しかし、添加量が多すぎると、得られた光学異方体から液晶化合物が溶出して積層部材を汚染する恐れがあり、加えて光学異方体の耐熱性が下がるおそれがあるので、添加する場合は、重合性液晶化合物全量に対して30質量%以下とすることが好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
【0058】
本発明で使用する重合性液晶組成物は、重合性基を有するが重合性液晶化合物ではない化合物を添加することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で重合性モノマーあるいは重合性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができる。添加する場合は、本発明の重合性液晶組成物に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
【0059】
本発明で使用する重合性液晶組成物は、光学活性を有する化合物、すなわちキラル化合物を添加してもよい。該キラル化合物は、それ自体が液晶相を示す必要は無く、また、重合性基を有していても、有していなくても良い。また、キラル化合物の螺旋の向きは、重合体の使用用途によって適宜選択することができる。
【0060】
具体的には、例えば、キラル基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、キラル基として2−メチルブチル基を有するビーディーエイチ社製の「CB−15」、「C−15」、メルク社製の「S−1082」、チッソ社製の「CM−19」、「CM−20」、「CM」、キラル基として1−メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S−811」、チッソ社製の「CM−21」、「CM−22」などを挙げることができる。
【0061】
キラル化合物を添加する場合は、本発明の重合性液晶組成物の重合体の用途によるが、得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜100の範囲となる量を添加することが好ましく、0.1〜20の範囲となる量がさらに好ましい。
【0062】
本発明で使用する重合性液晶組成物には、保存安定性を向上させるために安定剤を添加することもできる。安定剤として例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類等が挙げられる。添加する場合は、本発明の重合性液晶組成物に対して1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
【0063】
本発明の光学異方体を、例えば、偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料、保護膜等の用途に利用する場合には、本発明で使用する重合性液晶組成物にはその目的に応じて、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物、などを添加してもよい。
【0064】
得られた光学異方体の耐溶剤特性や耐熱性の安定化のために、光学異方体を加熱エージング処理することもできる。この場合、前期重合性液晶膜のガラス転移点以上で加熱することが好ましい。通常は、50〜300℃が好ましく、80〜240℃がさらに好ましい、100〜220℃がさらに好ましい。
【0065】
本発明の光学異方体は、基板から剥離して単体で光学異方体として使用することも、基板から剥離せずにそのまま光学異方体として使用することもできる。特に、他の部材を汚染し難いので、被積層基板として使用したり、他の基板に貼り合わせて使用したりするときに有用である。場合によっては、光学異方体を数層にわたり積層することもできる。その場合は前記工程を複数繰り返せばよく、光学異方体の積層体を形成することができる。
【0066】
(液晶表示素子)
本発明の配向膜用組成物を用いた液晶表示素子の作製は、前記配向膜の作製を除いては、公知慣例の方法で行われるが、以下に示すが、以下に一例を示す。
まず、ITO等の透明電極を有する有機材料からなる基板の電極を設けた面に、本発明の液晶配向組成物を塗布、乾燥し、可視紫外光により配向処理を行う。次に配向膜面を、スペーサーを介して、かつ、互いの配向膜の配向方向が直交するように対向させ、その間隙に液晶を注入する。このようにして作製した液晶セルの外側に、それぞれの基板における配向膜の配向方向と透過する偏光方向とが一致するように偏光板を貼り付けることによって、TN型液晶表示素子を製造することができる。
【実施例】
【0067】
以下に本発明を合成例、実施例、及び、比較例によって説明するが、もとより本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1 光配向膜用組成物(1)の調整)
【0068】
【化4】

(A)
式(A)で表される化合物0.5部を2−(2−エトキシエトキシ)エタノール29.5部に溶解させ、溶液1を得た。次に溶液1に2−ブトキシエタノール64.5部、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール5部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(1)を得た。
【0069】
(実施例2 光配向膜用組成物(2)の調整)
光配向膜用組成物(1)において、1H,1H−ペンタフルオロプロパノールを2−(パーフルオロブチル)エタノールに代えた以外は光配向膜用組成物(1)と同様にして、光配向膜用組成物(2)を得た。
(実施例3 光配向膜用組成物(3)の調整)
光配向膜用組成物(1)において、1H,1H−ペンタフルオロプロパノールを1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノールに代えた以外は光配向膜用組成物(1)と同様にして、光配向膜用組成物(3)を得た。
【0070】
(実施例4 光配向膜用組成物(4)の調整)
光配向膜用組成物(1)において、1H,1H−ペンタフルオロプロパノールを1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール代えた以外は光配向膜用組成物(1)と同様にして、光配向膜用組成物(4)を得た。
(実施例5 光配向膜用組成物(5)の調整)
式(A)で表される化合物0.5部を2−(2−エトキシエトキシ)エタノール29.5部に溶解させ、溶液1を得た。溶液1に2−ブトキシエタノール44.5部、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール25部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(5)を得た。
【0071】
(実施例6 光配向膜用組成物(6)の調整)
式(A)で表される化合物0.5部を2−(2−エトキシエトキシ)エタノール29.5部に溶解させ、溶液1を得た。次にDA−212(ナガセケムテックス社製)1部を2−ブトキシエタノール64.5部に溶解させ、溶液2を得た。溶液1に溶液2、及び、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール5部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(6)を得た。
(実施例7 光配向膜用組成物(7)の調整)
【0072】
【化5】

式(B)で表される化合物0.5部を2−(2−エトキシエトキシ)エタノール29.5部に溶解させ、溶液1を得た。次に溶液1に2−ブトキシエタノール64.5部、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール5部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(7)を得た。
【0073】
(比較例1 光配向膜用組成物(8)の調整)
本願発明の効果を明らかにするために、含フッ素アルコール系溶剤を使用しない光配向膜用組成物(8)を作製した。式(A)で表される化合物0.5部をN−メチル−2−ピロリドン29.5部に溶解させ、溶液1を得た。溶液1に2−ブトキシエタノール69.5部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(8)を得た。
(比較例2 光配向膜用組成物(9)の調整)
比較例1と同様に、含フッ素アルコール系溶剤を使用しない光配向膜用組成物(9)を作製した。式(A)で表される化合物0.5部を純水29.5部に溶解させ、溶液1を得た。溶液1に2−ブトキシエタノール69.5部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(9)を得た。
【0074】
(参考例1 重合性液晶組成物(LC−1)の調整)
式(E)で示される化合物15部、式(F)で示される化合物15部をキシレン65部、アニソール5部からなる溶剤に溶解させた後、イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製)1.2部、式(G)で示されるアクリル共重合体0.3部を加え、溶液を得た。得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、重合性液晶組成物(LC−1)を得た。
【0075】
【化6】

(E)
【0076】
【化7】

(F)
【0077】
【化8】

(G)
【0078】
(実施例8 光配向膜の評価)
実施例1で作製した光配向膜用組成物(1)をスピンコーターで80μmのプラスチックフィルム上に塗布し、50℃で1分間乾燥した。このときの乾燥膜厚は10nmであった。
次に超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、バンドパスフィルター、及び、偏光フィルターを介して、波長365nm付近の可視紫外光(照射強度:20mW/cm)の直線偏光でかつ平行光を、基材に対して垂直方向から照射し、光配向膜を得た。照射量は100mJ/cmであった。
【0079】
得られた光配向膜の膜状態を観察した結果を目視評価した。膜状態はAで欠陥は観察されなかった。
(目視評価)
A:全く欠陥が観察されない
B:部分的に膜の欠陥が観察される
C:膜の大部分で欠陥が観察される
D:膜が形成できない
光配向膜用組成物(1)に替えて、光配向膜用組成物(2)〜(7)を用いること以外は同様な方法により光配向膜を作製し、膜状態を目視評価した。光配向膜の評価結果を表1に示す。
【0080】
(比較例3)
実施例8と同様な方法で、比較例1及び2で作製した光配向膜用組成物(8)及び(9)について光配向膜を作製し膜状態を目視評価した。評価結果は実施例と併せて表1に示す。
【0081】
(実施例9 光学異方体の評価)
実施例8で得た光配向膜上にスピンコーターで重合性液晶組成物(LC−1)を塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を1J/cm照射することにより均一な光学異方体を得た。リタデーションは270nmであった。得られた光学異方体の膜状態を観察した結果を、外観評価に従い評価した。その結果を表1に示す。
(外観評価)
A:目視で欠陥が全くなく、偏光顕微鏡観察でも欠陥が全くない
B:目視では欠陥は全くないが、偏光顕微鏡観察では無配向部分が存在している
C:目視では欠陥はないが、偏光顕微鏡観察で全体的に無配向部分が存在している
D:目視では一部欠陥が生じており、偏光顕微鏡観察でも全体的に無配向部分が存在している
E:目視で光配向膜全体にむらが生じている
実施例8において、光配向膜用組成物(2)〜(7)を用いて作製した光配向膜を用いた以外は同様にして光学異方体を作製し、膜状態の外観評価を行った。光学異方体の外観評価結果を表1に示す。
【0082】
(比較例4)
比較例3において、光配向膜用組成物(8)又は(9)を用いて作製した光配向膜を用いた以外は同様にして光学異方体を作製し、膜状態の外観評価を行った。光学異方体の外観評価結果を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1に示すように、本発明の含フッ素アルコールを含有する光配向膜用組成物を用いた場合、プラスチックフィルムへの塗布性が良好で欠陥のない、均一な配向膜が得られた。また、種類の異なるプラスチックフィルムに適用した場合も実施例1〜7と同様に欠陥のない、良好な配向膜が得られた。一方、比較例1の光配向膜用組成物を用いた場合、塗布後の乾燥時にハジキが発生し、均一な配向膜が得られなかった。また、種類の異なるプラスチックフィルムを用いた場合、フィルムが大幅に変形した。
実施例1〜7の光配向膜用組成物を用いた場合、光学異方体は外観上も欠陥がなく良好で、偏光顕微鏡で観察しても欠陥が見られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料からなる基材に接触させて使用する光配向膜用組成物であって、配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類は含フッ素アルコール系溶剤であることを特徴とする光配向膜用組成物。
【請求項2】
少なくとも2種類以上のアルコール系溶剤を含有する請求項1記載の光配向膜用組成物。
【請求項3】
前記配向膜用組成物中の含フッ素アルコール系溶剤の比率が、0.1〜50質量%である請求項1又は2記載の光配向膜用組成物。
【請求項4】
光配向材料が2色性色素である請求項1〜4の何れかに記載の光配向膜用組成物。
【請求項5】
2色性色素が一般式(1)で表されるアゾ化合物を含有する請求項1〜5の何れかに記載の光配向膜用組成物。
【化1】

(一般式(1)中、R及びRは各々独立してヒドロキシ基、又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、ビニルオキシ基、グリシジル基、及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表し、
及びAは各々独立して単結合又はアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基を表し、
及びBは各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−又は−O−CO−NH−を表すが、R及びRの結合において、−O−O−結合を形成することはなく、
m及びnは各々独立して0〜4の整数を表し(但し、m又はnが2以上のとき、複数あるA、B、A及びBは同じであっても異なっていても良く、二つのB又はBの間に挟まれたA又はAはアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基を表す。)、
〜Rは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基若しくはそのアルカリ金属塩、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化メトキシ基、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基若しくはそのアルカリ金属塩、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、ビニルオキシ基及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表す。)
【請求項6】
配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類が含フッ素アルコール系溶剤である配向膜用組成物を、有機材料からなる基材に塗布、乾燥後に異方性のある紫外線光又は可視光を照射し異方性を付与させることによる配向膜の製造方法。
【請求項7】
配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類が含フッ素アルコール系溶剤である配向膜用組成物を、有機材料からなる基材に塗布、乾燥後に異方性のある紫外線光又は可視光を照射した異方性を有する配向膜上に、熱又は光により重合性液晶組成物を積層させたことを特徴とする光学異方体。
【請求項8】
透明電極を有する有機材料からなる基板上に、配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類が含フッ素アルコール系溶剤である配向膜用組成物を塗布、乾燥後に異方性のある紫外線光又は可視光を照射し異方性を付与させることによる配向膜を有し、該配向膜を有する二枚の基板に液晶材料を挟持させたことを特徴とする液晶表示素子。

【公開番号】特開2010−96892(P2010−96892A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266226(P2008−266226)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】