説明

配管の接続構造体

【課題】本発明は、金属製の管接続部22を樹脂製の接続パイプに接続する構成において、シール性および抜止性に優れた配管の接続構造体を提供する。
【解決手段】給油装置10は、管接続部22を有する金属製の管体と、パイプ接続端31aを有する樹脂製の接続パイプ30とを備えている。管接続部22とパイプ接続端31aとの間には、圧入部材40およびシール部材50が挟持されている。圧入部材40は、管接続部22の外周に装着され外周面が円筒の圧入本体43と、圧入本体43の一端部に形成された爪43cとを有している。パイプ接続端31aは、パイプ接続端31aの一部を環状に縮径した縮径部31cを備え、縮径部31cはパイプ接続端31aを管接続部22に接続する前に予め塑性変形されまたは接続した後に塑性変形により、爪43cに係合してパイプ接続端31aを抜止めするように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の管体に接続した樹脂製の接続パイプを通じて燃料を送る配管の接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管の接続構造体として、金属製の配管に樹脂製のパイプを接続するために特許文献1の技術が知られている。すなわち、金属製の配管と樹脂製のパイプとの間に、樹脂製の環状突部を有する圧入部材を介在させ、環状突部を樹脂製のパイプの内壁に食い込ませることにより樹脂製のパイプを抜止めしている。
【0003】
しかし、樹脂製のパイプが十分に可撓性を有しない材料で形成されている場合には、環状突部が樹脂パイプの内壁に十分に食い込まず、引抜き荷重を大きくできないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3970633号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決することを踏まえ、金属製の配管に樹脂製の接続パイプを接続する構成において、シール性および抜止性に優れた配管の接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
適用例1は、管接続部を有する金属製の管体と、上記管接続部を覆うように挿入・接続されるパイプ接続端を有する樹脂製の接続パイプとを備えた配管の接続構造体において、
上記管接続部と上記パイプ接続端との間で挟持される樹脂製で管状の圧入部材と、該圧入部材の一端部で位置決めされかつ上記パイプ接続端と上記管接続部との間に介在してその間をシールするシール部材とを備え、
上記圧入部材は、上記管接続部の外周部に装着されその外周面が円筒面である圧入本体と、該圧入本体の一端部に形成された爪とを有し、
上記パイプ接続端は、該パイプ接続端の一部を塑性変形により環状に縮径した縮径部を備え、該縮径部は、上記爪に係合して該パイプ接続端を抜止めするように形成されていること、
を特徴とする。
【0008】
適用例1に記載の配管の接続構造体において、管体の管接続部に接続パイプのパイプ接続端が覆うとともに、その間に圧入部材およびシール部材が挟持されることにより、接続パイプが高いシール性をもって管接続部に接続される。シール部材は、圧入部材の一端に位置決めされるとともに、管接続部と接続パイプとにより挟持されることで、上述した高いシール性を実現している。
【0009】
また、圧入部材の爪は、パイプ接続端の一部を縮径した縮径部に係合することで、パイプ接続端を抜止めするから、従来の技術で説明したように、接続パイプの樹脂材料として軟質の樹脂材料を用いなくても、大きな抜止荷重とすることができる。よって、接続パイプに種々の樹脂材料を適用することができ、汎用性を高めることができる。
【0010】
パイプ接続端の縮径部および圧入部材の爪は、それらの形状を適宜変更することにより、つまり、縮径部と爪との当たる角度や爪の大きさなどを変更することにより、その係合状態を変えることができ、これにより、抜止荷重の設定を最適な値に容易に設定することができる。
【0011】
圧入部材の圧入本体の外周面は、円筒の平滑な面であり、従来の技術で説明した接続部材の外周部に形成した鋭角の環状突部のように、接続パイプが環状突部を乗り越えるために大きな力を必要とせず、接続作業性に優れている。
【0012】
また、パイプ接続端に形成した縮径部は、接続前に熱による癖付けや押出成形により、また、接続後にパイプ接続端の外周部から熱かしめにより、簡単に形成することができる。
【0013】
[適用例2]
適用例2の爪は、圧入部材の周方向に複数箇所分割して形成され、上記縮径部の内壁に食い込むことで、上記パイプ接続端を回り止めするように形成されている構成である。すなわち、爪は、圧入部材に全周にわたって形成するほか、周方向に複数箇所分割して形成してもよいが、爪を複数に分割して形成した場合には、爪が縮径部に食い込んで、パイプ接続端の回り止めの作用も兼ねることができ、管体とパイプ接続端との相対的な回転に起因するシール性の低下を招かない。
【0014】
[適用例3]
適用例3の上記圧入部材は、該圧入部材の軸方向に分割された断面円弧状の分割体で形成されている構成である。この構成により、管接続部の外周部に突起が形成されていても、圧入部材を管接続部に簡単に装着することができる。
【0015】
[適用例4]
適用例4の管接続部の端部には、上記シール部材の一端を位置決めするとともに上記シール部材の外周面に向けて傾斜した傾斜面を有するシール用環状突部が突設されている構成である。この構成により、パイプ接続端の挿入作業を容易に行なうことができる。
【0016】
[適用例5]
適用例5の管接続部は、その外周部に抜止突部を備え、上記圧入部材は、上記圧入本体の内周部に形成され上記抜止突部に係合することで上記管接続部に対して抜止めする係合部を備えている構成である。
【0017】
[適用例6]
適用例6の管接続部は、その外周部に回り止め部を備え、上記圧入部材は、上記圧入本体の内周部に形成され上記回り止め部に係合することで上記管接続部に対して回り止めする係合部を備えている構成である。
【0018】
[適用例7]
適用例7の抜止突部は、上記圧入部材を回り止めするように周方向に分割形成されている構成である。この構成により、圧入部材が管体に対して回転しないからパイプ接続端に対して回転することに起因するシール性の低下を招かない。
【0019】
[適用例8]
適用例8の圧入部材は、上記圧入本体の端部に、上記爪を撓ませる切欠きを備えている構成である。この構成により、パイプ接続端の縮径部の形状に応じて、爪を撓ませてパイプ接続端の内壁に食い込ませることができ、より大きな抜止力を得ることができる。
【0020】
[適用例9]
適用例9の圧入部材は、該圧入部材の外周部の一端から軸方向に傾斜した複数の傾斜面を備え、該圧入部材の外周部の一端は、上記傾斜面により断面多角形に形成され、その外周部の他端は、断面円形に形成されている構成をとることができる。この構成により、圧入部材の傾斜面の間の脈状の突起がパイプ接続端の内壁に食い込むことにより、圧入部材がパイプ接続端に対して爪とともに回り止めする。また、圧入部材の他端の外周部は円形であるから、接続パイプの挿入作業の際に、接続パイプのパイプ接続端が引っ掛かることもない。
【0021】
[適用例10]
適用例10の傾斜面は、上記隣接する爪と爪との間に配置されている構成をとることができる。この構成により、爪は、パイプ接続端の縮径部とのなす角度が大きくできるから、引き抜き荷重を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例にかかる給油装置を示す概略図である。
【図2】図1のフィラーネックおよび接続パイプの一部を拡大した断面図である。
【図3】管接続部と接続パイプの接続箇所の周辺を拡大した断面図である。
【図4】図3の要部を拡大した断面図である。
【図5】接続パイプを管接続部に接続する前の状態を示す断面図である。
【図6】圧入部材を分解して示す斜視図である。
【図7】図3の7−7線に沿った断面図である。
【図8】図3の8−8線に沿った断面図である。
【図9】他の実施例にかかる管接続部と接続パイプの接続箇所を示す断面図である。
【図10】さらに他の実施例にかかる管接続部と接続パイプの接続箇所を示す断面図である。
【図11】図10の11−11線に沿った断面図である。
【図12】別の実施例にかかる管接続部と接続パイプの接続箇所を示す断面図である。
【図13】図12の13−13線に沿った断面図である。
【図14】圧入部材を示す斜視図である。
【図15】図14の実施例の変形例である圧入部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態を実施例に基づいて説明する。
(1) 給油装置10の概略構成
図1は本発明の一実施例にかかる給油装置を示す概略図である。図1に示すように、給油装置10は、インレットボックス(図示省略)と燃料タンクFTとの間に配設され給油ガン(図示省略)から供給される燃料を燃料タンクFTに送るものであり、金属製のフィラーネック20と、フィラーネック20と燃料タンクFTとを接続する樹脂製の接続パイプ30と、フィラーネック20と接続パイプ30との間をシールおよび抜止する圧入部材40およびOリングからなるシール部材50と、接続パイプ30を燃料タンクFTに接続するタンク接続部材60と、タンク接続部材60に設けられ燃料および燃料蒸気が逆流して外部へ放出されるのを防止する逆止弁62と、燃料キャップFCと、給油時に燃料タンクFT内を外部へ通気するためのブリーザパイプBPとを備えている。この構成により、給油時に燃料キャップFCをフィラーネック20から外して、給油ガンによりフィラーネック20に燃料を注入すると、燃料は、フィラーネック20および接続パイプ30で構成される燃料供給通路10Pを通じて、燃料タンクFTに供給される。以下、各部の構成について説明する。
【0024】
(2) 各部の構成
(2)−1 フィラーネック20
図2は図1のフィラーネック20および接続パイプ30の一部を拡大した断面図である。フィラーネック20は、注入口21aと流出口21bとを接続し、燃料供給通路10Pの一部である注入通路20Pを構成するネック本体21を備えている。ネック本体21の下端には、流出口21bを有し接続パイプ30を接続するための管接続部22が形成されている。また、ネック本体21の内側には、燃料キャップFCを開閉自在に取り付ける取付金具24が取り付けられている。
【0025】
図3は管接続部22と接続パイプ30の接続箇所の周辺を拡大した断面図、図4は図3の要部を拡大した断面図、図5は接続パイプ30を管接続部22に接続する前の状態を示す断面図である。図3ないし図5において、管接続部22の外周部には、金属パイプの塑性加工により、パイプ端用環状突部23aおよびシール用環状突部23bが形成され、さらにパイプ端用環状突部23aとシール用環状突部23bとの間に抜止突部23cおよび回り止め部23dが形成されている。パイプ端用環状突部23aは、接続パイプ30の端部を通じて外部から砂や水などの浸入を防ぐとともに、接続パイプ30の端部を位置決めする環状の突部である。シール用環状突部23bは、シール部材50の一端を位置決めする突部であり、また、接続パイプ30の挿入作業を容易にするためにネック本体21の端部を傾斜した傾斜面を有している。図7は図3の7−7線に沿った断面図である。抜止突部23cは、パイプ端用環状突部23aとシール用環状突部23bとの間に環状に形成され、圧入部材40に係合して抜止めする環状の突部である。図8は図3の8−8線に沿った断面図である。回り止め部23dは、圧入部材40に係合して回り止めする部位であり、2箇所突設されている。
【0026】
(2)−2 接続パイプ30
図5において、接続パイプ30は、フィラーネック20と燃料タンクFTとを接続する樹脂パイプであり、部分的に蛇腹部(図示省略)で曲げ可能に給油経路に沿うように形成されている。接続パイプ30内は、燃料供給通路10Pの一部を構成するパイプ通路30Pとなっている。接続パイプ30の一端はフィラーネック20に接続するためのパイプ接続端31aになっており、その他端は燃料タンクFTに溶着されたタンク接続部材60(図1)に接続するためのパイプ接続端31aになっている。パイプ接続端31aの端部には、縮径部31cが形成されている。縮径部31cは、パイプ接続端31aの中心側に向けて縮径した環状の凹所であり、塑性変形、つまり外力を除いた状態でも形状が維持されている。接続パイプ30は、ナイロン9Tなどの樹脂材料を用いて、1層またはバリア層を含む複数層から形成されたパリソンを用いて、パリソンを押出しつつ蛇腹部や縮径部31cの外形に合わせて、金型を変更する、いわゆるコルゲータにより製造することができる。
【0027】
(2)−3 圧入部材40
圧入部材40は、管接続部22とパイプ接続端31aとの間で挟持されることで、管接続部22と接続パイプ30とのシール性および抜止性を高める樹脂製の部材である。図6は圧入部材40を分解して示す斜視図である。圧入部材40は、断面円弧状の分割体41A,42Aで形成され、組み合わされることで外周面が筒状となる圧入本体43を備えている。圧入本体43の内周部には、管接続部22の抜止突部23cに係合することで圧入部材40を管接続部22に抜止めする係合部43aが環状の凹所に形成され(図7参照)、また、管接続部22の回り止め部23dに係合することで圧入部材40を回り止めする係合部45が2箇所、凹所に形成されている(図8参照)。また、圧入部材40の端部には、パイプ接続端31aの内壁に食い込む爪43cが形成されている。爪43cは、周方向に沿って8箇所形成されている。圧入部材40の下端は、シール部材50を位置決めする端面になっており、シール用環状突部23bとともにシール部材50を位置決めしている。ここで、圧入部材40は、接続パイプ30がナイロン9Tで形成されている場合には、ナイロン9Tより曲げ弾性係数が大きい材料、例えば、ナイロン9Tにガラスフィラを混入した樹脂材料を用いることができる。
【0028】
(3) 給油装置10の組付作業
図2に示すフィラーネック20のネック本体21に取付金具24を取り付けた後に、管接続部22に、分割体41A,42A(図6)を組み合わせることで圧入部材40を装着する。このとき、図5、図7および図8に示すように、圧入部材40の係合部43aを管接続部22の抜止突部23cに、係合部45を管接続部22の回り止め部23dにそれぞれ係合させる。続いて、シール部材50を拡径させて、管接続部22の端部から、シール用環状突部23bを乗り越え、シール用環状突部23bと圧入部材40の下端との間に装着する。続いて、接続パイプ30のパイプ接続端31aをシール用環状突部23bの斜面に沿わせつつ、さらに圧入部材40の上端がパイプ端用環状突部23aに達する位置まで圧入する。このとき、パイプ接続端31aの縮径部31cを、シール用環状突部23bの斜面に沿って、より拡径し、さらに、圧入部材40の外周面に沿って圧入する。これにより、接続パイプ30のパイプ接続端31aが圧入部材40およびシール部材50を用いてフィラーネック20の管接続部22に接続される。
【0029】
(4) 実施例の作用・効果
上記実施例の構成により、上述した効果のほか、以下の効果を奏する。
(4)−1 圧入部材40の爪43cは、パイプ接続端31aの一部を縮径した縮径部31cに係合することで、パイプ接続端31aを抜止めするから、従来の技術で説明したように、接続パイプ30の樹脂材料として、軟質の樹脂材料を用いなくても、大きな抜止荷重とすることができる。よって、接続パイプ30に種々の樹脂材料を適用することができ、汎用性を高めることができる。
【0030】
(4)−2 パイプ接続端31aの縮径部31cおよび圧入部材40の爪43cは、それらの形状を適宜変更することにより、つまり、縮径部31cと爪43cとの当たる角度や爪43cの大きさなどを変更することにより、その係合状態を変えることができ、これにより、抜止荷重の設定を最適な値に容易に設定することができる。
【0031】
(4)−3 圧入部材40は、樹脂製であるから、金属製のフィラーネック20よりも、爪43cや端面などを直角や鋭利に形成することができ、鋭利な爪43cがパイプ接続端31aの内壁に食い込むことにより、パイプ接続端31aが圧入部材40から抜け難くする高い抜止性に寄与する。
【0032】
(4)−4 圧入部材40の圧入本体43の外周面は、円筒の平滑な面であり、従来の技術で説明した接続部材の外周部に形成した鋭角の環状突部のように、接続パイプが環状突部を乗り越えるための大きな力を必要とせず、接続作業性に優れている。
【0033】
(4)−5 パイプ接続端31aに形成した縮径部31cは、接続前に熱による癖付けや押出成形により、簡単に形成することができる。
【0034】
(4)−6 圧入部材40の複数の爪43cは、パイプ接続端31aの縮径部31cの内壁に食い込むことにより、パイプ接続端31aの回り止めとしても作用する。
【0035】
(4)−7 圧入部材40は、係合部43aが管接続部22の抜止突部23cに係合しているので、接続パイプ30を引き抜く方向へ力が加わっても抜けにくく、しかも、係合部45が管接続部22の回り止め部23dに係合しているので、管接続部22に対して回り止めされ、接続パイプ30のパイプ接続端31aなどの回転によってシール性の低下を招かない。
【0036】
(4)−8 圧入部材40は、該圧入部材40の軸方向に分割された断面円弧状の分割体41A,42Aで形成されているので、管接続部22の外周部にパイプ端用環状突部23aが突設されていても、管接続部22に簡単に装着することができる。
【0037】
(4)−9 シール部材50は、管接続部22のシール用環状突部23bと樹脂製の圧入部材40の端面とにより位置決めされるが、圧入部材40の一端を垂直に切り立った端面として容易に成形できるから、金属製の管接続部22のシール用環状突部23bが緩やかな傾斜面であっても、シール部材50は、その圧縮範囲が所望の範囲に限定され、所望の締め代およびシール性を確保することができる。
【0038】
(5) 他の実施例
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0039】
(5)−1 図9は他の実施例にかかる管接続部22Bと接続パイプ30Bの接続箇所を示す断面図である。本実施例は、圧入部材40Bの爪43Bcの形状に特徴を有する。すなわち、圧入本体43Bの爪43Bcに近接して切欠き43Bdが形成されている。切欠き43Bdは、接続パイプ30Bに引抜く方向に力が加わったときに、爪43Bcを撓ませて、パイプ接続端31Baの縮径部31Bcに引っかかり易くすることで、引抜き荷重を高めている。
【0040】
(5)−2 図10はさらに他の実施例にかかる管接続部22Cと接続パイプ30Cの接続箇所を示す断面図、図11は図10の11−11線に沿った断面図である。本実施例は、管接続部22Cの抜止突部23Ccの構成に特徴を有する。すなわち、抜止突部23Ccは、周方向に同径の環状の突部ではなく、周方向に複数の抜止突部23Ccで構成され、また、抜止突部23Ccの凹凸形状に対応して、圧入部材40Cの係合部43Caも部分的に凹所に形成されている。この構成により、圧入部材40Cがパイプ接続端31Caに対して回り止めされる。なお、圧入部材40Cの回り止め機構として、爪43Ccも部分的に形成した回り止めも併用してもよい。
【0041】
(5)−3 パイプ接続端の一部を塑性変形して縮径部を形成する工程として、上記実施例は、樹脂のパイプの製造時に形成したが、これに限らず、接続前後のいずれであってもよく、すなわち、接続前に、パイプ接続端の外周部から熱かしめにより縮径部を形成するか、接続後にパイプ接続端の外周部から熱かしめにより形成してもよい。また、縮径部は、圧入部材の爪に対して抜止めとして作用する構成であれば、全周のほか、一部であってもよい。
【0042】
(5)−4 上記実施例において、自動車の燃料タンクへ燃料を給油するための給油装置におけるインレットパイプと接続パイプとの接続に適用したが、これに限らず、金属製の管体と樹脂製の接続パイプとの接続構造であれば、各種の配管系に適用することができる。
【0043】
図12はさらに別の実施例にかかる管接続部22Dと接続パイプ30Dの接続箇所を示す断面図、図13は図12の13−13線に沿った断面図、図14は圧入部材40Dを示す斜視図である。本実施例は、圧入部材40Dの回り止めの構成に特徴を有する。図14において、圧入部材40Dは、分割体41Da,41Dbを合わせることにより筒体となるように構成されており、さらに、筒体の一端側、つまり、爪43Dcが形成されている側に、複数の傾斜面44Dが形成されている。傾斜面44Dは、圧入部材40Dの外周部の一端に沿って8カ所、軸方向に対して所定角度で切欠きされることにより、圧入部材40Dの一端の外周端を断面多角形(図示では断面8角形)とし、隣接する傾斜面44Dの間を、脈状の突起44Daとしている。各々の傾斜面44Dは、圧入部材40Dの外周部の他端にまで達していないから、他端の外周部は断面円形である。この構成により、図13に示すように、圧入部材40Dの傾斜面44Dの間の脈状の突起44Daがパイプ接続端31Daの内壁に食い込むことにより、圧入部材40Dがパイプ接続端31Daに対して爪43Dcとともに回り止めする。また、圧入部材40Dの他端の外周部は円形であるから、接続パイプ30Dの挿入作業の際に、接続パイプ30Dのパイプ接続端31Daが引っ掛かることもない。
なお、本実施例にかかる傾斜面は、圧入部材40Dの外周部の一端を8角形となるように形成したが、これに限らず、シール性および回り止めの作用を考慮して、各種の多角形に形成したり、外周部の一部に形成してもよく、さらに上述した他の実施例に適宜適用することも可能である。
【0044】
図15は図14の実施例の変形例である圧入部材40Eを示す斜視図である。本実施例は、圧入部材40Eの傾斜面44Eおよび爪43Ecの配置に特徴を有する。すなわち、傾斜面44Eは、隣接する爪43Ecと爪43Ecとの間に配置されている。この構成において、爪43Ecは、図9に示す実施例のように、図12の実施例と比べて、パイプ接続端の縮径部とのなす角度が大きくなるから、引き抜き荷重を大きくすることができる。また、爪43Ecの外周面は、圧入部材40Eの外周に沿った円弧面にすることで、接続パイプの挿入作業を容易にしている。
【符号の説明】
【0045】
10…給油装置
10P…燃料供給通路
20…フィラーネック
20P…注入通路
21…ネック本体
21a…注入口
21b…流出口
22…管接続部
22B…管接続部
22C…管接続部
22D…管接続部
23Cc…抜止突部
23a…パイプ端用環状突部
23b…シール用環状突部
23c…抜止突部
23d…回り止め部
24…取付金具
30…接続パイプ
30B…接続パイプ
30C…接続パイプ
30D…接続パイプ
30P…パイプ通路
31Ba…パイプ接続端
31Bc…縮径部
31Ca…パイプ接続端
31Da…パイプ接続端
31a…パイプ接続端
31c…縮径部
40…圧入部材
40B…圧入部材
40C…圧入部材
40D…圧入部材
40E…圧入部材
41A,42A…分割体
41Da,41Db…分割体
43…圧入本体
43B…圧入本体
43Bc…爪
43Bd…切欠き
43Ca…係合部
43Cc…爪
43Dc…爪
43Ec…爪
43a…係合部
43c…爪
44D…傾斜面
44Da…突起
44E…傾斜面
45…係合部
50…シール部材
60…タンク接続部材
62…逆止弁
BP…ブリーザパイプ
FC…燃料キャップ
FT…燃料タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管接続部(22)を有する金属製の管体と、上記管接続部(22)を覆うように挿入・接続されるパイプ接続端(31a)を有する樹脂製の接続パイプ(30)とを備えた配管の接続構造体において、
上記管接続部(22)と上記パイプ接続端(31a)との間で挟持される樹脂製で管状の圧入部材(40)と、該圧入部材(40)の一端部で位置決めされかつ上記パイプ接続端(31a)と上記管接続部(22)との間に介在してその間をシールするシール部材(50)とを備え、
上記圧入部材(40)は、上記管接続部(22)の外周部に装着されその外周面が円筒面である圧入本体(43)と、該圧入本体(43)の一端部に形成された爪(43c)とを有し、
上記パイプ接続端(31a)は、該パイプ接続端(31a)の一部を塑性変形により環状に縮径した縮径部(31c)を備え、該縮径部(31c)は、上記爪(43c)に係合して該パイプ接続端(31a)を抜止めするように形成されていること、
を特徴とする配管の接続構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の配管の接続構造体において、
上記爪(43c)は、該圧入部材(40)の周方向に複数箇所分割して形成され、上記縮径部(31c)の内壁に食い込むことで、上記パイプ接続端(31a)を回り止めするように形成されている配管の接続構造体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の配管の接続構造体において、
上記圧入部材(40)は、該圧入部材(40)の軸方向に分割された断面円弧状の分割体(41A,42A)で形成されている配管の接続構造体。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の配管の接続構造体において、
上記管接続部(22)の端部には、上記シール部材(50)の一端を位置決めするとともに上記シール部材(50)の外周面に向けて傾斜した傾斜面を有するシール用環状突部(23b)が突設されている配管の接続構造体。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の配管の接続構造体において、
上記管接続部(22)は、その外周部に抜止突部(23c)を備え、
上記圧入部材(40)は、上記圧入本体(43)の内周部に形成され上記抜止突部(23c)に係合することで上記管接続部(22)に対して抜止めする係合部(43a)を備えている配管の接続構造体。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の配管の接続構造体において、
上記管接続部(22)は、その外周部に回り止め部(23d)を備え、
上記圧入部材(40)は、上記圧入本体(43)の内周部に形成され上記回り止め部(23d)に係合することで上記管接続部(22)に対して回り止めする係合部(45)を備えている配管の接続構造体。
【請求項7】
請求項5に記載の配管の接続構造体において、
上記抜止突部(23Cc)は、上記圧入部材(40C)を回り止めするように周方向に分割形成されている配管の接続構造体。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の配管の接続構造体において、
上記圧入部材(40B)は、上記圧入本体(43B)の端部に、上記爪(43Bc)を撓ませる切欠き(43Bd)を備えている配管の接続構造体。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の配管の接続構造体において、
上記圧入部材(40D)は、該圧入部材(40D)の外周部の一端から軸方向に傾斜した複数の傾斜面(44D)を備え、該圧入部材(40D)の外周部一端は、上記傾斜面(44D)により断面多角形に形成され、その外周部の他端は、断面円形に形成されている配管の接続構造体。
【請求項10】
請求項9に記載の配管の接続構造体において、
上記傾斜面(44E)は、上記隣接する爪(43Ec)と爪(43Ec)との間には配置されている配管の接続構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−78144(P2010−78144A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166740(P2009−166740)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】