説明

配管振動抑制装置

【課題】配管レイアウトを制約することなく、簡易に、振動系の固有振動数を調整できる配管振動抑制装置を提供する。
【解決手段】 振源の振動数と振動系の固有振動数が一致して共振が生じる場合、プラグ8aを取り外し、液体注入口4より液体を注入する。液体注入により振動数調整ボックス3の重量を調整する。これにより、振動系の固有振動数が変化し、共振を避けることができる。振源の要因が変わり振源の振動数が変化した場合は、更に液体を注入するか、プラグ8bを取り外し液体排出口5より液体を排出する。
一方、配管6の固有振動数にあうように、振動数調整ボックス3の固有振動数を調整する場合も同様に、液体の注入・排出を行なう。これにより、配管6が振動すると、これを打ち消すように振動数調整ボックス3が振動し、配管6の振幅を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラント等の配管に取り付けて、振動系の固有振動数を調整することにより配管振動を抑制する配管振動抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラント等の配管は、ポンプによる起振や、配管の屈曲やその管抵抗など様々の理由で振動するおそれがある。これを放置しておくと配管が破損するおそれがある。また騒音等の原因にもなる。
【0003】
この振動を抑制する従来技術が特許文献1に開示されている。この制振装置は、配管を拘束する配管支持部と、配管支持部から突設されたアームと、アームに取付され、配管の固有振動数に合わせた錘とから構成され、錘とアームが振動することにより配管の振幅を減少させる。振動系の固有振動数の調整は、アームに対する錘の位置を調整したり、錘の重量を調整することにより行なう。
【0004】
また、振源の振動数(周波数)と振動系の固有振動数が一致する共振を避けるため、振動系の固有振動数を調整して、両者が一致しないようにすることも行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64−21894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において、固有振動数の調整は、アームにおける錘の位置を調整することにより行なうことが一般的である。したがって、配管に突設されたアームは必須である。また、錘の重量を調整することにより固有振動数を調整する場合でも、錘はアームとともに振動するため、アームは必須である。なお、アームは錘の振動方向を考慮して配置される。
【0007】
ところで、発電プラント等では複数の配管が狭いスペースの中で設置されることもある。このような場合、アームが配管から出っ張って配置されると、配管レイアウトが制約されることもある。
【0008】
また、従来技術においては、振動方向を見極めて錘を上下左右に移動したり、錘の数を調整したり、異なる重量の錘に取り換えたりして重量を調整するため、調整が難しい上、時間がかかる。
【0009】
本発明の目的は、配管レイアウトを制約することなく、簡易に、振動系の固有振動数を調整できる配管振動抑制装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するために、本発明の配管振動抑制装置は、配管を周方向に拘束する支持部材と、前記支持部材に連結され、液体注入口および液体排出口を有する振動数調整ボックスとを備え、前記振動数調整ボックス内の液体量を調整することで、振動系の固有振動数を調整する。
【0011】
この配管振動抑制装置により、固有振動数を調整し、配管の振動を抑制できる。また、この配管振動抑制装置はアーム等の出っ張りがなく配管レイアウトを制約することはない。さらに、固有振動数の微調整も容易である。
【0012】
(2)上記目的を達成するために、本発明の配管振動抑制装置は、配管を周方向に拘束する支持部材と、前記支持部材に連結され、粒状体注入口および粒状体排出口を有する振動数調整ボックスとを備え、前記振動数調整ボックス内の粒状体量を調整することで、振動系の固有振動数を調整する。
【0013】
液体の代わりに、砂などの粒状体を用いても同様な効果が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、配管レイアウトを制約することなく、簡易に、振動系の固有振動数を調整できる。振動系の固有振動数を調整することにより、配管の振幅を減少させることができる。また、振動系の固有振動数を変更することにより、共振を避けることができる。これにより、配管の振動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】配管振動抑制装置の概略斜視図である。
【図2】配管振動抑制装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0017】
〜構成〜
図1は配管振動抑制装置の概略斜視図である。図2は配管振動抑制装置の概略断面図である。
【0018】
配管振動抑制装置は、配管6を周方向に拘束する支持バンド1と、蝶番2を介して支持バンド1に連結される振動数調整ボックス3とを備える。振動数調整ボックス3は液体注入口4および液体排出口5を有し、液体の注入および排出可能となっている。液体注入口4、液体排出口5にはプラグ8a,8bが設けられている。
【0019】
支持バンド1は配管6を周方向に拘束できればよい。図示の例では、2つのΩ形状部材を対向させてボルト7により一体化されている。振動数調整ボックス3には、ベント口9が設けられ、ベント口9にはプラグ8cが設けられている。
【0020】
振動数調整ボックス3は発電プラント等の床面に設置され、支持バンド1を介して配管6を支持する。
【0021】
〜動作〜
(1)振源の振動数と振動系の固有振動数が一致して共振が生じる場合の動作について説明する。プラグ8aを取り外し、液体注入口4より液体を注入する。液体注入により振動数調整ボックス3の重量を調整する。これにより、振動系の固有振動数が変化し、共振を避けることができる。
【0022】
振源の要因が変わり振源の振動数が変化した場合は、更に液体を注入するか、プラグ8bを取り外し液体排出口5より液体を排出する。
【0023】
(2)一方、配管6の固有振動数にあうように、振動数調整ボックス3の固有振動数を調整する場合も同様に、液体の注入・排出を行なう。これにより、配管6が振動すると、これを打ち消すように振動数調整ボックス3が逆位相により振動し、配管6の振幅を減少させる。
【0024】
〜効果〜
(1)動作で述べたように、共振防止および制振により、配管6の振動を抑制できる。
【0025】
(2)従来技術ではアームが必須であり、配管レイアウトが制約されることもあった。本実施形態では、振動数調整ボックス3は床面に設置され、支持バンド1を介して配管6を支持する。したがって、アームのような出っ張りは生じず、配管レイアウトを制約することはない。
【0026】
(3)従来技術では、錘の重量調整は、錘の数を調整したり、異なる重量の錘に取り換えたりすることにより行い、調整が難しい上、時間がかかっていた。本実施形態では、液体の注入・排出によりおこなうため、微調整も容易にできる。
【0027】
〜変形例〜
下記の変形例においても、本実施形態と同様な効果が得られる。
【0028】
(1)本実施形態においては、振動数調整ボックス3は床面に設置され、支持バンド1を介して配管6を支持するが、振動数調整ボックス3が天井に設置され、支持バンド1を介して配管6を吊支持しても良い。
【0029】
(2)バネ部材と組み合わせて、振動の減衰を図っても良い。
【0030】
(3)本実施形態においては、振動数調整ボックス3に液体を注入したが、砂などの粒状体を注入しても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 支持バンド
2 蝶番
3 振動数調整ボックス
4 液体注入口
5 液体排出口
6 配管
7 ボルト
8 プラグ
9 空気取入室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を周方向に拘束する支持部材と、
前記支持部材に連結され、液体注入口および液体排出口を有する振動数調整ボックスとを備え、
前記振動数調整ボックス内の液体量を調整することで、振動系の固有振動数を調整する
配管振動抑制装置
【請求項2】
配管を周方向に拘束する支持部材と、
前記支持部材に連結され、粒状体注入口および粒状体排出口を有する振動数調整ボックスとを備え、
前記振動数調整ボックス内の粒状体量を調整することで、振動系の固有振動数を調整する
配管振動抑制装置

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−50134(P2013−50134A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187336(P2011−187336)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】