説明

配管接続装置

【課題】構造が簡単で安価に加工成形可能な配管接続装置を提供する。
【解決手段】管状体11としての管体21,22の外周面に、継手本体12を嵌合し、この継手本体12の一端面および他端面と対向させて管体21,22の外周面に、環状のシール保持部材13をそれぞれ嵌合する。継手本体12に対向する各シール保持部材13の対向面の内径側に、環状のシール嵌着溝14をそれぞれ設け、これらシール嵌着溝14に環状のシール部材15をそれぞれ嵌着する。継手本体12と各シール保持部材13とを、固定手段16により環状のシール部材15を挟圧する方向に固定する。シール嵌着溝14の管軸方向の溝幅は、シール部材15の管軸方向の肉厚よりも小さく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の管状体を接続させる配管接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直線状に配置された2つの油圧配管の外周側に全周凹溝をそれぞれ設け、これらの全周凹溝にそれぞれシールリングの環状突起を係合させ、これらのシールリングの外周側に、スリーブおよびリテーナをそれぞれ嵌合させ、これらのスリーブおよびリテーナの外周側にそれぞれ半割体のクランプリングを取付け、これらのクランプリングにより各スリーブおよびリテーナを介して各シールリングを各油圧配管の外周側に締付け、各油圧配管を接続する配管接続装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−349777号公報(第4頁、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した配管接続装置では、形状の複雑なシールリング、スリーブ、リテーナおよびクランプリングを必要とし、これらの加工成形が容易でないとともに高価になる問題がある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、構造が簡単で安価に加工成形可能な配管接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、管状体の外周面に嵌合された継手本体と、継手本体の端面と対向して管状体の外周面に嵌合された環状のシール保持部材と、シール保持部材および継手本体の対向面の少なくとも一方の内径側に設けられた環状のシール嵌着溝と、シール嵌着溝に嵌着された環状のシール部材と、継手本体とシール保持部材とを環状のシール部材を挟圧する方向に固定する固定手段とを具備した配管接続装置である。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の配管接続装置における管状体を、第1の管体と第2の管体とを対向して設け、継手本体は、第1の管体と第2の管体とに嵌合され、シール保持部材およびシール部材は、継手本体の一端面および他端面に対してそれぞれ設けられたものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の配管接続装置におけるシール嵌着溝の管軸方向の溝幅が、シール部材の管軸方向の肉厚よりも小さく設定されたものである。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の配管接続装置における固定手段が、継手本体およびその両端面に対向して配置されたシール保持部材に貫通して穿設された通し穴部と、通し穴部に挿通されたボルトと、ボルトに螺合して継手本体およびその両端面のシール保持部材を締着するナットとを具備したものである。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項2乃至4のいずれか記載の配管接続装置において、第1の管体および第2の管体の対向する端部は、相互に嵌合する凹凸部を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、管状体の外周面に嵌合された継手本体と環状のシール保持部材との対向面の少なくとも一方の内径側に設けられた環状のシール嵌着溝に環状のシール部材を嵌着して、固定手段によりこれらを挟圧することで、固定とシールとを同時にできるので、構造が簡単で安価に加工成形可能な配管接続装置を提供できる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、継手本体と、その一端面および他端面に対してそれぞれ設けられたシール保持部材およびシール部材とにより構成された安価な継手構造により、第1の管体と第2の管体とを容易に接続できる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、シール保持部材および継手本体の対向面の少なくとも一方の内径側に設けられたシール嵌着溝の管軸方向の溝幅を、シール部材の管軸方向の肉厚よりも小さく設定したので、固定手段の挟圧によりシール部材が内径側へ弾性変形して管状体に密着し、シール性能を確保できる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、継手本体およびその両端面のシール保持部材の通し穴部に挿通したボルトおよびこのボルトと螺合するナットにより、安価で確実な固定手段が得られる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、第1の管体および第2の管体の対向する端部の凹凸部を相互に嵌合させることで、これら管体の連続化、一体化および安定化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を、図1乃至図4に示された一実施の形態、図5に示された他の実施の形態、図6に示されたさらに別の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、配管接続装置10を示し、管状体11の外周面に継手本体12が嵌合され、継手本体12の一端面および他端面と対向させて管状体11の外周面に、環状のシール保持部材13がそれぞれ嵌合され、継手本体12に対向する各シール保持部材13の対向面の内径側には環状のシール嵌着溝14がそれぞれ設けられ、これらシール嵌着溝14に環状のシール部材15がそれぞれ嵌着され、継手本体12と各シール保持部材13とが、固定手段16により環状のシール部材15を挟圧する方向に固定されている。シール部材15は、例えば合成ゴムなどの弾性を有する部材にて構成されたOリングである。
【0017】
管状体11は、第1の管体21と第2の管体22とが対向して設けられ、継手本体12は、第1の管体21と第2の管体22とに嵌合され、シール保持部材13、シール嵌着溝14およびシール部材15は、継手本体12の一端面および他端面に対してそれぞれ設けられている。第1の管体21および第2の管体22は、内径寸法および外径寸法のそれぞれが等しい断面円環状である細長円筒状の金属パイプである。
【0018】
さらに、第1の管体21には、この第1の管体21の端部23が、この第1の管体21の軸方向に直交する径方向に沿って平坦に切断されて連結面28が形成されている。そして、この第1の管体21の連結面28の内縁には、この第1の管体21の内周面29および連結面28のそれぞれに貫通した一方の凹凸部としての断面段状の内周段部31が設けられている。この一方の内周段部31は、第1の管体21の軸方向に沿った係止面32と、この第1の管体21の径方向に沿った当接面33とにて構成されている。そして、係止面32は、第1の管体21の周方向に沿った側面視円弧状に形成されており、当接面33に対して直交した平坦面として形成されている。また、この当接面33は、第1の管体21の径方向に沿った平面視円弧状に形成されている。
【0019】
さらに、第2の管体22には、この第2の管体22の端部26が、この第2の管体22の軸方向に直交する径方向に沿って平坦に切断されて連結面35が形成されている。そして、この第2の管体22の連結面35の外縁には、この第2の管体22の外周面27および連結面35のそれぞれに貫通した他方の凹凸部としての断面段状の外周段部37が設けられている。この外周段部37は、第2の管体22の軸方向に沿った係止面38と、この第2の管体22の径方向に沿った当接面39とにて構成されている。そして、係止面38は、第2の管体22の周方向に沿った側面視円弧状に形成されており、当接面39に対して直交した平坦面として形成されている。また、この当接面39は、第2の管体22の径方向に沿った平面視円弧状に形成されている。
【0020】
したがって、これら係止面38と当接面39とで構成された外周段部37は、第1の管体21の連結面28を第2の管体22の連結面35に対向させて当接させた状態で、この第1の管体21の一方の内周段部31に嵌合して係止される。このとき、この一方の内周段部31は、この一方の内周段部31の係止面32に外周段部37の係止面38が当接して係止されるとともに、この一方の内周段部31の当接面33に外周段部37の当接面39が当接して係止されて、第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とを同軸状に連通接続させる。
【0021】
継手本体12は、円筒状の金属製カラーであり、その軸方向の両端部42,43から第1の管体21の端部23および第2の管体22の端部26がそれぞれ挿入できるように、これら第1の管体21および第2の管体22の外径寸法に等しい内径寸法を有している。また、この継手本体12は、軸方向の一端側に位置する一端面44と、軸方向の他端側に位置する他端面45とのそれぞれが、この継手本体12の軸方向に直交する平面状に形成されている。
【0022】
さらに、この継手本体12の周面部には、この継手本体12の一端面44から他端面45に亘って軸方向に沿って貫通した通し穴部としてのボルト挿通孔46が穿設されている。このボルト挿通孔46は、継手本体12の一端面44に、この一端面44の周方向に亘って等間隔に離間されて、複数、例えば4つほど設けられている。さらに、これらボルト挿通孔46は、継手本体12の一端面44および他端面45の外側縁寄りの位置に、この継手本体12の軸方向に沿って設けられている。
【0023】
また、この継手本体12の一端面44および他端面45のそれぞれには、前記シール保持部材13がそれぞれ取り付けられている。これらシール保持部材13は、金属製で、継手本体12の内径寸法に等しい内径寸法を有するとともに、この継手本体12の外径寸法に等しい外径寸法を有する円筒状に形成されている。また、シール保持部材13には、軸方向の一端部である内側面52と、軸方向の他端部である外側面53とのそれぞれが、このシール保持部材13の軸方向に直交する平面状に形成されている。
【0024】
さらに、このシール保持部材13の内側面52の内縁には、このシール保持部材13の内側面52および内周面54のそれぞれに貫通した凹段状のシール嵌着溝14が設けられている。このシール嵌着溝14は、シール保持部材13の軸方向に沿った第1の押圧面56と、このシール保持部材13の径方向に沿った第2の押圧面57とで構成されている。そして、第1の押圧面56は、シール保持部材13の周方向に沿った側面視円弧状に形成されており、第2の押圧面57に対して直交した平坦面として形成されている。また、この第2の押圧面57は、シール保持部材13の径方向に沿った平面視円弧状に形成されている。
【0025】
また、このシール保持部材13のシール嵌着溝14より外周寄りの位置には、このシール保持部材13の内側面52から外側面53に亘って軸方向に沿って貫通した通し穴部としてのボルト挿入孔58が穿設されている。これらボルト挿入孔58は、このシール保持部材13の内側面52を継手本体12の一端面44あるいは他端面45に同軸状に連通させて対向させた状態で、この継手本体12のボルト挿通孔46に連通するように、このシール保持部材13の内側面52および外側面53それぞれの周方向に亘って等間隔に離間されて、複数、例えば4つほど設けられている。
【0026】
そして、このシール保持部材13のシール嵌着溝14には、Oリングなどの弾力性を有する円環状のシール部材15が周方向に亘って嵌着されて嵌合保持されている。このシール部材15は、図3に示すように、シール保持部材13の第1の押圧面56の内径寸法cに等しい外径寸法dを有する円環状であるとともに、このシール保持部材13の第2の押圧面57の幅寸法aに等しい直径寸法eを有する断面円状に形成されている。したがって、このシール部材15は、シール保持部材13の第1の押圧面56の幅寸法bより大きな幅寸法である直径寸法eを有している。言い換えると、シール嵌着溝14の管軸方向の溝幅(すなわち押圧面56の幅寸法b)は、シール部材15の管軸方向の肉厚(すなわち直径寸法e)よりも小さく設定されている。
【0027】
また、継手本体12の一端面44および他端面45のそれぞれにシール保持部材13の内側面52を対向させて同軸状に当接させつつ、これらシール保持部材13のボルト挿入孔58のそれぞれを継手本体12のボルト挿通孔46のそれぞれに連通させた状態で、これら連通したボルト挿入孔58およびボルト挿通孔46には、一方のシール保持部材13の外側面53側からボルトとしてのソケットボルト62の軸部としてのねじ部63が挿入されて、これらソケットボルト62のねじ部63の先端部が他方のシール保持部材13の外側面53より外側に突出されており、これらソケットボルト62のねじ部63の先端部にナットとしての固定ナット64が螺合されて、これら一対のシール保持部材13間に継手本体12が締め付け固定されている。ここで、ソケットボルト62は、外周面にねじ溝が螺刻された細長棒状のねじ部63を有しており、このねじ部63の軸方向の一端側である基端部に平面視六角形状のボルト頭部65が同軸状に一体的に設けられている。
【0028】
また、固定ナット64は、ソケットボルト62のボルト頭部65に等しい平面視六角形状に形成されており、この固定ナット64の中心部には、内周面にねじ溝が螺刻されたねじ孔66が穿設されている。このねじ孔66は、ソケットボルト62のねじ部63に螺合可能に形成されており、このソケットボルト62のねじ部63の軸方向の他端部である先端部に螺合させることによって、継手本体12の両端部42,43に取り付けられたシール保持部材13を締め付け固定させて、このシール保持部材13のシール嵌着溝14に保持されているシール部材15を、このシール保持部材13の第2の押圧面57にて押圧して、このシール部材15をシール保持部材13および継手本体12の内周面47より内側に突出するように弾性変形させて、このシール部材15の外周面を、シール保持部材13を介して継手本体12内に挿入されている第1の管体21あるいは第2の管体22の外周面に密着させて、これら第1の管体21あるいは第2の管体22を周方向に亘って気密に接続させる。
【0029】
ここで、これらソケットボルト62、固定ナット64、継手本体12のボルト挿通孔46、および各シール保持部材13のボルト挿入孔58のそれぞれによって、これらシール保持部材13を継手本体12の両端部42,43に締め付け固定させる固定手段16が構成される。この固定手段16は、シール保持部材13のシール嵌着溝14にシール部材15を嵌合保持させつつ、これらシール保持部材13の内側面52を継手本体12の両端面44,45に対向させて当接させた状態で、これらシール保持部材13を継手本体12の両端面44,45に対して締め付け固定させる締付機構である。
【0030】
したがって、この固定手段16は、各シール保持部材13のシール嵌着溝14に嵌合保持されているシール部材15を各シール保持部材13の第2の押圧面57にて押圧させて、これらシール保持部材13の第1の押圧面56による保持にて、各シール部材15の外周縁をシール保持部材13の内周面54より内側に突出させるように弾性変形させる。よって、この固定手段16は、継手本体12の両端部44,45に挿入されている第1の管体21の外周面24あるいは第2の管体22の外周面27に当接させて、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26との間を気密かつ液密に連通接続させる。
【0031】
次に、図1乃至図4に示された一実施の形態の配管接続装置10の作用効果を説明する。
【0032】
まず、一対のシール保持部材13のシール嵌着溝14のそれぞれにシール部材15をそれぞれ嵌合保持させる。
【0033】
この状態で、一方のシール保持部材13の内側面52を継手本体12の一端面44に対向させて同軸状に当接させて連通させるとともに、この継手本体12の他端面45に他方のシール保持部材13の内側面52を対向させて同軸状に当接させて連通させる。
【0034】
この後、第1の管体21の端部23を、一方のシール保持部材13の外側面53側から、このシール保持部材13内に挿入させるとともに、第2の管体22の端部26を、他方のシール保持部材13の外側面53側から、このシール保持部材13内に挿入させる。
【0035】
このとき、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とを継手本体12内の軸方向の中間部で当接させて、この第1の管体21の一方の内周段部31に第2の管体22の外周段部37を嵌合させて、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とを同軸状に連通させる。
【0036】
この状態で、各シール保持部材13を周方向に回動させて、これらシール保持部材13のボルト挿入孔58のそれぞれを継手本体12のボルト挿通孔46にそれぞれ連通させる。
【0037】
この後、一方のシール保持部材13の外側面53側から、このシール保持部材13の各ボルト挿入孔58のそれぞれにソケットボルト62のねじ部63を挿入する。
【0038】
このとき、これらソケットボルト62のねじ部63を、一方のシール保持部材13のボルト挿入孔58を介して継手本体12のボルト挿通孔46に挿通させるとともに他方のシール保持部材13のボルト挿入孔58に挿通させて、これらソケットボルト62それぞれのねじ部63の先端部を、他方のシール保持部材13の外側面53より外側に突出させる。
【0039】
この状態で、この他方のシール保持部材13の外側面53より外側に向けてボルト挿入孔58から突出している各ソケットボルト62のねじ部63の先端部に固定ナット64を螺合させて、これら固定ナット64にて一対のシール保持部材13間の継手本体12を軸方向に沿って締め付け固定させる。
【0040】
このとき、これら一対のシール保持部材13による継手本体12の締め付けによって、これらシール保持部材13のシール嵌着溝14に嵌合保持されているシール部材15が、これらシール保持部材13の第2の押圧面57と継手本体12の一端面44あるいは他端面45によって挟持されつつ押圧され、これらシール保持部材13の第1の押圧面56および第1の管体21あるいは第2の管体22の外周面24,27にて保持されていることから、これらシール部材15が弾性変形して膨らもうとして、これらシール部材15の外周面が第1の管体21あるいは第2の管体22の外周面24,27とに密着される。
【0041】
したがって、図4に示すように、これらシール部材15の一部が第1の管体21あるいは第2の管体22の外周面24,27に密着することによって、これらシール保持部材13間の継手本体12に挿入されている第1の管体21あるいは第2の管体22の外周面24,27にシール部材15の弾性変形した一部である密着部68が周方向に亘って当接して、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とが気密かつ液密に連通接続される。
【0042】
以上のように、上記実施の形態によれば、管状体11の外周面に嵌合された継手本体12と環状のシール保持部材13との対向面の少なくとも一方の内径側に設けられた環状のシール嵌着溝14に環状のシール部材15を嵌着して、固定手段16によりこれらを挟圧することで、固定とシールとを同時にできるので、構造が簡単で安価に加工成形可能な配管接続装置10を提供できる。さらに、継手本体の一端面および他端面に対して対で用いられたシール保持部材およびシール部材により構成された安価な継手構造により、管状体11を構成する第1の管体21と第2の管体22とを容易に接続できる。
【0043】
すなわち、配管接続装置10の円筒状の継手本体12の両端部42,43に円環状の一対のシール保持部材13が取り付けられ、これら一対のシール保持部材13のシール嵌着溝14に嵌合保持されるシール部材15の断面を、これらシール保持部材13のシール嵌着溝14の軸方向に沿った第1の押圧面56の幅寸法bより大きく、これらシール保持部材13のシール嵌着溝14の径方向に沿った第2の押圧面57の幅寸法aに等しい直径寸法eとしたので、言い換えれば、シール嵌着溝14の管軸方向の溝幅(第1の押圧面56の幅寸法b)を、シール部材15の管軸方向の肉厚(直径寸法e)よりも小さく設定したので、シール保持部材13のシール嵌着溝14に嵌合保持されているシール部材15が、これらシール保持部材13のシール嵌着溝14の第2の押圧面57と継手本体12の一端面44あるいは他端面45との間で挟圧されて内径側へ弾性変形して、これらシール部材15の内周部が、第1の管体21あるいは第2の管体22の端部23,26の外周面24,27に全周に亘って液密かつ気密に接触することでシール性能を確保できるので、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とを気密かつ液密に連通接続でき、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26との間の液密かつ気密な連通接続を簡単な構成で確実にできる。このため、第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26との接続作業を容易にできる。
【0044】
一方、ソケットボルト62および固定ナット64にて継手本体12の両端部42,43にシール保持部材13が締め付け固定されている状態で、これらソケットボルト62の先端部に固定されている固定ナット64を取り外すことにより、これらシール保持部材13による継手本体12への締め付け固定が解除されて、これらシール保持部材13を継手本体12の両端部42,43から取り外すことができるとともに、これらシール保持部材13のシール嵌着溝14からシール部材15をそれぞれ取り外すことができる。したがって、これら継手本体12およびシール保持部材13の分解作業が容易にできるので、配管接続装置10のメンテナンス性を向上できる。
【0045】
また、円筒状の継手本体12の両端部42,43に円環状のシール保持部材13をソケットボルト62および固定ナット64にて締め付け固定させるだけで、これらシール保持部材13を介して継手本体12の両端部42,43から挿入された第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とを連通接続でき、ソケットボルト62および固定ナット64により、安価で確実な固定手段が得られる。
【0046】
さらに、継手本体12およびシール保持部材13の構造が簡素で加工が容易であるので、これら継手本体12およびシール保持部材13の製造コストを削減できるから、配管接続装置10の製造性を大幅に向上できる。
【0047】
このとき、シール部材15をシール保持部材13による継手本体12への締め付け固定にて弾性変形させる以前の状態では、このシール部材15がシール保持部材13の内周面54より内側に突出していない。したがって、これらシール保持部材13を介して継手本体12の両端部44,45に第1の管体21の端部23および第2の管体22の端部26のそれぞれを挿入する際に、これらシール保持部材13のシール嵌着溝14に嵌合保持されているシール部材15の内周面によって、これら第1の管体21の端部23および第2の管体22の端部26の継手本体12の両端面44,45への挿入が阻害されない。よって、これらシール保持部材13を介する継手本体12の両端面44,45への第1の管体21の端部23および第2の管体22の端部26の挿入作業を容易にできる。
【0048】
さらに、シール部材15の断面の直径寸法eを調整することによって、このシール部材15がシール嵌着溝14に嵌合保持された一対のシール保持部材13を継手本体12の両端部42,43に締め付け固定させた際の、このシール部材15の弾性変形の変形量を調整できる。したがって、このシール部材15による継手本体12の両端部42,43から挿入された第1の管体21および第2の管体22の端部23,26の外周面24,27への接触量を調整できるので、このシール部材15の断面の直径寸法eを適宜調整することによって、このシール部材15による第1の管体21および第2の管体22の端部23,26の連通接続をより確実にできる。
【0049】
また、第1の管体21の端部23の連結面28の内縁に、この第1の管体21の内周面29および連結面28のそれぞれに貫通した断面段状の一方の内周段部31を設けるとともに、第2の管体22の端部26の連結面35の外縁に、この第2の管体22の外周面27および連結面35のそれぞれに貫通した断面段状の外周段部37を設け、この第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とを対向させて同軸状に当接させた際に、これら第1の管体21の一方の内周段部31と第2の管体22の外周段部37とを相互に嵌合させることで、これら管体21,22の連続化、一体化および安定化を図ることができる。
【0050】
そして、これら第1の管体21と第2の管体22とを同軸状に連通接続できるので、各シール保持部材13を介して継手本体12の両端部42,43から第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とのそれぞれを挿入させた状態で、この第1の管体21の一方の内周段部31に第2の管体22の外周段部37を嵌合させるだけで、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とを確実かつ容易に同軸状に連通接続でき、これら第1の管体21および第2の管体22の端部23,26間の継手本体12内での連通接続が容易になるとともに、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26との間での軸方向に直交する方向へのずれを防止できる。このため、配管接続装置10を用いた第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26との液密かつ気密な連通接続をより確実かつ容易にできるとともに、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26との連通接続を確実に保持できる。
【0051】
このとき、第1の管体21の一方の内周段部31に第2の管体22の外周段部37を嵌合させることによって、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とを連通接続させる際に、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26との間に形成される隙間を防止できる。したがって、これら第1の管体21および第2の管体22を介して空気とともに切粉などの搬送物を搬送する際の、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26との間への搬送物の侵入を簡単な構成で確実に防止できる。
【0052】
なお、この一実施の形態では、配管接続装置10のシール保持部材13の内側面52の内縁にシール嵌着溝14を形成したが、このシール嵌着溝14を継手本体12の一端面44あるいは他端面45の内縁や、この継手本体12の一端面44あるいは他端面45の内縁とシール保持部材13の内側面52の内縁とのそれぞれに形成することもできる。すなわち、このシール嵌着溝14としては、継手本体12の一端面44あるいは他端面45とシール保持部材13の内側面52との少なくともいずれか一方の、これら継手本体12およびシール保持部材13の他方に隣接した位置に設けられていれば良い。
【0053】
さらに、各シール保持部材13を継手本体12の両端面44,45に固定させる手段として、ソケットボルト62と固定ナット64とを用いた締め付け固定を用いたが、これらシール保持部材13を継手本体12の両端部42,43に固定できる構成であれば、例えばシール保持部材13のボルト挿入孔58に挿入したソケットボルト62の先端部を継手本体12のボルト挿通孔46内に螺合させて固定させたり、これらシール保持部材13を継手本体12の両端部42,43に溶接などして固定させたりする構成などであっても、対応させて用いることができる。
【0054】
また、これらシール保持部材13を介して継手本体12の両端部42,43に挿入させた第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とを当接させて、これら第1の管体21の一方の内周段部31に第2の管体22の外周段部37を嵌合させる構成としたが、これら第1の管体21の端部23と第2の管体22の端部26とを当接させたり係合させたりしなくても良い。
【0055】
次に、図5に示された他の実施の形態の配管接続装置および図6に示されたさらに別の実施の形態の配管接続装置を説明する。
【0056】
図5は、T字型管継手を用いた配管接続装置10aを示し、3方に配設された管状体11の外周面に、T字型の継手本体12が嵌合され、この継手本体12の3方の端面と対向させて各管状体11の外周面に、環状のシール保持部材13がそれぞれ嵌合され、継手本体12に対向する各シール保持部材13の対向面の内径側には環状のシール嵌着溝14がそれぞれ設けられ、これらシール嵌着溝14に環状のシール部材15がそれぞれ嵌着され、これらシール嵌着溝14は、シール部材15の管軸方向の肉厚よりも小さく設定された管軸方向の溝幅を有するので、継手本体12と各シール保持部材13とが、固定手段16によりシール部材15を挟圧する方向に固定されると、シール部材15が内径側へ弾性変形して管状体11の外周面に密着し、シール性能を確保できる。
【0057】
図6は、エルボ型管継手を用いた配管接続装置10bを示し、直交する2方向に配設された管状体11の外周面に、エルボ型の継手本体12が嵌合され、継手本体12の一端面および他端面と対向させて管状体11の外周面に、環状のシール保持部材13がそれぞれ嵌合され、継手本体12に対向する各シール保持部材13の対向面の内径側には環状のシール嵌着溝14がそれぞれ設けられ、これらシール嵌着溝14に環状のシール部材15がそれぞれ嵌着され、これらシール嵌着溝14は、シール部材15の管軸方向の肉厚よりも小さく設定された管軸方向の溝幅を有するので、継手本体12と各シール保持部材13とが、固定手段16によりシール部材15を挟圧する方向に固定されると、シール部材15が内径側へ弾性変形して管状体11の外周面に密着し、シール性能を確保できる。
【0058】
本発明の配管接続装置10,10a,10bは、例えば、工作機械から排出される切粉などを回収する管路に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る配管接続装置の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】同上配管接続装置を示す分解斜視図である。
【図3】同上配管接続装置の組立前の状態の一部を示す断面図である。
【図4】同上配管接続装置の組立時の状態の一部を示す断面図である。
【図5】同上配管接続装置の他の実施の形態を示す断面図である。
【図6】同上配管接続装置のさらに別の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10,10a,10b 配管接続装置
11 管状体
12 継手本体
13 シール保持部材
14 シール嵌着溝
15 シール部材
16 固定手段
21 第1の管体
22 第2の管体
23 端部
26 端部
31 凹凸部としての内周段部
37 凹凸部としての外周段部
46 通し穴部としてのボルト挿通孔
58 通し穴部としてのボルト挿入孔
62 ボルトとしてのソケットボルト
64 ナットとしての固定ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状体の外周面に嵌合された継手本体と、
継手本体の端面と対向して管状体の外周面に嵌合された環状のシール保持部材と、
シール保持部材および継手本体の対向面の少なくとも一方の内径側に設けられた環状のシール嵌着溝と、
シール嵌着溝に嵌着された環状のシール部材と、
継手本体とシール保持部材とを環状のシール部材を挟圧する方向に固定する固定手段と
を具備したことを特徴とする配管接続装置。
【請求項2】
管状体は、第1の管体と第2の管体とが対向して設けられ、
継手本体は、第1の管体と第2の管体とに嵌合され、
シール保持部材およびシール部材は、継手本体の一端面および他端面に対してそれぞれ設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の配管接続装置。
【請求項3】
シール嵌着溝の管軸方向の溝幅は、シール部材の管軸方向の肉厚よりも小さく設定された
ことを特徴とする請求項1または2記載の配管接続装置。
【請求項4】
固定手段は、
継手本体およびその両端面に対向して配置されたシール保持部材に貫通して穿設された通し穴部と、
通し穴部に挿通されたボルトと、
ボルトに螺合して継手本体およびその両端面のシール保持部材を締着するナットと
を具備したことを特徴とする請求項2または3記載の配管接続装置。
【請求項5】
第1の管体および第2の管体の対向する端部は、相互に嵌合する凹凸部を備えた
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか記載の配管接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−285469(P2007−285469A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115705(P2006−115705)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】