説明

配管支持構造

【課題】本発明の目的は、配管の振動が低減される配管支持構造を提供することである。
【解決手段】本発明による配管支持構造は、配管2を支持母体に対して支持する支持部材11、12と、支持部材11、12を配管2に取り付けるための取り付け部15と、支持部材11、12を支持母体1に取り付けるための取り付け部13、14とを具備している。支持部材11、12は、複数の物体21〜25と、複数の物体21〜25を収容した容器10とを備えている。複数の物体21〜25は、互いに接触した状態で相対的に移動可能な2つの物体を含んでいる。本発明による配管支持構造によれば、複数の物体21〜25どうしの衝突、摩擦により配管2の振動が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を支持する配管支持構造に関し、特に、大口径配管に取り付けられた小口径配管の支持に好適な配管支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントにおいて、ベント管、ドレン管や計装配管等の小口径配管は、溶接により直接母管に取り付けられた溶接構造物となっていることが多い。
【0003】
小口径配管は母管の振動を加振源として振動する。小口径配管が大きな振幅で振動した場合、比較的短期間で疲労破壊に至ることがある。小口径配管が母管に接続されたポンプの振動により加振される場合、小口径配管をその固有振動数がポンプのNZ成分から外れるような構造にすることにより、共振を防いで振幅を小さく抑えることができる。
【0004】
しかし、加振源がランダム波である場合、小口径配管の固有振動数を調節することで振幅を小さく抑えることが困難である。また、一般的に溶接構造物は減衰の非常に小さな振動系であるから、溶接構造自体による減衰のみでは振幅を効果的に抑えることができない。
【0005】
そこで、配管を含む振動系に減衰を付加するための制振装置が提案されている。特許文献1及び特許文献2は、このような制振装置を開示している。
【特許文献1】実開平6−78694号公報
【特許文献2】特開2003−287586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、配管の振動が低減される配管支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、(発明を実施するための最良の形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための最良の形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明による配管支持構造は、配管(2)を支持母体に対して支持する支持部材(11、12)と、前記支持部材を前記配管に取り付けるための第1取り付け部(15)と、前記支持部材を前記支持母体に取り付けるための第2取り付け部(13、14)とを具備している。前記支持部材は、複数の物体(21、22、23、24、25)と、前記複数の物体を収容した容器(10)とを備えている。前記複数の物体は、互いに接触した状態で相対的に移動可能な2つの物体を含んでいる。
【0009】
本発明によれば、複数の物体(21、22、23、24、25)どうしの衝突、摩擦により配管(2)の振動が低減される。
【0010】
本発明による配管支持構造においては、前記複数の物体は、第1方向に積層したシート状物体(21)としての第1シート状物体を含んでいる。
【0011】
本発明による配管支持構造においては、前記容器は、前記第1方向に間隔を設けて対向する第1面(10a)及び第2面(10b)と、前記第1面に設けられた第1突起部(41、43、45)と、前記第2面に設けられた第2突起部(42、44)とを備えている。記第1シート状物体は、前記第1突起部と前記第2突起部との間に配置されている。
【0012】
本発明による配管支持構造においては、前記複数の物体は、前記第1方向とは異なる第2方向に積層した前記シート状物体としての第2シート状物体を含んでいる。
【0013】
本発明による配管支持構造においては、前記シート状物体は、タングステンシートである。
【0014】
本発明による配管支持構造においては、前記複数の物体は、複数の粒状物体(25)を含んでいる。
【0015】
本発明による配管支持構造においては、前記配管は、前記配管よりも大口径の母管(1)に取り付けられている。前記支持母体は、前記母管である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配管の振動が低減される配管支持構造が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
添付図面を参照して、本発明による配管支持構造を実施するための最良の形態を以下に説明する。
【0018】
図1は、以下に説明する本発明の各実施形態に係る配管支持構造100を示している。図1(a)は、配管支持構造100を一の方向から見た図である。図1(b)は、配管支持構造100を他の方向から見た図である。
【0019】
配管支持構造100は、支持部材11と、支持部材12と、取り付け部13と、取り付け部14と、取り付け部15とを備え、小口径配管2を母管1のような支持母体に対して支持している。小口径配管2は、母管1に取り付けられた母管1よりも口径の小さい配管である。小口径配管2としては、ベント管、ドレン管や計装配管が例示される。支持部材11は、柱状(棒状)の形状を有し、小口径配管2に沿って設けられている。取り付け部13は、支持部材11を母管1に取り付けている。取り付け部13は、母管1に巻きついて支持部材11を母管1に対して固定するバンド13aを備えている。取り付け部15は、支持部材11を小口径配管2に取り付けている。取り付け部15が備えるUボルト15aは、両端が支持部材11に固定され、Uボルト15aと支持部材11の間に小口径配管2が通されている。支持部材12は、柱状(棒状)の形状を有し、一方の端部が支持部材11に取り付けられ、他方の端部が取り付け部14によって母管1に取り付けられている。取り付け部14が備えるバンド14aは、母管1に巻きついて支持部材12を母管1に固定している。支持部材12は、配管支持構造100において筋交い構造として機能する。
【0020】
配管支持構造100は、母管1に対して小口径配管2を支持することで、母管1の熱伸びに対応可能である。配管支持構造100は、母管1の熱伸びが小さい場合には、プラントの床、柱、梁のような母管1以外の支持母体に対して小口径配管2を支持するものであってもよい。
【0021】
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る支持部材11、12の内部構造を示している。図3(a)は、支持部材11、12の内部透過図である。図3(b)は、支持部材11、12を後述するZ方向に垂直な平面で切った断面図である。
【0022】
支持部材11、12は、複数のシート状物体21と、これらを収容した容器10とを備えている。容器10は、軸に垂直な断面が長方形である角筒形状を有し、軸方向が支持部材11又は支持部材12の長手方向に一致している。容器10に対して、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向が定義されている。Z方向は、容器10の軸に平行である。X方向は、容器10の一の側面に垂直である。
【0023】
図2は、シート状物体21を示している。シート状物体21は、その厚さ方向を向くシート面21aを厚さ方向の両側に有している。シート面21aは、長辺21bの長さがB、短辺21cの長さがCである長方形形状をしている。なお、シート面21aは、BとCが等しい正方形であってもよい。
【0024】
図3に示されるように、複数のシート状物体21は、シート面21aがY方向と垂直となるようにY方向に積層している。ここで、複数のシート状物体21は、長辺21bがZ方向に平行であってもよく、短辺21cがZ方向に平行であってもよい。
【0025】
第1の実施形態に係る配管支持構造100においては、シート状物体21どうしの衝突、摩擦により小口径配管2の振動が減衰される。第1の実施形態においては、シート面21aに沿う方向の振動、すなわちX方向成分又はZ方向成分を持つ振動が効率的に減衰される。
【0026】
なお、小口径配管2がシート面21aに沿う方向であるX方向に振動する場合、シート状物体21には、X方向の慣性力と、隣接するシート状物体21から受けるX方向の摩擦力とが作用する。ここで、摩擦面であるシート面21aに作用する垂直抗力が大きいほど隣接するシート状物体21から受ける動摩擦力が大きくなり、摩擦による振動の減衰効果が大きくなる。しかし、垂直抗力が大きい場合には隣接するシート状物体21との間に作用する静止摩擦力も大きくなるから、積層した複数のシート状物体21が一体となって運動してしまい、摩擦力によって振動が減衰されないことが起こり得る。ここで、シート状物体21にタングステンシートのような比重の大きな物体を用いれば、シート状物体21に作用する慣性力が隣接するシート状物体21から受ける最大静止摩擦力を上回り、積層したシート状物体21にずれが生じて摩擦による振動の減衰が達成される。なお、比重の大きなシート状の物体としてはシート状の鉛も考えられるが、タングステンシートの方が環境保護の点で優れている。
【0027】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る支持部材11、12の内部構造を示している。図4(a)は、支持部材11、12の内部透過図である。図4(b)は、支持部材11、12をZ方向に垂直な平面で切った断面図である。
【0028】
支持部材11、12は、複数の円筒状物体22と、これらを収容した容器10とを備えている。円筒状物体22は、例えば、シート状物体21を丸めて円筒形状にしたものである。円筒状物体22は、図4(b)に示されるように、その軸に垂直な断面が円形である。複数の円筒状物体22は、それぞれの軸がZ方向に平行となり、それぞれのZ方向位置が同じとなるように配列されている。複数の円筒状物体22は、Z方向から見たときに、X方向に平行な直線とY方向に平行な直線とからなる格子の格子点に配置されている。
【0029】
第2の実施形態に係る配管支持構造100においては、円筒状物体22どうしの衝突、摩擦、及び円筒状物体22の変形により小口径配管2の振動が減衰される。
【0030】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る支持部材11、12の内部構造を示している。図5(a)は、支持部材11、12の内部透過図である。図5(b)は、支持部材11、12をZ方向に垂直な平面で切った断面図である。
【0031】
支持部材11、12は、複数の円筒状物体22と、複数の波板状物体23と、これらを収容した容器10とを備えている。波板状物体23は、例えば、シート状物体21を波板形状となるように加工したものである。複数の波板状物体23は、その厚さ方向を向く波状面23aをX方向に向けた状態でX方向に積層しており、波板形状の山部(谷部)23bがZ方向に延びる配置となっている。複数の円筒状物体22は、それぞれの軸がZ方向に平行となるように、隣り合う波板状物体23の間の空間に配置されている。円筒状物体22及び波板状物体23は、Z方向位置が同じとなるように配置されている。隣り合う波板状物体23の間の空間であって、同一の空間に配置された円筒状物体22は、Z方向から見たときに、波状面23aに沿って配列されている。
【0032】
第3の実施形態に係る配管支持構造100においては、円筒状物体22の間に波板状物体23が入れ込まれることにより、振動の減衰効果が高められている。
【0033】
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態に係る支持部材11、12の内部構造を示している。図6(a)は、支持部材11、12の内部透過図である。図6(b)は、支持部材11、12をZ方向に垂直な平面で切った断面図である。
【0034】
支持部材11、12は、複数の円筒状物体22と、これらを収容した容器10とを備えている。複数の円筒状物体22は、それぞれの軸がZ方向に平行となり、それぞれのZ方向位置が同じとなるように配列されている。複数の円筒状物体22は、Z方向から見たときに、千鳥状に配列されている。複数の円筒状物体22は、Z方向から見たときに、蜂の巣模様を形成している六角形の中心点及び頂点に配置されていることが望ましい。このとき複数の円筒状物体22は、最密充填層を形成する。
【0035】
第4の実施形態に係る配管支持構造100においては、一つの円筒状物体22と隣接する円筒状物体22の数が増加している。したがって、円筒状物体22どうしが接触する頻度が増加するから、振動の減衰効果が高くなる。
【0036】
(第5の実施形態)
図7は、本発明の第5の実施形態に係る支持部材11、12の内部構造を示している。図7(a)は、支持部材11、12の内部透過図である。図7(b)は、支持部材11、12をZ方向に垂直な平面で切った断面図である。
【0037】
支持部材11、12は、複数の樋状物体24と、これらを収容した容器10とを備えている。樋状物体24は、例えば、シート状物体21を丸めて樋形状にしたものである。樋状物体24は、図7(b)に示されるように、その軸に垂直な断面が円弧形状である。樋状物体24は、その厚さ方向を向く凸面24a及び凹面24bを有している。複数の樋状物体24は、それぞれの軸がZ方向に平行となり、それぞれのZ方向位置が同じとなるように配列されている。複数の樋状物体24は、Z方向から見たときに、第1列241に配列されたものと、第2列242に配列されたものと、第3列243に配列されたものとを含んでいる。第1列241、第2列242、第3列243は、Y方向に平行である。第1列241と第2列242とはX方向に隣接し、第2列242と第3列243とはX方向に隣接している。第1列241に配列された樋状物体24は、凹面24bをX方向に向けている。第2列242に配列された樋状物体24は凸面24aをX方向に向けている。第3列243に配列された樋状物体24は凹面24bをX方向に向けている。すなわち、隣接する2列のそれぞれに配列された2つの樋状物体24は、凸面24a(凹面24b)を互いに反対方向に向けている。
【0038】
第5の実施形態に係る配管支持構造100においては、樋状物体24どうしの衝突、摩擦、及び樋状物体24の変形により小口径配管2の振動が減衰される。
【0039】
(第6の実施形態)
図8は、本発明の第6の実施形態に係る支持部材11、12をX方向に垂直な平面で切った断面図を示している。
【0040】
支持部材11、12は、複数のシート状物体21と、これらを収容した容器10とを備えている。容器10は、内面10aに設けられた突起部41と、内面10aとY方向に対向する内面10bに設けられた突起部42とを備えている。突起部41と突起部42とは、互いに対向するように配置されている。複数のシート状物体21は、突起部41と突起部42の間において、シート面21aがY方向と垂直となるようにY方向に積層している。突起部41は、Y方向の最も負側に配置されたシート状物体21のシート面21aの中央部分に当接する。突起部42は、Y方向の最も正側に配置されたシート状物体21のシート面21aの中央部分に当接する。ここで、複数のシート状物体21は、長辺21bがZ方向に平行であってもよく、短辺21cがZ方向に平行であってもよい。
【0041】
第6の実施形態に係る配管支持構造100においては、突起部41及び42により隣り合うシート状物体21の間に作用する摩擦力が増加するから、振動の減衰効果が高くなる。
【0042】
(第7の実施形態)
図9は、本発明の第7の実施形態に係る支持部材11、12をX方向に垂直な平面で切った断面図を示している。
【0043】
支持部材11、12は、複数のシート状物体21と、これらを収容した容器10とを備えている。容器10は、内面10aに設けられた突起部43及び突起部45と、内面10aとY方向に対向する内面10bに設けられた突起部44とを備えている。複数のシート状物体21は、突起部43及び45と突起部44との間において、シート面21aがY方向と垂直となるようにY方向に積層している。突起部43は、Y方向の最も負側に配置されたシート状物体21のシート面21aの中央部分よりもZ方向正側の部分に当接する。突起部44は、Y方向の最も正側に配置されたシート状物体21のシート面21aの中央部分に当接する。突起部45は、突起部43が当接しているシート面21aの中央部分よりもZ方向負側の部分に当接する。すなわち、突起部43〜45は、交互に配置されている。ここで、複数のシート状物体21は、長辺21bがZ方向に平行であってもよく、短辺21cがZ方向に平行であってもよい。
【0044】
第7の実施形態に係る配管支持構造100においては、突起部43〜45により隣り合うシート状物体21の間に作用する摩擦力が増加するから、振動の減衰効果が高くなる。
【0045】
(第8の実施形態)
図10は、本発明の第8の実施形態に係る支持部材11、12をX方向に垂直な平面で切った断面図を示している。
【0046】
支持部材11、12は、第1群211に属する複数のシート状物体21と、第2群212に属する複数のシート状物体21と、これらを収容した容器10とを備えている。第1群211に属する複数のシート状物体21は、シート面21aがY方向と垂直となるようにY方向に積層している。第2群212に属する複数のシート状物体21は、シート面21aがY方向と垂直となるようにY方向に積層している。第1群211及び第2群212においては、複数のシート状物体21は、長辺21bがZ方向に平行であってもよく、短辺21cがZ方向に平行であってもよい。ここで、第1群211に属する複数のシート状物体21と、第2群212に属する複数のシート状物体21とは、Z方向位置が互いに異なっている。したがって、第8の実施形態においては、第1群211に属するシート状物体21と第2群212に属するシート状物体21とが交互に積層している重なっている部分215と、第1群211に属するシート状物体21のみが積層ている重なっていない部分213と、第2群212に属するシート状物体21のみが積層している重なっていない部分214とが存在する。
【0047】
第8の実施形態に係る配管支持構造100においては、シート状物体21の密度が重なっている部分215において高くなるから、シート状物体21どうしの摩擦による振動の減衰効果が高くなる。
【0048】
(第9の実施形態)
図11は、本発明の第9の実施形態に係る支持部材11、12をX方向に垂直な平面で切った断面図を示している。
【0049】
支持部材11、12は、複数のシート状物体21と、これらを収容した容器10とを備えている。複数のシート状物体21は、シート面21aがZ方向と垂直となるようにZ方向に積層している。
【0050】
第9の実施形態に係る配管支持構造100においては、シート状物体21どうしの衝突、摩擦により小口径配管2の振動が減衰される。第9の実施形態においては、シート面21aに沿う方向の振動、すなわちX方向成分又はY方向成分を持つ振動が効率的に減衰される。
【0051】
(第10の実施形態)
図12は、本発明の第10の実施形態に係る支持部材11、12をX方向に垂直な平面で切った断面図を示している。
【0052】
支持部材11、12は、第1群216に属する複数のシート状物体21と、第2群217に属する複数のシート状物体21と、これらを収容した容器10とを備えている。第1群216に属する複数のシート状物体21は、シート面21aがZ方向と垂直となるようにZ方向に積層している。第2群217に属する複数のシート状物体21は、シート面21aがY方向と垂直となるようにY方向に積層している。第1群216及び第2群217においては、複数のシート状物体21は、長辺21bがX方向に平行であってもよく、短辺21cがX方向に平行であってもよい。ここで、第1群216と第2群217は、Z方向位置が互いに異なっている。
【0053】
第10の実施形態に係る配管支持構造100においては、シート状物体21どうしの衝突、摩擦により小口径配管2の振動が減衰される。第10の実施形態においては、第1群216に属するシート状物体21のシート面21aに沿う方向の振動、すなわちX方向成分又はY方向成分を持つ振動が効率的に減衰され、さらに、第2群217に属するシート状物体21のシート面21aに沿う方向の振動、すなわちX方向成分又はZ方向成分を持つ振動が効率的に減衰される。
【0054】
(第11の実施形態)
図13は、本発明の第11の実施形態に係る支持部材11、12をX方向に垂直な平面で切った断面図を示している。
【0055】
支持部材11、12は、複数のシート状物体21と、壁31及び32と、これらを収容した容器10とを備えている。壁31の壁面31aと、壁32の壁面32aとは、ともにZ方向に垂直であり、間隔Hを隔てて対向している。複数のシート状物体21は、シート面21aがY方向と垂直となるようにY方向に積層している。
【0056】
ここで、複数のシート状物体21の長辺21bがZ方向に平行である場合、壁31及び壁32は、間隔Hが長さBよりも小さくなるように容器10に対して固定されている。また、複数のシート状物体21の短辺21cがZ方向に平行である場合、壁31及び壁32は、間隔Hが長さCよりも小さくなるように容器10に対して固定されている。複数のシート状物体21は、壁31及び壁32によってZ方向に圧縮され、撓み変形する。
【0057】
第11の実施形態に係る配管支持構造100においては、複数のシート状物体21がZ方向に圧縮されるためにシート状物体21どうしの間に作用する摩擦力が増加し、振動の減衰効果が高くなる。
【0058】
(第12の実施形態)
図14は、本発明の第12の実施形態に係る支持部材11、12をZ方向に垂直な平面で切った断面図を示している。
【0059】
支持部材11、12は、第1群218に属する複数のシート状物体21と、第2群219に属する複数のシート状物体21と、第3群220に属する複数のシート状物体21と、第4群221に属する複数のシート状物体21と、これらを収容した容器10とを備えている。第1群218、第2群219、第3群220、及び第4群221は、Z方向位置が同じ位置となるように配置されている。第1群218、第2群219、第3群220、及び第4群221は、Z方向から見たときに、第1群218と第3群220とが対角位置となり、第2群219と第4群221とが対角位置となるような格子状に配置されている。第1群218に属する複数のシート状物体21は、シート面21aがX方向と垂直となるようにX方向に積層している。第2群219に属する複数のシート状物体21は、シート面21aがY方向と垂直となるようにY方向に積層している。第3群220に属する複数のシート状物体21は、シート面21aがX方向と垂直となるようにX方向に積層している。第4群221に属する複数のシート状物体21は、シート面21aがY方向と垂直となるようにY方向に積層している。ここで、第1群218、第2群219、第3群220、及び第4群221に属する複数のシート状物体21は、長辺21bがZ方向に平行であってもよく、短辺21cがZ方向に平行であってもよい。
【0060】
第12の実施形態に係る配管支持構造100においては、振動のX方向成分とY方向成分とが同じように減衰される。
【0061】
なお、図12に示された第2群217を、図14に示された第1群218、第2群219、第3群220、及び第4群221で置き換えることとしてもよい。
【0062】
(第13の実施形態)
図15は、本発明の第13の実施形態に係る支持部材11、12をX方向に垂直な平面で切った断面図を示している。
【0063】
支持部材11、12は、複数の粒状物体25と、これらを収容した容器10とを備えている。粒状物体25は、ボール形状のものであってもよく、多面体形状のものであってもよく、ボール形状のものの表面に多数の突起を設けたものであってもよい。また、粒状物体25の代わりに、又は粒状物体25とともに砂を容器10に入れることとしてもよい。
【0064】
第13の実施形態に係る配管支持構造100においては、粒状物体25どうしの衝突、摩擦により小口径配管2の振動が減衰される。
【0065】
積層したシート状物体21を備えた支持部材11、支持部材12は振動の方向が定まっている場合に好適であるが、粒状物体25を備えた支持部材11、支持部材12は様々な方向に振動する場合及び振動の方向が予め分からない場合に好適である。
【0066】
なお、第1乃至第13の実施形態においては、容器10内に高粘性液体を入れてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1(a)は、本発明の第1乃至第13の実施形態に係る配管支持構造を一の方向から見た図である。図1(b)は、本発明の第1乃至第13の実施形態に係る配管支持構造を他の方向から見た図である。
【図2】図2は、シート状物体を示す図である。
【図3】図3(a)は、第1の実施形態に係る支持部材の内部透過図である。図3(b)は、第1の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図4】図4(a)は、第2の実施形態に係る支持部材の内部透過図である。図4(b)は、第2の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図5】図5(a)は、第3の実施形態に係る支持部材の内部透過図である。図5(b)は、第3の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図6】図6(a)は、第4の実施形態に係る支持部材の内部透過図である。図6(b)は、第4の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図7】図7(a)は、第5の実施形態に係る支持部材の内部透過図である。図7(b)は、第5の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図8】図8は、第6の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図9】図9は、第7の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図10】図10は、第8の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図11】図11は、第9の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図12】図12は、第10の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図13】図13は、第11の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図14】図14は、第12の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【図15】図15は、第13の実施形態に係る支持部材の断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1…母管
2…小口径配管
11、12…支持部材
13、14、15…取り付け部
13a、14a…バンド
15a…Uボルト
10…容器(ケース)
10a、10b…内面
21…シート状物体
21a…シート面
21b…長辺
21c…短辺
22…円筒状物体
211、216、218…第1群
212、217、219…第2群
220…第3群
221…第4群
213、214…重なっていない部分
215…重なっている部分
23…波板状物体
23a…波状面
23b…山部(谷部)
24…樋状物体
24a…凸面
24b…凹面
241…第1列
242…第2列
243…第3列
25…粒状物体
31、32…壁
31a、32a…壁面
41、42、43、44、45…突起部
100…配管支持構造
B…長辺の長さ
C…短辺の長さ
H…壁面の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を支持母体に対して支持する支持部材と、
前記支持部材を前記配管に取り付けるための第1取り付け部と、
前記支持部材を前記支持母体に取り付けるための第2取り付け部と
を具備し、
前記支持部材は、複数の物体と、前記複数の物体を収容した容器とを備え、
前記複数の物体は、互いに接触した状態で相対的に移動可能な2つの物体を含む
配管支持構造。
【請求項2】
前記複数の物体は、第1方向に積層したシート状物体としての第1シート状物体を含む
請求項1の配管支持構造。
【請求項3】
前記容器は、前記第1方向に間隔を設けて対向する第1面及び第2面と、前記第1面に設けられた第1突起部と、前記第2面に設けられた第2突起部とを備え、
前記第1シート状物体は、前記第1突起部と前記第2突起部との間に配置されている
請求項2の配管支持構造。
【請求項4】
前記複数の物体は、前記第1方向とは異なる第2方向に積層した前記シート状物体としての第2シート状物体を含む
請求項2の配管支持構造。
【請求項5】
前記シート状物体は、タングステンシートである
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の配管支持構造。
【請求項6】
前記複数の物体は、複数の粒状物体を含む
請求項1の配管支持構造。
【請求項7】
前記配管は、前記配管よりも大口径の母管に取り付けられ、
前記支持母体は、前記母管である
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の配管支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−20013(P2008−20013A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193517(P2006−193517)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】