説明

配管検査システム及びそれに用いる自走式配管検査装置

【課題】配管内の状況に応じた検査を作業者の監視なしで効率良く行うことができる配管検査システム及びそれに用いる自走式配管検査装置を提供する。
【解決手段】自走式配管検査装置10は、検査ポイント付近に到達すると、RFIDタグから発信される撮影条件データをRFIDリーダ/ライタ13で受信し、カメラ部12に送り、カメラ部12の各部の制御を切り換える。そして検査ポイントに到達すると自走車11を停止させ、撮影条件データに基づいて、露光量などの値を切り換えて撮影を行う。撮影された画像データは、無線LAN装置14によって、外部の画像分析装置に送られる。自走式配管検査装置10は、画像分析装置による分析から作成された撮影条件データを無線LAN装置14で受信し、RFIDリーダ/ライタ13を作動させて、RFIDタグに最新の撮影条件データを書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管検査システム及びそれに用いる自走式配管検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、肉眼で観察することのできない上下水道管、ガス管、その他の配管の内壁や配管内の状況を検査するための検査装置はあるが、それらを用いて検査を行う場合であっても配管内の汚れや検査撮影時における反射光などの影響のため十分な検査は困難であり、また、多大な時間を必要としていた。このような問題を解決するため、ビデオカメラなどの撮影装置を自走車に搭載して配管内を走行させ、撮影した配管内の状況をモニタに映し出すことで検査できる自走式の検査装置が提案されるに至っている。それらの中には、ズーム機能や照明機能を有し、配管内の汚れや固有の光の反射率に応じた撮影を可能とし、状況に応じた検査のできるものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、これらの自走式の検査装置を用いる場合であっても、配管の分岐点や屈曲部における進行方向の決定については、逐一作業者による指示を必要とし、又は予めプログラムにより設定しておく必要があり、複雑な配管群の検査を行うのは困難であり、また、多大な時間を必要としていた。
【0004】
一方、配管検査とは別の分野において、近年、進行方向が制御された自走式装置として、セキュリティー、物流管理、交通、レジャー施設など幅広い分野で利用されているRFIDタグを適用したものが提案されるに至っている(例えば、特許文献2参照)。この自走式装置は、走行面に所定間隔で整列させて設けられたRFIDタグに書き込まれた位置や自走式装置の進行方向に関するデータをRFIDリーダ/ライタで読み込み、それらのデータに従い自走するものである。
【特許文献1】特開平5−164698号公報
【特許文献2】特開2002−306831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の自走式配管検査装置では、一定の専門知識を有する特定の者がモニタを監視して逐次配管内の状況を判断して撮影しなければ十分な検査とならないことも考えられる。また、特に専門知識を必要とする作業に該当しない場合であっても、必ず作業者がモニタを監視して操作しなければならず、手間が掛かる。
【0006】
また、特許文献2の自走式装置を配管検査に用いることにより、配管の分岐点や屈曲部における進行方向を自動制御することで作業者の監視及び操作なしで装置は運転するが、デジタルカメラやビデオカメラなどの撮影装置を備えておらず、このままでは本来の目的を達成できない。
【0007】
本発明は、配管内の汚れや固有の光の反射率に応じた撮影を可能とし、状況に応じた検査を作業者の監視なしで効率良く行うことができる配管検査システム及びそれに用いる自走式配管検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の配管検査システムは、デジタルカメラを備えた自走式配管検査装置によって自走しながら配管内の状態を撮影し、デジタルカメラで撮影した画像を配管の外部に設置した画像分析装置で分析する配管検査システムであって、配管の検査ポイント付近には、デジタルカメラの撮影制御に関する撮影条件データが書き込み可能なRFIDタグが設けられており、自走式配管検査装置は、RFIDタグに対してデータの読み取り及び書き込みが可能なRFIDリーダ/ライタと、画像分析装置とデータの送受信を行う無線通信手段と、検査ポイントに対応するRFIDタグからRFIDリーダ/ライタが撮影条件データを読み取ったとき、この撮影条件データに基づいてデジタルカメラを制御して検査ポイントの撮影を行わせる制御手段とを備えたことを特徴とする。なお、上記のRFID(Radio Frequency IDentification)とは、媒体に電波、電磁波を利用した、非接触でのデータの書き込み、読み取りが可能な情報伝送素子のことである。また、上記RFIDは無指向性であり、向きに関係なく読み取りが可能である。
【0009】
なお、画像分析装置は、デジタルカメラで撮影した画像を分析することによって新しい撮影条件データを作成するとともに、この撮影条件データを自走式配管検査装置へ無線通信手段を介して送信し、自走式配管検査装置は、受信した撮影条件データをRFIDタグに書き込んで撮影条件データを更新することが好ましい。
【0010】
また、自走式配管検査装置は、検査ポイントが未検査又は検査済みのいずれかであることを少なくとも含む検査履歴データをRFIDリーダ/ライタによってRFIDタグに書き込むことが好ましい。
【0011】
本発明の自走式配管検査装置は、デジタルカメラを備え、自走しながら配管内の状態を撮影する自走式配管検査装置であって、配管内の検査ポイント付近に備えられたRFIDタグに対してデータの読み取り及び書き込みを行うRFIDリーダ/ライタと、配管の外部に設けられた画像分析装置と無線で通信を行う無線通信手段と、RFIDタグに書き込まれた撮影条件データをRFIDタグが読み取ったとき、この撮影条件データに基づいてデジタルカメラを制御して検査ポイントの撮影を行わせる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
なお、無線通信手段は、デジタルカメラで撮影した検査ポイントの画像データを画像分析装置に送信するとともに、画像分析装置が画像データを分析して作成した撮影条件データを受信し、RFIDリーダ/ライタは、画像分析装置から受信した新しい撮影条件データをRFIDタグに書き込んで撮影条件データを更新することが好ましい。
【0013】
また、RFIDリーダ/ライタは、検査ポイントが未検査又は検査済みのいずれかであることを少なくとも含む検査履歴データを前記RFIDタグに書き込むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の配管検査システムによれば、配管の検査ポイント付近には、デジタルカメラの撮影制御に関する撮影条件データが書き込み可能なRFIDタグが設けられており、自走式配管検査装置は、RFIDタグに対してデータの読み取り及び書き込みが可能なRFIDリーダ/ライタと、画像分析装置とデータの送受信を行う無線通信手段と、検査ポイントに対応するRFIDタグからRFIDリーダ/ライタが撮影条件データを読み取ったとき、この撮影条件データに基づいてデジタルカメラを制御して検査ポイントの撮影を行わせる制御手段とを備えたことにより、配管内の汚れや固有の光の反射率に応じた撮影を可能とし、状況に応じた検査を作業者の監視なしで効率良く行うことができる。
【0015】
また、画像分析装置は、デジタルカメラで撮影した画像を分析することによって新しい撮影条件データを作成するとともに、この撮影条件データを自走式配管検査装置へ無線通信手段を介して送信し、自走式配管検査装置は、受信した撮影条件データをRFIDタグに書き込んで撮影条件データを更新することにより、配管内の汚れや固有の光の反射率などの状況が変わったときでも、常に適正な撮影条件データに基づいて撮影を行うことが可能であり、より状況に応じた検査を行うことができる。
【0016】
さらに、自走式配管検査装置は、検査ポイントが未検査又は検査済みのいずれかであることを少なくとも含む検査履歴データをRFIDリーダ/ライタによってRFIDタグに書き込むことにより、検査履歴データから検査済みであることを認識した場合には、対象となる検査ポイントの検査を省略して、未検査の検査ポイントだけを検査すればよいので、配管の検査を効率良く行うことが可能となり、より状況に応じた検査を行うことができる。
【0017】
本発明の自走式配管検査装置によれば、配管内の検査ポイント付近に備えられたRFIDタグに対してデータの読み取り及び書き込みを行うRFIDリーダ/ライタと、配管の外部に設けられた画像分析装置と無線で通信を行う無線通信手段と、RFIDタグに書き込まれた撮影条件データをRFIDタグが読み取ったとき、この撮影条件データに基づいてデジタルカメラを制御して検査ポイントの撮影を行わせる制御手段とを備えたことにより、配管内の汚れや固有の光の反射率に応じた撮影を可能とし、状況に応じた検査を作業者の監視なしで効率良く行うことができる。
【0018】
また、無線通信手段は、デジタルカメラで撮影した検査ポイントの画像データを画像分析装置に送信するとともに、画像分析装置が画像データを分析して作成した撮影条件データを受信し、RFIDリーダ/ライタは、画像分析装置から受信した新しい撮影条件データをRFIDタグに書き込んで撮影条件データを更新することにより、配管内の汚れや固有の光の反射率などの状況が変わったときでも、常に適正な撮影条件データに基づいて撮影を行うことが可能であり、より状況に応じた検査を行うことができる。
【0019】
さらに、RFIDリーダ/ライタは、検査ポイントが未検査又は検査済みのいずれかであることを少なくとも含む検査履歴データをRFIDタグに書き込むことにより、検査履歴データから検査済みであることを認識した場合には、対象となる検査ポイントの検査を省略して、未検査の検査ポイントだけを検査すればよいので、配管の検査を効率良く行うことが可能となり、より状況に応じた検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施形態を適用した配管検査システム1について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、配管検査システム1は、被検査配管群(配管)2の検査ポイント付近に設けられたRFIDタグ3と、被検査配管群2内を自走しながら撮影を行う自走式配管検査装置10と、被検査配管群2外に設けられた画像分析装置28(図3参照)とから構成される。被検査配管群2は、複数の直管2aと、エルボ2bと、ティーズ2cとから構成され、連結部材4により連結されている。
【0021】
自走式配管検査装置10は、詳しくは、図2(a)及び図2(b)に示すように、自走車11と、カメラ部(デジタルカメラ)12と、RFIDリーダ/ライタ13と、無線LAN装置(無線通信手段)14とから構成される。RFIDリーダ/ライタ13は、自走車11の前面に、無線LAN装置14は、自走車11の上面後方に設けられている。無線LAN装置14は、通信アンテナ14a及び無線LAN制御部14bからなる。
【0022】
自走車11は、左右側方に設けられた複数の駆動輪17a、17bと、これらの駆動輪17a、17bに巻き掛けられたベルト18と、駆動源となる駆動モータ19(図3参照)とを備えており、駆動モータ19の回転駆動が駆動輪17a、17bに伝達されてベルト18が周動することによって自走車11はベルト駆動で走行することができる。なお、自走車11は、左右の駆動輪17a、17bのいずれか一方側を正転方向に回転させ、他方側の駆動輪17を逆転方向に回転させて左右のベルト18を互いに逆方向に周動させることによって、進行方向を変更することができる。
【0023】
カメラ部12は、自走車11の上面に取り付けられた回転台21と、撮影レンズ23(図3参照)を保持し、回転台21に支持されたレンズ鏡胴部22と、回転台21の左右側面に連結軸24を介して回転自在に接続された照明装置25とを備えている。回転台21は、自走車11の上下方向を中心軸として矢印A方向に沿って回転自在であり、レンズ鏡胴部22は、回転台21に対して矢印A方向と直交する矢印B方向に沿って回転自在となっている。照明装置25は、例えばフラッシュ26及びライト27からなり、ライト27としては例えばハロゲンランプが用いられる。なお、照明装置25としては、フラッシュ26及びライト27の両方を備えているがこれに限らず、いずれか一方のみでもよい。照明装置25は、レンズ鏡胴部22に連動して回転し、その照明方向が撮影レンズ23の撮影方向と一致するようになっている。
【0024】
自走式配管検査装置10の電気的構成を示すブロック図を図3に示す。自走式配管検査装置10は、CPU30によって各種回路が全体的に制御されている。このCPU30は、RFIDリーダ/ライタ13、無線LAN装置14、駆動モータ19が接続されている。さらにCPU30には、データバス31を介してカメラ側コントローラ(制御手段)32が接続されている。CPU30は、カメラ側コントローラ32へ撮影の指令を送信し、カメラ部12による撮影を制御している。
【0025】
RFIDリーダ/ライタ13は、RFIDタグ3に対してデータの読み取り及び書き込みが可能である。無線LAN制御部14bは、接続された通信アンテナ14aを介して外部の画像分析装置28に画像データを送り、通信アンテナ14aを介して外部の画像分析装置28から分析結果を得ることができる。この画像分析装置28は、自走式配管検査装置10から受け取った画像データを分析し、新しい撮影条件データを決定し、自走式配管検査装置10に送ることができる。
【0026】
カメラ部12は、撮影レンズ23の背後に、撮影レンズ23を透過した被写体光を撮像する撮像手段であるCCDイメージセンサ42が配置されている。撮影レンズ23は、固定レンズ29、ズームレンズ35、及びフォーカスレンズ36からなり、ズームレンズ35及びフォーカスレンズ36は、ズームレンズ駆動モータ37及びフォーカスレンズ駆動モータ38の駆動によってそれぞれ移動される。また、CCDイメージセンサ42の前方には、絞り機構33が配置されている。絞り機構33は、絞り駆動モータ34の駆動によってF値(絞り値)が切り換えられる。
【0027】
ズームレンズ駆動モータ37、フォーカスレンズ駆動モータ38、及び絞り駆動モータ34は、ドライバ39、40、41にそれぞれ接続されており、これらのドライバ39〜41を介してカメラ側コントローラ32によって駆動が制御されている。
【0028】
CCDイメージセンサ42には、CCDドライバ43が接続されている。CCDドライバ43は、タイミングジェネレータ44から入力されるクロックパルスに応じて、垂直駆動信号及び水平駆動信号をCCDイメージセンサ42に入力して、CCDイメージセンサ42を駆動する。また、タイミングジェネレータ44は、カメラ側コントローラ32に接続されており、カメラ側コントローラ32は、このタイミングジェネレータ44を制御して、クロックパルスを発生させることによってCCDイメージセンサ42の駆動を制御する。
【0029】
また、CCDイメージセンサ42には、相関二重サンプリング回路(CDS)45及びアンプ(AMP)46が接続されている。これらによって、CCDイメージセンサ42から出力された撮像信号に対して、ノイズの除去や増幅が施される。
【0030】
その後、ノイズの除去や増幅が施された撮像信号が、A/D変換器47によってアナログ信号からデジタル信号に変換されて、画像入力コントローラ48に画像データとして出力される。
【0031】
画像入力コントローラ48は、データバス31を介してカメラ側コントローラ32に接続されており、カメラ側コントローラ32によって制御される。また、画像入力コントローラ48には、データバス31を介してメモリ50が接続されている。カメラ側コントローラ32は、画像入力コントローラ48を制御して、画像データをメモリ50に記憶させる。
【0032】
カメラ側コントローラ32には、データバス31を介して画像信号処理回路52が接続されており、メモリ50に一時的に記憶されている画像データに対して階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正等の各種画像処理、及びYC変換処理等を施す。
【0033】
また、カメラ部12のデータバス31には、RFIDリーダ/ライタ13、及び無線LAN装置14が接続されている。本実施形態においては、RFIDリーダ/ライタ13がRFIDタグ3から撮影条件データを取得したとき、この撮影条件データをカメラ部12へ送信し、この撮影条件データに基づいて各部の制御、すなわち、撮影レンズ23やCCDイメージセンサ42を駆動するドライバ39〜41及びCCDドライバ43の制御、さらに撮像信号を処理する相関二重サンプリング回路(CDS)45、及びアンプ(AMP)46、画像入力コントローラ48、画像信号処理回路52の制御を行う。このRFIDタグ3に記憶された撮影条件データとしては、例えば、絞り、シャッタースピード、ISO感度及び露出補正値などの撮影露光に関する値、焦点距離、ズーム倍率、フォーカス精度、あるいはホワイトバランス、シャープネス(輪郭強調度)、γ補正値など画像処理に関するもの、またフラッシュ、ライト発光の有無、発光量に関する値などが記憶されている。
【0034】
また、カメラ側コントローラ32には、データバス31を介して、照明装置25が接続されている。カメラ側コントローラ32は、照明装置25を制御することによって、フラッシュ26、又はライト27から照明光を被写体に向けて放射させる。
【0035】
以下、上記構成の作用について図4及び図5のフローチャートを参照しながら説明する。自走式配管検査装置10によって被検査配管群2の検査を行うときには、先ず、駆動モータ19の駆動をオン状態にして自走車11による自走を開始するとともに、RFIDリーダ/ライタ13を起動し、RFIDタグ3からのデータを受信可能な状態にする。なお、初めて検査を行うときは、RFIDタグ3には、初期値の撮影条件データが書き込まれており、この初期値の撮影条件データに基づいて自走式配管検査装置10は検査ポイントの撮影を行う。
【0036】
最初の検査ポイント付近に自走式配管検査装置10が到達すると、RFIDタグ3から発信される撮影条件データをRFIDリーダ/ライタ13が受信し、この撮影条件データがカメラ部12に送られる。撮影条件データが送られると、カメラ側コントローラ32はカメラ部12の各部の制御を切り換える。そして、検査ポイントに到達すると自走車11を停止させ、撮影条件データに基づいて、露光量、ズーム倍率、フォーカス精度、ホワイトバランスなどの値を切り換えて撮影を行う。また、撮影条件データに照明量に関する値がある場合には、照明装置25を制御し、フラッシュ26及びライト27の発光量を調整する。また、この撮影を行うとき、CPU30は、カメラ駆動部53を駆動して回転台21及びレンズ鏡胴部22を回転させて、所定の撮影方向に合わせて撮影レンズ23の向きを変更するように制御を行う。検査ポイントでカメラ部12によって撮影された画像データはメモリ50に一時的に記憶された後、無線LAN装置14によって、外部の画像分析装置28に送られる。
【0037】
画像分析装置28では、図5のフローチャートに示すように、自走式配管検査装置10から送られた画像データを受信し、その画像データに基づいて撮影画像を分析するとともに、その分析結果から、より適正な撮影画像を取得可能とするために新しい撮影条件データを決定する。例えば画像データの明暗の割合から絞りやシャッタなどの露光量、ホワイトバランスの値や、照明量などの撮影条件データを変更し、検査ポイントにおける実際の被写体距離と設定上の距離との間にずれがある場合はそれを補正したり、画像のピンぼけ量が大きければフォーカス精度やズーム倍率などを変更したりする。このようにして決定された新しい撮影条件データは、無線LAN装置14を介して自走式配管検査装置10へと送信する。
【0038】
画像分析装置28から新しい撮影条件データを受信すると、CPU30はRFIDリーダ/ライタ13を作動させて、RFIDタグ3に最新の撮影条件データを書き込む。このようにして検査を行うごとにRFIDタグ3では最新の撮影条件データが更新される。同様にして、全ての検査ポイントの撮影、検査ポイント間の自走、及び新しい撮影条件データの書き換えとを繰り返して被検査配管群2の検査が終了する。
【0039】
このようにして本実施形態では、自走式配管検査装置10が適正な撮影条件データに基づいて被検査配管群2内の撮影を行って画像データを取得し、さらにその画像データに基づいて分析した新たな撮影条件データを更新して次回の検査で使用することができるので、被検査配管群2内の状況が変わったとき、例えば、汚れや、被検査配管群2内の光の反射率などの状況が変わったときでも、常に適正な撮影条件データに基づいて撮影を行うことが可能であり、状況に応じた検査を行うことができる。
【0040】
なお、上記第1の実施形態においては、RFIDタグ3には、撮影条件データのみを記憶して被検査配管群2の検査を行っているが、本発明はこれに限るものではない。以下で説明する本発明の第2実施形態では、自走式配管検査装置10が故障した場合に代替の自走式配管検査装置10を使用することを考慮し、撮影条件データとともに、検査を行ったか否かの検査履歴データをRFIDタグ3に書き込むようにしている。なお、本実施形態の配管検査システム1の構成としては上記第1実施形態と同様である。
【0041】
本実施形態の配管検査システム1の作用について、図6のフローチャートを参照して説明する。被検査配管群2の検査を行うときには、上記実施形態と同様に自走を開始するとともに、RFIDリーダ/ライタ13を起動し、RFIDタグ3からのデータを受信可能な状態にする。なお、初めて検査を行うときは、RFIDタグ3には、初期値の撮影条件データとともに、未検査であることを示す検査履歴データが書き込まれている。そして、検査ポイント付近に自走式配管検査装置10が到達すると、RFIDタグ3から発信される撮影条件データ、及び検査履歴データをRFIDリーダ/ライタ13が受信し、この撮影条件データがカメラ部12へ、検査履歴データがCPU30へ送られる。
【0042】
CPU30は検査履歴データから対象の検査ポイントが検査済みか否かを認識する。そして対象の検査ポイントが検査済みの場合、この検査ポイントは通過して次の検査ポイントへと向かうように進行方向を修正し自走を継続する。一方、対象の検査ポイントが未検査の場合には、対象の検査ポイントまで走行を継続し、カメラ部12は撮影条件データに基づいて制御を切り換え、検査ポイントにおける撮影を行う。検査ポイントでカメラ部12によって撮影された画像データは無線LAN装置14によって、外部の画像分析装置28に送られる。画像分析装置28では、上記第1実施形態と同様に画像データから新しい撮影条件データが作成され、自走式配管検査装置10に送られる。
【0043】
自走式配管検査装置10では、画像分析装置28から新しい撮影条件データを受信すると、CPU30が、RFIDリーダ/ライタ13を作動させて、RFIDタグ3に最新の撮影条件データとともに、検査済みであることを示す検査履歴データを書き込む。このようにして、撮影条件データとともに検査履歴データをRFIDタグ3に書き込むことで、適正な撮影条件データに基づく撮影で検査を行うことができるとともに、検査履歴データから検査済みであることを認識した場合には、対象となる検査ポイントの検査を省略して、未検査の検査ポイントだけを検査すればよいので、被検査配管群2の検査を効率良く行うことが可能となり、より状況に応じた検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の配管検査システムの外観斜視図である。
【図2】自走式配管検査装置の外観斜視図である。
【図3】配管検査システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態の自走式配管検査装置の検査処理手順を示すフローチャートである。
【図5】画像分析装置の作用のフローチャートである。
【図6】第2実施形態の自走式配管検査装置の検査処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1 配管検査システム
2 被検査配管群
3 RFIDタグ
10 自走式配管検査装置
11 自走車
12 カメラ部
13 RFIDリーダ/ライタ
14 無線LAN装置
28 画像分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルカメラを備えた自走式配管検査装置によって自走しながら配管内の状態を撮影し、前記デジタルカメラで撮影した画像を配管の外部に設置した画像分析装置で分析する配管検査システムにおいて、
前記配管の検査ポイント付近には、前記デジタルカメラの撮影制御に関する撮影条件データが書き込み可能なRFIDタグが設けられており、
前記自走式配管検査装置は、前記RFIDタグに対してデータの読み取り及び書き込みが可能なRFIDリーダ/ライタと、前記画像分析装置とデータの送受信を行う無線通信手段と、前記検査ポイントに対応する前記RFIDタグから前記RFIDリーダ/ライタが撮影条件データを読み取ったとき、この撮影条件データに基づいて前記デジタルカメラを制御して前記検査ポイントの撮影を行わせる制御手段とを備えたことを特徴とする配管検査システム。
【請求項2】
前記画像分析装置は、前記デジタルカメラで撮影した画像を分析することによって新しい撮影条件データを作成するとともに、この撮影条件データを前記自走式配管検査装置へ前記無線通信手段を介して送信し、前記自走式配管検査装置は、受信した前記撮影条件データを前記RFIDタグに書き込んで撮影条件データを更新することを特徴とする請求項1記載の配管検査システム。
【請求項3】
前記自走式配管検査装置は、前記検査ポイントが未検査又は検査済みのいずれかであることを少なくとも含む検査履歴データを前記RFIDリーダ/ライタによって前記RFIDタグに書き込むことを特徴とする請求項1又は2記載の配管検査システム。
【請求項4】
デジタルカメラを備え、自走しながら配管内の状態を撮影する自走式配管検査装置において、
配管内の検査ポイント付近に備えられたRFIDタグに対してデータの読み取り及び書き込みを行うRFIDリーダ/ライタと、配管の外部に設けられた画像分析装置と無線で通信を行う無線通信手段と、前記RFIDタグに書き込まれた撮影条件データを前記RFIDタグが読み取ったとき、この撮影条件データに基づいて前記デジタルカメラを制御して前記検査ポイントの撮影を行わせる制御手段とを備えたことを特徴とする自走式配管検査装置。
【請求項5】
前記無線通信手段は、前記デジタルカメラで撮影した前記検査ポイントの画像データを前記画像分析装置に送信するとともに、前記画像分析装置が前記画像データを分析して作成した撮影条件データを受信し、前記RFIDリーダ/ライタは、前記画像分析装置から受信した新しい撮影条件データを前記RFIDタグに書き込んで撮影条件データを更新することを特徴とする請求項4記載の自走式配管検査装置。
【請求項6】
前記RFIDリーダ/ライタは、前記検査ポイントが未検査又は検査済みのいずれかであることを少なくとも含む検査履歴データを前記RFIDタグに書き込むことを特徴とする請求項4又は5記載の自走式配管検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−147506(P2007−147506A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344194(P2005−344194)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】