配管洗浄方法及び洗浄ホース支持装置
【課題】自走式の噴射ノズルを用いながらも、洗浄ホースを引き抜く際に噴射ノズルが配管から抜け出るのを防止することのできる配管洗浄方法を提供する。
【解決手段】噴射ノズル20を配管30内に挿入するノズル挿入工程と、洗浄水を後方に噴射させてその反力によって噴射ノズル20を前進させるノズル前進工程と、洗浄ホース10を後方に引っ張って後退させるノズル後退工程とを行うことにより、配管30を洗浄する配管洗浄方法において、洗浄ホース10の外径よりも大きく噴射ノズル20の外径よりも小さな横幅の洗浄ホース案内穴61aを有する洗浄ホース支持体61を、配管30における開口部31付近に取り付け、洗浄ホース支持体61における洗浄ホース案内穴61aに洗浄ホース10を挿通することにより、ノズル後退工程で洗浄ホース10を後方へ引っ張りすぎても、噴射ノズル20が洗浄ホース案内穴61aで引っ掛るようにする。
【解決手段】噴射ノズル20を配管30内に挿入するノズル挿入工程と、洗浄水を後方に噴射させてその反力によって噴射ノズル20を前進させるノズル前進工程と、洗浄ホース10を後方に引っ張って後退させるノズル後退工程とを行うことにより、配管30を洗浄する配管洗浄方法において、洗浄ホース10の外径よりも大きく噴射ノズル20の外径よりも小さな横幅の洗浄ホース案内穴61aを有する洗浄ホース支持体61を、配管30における開口部31付近に取り付け、洗浄ホース支持体61における洗浄ホース案内穴61aに洗浄ホース10を挿通することにより、ノズル後退工程で洗浄ホース10を後方へ引っ張りすぎても、噴射ノズル20が洗浄ホース案内穴61aで引っ掛るようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配管の内面に付着した付着物を洗浄するための配管洗浄方法と、前記付着物を洗浄する洗浄水を配管内に供給する洗浄ホースを支持するための洗浄ホース支持装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
工場の敷地内には、各種の配管が敷設されている。これらの配管は、使用を重ねるうちに、その内面にスラッジなどの付着物が堆積していき、そのうち、配管としての機能を発揮できなくなるおそれがある。このため、配管内は、定期的に洗浄する必要がある。ところが、人が入ることができない、あるいは無理な姿勢をとらなければ人が入ることができないような小さな径の配管の洗浄作業は容易ではない。
【0003】
このため、従来は、図8に示すように、先端部に噴射ノズル20を接続した洗浄ホース10を配管30内に導入し、洗浄ホース10で供給される洗浄水40を噴射ノズル20から斜め後方へ噴射しながら配管30の内面の付着物50を洗浄することが行われている(例えば、特許文献1を参照。)。噴射ノズル20は、洗浄水40を後方へ噴射する際の反力により、配管30内を前方(図8の矢印Cの向き)へ自走していく。この際、洗浄ホース10も噴射ノズル20に追従して配管30内へと導入されていく。この自走式の噴射ノズル20を用いると、作業員が入ることのできないような小さな径の配管30内であっても洗浄することができる。
【0004】
しかし、図8に示すような自走式の噴射ノズル20を用いる配管洗浄方法にあっては、配管30内で噴射ノズル20を前進(配管30内を開口部31から奥方向に自走)させる場合だけでなく、噴射ノズル20を配管30内から引き抜く際にも噴射ノズル20から洗浄水40を噴射させていた。というのも、自走式の噴射ノズル20を用いる配管洗浄方法では、噴射ノズル20を配管30内で前進させる際に、配管30の内面の付着物50を剥離し、噴射ノズル20を配管30内で後退させる際(洗浄ホース10を配管30の開口部31から引き抜く際)に、ノズル前進工程で剥離した付着物50を後方へ洗い流すことが一般的だからである。
【0005】
このため、洗浄ホース10を配管30から引き抜く際に、洗浄ホース10を引っ張りすぎると、噴射ノズル20が配管30から完全に抜け出てしまい、噴射ノズル20から高圧で噴射された洗浄水40が作業員に当たるおそれもあった。洗浄水40は非常に高圧であり、噴射ノズル20から勢いよく噴射されるため、作業員がケガをするおそれもある。また、配管30から抜け出た噴射ノズル20が水圧によって乱れ飛んで作業員にケガを負わせるおそれもある。したがって、自走式の噴射ノズル20を用いる配管洗浄方法では、洗浄ホース10における噴射ノズル20近くの外面に予め目印を設けておき、洗浄ホース10を配管30から引き抜く際に前記目印が表われると、洗浄水40を止めるということが行われていた。
【0006】
ところが、洗浄ホース10に目印を設けると、作業員は噴射ノズル20が配管30の出口近くまで達したことを認識することができるものの、そのためには、噴射ノズル20を引き抜く作業を行う間中ずっと洗浄ホース10に注意していなければならず、洗浄ホース10を引き抜く作業の効率を低下させる原因にもなっていた。自走式の噴射ノズル20を用いる配管洗浄方法であっても、洗浄ホース10を引き抜く際に特に注意を要せず、またその作業の効率も低下させず、噴射ノズル20が配管30から抜け出るのを防止することができればよいのであるが、そのような配管洗浄方法は、これまでに提案されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−221537号公報
【特許文献2】特開2003−185151号公報
【特許文献3】特開2006−305449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、自走式の噴射ノズルを用いながらも、洗浄ホースを引き抜く際に特に注意を要せず、その作業の効率も低下させず、噴射ノズルが配管から抜け出るのを防止することのできる配管洗浄方法を提供するものである。また、配管内面の付着物を洗浄する洗浄水を配管内に供給する洗浄ホースを支持するための洗浄ホース支持装置であって、特に前記配管洗浄方法を行う際に好適に用いることのできる洗浄ホース支持装置を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、[1]洗浄ホースの先端部に取り付けた噴射ノズルを配管の開口部から配管内に挿入するノズル挿入工程と、[2]洗浄ホースに洗浄水を供給して噴射ノズルから後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズルを配管内で前進させながら配管の内面に付着した付着物を剥離させるノズル前進工程と、[3]噴射ノズルから洗浄水を後方に噴射させたままの状態で洗浄ホースを後方に引っ張り、噴射ノズルを配管内で後退させながら前記付着物を後方へと洗い流していくノズル後退工程とを行うことにより、配管を洗浄する配管洗浄方法であって、洗浄ホースの外径よりも大きく噴射ノズルの外径よりも小さな横幅の洗浄ホース案内穴を有する洗浄ホース支持体を配管における前記開口部付近に取り付けることを特徴とする配管洗浄方法を提供することによって解決される。
【0010】
配管における前記開口部付近に取り付けた洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に洗浄ホースを挿通することにより、ノズル後退工程で洗浄ホースを後方へ引っ張りすぎても、噴射ノズルが洗浄ホース案内穴で引っ掛かるようにして、噴射ノズルが前記開口部から抜け出ないようにすることが可能になる。このため、噴射ノズルから噴射された洗浄水が洗浄ホースを引っ張っている作業員にかかるのを防ぐことが可能になる。したがって、作業員のケガを防ぎ、作業の安全性を高めることが可能になる。また、ノズル後退工程において、洗浄ホースに設けられた目印を注意深く確認する必要もないので、配管の洗浄作業の効率を向上することも可能になる。
【0011】
本発明の配管洗浄方法において、洗浄ホース支持体は、配管に対して不動な状態で設けてもよい。しかし、洗浄ホースの自由度を考慮すると、洗浄ホース支持体の基端部を配管における前記開口部の上縁付近から軸支した状態で吊り下げ、洗浄ホース支持体の先端部を前記開口部の幅方向で揺動可能な状態とすることにより、ノズル前進工程又はノズル後退工程で洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に挿通された洗浄ホースの支持位置を前記開口部の幅方向で変化させることができるようにすると好ましい。これにより、洗浄ホース支持体で案内される洗浄ホースを洗浄ホース支持体の横幅方向(通常、配管における前記開口部の横幅(水平)方向)に移動させることができるので、配管の寸法や形状にかかわらず、配管内に導入された洗浄ホースを洗浄ホース支持体でよりスムーズに案内することが可能になる。
【0012】
また、本発明の配管洗浄方法において、洗浄ホース支持体に設ける洗浄ホース案内穴の具体的な寸法形状は、洗浄ホースを通し、噴射ノズルを通さないのであれば特に限定されない。しかし、洗浄ホースの自由度を考慮すると、洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴の縦幅を洗浄ホース案内穴の横幅よりも長く形成し、ノズル前進工程又はノズル後退工程で洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に挿通された洗浄ホースの支持位置を洗浄ホース案内穴の縦幅方向に沿って変化させることができるようにすると好ましい。これにより、洗浄ホース支持体で案内される洗浄ホースを洗浄ホース支持体の縦幅方向(通常、配管における前記開口部の縦幅(鉛直)方向)に移動させることができるので、配管の寸法や形状にかかわらず、配管内に導入された洗浄ホースを洗浄ホース支持体でよりスムーズに案内することが可能になる。
【0013】
ところで、上記課題は、[1]洗浄ホースの先端部に取り付けた噴射ノズルを配管の開口部から配管内に挿入するノズル挿入工程と、[2]洗浄ホースに洗浄水を供給して噴射ノズルから後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズルを配管内で前進させながら配管の内面に付着した付着物を剥離させるノズル前進工程と、[3]噴射ノズルから洗浄水を後方に噴射させたままの状態で洗浄ホースを後方に引っ張り、噴射ノズルを配管内で後退させながら前記付着物を後方へと洗い流していくノズル後退工程とを行って配管を洗浄する際に、洗浄ホースを配管の前記開口部付近で支持しながら案内するための洗浄ホース支持装置であって、縦幅が横幅よりも長い洗浄ホース案内穴が設けられた洗浄ホース支持部と、洗浄ホース支持部の先端部がその幅方向へ揺動可能となるよう洗浄ホース支持部の基端部を軸支する軸支部と、軸支部を配管の前記開口部付近に取り付けるための取付部とを備え、洗浄ホース支持部における洗浄ホース案内穴に洗浄ホースを挿通することにより、ノズル後退工程で洗浄ホースを後方へ引っ張りすぎても、噴射ノズルが洗浄ホース案内穴で引っ掛かって前記開口部から抜け出ないようにできることを特徴とする洗浄ホース支持装置を提供することによっても解決される。この洗浄ホース支持装置は、上記の本発明の配管洗浄方法を行う際に好適に用いることができるものとなっている。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によって、自走式の噴射ノズルを用いながらも、洗浄ホースを引き抜く際に特に注意を要せず、その作業の効率も低下させず、噴射ノズルが配管から抜け出るのを防止することのできる配管洗浄方法を提供することが可能になる。また、配管内面の付着物を洗浄する洗浄水を配管内に供給する洗浄ホースを支持するための洗浄ホース支持装置であって、特に前記配管洗浄方法を行う際に好適に用いることのできる洗浄ホース支持装置を提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を示した斜視図である。
【図2】本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を配管の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
【図3】本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル前進工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を配管の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
【図4】本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル後退工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を配管の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
【図5】本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、洗浄ホースを配管の開口部付近に支持する際に好適に用いることのできる洗浄ホース支持装置の洗浄ホース支持部を拡大して示した正面図である。
【図6】本発明の第二実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を示した斜視図である。
【図7】本発明の第三実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を示した斜視図である。
【図8】従来の配管洗浄方法において、ノズル前進工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を配管の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.配管洗浄方法の概要
本発明の配管洗浄方法と、それに用いる洗浄ホース支持装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を示した斜視図である。図2は、本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を配管30の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。図3は、本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル前進工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を配管30の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。図4は、本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル後退工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を配管30の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。図5は、本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、洗浄ホース10を配管30の開口部31付近に支持する際に好適に用いることのできる洗浄ホース支持装置60の洗浄ホース支持部61を拡大して示した正面図である。図6は、本発明の第二実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を示した斜視図である。図7は、本発明の第三実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を示した斜視図である。
【0017】
本発明の配管洗浄方法は、
[1] 図1と図2に示すように、洗浄ホース10の先端部に取り付けた噴射ノズル20を配管30の開口部31から配管30内に挿入するノズル挿入工程と、
[2] 図3に示すように、洗浄ホース10に洗浄水40を供給して噴射ノズル20から斜め後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズル20を配管30内で矢印Cの向きに前進(自走)させながら配管30の内面に付着した付着物50を剥離させるノズル前進工程と、
[3] 図4に示すように、噴射ノズル20から洗浄水40を斜め後方に噴射させたままの状態で洗浄ホース10を後方に引っ張り、噴射ノズル20を配管30内で矢印Dの向きに後退させながら付着物50を後方へと洗い流していくノズル後退工程と、
[4] 洗浄ホース10の先端部に取り付けた噴射のする20を配管30の開口部31から引き抜いて取り出すノズル取出工程
を順番に行うことにより、配管30を洗浄するものとなっている。
以下においては、工場内の配管30を洗浄する場合を例に挙げて説明するが、本発明の配管洗浄方法では、工場内の各種配管のほか、ビルや家屋における各種配管や、上下水管など、様々な配管を洗浄する際に採用することができる。
【0018】
本発明の配管洗浄方法で洗浄する配管30の向きは、特に限定されない。しかし、配管30が完全に水平であると、図4に示すノズル後退工程において、配管30の内面から剥離した付着物50が洗浄水40とともに配管30内を流れにくくなるだけでなく、そもそも配管30で移送される目的の移送流体が流れにくくなり、配管30が移送管としての機能を果たせなくなるおそれもある。このため、配管30の勾配角度(水平面に対する配管30の中心軸の角度)は、通常、0.1°以上とされる。配管30の勾配角度は、0.5°以上であると好ましく、1°以上であるとより好ましい。一方、配管30の勾配角度が大きすぎると、噴射ノズル20が配管30内を前進できなくなるおそれがある。このため、配管30の勾配角度は、通常、45°以下とされる。配管30の勾配角度は、30°以下であると好ましく、20°以下であるとより好ましく、10°以下であるとさらに好ましい。ただし、洗浄水40の噴射圧力を十分に高くしているなら、例え配管30が鉛直に立っていたとしても(配管30の勾配角度が90°であったとしても)、噴射ノズル20を配管30内で上向きに前進させることも可能である。
【0019】
また、本発明の配管洗浄方法で洗浄する配管30の内径は、噴射ノズル20を挿入できるのであれば特に限定されない。しかし、配管30の内径が小さすぎると、噴射ノズル20が配管30内で引っ掛かりやすくなるおそれがある。このため、配管30の内径(配管30の内径が場所によって異なる場合にはその最小値。以下同じ。)は、通常、噴射ノズル20の外径(噴射ノズル20の外径が場所によって異なる場合にはその最大値。以下同じ。)の2倍以上とされる。配管30の内径は、噴射ノズル20の外径の3倍以上であると好ましく、4倍以上であるとより好ましく、5倍以上であるとさらに好ましい。すなわち、噴射ノズル20の外径を5cm程度とした場合には、配管30の内径は、通常、10cm以上とされ、15cm以上であると好ましく、20cm以上であるとより好ましく、25cm以上であるとさらに好ましい。
【0020】
一方、配管30の内径が大きいと、そもそも作業員が配管30内に入って清掃作業を行うことができるため、本発明の配管洗浄方法を採用する意義が低下する。加えて、洗浄水40の噴射圧力を相当高くしたとしても、配管30の内面全体を満遍なく洗浄することが困難になるおそれもある。このため、配管30の内径は、通常、噴射ノズル20の外径の30倍以下とされる。配管30の内径は、噴射ノズル20の外径の25倍以下であると好ましく、20倍以下であるとより好ましい。すなわち、噴射ノズル20の外径を5cm程度とした場合には、配管30の内径は、通常、150cm以下とされ、125cm以下であると好ましく、100cm以下であるとより好ましい。
【0021】
2.ノズル挿入工程
続いて、ノズル挿入工程についてより詳しく説明する。ノズル挿入工程は、図1と図2に示すように、洗浄ホース10の先端部に取り付けた噴射ノズル20を配管30の開口部31から配管30内に挿入する工程となっている。噴射ノズル20を挿入する開口部31は、通常、配管30の開口端である。複数本の配管30が接続されている場合は、隣り合う配管30をその接続部分で分離し、その開口端から噴射ノズル20を挿入するようにしてもよい。配管30に勾配が付いている場合には、配管30における低くなった側の開口端から噴射ノズル20を挿入すると好ましい。これにより、後述するノズル後退工程において、配管30の内面から剥離した付着物50を洗浄水40とともに後方に流れやすくすることが可能になる。このほか、図6に示すように、配管30の周壁にメンテナンス用の窓が設けられている場合には、その窓から噴射ノズル20を挿入してもよい。
【0022】
本実施態様の配管洗浄方法において、洗浄ホース10は、図1と図2に示すように、配管30の開口部31付近に取り付けられた洗浄ホース支持装置60によって支持させている。このように、洗浄ホース10を開口部31付近で支持することによって、後述するノズル前進工程やノズル後退工程において洗浄ホース10を配管30内でスムーズに移動させることが可能となっている。また、ノズル後退工程において噴射ノズル30が配管30の開口部31から完全に抜け出ないようにする(噴射ノズル20のストッパーとして機能させる)ことも可能となっている。洗浄ホース支持装置60の形態は、特に限定されないが、本実施態様の配管洗浄方法においては、洗浄ホース10を支持するための洗浄ホース支持部61と、洗浄ホース支持部61の基端部を軸支するための軸支部62と、軸支部62を配管30に取り付けるための取付部63とで構成している。
【0023】
洗浄ホース支持部61は、図1に示すように、洗浄ホース案内穴61aが設けられている。この洗浄ホース案内穴61aに洗浄ホース10を通すことにより、洗浄ホース10を配管30の開口部31付近で支持するとともに、洗浄ホース10をその軸方向へスムーズに案内することができるようになっている。洗浄ホース案内穴61の寸法形状は、洗浄ホース10を挿入できるのであれば特に限定されない。しかし、噴射ノズル20のストッパーとしての機能を洗浄ホース支持部61に持たせるためには、噴射ノズル20が通り抜けることができない寸法形状としなければならない。また、洗浄ホース支持部61で洗浄ホース10をより高い自由度で支持するためには、洗浄ホース案内穴61aを略矩形とし、その縦幅W1(図5を参照)を横幅W2(図5を参照)よりも長くすると好ましい。これにより、洗浄ホース支持部61において、洗浄ホース10の軸方向の移動を許容するだけでなく、鉛直方向の移動を許容することも可能になる。
【0024】
洗浄ホース支持部61における洗浄ホース案内穴61aの縦幅W1及び横幅W2は、図5に示すように、その両方が洗浄ホース10の外径R1よりも大きく、少なくとも一方が噴射ノズル20の外径R2(噴射ノズル20の外径R2が場所によって異なる場合にはその最大値)よりも小さければ特に限定されない。しかし、上述したように、洗浄ホース支持部61で支持される洗浄ホース10の鉛直方向の移動を許容するためには、洗浄ホース案内穴61aの縦幅W1は、洗浄ホース案内穴61aの横幅W2の2倍以上とすると好ましい。洗浄ホース案内穴61aの縦幅W1は、洗浄ホース案内穴61aの横幅W2の3倍以上とするとより好ましく、4倍以上とするとさらに好ましい。一方、洗浄ホース案内穴61aの縦幅W1を長くしすぎてもあまり意味がない。このため、洗浄ホース案内穴61aの縦幅W1は、通常、洗浄ホース案内穴61aの横幅W2の60倍以下とされる。
【0025】
軸支部62は、図1に示すように、洗浄ホース支持部61の下端部(先端部)がその幅方向(図1における矢印A,Bの向き)へ揺動可能となるよう洗浄ホース支持部61の上端部(基端部)を軸支するものとなっている。軸支部62の形態は、特に限定されず、ヒンジ機構を利用したようなものであってもよいが、本実施態様の配管洗浄方法においては、洗浄ホース支持部61の基端部に設けた穴(軸受穴)に支持軸を通した構造としている。軸支部62における支持軸の基端部は、取付部63に固定しており、支持軸の先端部は、支持軸が軸受穴から抜け出ないように拡径している。軸支部62をこのような簡素な構造とすることで、軸支部62を壊れにくくするだけでなく、洗浄ホース支持装置60の製造コストを抑えることも可能になる。
【0026】
取付部63は、図1に示すように、軸支部62を配管30の開口部31付近に取り付けるためのものとなっている。取付部63の形態も、特に限定されないが、本実施態様の配管洗浄方法においては、クランプ機構を用いている。すなわち、本実施態様の配管洗浄方法において、取付部63は、図2に示すように、一対のアームにおける一方にボルトを捩じ込むことにより、該ボルトの先端部と他方のアームとで配管30の管壁を挟持するものとなっている。取付部63をこのような構造とすることで、管壁の厚みにとらわれることなくことなく、様々な寸法の配管30に対して洗浄ホース支持装置60をしっかりと取り付けることが可能となっている。
【0027】
ところで、配管30の管端部には、配管30の接続のためなどに、図7に示すように、フランジ32が設けられている場合もある。しかし、フランジ32が設けられた配管30に対して洗浄ホース支持装置60を取り付けようとしても、上述したクランプ機構を用いた取付部63では、フランジ32が邪魔になり、取り付けが困難となることも想定される。ただし、フランジ32は、配管30を他の配管に接続するためのものであることが多く、フランジ32には、ボルトなどを挿入するための貫通穴32aが設けられているのが一般的である。このような場合には、軸支部62の前記支持軸にボルト(図7における符号63を参照)を利用し、該ボルトをフランジ32に設けられた貫通穴32aに螺合することで、洗浄ホース支持装置60を配管30に取り付けることができる。
【0028】
図7に示すように、支持部62の前記支持軸を取付部63として利用する場合であっても、洗浄ホース支持装置10には、クランプ機構による取付部63(図1)を他の部分から分離可能な形態で設けておくと好ましい。すなわち、軸支部62における前記支持軸(ボルト)をクランプ機構による取付部63(図1を参照)に螺合することにより、軸支部62と取付部63が一体化して、図1や図2に示す取付形態が可能となり、軸支部62における前記支持軸をクランプ機構による取付部63から分離することにより、図7に示す取付形態が可能となるようにすると好ましい。これにより、1つの洗浄ホース支持装置60で、図2や図6に示す取付方法と、図7に示す取付方法とを臨機応変に選択することができるようになる。
【0029】
3.ノズル前進工程
続いて、ノズル前進工程について説明する。ノズル前進工程は、図2に示すように、洗浄ホース10に洗浄水40を供給して噴射ノズル20から斜め後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズル20を配管30内で矢印Aの向きに前進させながら配管30の内面に付着した付着物50を剥離させる工程となっている。このノズル前進工程により、噴射ノズル20を配管30内における所定深さまで前進させ、その区間における配管30の付着物50を剥離させる。ノズル前進工程が進むにつれて、洗浄ホース10は、図示省略のリールなどの巻回手段に巻かれた状態から配管30内へと繰り出されるようになる。洗浄ホース10は、上述した洗浄ホース支持装置60によって支持された状態となっているので、このノズル前進工程において、配管30の管端部などに引っ掛かることなく、スムーズに配管30内へと案内される。
【0030】
ノズル前進工程において、噴射ノズル20を配管30内で前進させる速度(前進速度)は、特に限定されない。しかし、噴射ノズル20の前進速度が遅すぎると、ノズル前進工程に無駄に時間がかかるようになり不経済である。このため、噴射ノズル20の前進速度は、通常、5cm/s以上とされる。噴射ノズル20の前進速度は、10cm/s以上であると好ましく、15cm/s以上であるとより好ましい。一方、噴射ノズル20の前進速度が速すぎると、付着物50が配管30の内面から十分に剥離しなくなるおそれがある。このため、噴射ノズル20の前進速度は、通常、300cm/s以下とされる。噴射ノズル20の前進速度は、200cm/s以下であると好ましく、100cm/s以下であるとより好ましい。
【0031】
また、ノズル前進工程において、噴射ノズル20から噴射する洗浄水40の噴射角度θ(図3を参照)は、0°以上、90°未満であれば特に限定されない。しかし、噴射角度θを小さくしすぎると、噴射ノズル20から噴射された洗浄水40が上部に届きにくくなり、配管30の上部付近の付着物50が剥離しにくくなるおそれがあるだけでなく、噴射ノズル20の前進速度を上述した範囲に保てなくなるおそれもある。このため、噴射角度θは、通常、10°以上とされる。噴射角度θは、30°以上であると好ましく、45°以上であるとより好ましく、60°以上であるとさらに好ましい。一方、噴射角度θが大きすぎると、噴射ノズル20の推進力が弱くなり、噴射ノズル20が配管30内を前進しにくくなるだけでなく、やはり、噴射ノズル20の前進速度を上述した範囲に保つことができなくなるおそれもある。このため、噴射角度θは、通常、85°以下とされる。噴射角度θは、80°以下であるとより好ましい。
【0032】
さらに、洗浄ホース10に供給する洗浄水40の圧力は、洗浄ホース10の内径や、噴射ノズル20の噴射孔の数や寸法、あるいは噴射角度θの大きさなどによっても異なり、特に限定されない。しかし、洗浄水40の圧力を低くしすぎると、噴射ノズル20が配管30内を前進しないばかりか、付着物50が配管30の内面から剥離しないおそれもある。加えて、本発明の配管洗浄方法の構成を採用する意義が低下する。このため、洗浄水40の圧力は、通常、5MPa以上とされる。洗浄水40の圧力は、10MPa以上であると好ましく、15MPa以上であるとより好ましい。一方、洗浄水40の圧力を高くしすぎると、洗浄ホース10に洗浄水40を供給するポンプ(図示省略)が大掛かりなものとなるばかりで不経済である。また、後述するノズル後退工程において、洗浄ホース10を大きな力で引っ張らなければならなくなり、労力が増大する。このため、洗浄水40の圧力は、通常、250MPa以下とされる。洗浄水40の圧力は、200MPa以下であると好ましく、150MPa以下であるとより好ましい。
【0033】
4.ノズル後退工程
続いて、ノズル後退工程について説明する。ノズル後退工程は、図4に示すように、噴射ノズル20から洗浄水40を斜め後方に噴射させたままの状態で洗浄ホース10を後方に引っ張り、噴射ノズル20を配管30内で矢印Dの向きに後退させる工程となっている。このように、洗浄水40を噴射させながら噴射ノズル20を後退させることで、配管30の内面から剥離した付着物50を後方へと流すことができる。洗浄水40は噴射ノズル20から斜め後ろ向きに噴射されていることに加えて、配管30は、後側(配管30における洗浄ホース支持装置60が取り付けられた側)が低くなるように勾配が付けられているため、配管30の内面から剥離した付着物50は、洗浄水40とともに開口部31からスムーズに流れ出る。ノズル後退工程においては、殆どの付着物50が配管30の内面から剥離していると考えられるため、洗浄ホース10に供給する洗浄水40の圧力は、ノズル前進工程よりも低く設定してもよいが、通常、ノズル前進工程と等しくされる。
【0034】
ノズル後退工程において、洗浄ホース10は、機械などで自動的に巻き取るようにしてもよいが、通常、作業員の手作業によって後方へ引っ張られる。このため、洗浄ホース10を引っ張り出しすぎて噴射ノズル20が開口部31から抜け出るようなことがあると、噴射ノズル20から高圧で噴射される洗浄水40が作業員に浴びせられたり、噴射ノズル20が不規則に暴れて作業員にぶつかったりするおそれがある。しかし、本実施態様の配管洗浄方法では、洗浄ホース支持装置60の洗浄ホース支持部61がストッパーとして機能し、噴射ノズル20が洗浄ホース支持部61に引っ掛かる構造となっているため、そのような心配がない。洗浄ホース支持装置60における洗浄ホース支持部61に噴射ノズル20が引っ掛かるまで洗浄ホース10を引っ張ると、ノズル後退工程は終了する。
【0035】
5.ノズル取出工程
最後に、ノズル取出工程について説明する。ノズル取出工程が開始される直前(ノズル後退工程が終了した直後)においては、洗浄ホース10は、図1に示す状態となっている。ノズル後退工程は、図1に示す状態から、洗浄ホース支持装置60を配管30から取り外し、洗浄ホース10の先端部に取り付けた噴射ノズル20を配管30の開口部31から引き抜いて取り出す工程である。本実施態様の配管洗浄方法において、洗浄ホース支持装置60の取付部63は、上述した形態のものとなっているため、それを配管30から取り外す作業も容易である。ノズル取出工程を終えた後は、配管30の開口部31に他の配管を接続するなど、必要な作業を行い、配管30を元の状態に戻す。これにより、本実施態様の配管洗浄方法は終了する。このとき、配管30の内部は、付着物50が綺麗に洗い流された状態となっている。
【符号の説明】
【0036】
10 洗浄ホース
20 噴射ノズル
30 配管
31 開口部
40 洗浄水
50 付着物
60 洗浄ホース支持装置
61 洗浄ホース支持部(洗浄ホース支持体)
61a 洗浄ホース案内穴
62 軸支部
63 取付部
R1 洗浄ホースの外径
R2 噴射ノズルの外径
W1 洗浄ホース案内穴の縦幅
W2 洗浄ホース案内穴の横幅
【技術分野】
【0001】
配管の内面に付着した付着物を洗浄するための配管洗浄方法と、前記付着物を洗浄する洗浄水を配管内に供給する洗浄ホースを支持するための洗浄ホース支持装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
工場の敷地内には、各種の配管が敷設されている。これらの配管は、使用を重ねるうちに、その内面にスラッジなどの付着物が堆積していき、そのうち、配管としての機能を発揮できなくなるおそれがある。このため、配管内は、定期的に洗浄する必要がある。ところが、人が入ることができない、あるいは無理な姿勢をとらなければ人が入ることができないような小さな径の配管の洗浄作業は容易ではない。
【0003】
このため、従来は、図8に示すように、先端部に噴射ノズル20を接続した洗浄ホース10を配管30内に導入し、洗浄ホース10で供給される洗浄水40を噴射ノズル20から斜め後方へ噴射しながら配管30の内面の付着物50を洗浄することが行われている(例えば、特許文献1を参照。)。噴射ノズル20は、洗浄水40を後方へ噴射する際の反力により、配管30内を前方(図8の矢印Cの向き)へ自走していく。この際、洗浄ホース10も噴射ノズル20に追従して配管30内へと導入されていく。この自走式の噴射ノズル20を用いると、作業員が入ることのできないような小さな径の配管30内であっても洗浄することができる。
【0004】
しかし、図8に示すような自走式の噴射ノズル20を用いる配管洗浄方法にあっては、配管30内で噴射ノズル20を前進(配管30内を開口部31から奥方向に自走)させる場合だけでなく、噴射ノズル20を配管30内から引き抜く際にも噴射ノズル20から洗浄水40を噴射させていた。というのも、自走式の噴射ノズル20を用いる配管洗浄方法では、噴射ノズル20を配管30内で前進させる際に、配管30の内面の付着物50を剥離し、噴射ノズル20を配管30内で後退させる際(洗浄ホース10を配管30の開口部31から引き抜く際)に、ノズル前進工程で剥離した付着物50を後方へ洗い流すことが一般的だからである。
【0005】
このため、洗浄ホース10を配管30から引き抜く際に、洗浄ホース10を引っ張りすぎると、噴射ノズル20が配管30から完全に抜け出てしまい、噴射ノズル20から高圧で噴射された洗浄水40が作業員に当たるおそれもあった。洗浄水40は非常に高圧であり、噴射ノズル20から勢いよく噴射されるため、作業員がケガをするおそれもある。また、配管30から抜け出た噴射ノズル20が水圧によって乱れ飛んで作業員にケガを負わせるおそれもある。したがって、自走式の噴射ノズル20を用いる配管洗浄方法では、洗浄ホース10における噴射ノズル20近くの外面に予め目印を設けておき、洗浄ホース10を配管30から引き抜く際に前記目印が表われると、洗浄水40を止めるということが行われていた。
【0006】
ところが、洗浄ホース10に目印を設けると、作業員は噴射ノズル20が配管30の出口近くまで達したことを認識することができるものの、そのためには、噴射ノズル20を引き抜く作業を行う間中ずっと洗浄ホース10に注意していなければならず、洗浄ホース10を引き抜く作業の効率を低下させる原因にもなっていた。自走式の噴射ノズル20を用いる配管洗浄方法であっても、洗浄ホース10を引き抜く際に特に注意を要せず、またその作業の効率も低下させず、噴射ノズル20が配管30から抜け出るのを防止することができればよいのであるが、そのような配管洗浄方法は、これまでに提案されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−221537号公報
【特許文献2】特開2003−185151号公報
【特許文献3】特開2006−305449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、自走式の噴射ノズルを用いながらも、洗浄ホースを引き抜く際に特に注意を要せず、その作業の効率も低下させず、噴射ノズルが配管から抜け出るのを防止することのできる配管洗浄方法を提供するものである。また、配管内面の付着物を洗浄する洗浄水を配管内に供給する洗浄ホースを支持するための洗浄ホース支持装置であって、特に前記配管洗浄方法を行う際に好適に用いることのできる洗浄ホース支持装置を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、[1]洗浄ホースの先端部に取り付けた噴射ノズルを配管の開口部から配管内に挿入するノズル挿入工程と、[2]洗浄ホースに洗浄水を供給して噴射ノズルから後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズルを配管内で前進させながら配管の内面に付着した付着物を剥離させるノズル前進工程と、[3]噴射ノズルから洗浄水を後方に噴射させたままの状態で洗浄ホースを後方に引っ張り、噴射ノズルを配管内で後退させながら前記付着物を後方へと洗い流していくノズル後退工程とを行うことにより、配管を洗浄する配管洗浄方法であって、洗浄ホースの外径よりも大きく噴射ノズルの外径よりも小さな横幅の洗浄ホース案内穴を有する洗浄ホース支持体を配管における前記開口部付近に取り付けることを特徴とする配管洗浄方法を提供することによって解決される。
【0010】
配管における前記開口部付近に取り付けた洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に洗浄ホースを挿通することにより、ノズル後退工程で洗浄ホースを後方へ引っ張りすぎても、噴射ノズルが洗浄ホース案内穴で引っ掛かるようにして、噴射ノズルが前記開口部から抜け出ないようにすることが可能になる。このため、噴射ノズルから噴射された洗浄水が洗浄ホースを引っ張っている作業員にかかるのを防ぐことが可能になる。したがって、作業員のケガを防ぎ、作業の安全性を高めることが可能になる。また、ノズル後退工程において、洗浄ホースに設けられた目印を注意深く確認する必要もないので、配管の洗浄作業の効率を向上することも可能になる。
【0011】
本発明の配管洗浄方法において、洗浄ホース支持体は、配管に対して不動な状態で設けてもよい。しかし、洗浄ホースの自由度を考慮すると、洗浄ホース支持体の基端部を配管における前記開口部の上縁付近から軸支した状態で吊り下げ、洗浄ホース支持体の先端部を前記開口部の幅方向で揺動可能な状態とすることにより、ノズル前進工程又はノズル後退工程で洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に挿通された洗浄ホースの支持位置を前記開口部の幅方向で変化させることができるようにすると好ましい。これにより、洗浄ホース支持体で案内される洗浄ホースを洗浄ホース支持体の横幅方向(通常、配管における前記開口部の横幅(水平)方向)に移動させることができるので、配管の寸法や形状にかかわらず、配管内に導入された洗浄ホースを洗浄ホース支持体でよりスムーズに案内することが可能になる。
【0012】
また、本発明の配管洗浄方法において、洗浄ホース支持体に設ける洗浄ホース案内穴の具体的な寸法形状は、洗浄ホースを通し、噴射ノズルを通さないのであれば特に限定されない。しかし、洗浄ホースの自由度を考慮すると、洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴の縦幅を洗浄ホース案内穴の横幅よりも長く形成し、ノズル前進工程又はノズル後退工程で洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に挿通された洗浄ホースの支持位置を洗浄ホース案内穴の縦幅方向に沿って変化させることができるようにすると好ましい。これにより、洗浄ホース支持体で案内される洗浄ホースを洗浄ホース支持体の縦幅方向(通常、配管における前記開口部の縦幅(鉛直)方向)に移動させることができるので、配管の寸法や形状にかかわらず、配管内に導入された洗浄ホースを洗浄ホース支持体でよりスムーズに案内することが可能になる。
【0013】
ところで、上記課題は、[1]洗浄ホースの先端部に取り付けた噴射ノズルを配管の開口部から配管内に挿入するノズル挿入工程と、[2]洗浄ホースに洗浄水を供給して噴射ノズルから後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズルを配管内で前進させながら配管の内面に付着した付着物を剥離させるノズル前進工程と、[3]噴射ノズルから洗浄水を後方に噴射させたままの状態で洗浄ホースを後方に引っ張り、噴射ノズルを配管内で後退させながら前記付着物を後方へと洗い流していくノズル後退工程とを行って配管を洗浄する際に、洗浄ホースを配管の前記開口部付近で支持しながら案内するための洗浄ホース支持装置であって、縦幅が横幅よりも長い洗浄ホース案内穴が設けられた洗浄ホース支持部と、洗浄ホース支持部の先端部がその幅方向へ揺動可能となるよう洗浄ホース支持部の基端部を軸支する軸支部と、軸支部を配管の前記開口部付近に取り付けるための取付部とを備え、洗浄ホース支持部における洗浄ホース案内穴に洗浄ホースを挿通することにより、ノズル後退工程で洗浄ホースを後方へ引っ張りすぎても、噴射ノズルが洗浄ホース案内穴で引っ掛かって前記開口部から抜け出ないようにできることを特徴とする洗浄ホース支持装置を提供することによっても解決される。この洗浄ホース支持装置は、上記の本発明の配管洗浄方法を行う際に好適に用いることができるものとなっている。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によって、自走式の噴射ノズルを用いながらも、洗浄ホースを引き抜く際に特に注意を要せず、その作業の効率も低下させず、噴射ノズルが配管から抜け出るのを防止することのできる配管洗浄方法を提供することが可能になる。また、配管内面の付着物を洗浄する洗浄水を配管内に供給する洗浄ホースを支持するための洗浄ホース支持装置であって、特に前記配管洗浄方法を行う際に好適に用いることのできる洗浄ホース支持装置を提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を示した斜視図である。
【図2】本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を配管の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
【図3】本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル前進工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を配管の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
【図4】本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル後退工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を配管の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
【図5】本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、洗浄ホースを配管の開口部付近に支持する際に好適に用いることのできる洗浄ホース支持装置の洗浄ホース支持部を拡大して示した正面図である。
【図6】本発明の第二実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を示した斜視図である。
【図7】本発明の第三実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を示した斜視図である。
【図8】従来の配管洗浄方法において、ノズル前進工程にある洗浄ホースと噴射ノズルと配管と洗浄ホース支持装置を配管の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.配管洗浄方法の概要
本発明の配管洗浄方法と、それに用いる洗浄ホース支持装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を示した斜視図である。図2は、本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を配管30の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。図3は、本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル前進工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を配管30の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。図4は、本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、ノズル後退工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を配管30の中心軸を含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。図5は、本発明の第一実施態様の配管洗浄方法において、洗浄ホース10を配管30の開口部31付近に支持する際に好適に用いることのできる洗浄ホース支持装置60の洗浄ホース支持部61を拡大して示した正面図である。図6は、本発明の第二実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を示した斜視図である。図7は、本発明の第三実施態様の配管洗浄方法において、ノズル挿入工程にある洗浄ホース10と噴射ノズル20と配管30と洗浄ホース支持装置60を示した斜視図である。
【0017】
本発明の配管洗浄方法は、
[1] 図1と図2に示すように、洗浄ホース10の先端部に取り付けた噴射ノズル20を配管30の開口部31から配管30内に挿入するノズル挿入工程と、
[2] 図3に示すように、洗浄ホース10に洗浄水40を供給して噴射ノズル20から斜め後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズル20を配管30内で矢印Cの向きに前進(自走)させながら配管30の内面に付着した付着物50を剥離させるノズル前進工程と、
[3] 図4に示すように、噴射ノズル20から洗浄水40を斜め後方に噴射させたままの状態で洗浄ホース10を後方に引っ張り、噴射ノズル20を配管30内で矢印Dの向きに後退させながら付着物50を後方へと洗い流していくノズル後退工程と、
[4] 洗浄ホース10の先端部に取り付けた噴射のする20を配管30の開口部31から引き抜いて取り出すノズル取出工程
を順番に行うことにより、配管30を洗浄するものとなっている。
以下においては、工場内の配管30を洗浄する場合を例に挙げて説明するが、本発明の配管洗浄方法では、工場内の各種配管のほか、ビルや家屋における各種配管や、上下水管など、様々な配管を洗浄する際に採用することができる。
【0018】
本発明の配管洗浄方法で洗浄する配管30の向きは、特に限定されない。しかし、配管30が完全に水平であると、図4に示すノズル後退工程において、配管30の内面から剥離した付着物50が洗浄水40とともに配管30内を流れにくくなるだけでなく、そもそも配管30で移送される目的の移送流体が流れにくくなり、配管30が移送管としての機能を果たせなくなるおそれもある。このため、配管30の勾配角度(水平面に対する配管30の中心軸の角度)は、通常、0.1°以上とされる。配管30の勾配角度は、0.5°以上であると好ましく、1°以上であるとより好ましい。一方、配管30の勾配角度が大きすぎると、噴射ノズル20が配管30内を前進できなくなるおそれがある。このため、配管30の勾配角度は、通常、45°以下とされる。配管30の勾配角度は、30°以下であると好ましく、20°以下であるとより好ましく、10°以下であるとさらに好ましい。ただし、洗浄水40の噴射圧力を十分に高くしているなら、例え配管30が鉛直に立っていたとしても(配管30の勾配角度が90°であったとしても)、噴射ノズル20を配管30内で上向きに前進させることも可能である。
【0019】
また、本発明の配管洗浄方法で洗浄する配管30の内径は、噴射ノズル20を挿入できるのであれば特に限定されない。しかし、配管30の内径が小さすぎると、噴射ノズル20が配管30内で引っ掛かりやすくなるおそれがある。このため、配管30の内径(配管30の内径が場所によって異なる場合にはその最小値。以下同じ。)は、通常、噴射ノズル20の外径(噴射ノズル20の外径が場所によって異なる場合にはその最大値。以下同じ。)の2倍以上とされる。配管30の内径は、噴射ノズル20の外径の3倍以上であると好ましく、4倍以上であるとより好ましく、5倍以上であるとさらに好ましい。すなわち、噴射ノズル20の外径を5cm程度とした場合には、配管30の内径は、通常、10cm以上とされ、15cm以上であると好ましく、20cm以上であるとより好ましく、25cm以上であるとさらに好ましい。
【0020】
一方、配管30の内径が大きいと、そもそも作業員が配管30内に入って清掃作業を行うことができるため、本発明の配管洗浄方法を採用する意義が低下する。加えて、洗浄水40の噴射圧力を相当高くしたとしても、配管30の内面全体を満遍なく洗浄することが困難になるおそれもある。このため、配管30の内径は、通常、噴射ノズル20の外径の30倍以下とされる。配管30の内径は、噴射ノズル20の外径の25倍以下であると好ましく、20倍以下であるとより好ましい。すなわち、噴射ノズル20の外径を5cm程度とした場合には、配管30の内径は、通常、150cm以下とされ、125cm以下であると好ましく、100cm以下であるとより好ましい。
【0021】
2.ノズル挿入工程
続いて、ノズル挿入工程についてより詳しく説明する。ノズル挿入工程は、図1と図2に示すように、洗浄ホース10の先端部に取り付けた噴射ノズル20を配管30の開口部31から配管30内に挿入する工程となっている。噴射ノズル20を挿入する開口部31は、通常、配管30の開口端である。複数本の配管30が接続されている場合は、隣り合う配管30をその接続部分で分離し、その開口端から噴射ノズル20を挿入するようにしてもよい。配管30に勾配が付いている場合には、配管30における低くなった側の開口端から噴射ノズル20を挿入すると好ましい。これにより、後述するノズル後退工程において、配管30の内面から剥離した付着物50を洗浄水40とともに後方に流れやすくすることが可能になる。このほか、図6に示すように、配管30の周壁にメンテナンス用の窓が設けられている場合には、その窓から噴射ノズル20を挿入してもよい。
【0022】
本実施態様の配管洗浄方法において、洗浄ホース10は、図1と図2に示すように、配管30の開口部31付近に取り付けられた洗浄ホース支持装置60によって支持させている。このように、洗浄ホース10を開口部31付近で支持することによって、後述するノズル前進工程やノズル後退工程において洗浄ホース10を配管30内でスムーズに移動させることが可能となっている。また、ノズル後退工程において噴射ノズル30が配管30の開口部31から完全に抜け出ないようにする(噴射ノズル20のストッパーとして機能させる)ことも可能となっている。洗浄ホース支持装置60の形態は、特に限定されないが、本実施態様の配管洗浄方法においては、洗浄ホース10を支持するための洗浄ホース支持部61と、洗浄ホース支持部61の基端部を軸支するための軸支部62と、軸支部62を配管30に取り付けるための取付部63とで構成している。
【0023】
洗浄ホース支持部61は、図1に示すように、洗浄ホース案内穴61aが設けられている。この洗浄ホース案内穴61aに洗浄ホース10を通すことにより、洗浄ホース10を配管30の開口部31付近で支持するとともに、洗浄ホース10をその軸方向へスムーズに案内することができるようになっている。洗浄ホース案内穴61の寸法形状は、洗浄ホース10を挿入できるのであれば特に限定されない。しかし、噴射ノズル20のストッパーとしての機能を洗浄ホース支持部61に持たせるためには、噴射ノズル20が通り抜けることができない寸法形状としなければならない。また、洗浄ホース支持部61で洗浄ホース10をより高い自由度で支持するためには、洗浄ホース案内穴61aを略矩形とし、その縦幅W1(図5を参照)を横幅W2(図5を参照)よりも長くすると好ましい。これにより、洗浄ホース支持部61において、洗浄ホース10の軸方向の移動を許容するだけでなく、鉛直方向の移動を許容することも可能になる。
【0024】
洗浄ホース支持部61における洗浄ホース案内穴61aの縦幅W1及び横幅W2は、図5に示すように、その両方が洗浄ホース10の外径R1よりも大きく、少なくとも一方が噴射ノズル20の外径R2(噴射ノズル20の外径R2が場所によって異なる場合にはその最大値)よりも小さければ特に限定されない。しかし、上述したように、洗浄ホース支持部61で支持される洗浄ホース10の鉛直方向の移動を許容するためには、洗浄ホース案内穴61aの縦幅W1は、洗浄ホース案内穴61aの横幅W2の2倍以上とすると好ましい。洗浄ホース案内穴61aの縦幅W1は、洗浄ホース案内穴61aの横幅W2の3倍以上とするとより好ましく、4倍以上とするとさらに好ましい。一方、洗浄ホース案内穴61aの縦幅W1を長くしすぎてもあまり意味がない。このため、洗浄ホース案内穴61aの縦幅W1は、通常、洗浄ホース案内穴61aの横幅W2の60倍以下とされる。
【0025】
軸支部62は、図1に示すように、洗浄ホース支持部61の下端部(先端部)がその幅方向(図1における矢印A,Bの向き)へ揺動可能となるよう洗浄ホース支持部61の上端部(基端部)を軸支するものとなっている。軸支部62の形態は、特に限定されず、ヒンジ機構を利用したようなものであってもよいが、本実施態様の配管洗浄方法においては、洗浄ホース支持部61の基端部に設けた穴(軸受穴)に支持軸を通した構造としている。軸支部62における支持軸の基端部は、取付部63に固定しており、支持軸の先端部は、支持軸が軸受穴から抜け出ないように拡径している。軸支部62をこのような簡素な構造とすることで、軸支部62を壊れにくくするだけでなく、洗浄ホース支持装置60の製造コストを抑えることも可能になる。
【0026】
取付部63は、図1に示すように、軸支部62を配管30の開口部31付近に取り付けるためのものとなっている。取付部63の形態も、特に限定されないが、本実施態様の配管洗浄方法においては、クランプ機構を用いている。すなわち、本実施態様の配管洗浄方法において、取付部63は、図2に示すように、一対のアームにおける一方にボルトを捩じ込むことにより、該ボルトの先端部と他方のアームとで配管30の管壁を挟持するものとなっている。取付部63をこのような構造とすることで、管壁の厚みにとらわれることなくことなく、様々な寸法の配管30に対して洗浄ホース支持装置60をしっかりと取り付けることが可能となっている。
【0027】
ところで、配管30の管端部には、配管30の接続のためなどに、図7に示すように、フランジ32が設けられている場合もある。しかし、フランジ32が設けられた配管30に対して洗浄ホース支持装置60を取り付けようとしても、上述したクランプ機構を用いた取付部63では、フランジ32が邪魔になり、取り付けが困難となることも想定される。ただし、フランジ32は、配管30を他の配管に接続するためのものであることが多く、フランジ32には、ボルトなどを挿入するための貫通穴32aが設けられているのが一般的である。このような場合には、軸支部62の前記支持軸にボルト(図7における符号63を参照)を利用し、該ボルトをフランジ32に設けられた貫通穴32aに螺合することで、洗浄ホース支持装置60を配管30に取り付けることができる。
【0028】
図7に示すように、支持部62の前記支持軸を取付部63として利用する場合であっても、洗浄ホース支持装置10には、クランプ機構による取付部63(図1)を他の部分から分離可能な形態で設けておくと好ましい。すなわち、軸支部62における前記支持軸(ボルト)をクランプ機構による取付部63(図1を参照)に螺合することにより、軸支部62と取付部63が一体化して、図1や図2に示す取付形態が可能となり、軸支部62における前記支持軸をクランプ機構による取付部63から分離することにより、図7に示す取付形態が可能となるようにすると好ましい。これにより、1つの洗浄ホース支持装置60で、図2や図6に示す取付方法と、図7に示す取付方法とを臨機応変に選択することができるようになる。
【0029】
3.ノズル前進工程
続いて、ノズル前進工程について説明する。ノズル前進工程は、図2に示すように、洗浄ホース10に洗浄水40を供給して噴射ノズル20から斜め後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズル20を配管30内で矢印Aの向きに前進させながら配管30の内面に付着した付着物50を剥離させる工程となっている。このノズル前進工程により、噴射ノズル20を配管30内における所定深さまで前進させ、その区間における配管30の付着物50を剥離させる。ノズル前進工程が進むにつれて、洗浄ホース10は、図示省略のリールなどの巻回手段に巻かれた状態から配管30内へと繰り出されるようになる。洗浄ホース10は、上述した洗浄ホース支持装置60によって支持された状態となっているので、このノズル前進工程において、配管30の管端部などに引っ掛かることなく、スムーズに配管30内へと案内される。
【0030】
ノズル前進工程において、噴射ノズル20を配管30内で前進させる速度(前進速度)は、特に限定されない。しかし、噴射ノズル20の前進速度が遅すぎると、ノズル前進工程に無駄に時間がかかるようになり不経済である。このため、噴射ノズル20の前進速度は、通常、5cm/s以上とされる。噴射ノズル20の前進速度は、10cm/s以上であると好ましく、15cm/s以上であるとより好ましい。一方、噴射ノズル20の前進速度が速すぎると、付着物50が配管30の内面から十分に剥離しなくなるおそれがある。このため、噴射ノズル20の前進速度は、通常、300cm/s以下とされる。噴射ノズル20の前進速度は、200cm/s以下であると好ましく、100cm/s以下であるとより好ましい。
【0031】
また、ノズル前進工程において、噴射ノズル20から噴射する洗浄水40の噴射角度θ(図3を参照)は、0°以上、90°未満であれば特に限定されない。しかし、噴射角度θを小さくしすぎると、噴射ノズル20から噴射された洗浄水40が上部に届きにくくなり、配管30の上部付近の付着物50が剥離しにくくなるおそれがあるだけでなく、噴射ノズル20の前進速度を上述した範囲に保てなくなるおそれもある。このため、噴射角度θは、通常、10°以上とされる。噴射角度θは、30°以上であると好ましく、45°以上であるとより好ましく、60°以上であるとさらに好ましい。一方、噴射角度θが大きすぎると、噴射ノズル20の推進力が弱くなり、噴射ノズル20が配管30内を前進しにくくなるだけでなく、やはり、噴射ノズル20の前進速度を上述した範囲に保つことができなくなるおそれもある。このため、噴射角度θは、通常、85°以下とされる。噴射角度θは、80°以下であるとより好ましい。
【0032】
さらに、洗浄ホース10に供給する洗浄水40の圧力は、洗浄ホース10の内径や、噴射ノズル20の噴射孔の数や寸法、あるいは噴射角度θの大きさなどによっても異なり、特に限定されない。しかし、洗浄水40の圧力を低くしすぎると、噴射ノズル20が配管30内を前進しないばかりか、付着物50が配管30の内面から剥離しないおそれもある。加えて、本発明の配管洗浄方法の構成を採用する意義が低下する。このため、洗浄水40の圧力は、通常、5MPa以上とされる。洗浄水40の圧力は、10MPa以上であると好ましく、15MPa以上であるとより好ましい。一方、洗浄水40の圧力を高くしすぎると、洗浄ホース10に洗浄水40を供給するポンプ(図示省略)が大掛かりなものとなるばかりで不経済である。また、後述するノズル後退工程において、洗浄ホース10を大きな力で引っ張らなければならなくなり、労力が増大する。このため、洗浄水40の圧力は、通常、250MPa以下とされる。洗浄水40の圧力は、200MPa以下であると好ましく、150MPa以下であるとより好ましい。
【0033】
4.ノズル後退工程
続いて、ノズル後退工程について説明する。ノズル後退工程は、図4に示すように、噴射ノズル20から洗浄水40を斜め後方に噴射させたままの状態で洗浄ホース10を後方に引っ張り、噴射ノズル20を配管30内で矢印Dの向きに後退させる工程となっている。このように、洗浄水40を噴射させながら噴射ノズル20を後退させることで、配管30の内面から剥離した付着物50を後方へと流すことができる。洗浄水40は噴射ノズル20から斜め後ろ向きに噴射されていることに加えて、配管30は、後側(配管30における洗浄ホース支持装置60が取り付けられた側)が低くなるように勾配が付けられているため、配管30の内面から剥離した付着物50は、洗浄水40とともに開口部31からスムーズに流れ出る。ノズル後退工程においては、殆どの付着物50が配管30の内面から剥離していると考えられるため、洗浄ホース10に供給する洗浄水40の圧力は、ノズル前進工程よりも低く設定してもよいが、通常、ノズル前進工程と等しくされる。
【0034】
ノズル後退工程において、洗浄ホース10は、機械などで自動的に巻き取るようにしてもよいが、通常、作業員の手作業によって後方へ引っ張られる。このため、洗浄ホース10を引っ張り出しすぎて噴射ノズル20が開口部31から抜け出るようなことがあると、噴射ノズル20から高圧で噴射される洗浄水40が作業員に浴びせられたり、噴射ノズル20が不規則に暴れて作業員にぶつかったりするおそれがある。しかし、本実施態様の配管洗浄方法では、洗浄ホース支持装置60の洗浄ホース支持部61がストッパーとして機能し、噴射ノズル20が洗浄ホース支持部61に引っ掛かる構造となっているため、そのような心配がない。洗浄ホース支持装置60における洗浄ホース支持部61に噴射ノズル20が引っ掛かるまで洗浄ホース10を引っ張ると、ノズル後退工程は終了する。
【0035】
5.ノズル取出工程
最後に、ノズル取出工程について説明する。ノズル取出工程が開始される直前(ノズル後退工程が終了した直後)においては、洗浄ホース10は、図1に示す状態となっている。ノズル後退工程は、図1に示す状態から、洗浄ホース支持装置60を配管30から取り外し、洗浄ホース10の先端部に取り付けた噴射ノズル20を配管30の開口部31から引き抜いて取り出す工程である。本実施態様の配管洗浄方法において、洗浄ホース支持装置60の取付部63は、上述した形態のものとなっているため、それを配管30から取り外す作業も容易である。ノズル取出工程を終えた後は、配管30の開口部31に他の配管を接続するなど、必要な作業を行い、配管30を元の状態に戻す。これにより、本実施態様の配管洗浄方法は終了する。このとき、配管30の内部は、付着物50が綺麗に洗い流された状態となっている。
【符号の説明】
【0036】
10 洗浄ホース
20 噴射ノズル
30 配管
31 開口部
40 洗浄水
50 付着物
60 洗浄ホース支持装置
61 洗浄ホース支持部(洗浄ホース支持体)
61a 洗浄ホース案内穴
62 軸支部
63 取付部
R1 洗浄ホースの外径
R2 噴射ノズルの外径
W1 洗浄ホース案内穴の縦幅
W2 洗浄ホース案内穴の横幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄ホースの先端部に取り付けた噴射ノズルを配管の開口部から配管内に挿入するノズル挿入工程と、
洗浄ホースに洗浄水を供給して噴射ノズルから後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズルを配管内で前進させながら配管の内面に付着した付着物を剥離させるノズル前進工程と、
噴射ノズルから洗浄水を後方に噴射させたままの状態で洗浄ホースを後方に引っ張り、噴射ノズルを配管内で後退させながら前記付着物を後方へと洗い流していくノズル後退工程と、
を行うことにより、配管を洗浄する配管洗浄方法であって、
洗浄ホースの外径よりも大きく噴射ノズルの外径よりも小さな横幅の洗浄ホース案内穴を有する洗浄ホース支持体を配管における前記開口部付近に取り付け、洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に洗浄ホースを挿通することにより、ノズル後退工程で洗浄ホースを後方へ引っ張りすぎても、噴射ノズルが洗浄ホース案内穴で引っ掛かって前記開口部から抜け出ないようにしたことを特徴とする配管洗浄方法。
【請求項2】
洗浄ホース支持体の基端部を配管における前記開口部の上縁付近から軸支した状態で吊り下げ、洗浄ホース支持体の先端部を前記開口部の幅方向で揺動可能な状態とすることにより、ノズル前進工程又はノズル後退工程で洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に挿通された洗浄ホースの支持位置を前記開口部の幅方向で変化させることができるようにした請求項1記載の配管洗浄方法。
【請求項3】
洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴の縦幅を洗浄ホース案内穴の横幅よりも長く形成し、ノズル前進工程又はノズル後退工程で洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に挿通された洗浄ホースの支持位置を洗浄ホース案内穴の縦幅方向に沿って変化させることができるようにした請求項1又は2記載の配管洗浄方法。
【請求項4】
洗浄ホースの先端部に取り付けた噴射ノズルを配管の開口部から配管内に挿入するノズル挿入工程と、
洗浄ホースに洗浄水を供給して噴射ノズルから後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズルを配管内で前進させながら配管の内面に付着した付着物を剥離させるノズル前進工程と、
噴射ノズルから洗浄水を後方に噴射させたままの状態で洗浄ホースを後方に引っ張り、噴射ノズルを配管内で後退させながら前記付着物を後方へと洗い流していくノズル後退工程と、
を行って配管を洗浄する際に、洗浄ホースを配管の前記開口部付近で支持しながら案内するための洗浄ホース支持装置であって、
縦幅が横幅よりも長い洗浄ホース案内穴が設けられた洗浄ホース支持部と、
洗浄ホース支持部の先端部がその幅方向へ揺動可能となるよう洗浄ホース支持部の基端部を軸支する軸支部と、
軸支部を配管の前記開口部付近に取り付けるための取付部とを備え、
洗浄ホース支持部における洗浄ホース案内穴に洗浄ホースを挿通することにより、ノズル後退工程で洗浄ホースを後方へ引っ張りすぎても、噴射ノズルが洗浄ホース案内穴で引っ掛かって前記開口部から抜け出ないようにできることを特徴とする洗浄ホース支持装置。
【請求項1】
洗浄ホースの先端部に取り付けた噴射ノズルを配管の開口部から配管内に挿入するノズル挿入工程と、
洗浄ホースに洗浄水を供給して噴射ノズルから後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズルを配管内で前進させながら配管の内面に付着した付着物を剥離させるノズル前進工程と、
噴射ノズルから洗浄水を後方に噴射させたままの状態で洗浄ホースを後方に引っ張り、噴射ノズルを配管内で後退させながら前記付着物を後方へと洗い流していくノズル後退工程と、
を行うことにより、配管を洗浄する配管洗浄方法であって、
洗浄ホースの外径よりも大きく噴射ノズルの外径よりも小さな横幅の洗浄ホース案内穴を有する洗浄ホース支持体を配管における前記開口部付近に取り付け、洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に洗浄ホースを挿通することにより、ノズル後退工程で洗浄ホースを後方へ引っ張りすぎても、噴射ノズルが洗浄ホース案内穴で引っ掛かって前記開口部から抜け出ないようにしたことを特徴とする配管洗浄方法。
【請求項2】
洗浄ホース支持体の基端部を配管における前記開口部の上縁付近から軸支した状態で吊り下げ、洗浄ホース支持体の先端部を前記開口部の幅方向で揺動可能な状態とすることにより、ノズル前進工程又はノズル後退工程で洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に挿通された洗浄ホースの支持位置を前記開口部の幅方向で変化させることができるようにした請求項1記載の配管洗浄方法。
【請求項3】
洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴の縦幅を洗浄ホース案内穴の横幅よりも長く形成し、ノズル前進工程又はノズル後退工程で洗浄ホース支持体における洗浄ホース案内穴に挿通された洗浄ホースの支持位置を洗浄ホース案内穴の縦幅方向に沿って変化させることができるようにした請求項1又は2記載の配管洗浄方法。
【請求項4】
洗浄ホースの先端部に取り付けた噴射ノズルを配管の開口部から配管内に挿入するノズル挿入工程と、
洗浄ホースに洗浄水を供給して噴射ノズルから後方に噴射させ、該噴射の反力によって噴射ノズルを配管内で前進させながら配管の内面に付着した付着物を剥離させるノズル前進工程と、
噴射ノズルから洗浄水を後方に噴射させたままの状態で洗浄ホースを後方に引っ張り、噴射ノズルを配管内で後退させながら前記付着物を後方へと洗い流していくノズル後退工程と、
を行って配管を洗浄する際に、洗浄ホースを配管の前記開口部付近で支持しながら案内するための洗浄ホース支持装置であって、
縦幅が横幅よりも長い洗浄ホース案内穴が設けられた洗浄ホース支持部と、
洗浄ホース支持部の先端部がその幅方向へ揺動可能となるよう洗浄ホース支持部の基端部を軸支する軸支部と、
軸支部を配管の前記開口部付近に取り付けるための取付部とを備え、
洗浄ホース支持部における洗浄ホース案内穴に洗浄ホースを挿通することにより、ノズル後退工程で洗浄ホースを後方へ引っ張りすぎても、噴射ノズルが洗浄ホース案内穴で引っ掛かって前記開口部から抜け出ないようにできることを特徴とする洗浄ホース支持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−66163(P2012−66163A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210975(P2010−210975)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(509105879)瀬戸内物流株式会社 (3)
【出願人】(510252597)EMオノエ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(509105879)瀬戸内物流株式会社 (3)
【出願人】(510252597)EMオノエ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]