説明

配管減肉予測装置及び配管減肉予測方法

【課題】
複雑な伝熱解析を要せずに、実用上十分な精度で簡便に配管の肉厚ないし減肉状態を予測することができる配管減肉予測装置及び予測方法、配管減肉予測プログラムを提供すること。
【解決手段】
その内部を流体1が流れている状態の配管2を加熱するヒーター4と、ヒーター4を制御して配管2を部分的又は全体的に少なくとも流体1の温度を超える第1の設定温度に加熱するヒータ制御手段6と、配管2の部分的又は全体的な温度を検出する温度センサー5と、配管2が部分的又は全体的に第1の設定温度に到達後、前記加熱が終了され、流体1により配管2が冷却されていく際に、温度センサー5により検出される配管2の部分的又は全体的な温度変化に基づいて、配管2の減肉状態を予測する予測手段8と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラント等に存在する配管の減肉測定に用いられる、配管減肉予測装置及び予測方法、並びに配管減肉予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントにおいて、配管の肉厚を測定する方法は以下のとおりである。プラントを停止させて、配管内部に流体が存在しない状態にし、或いはその流れを停止させた状態で、配管を覆っている保温材を外して、配管表面に超音波探触子を接触させ、超音波を配管表面から入射させて、配管内面で反射した波を検出し、超音波を発信してから配管内面で反射した超音波を受信するまでの時間から、超音波を発信した方向における配管の肉厚を測定する。
【0003】
また、特許文献1には、「加熱コイルと温度制御装置と肉厚測定対象配管部の温度分布を測定する装置と温度分布を数値化してデータとして取り込むコンピュータと伝熱解析デーベースを基にして最適値を計算するプログラムを有するコンピュータにより、配管肉厚測定装置を構成する」ことが提案されている。
【0004】
特許文献1の実施の形態においては、配管を加熱後に「大気中自然徐冷」して、「サーモグラフィー」を用いて配管の温度分布を測定する手法と、配管を加熱後に「クーラを用いて、強制除冷する手法」と、が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−161943(要約、段落0019、段落0027)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の超音波を用いた配管肉厚測定方法によれば、プラントを停止させて、配管内部に流体がない状態で、測定を行う必要があるという問題がある。また、この方法によれば、超音波を発信した方向しか、配管の肉厚を測定できないため、配管全体を測定するには、膨大な測定箇所が必要になるという問題がある。さらに、この方法によれば、超音波探触子を配管表面に接触させる必要があるため、通常、配管を覆っている保温材を取り外さなければならないという問題がある。
【0007】
また、特許文献1の発明のように、配管を外部から冷却した際の温度分布の変化を測定する場合には、プラントを停止させ配管を覆っている保温材を剥がして加熱コイル等を取り付ける手間が掛かるという問題と、配管肉厚の差による温度分布の変化が小さいため、厳密な温度変化の測定が求められること、加えて複雑な解析が必要となるという問題とがある。
【0008】
本発明の目的は、複雑な伝熱解析を要せずに、実用上十分な精度で簡便に配管の肉厚ないし減肉状態を予測することができる配管減肉予測装置及び予測方法、配管減肉予測プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1の視点において、その内部を流体が流れている状態の配管を加熱するヒーターと、前記ヒーターを制御して前記配管を部分的又は全体的に少なくとも前記流体の温度を超える第1の設定温度に加熱するヒータ制御手段と、前記配管の部分的又は全体的な温度を検出する温度センサーと、前記配管が部分的又は全体的に前記第1の設定温度に到達後、前記加熱が終了され、前記流体により該配管が冷却されていく際に、前記温度センサーにより検出される該配管の部分的又は全体的な温度変化に基づいて、該配管の減肉状態を予測する予測手段と、を有する、ことを特徴とする配管減肉予測装置を提供する。
【0010】
本発明は、第2の視点において、その内部を流体が流れている状態の配管を部分的又は全体的に前記流体温度を超える第1の設定温度に加熱する工程と、前記配管が部分的又は全体的に前記第1の設定温度に到達後、前記加熱を終了し、前記流体により該配管を冷却させる工程と、前記流体により該配管を冷却させる前記工程において、前記配管の部分的又は全体的な温度変化を測定する工程と、前記温度変化に基づいて前記配管の減肉状態を予測する工程と、を含む、ことを特徴とする配管減肉予測方法を提供する。
【0011】
本発明は、第3の視点において、その内部を流体が流れている状態の配管が部分的又は全体的に該流体温度を超える第1の設定温度に加熱され、該配管が部分的又は全体的に該第1の設定温度に到達後、該加熱が終了され、該流体により該配管が冷却される際、該冷却時における前記配管の部分的又は全体的な温度変化が測定される配管減肉予測方法において、前記配管が部分的又は全体的に減肉していない場合の前記温度変化と、測定された前記配管の部分的又は全体的な前記温度変化とを比較する手順と、前記比較結果に基づいて、該配管の減肉状態を予測する手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする配管減肉予測プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大気側ではなく、配管内部を流れる流体の方に、配管を加熱した熱を移動させることから、配管単位面積・単位時間当たりの熱移動量が大きいため、配管減肉の違いによる配管の全体的又は部分的な温度変化が大きく発現する。したがって、短時間且つ所定の精度で、簡便に減肉を予測することが可能である。本発明は、配管外部が保温材等で覆われ、配管外部から大気へ向かう熱伝達量が小さい場合に、特に有効である。
【0013】
本発明によれば、プラント施工時又はプラント停止時、一度、配管にヒーターや温度センサーを取り付けておけば、測定の度に、それらを取り付ける必要がないため、配管減肉予測に伴う段取りが軽減される。
【0014】
本発明の効果をさらに例示する:
(1)本発明によれば、通常運転中、すなわち、配管内部を流体が流れている状態で、測定対象配管部位を任意に設定した温度に加熱し、冷却することができるため、相対的に低い温度の流体側への熱移動の過程により、任意の配管温度に到達する時間(又は任意の時間における配管温度)から配管減肉を予測するができ、配管単位面積・単位時間当たりの熱移動が大きいため、減肉の差異による時間差(又は任意の時間における配管温度差)が大きく、実用上十分な精度が達成できる。このため、配管の状況、測定対象面積、流体の状態に応じた「減肉量と時間差(又は任意の時間における配管温度差)の関係」を簡易的にパターン化した配管減肉予測プログラムを作成すれば、複雑な伝熱解析を行うことなく、簡便に配管の減肉を予測することが可能となる;
(2)配管内部を流れている流体を活用して配管を冷却するため、配管を保温材が覆っている場合のプラントの通常運転中において、精度よく配管減肉予測試験を実行することができる;
(3)配管の加熱終了後、配管から配管内部を流れている流体に向かって移動する熱量は、配管から配管外部の大気に向かって移動する熱量に比べて格段に大きい。したがって、配管に減肉が発生している場合には、発生していない場合に比べて、配管の温度変化が大きくなる。また、減肉箇所周辺の温度変化は、そうでない箇所の温度変化に比べて、温度変化が大きくなる。このため、簡単に減肉ないし減肉範囲を特定することができる。
(4)本発明によれば、減肉の有無を簡単に検出し、減肉範囲を実用上十分な精度で検出することができる。なお、さらに、正確な減肉量を測定する場合には、超音波を用いて配管の肉厚を測定すればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を示す。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、予め、配管表面にヒーター、温度センサーを取り付けた後、配管を保温材で覆うような復旧を行い、その後、通常運転中に、配管を加熱した後、相対的に低い温度の流体側(配管内部を流れる流体側)への熱移動の過程における、配管温度変化、例えば、所定の配管温度に到達する時間(又は所定の時間における配管温度)から配管減肉を予測する。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態は、冷却により、配管の状況、測定対象面積、流体の状態に応じた「減肉量と任意温度に到達する時間差(又は任意の時間における配管温度差)の関係」を簡易的にパターン化した配管減肉予測データに基づいて、配管減肉を予測する。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態において、前記温度センサーは、前記配管の複数箇所の温度を測定するよう複数個配置され、前記予測手段は、前記複数箇所のそれぞれの前記温度変化に基づいて、前記配管の部分的な前記減肉状態を予測する。この形態によれば、配管において、減肉している箇所ないし範囲を検出することができる。
【0019】
本発明は、配管内部を流れている流体の側への熱移動による配管温度変化に基づいて減肉予測をするから、配管が保温材で覆われている場合に特に有効であるが、前記配管の外部が保温材で覆われていない場合も十分な精度で減肉予測が可能である。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態において、前記予測手段は、前記配管が部分的又は全体的に、前記第1の設定温度から第2の設定温度に冷却されるまでの第1の経過時間に基づいて前記減肉状態を予測する。この形態によれば、単位熱量が移動に要する時間に基づいて減肉予測をする。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態に係る装置は、前記経過時間と前記配管の減肉状態との関係が記録された第1のデータベースを有し、前記予測手段は、前記第1の経過時間に基づいて前記第1のデータベースを参照して、前記減肉状態を予測する。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態において、前記予測手段は、前記配管が部分的又は全体的に前記第1の設定温度に到達後、前記加熱が終了されて第2の経過時間が経過した際における該配管の部分的又は全体的な温度に基づいて、前記減肉状態を予測する。この形態によれば、単位時間当たりに移動する熱量に基づいて減肉予測をする。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態に係る装置は、前記第2の経過時間が経過した際における前記温度と前記減肉状態との関係が記録された第2のデータベースを有し、前記予測手段は、前記第2の経過時間が経過した際における前記温度に基づいて前記第2のデータベースを参照して、前記減肉状態を予測する。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態において、配管を加熱するヒーターとして、用途に応じて種々の電気ヒーターを用いることができる。また、配管温度を測定する手段として、熱電対を用いることができる。電気ヒーター、熱電対の配置箇所は、配管形状、流量計、弁、圧力計、温度計等の取付け状況に応じて決定する。
【実施例1】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の一実施例を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施例に係る配管減肉予測装置の構成を説明するための図である。
【0027】
図1を参照すると、運転中の配管の減肉を予測する減肉予測装置は、保温材3で覆われ、その内部を流体1が流れている状態の配管2を加熱するヒーター4と、ヒーター4を制御して配管2を部分的又は全体的に少なくとも流体1の温度を超える第1の設定温度に加熱するヒーター制御手段6と、配管2の部分的又は全体的な温度を検出する温度センサー5と、前記配管が部分的又は全体的に前記第1の設定温度に到達後、前記加熱が終了され、前記流体により該配管が冷却されていく際に、前記温度センサーにより検出される該配管の部分的又は全体的な温度変化に基づいて、該配管の減肉状態を予測する予測手段8と、を有する。
【0028】
温度センサー5は、配管2の複数箇所の温度を測定するよう、配管表面上に複数個配置され、予測手段8は、複数箇所のそれぞれの前記温度変化に基づいて、配管2の部分的な減肉状態を予測する。
【0029】
複数個の温度センサー5は、温度検出手段7を介して予測手段8に接続され、予測手段8には、各温度センサー5の出力信号が温度検出手段7によって変換された温度検出信号が入力される。
【0030】
予測手段8は、配管減肉予測プログラム10を実行するコンピュータから構成され、データベース9に接続される。
【0031】
データベース9は、配管2が前記第1の設定温度から第2の設定温度に冷却されるまでの第1の経過時間と減肉状態との関係、及び/又は、前記第1の設定温度に到達後、前記加熱が終了されて第2の経過時間が経過した際における配管温度と減肉状態との関係が記録されている。
【0032】
プログラム10は、データベース9を参照して得られる配管2が部分的又は全体的に減肉していない場合の温度変化(第1の経過時間と減肉状態との関係、又は、第2の経過時間が経過した際における配管温度と減肉状態との関係)と、測定された配管2の部分的又は全体的な温度変化とを比較する手順と、前記比較結果に基づいて、配管2の減肉状態を予測する手順と、が記録されている。
【0033】
なお、プログラム10を、複数個の温度センサー5によって得られる複数の温度変化データ同士を比較して、前記比較結果に基づいて、配管2の減肉状態を予測するよう構成してもよい。
【0034】
次に、図1の装置を用いた配管減肉予測方法について説明する。図2は、本発明の一実施例に係る配管減肉予測方法を説明するためのフローチャートである。
【0035】
図1及び図2を参照すると、ステップ1〜2において、測定者は、その内部を流体1が流れている状態の配管2の表面の指定された配管減肉予測箇所にヒーター4と、温度センサー5を取り付ける。
【0036】
ステップ3において、測定者は、ヒーター4とヒータ制御手段6により、配管2の内部を流体1が流れている状態で、ヒーター4をオン状態にして、配管2を全体的に流体温度を超える第1の設定温度(所定温度)に加熱する。
【0037】
ステップ4〜5において、測定者は、配管2が前記第1の設定温度に到達後、ヒーター4をオフにして、前記加熱を終了する。
【0038】
ステップ6において、前記流体により配管2が冷却され、相対的に低い温度である流体1の側への熱移動により配管温度ないし配管表面温度が低下していく。
【0039】
ステップ7において、予測手段8は、各温度検出信号に基づいて、配管2の各温度センサー5が設置された箇所が、前記第1の設定温度から第2の設定温度に冷却されるまでの第1の経過時間を測定する。
【0040】
ステップ8において、プログラム10は、データベース9を参照して得られる配管2が部分的又は全体的に減肉していない場合の温度変化(第1の経過時間と減肉状態との関係)と、測定された温度変化とを比較する手順と、前記比較結果に基づいて、配管2の減肉状態を予測する手順とを予測手段8に実行させる。
【0041】
なお、ステップ7において、前記第2の経過時間(所定時間)が経過した際における配管温度と減肉状態との関係を測定し、該測定結果に基づいて、減肉状態を予測してもよい。また、測定データ同士の比較に基づいて、減肉状態を予測してもよい。
【0042】
温度センサー5は、配管の形状、弁、流量計の使用・設置状況を考慮として、配管の減肉し易い箇所に重点的に設置する。これによって、早期に配管減肉の大きい箇所の発見が容易となり、予測結果如何によっては、次回プラント停止時に配管を取り替えるなり、あるいは超音波法等により厳密に測定し、今後の運用管理を適切に行うことが可能となる。
【0043】
以上説明した配管減肉予測方法のシミュレーション解析を行った。図3は、本発明の一実施例に係る配管減肉予測方法のシミュレーション解析条件を説明するための図である。
【0044】
図3を参照すると、解析対象の配管は、配管の長さ5m、口径(内径)250mm、配管の肉厚10mm、減肉箇所の肉厚5mmとした。減肉箇所は、配管を長さ方向に1m毎に5分割し、中央の部分(1m)が減肉していることとした。配管の外側を覆う保温材の厚さは120mmである。配管内部に流れている流体は水、その温度は100℃、流量0.25m/sとした。配管の加熱温度、すなわち、第1の設定温度は200℃とした。
【0045】
以上の条件で、配管内を実際に流体(水)が流れている場合、第1の設定温度に加熱された配管が流体によって冷却されていく際、配管表面の各箇所の温度変化を試算し、これに基づいて減肉箇所を予測できるかどうかを解析した。
【0046】
図4は、図3に示した条件で行ったシミュレーションの解析結果を説明するためのグラフである。グラフ中、配管表面において上線は減肉していない箇所(肉厚10mm)の温度変化を示す線であり、下線は配管表面において減肉箇所(配管中央1m部分の肉厚5mmの箇所)の温度変化を示す線である。
【0047】
図4の上線を参照すると、減肉していない箇所では、加熱終了後(第1の設定温度200℃)、120℃(第2の設定温度)に到達するまでの第1の経過時間が約7秒であり、減肉箇所では約3秒であった。よって、減肉していない箇所と、減肉箇所では、所定温度に到達するまでの経過時間の違いが顕著であることが確認され、この違いに基づいて容易に減肉を予測することができる。当然、減肉が進めば、その違いはさらに拡大する。
【0048】
また、図4の上線を参照すると、減肉していない箇所では、加熱終了後(第1の設定温度200℃)から5秒(第2の経過時間)経過した際、配管表面温度は130℃であり、減肉箇所は108℃であった。よって、減肉していない箇所と、減肉箇所では、所定経過時間における温度の違いが顕著であることが確認され、この違いに基づいて容易に減肉を予測することができる。当然、減肉が進めば、その違いはさらに拡大する。
【0049】
図5(A)〜図5(D)は、熱移動量の違いが配管表温度に与える影響を説明するための図である。図5(A)は肉厚Lで移動熱量qの場合、図5(B)は肉厚L/2で移動熱量qの場合、図5(C)は肉厚Lで移動熱量3qの場合、図5(D)は肉厚L/2で移動熱量3qの場合のそれぞれ説明図である。λは配管の熱伝導率λ[W/m・k]である。
【0050】
図5(A)〜図5(D)を参照すると、熱伝導率λ[W/m・k]の配管が温度T1からT2(T1>T2)へ熱移動する時(肉厚L/2の場合は温度T1からt2(T1>t2)へ熱移動する時)、肉厚L((A)と(C)参照)の場合と、減肉して肉厚が半分のL/2((B)と(D)参照)の場合とにおいて、移動熱量がq[w/m2(=J/s・m2)]の場合と、その3倍である場合を比較すると、肉厚差による表面温度差は、移動熱量が3倍になると、表面温度差も3倍に広がることが分かる。
【0051】
ちなみに、温度300k、圧力101.3kPaにおける水の熱伝導率は0.610[w/m・k]に対して、空気の熱伝導率は0.0261[w/m・k]であり、水は空気に比較し熱伝導率が23倍強大きい。よって、配管に水のような、空気よりも熱伝導率の高い液体が流れている場合は、水と配管面の熱伝達率hw[w/m2・k]は、空気と配管面の熱伝達率haよりも大きいため、流れがない場合よりも更に移動熱量が大きく、表面温度差も一層顕著となり、一層精度よく配管減肉を予測することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、プラント稼動時の配管減肉測定、或いは配管内部の流体の流れを停止させることができない場合の配管減肉測定に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施例に係る配管減肉予測装置の構成を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施例に係る配管減肉予測方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施例に係る配管減肉予測方法のシミュレーション解析条件を説明するための図である。
【図4】図3に示した条件で行ったシミュレーションの解析結果を説明するためのグラフである。
【図5】(A)〜(D)は、熱移動量の違いが配管表温度に与える影響を説明するための図である。
【符号の説明】
【0054】
1 配管内部を流れる流体
2 配管
3 保温材
4 ヒーター
5 温度センサー
6 ヒーター制御手段
7 温度検出手段
8 予測手段
9 データーベース
10 配管減肉予測プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部を流体が流れている状態の配管を加熱するヒーターと、
前記ヒーターを制御して前記配管を部分的又は全体的に少なくとも前記流体の温度を超える第1の設定温度に加熱するヒータ制御手段と、
前記配管の部分的又は全体的な温度を検出する温度センサーと、
前記配管が部分的又は全体的に前記第1の設定温度に到達後、前記加熱が終了され、前記流体により該配管が冷却されていく際に、前記温度センサーにより検出される該配管の部分的又は全体的な温度変化に基づいて、該配管の減肉状態を予測する予測手段と、
を有する、ことを特徴とする配管減肉予測装置。
【請求項2】
前記温度センサーは、前記配管の複数箇所の温度を測定するよう複数個配置され、
前記予測手段は、前記複数箇所のそれぞれの前記温度変化に基づいて、前記配管の部分的な前記減肉状態を予測する、ことを特徴とする請求項1記載の配管減肉予測装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記配管が部分的又は全体的に、前記第1の設定温度から第2の設定温度に冷却されるまでの第1の経過時間に基づいて前記減肉状態を予測する、ことを特徴とする請求項1記載の配管減肉予測装置。
【請求項4】
前記経過時間と前記配管の減肉状態との関係が記録された第1のデータベースを有し、
前記予測手段は、前記第1の経過時間に基づいて前記第1のデータベースを参照して、前記減肉状態を予測する、ことを特徴とする請求項3記載の配管減肉予測装置。
【請求項5】
前記予測手段は、前記配管が部分的又は全体的に前記第1の設定温度に到達後、前記加熱が終了されて第2の経過時間が経過した際における該配管の部分的又は全体的な温度に基づいて、前記減肉状態を予測する、ことを特徴とする請求項1記載の配管減肉予測装置。
【請求項6】
前記第2の経過時間が経過した際における前記温度と前記減肉状態との関係が記録された第2のデータベースを有し、
前記予測手段は、前記第2の経過時間が経過した際における前記温度に基づいて前記第2のデータベースを参照して、前記減肉状態を予測する、ことを特徴とする請求項5記載の配管減肉予測装置。
【請求項7】
その内部を流体が流れている状態の配管を部分的又は全体的に前記流体温度を超える第1の設定温度に加熱する工程と、
前記配管が部分的又は全体的に前記第1の設定温度に到達後、前記加熱を終了し、前記流体により該配管を冷却させる工程と、
前記流体により該配管を冷却させる前記工程において、前記配管の部分的又は全体的な温度変化を測定する工程と、
前記温度変化に基づいて前記配管の減肉状態を予測する工程と、
を含む、ことを特徴とする配管減肉予測方法。
【請求項8】
その内部を流体が流れている状態の配管が部分的又は全体的に該流体温度を超える第1の設定温度に加熱され、該配管が部分的又は全体的に該第1の設定温度に到達後、該加熱が終了され、該記流体により該配管が冷却される際、該冷却時における前記配管の部分的又は全体的な温度変化が測定される配管減肉予測方法において、
予め設定された前記配管が部分的又は全体的に減肉していない場合の前記温度変化と、測定された前記配管の部分的又は全体的な前記温度変化とを比較する手順と、
前記比較結果に基づいて、該配管の減肉状態を予測する手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする配管減肉予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−284416(P2006−284416A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106012(P2005−106012)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(000221535)東電工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】