説明

配管継手

【課題】周辺に広いスペースを確保できなくてもロックリングによるロックを解除して配管の抜出作業を容易に行うことのできる配管継手を提供する。
【解決手段】外筒部26と、斜めに突出した爪44を配管20の外面に食い込ませて配管20を抜止状態にロックするロックリング40と、前進移動によりロックリング40の爪44を拡開させてロックを解除するロック解除部64と、ロック解除のための操作力を加える解除操作部68とを備えた配管継手10において、ロック解除部64と解除操作部68とを別体に構成するとともに、解除操作部68を外筒部26の軸心周りに回転可能且つロック解除部64に対して回転方向に摺動可能となした上、解除操作部68の回転運動をロック解除部64の軸方向の前進移動に変換するカム部76を設けておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管を抜止状態にロックするロックリングを備えた配管継手に関し、詳しくはロックリングによるロックを解除するための技術手段に特徴を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、(a)内側に配管の挿入空間を形成する外筒部と、(b)配管の挿入方向に向けて径方向内方に斜めに突出した爪を周方向に沿って複数有し、挿入空間に挿入された配管の外面に爪を食い込ませて配管を抜止状態にロックするロックリングと、(c)軸方向に進退可能に設けられ、前進移動によりロックリングの爪を拡開させてロックリングによるロックを解除するロック解除部と、(d)ロック解除のための操作力を加える解除操作部と、を備えた配管継手が公知である。
【0003】
下記特許文献1に、この種の配管継手の一例が開示されている。
図11はその具体例を示している。図11において200は配管継手で、内側に配管205の挿入空間202を形成する外筒部204と、挿入空間202に挿入された配管205の外面に爪を食い込ませて配管205を抜止状態にロックするロックリング206と、軸方向の前進移動によりロックリング206の爪を拡開させて配管205の外面への食込みを解除し、ロックリング206によるロックを解除するロック解除部208と、ロック解除のための操作力を加える解除操作部210とを備えている。
【0004】
ここでロック解除部208は筒状に構成されていて、軸端が外筒部204から軸方向外方に突き出しており、その突出した端部に径方向外方に延びるフランジ状の解除操作部210が一体に構成されている。
ここでフランジ状の解除操作部210と外筒部204との間には、解除操作部210を軸方向に所定ストローク進退移動させるための隙間が形成されている。
この配管継手200では、外筒部204の内側の挿入空間202に配管205を挿入すると、ロックリング206の爪が配管205の外面に食い込んで配管205を抜止状態にロックする。
【0005】
一方配管205を抜き出す際には、解除操作部210に図中左向きの押込力を加える。
すると筒状のロック解除部208が図中左向きに前進移動してロックリング206の爪を拡開させ、配管205の外面に対する爪の食込みを解除する。
ここにおいて配管205が抜出可能となり、そこで図中右向きに引抜力を加えると配管205が挿入空間202から図中右向きに抜き出される。
【0006】
しかしながらこの配管継手200の場合、配管205を配管継手200から抜き出す際、外筒部204の軸方向端側でフランジ状の解除操作部210を軸方向に押し、その状態を維持しながら同じ軸方向端側で配管205に対し同じく軸方向且つ解除操作部210に加えている操作力の向きと逆方向に引抜力を加えなければならず、ロックリング206によるロックを解除して配管205を抜き出すための作業が行い辛く、作業性が悪いといった問題が生じていた。
またこの配管継手200の場合、解除操作部210が軸方向外部に突出した状態にあるため不意な外力を受け易く、而してそのような不意な外力が加わったときに、意図せず配管205が配管継手200から抜けてしまう恐れがあるといった問題も有していた。
【0007】
そのためこの図11に示す配管継手200では、スペーサ部材211を取り付けて、解除操作部210及びロック解除部208の軸方向の押込みを規制するようにしている。
しかしながらこの場合所要部品点数が多くなるとともに組付けの工数も増え、また誤ってスペーサ部材211を紛失してしまう恐れもある。
【0008】
そこで本出願人は、解除操作部を外筒部の外周面に且つ径方向内方に押込可能に設けるとともに、解除操作部の径方向内方の押込移動をロック解除部の軸方向の前進移動に変換する運動変換部を設けて成る配管継手を先の特許願(特願2005−118991:未公開)において提案している。
【0009】
図12はその具体例を示している。
同図において212は外筒部204の周方向に180°隔たった2箇所に設けられた解除操作部としての解除ボタンで、この配管継手200では、解除ボタン212を図中矢印で示す方向に外方から径方向内方にプライヤ等の工具にて挟み込むと、運動変換部としてのカム面214の作用でロック解除部216が軸方向に前進移動してロックリング206の爪を拡開させ、ロックリング206によるロックを解除する。
【0010】
この図12に示す配管継手200の場合、解除ボタン212に対して径方向内方に操作力を加えた状態で配管205に引抜力を加えることで、容易に配管205を配管継手200から引き抜くことができ、配管205の抜出作業が容易となる。
【0011】
しかしながら一方でこの図12に示す配管継手200の場合、例えば壁等に近接して配管継手200が位置しているような場合、その壁等の周辺部材と解除ボタン212との間にプライヤ等の工具を挿入するスペースを確保することが難しい場合もあり、このような場合にはロックリング206によるロックの解除及び配管205の抜出作業を円滑に行えない問題を内包しており、未だ改善の余地のあるものであった。
【0012】
本発明はこのような問題点を解決するために案出されたものである。
尚下記特許文献2には、解除操作部を回転操作することで、その回転運動を軸方向の直線運動に変換して配管を抜止状態にロックするようになした管継手が開示されている。
しかしながらこの特許文献2に開示のものはロックリングを用いた配管継手ではなく、その対象が本発明とは異なっている。
【0013】
【特許文献1】特開2003−28371号公報
【特許文献2】特開2005−42856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上のような事情を背景とし、周辺に広いスペースを確保できなくてもロックリングによるロックを解除して配管の抜出作業を容易に行うことのできる配管継手を提供することを目的としてなされたものである。
また本発明の他の目的は、不意な外力によってロックリングによるロックが解除されてしまい、配管が配管継手から抜けてしまうといった問題を解決できる配管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
而して請求項1のものは、(a)内側に配管の挿入空間を形成する外筒部と、(b)該配管の挿入方向に向けて径方向内方に斜めに突出した爪を周方向に沿って複数有し、該挿入空間に挿入された該配管の外面に該爪を食い込ませて該配管を抜止状態にロックするロックリングと、(c)軸方向に進退可能に設けられ、前進移動により該ロックリングの爪を拡開させて該ロックリングによるロックを解除するロック解除部と、(d)ロック解除のための操作力を加える解除操作部と、を備えた配管継手において、前記ロック解除部と前記解除操作部とを別体に構成するとともに、該解除操作部を前記外筒部の軸心周りに回転可能な回転操作部として且つ該ロック解除部に対して回転方向に摺動可能に該外筒部に設け、該解除操作部の回転運動を該ロック解除部の前記軸方向の前進移動に変換する運動変換部を設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項2のものは、請求項1において、前記解除操作部は前記外筒部に対して径方向及び軸方向に突出しない形状で設けてあることを特徴とする。
【0017】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記解除操作部には工具を係合させて操作力を加える部分としての突出部又は凹部が設けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0018】
以上のように本発明は、ロック解除部と解除操作部とを別体に構成して、その解除操作部を外筒部の軸心周りに回転可能な回転操作部として且つロック解除部に対して回転方向に摺動可能に外筒部に設け、そしてその解除操作部の回転運動をロック解除部の軸方向の前進移動に変換する運動変換部を設けたもので、本発明によれば、解除操作部を回転操作することでロックリングによるロックを解除して配管を配管継手から抜き出すことができ、配管の抜出作業を容易に行うことができる。
【0019】
また図12に示す配管継手と異なって、解除操作部の径方向外方に工具等を挿入するスペースを確保することが難しい場合であってもロック解除部を操作することができ、支障なく配管に対するロック解除を行い得て配管の抜出作業を行うことができる。
【0020】
本発明では、ロック解除部と解除操作部とを別体として、かかる解除操作部をロック解除部に対し回転方向に摺動可能に設けていることから、解除操作部の回転運動がロックリングに伝わることによって配管の外面、特に配管が樹脂製である場合においてその配管の外面がロックリングの爪によって傷付けられてしまうのを防止することができる。
【0021】
本発明は解除操作部を回転操作することでロックリングによるロックを解除するものであり、従って不意な外力により解除操作部が誤って解除操作されてしまうといった恐れが少ないのに加えて、請求項2に従い解除操作部を外筒部に対して径方向及び軸方向に突出しない形状で設けておいた場合、解除操作部が不意な外力で回転操作されてしまって、意図せず配管が配管継手から抜けてしまうといったことをより確実に防止することができる。
【0022】
これらの場合において、その解除操作部には工具を係合させて操作力を加える部分としての突出部又は凹部を設けておくことができる(請求項3)。
このようにすれば、より容易に工具を用いて解除操作部を回転操作することができ、配管の抜出作業をより楽に行うことができる。
本発明は、特に樹脂配管用の配管継手として好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1〜図3において、10は金属製の配管継手、12は継手本体で、フランジ状の大径の工具掛部14を有しており、その工具掛部14の図中右側の外周面に雄ねじ16を有している。
また雄ねじ16とは反対側の図中左側に円筒形状の内筒部18を一体に備えている。
そしてこの内筒部18に対して樹脂製の配管20が外嵌状態に軸方向から外挿され、内筒部18に接続されるようになっている。
ここで内筒部18の外周面には、軸方向に間隔を隔てて一対のOリング溝(保持溝)22-1,22-2が形成されており、そこに弾性を有する環状のシール部材としてのOリング24-1,24-2が保持されている。
【0024】
26は配管継手10に備えられた外筒部で、外スリーブ28と内スリーブ30とから成っており、その内スリーブ30と内筒部18との間に配管20の挿入空間32を形成している。
外スリーブ28は図中右端部に雌ねじ34を有していて、その雌ねじ34において継手本体12の雄ねじ36にねじ結合され、固定されている。
この外スリーブ28には段付形状の第1挟持部38が形成されていて、この第1挟持部38が、内スリーブ30の端部にて構成される第2挟持部39とともに金属製の皿ばね状のロックリング40のリング基部42(図3参照)を軸方向に挟持し保持している。
このロックリング40は、図3に示すように周方向に連続した円環状をなすフラットなリング基部42、及びリング基部42から配管20の挿入方向に向けて径方向内方に斜めに突出する形態で、リング基部42に沿って周方向に並んで形成された複数の爪44を有しており、図1に示しているように挿入空間32に挿入された配管20の外面に爪44を食い込ませて、配管20を抜止状態にロックしている。
【0025】
図2及び図3において、46はOリング24-1,24-2の外周側において内筒部18に嵌装された金属製のコイルばねである。
このコイルばね46は、図3に示しているように隣接するコイル48と48との間に隙間を生ぜしめないで密着巻きして成る密巻部50と、コイル48と48との間に隙間を形成する状態で疎に巻いて成る疎巻部52とを有しており、その密巻部50を挿入前の配管20の先端面20A(図2参照)の側に、また疎巻部52を反対側に位置させる状態でOリング24-1,24-2の外周側に嵌装されている。
【0026】
このコイルばね46は、配管20の先端面20Aが斜めに切断されている場合において、配管20を挿入空間32に挿入して配管20を内筒部18に対し軸方向に外嵌状態に嵌め合わせる際、斜めの先端面20AにてOリング24-1,24-2がOリング溝22-1,22-2から浮き上がるのを防止するために設けられている。
詳しくは、配管20の挿入時に密巻部50にてOリング24-1,24-2を外側から被った状態として、Oリング24-1,24-2がOリング溝22-1,22-2から浮き上がり、はみ出すのを防止する。
【0027】
図1及び図2に示しているように、上記配管継手10における外筒部26、詳しくは内スリーブ30の内周面は、挿入空間32の図中右側の奥部の側が大径部54とされ、また図中左側の挿入側が小径部56とされていて、それらの間に段付部58が形成されている。
【0028】
他方、上記コイルばね46もまた図3に示しているように図中右部が大径部60、左部が小径部62とされている。
コイルばね46は、このように構成された結果、配管継手10に嵌装された状態で大径部60が内スリーブ30の段付部58に当ることによって、かかる配管継手10から脱落防止される。
【0029】
図1〜図3において、64はロックリング40に対するバックアップリングを兼ねたロック解除部で円筒形状をなしており、外筒部26、詳しくは外スリーブ28の内周面に沿って軸方向に進退可能に設けられている。
このロック解除部64は軸方向、詳しくは図中右方向の前進移動によってロックリング40の爪44を拡開させ、配管20の外面に対する爪44の食込みを解除する働きをなす。即ち配管20に対するロックリング40によるロックを解除する働きをなす。
このロック解除部64は、外スリーブ28の内周面に環状に形成されたストッパ部66によって軸方向に抜け防止されている。
【0030】
図1及び図2に示しているように、外筒部26詳しくは外スリーブ28の図中左側の軸端部には、ロック解除部64とは別体に構成された、全体としてリング状をなす解除操作部68が回転可能に保持されている。
この解除操作部68は図3,図4及び図7に示しているように小径部70と大径部72とを有しており、その小径部70が図2の環状をなす外スリーブ28のストッパ部66の内周面に回転可能に嵌合されている。
【0031】
一方、図7に示しているように大径部72の外周面には、径方向外方に突出する突出部74が周方向に180°隔たった2箇所に設けられている。
更にこの突出部74に続いて周方向に円弧状に延びるカム部(運動変換部)76が、同じく径方向外方に突出する形態で180°隔たった2箇所に設けられている。
これらカム部76の図4中上面は、回転方向(図中時計方向)に進むにつれて解除操作部68の軸端面との距離が大きくなるような傾斜面、即ち図4中回転方向に進むにつれて下方に移行する傾斜面から成るカム面78とされている。
尚突出部74には、解除操作部68の過度の回転操作を規制するための回転規制面80-1,80-2が形成されている。
【0032】
一方外筒部26の外スリーブ28には、図4,図5及び図8に示しているように軸端部に且つ周方向に180°隔たった2箇所に切欠部82が設けられており、この外スリーブ28に保持された上記リング状をなす解除操作部68の突出部74及びカム部76が、これら切欠部82内に位置させられている。
尚解除操作部68は、これら突出部74,カム部76を含む全体が外筒部26に対し径方向にもまた軸方向にも突出していない。
そのように解除操作部68の形状が定められている。
【0033】
この外筒部26の外スリーブ28の軸端部にはまた、切欠部82に続いて円弧状をなす溝84がその内周面に形成されており、上記解除操作部68のカム部76が、回転操作に伴って溝84内に係入可能とされている。
この溝84の図4中上面はカム面78への接触面86とされており、図6に示しているように解除操作部68の回転に伴って、カム面78のカム作用により解除操作部68が全体的に軸方向に、即ちロックリング40の側に押し込まれるようになっている。
その押込力はロック解除部64へと伝達されるが、この実施形態ではロック解除部64は解除操作部68の回転にも拘わらず回転運動せず、解除操作部68がロック解除部64に対し摺動運動しつつ単独で回転運動する。
【0034】
本実施形態の配管継手10においては、配管20を挿入空間32に挿入する際、ロックリング40の爪44が挿入方向に弾性変形しつつ拡開して配管20の挿入を許容する。
そして挿入状態において爪44が配管20の外面に食い込んで配管20を抜け止めする。
【0035】
一方接続状態にある配管20を配管継手10から抜き出す際には、リング状をなす解除操作部68を図5及び図10(B)中時計方向に回転操作する。
解除操作部68をこのように回転操作すると、図4に示す解除操作部68のカム部76が外スリーブ28の溝84内に深く入り込んで、図6に示すようにカム面78の作用で解除操作部68自体が図6中下方、即ち図10(I)(A)のロックリング40の側に押し込まれ、その押込力をロック解除部64に伝えてこれをともに軸方向に前進移動させる。
そして図10(II)に示しているようにロック解除部64の前進移動によってロックリング40の爪44を拡開させ、配管20の外面に対する爪44の食込みを解除する。即ちロックリング40による配管20のロックを解除する。
ここにおいて配管20に引抜力を加えることで、配管20を配管継手10から抜き出すことができる。
【0036】
本実施形態において、配管20を配管継手10から抜き出す際の解除操作部68の回転操作は、図9に示しているようにマイナスドライバ等の汎用工具を用いて行うことができる。
このとき、工具90を図9(B)に示しているように軸直角方向から外スリーブ28の切欠部82を通じて解除操作部68の突出部74に係合させ、解除操作部68を回転操作することができる。
【0037】
或いはまた、本実施形態では切欠部82が外スリーブ28の軸方向端面で開口する形状とされているため、即ち切欠部82が軸方向に開放形状とされているため、図9(A)に示しているように工具90をその切欠部82を通じて軸方向に挿入し、その先端部を解除操作部68の突出部74に係合させて解除操作部68を回転操作することができる。
尚このようにして回転操作した解除操作部68を逆方向に回転させて元の位置に戻すには、工具90の先端部を突出部74の回転規制面80-1又は80-2に係合させて、上記とは逆方向に回転操作力を加えれば良い。
この実施形態では回転規制面として80-1,80-2が設けてあるが、場合によって回転規制面80-1だけを設けておくことも可能である。
【0038】
以上のように本実施形態の配管継手10では、解除操作部68を回転操作することで、ロックリング40によるロックを解除するものであり、配管継手10の径方向外方に壁等の障害物がある場合にも支障なく解除操作部68を回転操作することができ、配管20の抜出作業を行うことができる。
【0039】
また本実施形態ではロック解除部64と解除操作部68とを別体として、解除操作部68をロック解除部64に対し回転方向に摺動可能に設けていることから、解除操作部68の回転運動にも拘わらずロックリング40の回転により爪44が配管20の外面を傷付けてしまうのを防止できる。
【0040】
また本実施形態では、解除操作部68を回転操作することでロックリング40によるロックを解除するものであることから、不意な外力により解除操作部68が誤って操作されてしまうといった恐れが少ないのに加えて、その解除操作部68を外筒部26に対して径方向及び軸方向に突出しない形状で設けてあることから、解除操作部68が不意な外力で回転操作されてしまって、意図せず配管20が配管継手10から抜けてしまうといったことを確実に防止することができる。
【0041】
またその解除操作部68には工具を係合させて操作力を加える部分としての突出部74が設けてあることから、より容易に工具を用いて解除操作部68を回転操作することができ、配管20の抜出作業をより楽に行うことができる。
【0042】
本実施形態の配管継手10では、解除操作部68を解除方向に回転操作した後において、場合により解除操作部68をその解除位置に保持することが可能であり、この場合解除操作部68に回転操作力を加え続けていなくても配管20を配管継手10から抜き出すことが可能となり、配管20の抜出しを両手を使って或いは解除操作部68を操作している手や工具90に邪魔されることなく、配管20を容易に抜き出すことができる。
【0043】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態では解除操作部の回転運動をロック解除部の軸方向の前進移動に変換する運動変換部として傾斜面から成るカム面78を設けており、この場合において外筒部26側にも対応する傾斜形状のカム面を設けておくことも可能であるし、更にはまた運動変換部をねじその他の機構によって運動変換を行うように構成することも可能であり、更に上記実施形態では工具係合用の部分として解除操作部68に突出部74を設けているが、これに代えて凹部を設けることも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態である配管継手を配管と接続状態で示す一部切欠断面図である。
【図2】同実施形態の配管継手を配管接続前の状態で示す一部切欠断面図である。
【図3】同実施形態の配管継手を分解して示す斜視図である。
【図4】同実施形態における解除操作部を外筒部から外した状態で示す斜視図である。
【図5】図4の解除操作部を外筒部に組んだ状態で示す斜視図である。
【図6】図4のカム部の作用説明図である。
【図7】解除操作部を単体で示す上面図及び側面図である。
【図8】外筒部の端部を示す上面図及び断面図である。
【図9】解除操作部を工具を用いて回転操作する説明図である。
【図10】同実施形態の図5,6とは別の作用説明図である。
【図11】従来の配管継手を示す図である。
【図12】本発明の先願に係る配管継手の一例を比較例として示す比較例図である。
【符号の説明】
【0045】
10 配管継手
20 配管
26 外筒部
32 挿入空間
40 ロックリング
44 爪
64 ロック解除部
68 解除操作部
74 突出部
76 カム部(運動変換部)
90 工具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内側に配管の挿入空間を形成する外筒部と、(b)該配管の挿入方向に向けて径方向内方に斜めに突出した爪を周方向に沿って複数有し、該挿入空間に挿入された該配管の外面に該爪を食い込ませて該配管を抜止状態にロックするロックリングと、(c)軸方向に進退可能に設けられ、前進移動により該ロックリングの爪を拡開させて該ロックリングによるロックを解除するロック解除部と、(d)ロック解除のための操作力を加える解除操作部と、を備えた配管継手において、
前記ロック解除部と前記解除操作部とを別体に構成するとともに、該解除操作部を前記外筒部の軸心周りに回転可能な回転操作部として且つ該ロック解除部に対して回転方向に摺動可能に該外筒部に設け、該解除操作部の回転運動を該ロック解除部の前記軸方向の前進移動に変換する運動変換部を設けたことを特徴とする配管継手。
【請求項2】
請求項1において、前記解除操作部は前記外筒部に対して径方向及び軸方向に突出しない形状で設けてあることを特徴とする配管継手。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記解除操作部には工具を係合させて操作力を加える部分としての突出部又は凹部が設けてあることを特徴とする配管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−16820(P2007−16820A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196552(P2005−196552)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】