説明

配管継手

【課題】
本発明は、タンク及びタンクに連通する管路の検査作業に係る装置の検査後の取り忘れを防止する。
【解決手段】
タンクに設けられる配管継手であって、タンクに接続される下側接続口と、略水平方向に伸びる横引き配管に接続される側方接続口と、内部を外部に開放する上側開口部と、下側接続口に連通する下側流路と側方接続口に連通する側方流路とを接続し流路方向を変える中継室と、上側接続口を閉塞する蓋部材と、下側流路を閉塞する栓部材と、気密が保持された状態で蓋部材を貫通し先端が栓部材と一体となった支柱と、で構成し、しかも、蓋部材と栓部材とを支柱を介して関連性をもたせて連結したことを特徴とする配管継手である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに設けられる配管継手に係り、特に地下タンクまたは地下配管の漏洩検査を実施する際において好適な配管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の燃料タンクにガソリン等の燃料を供給する給油所には、燃料を貯蔵するための地下タンクが地中に埋設されている。そして、地上に設置された計量機により燃料を吸い上げて燃料タンクに給油している。
【0003】
この種の地下タンクを有する給油所では、腐食等による地下タンクからの液漏れによって土壌が汚染されることを防止するため、地下タンク及び配管の漏洩検査を定期的に行っている。この漏洩検査を行うため、地下タンクと配管継手との間を閉塞する部材を取付けた後、配管継手のメンテナンス口を閉塞する部材を取付けていた。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2008−120414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された漏洩検査方法では、作業員は注油管、給油管、通気管のうち2箇所の管路を閉塞した状態で地下タンク内部の圧力を監視するため、漏洩検査前に2箇所の管路において配管内部と外部を閉塞部材によって閉塞し、且つ漏洩検査後には2箇所の管路における閉塞解除作業を行うため、それぞれの閉塞部材を取り去る必要があった。
【0006】
しかし、作業員が漏洩検査後、配管外部の閉塞部材のみを取り去り、配管内部の閉塞部材を取り忘れることにより、その後の給油作業に支障を来たすという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決した配管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、タンクに設けられる配管継手であって、タンクに接続される下側接続口と、略水平方向に伸びる横引き配管に接続される側方接続口と、内部を外部に開放する上側開口部と、下側接続口に連通する下側流路と側方接続口に連通する側方流路とを接続し流路方向を変える中継室と、上側接続口を閉塞する蓋部材と、下側流路を閉塞する栓部材と、気密が保持された状態で蓋部材を貫通し先端が栓部材と一体となった支柱と、で構成し、しかも、蓋部材と栓部材とを支柱を介して関連性をもたせて連結したことを特徴とする配管継手である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記栓部材と支柱を回動方向に関して一体動作可能に連結部材で連結し、しかも、径方向に関しては所定のすきまを介して連結したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、作業員は地下タンクや配管の漏洩検査後に、配管継手の中継室の上側に設けられた上側接続口を閉塞する蓋部材と下側流路を閉塞する栓部材を取り外す必要があるが、蓋部材と栓部材とが支柱を介して関連性をもちながら連結されているので、それぞれの閉塞部材を一緒に取り出せる。したがって、いずれかの閉塞部材が配管継手に装着された状態で取り忘れることを防止する。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、製品の製作上の誤差によって蓋部材の取付位置と栓部材の取付位置が径方向に関して所定量ずれたとしても、支柱と栓部材が径方向のすきまを介して連結部材により連結されているので、栓部材を下側流路の所定位置に取付ける際、栓部材の取り付け性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に関する地下タンク、配管継手及び配管取付構造の概要を示す断面図である。
【図2】配管継手の通常の使用状態を拡大して示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施例による配管継手の拡大縦断面図である。
【図4】本発明の第2実施例による支柱と栓部材の連結部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明による地下タンク、配管継手及び配管取付構造の概要を示す断面図である。図1に示すように、地下タンク漏洩検査装置10は、例えば、圧力監視ユニット11を用いて給油所に配置された地下タンク12に窒素ガスを供給して所定圧力に加圧した後、圧力変化の有無あるいは圧力変化率によって漏洩の有無を判定するように構成されている。本実施例の圧力監視ユニット11は、窒素ガス(図示せず)を生成するためのコンプレッサと、加圧した状態での圧力を検出する圧力センサと、圧力センサにより検出された圧力を記憶する記憶部と、圧力の変化率から漏洩の有無を判定する漏洩判定部(共に図示せず)とを有する。
【0015】
給油所の地上には、給油を行う計量機14、地下タンク12の上方に開口するマンホール(本実施例では、3箇所に配置)16、地下タンク12の注油口18、地下タンク12の上部空間に連通された通気管路26が設けられている。そして、給油所の地下に埋設された地下タンク12には、計量機14の給油系統に連通された給油管路22と、注油口18に連通された注油管路24とが挿入されている。また、通気口20に連通された通気管路26は、地下タンク12の上部に連通されている。尚、上記給油管路22、注油管路24、通気管路26の横方向に延在される横引部分は、管内の油液が地下タンク12に落下するように地下タンク12との接続部分が低くなるように水平よりも所定角度傾斜して設けられている。
【0016】
マンホール16は、上記給油管路22、注油管路24、通気管路26が地下タンク12の上部に接続される箇所に設けられており、マンホール16の内部空間には、配管継手45が収容されている。
【0017】
なお、配管漏洩検査を行う際、前述した圧力監視ユニット11にて生成された窒素ガスを地下タンク12に供給して圧力変化を監視するために、作業員は圧力監視ユニット11に連結された加圧ホース11aを配管継手45に接続することになる。
【0018】
図2は、配管継手45の通常の使用状態(以下、常態時と略称する)を拡大して示した縦断面図である。すなわち常態時には図2に示すように、メンテナンス口としての上部開口47を有した配管継手45は地下タンク12の上部に設けられた立ち上がり管43のフランジ51とボルト52、ナット53により締結されており、管路の横引部分のフランジ56とボルト58、ナット57により締結されている。
【0019】
上部開口47の内周には雌ねじ部48が形成されており、蓋部材79が螺入されることにより、上部開口47を閉塞する。また、蓋部材79は、上部開口47との間でシール部材79aを圧縮して上部開口47を密閉しており、配管継手45と蓋部材79との気密が保たれる。
【0020】
したがって、常態時には、配管継手45の上部開口47を蓋部材79によって閉塞することによって、配管内を気密状態に保つことができ、配管内を液体が流れる際に配管内から液体が漏れることを防止する。
【0021】
次に、配管及び地下タンクの漏洩検査を実施する際に使用する密封手段を組み込んだ本発明の配管継手について図3を用いて説明する。図3はマンホール16内において注油管路24と接続されている配管継手45の拡大縦断面図である。図3に示すように配管継手45は、地下タンク12の上部に設けられ、ボルト52とナット53によりフランジ51と締結している。なお、ここでは、注油管路24を例として挙げるが、給油管路22、通気管路26に連結される配管継手45にでも本発明が利用できることは言うまでも無い。
【0022】
配管継手45は、地下タンク12の上部に設けられた立ち上がり管43のフランジ51に連結される下部フランジ45a、内部に中継室46が形成される胴部45b、横引配管のフランジ56に接続される側方フランジ45c、胴部45bの上方に位置するメンテナンス口としての上部開口47、上部開口47を閉塞する蓋部材80、中継室46から地下タンク12へ連通する下側流路54、下側流路54を閉塞する栓部材90、蓋部材80を貫通し先端が栓部材90と一体となった支柱70、により大略構成される。
【0023】
そして、下側流路54の中継室46側の下部開口部49内周には下側流路54側に先細りとなったテーパー部50と、テーパー部50の上方に設けられた雌ねじ部55と、栓部材90が挿入される段部60とが形成されている。
【0024】
また、栓部材90のフランジ90a下面には環状のシール部材92が固着されており、下部開口部49の雌ねじ部55と栓部材90の雄ねじ部91が嵌められることによって、中継室46と下側流路54との気密がシール部材92により保たれる。
【0025】
上部開口47の上端内周には雌ねじ部48が設けられており、上端面には環状の溝部61が形成されている。そして、蓋部材80の下部外周には雄ねじ部81が形成されており、フランジ80a下面には環状のシール部材82が固着されている。よって、上部開口47の雌ねじ部48と蓋部材90の雄ねじ部81が嵌められると同時に溝部61にシール部材82が嵌められることによって中継室46と蓋部材80との気密が保たれる。
【0026】
蓋部材80の上端外周には雌ねじ部84が設けられており、シール部材111が内側に固着された環状のナット110が嵌められる。よって、ナット110を蓋部材80の雌ねじ部84に締め付けることで支柱70の位置と蓋部材80の位置が固定される。
【0027】
また、ナット110の内周側に固着されたシール部材111は、蓋部材80とナット110が螺合する際、支柱70に圧着されることにより蓋部材80と支柱70との間の気密が保たれる。ここで、シール部材111の先端は全体的に中継室46に近づくよう傾斜されているので、配管継手45内を加圧させた場合に蓋部材80と支柱70間において発生する圧力により蓋部材80と支柱70との気密性が向上される。
【0028】
支柱70が挿入される蓋部材80の上部開口47近傍には弾性を有するガイド部材83が設けられており、ガイド部材83の内面上を支柱70が当接しながら移動することができるので、支柱70が軸方向に摺動自在に移動することを可能とする。
【0029】
蓋部材80には、内外を連通する連通孔80cが設けられており、作業員が加圧検査を行う際に、例えば、図1に示した加圧ホース11aを連通孔80cの外部に取付けたプラグ80bに接続することにより、圧力監視ユニット11にて生成された窒素ガスを中継室46に供給し、管路内における圧力変化の有無を確認して漏洩検査を行うことができる。
【0030】
また、蓋部材80の上部に突出する支柱70の上端には貫通孔105が設けられており、棒状の操作部材100が挿入されている。この操作部材100を作業者が回動操作することにより、支柱70とともに支柱70の先端に位置している栓部材90も同様に回動させることができる
【0031】
次に作用及び効果について説明する。地下タンク及び配管の漏洩検査に伴い配管の管路の閉塞作業を行う為、作業者は、まず、図2における蓋部材79を取り去る。その後、配管継手45の蓋部材80の雄ねじ部81を上部開口47の上部に設けられた雌ねじ部48に嵌めこむ。次に、支柱70を上下方向に移動させることで、支柱70の先端に位置する栓部材90を下部開口49に当接させることができる。
【0032】
そして、作業者は操作部材100を回動操作することで支柱70と一体動作する栓部材90の雄ねじ部91を下部開口49の雌ねじ部55に嵌め込むことができる。また、シール部材92が栓部材90と下部開口49との間に設けられているので、下部開口49と中継室46との間において気密が保たれる。
【0033】
そして、蓋部材80の上部にシール部材111を有したナット110を嵌めこむことで、中継室46とマンホール16との気密がシール部材111を介して保たれ、配管の管路が密封状態となる。その後、作業員は例えば、加圧ホース11aをプラグ80bに接続して、圧力監視ユニット11にて生成された窒素ガス等の加圧ガスを中継室46へ送圧することで検査を行うことができる。
【0034】
検査終了後、作業員は、配管継手45から蓋部材80および栓部材90を取り外し、図2における蓋部材79を取り付ける必要がある。その手順としては、まず、ナット110を蓋部材80から取り外す、次に蓋部材80を上部開口47から取り外す、そして、最後に下部開口49から栓部材90を取り外すことになる。ここで、栓部材90と支柱70とは一体構造となっているので、蓋部材80を取り外し、栓部材90を装着した状態で蓋部材80を支柱70の軸方向の上方へ移動させると、栓部材90と下部開口49との連結により位置が固定された操作部材100によって、上方への移動は制限される。従って、蓋部材80のみを取り外すことが出来ない為、栓部材90を下部開口49から取り外し、蓋部材80と共に取出すことになる。
【0035】
仮に作業員が栓部材90を下部開口49から取り外し、栓部材90を取出すため、支柱70の軸方向の上方へ移動させた場合においても、上部開口47と連結された蓋部材80により、上方への移動が制限される。従って、栓部材90及び支柱70を取出すことが出来ない為、蓋部材80を上部開口47から取り外し、栓部材90と共に取出すことになる。
【0036】
つまり、作業員は、検査終了後、蓋部材80と栓部材90とが支柱70を介して関連性をもたせて連結しているので、蓋部材80と栓部材90の両方を一緒に取り出すことができる。その結果、蓋部材80と栓部材90のいずれかが配管継手45に装着された状態で取り忘れることを防止する。
【0037】
次に、本発明の第二実施例について図4に基づいて説明する。
【0038】
図4は支柱と栓部材の連結部を示す斜視図である。本発明の第二実施例は、第一実施例と略同様の構成を有しており、付加構成として図4に示すように、支柱70と栓部材90とが別体構造となっており、連結部材120によって連結されている。
【0039】
連結部材120は栓部材90の上部に設けられ径方向の側面に開口部125aを有した円筒部125と、先端付近に設けられた内外を貫通する連通孔71に挿入される連結棒72と、で構成されている。
【0040】
また、円筒部125の内径は支柱70の外径よりも大径となるよう設定しているため、円筒部125に支柱70が挿入されると支柱70の外面と円筒部125の内面との間で所定のすきまが与えられることになる。
【0041】
次に支柱70と円筒部125の取付け方を説明する。まず、支柱70の先端を円筒部125に挿入する。連通孔71が開口部125a内の高さに位置したときに連結棒72を連通孔71に挿入する。その結果、連通孔71から突出した連結棒72と開口部125aとが係わりながら動くこととなる。
【0042】
また、連結棒72は開口部125aと係わりながら動くので支柱70が回動作されると、栓部材90も同様に回動作する。なお、ここでは、連結棒72によって支柱70と円筒部125とを連結させたが、例えば、支柱70の外周および円筒部125の円周にスプラインを形成し、支柱70と円筒部125とを連結させても良い。
【0043】
次に第二実施例における作用及び効果について説明する。作業員は地下タンク及び配管の漏洩検査のため、配管継手45に栓部材90と蓋部材80を取付ける。栓部材90を下部開口49に取付ける際に、支柱70と栓部材90とがすきまを介して連結されているので、作業員は栓部材90の位置を細かく調整することができ、栓部材90が下部開口49に嵌め込まれるのに好適な位置に栓部材90を位置させることができる。
【0044】
また、栓部材90は支柱70とともに回動可能であるため、作業員は栓部材90を下部開口49に位置させた後、支柱70を回動作することによって、栓部材90を下部開口49に嵌めこむことができる。
【0045】
したがって、作業員は、地下タンク及び配管の漏洩検査のため、栓部材90を取付ける際、支柱70と栓部材90とがすきまを介して連結されているため、栓部材90の位置を細かく調整することをすることにより、栓部材90を取付ける際の作業効率を向上することができる。
【0046】
なお、本実施例では、円筒部125を栓部材90に設け、支柱70と連結させた場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、側面に開口を有し、栓部材90よりも大径なる円筒部を支柱70の先端側に設けて、上部側面に貫通孔を設けた栓部材とを連通棒により連結させた場合でも、本実施例と同様な作用、効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本実施例では、漏洩検査の対象として地下タンクと配管を例に挙げたが、これに限らずタンクの配管に継手が設けられた構造であれば良いので、例えば、地上設置型のタンク、あるいは屋内設置型のタンクにおける漏洩検査を行う場合にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 地下タンク漏洩検査装置
12 地下タンク
16 マンホール
24 注油管路
47 上部開口
49 下部開口
70 支柱
71 連通孔
72 連結棒
80 蓋部材
90 栓部材
100 操作部材
120 連結部材
125 円筒部
125a開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクに設けられる配管継手であって、タンクに接続される下側接続口と、略水平方向に伸びる横引き配管に接続される側方接続口と、内部を外部に開放する上側開口部と、下側接続口に連通する下側流路と側方接続口に連通する側方流路とを接続し流路方向を変える中継室と、上側接続口を閉塞する蓋部材と、下側流路を閉塞する栓部材と、気密が保持された状態で蓋部材を貫通し先端が栓部材と一体となった支柱と、で構成し、しかも、蓋部材と栓部材とを支柱を介して関連性をもたせて連結したことを特徴とする配管継手。
【請求項2】
前記栓部材と支柱を回動方向に関して一体動作可能に連結部材で連結し、しかも、径方向に関しては所定のすきまを介して連結したことを特徴とする請求項1記載の配管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−68374(P2011−68374A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219915(P2009−219915)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000110099)トキコテクノ株式会社 (264)
【Fターム(参考)】