配管表面多点温度センサ及び流量計測用管
【課題】配管の表面温度を温度センサで計測するにあたり、センサの取り付け時の手間や取り付けの個人差を解消し、計測箇所の配線を簡素化する。
【解決手段】熱電対素子において+脚となる性質を有する薄板状の陽極部Pと、−脚となる性質を有する薄板状の陰極部Nとが交互に直列接合され、一端が陽極部P、他端が陰極部Nとなるように、全体として偶数の極部が直列接合されている。これら直列接合された極部は、感熱集合帯13を構成する。両端に位置する陽極部P1と陰極部Nnには、計測機器に接続される配線接続端子16、18と接続される素線14、17が、各々接続されている。感熱集合帯13を配管の表面に少なくとも1周させて、配管の表面に取り付ける。
【解決手段】熱電対素子において+脚となる性質を有する薄板状の陽極部Pと、−脚となる性質を有する薄板状の陰極部Nとが交互に直列接合され、一端が陽極部P、他端が陰極部Nとなるように、全体として偶数の極部が直列接合されている。これら直列接合された極部は、感熱集合帯13を構成する。両端に位置する陽極部P1と陰極部Nnには、計測機器に接続される配線接続端子16、18と接続される素線14、17が、各々接続されている。感熱集合帯13を配管の表面に少なくとも1周させて、配管の表面に取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管断面方向の表面温度計測において、取り付けが容易で、かつ、各種口径に対応できる配管表面多点温度センサ、及び当該配管表面多点温度センサを表面に取り付けた流量計測用管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配管内を流れる流体の流量を簡易、かつ安価に計測する手法として、出願人が先に提案した「流量計測方法」がある(特許文献1)。この計測方法は、配管表面に一定の距離を取って2つの温度センサを設置し、各々の温度センサによって得られる温度波形の時間差から配管内の流量を算出するものである。この計測手法で用いられる温度センサには配管表面温度センサが用いられ、以下に示す条件を満たす必要がある。
・時定数が小さく、温度変化に対する応答性が優れている(微少な温度変化でも捕えられる)。
・周囲温度の影響を受けにくい。
・計測条件(配管材質、配管口径など)にかかわらず着脱が容易である。
・検出感度にバラツキが少ない。
【0003】
以上の条件を満たす表面温度センサとして、いわゆるフィルム型温度センサがある。この温度センサは、センサ素子が薄板状であるため熱容量が非常に小さく、また、ある程度の柔軟性も持っている。そのため、温度変化に対する応答性が非常に優れ、かつ表面が曲面状である配管にも確実に密着させることが可能になっている。これにより、配管表面に取り付けた際の各温度センサの温度変化に対する検出感度のバラツキを抑えられ、2つの温度センサの応答速度をほぼ同一にできる。さらに、センサ部周囲に保温を施すことが容易で、保温を施すことで周囲温度の影響を軽減でき、精度の高い計測が可能である。
【0004】
ところで、配管内を流れる流体には「偏流」や「旋回流」などが生じる。これは、エルボ、バルブといった配管継手やポンプなどの機器によって流体が乱され発生する現象である。この現象が発生すると、例えばエルボから同じ距離だけ離れた位置に温度センサを取り付けたとしても、配管断面に対して計測方向(上下左右)が異なることにより、温度変化の生じるタイミングにズレが発生する。
【0005】
発明者らが、実際に口径100Aの冷却水配管(配管材質は白ガス管)に対して、エルボから同一距離の地点にて、配管の上方向と下方向で各々配管表面温度の計測したところ、図10に示した結果が得られた。これらの温度波形によれば、配管の上方向に設置した温度センサの方が、下方向に設置した温度センサよりも、早く反応していることが確認できる。これは配管表面温度の計測は、配管内の流体から配管に熱が伝わり、配管から温度センサに熱が伝わる関係上、配管内の流体から配管に熱が伝わる際、配管内の流体の流れの状況が影響しているものと考えられる。すなわち、たとえばある部位では流れの主流が上下や左右に蛇行している一方で、それ以外の部位では流れの副流が渦を形成しているときなどに、その影響によって、配管の上下や左右方向で反応時間に差が生ずるものである。
【0006】
このように、配管断面に対して計測方向が異なることで温度変化の生じるタイミングにズレが発生すると、配管表面から2点間の温度変化の時間差を計測し流量を算出する既述の「流量計測方法」において最も重要となる、2点間の温度変化の時間差が正確に計測できないことになる。
【0007】
このような問題に対し、配管上に設置される2点の温度センサ間の距離を長く取ることで、計測方向によって生じる温度変化(温度波形)の時間的なズレの影響を少なくする方法が考えられる。これは、2点の温度センサ間の距離を長く取ると、その距離に比例して得られる時間差も長くなることを利用した方法であり、以下にその内容について記載する。
【0008】
たとえば配管内流速1m/s、センサ間距離10mの計測条件であった場合、2点の温度センサ間に発生する理論時間差は10秒となる。ここで、上流側に設置される温度センサと下流側に設置される温度センサとでは、配管断面方向に対する設置方向により時間的なズレが生じる。このズレは、図10に示したズレが最大であると仮定した場合、同図から読み取ると4秒(±2秒)になり、上流側に設置される温度センサと下流側に設置される温度センサの両方に等しく発生する。
【0009】
したがって、2点間に発生する可能性のある時間差のズレは、倍の8秒(±4秒)となる。その結果、上記の条件で計測される可能性のある時間差は6秒〜14秒となり、このときの計測精度は60%〜140%となる。それに対し、配管内流速1m/sで、センサ間距離を20mとしたときの理論時間差は20秒となる。ここで、2点間に発生する可能性のある時間差のズレは8秒(±4秒)であるため、計測される可能性のある時間差は16秒〜24秒となり、計測精度は80%〜120%となる。以上より、センサ間の設置距離を長くとることで、温度センサを設置する方向により発生する時間的なズレの影響を少なくできる。
【0010】
ここで、上記の例は配管内流速を1m/sで固定した条件で試算した結果であるが、実際の計測では当然のことながら配管内の流速(流量)も変化する。この時間差と流速の関係は反比例となり、流速が速いほど時間的なズレの影響が大きく、流速が遅いほど時間的なズレの影響が小さくなる。以上のことから、単純に2点の温度センサ間の距離を長くとるだけでは、流速の影響により、安定した精度での計測ができないことになる。
【0011】
また、配管断面方向に対し温度センサの設置方向を統一して対応する方法も考えられる(例えば上流側に設置した温度センサを配管上方向に取り付けた場合、下流側に設置する温度センサも配管上方向に取り付けるなど)。しかしながら、図10に示した変化の具合(変化する順序、時間など)は、配管内を流れる流体の流れの状況、つまりは温度センサを設置した箇所の上流側の配管の組み方や配管内面の状況(サビ瘤等)などにより変化する。したがって、計測場所を移動させるなど、計測条件が変わるたびに得られる結果も変化し、必ずしも上流側に設置する温度センサと下流側に設置する温度センサとで同様に反応するとは限らない。従って、温度センサの設置方向を統一しても安定した精度での計測にはつながらない。
【0012】
以上述べたことから、先に提案されている「流量計測方法」の温度計測に、フィルム型温度センサを用いると、フィルム型温度センサは配管断面に対して「点」計測となるため、計測条件や温度センサの取り付け箇所ごとに異なる結果(波形)となり、信頼性の高い計測ができない。
【0013】
そこで上記の問題を解決し、計測条件の変化に関わらず安定した精度で計測を行う手法として、配管断面方向の平均温度、すなわち、ある地点における配管断面方向の温度を連続的に、周面に沿って一周計測した際の、平均温度を計測する方法が考えられる。
【0014】
またその他、そのように配管断面方向の平均温度を厳密に計測するためには、例えばサーモカメラ等を用いて配管断面に対する全周方向の計測(撮影)を行い、その計測データを処理することで、配管断面方向の平均温度を特定する方法も考えられるが、この方法では計測器が高価となる上、計測後の後処理に時間がかかり現実的ではない。
【0015】
そのため、配管断面方向の平均温度に近い温度を計測する手法として、配管断面、すなわち配管の軸方向と直角に配管の周面に沿って複数の温度センサを設置し、それぞれの温度センサによって得られた温度データを平均化処理し、その複数の温度センサの平均温度をその地点における配管断面方向の平均温度とする方法が考えられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−291766号公報
【特許文献2】特開平7−306097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら前記した従来の方法では、配管表面に対して温度センサを複数設置する必要があり、温度センサの取り付けに手間と時間が掛かる。また、各温度センサから記録計にそれぞれ配線を行う必要があり、特に計測箇所や記録計廻りにおける配線が煩雑になる。さらに、配管断面方向の実際の平均温度になるべく近い温度計測を実施しようとすると、配管断面方向の等分数を多くすることで対応することになるが、それにより、その数に見合った分の温度センサと、設置した数の温度センサを記録できるだけの記録計が必要となる。また、それぞれの温度センサを配管断面に対し設置する際、配置の均等性などに個人差が生じてしまう。こうなると、既述の「流量計測方法」の大きな特徴である配管表面から簡易、安価に流量計測ができる利点が失われることになる。
【0018】
これに対し、複数の計測点の平均温度を測定する手法として図11に示すような計測手法がある。この計測手法は、図11に示したように、各熱電対101、102、103の「+脚」の素線101a、102a、103aを、記録計104の「+」端子から取り出した「+脚」素線105に接続し、各熱電対101、102、103の「−脚」の素線101b、102b、103bを、記録計104の「−」端子から取り出した「−脚」素線106に接続する方法である。このように接続することで、各熱電対101、102、103は記録計104に対して並列に配置されることになり、記録計104の端子間には各感熱部(図11中の黒丸部)の起電力(E1、E2、E3)の平均値(Eave)が発生する(図12の等価回路参照)。その結果、記録計104は、これら感熱部の平均温度を計測することになる。
【0019】
前記した図11、図12の計測手法を用いれば、記録計104廻りの配線は簡素化される。また、記録計104には、感熱部の平均温度が記録されるため、計測後の後処理が不要となる。さらに、記録計104から取り出される素線105、106と、各熱電対101、102、103の素線101a、102a、103a、及び素線101b、102b、103bとの接続点(図中の白丸部)に、配線接続用の端子などを用いることで、計測点数に合わせて熱電対の個数を増減させることも可能となる。
【0020】
ここで図11の熱電対101、102、103の感熱部(同図中の黒丸部分)は、+脚の素線101a、102a、103a、及び−脚の素線101b、102b、103bが接合されている「点」である。よって、図11の熱電対101、102、103を使用して計測を行う場合、各感熱部を配管表面に確実に密着させることはもちろん、配線からの熱伝導による周囲温度の影響を避けるため、感熱部に至る配線もある程度の長さ、配管表面に密着させる必要がある。配線からの熱伝導による周囲温度の影響は、熱が配線(金属の熱電対線)を伝わって起きる現象のため、感熱部廻りに保温を行っても解消できず、一定長さ以上配管表面に接触させることが重要となる。
【0021】
そうなると、計測環境に合わせた厳密な仕様が必要となり、取付け時にも個人差が生まれる原因となる。また、計測される感熱部の平均温度を配管断面方向の平均温度に近づけるためには、各感熱部は配管長手方向においてできる限り同一距離に、かつ、配管断面方向(配管の周面方向)に均等に配置することが必要である。しかしながらそうなると、最低でも配管断面の全周方向に手や頭が入り作業できることが前提となり、配管同士が密着している場合には、取付け作業が困難となる。以上のことから、結果として、図11に示す熱電対101、102、103では、取り付け時の手間や取り付けの個人差の解消、計測箇所の配線の簡素化までには至らない。
【0022】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、配管の表面温度を温度センサで計測するにあたり、センサの取り付け時の手間や取り付けの個人差を解消し、また計測箇所廻りの配線を簡素化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記目的を達成するため、本発明は、配管表面に取り付けて、配管表面の温度を計測する温度センサであって、熱電対素子において+脚となる性質を有する導電材料からなり一定長を有する陽極部と、−脚となる性質を有する導電材料からなり一定長を有する陰極部とが交互に接合されて、一端が陽極部、他端が陰極部となるように、全体として偶数の極部が直列接合され、両端に位置する陽極部と陰極部には、計測機器に接続される配線接続端子と接続される素線が、各々接続されたことを特徴としている。
【0024】
本発明の基本構成を模式的に示せば、図1に示したとおりである。すなわち、これは、同図に示した複数の熱電対、例えば熱電対1a〜1eを用意して、各熱電対1a〜1eの素線の+脚2と−脚3とを交互に、つまり、例えば1つの熱電対1bの+脚2と隣り合う他の熱電対1cの+脚2とを、1つの熱電対1aの−脚3と隣り合う他の熱電対1bの−脚3とを接合したものである。これを模式的に示すと、図2のようになる。
【0025】
+脚2と−脚3を前記したように交互に接合した場合、図1おいて左側に+脚2、右側に−脚3が配置されることになる、熱電対1a、1c、1eの各感熱部4(黒丸部)には、各々「正」の起電力(E1、E3、E5)が発生する。逆に、左側に−脚3、右側に+脚2が配置される熱電対1b、1dの各感熱部4には「負」の起電力(−E2、−E4)が発生する。
【0026】
図3に、図1、図2に示した、「直列熱電対」の等価回路を示す。図3から分かるように、配線の両端に発生する起電力Eは「正の起電力の合計値」と「負の起電力の合計値」の差である。この起電力Eは、各感熱部4の温度がほぼ同じ温度である場合、感熱部の平均温度に近い温度を得ることができる。
【0027】
本発明は、このような原理に基づいており、図1に即して説明すれば、熱電対素子を構成した場合に+脚となる性質を有する導電材料の陽極部は、隣り合う+脚2、+脚2を合わせたものに相当し、−脚となる性質を有する導電材料からなる陰極部は、隣り合う−脚3、−脚3を合わせたものに相当し、そして陽極部と陰極部の接合部が、感熱部4に相当する。したがって、本発明の温度センサを、計測対象となる管の周面表面に取り付けることで、感熱部が等間隔で環状に管の周面表面に配置され、等間隔の各地点での温度を計測することができる。そして両端に位置する陽極部と陰極部に接続された素線を、計測機器に接続される配線接続端子と接続することで、ほぼ平均温度を計測することが可能である。
【0028】
詳細については後述するが、陽極部、陰極部の長さは、20mmであることが好ましい。
【0029】
また陽極部および陰極部は、薄板状であることが好ましい。
【0030】
また管の外周の長さ(すなわち、管の口径)は様々であることに鑑み、必要に応じ、延長ユニットを備え、この延長ユニットは、前記陽極部と陰極部とが交互に接合された、全体として奇数の極部が直列接続され、前記延長ユニットの一端に位置する極部には、前記素線と接続される接続素線が設けられ、前記延長ユニットの他端に位置する極部には、前記配線接続端子と接続される素線が設けられたことが提案できる。
【0031】
また上記したような配管表面多点温度センサを、予め管の周面表面に、管の軸と直角方向に環状に取り付け、これを流量計測用管として具体化することも可能である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、取り付け時の手間や取り付けの個人差を抑え、しかも計測箇所の配線を簡素化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の原理を示すための説明図である。
【図2】本発明の原理を示すための説明図である。
【図3】図1、図2に示した温度センサの等価回路を示す説明図である。
【図4】実施の形態にかかる配管表面多点温度センサの構成を模式的に示した説明図である。
【図5】図4の配管表面多点温度センサを計測対象である配管に取り付けた様子を示す斜視図である。
【図6】配管断面方向に対して8方向に表面温度センサを設置し、配管表面温度を計測した結果を示すグラフである。
【図7】配管外周の10点で20℃から20.2℃まで均等な温度分布を有する配管断面の状況を示す説明図である。
【図8】延長ユニットの構成を模式的に示した説明図である。
【図9】図4の配管表面多点温度センサと図8の延長ユニットとを組み合わせて使用する場合の説明図である。
【図10】エルボから同一距離の地点にて、配管の上方向と下方向で各々配管表面温度の計測した際に、配管断面方向に対して発生する時間のズレの状況を示すグラフである。
【図11】熱電対の+脚の素線を、記録計の+端子から取り出した+脚素線に接続し、−脚の素線を−端子から取り出した−脚素線に接続する手法を模式的に示した説明図である。
【図12】図11の等価回路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態にかかる配管表面多点温度センサを図に基づいて説明すると、図4は実施の形態にかかる配管表面多点温度センサ11の構成を模式的に示しており、本実施の形態においては、複数の陽極部P1〜Pn、複数の陰極部N1〜Nnとも、各々薄板状であり、各陽極部P、陰極部Nを同数、交互に接合し、配管表面多点温度センサ11全体で、偶数の極部を有している。
【0035】
陽極部P1〜Pn、陰極部N1〜Nnとも熱電能が異なった導電材料で構成されている。すなわち、陽極部P1〜Pnは、熱電対素子において+脚となる性質を有する導電材料から構成され、本実施の形態では、例えば銅からなっている。陰極部N1〜Nnは、熱電対素子において−脚となる性質を有する導電材料から構成され、本実施の形態では、例えばコンスタンタンからなっている。また本実施の形態では、陽極部Pと陰極部Nの長さ(図中の左右方向)は、全て同一であり、各々20mmに設定されている。
【0036】
陽極部Pと陰極部Nとの接合部は、直線状の感熱部12を構成している。そしてこれら感熱部12を複数有する陽極部P1〜Pnと陰極部N1〜Nnの連結体は、帯状の感熱集合帯13を形成している。感熱集合帯13の一端には、陽極部P1が位置し、当該陽極部P1の端部には素線14が接続されている。素線14には、図5に示した計測機器15に接続される配線接続端子16が接続されている。感熱集合帯13の他端には、陰極部Nnが位置し、当該陰極部Nnの端部には素線17が接続されている。素線17には、計測機器15に接続される配線接続端子18が接続されている。これら各素線14、17は、各々対応する陽極部Pと陰極部Nと同一の熱電能を有する導電材料からなっている。
【0037】
実施の形態にかかる配管表面多点温度センサ11は、以上の構成を有しており、図5に示したように、配管20の所望の位置における配管表面温度を測定する場合には、同図に示したように、配管20における当該位置の周面に沿って環状に巻き付ける。このとき厳密にいえば、同図に示したように、配管20を一周する間に各陽極部P(または陰極部N)の幅の分だけずれて、らせん状に全周を包囲することになる。後は通常のこの種の温度センサと同様に、配線接続端子16、18を計測機器15に接続して、通常の計測を実施すればよい。
【0038】
この場合、最も端部となる感熱部12は、感熱集合帯13の末端より極部(陽極部P、陰極部を問わない概念)一つ当たりの長さ分だけ内側の接合部であるため、素線14、17側からの周囲温度の影響は、配管20と接している末端の陽極部P、陰極部Nによりキャンセルされ、計測値に与える影響を抑えることができる。また、感熱集合帯13を末端まで配管20に密着させることで、周囲温度の影響を抑えられるので、センサ取り付け時の標準化も可能となる。すなわち、配線を何センチ以上配管に密着させなければならない、などに気を使う必要がない。また図5に示したように、センサ廻りの配線も極めて簡素である。
【0039】
感熱集合帯13を構成する薄板状の各極部1枚当たりの長さは、長ければ長いほど陽極部P、陰極部Nを接続させる手間が省け、感熱集合帯13の製作が容易になるが、その反面、感熱部12の数が減少するため温度計測が粗くなり、配管断面方向の平均温度と、計測される温度に差異が生じ易くなる。逆に1枚当たりの長さを短くすると、感熱部12の数が多くなるため温度計測が細かくなり、配管断面方向の平均温度と、計測される温度に差異は生じにくくなる。ただしその分、感熱集合帯13の製作に時間とコストがかかる。
【0040】
さらに配管断面方向の平均温度になるべく近い温度を計測するためには、感熱部12を配管断面に対して均等に配置することが望ましいが、実施の形態では、感熱集合帯13を形成している陽極部P、陰極部Nの長さが同一であるので、この点では、配管断面方向の平均温度に極めて近い温度を測定することが可能になっている。
【0041】
また配管20表面への取り付けにあたっては、感熱集合帯13は、細長い薄板帯状となっているから、取り付け箇所に感熱集合帯13の一端をテープ等で固定し、感熱集合帯13に沿って配管20の表面を指でなぞるようにすれば取り付けは完了する。したがって、極めて簡単であり、かつ作業者の技量によって取り付け具合の差に起因した計測結果の差異が出にくい。そしてこのようにして取り付けることにより、各感熱部12と共に、感熱集合帯13を構成している各極部、すなわち陽極部P、陰極部Nも配管20に密着し、熱伝導による周囲温度の影響を抑えられる。また、各極部の長さは一定の長さに定めているため、感熱部の配管断面方向の均等配置に関しては取り付け時に特に考慮する必要はなく、この点でも、取り付け時の個人差をなくすことができる。さらに、前記のようにして取り付けた感熱集合帯13を、さらにテープ等で全周にわたって固定すれば、より確実に、長期にわたって密着させることが可能である。また、必要に応じて行われるセンサ取り付け後の保温作業時にセンサを断線するリスクも減らすことができ、しかも各極部は薄板状のため、保温作業の障害にもなりにくい。
【0042】
なお図5に示したように、予め配管表面多点温度センサ11を環状に取り付けた配管20を用意しておけば、流量計測用管として配管施工の際に、これを途中で介在させて施工することで、施工完了後に配管表面多点温度センサ11を後から取り付けるのが困難な、配管が輻輳した部位となる箇所であっても、容易に配管表面の温度を測定することが可能である。
【0043】
そして本実施の形態では、陽極部P、陰極部Nとも、各々20mmの長さに設定しているので、以下に説明するように、極めて汎用性のある温度センサとなっている。
【0044】
すなわち、一般的に使用されている空調用配管(白ガス管)の配管口径と外周長の関係は、表1に示したようになっている。
【0045】
【表1】
【0046】
表1より、各配管口径の外周長は多少のバラツキはあるものの、ほぼ40mmの倍数になっている。つまり、各配管口径の外周長は、40mmでほぼ等分割できることになる。ここで、各極部一つ当たりの長さを仮に40mmと設定すると、分割数が奇数となる口径と偶数となる口径が出てくる。例えば100Aの場合、外周長が358.9mm≒360mmとして計算すると、360mmを40mmで除すると分割数は9になる。ここで、分割数が奇数となると、感熱集合帯13の両端が同一極の極部となる。例えば分割数が5である場合、極部の並びは+−+−+で、両端が+脚の熱電対素子になり、温度センサとしての役目を果たさなくなってしまう。
【0047】
この点、本実施の形態では、極部1つ当たりの長さが20mmに設定されている陽極部P、陰極部Nを用いているので、表1に示したどのような配管口径の外周長であっても、分割数はいずれも偶数となり、適用可能である。
【0048】
なお厳密にいえば、表1に掲げた各配管口径の外周長は、20mmの倍数ではない。従って、極部1つ当たりの長さを20mmで統一すると、余りの部分が発生する。また実施の形態にかかる温度センサの感熱集合帯13の両端には、感熱集合帯13端部の極部と同一の素線が接続されているため、図5の楕円で囲った部分は感熱部として働かなくなり、感熱部の1点が抜け落ちる形となる。
【0049】
しかしながら発明者らが検証したところ、感熱部の1点が抜け落ちても、実際の測定結果には、殆ど影響がないことが判った。以下、検証結果について説明する。
【0050】
図6は、配管断面方向に対して8方向に表面温度センサを設置し、配管表面温度を計測した結果である。計測を行った配管は冷却水配管で、口径は150Aである。なお計測方向は、図の手前から奥側に水が流れる方向でみた時の断面方向である。
【0051】
たとえば、先に出願人が提案した特開2005−291766号を用いて流量計測を行う場合、上流側と下流側に設置した温度センサが捕らえる温度変化の時間差から流量を算出することになるが、かかる場合、特に温度変化が発生した瞬間の配管断面方向の平均温度に近い温度を計測できることが、この種の温度センサに求められる条件となる。なおここでいう温度変化とは、ある一定温度から温度が上昇(低下)すること、または、上昇(低下)している温度が低下(上昇)に転じることをいい、温度が上昇し続ける、または低下し続けている状態では、器差等の影響を受けるため時間差の特定には不適当である。
【0052】
そして図6のデータをもとに、温度変化がいずれかの計測方向で発生したと思われる時間(12秒〜18秒)のうち、「12秒」、「15秒」、「18秒」の断面方向別の計測値とその平均値を、表2に示した。
【0053】
【表2】
【0054】
実施の形態にかかる配管表面多点温度センサ11を用いて配管外周の多点温度を計測する場合、既述したように、ある計測方向1点分が抜け落ちる形となるが、この抜け落ちる方向は、配管表面多点温度センサ11を取り付ける姿勢によって変化する。すなわち配管表面多点温度センサ11の配管20への巻き始め、巻き終わりの位置によって変わる。したがって抜け落ちる方向がどの方向であっても、表2に示した8点の平均温度と比較してほとんど変わりない値であることが重要となる。
【0055】
一方、表3には、仮に実施の形態にかかる配管表面多点温度センサ11を用いた場合、温度データが抜け落ちた方向ごとに指示されると思われる値を示す。なお算出方法は以下の通りである。すなわち、たとえば12秒の時に、上方向が抜け落ちた場合には、次のようになる。
31.54+(−31.53)+31.55+(−31.54)+31.52+(−31.53)+31.52=31.53(℃)
【0056】
【表3】
【0057】
次に、表3に示された(算出された)値と、表2に示された測定結果との差異を表4に示した。
【0058】
【表4】
【0059】
これによれば、実際に計測した8点の平均温度との最大の差異は0.02℃である。ここで、表4の結果は、150Aの配管断面8方向に対して1点抜け落ちた7点で計測を行ったと仮定した場合である。それに対し、各極部1つ当たりの長さを20mmに設定した配管表面多点温度センサ11を用いた場合、150Aの配管仕様では、計測点数は25点(表5参照)となる。従って、上記の差異はさらに小さくなると思われる。なお表5は、各極部1つ当たりの長さを20mmに設定したときの感熱集合帯の長さと、感熱部の数を口径の異なる配管ごとに示したものである。
【0060】
【表5】
【0061】
現在、市販されている熱電対を利用した温度記録計の分解能は、一般的に1/10℃、最高で1/100℃であり、それと比較しても前記した差異は、無視しても実用上問題がないものである。
【0062】
また別な観点から考察すれば、配管断面方向に対して発生する最大の温度差は、例えば図10に示した測定結果に基づくと、0.2℃前後となる。ここで、前出表5に記載されている配管口径のうち、最も感熱部の数が少ない50Aを例にとって説明すると、たとえば図7に示したように、20℃から20.2℃まで均等な温度分布を有する配管断面が存在したと仮定すれば、このときの平均温度は20.1℃となる。この場合、実施の形態にかかる配管表面多点温度センサ11によれば、配管口径50Aの場合には、1点分が欠落した状態であるから、感熱部2の数は9ヶ所となる(表5参照)。
【0063】
このとき仮に最も温度の高い20.2℃(図では下方向の測定点)が欠落したと考えると、この場合の平均をとったときの温度は20.089℃となり、前記平均温度の20.1℃とは、0.011℃の誤差が発生する。しかしながら前記したように、この種の熱電対を利用した温度記録計の最大の分解能は1/100℃が一般的であるから、それと比較すると、この誤差は無視できる程度である。そして配管口径が50Aより大きい場合には、さらに計測点数が増えるため(表5参照)、1点当たりの「重み」が少なくなり、影響はさらに小さくなって、誤差は少なくなる。したがってかかる点からしても、感熱部が1点欠落していても、実用上は全く問題がない。
【0064】
なお、上記以上の精度を得たい場合は、計測対象の配管外周長さの2倍の長さの感熱集合帯を有する配管表面多点温度センサを用いて、計測対象の配管に2周巻き付けたり、あるいは、2本の配管表面多点温度センサを、例えば配管の軸方向に沿って、例えば10mmずつずらして当該配管に巻くことで、計測点数を増やすことができ、より高精度な計測が可能となる。
【0065】
次に、特開2005−291766(特許文献1)において、測定の差異の重要な時間差に影響を与える要因である配管内の流速の影響についても発明者らは検証したところ、流速が変化しても温度変化が発生する方向の順番は変わらないことが分かった。すなわち、流速と計測方向により発生する温度変化のズレには、多少の関係性は見られるものの、流速が変化することによりそのズレが大幅に伸びたり、または短縮されることはないことが判明した。一般的な空調用の配管内の流速は1.5m/s〜2.5m/s、最大でも3.5m/sであることを合わせて考えると、流速が計測方向により発生する温度変化のズレに与える影響は小さいと考えることができる。したがって、配管内流速の変化に対しても、本発明はその影響を殆ど受けずに、好適な配管表面温度の計測を行なうことができるものである。
【0066】
ところで、当然のことであるが配管口径が変われば配管外周長も変化する。この配管外周長の変化に対応するため、各配管外周長に対応する長さを有する感熱集合帯13を持った配管表面多点温度センサ11を、口径が異なった配管ごとに用意するのは、経済上改善の余地がある。さらに、計測したい配管口径を事前調査し、必要な長さを有する感熱集合帯13を有する配管表面多点温度センサを用意するのでは、前準備に時間がかかりすぎ、即応性にも欠ける。
【0067】
このような問題に対処するため、例えば、図8に示した延長ユニット21を使用し、前記した基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11と組み合わせることで容易に対応しうるものである。
【0068】
この延長ユニット21は、配管表面多点温度センサ11で用いた陽極部Pと同一の大きさ、材料からなる陽極部pと、陰極部Nと同一の大きさ、材料からなる陰極部nを交互に接合した構成を有し、全体として奇数の極部が直列接続されている。図8の例では、2つの陰極部n1、n2と、1つの陽極部p1が接合され、両端には、陰極部n1、n2が位置している。
【0069】
そして両端の陰極部n1、n2には、基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11の素線7と同一材料からなる素線22、23が接続され、素線22の端部には、配管表面多点温度センサ11の配線接続端子8と適合する配線接続端子24が接続され、素線23の端部には、配管表面多点温度センサ11における配線接続端子8と同形同大の配線接続端子、すなわち計測機器5に接続される配線接続端子25が接続されている。かかる延長ユニット21においては、2つの陰極部n1、n2と、1つの陽極部p1との2ヶ所接合部が、各々感熱部26、27を構成する。
【0070】
図8の延長ユニット21は、以上の構成を有しており、基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11とは、図9に示したようにして組み合わせて使用する。すなわち、配管表面多点温度センサ11の端部の素線17の配線接続端子18に、延長ユニット21の端部の素線22の配線接続端子24を接続し、延長ユニット21を配管表面多点温度センサ11と平行にして、延長ユニット21の一端部の陰極部n1と配管表面多点温度センサ11の端部の陰極部Nnとを、各極部が周面方向では同一位置となるように配管表面に沿わしめて配管に取り付ける。
【0071】
これによって、全体としてあたかも感熱集合帯が、感熱部26、27の分延長されたものとなる。したがって、配管表面多点温度センサ11だけでは配管の全周をカバーしきれない場合に、延長ユニット21を適宜併用することで、当該配管の表面温度を計測することが可能になる。この場合、基本形となる延長ユニット21を複数用意しておくことで、様々な口径の配管に適用することができ、また基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11を、ある程度配管の口径に合わせて、複数種用意することで、全体として最小限のユニットで、市販の配管全てに対応することができる。すなわち市販の配管全てに専用の配管表面多点温度センサ11を用意する必要がなくなる。
【0072】
これを具体的に説明すると、まず前出表5の各配管口径に対応する感熱集合帯13の長さに注目すれば、50Aから100Aまでは、配管口径のサイズが1つ大きくなるごとに40mmずつ長くなる。同様に、100Aから250Aまでは80mmずつ、250Aから300Aまでは160mmずつ長くなっている(但し300A〜350A間を除く)。
【0073】
この関係をもとに、例えば仮に基準口径を50A、100A、250Aと設定し、それぞれの配管口径に対応した感熱集合帯の長さを有する配管表面多点温度センサ11を基本ユニットとして用意しておく。そしてこれら基本ユニットとなる3種類の配管表面多点温度センサ11に対して、感熱集合帯を「40mm」、「80mm」、「160mm」延長するために使用する延長ユニット21を各々必要最小限数用意すれば、表5に掲げた全ての配管に適用できる。因みに図8に示した延長ユニット21は、感熱集合帯を40mm延長するタイプ(感熱部を2つ増加させるタイプ:極部数が3)タイプであり、80mm延長タイプは、感熱部を4つ増加させるタイプ(極部数が5)、160mmmm延長タイプは、感熱部を8つ増加させるタイプ(極部数が9)となる。表6にその組み合わせ一覧を示す。
【0074】
【表6】
【0075】
これによれば、40mm延長するタイプを3本、80mm延長するタイプを5本、160mm延長するタイプを4本用意すれば、50A〜500Aまでの配管口径を有する全ての管に対応できることがわかる。
【0076】
前記のようにして延長ユニット21を併用して計測を行う場合は、例えば極部の長さ(20mm)ごとに印をつけた糸などを予め用意し、その糸をセンサ設置対象の配管に巻き付け、後は、糸につけた印に従ってセンサを配管に配置することで、複数の延長ユニットが直列に接続されていても曲がることなく配管表面に設置することができる。
【0077】
なお表6に示した例は、一例であり、基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11は、使用頻度の高い配管口径に設定しておいた方が実際の使用に際して有効である。また前記したように、基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11と延長ユニットに分けることにより、センサの利用率を向上させられ、センサのいずれかで断線等の問題が生じた場合、問題が生じたセンサのみを交換することですばやく対応でき、また経済的に有利である。
【0078】
また本発明にかかる配管表面多点温度センサの取付けを、より簡素化し、かつ、センサ断線などのトラブルを減少させる方法として、例えば以下のものが提案できる。
【0079】
たとえば、配管の支持等で用いられる支持金具のように、金具の内面が配管外面の曲率と等しく、一端をネジ等で締め上げることができる金具(たとえば、半円環状に2つに分割された金具など)を用い、当該金具の内側(配管に接する側)に、本発明にかかる配管表面多点温度センサを取付けた一体構造としておけば、配管へのセンサの取付けは、上記の金具を配管に取付けることで、これを完了することができる。したがって極めて簡易迅速にセンサの取り付けが行なえ、しかも誰が取り付け作業を行なっても、同様の取付け状態を実現することができる。
【0080】
この場合、前記金具と本発明にかかる配管表面多点温度センサとの間にクッション材を配置しておくと、金具のネジを締め上げた際にクッション材の弾力性により、より確実かつ均一にセンサを配管に密着させることができる。またクッション材の断熱性により周囲温度の影響も受けづらくすることができる。
【0081】
配管に接触するセンサ側については、センサの表面に熱伝導率の高い部材(例えば銅箔テープなど)を貼るなどし、感熱集合帯を補強するとよい。こうすることで、センサ自体の応答性を損なうことなく、感熱集合帯における断線などを防止することが可能である。かかる場合、銅箔テープと感熱集合帯との間には絶縁テープを貼っておく必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、流体が流れる配管の表面温度の測定に有用であり、特に配管表面温度の変化から、当該流体の流速を求める際に効果がある。
【符号の説明】
【0083】
1a〜1e 熱電対
2 +脚
3 −脚
4 感熱部
11 配管表面多点温度センサ
12 感熱部
13 感熱集合帯
14、17、22、23 素線
15 計測機器
16、18 配線接続端子
21 延長ユニット
24、25 配線接続端子
26、27 感熱部
P、p 陽極部
N、n 陰極部
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管断面方向の表面温度計測において、取り付けが容易で、かつ、各種口径に対応できる配管表面多点温度センサ、及び当該配管表面多点温度センサを表面に取り付けた流量計測用管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配管内を流れる流体の流量を簡易、かつ安価に計測する手法として、出願人が先に提案した「流量計測方法」がある(特許文献1)。この計測方法は、配管表面に一定の距離を取って2つの温度センサを設置し、各々の温度センサによって得られる温度波形の時間差から配管内の流量を算出するものである。この計測手法で用いられる温度センサには配管表面温度センサが用いられ、以下に示す条件を満たす必要がある。
・時定数が小さく、温度変化に対する応答性が優れている(微少な温度変化でも捕えられる)。
・周囲温度の影響を受けにくい。
・計測条件(配管材質、配管口径など)にかかわらず着脱が容易である。
・検出感度にバラツキが少ない。
【0003】
以上の条件を満たす表面温度センサとして、いわゆるフィルム型温度センサがある。この温度センサは、センサ素子が薄板状であるため熱容量が非常に小さく、また、ある程度の柔軟性も持っている。そのため、温度変化に対する応答性が非常に優れ、かつ表面が曲面状である配管にも確実に密着させることが可能になっている。これにより、配管表面に取り付けた際の各温度センサの温度変化に対する検出感度のバラツキを抑えられ、2つの温度センサの応答速度をほぼ同一にできる。さらに、センサ部周囲に保温を施すことが容易で、保温を施すことで周囲温度の影響を軽減でき、精度の高い計測が可能である。
【0004】
ところで、配管内を流れる流体には「偏流」や「旋回流」などが生じる。これは、エルボ、バルブといった配管継手やポンプなどの機器によって流体が乱され発生する現象である。この現象が発生すると、例えばエルボから同じ距離だけ離れた位置に温度センサを取り付けたとしても、配管断面に対して計測方向(上下左右)が異なることにより、温度変化の生じるタイミングにズレが発生する。
【0005】
発明者らが、実際に口径100Aの冷却水配管(配管材質は白ガス管)に対して、エルボから同一距離の地点にて、配管の上方向と下方向で各々配管表面温度の計測したところ、図10に示した結果が得られた。これらの温度波形によれば、配管の上方向に設置した温度センサの方が、下方向に設置した温度センサよりも、早く反応していることが確認できる。これは配管表面温度の計測は、配管内の流体から配管に熱が伝わり、配管から温度センサに熱が伝わる関係上、配管内の流体から配管に熱が伝わる際、配管内の流体の流れの状況が影響しているものと考えられる。すなわち、たとえばある部位では流れの主流が上下や左右に蛇行している一方で、それ以外の部位では流れの副流が渦を形成しているときなどに、その影響によって、配管の上下や左右方向で反応時間に差が生ずるものである。
【0006】
このように、配管断面に対して計測方向が異なることで温度変化の生じるタイミングにズレが発生すると、配管表面から2点間の温度変化の時間差を計測し流量を算出する既述の「流量計測方法」において最も重要となる、2点間の温度変化の時間差が正確に計測できないことになる。
【0007】
このような問題に対し、配管上に設置される2点の温度センサ間の距離を長く取ることで、計測方向によって生じる温度変化(温度波形)の時間的なズレの影響を少なくする方法が考えられる。これは、2点の温度センサ間の距離を長く取ると、その距離に比例して得られる時間差も長くなることを利用した方法であり、以下にその内容について記載する。
【0008】
たとえば配管内流速1m/s、センサ間距離10mの計測条件であった場合、2点の温度センサ間に発生する理論時間差は10秒となる。ここで、上流側に設置される温度センサと下流側に設置される温度センサとでは、配管断面方向に対する設置方向により時間的なズレが生じる。このズレは、図10に示したズレが最大であると仮定した場合、同図から読み取ると4秒(±2秒)になり、上流側に設置される温度センサと下流側に設置される温度センサの両方に等しく発生する。
【0009】
したがって、2点間に発生する可能性のある時間差のズレは、倍の8秒(±4秒)となる。その結果、上記の条件で計測される可能性のある時間差は6秒〜14秒となり、このときの計測精度は60%〜140%となる。それに対し、配管内流速1m/sで、センサ間距離を20mとしたときの理論時間差は20秒となる。ここで、2点間に発生する可能性のある時間差のズレは8秒(±4秒)であるため、計測される可能性のある時間差は16秒〜24秒となり、計測精度は80%〜120%となる。以上より、センサ間の設置距離を長くとることで、温度センサを設置する方向により発生する時間的なズレの影響を少なくできる。
【0010】
ここで、上記の例は配管内流速を1m/sで固定した条件で試算した結果であるが、実際の計測では当然のことながら配管内の流速(流量)も変化する。この時間差と流速の関係は反比例となり、流速が速いほど時間的なズレの影響が大きく、流速が遅いほど時間的なズレの影響が小さくなる。以上のことから、単純に2点の温度センサ間の距離を長くとるだけでは、流速の影響により、安定した精度での計測ができないことになる。
【0011】
また、配管断面方向に対し温度センサの設置方向を統一して対応する方法も考えられる(例えば上流側に設置した温度センサを配管上方向に取り付けた場合、下流側に設置する温度センサも配管上方向に取り付けるなど)。しかしながら、図10に示した変化の具合(変化する順序、時間など)は、配管内を流れる流体の流れの状況、つまりは温度センサを設置した箇所の上流側の配管の組み方や配管内面の状況(サビ瘤等)などにより変化する。したがって、計測場所を移動させるなど、計測条件が変わるたびに得られる結果も変化し、必ずしも上流側に設置する温度センサと下流側に設置する温度センサとで同様に反応するとは限らない。従って、温度センサの設置方向を統一しても安定した精度での計測にはつながらない。
【0012】
以上述べたことから、先に提案されている「流量計測方法」の温度計測に、フィルム型温度センサを用いると、フィルム型温度センサは配管断面に対して「点」計測となるため、計測条件や温度センサの取り付け箇所ごとに異なる結果(波形)となり、信頼性の高い計測ができない。
【0013】
そこで上記の問題を解決し、計測条件の変化に関わらず安定した精度で計測を行う手法として、配管断面方向の平均温度、すなわち、ある地点における配管断面方向の温度を連続的に、周面に沿って一周計測した際の、平均温度を計測する方法が考えられる。
【0014】
またその他、そのように配管断面方向の平均温度を厳密に計測するためには、例えばサーモカメラ等を用いて配管断面に対する全周方向の計測(撮影)を行い、その計測データを処理することで、配管断面方向の平均温度を特定する方法も考えられるが、この方法では計測器が高価となる上、計測後の後処理に時間がかかり現実的ではない。
【0015】
そのため、配管断面方向の平均温度に近い温度を計測する手法として、配管断面、すなわち配管の軸方向と直角に配管の周面に沿って複数の温度センサを設置し、それぞれの温度センサによって得られた温度データを平均化処理し、その複数の温度センサの平均温度をその地点における配管断面方向の平均温度とする方法が考えられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−291766号公報
【特許文献2】特開平7−306097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら前記した従来の方法では、配管表面に対して温度センサを複数設置する必要があり、温度センサの取り付けに手間と時間が掛かる。また、各温度センサから記録計にそれぞれ配線を行う必要があり、特に計測箇所や記録計廻りにおける配線が煩雑になる。さらに、配管断面方向の実際の平均温度になるべく近い温度計測を実施しようとすると、配管断面方向の等分数を多くすることで対応することになるが、それにより、その数に見合った分の温度センサと、設置した数の温度センサを記録できるだけの記録計が必要となる。また、それぞれの温度センサを配管断面に対し設置する際、配置の均等性などに個人差が生じてしまう。こうなると、既述の「流量計測方法」の大きな特徴である配管表面から簡易、安価に流量計測ができる利点が失われることになる。
【0018】
これに対し、複数の計測点の平均温度を測定する手法として図11に示すような計測手法がある。この計測手法は、図11に示したように、各熱電対101、102、103の「+脚」の素線101a、102a、103aを、記録計104の「+」端子から取り出した「+脚」素線105に接続し、各熱電対101、102、103の「−脚」の素線101b、102b、103bを、記録計104の「−」端子から取り出した「−脚」素線106に接続する方法である。このように接続することで、各熱電対101、102、103は記録計104に対して並列に配置されることになり、記録計104の端子間には各感熱部(図11中の黒丸部)の起電力(E1、E2、E3)の平均値(Eave)が発生する(図12の等価回路参照)。その結果、記録計104は、これら感熱部の平均温度を計測することになる。
【0019】
前記した図11、図12の計測手法を用いれば、記録計104廻りの配線は簡素化される。また、記録計104には、感熱部の平均温度が記録されるため、計測後の後処理が不要となる。さらに、記録計104から取り出される素線105、106と、各熱電対101、102、103の素線101a、102a、103a、及び素線101b、102b、103bとの接続点(図中の白丸部)に、配線接続用の端子などを用いることで、計測点数に合わせて熱電対の個数を増減させることも可能となる。
【0020】
ここで図11の熱電対101、102、103の感熱部(同図中の黒丸部分)は、+脚の素線101a、102a、103a、及び−脚の素線101b、102b、103bが接合されている「点」である。よって、図11の熱電対101、102、103を使用して計測を行う場合、各感熱部を配管表面に確実に密着させることはもちろん、配線からの熱伝導による周囲温度の影響を避けるため、感熱部に至る配線もある程度の長さ、配管表面に密着させる必要がある。配線からの熱伝導による周囲温度の影響は、熱が配線(金属の熱電対線)を伝わって起きる現象のため、感熱部廻りに保温を行っても解消できず、一定長さ以上配管表面に接触させることが重要となる。
【0021】
そうなると、計測環境に合わせた厳密な仕様が必要となり、取付け時にも個人差が生まれる原因となる。また、計測される感熱部の平均温度を配管断面方向の平均温度に近づけるためには、各感熱部は配管長手方向においてできる限り同一距離に、かつ、配管断面方向(配管の周面方向)に均等に配置することが必要である。しかしながらそうなると、最低でも配管断面の全周方向に手や頭が入り作業できることが前提となり、配管同士が密着している場合には、取付け作業が困難となる。以上のことから、結果として、図11に示す熱電対101、102、103では、取り付け時の手間や取り付けの個人差の解消、計測箇所の配線の簡素化までには至らない。
【0022】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、配管の表面温度を温度センサで計測するにあたり、センサの取り付け時の手間や取り付けの個人差を解消し、また計測箇所廻りの配線を簡素化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記目的を達成するため、本発明は、配管表面に取り付けて、配管表面の温度を計測する温度センサであって、熱電対素子において+脚となる性質を有する導電材料からなり一定長を有する陽極部と、−脚となる性質を有する導電材料からなり一定長を有する陰極部とが交互に接合されて、一端が陽極部、他端が陰極部となるように、全体として偶数の極部が直列接合され、両端に位置する陽極部と陰極部には、計測機器に接続される配線接続端子と接続される素線が、各々接続されたことを特徴としている。
【0024】
本発明の基本構成を模式的に示せば、図1に示したとおりである。すなわち、これは、同図に示した複数の熱電対、例えば熱電対1a〜1eを用意して、各熱電対1a〜1eの素線の+脚2と−脚3とを交互に、つまり、例えば1つの熱電対1bの+脚2と隣り合う他の熱電対1cの+脚2とを、1つの熱電対1aの−脚3と隣り合う他の熱電対1bの−脚3とを接合したものである。これを模式的に示すと、図2のようになる。
【0025】
+脚2と−脚3を前記したように交互に接合した場合、図1おいて左側に+脚2、右側に−脚3が配置されることになる、熱電対1a、1c、1eの各感熱部4(黒丸部)には、各々「正」の起電力(E1、E3、E5)が発生する。逆に、左側に−脚3、右側に+脚2が配置される熱電対1b、1dの各感熱部4には「負」の起電力(−E2、−E4)が発生する。
【0026】
図3に、図1、図2に示した、「直列熱電対」の等価回路を示す。図3から分かるように、配線の両端に発生する起電力Eは「正の起電力の合計値」と「負の起電力の合計値」の差である。この起電力Eは、各感熱部4の温度がほぼ同じ温度である場合、感熱部の平均温度に近い温度を得ることができる。
【0027】
本発明は、このような原理に基づいており、図1に即して説明すれば、熱電対素子を構成した場合に+脚となる性質を有する導電材料の陽極部は、隣り合う+脚2、+脚2を合わせたものに相当し、−脚となる性質を有する導電材料からなる陰極部は、隣り合う−脚3、−脚3を合わせたものに相当し、そして陽極部と陰極部の接合部が、感熱部4に相当する。したがって、本発明の温度センサを、計測対象となる管の周面表面に取り付けることで、感熱部が等間隔で環状に管の周面表面に配置され、等間隔の各地点での温度を計測することができる。そして両端に位置する陽極部と陰極部に接続された素線を、計測機器に接続される配線接続端子と接続することで、ほぼ平均温度を計測することが可能である。
【0028】
詳細については後述するが、陽極部、陰極部の長さは、20mmであることが好ましい。
【0029】
また陽極部および陰極部は、薄板状であることが好ましい。
【0030】
また管の外周の長さ(すなわち、管の口径)は様々であることに鑑み、必要に応じ、延長ユニットを備え、この延長ユニットは、前記陽極部と陰極部とが交互に接合された、全体として奇数の極部が直列接続され、前記延長ユニットの一端に位置する極部には、前記素線と接続される接続素線が設けられ、前記延長ユニットの他端に位置する極部には、前記配線接続端子と接続される素線が設けられたことが提案できる。
【0031】
また上記したような配管表面多点温度センサを、予め管の周面表面に、管の軸と直角方向に環状に取り付け、これを流量計測用管として具体化することも可能である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、取り付け時の手間や取り付けの個人差を抑え、しかも計測箇所の配線を簡素化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の原理を示すための説明図である。
【図2】本発明の原理を示すための説明図である。
【図3】図1、図2に示した温度センサの等価回路を示す説明図である。
【図4】実施の形態にかかる配管表面多点温度センサの構成を模式的に示した説明図である。
【図5】図4の配管表面多点温度センサを計測対象である配管に取り付けた様子を示す斜視図である。
【図6】配管断面方向に対して8方向に表面温度センサを設置し、配管表面温度を計測した結果を示すグラフである。
【図7】配管外周の10点で20℃から20.2℃まで均等な温度分布を有する配管断面の状況を示す説明図である。
【図8】延長ユニットの構成を模式的に示した説明図である。
【図9】図4の配管表面多点温度センサと図8の延長ユニットとを組み合わせて使用する場合の説明図である。
【図10】エルボから同一距離の地点にて、配管の上方向と下方向で各々配管表面温度の計測した際に、配管断面方向に対して発生する時間のズレの状況を示すグラフである。
【図11】熱電対の+脚の素線を、記録計の+端子から取り出した+脚素線に接続し、−脚の素線を−端子から取り出した−脚素線に接続する手法を模式的に示した説明図である。
【図12】図11の等価回路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態にかかる配管表面多点温度センサを図に基づいて説明すると、図4は実施の形態にかかる配管表面多点温度センサ11の構成を模式的に示しており、本実施の形態においては、複数の陽極部P1〜Pn、複数の陰極部N1〜Nnとも、各々薄板状であり、各陽極部P、陰極部Nを同数、交互に接合し、配管表面多点温度センサ11全体で、偶数の極部を有している。
【0035】
陽極部P1〜Pn、陰極部N1〜Nnとも熱電能が異なった導電材料で構成されている。すなわち、陽極部P1〜Pnは、熱電対素子において+脚となる性質を有する導電材料から構成され、本実施の形態では、例えば銅からなっている。陰極部N1〜Nnは、熱電対素子において−脚となる性質を有する導電材料から構成され、本実施の形態では、例えばコンスタンタンからなっている。また本実施の形態では、陽極部Pと陰極部Nの長さ(図中の左右方向)は、全て同一であり、各々20mmに設定されている。
【0036】
陽極部Pと陰極部Nとの接合部は、直線状の感熱部12を構成している。そしてこれら感熱部12を複数有する陽極部P1〜Pnと陰極部N1〜Nnの連結体は、帯状の感熱集合帯13を形成している。感熱集合帯13の一端には、陽極部P1が位置し、当該陽極部P1の端部には素線14が接続されている。素線14には、図5に示した計測機器15に接続される配線接続端子16が接続されている。感熱集合帯13の他端には、陰極部Nnが位置し、当該陰極部Nnの端部には素線17が接続されている。素線17には、計測機器15に接続される配線接続端子18が接続されている。これら各素線14、17は、各々対応する陽極部Pと陰極部Nと同一の熱電能を有する導電材料からなっている。
【0037】
実施の形態にかかる配管表面多点温度センサ11は、以上の構成を有しており、図5に示したように、配管20の所望の位置における配管表面温度を測定する場合には、同図に示したように、配管20における当該位置の周面に沿って環状に巻き付ける。このとき厳密にいえば、同図に示したように、配管20を一周する間に各陽極部P(または陰極部N)の幅の分だけずれて、らせん状に全周を包囲することになる。後は通常のこの種の温度センサと同様に、配線接続端子16、18を計測機器15に接続して、通常の計測を実施すればよい。
【0038】
この場合、最も端部となる感熱部12は、感熱集合帯13の末端より極部(陽極部P、陰極部を問わない概念)一つ当たりの長さ分だけ内側の接合部であるため、素線14、17側からの周囲温度の影響は、配管20と接している末端の陽極部P、陰極部Nによりキャンセルされ、計測値に与える影響を抑えることができる。また、感熱集合帯13を末端まで配管20に密着させることで、周囲温度の影響を抑えられるので、センサ取り付け時の標準化も可能となる。すなわち、配線を何センチ以上配管に密着させなければならない、などに気を使う必要がない。また図5に示したように、センサ廻りの配線も極めて簡素である。
【0039】
感熱集合帯13を構成する薄板状の各極部1枚当たりの長さは、長ければ長いほど陽極部P、陰極部Nを接続させる手間が省け、感熱集合帯13の製作が容易になるが、その反面、感熱部12の数が減少するため温度計測が粗くなり、配管断面方向の平均温度と、計測される温度に差異が生じ易くなる。逆に1枚当たりの長さを短くすると、感熱部12の数が多くなるため温度計測が細かくなり、配管断面方向の平均温度と、計測される温度に差異は生じにくくなる。ただしその分、感熱集合帯13の製作に時間とコストがかかる。
【0040】
さらに配管断面方向の平均温度になるべく近い温度を計測するためには、感熱部12を配管断面に対して均等に配置することが望ましいが、実施の形態では、感熱集合帯13を形成している陽極部P、陰極部Nの長さが同一であるので、この点では、配管断面方向の平均温度に極めて近い温度を測定することが可能になっている。
【0041】
また配管20表面への取り付けにあたっては、感熱集合帯13は、細長い薄板帯状となっているから、取り付け箇所に感熱集合帯13の一端をテープ等で固定し、感熱集合帯13に沿って配管20の表面を指でなぞるようにすれば取り付けは完了する。したがって、極めて簡単であり、かつ作業者の技量によって取り付け具合の差に起因した計測結果の差異が出にくい。そしてこのようにして取り付けることにより、各感熱部12と共に、感熱集合帯13を構成している各極部、すなわち陽極部P、陰極部Nも配管20に密着し、熱伝導による周囲温度の影響を抑えられる。また、各極部の長さは一定の長さに定めているため、感熱部の配管断面方向の均等配置に関しては取り付け時に特に考慮する必要はなく、この点でも、取り付け時の個人差をなくすことができる。さらに、前記のようにして取り付けた感熱集合帯13を、さらにテープ等で全周にわたって固定すれば、より確実に、長期にわたって密着させることが可能である。また、必要に応じて行われるセンサ取り付け後の保温作業時にセンサを断線するリスクも減らすことができ、しかも各極部は薄板状のため、保温作業の障害にもなりにくい。
【0042】
なお図5に示したように、予め配管表面多点温度センサ11を環状に取り付けた配管20を用意しておけば、流量計測用管として配管施工の際に、これを途中で介在させて施工することで、施工完了後に配管表面多点温度センサ11を後から取り付けるのが困難な、配管が輻輳した部位となる箇所であっても、容易に配管表面の温度を測定することが可能である。
【0043】
そして本実施の形態では、陽極部P、陰極部Nとも、各々20mmの長さに設定しているので、以下に説明するように、極めて汎用性のある温度センサとなっている。
【0044】
すなわち、一般的に使用されている空調用配管(白ガス管)の配管口径と外周長の関係は、表1に示したようになっている。
【0045】
【表1】
【0046】
表1より、各配管口径の外周長は多少のバラツキはあるものの、ほぼ40mmの倍数になっている。つまり、各配管口径の外周長は、40mmでほぼ等分割できることになる。ここで、各極部一つ当たりの長さを仮に40mmと設定すると、分割数が奇数となる口径と偶数となる口径が出てくる。例えば100Aの場合、外周長が358.9mm≒360mmとして計算すると、360mmを40mmで除すると分割数は9になる。ここで、分割数が奇数となると、感熱集合帯13の両端が同一極の極部となる。例えば分割数が5である場合、極部の並びは+−+−+で、両端が+脚の熱電対素子になり、温度センサとしての役目を果たさなくなってしまう。
【0047】
この点、本実施の形態では、極部1つ当たりの長さが20mmに設定されている陽極部P、陰極部Nを用いているので、表1に示したどのような配管口径の外周長であっても、分割数はいずれも偶数となり、適用可能である。
【0048】
なお厳密にいえば、表1に掲げた各配管口径の外周長は、20mmの倍数ではない。従って、極部1つ当たりの長さを20mmで統一すると、余りの部分が発生する。また実施の形態にかかる温度センサの感熱集合帯13の両端には、感熱集合帯13端部の極部と同一の素線が接続されているため、図5の楕円で囲った部分は感熱部として働かなくなり、感熱部の1点が抜け落ちる形となる。
【0049】
しかしながら発明者らが検証したところ、感熱部の1点が抜け落ちても、実際の測定結果には、殆ど影響がないことが判った。以下、検証結果について説明する。
【0050】
図6は、配管断面方向に対して8方向に表面温度センサを設置し、配管表面温度を計測した結果である。計測を行った配管は冷却水配管で、口径は150Aである。なお計測方向は、図の手前から奥側に水が流れる方向でみた時の断面方向である。
【0051】
たとえば、先に出願人が提案した特開2005−291766号を用いて流量計測を行う場合、上流側と下流側に設置した温度センサが捕らえる温度変化の時間差から流量を算出することになるが、かかる場合、特に温度変化が発生した瞬間の配管断面方向の平均温度に近い温度を計測できることが、この種の温度センサに求められる条件となる。なおここでいう温度変化とは、ある一定温度から温度が上昇(低下)すること、または、上昇(低下)している温度が低下(上昇)に転じることをいい、温度が上昇し続ける、または低下し続けている状態では、器差等の影響を受けるため時間差の特定には不適当である。
【0052】
そして図6のデータをもとに、温度変化がいずれかの計測方向で発生したと思われる時間(12秒〜18秒)のうち、「12秒」、「15秒」、「18秒」の断面方向別の計測値とその平均値を、表2に示した。
【0053】
【表2】
【0054】
実施の形態にかかる配管表面多点温度センサ11を用いて配管外周の多点温度を計測する場合、既述したように、ある計測方向1点分が抜け落ちる形となるが、この抜け落ちる方向は、配管表面多点温度センサ11を取り付ける姿勢によって変化する。すなわち配管表面多点温度センサ11の配管20への巻き始め、巻き終わりの位置によって変わる。したがって抜け落ちる方向がどの方向であっても、表2に示した8点の平均温度と比較してほとんど変わりない値であることが重要となる。
【0055】
一方、表3には、仮に実施の形態にかかる配管表面多点温度センサ11を用いた場合、温度データが抜け落ちた方向ごとに指示されると思われる値を示す。なお算出方法は以下の通りである。すなわち、たとえば12秒の時に、上方向が抜け落ちた場合には、次のようになる。
31.54+(−31.53)+31.55+(−31.54)+31.52+(−31.53)+31.52=31.53(℃)
【0056】
【表3】
【0057】
次に、表3に示された(算出された)値と、表2に示された測定結果との差異を表4に示した。
【0058】
【表4】
【0059】
これによれば、実際に計測した8点の平均温度との最大の差異は0.02℃である。ここで、表4の結果は、150Aの配管断面8方向に対して1点抜け落ちた7点で計測を行ったと仮定した場合である。それに対し、各極部1つ当たりの長さを20mmに設定した配管表面多点温度センサ11を用いた場合、150Aの配管仕様では、計測点数は25点(表5参照)となる。従って、上記の差異はさらに小さくなると思われる。なお表5は、各極部1つ当たりの長さを20mmに設定したときの感熱集合帯の長さと、感熱部の数を口径の異なる配管ごとに示したものである。
【0060】
【表5】
【0061】
現在、市販されている熱電対を利用した温度記録計の分解能は、一般的に1/10℃、最高で1/100℃であり、それと比較しても前記した差異は、無視しても実用上問題がないものである。
【0062】
また別な観点から考察すれば、配管断面方向に対して発生する最大の温度差は、例えば図10に示した測定結果に基づくと、0.2℃前後となる。ここで、前出表5に記載されている配管口径のうち、最も感熱部の数が少ない50Aを例にとって説明すると、たとえば図7に示したように、20℃から20.2℃まで均等な温度分布を有する配管断面が存在したと仮定すれば、このときの平均温度は20.1℃となる。この場合、実施の形態にかかる配管表面多点温度センサ11によれば、配管口径50Aの場合には、1点分が欠落した状態であるから、感熱部2の数は9ヶ所となる(表5参照)。
【0063】
このとき仮に最も温度の高い20.2℃(図では下方向の測定点)が欠落したと考えると、この場合の平均をとったときの温度は20.089℃となり、前記平均温度の20.1℃とは、0.011℃の誤差が発生する。しかしながら前記したように、この種の熱電対を利用した温度記録計の最大の分解能は1/100℃が一般的であるから、それと比較すると、この誤差は無視できる程度である。そして配管口径が50Aより大きい場合には、さらに計測点数が増えるため(表5参照)、1点当たりの「重み」が少なくなり、影響はさらに小さくなって、誤差は少なくなる。したがってかかる点からしても、感熱部が1点欠落していても、実用上は全く問題がない。
【0064】
なお、上記以上の精度を得たい場合は、計測対象の配管外周長さの2倍の長さの感熱集合帯を有する配管表面多点温度センサを用いて、計測対象の配管に2周巻き付けたり、あるいは、2本の配管表面多点温度センサを、例えば配管の軸方向に沿って、例えば10mmずつずらして当該配管に巻くことで、計測点数を増やすことができ、より高精度な計測が可能となる。
【0065】
次に、特開2005−291766(特許文献1)において、測定の差異の重要な時間差に影響を与える要因である配管内の流速の影響についても発明者らは検証したところ、流速が変化しても温度変化が発生する方向の順番は変わらないことが分かった。すなわち、流速と計測方向により発生する温度変化のズレには、多少の関係性は見られるものの、流速が変化することによりそのズレが大幅に伸びたり、または短縮されることはないことが判明した。一般的な空調用の配管内の流速は1.5m/s〜2.5m/s、最大でも3.5m/sであることを合わせて考えると、流速が計測方向により発生する温度変化のズレに与える影響は小さいと考えることができる。したがって、配管内流速の変化に対しても、本発明はその影響を殆ど受けずに、好適な配管表面温度の計測を行なうことができるものである。
【0066】
ところで、当然のことであるが配管口径が変われば配管外周長も変化する。この配管外周長の変化に対応するため、各配管外周長に対応する長さを有する感熱集合帯13を持った配管表面多点温度センサ11を、口径が異なった配管ごとに用意するのは、経済上改善の余地がある。さらに、計測したい配管口径を事前調査し、必要な長さを有する感熱集合帯13を有する配管表面多点温度センサを用意するのでは、前準備に時間がかかりすぎ、即応性にも欠ける。
【0067】
このような問題に対処するため、例えば、図8に示した延長ユニット21を使用し、前記した基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11と組み合わせることで容易に対応しうるものである。
【0068】
この延長ユニット21は、配管表面多点温度センサ11で用いた陽極部Pと同一の大きさ、材料からなる陽極部pと、陰極部Nと同一の大きさ、材料からなる陰極部nを交互に接合した構成を有し、全体として奇数の極部が直列接続されている。図8の例では、2つの陰極部n1、n2と、1つの陽極部p1が接合され、両端には、陰極部n1、n2が位置している。
【0069】
そして両端の陰極部n1、n2には、基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11の素線7と同一材料からなる素線22、23が接続され、素線22の端部には、配管表面多点温度センサ11の配線接続端子8と適合する配線接続端子24が接続され、素線23の端部には、配管表面多点温度センサ11における配線接続端子8と同形同大の配線接続端子、すなわち計測機器5に接続される配線接続端子25が接続されている。かかる延長ユニット21においては、2つの陰極部n1、n2と、1つの陽極部p1との2ヶ所接合部が、各々感熱部26、27を構成する。
【0070】
図8の延長ユニット21は、以上の構成を有しており、基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11とは、図9に示したようにして組み合わせて使用する。すなわち、配管表面多点温度センサ11の端部の素線17の配線接続端子18に、延長ユニット21の端部の素線22の配線接続端子24を接続し、延長ユニット21を配管表面多点温度センサ11と平行にして、延長ユニット21の一端部の陰極部n1と配管表面多点温度センサ11の端部の陰極部Nnとを、各極部が周面方向では同一位置となるように配管表面に沿わしめて配管に取り付ける。
【0071】
これによって、全体としてあたかも感熱集合帯が、感熱部26、27の分延長されたものとなる。したがって、配管表面多点温度センサ11だけでは配管の全周をカバーしきれない場合に、延長ユニット21を適宜併用することで、当該配管の表面温度を計測することが可能になる。この場合、基本形となる延長ユニット21を複数用意しておくことで、様々な口径の配管に適用することができ、また基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11を、ある程度配管の口径に合わせて、複数種用意することで、全体として最小限のユニットで、市販の配管全てに対応することができる。すなわち市販の配管全てに専用の配管表面多点温度センサ11を用意する必要がなくなる。
【0072】
これを具体的に説明すると、まず前出表5の各配管口径に対応する感熱集合帯13の長さに注目すれば、50Aから100Aまでは、配管口径のサイズが1つ大きくなるごとに40mmずつ長くなる。同様に、100Aから250Aまでは80mmずつ、250Aから300Aまでは160mmずつ長くなっている(但し300A〜350A間を除く)。
【0073】
この関係をもとに、例えば仮に基準口径を50A、100A、250Aと設定し、それぞれの配管口径に対応した感熱集合帯の長さを有する配管表面多点温度センサ11を基本ユニットとして用意しておく。そしてこれら基本ユニットとなる3種類の配管表面多点温度センサ11に対して、感熱集合帯を「40mm」、「80mm」、「160mm」延長するために使用する延長ユニット21を各々必要最小限数用意すれば、表5に掲げた全ての配管に適用できる。因みに図8に示した延長ユニット21は、感熱集合帯を40mm延長するタイプ(感熱部を2つ増加させるタイプ:極部数が3)タイプであり、80mm延長タイプは、感熱部を4つ増加させるタイプ(極部数が5)、160mmmm延長タイプは、感熱部を8つ増加させるタイプ(極部数が9)となる。表6にその組み合わせ一覧を示す。
【0074】
【表6】
【0075】
これによれば、40mm延長するタイプを3本、80mm延長するタイプを5本、160mm延長するタイプを4本用意すれば、50A〜500Aまでの配管口径を有する全ての管に対応できることがわかる。
【0076】
前記のようにして延長ユニット21を併用して計測を行う場合は、例えば極部の長さ(20mm)ごとに印をつけた糸などを予め用意し、その糸をセンサ設置対象の配管に巻き付け、後は、糸につけた印に従ってセンサを配管に配置することで、複数の延長ユニットが直列に接続されていても曲がることなく配管表面に設置することができる。
【0077】
なお表6に示した例は、一例であり、基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11は、使用頻度の高い配管口径に設定しておいた方が実際の使用に際して有効である。また前記したように、基本ユニットとなる配管表面多点温度センサ11と延長ユニットに分けることにより、センサの利用率を向上させられ、センサのいずれかで断線等の問題が生じた場合、問題が生じたセンサのみを交換することですばやく対応でき、また経済的に有利である。
【0078】
また本発明にかかる配管表面多点温度センサの取付けを、より簡素化し、かつ、センサ断線などのトラブルを減少させる方法として、例えば以下のものが提案できる。
【0079】
たとえば、配管の支持等で用いられる支持金具のように、金具の内面が配管外面の曲率と等しく、一端をネジ等で締め上げることができる金具(たとえば、半円環状に2つに分割された金具など)を用い、当該金具の内側(配管に接する側)に、本発明にかかる配管表面多点温度センサを取付けた一体構造としておけば、配管へのセンサの取付けは、上記の金具を配管に取付けることで、これを完了することができる。したがって極めて簡易迅速にセンサの取り付けが行なえ、しかも誰が取り付け作業を行なっても、同様の取付け状態を実現することができる。
【0080】
この場合、前記金具と本発明にかかる配管表面多点温度センサとの間にクッション材を配置しておくと、金具のネジを締め上げた際にクッション材の弾力性により、より確実かつ均一にセンサを配管に密着させることができる。またクッション材の断熱性により周囲温度の影響も受けづらくすることができる。
【0081】
配管に接触するセンサ側については、センサの表面に熱伝導率の高い部材(例えば銅箔テープなど)を貼るなどし、感熱集合帯を補強するとよい。こうすることで、センサ自体の応答性を損なうことなく、感熱集合帯における断線などを防止することが可能である。かかる場合、銅箔テープと感熱集合帯との間には絶縁テープを貼っておく必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、流体が流れる配管の表面温度の測定に有用であり、特に配管表面温度の変化から、当該流体の流速を求める際に効果がある。
【符号の説明】
【0083】
1a〜1e 熱電対
2 +脚
3 −脚
4 感熱部
11 配管表面多点温度センサ
12 感熱部
13 感熱集合帯
14、17、22、23 素線
15 計測機器
16、18 配線接続端子
21 延長ユニット
24、25 配線接続端子
26、27 感熱部
P、p 陽極部
N、n 陰極部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管表面に取り付けて、配管表面の温度を計測する温度センサであって、
熱電対素子において+脚となる性質を有する導電材料からなり、一定長を有する陽極部と、−脚となる性質を有する導電材料からなり一定長を有する陰極部とが交互に接合されて、一端が陽極部、他端が陰極部となるように、全体として偶数の極部が直列接合され、
両端に位置する陽極部と陰極部には、計測機器に接続される配線接続端子と接続される素線が、各々接続されたことを特徴とする、配管表面多点温度センサ。
【請求項2】
前記一定長さは、20mmであることを特徴とする、請求項1または1に記載の配管表面多点温度センサ。
【請求項3】
前記陽極部および陰極部は、薄板状であることを特徴とする、請求項1または2に記載の配管表面多点温度センサ。
【請求項4】
さらに延長ユニットを備え、
前記延長ユニットは、前記陽極部と陰極部とが交互に接合された、全体として奇数の極部が直列接続され、
前記延長ユニットの一端に位置する極部には、前記素線と接続される接続素線が設けられ、
前記延長ユニットの他端に位置する極部には、前記配線接続端子と接続される素線が設けられたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の配管表面多点温度センサ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の配管表面多点温度センサが、予め管の周面表面に、管の軸と直角方向に環状に取り付けられたことを特徴とする、流量計測用管。
【請求項1】
配管表面に取り付けて、配管表面の温度を計測する温度センサであって、
熱電対素子において+脚となる性質を有する導電材料からなり、一定長を有する陽極部と、−脚となる性質を有する導電材料からなり一定長を有する陰極部とが交互に接合されて、一端が陽極部、他端が陰極部となるように、全体として偶数の極部が直列接合され、
両端に位置する陽極部と陰極部には、計測機器に接続される配線接続端子と接続される素線が、各々接続されたことを特徴とする、配管表面多点温度センサ。
【請求項2】
前記一定長さは、20mmであることを特徴とする、請求項1または1に記載の配管表面多点温度センサ。
【請求項3】
前記陽極部および陰極部は、薄板状であることを特徴とする、請求項1または2に記載の配管表面多点温度センサ。
【請求項4】
さらに延長ユニットを備え、
前記延長ユニットは、前記陽極部と陰極部とが交互に接合された、全体として奇数の極部が直列接続され、
前記延長ユニットの一端に位置する極部には、前記素線と接続される接続素線が設けられ、
前記延長ユニットの他端に位置する極部には、前記配線接続端子と接続される素線が設けられたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の配管表面多点温度センサ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の配管表面多点温度センサが、予め管の周面表面に、管の軸と直角方向に環状に取り付けられたことを特徴とする、流量計測用管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−209190(P2011−209190A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78621(P2010−78621)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【Fターム(参考)】
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