説明

配管診断装置、及び空気調和機

【課題】配管内の内容物の有無にかかわらず、配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常を検知することができる配管診断装置、及び空気調和機を得る。
【解決手段】導電性の配管5、6に所定信号を印加する信号印加手段71と、配管5、6を伝搬した所定信号を検出する信号検出手段91と、信号検出手段91が検出した所定信号に基づき、配管5、6及び該配管外周に設けられた断熱材501、601の少なくとも一方の異常の有無を検知する異常検知手段92とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管及びその周囲材料の少なくとも一方の異常を検知する配管診断装置、及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管の劣化を診断する技術として、例えば、「ある媒質中に設置されている埋設配管の配管内に電磁波を入射し、この電磁波と当該埋設配管及びその周囲の媒質との相互作用を測定し、その相互作用の測定値から前記埋設配管及びその周囲の異常を検出する。」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3400255号公報(段落番号[0007])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、配管内に内容物が無い状態において、当該配管を導波管として用い、入射した電磁波と当該配管及びその周囲の媒質との相互作用を測定し、その相互作用の測定値から配管及びその周囲の異常を検出している。
【0005】
しかしながら、配管内の物質を除去しなければ配管及びその周囲材料の異常を検出することができない、という問題点があった。
例えば、空気調和機において、冷媒を循環させる配管の異常を検出するためには、異常診断の度に当該配管内の冷媒を除去する必要があり、ほぼ通年使用されている空気調和機に、従来の技術を適用するのは困難である。また、空気調和機が運転中に配管の異常の検出を行うことができない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、配管内の内容物の有無にかかわらず、配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常を検知することができる配管診断装置、及び空気調和機を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る配管診断装置は、
導電性の配管に所定信号を印加する信号印加手段と、
前記配管を伝搬した前記所定信号を検出する信号検出手段と、
前記信号検出手段が検出した前記所定信号に基づき、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知する異常検知手段と
を備えたものである。
【0008】
本発明に係る空気調和機は、
室内機と、
室外機と、
導電性の配管の外周に断熱材を設けて構成され、前記室内機及び前記室外機に冷媒を循環させる冷媒配管と、
上記の配管診断装置と
を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、配管を伝搬した所定信号に基づき、配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知するので、配管内の内容物の有無にかかわらず、配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る空気調和機及び配管診断装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る診断装置の構成を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る正常状態におけるゲイン−周波数特性を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る正常状態における配管の誘電率を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る劣化状態における配管の誘電率を示す図である。
【図6】実施の形態1に係る劣化状態におけるゲイン−周波数特性を示す図である。
【図7】実施の形態2に係る空気調和機及び配管診断装置の構成を示す図である。
【図8】実施の形態2に係る診断装置の構成を示す図である。
【図9】実施の形態2に係る正常状態における配管のインピーダンスを模式的に示した図である。
【図10】実施の形態2に係る正常状態におけるインピーダンスモデルを示す図である。
【図11】実施の形態2に係る劣化状態における配管のインピーダンスを模式的に示した図である。
【図12】実施の形態2に係る劣化状態におけるインピーダンスモデルを示す図である。
【図13】実施の形態2に係るパルス波形と正常時及び劣化時における送信点波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
<構成>
図1は実施の形態1に係る空気調和機及び配管診断装置の構成を示す図である。
図1に示すように、空気調和機は、室外機1、室内機a2、室内機b3、室内機c4、配管5、及び配管6を備える。
また、本実施の形態における配管診断装置は、診断装置7、及び診断装置9を備える。
【0012】
なお、本実施の形態においては、1台の室外機1と、3台の室内機a2、b3、及びc4を備える場合を説明するが、本発明はこれに限らず、室外機及び室内機を任意の数だけ備えるようにしても良い。
【0013】
室外機1と、室内機a2、b3、及びc4は、配管5、6により接続されている。
室外機1、室内機a2、室内機b3、及び室内機c4は、配管5、6中を流れる冷媒の圧力を変化させて冷媒の吸熱、放熱により空気調和を行う。
室外機1は、冷媒を圧縮する図示省略の圧縮機と、冷媒が外気と熱交換される図示省略の室外熱交換器(冷媒回路)等を含んで構成されている。室外機1は、例えば、屋外に据え付けられるようになっており、ビルの屋上等に配置される。
室内機a2、b3、及びc4は、室外機1から送られる冷媒が室内の空気と熱交換される図示省略の室内熱交換器(冷媒回路)と熱交換された空気を室内に送り出す図示省略の送風装置等含んで構成されている。室内機a2、b3、及びc4は、例えば、室内の天井に組み込まれる。
【0014】
配管5及び6は、冷媒(二酸化炭素やフロン等)を導通するようになっている。
配管5及び6は、例えば、銅などの金属素材により構成され、導電性を有している。
配管5の外周は、発泡ウレタン等の絶縁材料からなる断熱材501で覆われている(図4参照)。配管6の外周は、発泡ウレタン等の絶縁材料からなる断熱材601で覆われている(図4参照)。
この断熱材501及び601により、配管5及び配管6が直接空気に触れ、結露などしないように施工される。
【0015】
なお、断熱材501及び601は、本発明における「配管外周に設けられた材料」に相当する。
【0016】
また、図1に示すように、配管5は、主配管50と、分岐配管51と、分岐配管52とを有する。配管6は、主配管60と、分岐配管61と、分岐配管62とを有する。
主配管50は、室外機1と室内機c4とを接続する。
分岐配管51は、主配管50から分岐して、室内機a2に接続される。
分岐配管52は、主配管50から分岐して、室内機b3に接続される。
主配管60は、室外機1と室内機c4とを接続する。
分岐配管61は、主配管60から分岐して、室内機a2に接続される。
分岐配管62は、主配管60から分岐して、室内機b3に接続される。
【0017】
なお、本実施の形態においては、主配管50及び60の長さを120mとし、分岐配管51、52、61、及び62の長さをそれぞれ20mの場合を例に説明する。
なお、各配管の長さはこれに限るものではなく、任意の長さとすることができる。
【0018】
室外機1と主配管50及び60とが接続される接続部8には、配管5及び6を室外機1から交流的に分離するインピーダンスアッパー81がそれぞれ設けられている。
インピーダンスアッパー81は、例えばファライトコアなどで構成され、高周波信号に対して誘導特性を有している。インピーダンスアッパー81は、配管5と配管6との間を高周波信号の帯域において所定のインピーダンスで分離する。
インピーダンスアッパー81は、配管5及び配管6の室外機1の近傍に取り付けるのが望ましい。
【0019】
室内機c4と主配管50及び60とが接続される接続部10には、配管5及び6を室内機c4から交流的に分離するインピーダンスアッパー11がそれぞれ設けられている。
インピーダンスアッパー11は、例えばファライトコアなどで構成され、高周波信号に対して誘導特性を有している。インピーダンスアッパー11は、配管5と配管6との間を高周波信号の帯域において所定のインピーダンスで分離する。
インピーダンスアッパー11は、配管5及び配管6の室内機4cの近傍に取り付けるのが望ましい。
【0020】
診断装置7は、インピーダンスアッパー81によって交流的に分離された配管5及び6の一端に接続される。診断装置7は、接続部8近傍の配管5及び6に接続するのが望ましい。
【0021】
診断装置9は、インピーダンスアッパー11によって交流的に分離された配管5及び6の一端に接続される。診断装置9は、接続部10近傍の配管5及び6に接続するのが望ましい。
【0022】
診断装置7は、所定信号を発生し、配管5及び6に当該所定信号を印加する。
これにより、当該所定信号は、接続部8を介して、導電性を有する配管5と配管6の間を、配管表層を導体として伝搬する。
伝搬して来た所定信号は、接続部10を経由し、診断装置9で取得される。
そして、診断装置9は、取得した所定信号の周波数特性を計測する。診断装置9は、この周波数特性に基づいて、配管5、6、及び断熱材501、601の少なくとも1つについて、劣化状態などの異常の有無を検知する。詳細は後述する。
【0023】
次に、診断装置7及び診断装置9の構成について説明する。
【0024】
図2は実施の形態1に係る診断装置の構成を示す図である。
図2に示すように、診断装置7は、信号印加手段71を備える。
診断装置9は、信号検出手段91、異常検知手段92、記憶部93、及び監視手段94を備える。
【0025】
なお、記憶部93は、本発明における「第1の記憶部」、「第2の記憶部」、及び「第3の記憶部」に相当する。
【0026】
信号印加手段71は、導電性の配管5及び6に所定信号を印加する。
信号印加手段71は、所定信号として、所定の振幅及び所定の周波数帯域を持つ高周波信号を配管5及び6に印加する。
本実施の形態では、1MHz〜10MHzの帯域を持つ高周波信号を印加する場合について説明する。
なお、これに限らず、信号印加手段71は、所定信号として、所定の振幅を有する高周波信号を、所定の周波数範囲でスイープさせて配管5及び6に印加しても良い。
【0027】
信号検出手段91は、配管5及び6を伝搬した所定信号としての高周波信号の周波数特性を検出する。
また、信号検出手段91は、初回時又は所定のタイミングで検出した所定信号の周波数特性の情報を、配管5、6及び断熱材501、601等の配管外周に設けられた材料が正常状態における周波数特性の情報として、記憶部93に記憶させる。
【0028】
記憶部93は、配管5、6及び断熱材501、601が正常状態における周波数特性の情報が記憶される。
記憶部93は、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリなどの記憶装置で構成することができる。
【0029】
異常検知手段92は、記憶部93に記憶された周波数特性と、信号検出手段91が検出した所定信号の周波数特性とを比較して、配管5、6及び断熱材501、601の少なくとも一方の異常の有無を検知する。動作の詳細は後述する。
【0030】
監視手段94は、異常検知手段92が検知した異常の有無に関する情報を取得する。
【0031】
異常検知手段92、監視手段94は、これらの機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアで実現することもできるし、マイコンやCPUなどの演算装置上で実行されるソフトウェアとして実現することもできる。
なお、異常の有無に関する情報の出力に必要なインターフェースを適宜備えるようにしても良い。
【0032】
以上、本実施の形態における空気調和機及び配管診断装置の構成を説明した。
次に、本実施の形態における配管診断装置の動作について説明する。
【0033】
<動作>
まず、配管診断装置は、配管5、6及び断熱材501、601等の配管外周に設けられた材料が劣化・破損等していない状態(以下「正常状態」ともいう)における周波数特性を取得する。
【0034】
この正常状態における周波数特性の取得は、当該配管診断装置の初回運転時、又は所定のタイミングで行う。
ここで、正常状態の周波数特性の情報を取得する所定のタイミングとしては、例えば、配管5及び6を交換・補修後に始めて当該配管診断装置を動作させる際や、分岐配管の接続構成を変更した際などが想定される。
【0035】
診断装置7の信号印加手段71は、例えば1MHz〜10MHzの帯域を持つ高周波帯の高周波信号を発生し、接続部8を介して、配管5、配管6に当該高周波信号を印加する。
高周波帯の信号は、配管5と配管6の間を、金属部表層を導体として伝搬する。
診断装置9の信号検出手段91は、接続部10を経由し、配管5及び6を伝搬して来た高周波信号を検出する。
信号検出手段91は、検出した高周波信号について、その周波数毎の信号レベル(振幅)を計測する。
例えば、信号検出手段91は、周波数毎に既知の送信信号レベルとの差分を計算することにより、室外機1と室内機c4間のゲイン−周波数特性を計測する。
そして、信号検出手段91は、計測した周波数特性を正常状態における周波数特性の情報として、記憶部93に記憶させる。
【0036】
図3は実施の形態1に係る正常状態におけるゲイン−周波数特性を示す図である。
図3においては、室外機1と室内機c4との間の冷媒配管のゲイン−周波数特性を1MHz〜10MHzの周波数範囲において計算しプロットしたものである。
ここで、図1に示したように、室内機a2への分岐配管51と分岐配管61は室内機a2内部の冷媒回路により電気的に短絡されている。また、室内機b3への分岐配管52と分岐配管62は室内機b3内部の冷媒回路により電気的に短絡されている。
そして、分岐配管51、61、及び分岐配管22、62は、それぞれ20mである。
このため、図3に示すように、高周波信号の波長λの1/4及び1/2の長さが、分岐配管長(20m)となる周波数近傍で、ノッチフィルタ状にゲインが大きく低下する周波数特性となる。以下、ゲインが大きく低下する周波数を「減衰周波数」と称する。
【0037】
このような、配管5、6を伝搬した高周波信号の周波数特性は、配管表層の伝搬特性で決定されるため、配管内部に流れる冷媒等の温度、様態(液、ガス状など)に依存しない。
【0038】
次に、高周波信号の周波数特性と、配管及び配管外周に設けられた材料の劣化との関係について説明する。
【0039】
図4は実施の形態1に係る正常状態における配管の誘電率を示す図である。
図4に示すように、配管5、6及び断熱材501、601が劣化・破損等していない状態では、断熱材501及び601の比誘電率εは、所定の値(例えば、ε≒1)を持つ。
【0040】
図5は実施の形態1に係る劣化状態における配管の誘電率を示す図である。
図5に示すように、例えば断熱材501及び601の一部が劣化して、劣化部502及び602に位置する配管5及び6が、直接外気に曝された場合を考える。
空気調和機の運転により、配管5、6に冷媒が循環すると、外気に曝された配管5、6周辺空気に含まれる水蒸気が凝縮して、配管5、6の一部が結露する。これによって、劣化部502、602は湿気を含むことになる。
このとき、水の比誘電率は約30であるため、図5に示すように、水分を含んだ劣化部502及び602の比誘電率εは、正常時と比較して上昇し(例えば、ε≦30)、配管5、6全体としての周波数特性が変化することになる。
【0041】
このような断熱材501及び601の湿気は、配管5及び6の金属面の酸化を促進し、腐食の原因になる。そして、腐食が進むとピンホール等ができ、冷媒漏洩の事故が誘発される。
【0042】
なお、ここでは、配管結露により誘電率が変化した場合を説明したが、これに限らず、断熱材501及び601の破損や施工不良、経年による材質変化などであっても、同様に、配管5、6の周波数特性が変化する場合がある。
【0043】
図6は実施の形態1に係る劣化状態におけるゲイン−周波数特性を示す図である。
図6においては、室内機b3への分岐配管52及び62のうち、1mの長さが水分を含んだ場合(図5の結露状態)のゲイン−周波数特性を計算したものである。
図6に示すように、4MHz近辺、及び9MHz近辺のノッチ状の減衰周波数が、各々3.5MHz、7MHz近辺にシフトしている。
これは配管5及び6の一部の断熱材が水分を含むため誘電率が高くなり、その区間の伝搬速度が式(1)に示す誘電率の影響で遅くなることに起因する。
【0044】
【数1】

【0045】
このように、配管5及び6を伝搬した高周波信号の周波数特性により、断熱材501及び601の劣化や破損、配管5、6に腐食などが生じている可能性が高いことを検知することが可能である。
以下、配管5、6及び断熱材501、601等の配管外周に設けられた材料が結露、劣化、破損等、及び腐食の可能性がある状態を「異常」と称する。
【0046】
次に、このような配管5、6及び断熱材501、601の異常有無の検知動作を説明する。
【0047】
診断装置7及び9は、例えば、1時間毎など所定の周期毎に以下の計測を繰り返す。
なお、この計測は、例えば使用者からの操作により、任意のタイミングで行っても良い。
【0048】
まず、診断装置7の信号印加手段71は、例えば1MHz〜10MHzの帯域を持つ高周波帯の高周波信号を発生し、接続部8を介して、配管5、配管6に当該高周波信号を印加する。
高周波帯の信号は、配管5と配管6の間を、金属部表層を導体として伝搬する。
診断装置9の信号検出手段91は、接続部10を経由し、配管5及び6を伝搬して来た高周波信号を検出する。
信号検出手段91は、検出した高周波信号について、その周波数毎の信号レベル(振幅)を計測する。
例えば、信号検出手段91は、周波数毎に既知の送信信号レベルとの差分を計算することにより、室外機1と室内機c4間のゲイン−周波数特性を計測する。
【0049】
異常検知手段92は、信号検出手段91が検出した当該高周波信号の周波数特性と、記憶部93に記憶された正常状態における周波数特性とを比較して、異常の有無を検知する。
この異常の検知は、例えば、信号検出手段91により検出された高周波信号の減衰周波数が、正常状態における減衰周波数と比較して、所定値以上変化したとき、異常であると検知する。
図6の例では、計測された周波数特性について、4MHz近辺、及び9MHz近辺の減衰周波数が、正常状態での減衰周波数と比較して所定値以上変化したとき、室内機b3への分岐配管52、62、及びその断熱材501、601の何れかに、断熱材劣化による結露などの異常が生じていると検知する。
【0050】
<効果>
以上のように本実施の形態においては、導電性の配管5、6に所定信号を印加し、配管5、6を伝搬した所定信号に基づき異常の有無を検知する。
このため、配管5、6内の冷媒などの内容物の有無にかかわらず、配管5、6及び該配管外周に設けられた断熱材501、601などの材料の異常を検知することができる。
【0051】
また、配管5、6内の内容物の有無にかかわらず異常の検知ができるので、空気調和機について、特段の診断モードや運転の制約を設けることなく、通常の運用状態において、配管の結露などの異常を検出し、冷媒漏洩事故を未然に防止することが可能となる。
【0052】
また、冷媒漏洩事故を未然に防止することにより、冷媒漏洩による空調能力悪化によるエネルギー消費効率の低下の防止や、冷媒漏洩による環境汚染などを予防することが可能となる。
【0053】
また、使用者は、この検出結果に基づいて、結露などの異常箇所を補修することで、冷媒漏洩事故を未然に防止することが可能となる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、初回時又は所定のタイミングで正常状態における周波数特性を計測する場合を説明した。本発明はこれに限らず、配管5、6の配管長や分岐配管の構成などにより求まる減衰周波数の情報を、予め記憶部93に記憶させ、この情報と計測した高周波信号の周波数特性とを比較して異常の有無を検知しても良い。
【0055】
なお、各室内機への分岐長(分岐配管の長さ)など、配管の物理的構造が既知であれば、ノッチの出現する周波数(減衰周波数)が特定できるため、分岐配管の長さとノッチ周波数との対応付けが可能である。この対応付け情報とノッチが移動した周波数との比較により、どの分岐配管が結露しているかの概略の識別が可能である。
【0056】
例えば、異常検知手段92は、信号検出手段91により検出された高周波信号の減衰周波数が、正常状態における減衰周波数と比較して所定値以上変化し、異常であると検知したとき、当該減衰周波数に基づき、主配管50、60、分岐配管51、61、及び分岐配管52、62のうち何れが異常であるかを識別する。
なお、減衰周波数は、分岐配管の長さにより定まるため、同じ長さの分岐配管が複数有る場合には、どの分岐配管が異常であるかを識別することができない。この場合においても、多数の分岐配管のうち、異常が生じている配管を当該長さの分岐配管に絞ることが可能である。これにより、例えば劣化点検などのメンテナンスを行う配管候補を、当該長さの分岐配管に絞ることが可能となり、メンテナンスの工数を削減できる効果を有する。
【0057】
なお、本実施の形態1では、計測した高周波信号の周波数特性と、記憶部93に記憶された正常状態における周波数特性とを比較したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、信号検出手段91は、計測した高周波信号の周波数特性の情報を記憶部93に記憶させ、異常検知手段92は、記憶された正常状態における周波数特性と、記憶された計測時の周波数特性とを比較して、異常の有無を検知するようにしても良い。
【0058】
なお、本実施の形態1では、初期値と1つの計測値を比較して結露を判定していたが、計測値を所定の期間の経過情報として蓄積し、ノッチ周波数の変化経過により結露、及び腐食の可能性を判断することでも同様の効果を得ることができる。
【0059】
例えば、異常検知手段92は、記憶部93に記憶された正常状態における周波数特性と、任意のタイミングで信号検出手段91が検出した、複数の高周波信号の周波数特性とをそれぞれ比較し、当該比較結果の情報をそれぞれ記憶部93に記憶させ、記憶部93に記憶された比較結果の経時変化に基づいて、異常の有無を検知する。
また例えば、信号検出手段91は、配管5、6を伝搬した高周波信号の周波数特性を任意のタイミングで複数検出し、当該複数の周波数特性の情報を記憶部93に記憶させる。そして、異常検知手段92は、記憶部93に記憶された正常状態における周波数特性と、記憶部93に記憶された計測された複数の周波数特性とをそれぞれ比較し、当該比較結果の情報をそれぞれ記憶部93に記憶させ、記憶部93に記憶された比較結果の経時変化に基づいて、異常の有無を検知する。
【0060】
なお、本実施の形態1では、診断装置7から印加する所定信号として、1〜10MHzの帯域を持つ高周波信号を用いていたが、これに限るものではない。例えば、より短い分岐配管長でも検出可能にするため、高周波信号の周波数範囲を、高周波信号の波長が最短分岐長の1/4に相当する周波数までとしても良い。
【0061】
なお、診断装置7及び診断装置9は、例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等で使用されているディスクリートマルチトーン技術や直接周波数スペクトラム拡散技術など、所定の周波数帯を用いた通信装置であっても良い。
例えば、通信装置の通信可否等の伝送路の特性計測モードを用いてゲイン特性の取得を行い、他のコントローラーへ情報を送信し、コントローラーが判断しても良い。
この場合、通信装置が、配管の結露等の異常を検知する診断装置7及び9を兼ねることができ、別個に診断装置7及び9を設けることなく冷媒漏洩の一要因である結露等を検出することができる。
【0062】
また例えば、診断装置7及び診断装置9が通信装置である場合、信号印加手段71は、周波数帯域が2〜30MHzの間のキャリア周波数を用いて送信情報を変調し、この周波数帯域を持つ送信信号を所定信号として、配管5、6に印加する。そして、信号検出手段91は、上記の動作に加え、信号印加手段71からの送信信号を復調して送信情報を取得するようにしても良い。
【0063】
また、結露等の異常の判断を、診断装置7又は診断装置9で実施していたが、計測したい周波数特性の情報を、遠隔にあるコントローラーなどに送信し、当該コントローラーに異常の有無を判断させても良い。また、その検知結果や、計測された周波数特性などの情報を、管理者に向けた表示などができ、メンテナンスする場所を特定するなどメンテナンス実施者の補助が期待できる。
【0064】
また例えば、監視手段94を遠隔に別個に設け、通信装置としての診断装置7及び診断装置9により、異常検知手段92が検知した異常の有無に関する情報を、送信情報として送信信号に変調して配管5、6に印加するようにし、監視手段94により、配管5、6を伝搬した送信信号を復調して、異常検知手段92が検知した異常の有無に関する情報を取得するようにしても良い。
【0065】
なお、本実施の形態1では、室内機a2及びb3への分岐配管が有る場合について説明したが、本発明はこれに限らず、室外機1と1台の室内機c4のみ備え、分岐配管を設けない構成であっても良い。このような構成であっても、診断装置9を診断装置7の近傍に取り付けることにより、上記動作と同様に異常の有無を検知することが可能である。なお、この場合、接続部10に取り付けたインピーダンスアッパー11は不要となる。
【0066】
実施の形態2.
<構成>
図7は実施の形態2に係る空気調和機及び配管診断装置の構成を示す図である。
図7において、空気調和機の構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
また、図7に示すように、本実施の形態における配管診断装置は、診断装置12を備える。
診断装置12は、上記実施の形態1と同様に、インピーダンスアッパー81によって交流的に分離された配管5及び6の一端に接続される。診断装置12は、接続部8の室外機1近傍の配管5及び6に接続するのが望ましい。
インピーダンスアッパー81の構成は上記実施の形態1と同様である。
【0067】
図8は実施の形態2に係る診断装置の構成を示す図である。
図8に示すように、診断装置12は、信号印加手段121、信号検出手段122、異常検知手段123を備える。
【0068】
信号印加手段121は、所定信号として、パルス信号を配管に印加する。
信号検出手段122は、パルス信号の反射波を検出する。
異常検知手段123は、反射波の遅延時間に基づき、配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知する。
【0069】
以上、本実施の形態における空気調和機及び配管診断装置の構成を説明した。
次に、本実施の形態における配管診断装置の動作について説明する。
【0070】
<動作>
反射波を用いた異常の検出の原理と、診断装置12の動作を、1台の室外機1と1台の室内機4の構成の場合を例に、図8〜図12を用いて説明する。
【0071】
図9は実施の形態2に係る正常状態における配管のインピーダンスを模式的に示した図である。
図10は実施の形態2に係る正常状態におけるインピーダンスモデルを示す図である。
図11は実施の形態2に係る劣化状態における配管のインピーダンスを模式的に示した図である。
図12は実施の形態2に係る劣化状態におけるインピーダンスモデルを示す図である。
図13は実施の形態2に係るパルス波形と正常時及び劣化時における送信点波形を示す図である。
【0072】
ここでは、診断装置12の信号印加手段121から、例えば図13の上段に示すようなステップ状のパルス信号を発生し、接続部8を介して、配管5、6に信号を印加する場合について説明する。
【0073】
配管5、6の特性インピーダンスZoは、次の式(2)、式(3)、式(4)で決定される。
【0074】
【数2】

【0075】
【数3】

【0076】
【数4】

【0077】
図9に示すように、正常状態(結露のない状態)の配管5、6の特性インピーダンスをZ1とする。この場合、配管5、6が室内機4と接続される端部(以下「端部B」という)は、室内機4内部の冷媒回路により電気的に短絡されている。このときのインピーダンスモデルを図10に示す。
【0078】
このため、診断装置12が接続される端部(以下「送信端A」ともいう)に印加されたステップ状のパルス信号は、図10に示すように、端部Bで反射する。
従って、図13の送信点波形(1)に示すように、送信端Aでは、印加したパルス信号に端部Bで反射した反射波が重畳される。
このパルス信号の印加から反射波が重畳されるまでの時間t1は、反射が起きる位置、すなわち、図9に示した送信端Aから端部Bまでの距離に比例する。つまり、パルス信号には、時間t1だけ遅延した反射波が合成される。
【0079】
次に、例えば断熱材501及び601の一部が劣化して、配管5、6の一部が結露し、断熱材501、601の劣化部502、602に湿気を含む場合を考える。
【0080】
この場合、劣化部502及び602の比誘電率εは、正常時と比較して上昇する。よって、式(3)に示したように、配管間の静電容量Cが増加する。これにより、劣化部502及び602の特性インピーダンスは、式(2)により変化する。この変化後の特性インピーダンスをZ2とする。
従って、図11に示すように、配管5、6の一部が結露すると、当該部分のインピーダンスの不整合が生じる。このときのインピーダンスモデルを図12に示す。
【0081】
このように、信号の伝送路にインピーダンスの不連続部分が発生すると、不連続部分では式(5)により決定される係数に基づいた波高値の反射が起きる。
【0082】
【数5】

【0083】
このため、診断装置12が接続される送信端Aに印加されたステップ状のパルス信号は、図12に示すように、結露が生じている劣化部502及び602と、端部Bとで反射する。
従って、図13の送信点波形(2)に示すように、送信端では、劣化部502、602で反射した反射波が重畳された後、端部Bで反射した反射波が重畳される。
【0084】
この劣化部502、602で反射した反射波が重畳されるまでの時間t2は、反射が起きる位置、すなわち、図11に示した送信端Aから劣化部502及び602までの距離に比例する。つまり、パルス信号には、時間t2だけ遅延した反射波が合成された後、時間t1だけ遅延した反射波が合成され、送信端Aでは段状の波形が計測されることになる。
【0085】
このような、伝搬時間特性は、配管表層の伝搬特性で決定されるため、配管内部に流れる冷媒等の温度、様態(液、ガス状など)に依存しない。
【0086】
以上のことから、異常検知手段123は、送信点波形(1)と、送信点波形(2)とを比較することにより、パルス信号に複数の反射波が重畳されている場合には、断熱材501及び601の劣化や破損、配管5、6に腐食などが生じている可能性が高いことを検知することが可能である。
【0087】
また、異常検知手段123は、式(6)に示す伝搬速度Vpから、時間t2に相当する距離Lを式(7)から演算することにより、送信端Aから、異常箇所(結露している位置)までの距離を求めることができる。
【0088】
【数6】

【0089】
【数7】

【0090】
<効果>
以上のように本実施の形態においては、パルス信号を配管5、6に印加し、当該パルス信号の反射波の遅延時間に基づき、異常の有無を検知する。これにより上記実施の形態1と同様に、配管5、6内の冷媒などの内容物の有無にかかわらず、配管5、6及び該配管外周に設けられた断熱材501、601などの材料の異常を検知することができる。
また、反射波の遅延時間により、送信端と異常箇所との間の距離を求めることができる。
【0091】
なお、本実施の形態2では、原理説明のため、単純な1対1の構造のものについて説明したが、これに限らず、図7に示すような分岐配管が複数ある場合でも良い。この場合、初期の反射波による波形の段(重畳される反射波)が、分岐配管の長さと個数により決定され、これを初期値として記憶し、計測値と逐次比較を行うことにより、新たなインピーダンス不連続点を検出することが可能となり、配管の腐食の要因である結露箇所を検出することが可能となる。
【0092】
なお、上記実施の形態1及び2では、空気調和機において、配管5、6及び断熱材501、601の異常の有無を検知する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。本発明は、導電性を有する配管であれば、当該配管及びその外周に設けられた材料の異常の有無を検知することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る配管診断装置の適用例として、ビル等設備用空調システムの配管の監視装置、家庭用エアコン、その他金属配管を用いる、ヒートポンプ給湯器、床暖房機などの配管のメンテナンスシステムへの利用が上げられる。
【符号の説明】
【0094】
1 室外機、2 室内機a、3 室内機b、4 室内機c、5 配管、6 配管、7 診断装置、8 接続部、9 診断装置、10 接続部、11 インピーダンスアッパー、12 診断装置、22 分岐配管、50 主配管、51 分岐配管、52 分岐配管、60 主配管、61 分岐配管、62 分岐配管、71 信号印加手段、81 インピーダンスアッパー、91 信号検出手段、92 異常検知手段、93 記憶部、94 監視手段、121 信号印加手段、122 信号検出手段、123 異常検知手段、501 断熱材、502 劣化部、601 断熱材、602 劣化部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の配管に所定信号を印加する信号印加手段と、
前記配管を伝搬した前記所定信号を検出する信号検出手段と、
前記信号検出手段が検出した前記所定信号に基づき、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知する異常検知手段と
を備えたことを特徴とする配管診断装置。
【請求項2】
前記配管及び該配管外周に設けられた材料が正常状態における周波数特性の情報が記憶される第1の記憶手段を備え、
前記信号検出手段は、
前記配管を伝搬した前記所定信号の周波数特性を検出し、
前記異常検知手段は、
前記第1の記憶手段に記憶された周波数特性と、前記信号検出手段が検出した前記所定信号の周波数特性とを比較して、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知する
ことを特徴とする請求項1記載の配管診断装置。
【請求項3】
前記配管及び該配管外周に設けられた材料が正常状態における周波数特性の情報が記憶される第1の記憶手段と、
第2の記憶手段と
を備え、
前記信号検出手段は、
前記配管を伝搬した前記所定信号の周波数特性を検出し、該周波数特性の情報を前記第2の記憶手段に記憶させ、
前記異常検知手段は、
前記第1の記憶手段に記憶された周波数特性と、前記第2の記憶手段に記憶された周波数特性とを比較して、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知する
ことを特徴とする請求項1記載の配管診断装置。
【請求項4】
前記配管及び該配管外周に設けられた材料が正常状態における周波数特性の情報が記憶される第1の記憶手段と、
第3の記憶手段と
を備え、
前記信号検出手段は、
前記配管を伝搬した前記所定信号の周波数特性を検出し、
前記異常検知手段は、
前記第1の記憶手段に記憶された周波数特性と、任意のタイミングで前記信号検出手段が検出した、複数の前記所定信号の周波数特性とをそれぞれ比較し、該比較結果の情報をそれぞれ前記第3の記憶手段に記憶させ、
前記第3の記憶手段に記憶された前記比較結果の経時変化に基づいて、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知する
ことを特徴とする請求項1記載の配管診断装置。
【請求項5】
前記配管及び該配管外周に設けられた材料が正常状態における周波数特性の情報が記憶される第1の記憶手段と、
第2の記憶手段と、
第3の記憶手段と
を備え、
前記信号検出手段は、
前記配管を伝搬した前記所定信号の周波数特性を任意のタイミングで複数検出し、当該複数の周波数特性の情報を前記第2の記憶手段に記憶させ、
前記異常検知手段は、
前記第1の記憶手段に記憶された周波数特性と、前記第2の記憶手段に記憶された複数の周波数特性とをそれぞれ比較し、該比較結果の情報をそれぞれ前記第3の記憶手段に記憶させ、
前記第3の記憶手段に記憶された前記比較結果の経時変化に基づいて、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知する
ことを特徴とする請求項1記載の配管診断装置。
【請求項6】
前記信号検出手段は、
初回時又は所定のタイミングで検出した前記所定信号の周波数特性の情報を、前記配管及び該配管外周に設けられた材料が正常状態における周波数特性の情報として、前記第1の記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の配管診断装置。
【請求項7】
前記異常検知手段は、
前記信号検出手段により検出された前記所定信号の減衰周波数が、正常状態における減衰周波数と比較して、所定値以上変化したとき、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方が異常であると検知する
ことを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の配管診断装置。
【請求項8】
前記信号印加手段は、
前記所定信号として、所定の振幅及び所定の周波数帯域を持つ高周波信号を前記配管に印加し、
前記信号検出手段は、
前記高周波信号の周波数特性を検出する
ことを特徴とする請求項2〜7の何れかに記載の配管診断装置。
【請求項9】
前記信号印加手段は、
前記所定信号として、所定の振幅を有する高周波信号を、所定の周波数範囲でスイープさせて前記配管に印加し、
前記信号検出手段は、
前記高周波信号の周波数特性を検出する
ことを特徴とする請求項2〜7の何れかに記載の配管診断装置。
【請求項10】
前記信号印加手段は、
前記所定信号として、送信情報を所定の周波数帯域を持つ送信信号に変調して前記配管に印加し、
前記信号検出手段は、
前記送信信号を復調して前記送信情報を取得する
ことを特徴とする請求項2〜7の何れかに記載の配管診断装置。
【請求項11】
前記信号印加手段は、
周波数帯域が2〜30MHzの間のキャリア周波数を用いて前記送信情報を変調する
ことを特徴とする請求項10記載の配管診断装置。
【請求項12】
前記信号印加手段は、
前記異常検知手段が検知した異常の有無に関する情報を、前記送信信号に変調して前記配管に印加する
ことを特徴とする請求項10又は11記載の配管診断装置。
【請求項13】
前記配管を伝搬した前記送信信号を復調して、前記異常検知手段が検知した異常の有無に関する情報を取得する監視手段を備えた
ことを特徴とする請求項12記載の配管診断装置。
【請求項14】
前記信号印加手段は、
前記所定信号として、パルス信号を前記配管に印加し、
前記信号検出手段は、
前記パルス信号の反射波を検出し、
前記異常検知手段は、
前記反射波の遅延時間に基づき、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常の有無を検知する
ことを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の配管診断装置。
【請求項15】
前記異常検知手段は、
前記反射波の遅延時間に基づき、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常箇所と前記所定信号の印加箇所との間の距離を求める
ことを特徴とする請求項14記載の配管診断装置。
【請求項16】
前記配管は、
主配管と、
前記主配管から分岐した1又は複数の分岐配管と
を有し、
前記異常検知手段は、
前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常を検知したとき、
前記主配管及び前記1又は複数の分岐配管のうち何れが異常であるかを識別する
ことを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の配管診断装置。
【請求項17】
前記異常検知手段は、
前記信号検出手段により検出された前記所定信号の減衰周波数が、正常状態における減衰周波数と比較して、所定値以上変化したとき、前記配管及び該配管外周に設けられた材料の少なくとも一方が異常であると検知し、
当該減衰周波数に基づき、前記主配管及び前記分岐配管のうち何れが異常であるかを識別する
ことを特徴とする請求項16記載の配管診断装置。
【請求項18】
室内機と、
室外機と、
導電性の配管の外周に断熱材を設けて構成され、前記室内機及び前記室外機に冷媒を循環させる配管と、
請求項1〜17の何れかに記載の配管診断装置と
を備えたことを特徴とする空気調和機。
【請求項19】
前記室内機を複数備え、
前記配管は、
前記複数の室内機のうち、任意の室内機と前記室外機とを接続する主配管と、
前記主配管から分岐して、他の室内機と前記室外機とを接続する1又は複数の分岐配管とを有し、
前記配管診断装置は、
前記配管及び前記断熱材の少なくとも一方の異常を検知したとき、
前記主配管及び前記1又は複数の分岐配管のうち何れが異常であるかを識別する
ことを特徴とする請求項18記載の空気調和機。
【請求項20】
前記配管を、前記室内機及び前記室外機の少なくとも一方から交流的に分離するインピーダンス調整器を備え、
前記信号印加手段は、交流的に分離された前記配管の一端に前記所定信号を印加する
ことを特徴とする請求項18又は19記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−256224(P2010−256224A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107962(P2009−107962)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】