説明

配線ダクトシステム

【課題】複数の導線をハウジング内部に配設する配線ダクトを用いる場合にも、簡易的に、導線間の伝送信号の干渉を抑制した配線ダクトシステムを提供する。
【解決手段】配線ダクトシステムは、少なくとも電力供給用導線を含む複数の導線が内部に配設され内周面が金属部10でなるハウジングを有した配線ダクト1と、この配線ダクト1の長手方向に形成された開口部12に取り付けられる配線ダクトカバー2とを備える。配線ダクトカバー2は、開口部12の中央長手方向に沿って設置面に対して垂直な面を持つ金属板21を有している。この金属板21により、電極対30,40間の伝送信号の干渉を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面や天井面に沿って設置され、所望の位置に配線器具が取り付けられる配線ダクト、及びこの配線ダクトの開口部に取り付ける配線ダクトカバーを備える配線ダクトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場や店舗や事務所の屋内において、天井に配線ダクトを敷設して、配線ダクトシステムを設けることが知られている。この配線ダクトシステムでは、空間に応じたフレキシブルで自由度の高い照明演出が可能となり、様々な照明器具や他の電気器具の電源を任意の位置から取り出すことができ、また照明器具や電気機器のプラグの取り付けや取り外しも容易となる。
【0003】
この配線ダクトシステムに用いられる配線ダクトは、例えば、電力供給用の2つの導線により構成される電極対を備え、この電極対に照明器具や動力器具等の電気機器が接続されることにより、電気機器に電力が供給される。そして、近年においては電力配線の他に、1つの配線ダクト内に電力供給用配線と信号線配線とを備えた配線ダクトが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、電力供給用配線を原因とする誘導ノイズが通信用配線に発生することを抑制するための間隔が電力供給用配線と通信用配線との間に設けられた配線ダクトが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,274,817号
【特許文献2】特願2009−20925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の配線ダクトの筐体内に電極対を2つ配設した4芯配線ダクトや、電力供給用導線と通信用配線とを配設した配線ダクトなどでは、配線ダクト自体の小型化が要求されているため各配線間の距離が比較的近接することとなる。この結果、電流や信号線に信号を伝送すると各配線間で互いの影響(対間干渉)を受けて、電力供給用配線から発する誘導磁界を原因とするノイズが通信用配線など他の配線に発生し、通信品質が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の導線を内部に配設する配線ダクトを用いる場合にも、簡易的に、導線間の伝送信号の干渉を抑制することができる配線ダクトシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも電力供給用導線を含む複数の導線が内部に配設され内周面が金属でなるハウジングを有した配線ダクトと、この配線ダクトの長手方向に形成された開口部に取り付けられる配線ダクトカバーとを備え、前記ハウジングの外周面の一つである設置面が被設置面に設置される配線ダクトシステムにおいて、前記配線ダクトカバーは、前記開口部の中央長手方向に沿って前記設置面に対して垂直な面を持つ金属板を有し、前記複数の導線は、前記金属板を挟んでその両側に前記配線ダクトの長手方向に沿って各々配列されていることを特徴とする。
【0008】
この配線ダクトシステムにおいて、前記複数の導線は、その並び方向が前記設置面に垂直な方向に位置するものが対となり、前記配線ダクトカバーの金属板は、少なくとも下方に位置する導線に対向する位置に延びていることが好ましい。
【0009】
この配線ダクトシステムにおいて、前記配線ダクトのハウジングの金属部と前記配線ダクトカバーの金属板とが電気的に接続されることが好ましい。
【0010】
この配線ダクトシステムにおいて、前記配線ダクトは、前記ハウジングの金属部の一部が外面に露出しており、前記配線ダクトカバーは、前記金属体の一部が外面に露出しており、前記外部に露出した金属部と金属板とが接することで両者が電気的に接続されることが好ましい。
【0011】
この配線ダクトシステムにおいて、前記複数の配線ダクトを互いに連結するためのダクト連結部材を備え、前記ダクト連結部材は、前記互いに連結する配線ダクトの金属部同士を電気的に接続する連結金属部材と、前記配線ダクトカバーの金属板及び前記配線ダクトの金属部を接続する金属製の固定部材とを有することが好ましい。
【0012】
この配線ダクトシステムにおいて、前記配線ダクトの終端部に装着されるダクト終端部材を備え、前記ダクト終端部材は、前記配線ダクトの金属部及び前記配線ダクトカバーの金属板を電気的に接続する連結金属部材と、前記配線ダクトカバーの金属板及び前記配線ダクトの金属部を接続する金属製の固定部材とを有することが好ましい。
【0013】
この配線ダクトシステムにおいて、前記配線ダクトの始端部に装着されるダクト始端部材を備え、前記ダクト始端部材は、前記配線ダクトの金属部及び前記配線ダクトカバーの金属板を電気的に接続する連結金属板と、前記配線ダクトカバーの金属板及び前記配線ダクトの金属部を接続する金属製の固定部材とを有することが好ましい。
【0014】
この配線ダクトシステムにおいて、前記配線ダクトカバーは、前記配線ダクトの開口部の端部に係止する係止部を有することが好ましい。
【0015】
この配線ダクトシステムにおいて、前記配線ダクトカバーは、前記配線ダクトの前記ハウジングの外郭上部に係止する係止部を有することが好ましい。
【0016】
この配線ダクトシステムにおいて、前記配線ダクトカバーは、前記配線ダクトの長手方向端部から前記ハウジング内部に挿入され、前記下方に位置する導線と前記開口部との間に構成された溝により保持されることが好ましい。
【0017】
この配線ダクトシステムにおいて、前記配線ダクトに電気機器のプラグを取り付けるときに用いられる開口部を有することが好ましい。
【0018】
また、本発明は請求項11に記載の配線ダクトシステムにおける配線ダクト及び配線ダクトカバーに対して取り付けることができるプラグであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る配線ダクトシステムによれば、配線ダクトの開口部に取り付けられる配線ダクトカバーが有する金属板は、配線ダクト内に配列された複数の導線に対して金属遮蔽板として機能する。このため、配線ダクト内に配設される導線が、電力供給用導線と通信用配線のような場合であっても、電力供給用配線から発する誘導磁界を原因とするノイズが通信用配線に発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る配線ダクトシステムの全体図である。
【図2】(a)同上実施の形態1の配線ダクト及び配線ダクトカバーの斜視図、(b)同上配線ダクト及び配線ダクトカバーの断面図である。
【図3】同上実施の形態1の変形例1に係る配線ダクト及び配線ダクトカバーの断面図である。
【図4】(a)同上実施の形態1の変形例2に係る配線ダクトの斜視図、(b)同上配線ダクト及び配線ダクトカバーの斜視図、(c)同上配線ダクト及び配線ダクトカバーの断面図である。
【図5】(a)同上実施の形態1の変形例3に係る配線ダクト及び配線ダクトカバーの断面図、(b)同上配線ダクト及び配線ダクトカバーの斜視図、(c)同上配線ダクト及び配線ダクトカバーの接合時の斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る配線ダクトシステムの斜視図である。
【図7】(a)同上実施の形態2に係る配線ダクトシステムの全体図、(b)同上実施の形態2の配線ダクト連結部における底面図、(c)同上配線ダクト連結部の斜視図である。
【図8】同上配線ダクト連結部の側面からの断面図である。
【図9】(a)同上実施の形態2の変形例に係る配線ダクトシステムの全体図、(b)同上変形例に係る配線ダクトの終端部における底面図、(c)同上変形例に係るフィードイン接続部材又はエンド接続部材の斜視図である。
【図10】(a)同上変形例に係るフィードイン接続部の側面からの断面図、(b)同上変形例に係るエンド接続部の側面からの断面図である。
【図11】(a)本発明の実施の形態3に係る配線ダクト及び配線ダクトカバーの断面図、(b)同上配線ダクト及び配線ダクトカバーの斜視図である。
【図12】(a)本発明の実施の形態4に係る配線ダクト及び配線ダクトカバーの斜視図、(b)同上配線ダクト及び配線ダクトカバーの底面側からの斜視図である。
【図13】(a)同上配線ダクトカバーの斜視図、(b)同上配線ダクトカバーの平面図、(c)同上配線ダクトカバーの側面図、(d)同上配線ダクトカバーの底面図である。
【図14】(a)同上配線ダクトカバー及び同上実施の形態2に係るプラグの接続状態の説明図、(b)同上プラグの斜視図、(c)同上プラグの斜視図である。
【図15】同上実施の形態4に係る配線ダクトに取り付けられた照明器具の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る配線ダクトシステムSについて図面を参照して説明する。図1に示すように、工場や店舗などの屋内における天井や壁等の設置面(図示略)に敷設される配線ダクト1は、所定の直線方向(以下、長手方向L)に延びた成形体である。具体的には、配線ダクト1は、長手方向Lの寸法が例えば1〜3mである直線状の成形体である。
【0022】
配線ダクト1のハウジングは、図2に示すように、金属材料からなる金属部10と、金属部10の周囲に設けられた絶縁樹脂からなる絶縁体11とを備えている。金属部10及び絶縁体11は、長手方向Lに沿って延びている。配線ダクト1は例えば高さ1.8m越の場所などに取り付けられる。
【0023】
配線ダクト1は、電極対30,40を収納する内部空間を有すると共に、この内部空間に連続する開口部12を有している。所定方向に向けて開口する開口部12は、長手方向Lにおいて延びて設けられている。開口部12には配線ダクトカバー2が取り付けられると共に、後述する電気機器や通信機器の配線ダクト用プラグが挿入される。なお、配線ダクト1が室内の側壁に設置される場合、開口部12は横向きに開口する。
【0024】
配線ダクト1の芯材である金属部10は、配線ダクト1が設置される設置面に向かい合わせて設けられる基部13を有している。長手方向Lに垂直な断面において左右方向に延びる平板状の基部13は、長手方向Lに沿って延びる。基部13には貫通孔(不図示)が設けられ、この貫通孔を挿通させたねじを用いて、基部13を被設置面である天井に締め付けることにより、基部13が天井に固定されて、配線ダクト1が天井に敷設される。その他、配線ダクト1の設置面への施工方法としては、天井面への埋め込み施工や吊り下げ施工もある。
【0025】
長手方向Lに垂直断面において略四角形の外形を有する金属部10は、右側に設けられる右側壁部14と、左側に設けられる左側壁部15と、上側に設けられる基部13と向き合うように下側に設けられる対向壁部16とを備える。
【0026】
また、金属部10は、非磁性体の金属材料であるアルミニウムからなるため、例えば、金属部10が強磁性体である鉄からなる場合に比較して、配線ダクト1の外部への電磁波を遮断できる。
【0027】
絶縁体11は、絶縁樹脂で形成され、電極対30,40と金属部10とが接続されないように金属部10の外周表面を覆うように設けられている。絶縁体11は、金属部10の内部において電極対30,40を支持している。従って、金属部10は、電極対30,40と絶縁され、電磁シールドとして機能する。絶縁体11を絶縁樹脂で形成することにより、配線ダクト1を任意の箇所で容易に切断することができフレキシブルで自由度の高い部材とできる。
【0028】
金属部10の内部に設けられた複数の電極対30,40は、金属板21を挟んで長手方向Lに対して垂直な方向である左右方向において間隔を空けて設けられている。電極対30は、電極対40よりも右方に位置するように設けられている。1つの電極対30は、金属部10の右側壁部14に設けられた絶縁体11によって支持されている2つの導線31,32により構成され、その並び方向が設置面に対して垂直な方向になる。長手方向Lに延びる導線31,32は、長手方向L及び左右方向に直交する上下方向において間隔を空けて設けられている。即ち、導線31は、導線32よりも上方(上方極)に位置するように設けられ、導線32は、導線31よりも下方(下方極)に位置するように設けられている。
【0029】
配線ダクト1の内周には、突起状のリブ17が形成され、このリブ17により、複数の配線ダクト連結部に用いるジョイナの配線ダクト1への誤挿入を防止できる。
【0030】
配線ダクトカバー2は、配線ダクト1の長手方向Lに形成された開口部12に取り付けられて埃などが配線ダクト1の内部空間に侵入することを防ぐ。配線ダクトカバー2は、中央長手方向Lに沿って、配線ダクト1の設置面に対して垂直方向に延びる金属板(遮蔽板)21を有する。この金属板21は、複数の電極対30,40の電磁結合を低減し、複数の電極対30,40における電波干渉を効率的に抑制する。
【0031】
また、配線ダクトカバー2は、金属板21の外周を覆う絶縁体22を有し、垂直断面が例えば凸状となり、配線ダクト1の開口部12の端部に係止するための係止部23が形成される。この係止部23は、配線ダクトカバー2を配線ダクト1にワンタッチで容易に接続すると共に、配線ダクトカバー2を配線ダクト1に安定に保持させる。
【0032】
以上のように、本実施の形態1に係る配線ダクトシステムにおいて、配線ダクトカバー2は、中央長手方向Lに沿って配線ダクト1の設置面に対して垂直方向に伸びる金属板21を有する。この金属板21は、複数の電極対30,40の電磁結合を低減し、複数の電極対30,40における電波干渉を効率的に抑制することができる。
【0033】
(第1の変形例)
本実施の形態の第1の変形例について、図3を参照して説明する。本変形例では、配線ダクトカバー2に形成される金属板24が、各電極対30,40の少なくとも下方極32,42に対向する位置まで延びる。従って、配線ダクトカバー2に形成され、複数の電極対30,40間に挿入される金属板24を最小形状として、電極対30,40の電磁結合を低減し、複数の電極対30,40間における電波干渉を効率的に抑制することができる。また、金属板24を小さくすることで配線ダクトカバー2の加工がより容易となる。
【0034】
(第2の変形例)
本実施の形態1の第2の変形例について、図4を参照して説明する。本変形例では、配線ダクトカバー2の金属板25及び配線ダクト1の金属部10が電気的に接続される。すなわち、配線ダクト1は、絶縁体11の一部が切り欠かれて金属部10が露出した露出面10aを下側面に有する。一方、配線ダクトカバー2は、絶縁体22の一部が切り欠かれて金属板25が露出した露出面25aを上側面に有する。そして、これら露出面10a及び露出面25aが接触することで配線ダクトカバー2の金属板25及び配線ダクト1の金属部10が電気的に接続される。この構成により、複数の電極対30,40によって発生する電磁波を金属部10の金属及び金属板25内で対流させて、電波干渉を効率的に抑制することができる。
【0035】
(第3の変形例)
本実施の形態の第3の変形例について、図5を参照して説明する。本変形例3では、配線ダクトカバー2は、凸形状の金属板25、及び金属板25を覆い垂直断面が山字形状となる絶縁体22を有する。さらに、絶縁体22には、配線ダクト1の外郭上部に係止する係止部26が形成されている。この係止部26は、配線ダクトカバー2を配線ダクト1に容易に接続可能とし配線ダクトカバー2の安定性を向上させる。また、配線ダクトカバー2の保持機能を元々有しない構造の配線ダクト1に対しても配線ダクトカバー2の取り付けが可能となる。
【0036】
(実施の形態2)
以下、本実施の形態2に係る配線ダクトシステムの構成について図面を参照しながら説明する。なお、上記実施の形態1に係る配線ダクトシステムSと同様の構成に関しては同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する(以下同様とする)。
【0037】
図6に示すように、配線ダクトシステムSは、複数の配線ダクト1を互いに接続するためのダクト連結部材6(ジョイナ)を備えている。このダクト連結部材6が長手方向から配線ダクト1に挿入され配線ダクト1と他の配線ダクト1とが接続される。当該接続により、配線ダクト1の各々備える電極対30,40も互いに接続される。
【0038】
配線ダクトシステムSは、図7(a)に示すように、例えば1mや2mや3mなどの定尺サイズの配線ダクト1がダクト連結部材6を用いて連結され、電源の入力端側にフィードイン接続部材7、終端側にエンド接続部材8を設けている。
【0039】
ダクト連結部材6には、両端に各2箇所のねじ止めが設けられ、図7(b)及び図7(c)に示すように、金属製のネジ6aを用いて下方側から配線ダクトカバー2及びダクト連結部材6を配線ダクト1に共締めする。この場合、図8に示すように、ネジ6aの上部(設置面側)は、配線ダクト1に設けられた金属部10に接触し、下端部(配線ダクトカバー2側)は配線ダクトカバー2の金属板21に接触する。また、ダクト連結部材6は、連結される配線ダクト1の金属部10の間を電気的に接続するための連結金属板6bを有する。
【0040】
この構造により、配線ダクトカバー2の金属板21と、配線ダクト1の金属部10とがねじ6a及び連結金属板6bを介して金属接続され、配線ダクト1の連結接続時の遮蔽特性の安定性と配線ダクトカバー2の保持強化を図ることができる。
【0041】
(第1の変形例)
本実施の形態2の第1の変形例について、図9及び図10を参照して説明する。本変形例に係る配線ダクトシステムは、始端部において配線ダクト1に電源線を結線するためのフィードイン接続部材7、及び終端部において配線ダクト1に終端抵抗回路8aを接続するためのエンド接続部材8を備えている。
【0042】
フィードイン接続部材7は、電源線7dを速結端子に差し込むだけで簡単に電源と接続できる構造を有し、図10(a)に示すように、配線ダクト1の金属部10及び配線ダクトカバー2の金属板21を電気的に接続するための連結金属板7cを有する。また、金属製のねじ7b(固定部材)を用いて、フィードイン接続部材7及び配線ダクトカバー2を配線ダクト1に下方側から共締めする。このねじ7bの上端部(設置面側)は、配線ダクト1に設けられた金属部10に接触し、配線ダクトカバー2の金属板21と配線ダクト1の金属部10とが金属製のねじ7bを介して電気的に接続される。
【0043】
一方、図10(b)に示すように、エンド接続部材8も配線ダクト1の金属部10及び配線ダクトカバー2の金属板21を電気的に接続する連結金属板8cを有する。また、金属製のねじ8b(固定部材)を用いて、エンド接続部材8及び配線ダクトカバー2を配線ダクト1に下方側から共締めする。このねじ8bの上端部(設置面側)は、配線ダクト1に設けられた金属部10に接触する長さを有し、配線ダクトカバー2の金属板21と配線ダクト1の金属部10とがねじ8bを介して電気的に接続される。
【0044】
この構成により、伝送路の短い配線ダクトシステムSの始端部や終端部において、複数の電極対30,40間に挿入される金属板21と配線ダクト1の金属部10との金属的な接続を確実に図り、複数の電極対30,40間における電波干渉を効率的に抑制することができる。
【0045】
(実施の形態3)
以下、本実施の形態3に係る配線ダクトシステムの構成について図面を参照しながら説明する。図11に示すように、配線ダクトカバー50は、配線ダクト1の端部から金属部10の内部に長手方向Lに沿って挿入され、配線ダクトカバー50の底面は、電極対30,40の下方極32,42と開口部12との間に形成された溝51において保持される。この構造により、配線ダクトカバー50の配線ダクト1への固定、及び配線ダクトカバー50の保持の簡略化や安定化を図ることができる。
【0046】
(実施の形態4)
以下、本実施の形態4に係る配線ダクトシステムの構成について図面を参照しながら説明する。図12及び図13に示すように、配線ダクトカバー2には、少なくとも1以上の開口部61が形成され、配線ダクト1に照明器具などの電気機器の接続用プラグを取り付ける際に取り外し可能となる樹脂カバー60が各開口部61に取り付けられる。なお、配線ダクトカバー2に開口部61のみ形成され樹脂カバー60を有しない形態も考えられる。
【0047】
図14及び図15に示すように、配線ダクト1に電気機器70を取り付ける際には、樹脂カバー60を剥がし、電気機器70のプラグ(接続端子)71と同一サイズ以上の開口部61に電気機器70のプラグ71を挿入する。このプラグ71には、配線ダクトカバー2の形状に合わせて、図15(b)及び(c)に示すような凹部72が形成される。配線ダクト1の長さ1mあたり例えば最大20kgの電気機器70を取り付けることができる。
【0048】
このため、本実施の形態4では、配線ダクトカバー2にプラグ71を接続できる開口部61を設け、配線ダクトカバー2の配置を調整することなく電気機器70のプラグ71を任意の箇所に接続できる。なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
S 配線ダクトシステム
1 配線ダクト
2 配線ダクトカバー
6 配線ダクト連結部材
7 フィードイン接続部材
8 エンド接続部材
10 金属部
11,22 絶縁体
12 開口部
21,25 金属板
23,26 係止部
30,40 電極対
31,41 上方極
32,42 下方極
60 樹脂カバー
61 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電力供給用導線を含む複数の導線が内部に配設され内周面が金属でなるハウジングを有した配線ダクトと、この配線ダクトの長手方向に形成された開口部に取り付けられる配線ダクトカバーとを備え、前記ハウジングの外周面の一つである設置面が被設置面に設置される配線ダクトシステムにおいて、
前記配線ダクトカバーは、前記開口部の中央長手方向に沿って前記設置面に対して垂直な面を持つ金属板を有し、
前記複数の導線は、前記金属板を挟んでその両側に前記配線ダクトの長手方向に沿って各々配列されていることを特徴とする配線ダクトシステム。
【請求項2】
前記複数の導線は、その並び方向が前記設置面に垂直な方向に位置するものが対となり、
前記配線ダクトカバーの金属板は、少なくとも下方に位置する導線に対向する位置に延びていることを特徴とする請求項1記載の配線ダクトシステム。
【請求項3】
前記配線ダクトのハウジングの金属部と前記配線ダクトカバーの金属板とが電気的に接続されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配線ダクトシステム。
【請求項4】
前記配線ダクトは、前記ハウジングの金属部の一部が外面に露出しており、
前記配線ダクトカバーは、前記金属体の一部が外面に露出しており、
前記外部に露出した金属部と金属板とが接することで両者が電気的に接続されることを特徴とする請求項3記載の配線ダクトシステム。
【請求項5】
前記複数の配線ダクトを互いに連結するためのダクト連結部材を備え、
前記ダクト連結部材は、前記互いに連結する配線ダクトの金属部同士を電気的に接続する連結金属部材と、前記配線ダクトカバーの金属板及び前記配線ダクトの金属部を接続する金属製の固定部材とを有することを特徴とする請求項3記載の配線ダクトシステム。
【請求項6】
前記配線ダクトの終端部に装着されるダクト終端部材を備え、
前記ダクト終端部材は、前記配線ダクトの金属部及び前記配線ダクトカバーの金属板を電気的に接続する連結金属部材と、前記配線ダクトカバーの金属板及び前記配線ダクトの金属部を接続する金属製の固定部材とを有することを特徴とする請求項3記載の配線ダクトシステム。
【請求項7】
前記配線ダクトの始端部に装着されるダクト始端部材を備え、
前記ダクト始端部材は、前記配線ダクトの金属部及び前記配線ダクトカバーの金属板を電気的に接続する連結金属板と、前記配線ダクトカバーの金属板及び前記配線ダクトの金属部を接続する金属製の固定部材とを有することを特徴とする請求項3記載の配線ダクトシステム。
【請求項8】
前記配線ダクトカバーは、前記配線ダクトの開口部の端部に係止する係止部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の配線ダクトシステム。
【請求項9】
前記配線ダクトカバーは、前記配線ダクトの前記ハウジングの外郭上部に係止する係止部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の配線ダクトシステム。
【請求項10】
前記配線ダクトカバーは、前記配線ダクトの長手方向端部から前記ハウジング内部に挿入され、前記下方に位置する導線と前記開口部との間に構成された溝により保持されることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載の配線ダクトシステム。
【請求項11】
前記配線ダクトカバーは、前記配線ダクトに電気機器のプラグを取り付けるときに用いられる開口部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の配線ダクトシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の配線ダクトシステムにおける配線ダクト及び配線ダクトカバーに対して取り付けることができるプラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−151002(P2012−151002A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9001(P2011−9001)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】