配線基板、多数個取り配線基板、およびその製造方法
【課題】基板本体の側面に位置する切欠部付近でのバリや該切欠部の内壁面に設けた導体層の千切れが少ない配線基板を提供する。
【解決手段】複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面2,3と、該一対の主面2,3の間に位置し、且つ一方の主面(裏面)3側に沿って位置する溝入面6および該溝入面6と他方の主面2との間に位置する破断面5を有する側面4と、を備えた基板本体と、側面4の一方の主面3側にのみ形成され、該側面4の厚み方向に沿った平面視が凹形状の切欠部11と、を備えた配線基板1aであって、切欠部11を有する側面4において、溝入面6と破断面5との境界線7は、側面視で基板本体における一方の主面3側に凸となる第1の湾曲部R1を、切欠部11の両側に有すると共に、基板本体における他方の主面(表面)2側に凸となる第2の湾曲部R2を、切欠部11における他方の主面2側に有する、配線基板。
【解決手段】複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面2,3と、該一対の主面2,3の間に位置し、且つ一方の主面(裏面)3側に沿って位置する溝入面6および該溝入面6と他方の主面2との間に位置する破断面5を有する側面4と、を備えた基板本体と、側面4の一方の主面3側にのみ形成され、該側面4の厚み方向に沿った平面視が凹形状の切欠部11と、を備えた配線基板1aであって、切欠部11を有する側面4において、溝入面6と破断面5との境界線7は、側面視で基板本体における一方の主面3側に凸となる第1の湾曲部R1を、切欠部11の両側に有すると共に、基板本体における他方の主面(表面)2側に凸となる第2の湾曲部R2を、切欠部11における他方の主面2側に有する、配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板本体の側面に位置する切欠部付近でバリや該切欠部の内壁面に設けた導体層の千切れが少ない配線基板、該配線基板を複数個得るための多数個取り配線基板、および該多数個取り配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、セラミック製の配線基板は、セラミック製の多数個取り配線基板をその表面や裏面に設けた分割溝に沿って個々の配線基板に分割して個片化するにより製作されている。かかる分割時では、分割溝の付近に位置する金属層などのクズやバリを生じにくくするため、所定範囲の刃先角である刃物をグリーンシート積層体の切断予定位置に沿って挿入することで、所要の分割溝を形成可能とした多数個取り配線基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1の製造方法の刃物による溝入れをグリーンシートに施した場合、形成すべき分割溝が径方向に沿って交叉し、追って切欠部となる貫通孔や非貫通孔の内壁面では破断面(亀裂の進行)が蛇行するため、バリや欠けが発生し易い。しかも、前記刃物により形成する分割溝の深さは、隣接する2つの配線基板部の内部配線同士を接続するメッキ用配線の位置よりも浅くする必要があるため、非貫通孔の底面や、異なる2つの内径を同軸心で有する貫通孔の段部よりも浅くせざる得ないことも、上記バリなどを誘発し易くしている。
更に、上記貫通孔などの内壁面に導体層が形成されている場合は、該導体層の金属を引き千切ることによる導体のバリが発生し易くなり、分割後にメッキ被膜処理が施されていない導体層の切断面が露出するため、該導体層をハンダ付けして実装する際の信頼性が低下するおそれもあった。
【0003】
一方、前記グリーンシートの貫通孔における内壁面での破断面(亀裂の進行)の蛇行に伴うバリや欠けを防ぐため、同じ嶺(刃元)に対し刃先の高さ(幅)が異なる特殊な刃物を用いることより、分割溝の深さが不連続に異なる部分を形成可能とした多数個取り配線基板も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、特許文献2の多数個取り配線基板では、分割溝と交叉する任意の位置に貫通孔を形成すべき位置が変更される度に、グリーンシートの表面付近と貫通孔付近との双方に対応した刃先の高さ(幅)および長さが種々異なる特殊な刃物を数多く用意する必要がある。そのため、多種類の特殊な刃物が必要となり、製造コストが著しく嵩むと共に、生産性が低下してしまう、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−218319号公報(第1〜11頁、図1〜8)
【特許文献2】特開2009−266992号公報(第1〜11頁、図1〜8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術にて説明した問題点を解決し、基板本体の側面に位置する切欠部付近でのバリや該切欠部の内壁面に設けた導体層の千切れが少ない配線基板、該配線基板を複数個得るための多数個取り配線基板、および多数個取り該配線基板を確実に得るための製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、個々の配線基板の側面に位置する切欠部となるグリーンシートの貫通孔または有底孔と交叉する分割溝の深さを、該貫通孔または有底孔と交叉しない位置での分割溝の深さよりも深くする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による第1の配線基板(請求項1)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面を有する側面と、を備えた基板本体と、少なくとも前記側面の一方の主面側にのみ形成され、該側面の厚み方向に沿った平面視が凹形状の切欠部と、を備えた配線基板であって、前記切欠部を有する側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記切欠部の両側に有すると共に、上記基板本体における他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を、上記切欠部における他方の主面側に有する、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記基板本体の前記切欠部を有する側面において、前記溝入面と破断面との境界線が、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、側面の長手方向における上記切欠部の両側に有すると共に、上記基板本体における他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を、上記切欠部における他方の主面側に有している。しかも、上記切欠部は、上記側面における左右一対の第1の湾曲部と、該切欠部の最奥部と上記側面における他方の主面側との間に位置する第2の湾曲部とに囲まれており、かかる2種類の湾曲部は、破断面よりも比較的平滑な前記溝入面の一部が上記側面における他方の主面側に張り出した部分の区画線である。従って、前記側面における一方の主面側に位置する切欠部付近におけるセラミックのバリや欠け、更には該切欠部の内壁面に設けられる導体層の千切れが少なく、形状および寸法精度に優れた配線基板とされている。
【0008】
尚、前記一対の主面における一方の主面および他方の主面は、相対的な呼称であり、例えば、一方の主面を前記基板本体の裏面とした場合、他方の主面が前記基板本体の表面となる。
また、前記セラミックには、アルミナ、ムライト、窒化アルミニウムなどの高温焼成セラミックのほか、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックも含まれる。
更に、前記溝入面は、後述する多数個取り配線基板となるグリーンシート積層体の主面に対し、レーザ加工で形成した断面V字形状の分割溝に沿って各配線基板ごとに個片化した際に、個々の配線基板の側面に露出する上記分割溝における何れか一方の内壁面である。
また、前記溝入面の幅(厚み方向の深さ)は、前記基板本体における側面の幅(厚み方向)の50%以下とすることが望ましい。これにより、後述する多数個取り配線基板において隣接していた配線基板同士の内部配線を接続するメッキ用配線が、配線基板同士の間に溝入された分割溝により、切断される事態を容易に防ぐことができる。換言すると、配線基板に形成されたメッキ用配線の端面は、前記側面において、前記切欠部の最奥部よりも浅い位置における一方の主面側の破断面に露出している。
更に、前記切欠部は、四辺の前記側面の全てに形成するほか、何れか1つ乃至3つの側面にのみ形成されていても良い。
加えて、前記切欠部は、少なくともその内壁面に後述する導体層が形成され、該導体層は、配線基板の内部配線と外部と導通するための外部接続端子である。
【0009】
また、本発明による第2の配線基板(請求項2)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面を有する側面と、を備えた基板本体と、少なくとも隣接する一対の上記側面間の角部における一方の主面側のみに形成され、上記側面の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の切欠部と、を備えた配線基板であって、前記切欠部の両側に位置する一対の側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記切欠部の両側に有すると共に、上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記切欠部における他方の主面側に有する、ことを特徴とする。
これによれば、上記切欠部は、一対の側面ごとにおける第1の湾曲部と、該切欠部の最奥部と各側面における他方の主面側との間に位置する第3の湾曲部とに囲まれている。該2種類の湾曲部は、破断面よりも比較的平滑な溝入面の一部が前記側面における他方の主面側に張り出した部分である。従って、一対の側面間の角部で且つ一方の主面側に位置する切欠部付近でのバリや欠け、更には該切欠部の内壁面に設けられる導体層の千切れの少ないので、形状および寸法精度に優れた配線基板となっている。
【0010】
更に、本発明による第3の配線基板(請求項3)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面とを有する側面と、を備えた基板本体と、少なくとも前記側面の一方の主面側にのみ形成され、該側面の厚み方向に沿った平面視が凹形状の第1切欠部と、該第1切欠部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、上記側面の厚み方向に沿った平面視が上記第1切欠部と相似形且つ少断面積の第2切欠部と、を備えた配線基板であって、上記第1切欠部および第2切欠部を有する側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記第1切欠部の両側に有すると共に、上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記第2切欠部の両側に有する、ことを特徴とする。
【0011】
これによれば、上記第1切欠部は、上記側面の長手方向に沿った両側に位置する一対の第1の湾曲部に挟まれ、上記第2切欠部は、上記側面の長手方向に沿った両側に位置する一対の第3の湾曲部に挟まれると共に、上記第1切欠部において第2切欠部を除いた左右一対の最奥部には、上記一対の第3の湾曲部が個別に隣接している。しかも、上記4箇所に位置する2種類の湾曲部は、破断面よりも比較的平滑な前記溝入面の一部が前記側面における他方の主面側に張り出した部分である。従って、前記側面における一方の主面側に位置する第1切欠部付近、およびこれに隣接する第2切欠部付近でのバリや欠け、更には、該第1および第2切欠部の内壁面に設けられる導体層の千切れの少ないので、形状および寸法精度に優れた配線基板となっている。
【0012】
加えて、本発明による第4の配線基板(請求項4)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面とを有する側面と、を備えた基板本体と、少なくとも隣接する1対の側面間の角部における一方の主面側にのみ形成され、上記側面の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の第3切欠部と、該第3切欠部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、上記側面の厚み方向に沿った平面視が上記第3切欠部と相似形で且つ少断面積の第4切欠部と、を備えた配線基板であって、上記第3切欠部および第4切欠部を有する角部に隣接する一対の側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記第3切欠部の両側に有すると共に、上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記第4切欠部の両側に有する、ことを特徴とする。
【0013】
これによれば、上記第3切欠部は、上記一対の各側面の長手方向に沿った両側に位置する一対の第1の湾曲部に挟まれ、上記第4切欠部は、上記一対の各側面の長手方向に沿った両側に位置する一対の第3の湾曲部に挟まれると共に、上記第3切欠部において第4切欠部を除いた一対の各側面の最奥部には、上記一対の第3の湾曲部が個別に隣接している。しかも、上記4箇所に位置する2種類の湾曲部は、破断面よりも比較的平滑な前記溝入面の一部が前記側面における他方の主面側に張り出した部分である。従って、前記側面における一方の主面側に位置する第3切欠部付近、およびこれに隣接する第4切欠部付近でのバリや欠け、更には、該第3および第4切欠部の内壁面に設けられた導体層の千切れの少ないので、形状および寸法精度に優れた配線基板となっている。
【0014】
また、本発明には、前記側面における他方の主面に沿って別の溝入面が更に位置し、前記破断面は、該別の溝入面と前記溝入面との間に位置している、配線基板(請求項5)も含まれる。
これによれば、前記側面における一方の主面側に形成され、且つ第1乃至第4の湾曲部の何れかによる張り出した部分を含む前記溝入面のほか、他方の主面側にも別の溝入れ面が平行状に形成されている。従って、該一対の溝入面に挟まれた位置にのみ前記破断面が形成されているので、第1ないし第4切欠部の何れか付近でのバリなどや、該第1ないし第4切欠部の何れかの内壁面に設けられる導体層の千切れが更に少なく、形状・寸法精度に一層優れた配線基板とされている。
尚、前記別の溝入面には、前記側面の長手方向に沿った帯状の形態であるほか、前記第2切欠部や第4切欠部の両側において、前期同様の湾曲部を形成する張り出し部分を併有する形態も含まれる。
【0015】
更に、本発明には、前記切欠部、あるいは第1切欠部ないし第4切欠部の内壁面には、該内壁面に沿った導体層が形成されている、配線基板(請求項6)も含まれる。
これによれば、第1切欠部ないし第4切欠部の内壁面に沿って形成された上記導体層を介して、プリント基板などのマザーボード側の接続端子と、基板本体を構成する複数のセラミック層間の何れかに形成された内部配線、更には、他方の主面(表面)に形成された表面配線との導通を確実に取ることができる。しかも、各切欠部の内壁面に形成された導体層は、前記溝入面に露出する端面(分割前の断面)にも、NiやAuなどの金属メッキ膜が確実に被覆されているため、上記マザーボードに搭載する際のロウ付けも容易且つ強固に行うことが可能となる。
【0016】
一方、本発明の多数個取り配線基板(請求項7)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形である一対の主面を有する複数の配線基板部を縦横に隣接して併有する製品領域と、上記と同じセラミック層からなり、上記製品領域の周囲に位置する平面視が矩形枠状である一対の主面を有する耳部と、隣接する上記配線基板部同士の間、および上記製品領域と耳部との間に沿って、少なくとも一方の主面に形成された平面視が格子状の分割溝と、該分割溝が径方向に沿って交叉し、且つ一方の主面にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部と、を備えた多数個取り配線基板であって、上記第1円柱部と径方向に沿って交叉する1つまたは2つの分割溝の底部は、側面視で該第1円柱部の両側に一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を有すると共に、上記第1円柱部における他方の主面側には、該他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を有している、ことを特徴とする。
【0017】
これによれば、前記第1円柱部をその径方向に沿って交叉して、該第1円柱部を2つに分割する1つの分割溝の底部、あるいは上記第1円柱部で互いに直角に交叉して、該第1円柱部を4つに分割する2つの分割溝の底部は、側面視で該分割溝の長手方向に沿った当該第1円柱部の両側に、一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を対称に有している。更に、第1円柱部における他方の主面側には、該他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を有している。そのため、上記分割溝に沿って、製品領域の配線基板部ごとに個片した際に、上記第1円柱部が2つに分割された平面視が凹形状の前記切欠部、あるいは上記第1円柱部が4つに分割された平面視が4分の1円弧形状の前記切欠部の付近には、セラミックのバリや欠けが生じにくくなっている。従って、形状および寸法精度に優れたセラミックからなる複数の配線基板を確実に提供することができる。
【0018】
また、本発明には、前記第1円柱部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、前記製品領域の厚み方向に沿った平面視が上記第1円柱部と相似形で且つ少断面積の第2円柱部が更に形成され、上記第1円柱部および第2円柱部と径方向に沿って交叉する1つまたは2つの分割溝の底部は、側面視で当該第2円柱部の両側に一方の主面側に凸となる第3の湾曲部を更に有している、多数個取り配線基板(請求項8)も含まれる。
これによれば、前記第1円柱部および第2円柱部を軸方向に沿って2つまたは4つに分割する分割溝の底部は、側面視で該分割溝の長手方向に沿った当該第1円柱部の両側に、一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を対称に有すると共に、上記分割溝の長手方向に沿った第2円柱部の両側に、一方の主面側に凸となる第3の湾曲部を対称に有している。そのため、上記分割溝に沿って、製品領域の配線基板部ごとに個片した際に、上記第1・第2円柱部が2つまたは4つに分割された前記第1・第2切欠部あるいは第3・第4切欠部の付近には、セラミックのバリや欠けが生じにくくなるので、形状および寸法精度に優れた複数の配線基板を確実に提供できる。
【0019】
更に、本発明には、前記第1円柱部の内壁面、あるいは第1および第2円柱部の内壁面の双方には、該内壁面に沿った導体層が形成されている、多数個取り配線基板(請求項9)も含まれる。
これによれば、前記分割溝に沿って、製品領域の配線基板部ごとに個片した際に、上記第1・第2円柱部が2つまたは4つに分割された前記第1・第2切欠部あるいは前記第3・第4切欠部の付近には、セラミックのバリと共に導体層の千切れも生じにくくなっている。しかも、各分割溝内に露出する導体層の端面には、NiやAuなどのメッキ膜が全面あるいは広く被覆されている。従って、製品領域の各配線基板を個片した際に、外部(マザーボードなど)との導通性および搭載時のロウ付け性の双方で優れた複数の配線基板を確実に提供することができる。
【0020】
加えて、本発明による多数個取り配線基板の製造方法(請求項10)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形である一対の主面を有する複数の配線基板部を縦横に隣接して併有する製品領域と、上記と同じ複数のセラミック層からなり、上記製品領域の周囲に位置する平面視が矩形枠状である一対の主面を有する耳部と、隣接する上記配線基板部同士の間、および上記製品領域と耳部との間に沿って、少なくとも一方の主面に形成された平面視が格子形状の分割溝と、該分割溝が径方向に沿って交叉し、且つ一方の主面にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部と、を備えた多数個取り配線基板の製造方法であって、平面視が矩形である一対の主面を有する複数のグリーンシートのうち、一部または全部のグリーンシートに内径が同径あるいは異径である複数の透孔を形成する工程と、複数の上記グリーンシートを積層して得られたグリーンシート積層体の少なくとも一方の主面において、上記複数の透孔が連通した非貫通孔または貫通孔と平面視で焦点が交叉し、且つ配線基板部の周囲および製品領域と耳部とを区画する分割溝予定位置に沿って、レーザを上記非貫通孔または貫通孔内を含んで連続して照射しつつ走査することにより、複数の分割溝を平面視で格子状に形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0021】
これによれば、前記グリーンシート積層体における少なくとも一方の主面において、前記非貫通孔または貫通孔と径方向に沿って交叉するようにレーザを連続して照射しつつ走査するので、該主面に格子状に形成される分割溝の底部は、上記非貫通孔または貫通孔の両側などに一方の主面側に凸となる第1湾曲部や、他方の主面側に凸となる第2・第3湾曲部を有している。従って、形状および寸法精度に優れた配線基板を併有している前記多数個取り配線基板を、確実に製造することが可能である。
尚、前記多数個取り配線基板の製造方法では、前記貫通孔などは、複数層のグリーンシートごとに形成され、その後の工程で該複数層のグリーンシートの透孔が連通するように積層された生のグリーンシート積層体において形成されている。
また、前記多数個取り配線基板の製造方法において、例えば、前記分割孔を形成するレーザの焦点は、前記グリーンシート積層体の厚み方向において、前記貫通孔などの内側を含め、ほぼ一定の深さの位置を保って該レーザ加工が行われる。
更に、前記グリーンシートの透孔ごとの内壁面に導体層を形成する工程を加えることで、前記グリーンシート積層体の非貫通孔または貫通孔の内壁面に、円筒形状の導体層を形成し、該導体層と交叉するように前記分割溝を形成する形態としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による第1の配線基板を斜め下方から示す斜視図。
【図2】本発明による第2の配線基板を斜め下方から示す斜視図。
【図3】本発明による第3の配線基板を斜め下方から示す斜視図。
【図4】本発明による第4の配線基板を斜め下方から示す斜視図。
【図5】第1の配線基板の応用形態の配線基板を示す側面図。
【図6】第2の配線基板の応用形態の配線基板を示す側面図。
【図7】第3の配線基板の応用形態の配線基板を示す側面図。
【図8】第4の配線基板の応用形態の配線基板を示す側面図。
【図9】本発明による第1の多数個取り配線基板を示す平面図。
【図10】図9中X−X線の矢視に沿った部分拡大断面図。
【図11】第3の多数個取り配線基板を示す図10と同様な部分拡大断面図。
【図12】本発明による第2の多数個取り配線基板を示す平面図。
【図13】図12中のY−Y線の矢視に沿った部分拡大断面図。
【図14】第4の多数個取り配線基板を示す図13と同様な部分拡大断面図。
【図15】第1の多数個取り配線基板の一製造工程を示す概略図。
【図16】図15に続く同じ製造工程を示す概略図。
【図17】第2の多数個取り配線基板の一製造工程を示す概略図。
【図18】図17に続く同じ製造工程を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による第1の配線基板1aを斜め下方から示す斜視図である。
第1の配線基板1aは、図1に示すように、複数のセラミック層(図示せず)Sが積層されてなり、平面視が矩形(正方形または長方形)で対向する一対の主面2,3と、該一対の主面2,3の間に位置する四辺の側面4と、を備えた基板本体kpと、該側面4ごとにおける一方の主面(裏面)3側にのみ形成され、該側面4の厚み方向に沿った平面視が凹形状(半円弧形状)の切欠部11と、該切欠部11の内壁面に沿って形成された導体層12と、を備えている。
上記側面4は、一方の主面(裏面)3側に沿って位置する溝入面6と、該溝入面6と他方の主面(表面)2との間に位置する前記セラミックSの破断面5とを有している。上記溝入面6は、後述する多数個取り配線基板に形成された分割溝における何れか一方の内壁面であり、セラミックSの破断面5に比べて、比較的平滑な面である。
【0024】
また、前記導体層12は、切欠部11の天井面にも平面視が半円弧状の導体層15を一体に有している。該導体層15は、その外周側に沿って前記セラミック層S間に進入するフランジ部fを有している。
前記セラミック層Sは、アルミナやムライトなどの高温焼成セラミック、あるいは低温焼成セラミックの一種であるガラスーセラミックからなる。また、前記導体層12,15は、セラミック層Sが高温焼成セラミックの場合には、WまたはMoからなり、セラミック層Sが低温焼成セラミックの場合には、CuまたはAgからなる。尚、一方の主面3は、通常、基板本体kpの裏面であり、他方の主面2は、通常、基板本体kpの裏面であるが、両者は、相対的な呼称である。
【0025】
図1に示すように、各側面4において、溝入れ面6と破断面5との境界線7は、側面視で上記切欠部11および導体層12の両側に、一方の主面3側に凸となる第1の湾曲部R1を左右対称に有すると共に、上記切欠部11および導体層12,15における他方の主面2側に、該他方の主面2側に凸となる第2の湾曲部R2を有している。即ち、図1に示すように、各側面4における溝入面6は、側面視で切欠部11および導体層12の両側に、他方の主面2側に奥細形状である一対の張り出し部8と、切欠部11および導体層12,15における他方の主面2側に、該他方の主面2側に凸となる半円弧形状の張り出し部9とを延在させている。該張り出し部8,9は、後述する多数個取り配線基板に分割溝をレーザ加工によって形成する際に、該分割溝の一部として付随的に形成されたものである。
【0026】
図2は、本発明による第2の配線基板1cを斜め下方から示す斜視図である。
第2の配線基板1cは、図2に示すように、前記同様の主面2,3および側面4を有する基板本体kpと、隣接する側面4,4間ごとの角部における一方の主面(裏面)3側にのみ形成され、該側面4の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の切欠部13と、該切欠部13の内壁面に沿って形成された前記同様の導体層14と、を備えている。該導体層14は、切欠部13の天井面に4分の1円弧状の導体層16を一体に有しており、該導体層16は、その外周側に沿って前記セラミック層S間に進入するフランジ部fを有している。
図2に示すように、切欠部13および導体層14の両側に位置する一対の側面4,4間において、溝入れ面6と破断面5との境界線7は、側面視で上記切欠部13および導体層14の両側に、一方の主面3側に凸となる第1の湾曲部R1を左右対称に有すると共に、上記切欠部13および導体層14における他方の主面2側に、該他方の主面2側に凸となる第3の湾曲部R3を左右対称に有している。
【0027】
即ち、図2に示すように、各側面4における溝入面6は、側面視で両端に位置する切欠部13および導体層14に隣接して他方の主面2側に奥細形状となる張り出し部8と、切欠部13および導体層14における他方の主面2側に、4分の1円弧形状の張り出し部10とを延在させている。該張り出し部8,10も、後述する多数個取り配線基板に分割溝をレーザ加工によって形成する際に、該分割溝の一部として付随的に形成されたものである。
以上のような第1・第2の配線基板1a,1cによれば、前記側面4における一方の主面3側に位置する切欠部11,13付近におけるセラミックSのバリや欠け、更には、該切欠部11,13の内壁面に設けられた導体層12,14の千切れが少ないので、形状および寸法精度に優れている。
【0028】
また、上記導体層12,14を介して、図示しないプリント基板などのマザーボード側の接続端子と、基板本体kpを構成する複数のセラミック層S間の何れかに形成された内部配線(図示せず)との導通、更には、他方の主面2に形成された表面配線(図示せず)との導通を確実に取ることもできる。しかも、導体層12,14は、前記溝入面6に露出する端面(分割前の断面)にも、NiやAuなどの金属メッキ膜が確実に被覆されているため、上記マザーボードに搭載する際のロウ付けも容易且つ強固に行うことが可能となる。加えて、側面4ごとの厚み方向に沿った幅に対する溝入面6の幅が、切欠部11,13付近を除いて、約20〜30%(50%以下)と狭いため、多数個取り配線基板の際に隣接していた配線基板部同士間を導通するためメッキ用配線の位置を、破断面5のうち、境界線7側の近接した位置に設定することも可能となっている。
尚、前記切欠部11,13および導体層12,14は、少なくとも何れか1つの側面4のみ、あるいは隣接する1対の側面4,4間のみに形成されていても良い。
【0029】
図3は、本発明による第3の配線基板1eを斜め下方から示す斜視図である。
第3の配線基板1eは、図3に示すように、前記同様の主面2,3および側面4を有する基板本体kpと、該側面4ごとにおける一方の主面(裏面)3側にのみ形成され、該側面4の厚み方向に沿った平面視が凹形状である第1切欠部11と、該第1切欠部11の天井面(奥側面)の中心部と他方の主面(表面)2との間を貫通し且つ平面視が上記同様の少断面の凹形状である第2切欠部17と、第1・第2切欠部11,17の内壁面に沿って形成された導体層12,18と、を備えている。第1切欠部11の天井面には、上記導体層12,18を接続する底面視が半リング形状の導体層15が形成され、該導体層15は、その外周側に沿って前記セラミック層S間に進入するフランジ部fを有している。
【0030】
図3に示すように、各側面4において、溝入れ面6と破断面5との境界線7は、側面視で第1切欠部11および導体層12の両側に、一方の主面3側に凸となる第1の湾曲部R1を左右対称に有すると共に、第2切欠部17および導体層18の両側に、基板本体kpにおける他方の主面2側に凸となる第3の湾曲部R3を左右対称に有している。即ち、図3に示すように、各側面4における溝入面6は、側面視で第1切欠部11および導体層12の両側に他方の主面2側に奥細形状となる左右一対の張り出し部8と、第2切欠部17および導体層18の両側における第1切欠部11側に、4分の1円弧形状の張り出し部10とを延在させている。該張り出し部8,10も、後述する多数個取り配線基板に分割溝をレーザ加工によって形成する際に、付随的に形成されたものである。尚、張り出し部10は、導体層18に沿って他方の主面2側に延びた角状の延長部を含んでいる。
【0031】
図4は、本発明による第4の配線基板1gを斜め下方から示す斜視図である。
第4の配線基板1gは、図4に示すように、前記同様の主面2,3および側面4を有する基板本体kpと、隣接する側面4,4間ごとの角部における一方の主面(裏面)3側にのみ形成され、該側面4の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の第3切欠部13と、該第3切欠部13の天井面(奥側面)の中心部と他方の主面(表面)2との間を貫通し且つ平面視が上記同様の少断面である4分の1円弧形状である第4切欠部19と、かかる第3・第4切欠部13,19の内壁面に沿って形成された前記同様の導体層14,20と、を備えている。第3切欠部13の天井面には、上記導体層14,20を接続する底面視が扇形状の導体層16が形成され、該導体層16は、その外周側に沿って前記セラミック層S間に進入するフランジ部fを有している。
【0032】
図4に示すように、第3切欠部13および導体層14の両側に位置する一対の側面4,4間において、溝入れ面6と破断面5との境界線7は、側面視で上記切欠部13および導体層14の両側に、一方の主面3側に凸となる第1の湾曲部R1を左右対称に有すると共に、第4切欠部19および導体層20の両側における第3切欠部13側に、該他方の主面2側に凸となる第3の湾曲部R3を左右対称に有している。即ち、図4に示すように、各側面4における溝入面6は、側面視で両端に位置する第3切欠部13および導体層14に隣接して他方の主面2側に奥細形状となる張り出し部8と、第4切欠部19および導体層20の両側に隣接し且つ第3切欠部13側に、4分の1円弧形状の張り出し部10とを延在させている。該張り出し部8,10も前記同様にして形成されたものである。尚、前記張り出し部10は、導体層20に沿って他方の主面2側に延びた角状の延長部を含んでいる。
以上のような第3・第4の配線基板1e,1gによれば、前記側面4における一方の主面3側に位置する第1〜第4切欠部11,13,17,19付近におけるセラミックSのバリや欠け、更には、該切欠部11,13,17,19の内壁面に設けられた導体層12,14,18,20の千切れが少ないので、形状および寸法精度に優れている。
【0033】
また、前記導体層12,14,18,20を介して、図示しないプリント基板などのマザーボード側の接続端子と、基板本体kpを構成する複数のセラミック層S間の何れかに形成された内部配線との導通や、他方の主面2に形成された表面配線(図示せず)との導通を確実に取ることができる。しかも、導体層12,14,18,20は、前記溝入面6に露出する端面にも、Auなどの金属メッキ膜が確実に被覆されているため、マザーボードに搭載する際のロウ付けも容易且つ強固に行うことが可能となる。加えて、側面4ごとの厚み方向に沿った幅に対する溝入面6の幅が、切欠部11,13,17,19付近を除いて50%以下と狭いため、多数個取り配線基板の際に隣接していた配線基板部同士間を導通するためメッキ用配線の位置を、破断面5内の任意の位置に容易に設定することも可能である。
尚、前記切欠部11,13,17,19および導体層12,14,18,20は、少なくとも何れか1つの側面4のみ、あるいは隣接する一対の側面4,4間のみに形成されていても良い。
【0034】
図5は、前記第1の配線基板1aの応用形態である配線基板1bを示す側面図である。該配線基板1bは、図5に示すように、前記同様の基板本体kpの側面4ごとにおいて、切欠部11および導体層12が形成された一方の主面(裏面)3側に加え、他方の主面(表面)2側にも、該主面2に沿った帯状の溝入面6を形成している。そのため、配線基板1bの各側面4では、破断面5が一対の溝入面6,6の間に挟まれているが、かかる一対の溝入面6,6全体の幅の合計は、基板本体kpの厚み方向に沿った側面4の幅の50%以下である。
図6は、前記第2の配線基板1cの応用形態である配線基板1dを示す側面図である。該配線基板1dは、図6に示すように、前記同様の基板本体kpの側面4,4間の角部ごとにおいて、両端に切欠部13および導体層14が形成された一方の主面(裏面)3側に加え、他方の主面(表面)2側にも、該主面2に沿った帯状の溝入面6を形成している。そのため、配線基板1dの各側面4では、一対の溝入面6,6の間に破断面5が帯状に挟まれている。
【0035】
図7は、前記第3の配線基板1eの応用形態である配線基板1fを示す側面図である。該配線基板1fは、図7に示すように、前記同様の基板本体kpの側面4ごとにおいて、第1切欠部11および導体層12が形成された一方の主面(裏面)3側に加え、他方の主面(表面)2側にも、該主面2に沿った帯状の溝入面6を形成している。そのため、配線基板1fの各側面4では、一対の溝入面6,6の間に破断面5が帯状に挟まれている。尚、他方の主面2側の溝入面6は、第2切欠部17および導体層18の両側で奥側に細くなる張り出し部を有している。
図8は、前記第4の配線基板1gの応用形態である配線基板1hを示す側面図である。該配線基板1hは、図8に示すように、前記同様の基板本体kpの側面4,4間の角部ごとにおいて、両端に切欠部13および導体層14が形成された一方の主面(裏面)3側に加え、他方の主面(表面)2側にも、該主面2に沿った帯状の溝入面6を形成している。そのため、配線基板1hの各側面4では、一対の溝入面6,6の間に破断面5が帯状に挟まれている。尚、他方の主面2側の溝入面6は、両端の第4切欠部19および導体層20の両側で奥側に細くなる張り出し部を有している。
以上のような配線基板1b,1d,1f,1hによっても、前記配線基板1a,1c,1e,1gと同様な効果を奏することが可能である。
【0036】
図9は、本発明による第1の多数個取り配線基板21aを示す平面図、図10は、図9中のX−X線の矢視に沿った部分垂直断面図である。
多数個取り配線基板21aは、図9,10に示すように、複数のセラミック層(図示せず)が積層されてなる前記同様のセラミックSからなり、平面視が矩形(正方形または長方形)である一対の主面22,23を有する複数の配線基板部1nを縦横に隣接して併有する製品領域24と、上記と同じセラミックSからなり、前記製品領域24の周囲に位置し且つ平面視が矩形枠状である一対の主面22,23を有する耳部25と、隣接する上記配線基板部1n,1n間、および製品領域24と耳部25との間に沿って一方の主面23に形成された平面視が格子枠状の分割溝26とを備えている。該分割溝26は、断面がV字形状を呈し、後述するレーザ加工によって形成されたものである。
【0037】
尚、前記一対の主面22,23は、配線基板部1n、製品領域24、および耳部25に共通して用いられる。このうち、一方の主面23は、追って前記配線基板1aの一方の主面(裏面)3となり、他方の主面22は、前記配線基板1aの他方の主面(表面)2となる。また、上記分割溝26における一方の内壁面は、追って前記配線基板1aの各側面4における前記溝入面6となるものである。更に、前記配線基板部1nは、追って個片化された際に前記第1の配線基板1aとなるものである。
図9,10に示すように、該配線基板部1nの周囲を区画する四辺の分割溝26ごとの中間には、該分割溝26が径方向に沿って交叉し且つ一方の主面23側にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部(切欠部:有底孔)31が位置し、該第1円柱部31の内壁面に沿った円筒形状の導体層12と、該円柱部31の底面に位置し且つ上記導体層12と接続する円盤状の導体層15とが形成されている。尚、導体層12は、一方の主面23上にリング状延びたフランジ部を有し、導体層15は、外周側にセラミック層(S)間に進入するフランジ部を有する。該導体層12,15も、前記同様のWまたはMoなどからなる。
【0038】
図10に示すように、第1円柱部31および導体層12,15と径方向に沿って交叉する分割溝26の底部27は、側面視で上記第1円柱部31および導体層12,15の両側に、一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1を有すると共に、上記第1円柱部31および導体層12,15における他方の主面22側に、該他方の主面22側に凸となる第2の湾曲部R2を有している。
即ち、分割溝26は、側面視(垂直断面)で上記第1円柱部31および導体層12,15の両側に、他方の主面22側に向かって奥側が細くなる張り出し部28と、上記第1円柱部31および導体層12,15における他方の主面22側に、該他方の主面22側に凸となる半円形状の張り出し部29とを有している。
【0039】
図11は、本発明による第3の多数個取り配線基板21eを示す前記図10と同様な部分垂直断面図である。
第3の多数個取り配線基板21eは、追って前記第3の配線基板1eとなる複数の配線基板部1nを併有する前記同様の製品領域24、耳部25、および分割溝26を備えている。図11に示すように、上記配線基板部1nの周囲を区画する四辺の分割溝26ごとの中間には、該分割溝26が径方向に沿って交叉し且つ一方の主面23側にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部31と、該第1円柱部31の奥側(底面)の中心部と他方の主面22との間を貫通し、前記製品領域24の厚み方向に沿った平面視が上記第1円柱部31と相似形で且つ比較的小径の第2円柱部(切欠部)32と、が同心で連通して位置している。第1・第2円柱部31,32の内周面には、該内壁面に沿った円筒形状の導体層12,18が形成され、該導体層12,18間には、円盤状の導体層15が挟まれている。
尚、導体層12,16,18も、前記同様のWまたはMoなどからなり、それぞれ径方向に延びたフランジ部を有している。
【0040】
図11に示すように、第1円柱部31および導体層12と径方向に沿って交叉する分割溝26の底部27は、側面視で上記第1円柱部31および導体層12の両側に、一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1を有すると共に、第2円柱部32および導体層18の両側で且つ第1円柱部31側に、他法の主面22側に凸となる第3の湾曲部R3を有している。即ち、上記分割溝26は、側面視(垂直断面)で上記第1円柱部31および導体層12の両側に、他方の主面22側に向かって奥側が細くなる張り出し部28と、上記第2円柱部32および導体層18の両側で且つ一方の主面23側に、該他方の主面22側に凸となる4分の1円弧形状の張り出し部30とを有している。該張り出し部28,30を含む分割溝26も、後述するレーザ加工により形成されたものである。
以上のような第1・第3の多数個取り配線基板21a,21eによれば、前記第1・第2円柱部31,32をその径方向に沿って交叉して、該第1・第2円柱部31,32を2つに分割する分割溝26の底部27は、側面視で該分割溝26の長手方向に沿った第1円柱部31の両側に、一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1を対称に有している。更に、第1円柱部31における他方の主面22側には、該他方の主面22側に凸となる第2の湾曲部R2を有するか、第2円柱部32の両側に第3湾曲部R3を対称に有している。
【0041】
そのため、上記分割溝26に沿って、製品領域24の配線基板部1nごとに個片した際に、上記第1・第2円柱部31,32が軸方向に沿って2つに分割された平面視が凹形状の前記切欠部11,17の付近では、セラミックSのバリや欠けが生じにくくなっている。しかも、第1・第2円柱部31,32の内壁面に形成された導体層12,18の千切れもほぼ皆無であり、且つ分割溝26内に露出する該導体層12,18の端面にも、NiおよびAuメッキ膜が確実に被覆されている。従って、形状および寸法精度に優れた複数のセラミック製の前記配線基板1a,1eを確実に提供することができる。
尚、図10,11で示す多数個取り配線基板21a,21eにおいて、更に他方の主面22側にも、該主面22に沿った帯状の分割溝26を平面視で格子状に形成することで、前記配線基板1b,1fを形成するための配線基板部1nを複数個併有する多数個取り配線基板(21b,21f)とすることも可能である。
【0042】
図12は、本発明による第2の多数個取り配線基板21cを示す平面図、図13は、図12中のY−Y線の矢視に沿った部分垂直断面図である。
第2の多数個取り配線基板21cも、図12,13に示すように、前記同様のセラミックSからなり、前記同様の製品領域24、耳部25、および一方に主面23側にのみ格子状に形成した分割溝26を備えている。上記製品領域24内に位置する複数の配線基板部1nは、追って個片化された際に前記第2の配線基板1cとなるものである。
図12,13に示すように、該配線基板部1nの周囲を区画する四辺の分割溝26,26の交点付近には、該2つの分割溝26が径方向に沿って且つ直角に交叉し且つ一方の主面23側にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部31が位置し、該第1円柱部31の内壁面に沿って円筒形状の導体層14と、該円柱部31の底面に位置する前記同様の導体層16とが形成されている。該導体層14,16も前記同様のWまたはMoなどからなる。
【0043】
図13に示すように、第1円柱部31および導体層14と径方向に沿って且つ直角に交叉する2つの分割溝26の底部27は、側面視で上記第1円柱部31および導体層14の両側に、一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1を有すると共に、第1円柱部31および導体層14,16における他方の主面22側に、該他方の主面22側に凸となる第2の湾曲部R2を有している。
即ち、分割溝26は、側面視で上記第1円柱部31および導体層14の両側に、他方の主面22側に向かって奥側が細くなる張り出し部28と、上記第1円柱部31および導体層14,16における他方の主面22側に、該他方の主面22側に凸となる半円形状の張り出し部29とを有している。
【0044】
図14は、本発明による第4の多数個取り配線基板21gを示す前記図13と同様な部分垂直断面図である。
第4の多数個取り配線基板21gは、追って前記第4の配線基板1gとなる複数の配線基板部1nを併有する前記同様の製品領域24、耳部25、および、分割溝26を備えている。図14に示すように、上記配線基板部1nの周囲を区画する四辺の分割溝26,26の交点付近には、直交する2つの該分割溝26が径方向に沿って交叉し且つ一方の主面23側にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部31と、該第1円柱部31の奥側(底面)の中心部と他方の主面22との間を貫通し、前記製品領域24の厚み方向に沿った平面視が上記第1円柱部31と相似形の円形状で且つ小径の第2円柱部32とが同心で連通しつつ位置している。第1・第2円柱部31,32の内壁面には、導体層14,20が形成され、該導体層14,20間には、導体層16が挟まれている。該導体層14,16,20も前記同様のWまたはMoなどからなる。
【0045】
図14に示すように、第1円柱部31および導体層14と径方向に沿って交叉する分割溝26の底部27は、側面視で上記第1円柱部31および導体層14の両側に、一方の主面23側に凸となる一対の第1の湾曲部R1を対称に有すると共に、第2円柱部32および導体層20の両側で且つ第1円柱部31側に、他方の主面22側に凸となる第3の湾曲部R3を対称に有している。即ち、上記分割溝26は、側面視で上記第1円柱部31および導体層14の両側に、他方の主面22側に向かって奥側が細くなる張り出し部28と、上記第2円柱部32および導体層20の両側で且つ一方の主面23側に、該他方の主面22側に凸となる4分の1円弧形状の張り出し部30とを有している。該張り出し部28,30を含む分割溝26も、後述するレーザ加工により形成されたものである。
【0046】
以上のような第2・第4の多数個取り配線基板21c,21gによれば、前記第1・第2円柱部31,32をその径方向に沿って直角に交叉して、該第1・第2円柱部31,32を軸方向に沿って4つに分割する2つの分割溝26の底部27は、側面視で該分割溝26の長手方向に沿った第1円柱部31の両側に、一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1を対称に有している。更に、第1円柱部31における他方の主面22側には、該他方の主面22側に凸となる第2の湾曲部R2を有するか、第2円柱部32の両側に第3湾曲部R3を対称に有している。そのため、上記分割溝26に沿って、製品領域24の配線基板部1nごとに個片した際に、上記第1・第2円柱部31,32が軸方向に沿って4つに分割された平面視が4分の1円弧形状の前記切欠部13,19の付近には、セラミックSのバリや欠けが生じにくくなっている。しかも、第1・第2円柱部31,32の内壁面に形成された導体層14,20の千切れも少なく、且つ分割溝26内に露出する該導体層14,20の端面にも、NiおよびAuメッキ膜が確実に被覆されている。従って、形状および寸法精度に優れた複数の前記配線基板1c,1gを確実に提供することができる。
尚、図13,14で示す多数個取り配線基板21c,21gにおいて、更に他方の主面22側にも、該主面22に沿った帯状の分割溝26を平面視で格子状に形成することで、前記配線基板1d,1hを形成するための配線基板部1nを複数併有する多数個取り配線基板(21d,21h)とすることも可能である。
【0047】
以下において、前記第1,第3の多数個取り配線基板21a,21eの製造方法について説明する。
予め、アルミナ粉末に樹脂バインダおよび溶剤などを適量ずつ配合してセラミックスラリとし、該セラミックスラリをドクターブレード法によってシート化して、複数のグリーンシート(図示せず)を用意した。
次に、上記複数のグリーンシートごとの所定の位置に内径が異なる透孔を打ち抜き、細径の透孔にWまたはMo粉末を含む導電性ペーストを充填して未焼成のビア導体(図示せず)を形成すると共に、太径の透孔の内壁面に上記同様の導電性ペーストを負圧により塗布して未焼成の円筒形状の導体層を形成した。
更に、上記複数のグリーンシートごとの表面および裏面の少なくとも一方における所定の位置に上記同様の導電性ペーストを印刷により配設して、未焼成の内部配線層あるいは表面配線層(何れも図示せず)を形成した。尚、前記内部配線層は、一部がメッキ用配線層(図示せず)を兼ねる場合もある。
次いで、上記ビア導体、筒形導体層、および配線層の何れかを有する複数のグリーンシートを、積層し且つ圧着した。
【0048】
その結果、図15(a)に示すように、対向する一対の主面22,23を有し、一方の主面23にのみ開口する非貫通孔(有底孔)31hと、該非貫通孔31hの内壁面に沿って形成された円筒形状の導体層12と、その底面の導体層15とを有するグリーンシート積層体gsが得られた。
次に、図15(b)に示すように、グリーンシート積層体gsにおける一方の主面23側から、レーザ(光)Lを当該積層体gsの厚み方向に沿って照射し、且つ該主面23に沿って連続して走査した。該レーザLには、例えば、UV−YAGレーザを用い、その焦点Fの位置をレンズ34により一定の深さとし、且つ一定の送り速度(約100mm/秒)により行った。尚、形成すべき断面V字形状の分割溝23の深さが約200μmで且つ開口部の幅が約50μmの場合、上記レーザLの条件は、周波数:約30〜100Hz、繰り返し回数:2〜5回とした。
【0049】
更に、図16(a),(b)に示すように、上記レーザLが非貫通孔31hと導体層12の内側(中空部)を径方向に沿って通過した際にも、該レーザLの焦点F、送り速度、および上記各レーザ条件を一定に保った状態で、非貫通孔31hの中心部を径方向に沿って連続して通過させた。この際、非貫通孔31hと導体層12との内側(中空部)においては、上記レーザLの加工エネルギが一時的に余剰となった。
その結果、図16(a),(b)に示すように、非貫通孔31hおよび導体層12に交叉して形成された分割溝26の底部27には、導体層12の両側に一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1がそれぞれ対称にして形成され、且つ非貫通孔31hと導体層15の奥側には、他方の主面22側に凸となる第2の湾曲部R2が形成された。上記分割溝26は、グリーンシート積層体gsにおける一方の主面23において、平面視が格子形状となるようにして形成した。
【0050】
一方、前記ビア導体、筒形導体層、および配線層の何れかを有する複数の異なるグリーンシートを、積層し且つ圧着した。その結果、図17(a)に示すように、一対の主面22,23を有し、一方の主面23に開口する貫通孔31hと、該非貫通孔31hと他方の主面22との間を位置する比較的小径の貫通孔32hとが同心で貫通し、これらの内壁面に設けた導体層12,18と、該導体層12,18間に挟まれる導体層15とを有するグリーンシート積層体gsが得られた。
次に、図17(b)に示すように、グリーンシート積層体gsにおける一方の主面23側から、前記同様のレーザLを当該積層体gsの厚み方向に沿って、前記同様の条件で照射し、且つ該主面23に沿って連続して走査した。
【0051】
更に、図18(a),(b)に示すように、上記レーザLが貫通孔31h,32hと導体層12,18の内側(中空部:貫通孔)を径方向に沿って通過した際にも、該レーザLの各レーザ条件を一定に保った状態で、貫通孔31h,32hの中心部を径方向に沿って連続して通過させた。この際、貫通孔31h,32hと導体層12,18との内側(中空部)においては、上記レーザLの加工エネルギが一時的に余剰となった。
その結果、図18(a),(b)に示すように、貫通孔31h,32hおよび導体層12,18に交叉して形成された分割溝26の低部27には、導体層12の両側に一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1が対称に形成され、且つ貫通孔32hと導体層18の両側には、他方の主面22側に凸となる第3の湾曲部R3が対称に形成された。上記分割溝26も、グリーンシート積層体gsにおける一方の主面23において、平面視が格子形状となるようにして形成した。
【0052】
更に、前記2種類の各グリーンシート積層体gsを前記グリーンシートの焼成温度で焼成した。その結果、複数のグリーンシートが焼成して一体化したセラミック層Sとなったセラミック積層体(図示せず)が得られた。この際、前記導体層12,18や各配線基板1nの配線層なども同時に焼成された。
そして、上記セラミック積層体を所定の電解メッキ浴に順次浸漬し、前記メッキ電極などを活用して電解(NiおよびAu)金属メッキを施した。その結果、導体層12,18の内壁面などに加え、第3の湾曲面R3よりも上方に位置し且つ外部に露出する導体層18の端面(切断面)にも、にもNiメッキ膜およびAuメッキ膜が被覆された。
以上の各工程を経ることより、多数個取り配線基板21a,21cが得られた。
【0053】
以上のような多数個取り配線基板21a,21eの製造方法によれば、前記製品領域24の主面23側に格子状に形成した分割溝26において、側面視で導体層12の両側に位置する第1の湾曲部R1が対称に形成され、更に第2の湾曲部R2あるいは一対の第3の湾曲部R3が対称に形成されている多数個取り配線基板20a,20cを、効率良く確実に製造することが可能となる。
しかも、張り出し部28〜30を含む分割溝26は、前記レーザLを用いたレーザ加工によって精度良く確実に形成できるため、特殊な形状の刃物が不要となり、製造コストを抑制でき、且つ溝入れ工程の管理も容易となる。
【0054】
尚、図15〜図18において、2つの分割溝26を非貫通孔31hおよび導体層12、あるいは貫通孔31h,32hおよび導体層12,18の中心部で直角に交叉させることで、配線基板部1nごとに前記配線基板1c,1gが併設された多数個取り配線基板(21c,21g)の製造方法とすることも可能である。
また、前記グリーンシート積層体gsにおいて、前記分割溝26を他方の主面22側にも、線対称にして形成する工程を更に加えることで、配線基板部1nごとに前記配線基板1b,1d,1f,1hが併設された多数個取り配線基板(21b,21d,21f,21h)の製造方法とすることも可能である。
【0055】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記配線基板や多数個取り配線基板のセラミックSは、アルミナ以外の高温焼成セラミック(例えば、窒化アルミニウムやムライト)としたり、あるいはガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックを用いても良い。後者の場合、前記導体層12,18などの導体には、CuあるいはAgを用いる。
また、前記基板本体や配線基板部は、平面視で長方形を呈する形態でも良い。
更に、前記基板本体kpや配線基板部1nは、他方の主面(表面)2,22に開口し、底面および側面を有するキャビティを有する形態であっても良い。
また、前記多数個取り配線基板の製造法におけるレーザ加工は、(非)貫通孔31hなどの内側とグリーンシート積層体gsの主面23側との間において、該レーザの条件が相違するように適宜調整することも可能である。
加えて、前記多数個取り配線基板の製造法に引き続いて、個々の配線基板に個片化する工程を連続して行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、基板本体の側面に位置する切欠部付近でのバリや該切欠部の内壁面に設けた導体層の千切れが少なく、形状および寸法精度に優れた配線基板、および該配線基板を複数個得るための多数個取り配線基板を、確実に提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1a〜1h……………………………配線基板
1n……………………………………配線基板部
2,22………………………………他方の主面/表面
3,23………………………………一方の主面/裏面
4………………………………………側面
5………………………………………破断面
6………………………………………溝入面
7………………………………………境界線
11,13,17,19……………切欠部/第1切欠部〜第4切欠部
12,14,18,20……………導体層
21a,21c,21e,21g…多数個取り配線基板
24……………………………………製品領域
25……………………………………耳部
26……………………………………分割溝
27……………………………………分割溝の底部
31,32……………………………第1円柱部、第2円柱部
31h,32h………………………非貫通孔/貫通孔
S………………………………………セラミック/セラミック層
kp……………………………………基板本体
R1〜R3……………………………第1湾曲部〜第3湾曲部
L………………………………………レーザ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板本体の側面に位置する切欠部付近でバリや該切欠部の内壁面に設けた導体層の千切れが少ない配線基板、該配線基板を複数個得るための多数個取り配線基板、および該多数個取り配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、セラミック製の配線基板は、セラミック製の多数個取り配線基板をその表面や裏面に設けた分割溝に沿って個々の配線基板に分割して個片化するにより製作されている。かかる分割時では、分割溝の付近に位置する金属層などのクズやバリを生じにくくするため、所定範囲の刃先角である刃物をグリーンシート積層体の切断予定位置に沿って挿入することで、所要の分割溝を形成可能とした多数個取り配線基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1の製造方法の刃物による溝入れをグリーンシートに施した場合、形成すべき分割溝が径方向に沿って交叉し、追って切欠部となる貫通孔や非貫通孔の内壁面では破断面(亀裂の進行)が蛇行するため、バリや欠けが発生し易い。しかも、前記刃物により形成する分割溝の深さは、隣接する2つの配線基板部の内部配線同士を接続するメッキ用配線の位置よりも浅くする必要があるため、非貫通孔の底面や、異なる2つの内径を同軸心で有する貫通孔の段部よりも浅くせざる得ないことも、上記バリなどを誘発し易くしている。
更に、上記貫通孔などの内壁面に導体層が形成されている場合は、該導体層の金属を引き千切ることによる導体のバリが発生し易くなり、分割後にメッキ被膜処理が施されていない導体層の切断面が露出するため、該導体層をハンダ付けして実装する際の信頼性が低下するおそれもあった。
【0003】
一方、前記グリーンシートの貫通孔における内壁面での破断面(亀裂の進行)の蛇行に伴うバリや欠けを防ぐため、同じ嶺(刃元)に対し刃先の高さ(幅)が異なる特殊な刃物を用いることより、分割溝の深さが不連続に異なる部分を形成可能とした多数個取り配線基板も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、特許文献2の多数個取り配線基板では、分割溝と交叉する任意の位置に貫通孔を形成すべき位置が変更される度に、グリーンシートの表面付近と貫通孔付近との双方に対応した刃先の高さ(幅)および長さが種々異なる特殊な刃物を数多く用意する必要がある。そのため、多種類の特殊な刃物が必要となり、製造コストが著しく嵩むと共に、生産性が低下してしまう、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−218319号公報(第1〜11頁、図1〜8)
【特許文献2】特開2009−266992号公報(第1〜11頁、図1〜8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術にて説明した問題点を解決し、基板本体の側面に位置する切欠部付近でのバリや該切欠部の内壁面に設けた導体層の千切れが少ない配線基板、該配線基板を複数個得るための多数個取り配線基板、および多数個取り該配線基板を確実に得るための製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、個々の配線基板の側面に位置する切欠部となるグリーンシートの貫通孔または有底孔と交叉する分割溝の深さを、該貫通孔または有底孔と交叉しない位置での分割溝の深さよりも深くする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による第1の配線基板(請求項1)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面を有する側面と、を備えた基板本体と、少なくとも前記側面の一方の主面側にのみ形成され、該側面の厚み方向に沿った平面視が凹形状の切欠部と、を備えた配線基板であって、前記切欠部を有する側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記切欠部の両側に有すると共に、上記基板本体における他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を、上記切欠部における他方の主面側に有する、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記基板本体の前記切欠部を有する側面において、前記溝入面と破断面との境界線が、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、側面の長手方向における上記切欠部の両側に有すると共に、上記基板本体における他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を、上記切欠部における他方の主面側に有している。しかも、上記切欠部は、上記側面における左右一対の第1の湾曲部と、該切欠部の最奥部と上記側面における他方の主面側との間に位置する第2の湾曲部とに囲まれており、かかる2種類の湾曲部は、破断面よりも比較的平滑な前記溝入面の一部が上記側面における他方の主面側に張り出した部分の区画線である。従って、前記側面における一方の主面側に位置する切欠部付近におけるセラミックのバリや欠け、更には該切欠部の内壁面に設けられる導体層の千切れが少なく、形状および寸法精度に優れた配線基板とされている。
【0008】
尚、前記一対の主面における一方の主面および他方の主面は、相対的な呼称であり、例えば、一方の主面を前記基板本体の裏面とした場合、他方の主面が前記基板本体の表面となる。
また、前記セラミックには、アルミナ、ムライト、窒化アルミニウムなどの高温焼成セラミックのほか、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックも含まれる。
更に、前記溝入面は、後述する多数個取り配線基板となるグリーンシート積層体の主面に対し、レーザ加工で形成した断面V字形状の分割溝に沿って各配線基板ごとに個片化した際に、個々の配線基板の側面に露出する上記分割溝における何れか一方の内壁面である。
また、前記溝入面の幅(厚み方向の深さ)は、前記基板本体における側面の幅(厚み方向)の50%以下とすることが望ましい。これにより、後述する多数個取り配線基板において隣接していた配線基板同士の内部配線を接続するメッキ用配線が、配線基板同士の間に溝入された分割溝により、切断される事態を容易に防ぐことができる。換言すると、配線基板に形成されたメッキ用配線の端面は、前記側面において、前記切欠部の最奥部よりも浅い位置における一方の主面側の破断面に露出している。
更に、前記切欠部は、四辺の前記側面の全てに形成するほか、何れか1つ乃至3つの側面にのみ形成されていても良い。
加えて、前記切欠部は、少なくともその内壁面に後述する導体層が形成され、該導体層は、配線基板の内部配線と外部と導通するための外部接続端子である。
【0009】
また、本発明による第2の配線基板(請求項2)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面を有する側面と、を備えた基板本体と、少なくとも隣接する一対の上記側面間の角部における一方の主面側のみに形成され、上記側面の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の切欠部と、を備えた配線基板であって、前記切欠部の両側に位置する一対の側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記切欠部の両側に有すると共に、上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記切欠部における他方の主面側に有する、ことを特徴とする。
これによれば、上記切欠部は、一対の側面ごとにおける第1の湾曲部と、該切欠部の最奥部と各側面における他方の主面側との間に位置する第3の湾曲部とに囲まれている。該2種類の湾曲部は、破断面よりも比較的平滑な溝入面の一部が前記側面における他方の主面側に張り出した部分である。従って、一対の側面間の角部で且つ一方の主面側に位置する切欠部付近でのバリや欠け、更には該切欠部の内壁面に設けられる導体層の千切れの少ないので、形状および寸法精度に優れた配線基板となっている。
【0010】
更に、本発明による第3の配線基板(請求項3)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面とを有する側面と、を備えた基板本体と、少なくとも前記側面の一方の主面側にのみ形成され、該側面の厚み方向に沿った平面視が凹形状の第1切欠部と、該第1切欠部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、上記側面の厚み方向に沿った平面視が上記第1切欠部と相似形且つ少断面積の第2切欠部と、を備えた配線基板であって、上記第1切欠部および第2切欠部を有する側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記第1切欠部の両側に有すると共に、上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記第2切欠部の両側に有する、ことを特徴とする。
【0011】
これによれば、上記第1切欠部は、上記側面の長手方向に沿った両側に位置する一対の第1の湾曲部に挟まれ、上記第2切欠部は、上記側面の長手方向に沿った両側に位置する一対の第3の湾曲部に挟まれると共に、上記第1切欠部において第2切欠部を除いた左右一対の最奥部には、上記一対の第3の湾曲部が個別に隣接している。しかも、上記4箇所に位置する2種類の湾曲部は、破断面よりも比較的平滑な前記溝入面の一部が前記側面における他方の主面側に張り出した部分である。従って、前記側面における一方の主面側に位置する第1切欠部付近、およびこれに隣接する第2切欠部付近でのバリや欠け、更には、該第1および第2切欠部の内壁面に設けられる導体層の千切れの少ないので、形状および寸法精度に優れた配線基板となっている。
【0012】
加えて、本発明による第4の配線基板(請求項4)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面とを有する側面と、を備えた基板本体と、少なくとも隣接する1対の側面間の角部における一方の主面側にのみ形成され、上記側面の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の第3切欠部と、該第3切欠部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、上記側面の厚み方向に沿った平面視が上記第3切欠部と相似形で且つ少断面積の第4切欠部と、を備えた配線基板であって、上記第3切欠部および第4切欠部を有する角部に隣接する一対の側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記第3切欠部の両側に有すると共に、上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記第4切欠部の両側に有する、ことを特徴とする。
【0013】
これによれば、上記第3切欠部は、上記一対の各側面の長手方向に沿った両側に位置する一対の第1の湾曲部に挟まれ、上記第4切欠部は、上記一対の各側面の長手方向に沿った両側に位置する一対の第3の湾曲部に挟まれると共に、上記第3切欠部において第4切欠部を除いた一対の各側面の最奥部には、上記一対の第3の湾曲部が個別に隣接している。しかも、上記4箇所に位置する2種類の湾曲部は、破断面よりも比較的平滑な前記溝入面の一部が前記側面における他方の主面側に張り出した部分である。従って、前記側面における一方の主面側に位置する第3切欠部付近、およびこれに隣接する第4切欠部付近でのバリや欠け、更には、該第3および第4切欠部の内壁面に設けられた導体層の千切れの少ないので、形状および寸法精度に優れた配線基板となっている。
【0014】
また、本発明には、前記側面における他方の主面に沿って別の溝入面が更に位置し、前記破断面は、該別の溝入面と前記溝入面との間に位置している、配線基板(請求項5)も含まれる。
これによれば、前記側面における一方の主面側に形成され、且つ第1乃至第4の湾曲部の何れかによる張り出した部分を含む前記溝入面のほか、他方の主面側にも別の溝入れ面が平行状に形成されている。従って、該一対の溝入面に挟まれた位置にのみ前記破断面が形成されているので、第1ないし第4切欠部の何れか付近でのバリなどや、該第1ないし第4切欠部の何れかの内壁面に設けられる導体層の千切れが更に少なく、形状・寸法精度に一層優れた配線基板とされている。
尚、前記別の溝入面には、前記側面の長手方向に沿った帯状の形態であるほか、前記第2切欠部や第4切欠部の両側において、前期同様の湾曲部を形成する張り出し部分を併有する形態も含まれる。
【0015】
更に、本発明には、前記切欠部、あるいは第1切欠部ないし第4切欠部の内壁面には、該内壁面に沿った導体層が形成されている、配線基板(請求項6)も含まれる。
これによれば、第1切欠部ないし第4切欠部の内壁面に沿って形成された上記導体層を介して、プリント基板などのマザーボード側の接続端子と、基板本体を構成する複数のセラミック層間の何れかに形成された内部配線、更には、他方の主面(表面)に形成された表面配線との導通を確実に取ることができる。しかも、各切欠部の内壁面に形成された導体層は、前記溝入面に露出する端面(分割前の断面)にも、NiやAuなどの金属メッキ膜が確実に被覆されているため、上記マザーボードに搭載する際のロウ付けも容易且つ強固に行うことが可能となる。
【0016】
一方、本発明の多数個取り配線基板(請求項7)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形である一対の主面を有する複数の配線基板部を縦横に隣接して併有する製品領域と、上記と同じセラミック層からなり、上記製品領域の周囲に位置する平面視が矩形枠状である一対の主面を有する耳部と、隣接する上記配線基板部同士の間、および上記製品領域と耳部との間に沿って、少なくとも一方の主面に形成された平面視が格子状の分割溝と、該分割溝が径方向に沿って交叉し、且つ一方の主面にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部と、を備えた多数個取り配線基板であって、上記第1円柱部と径方向に沿って交叉する1つまたは2つの分割溝の底部は、側面視で該第1円柱部の両側に一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を有すると共に、上記第1円柱部における他方の主面側には、該他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を有している、ことを特徴とする。
【0017】
これによれば、前記第1円柱部をその径方向に沿って交叉して、該第1円柱部を2つに分割する1つの分割溝の底部、あるいは上記第1円柱部で互いに直角に交叉して、該第1円柱部を4つに分割する2つの分割溝の底部は、側面視で該分割溝の長手方向に沿った当該第1円柱部の両側に、一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を対称に有している。更に、第1円柱部における他方の主面側には、該他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を有している。そのため、上記分割溝に沿って、製品領域の配線基板部ごとに個片した際に、上記第1円柱部が2つに分割された平面視が凹形状の前記切欠部、あるいは上記第1円柱部が4つに分割された平面視が4分の1円弧形状の前記切欠部の付近には、セラミックのバリや欠けが生じにくくなっている。従って、形状および寸法精度に優れたセラミックからなる複数の配線基板を確実に提供することができる。
【0018】
また、本発明には、前記第1円柱部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、前記製品領域の厚み方向に沿った平面視が上記第1円柱部と相似形で且つ少断面積の第2円柱部が更に形成され、上記第1円柱部および第2円柱部と径方向に沿って交叉する1つまたは2つの分割溝の底部は、側面視で当該第2円柱部の両側に一方の主面側に凸となる第3の湾曲部を更に有している、多数個取り配線基板(請求項8)も含まれる。
これによれば、前記第1円柱部および第2円柱部を軸方向に沿って2つまたは4つに分割する分割溝の底部は、側面視で該分割溝の長手方向に沿った当該第1円柱部の両側に、一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を対称に有すると共に、上記分割溝の長手方向に沿った第2円柱部の両側に、一方の主面側に凸となる第3の湾曲部を対称に有している。そのため、上記分割溝に沿って、製品領域の配線基板部ごとに個片した際に、上記第1・第2円柱部が2つまたは4つに分割された前記第1・第2切欠部あるいは第3・第4切欠部の付近には、セラミックのバリや欠けが生じにくくなるので、形状および寸法精度に優れた複数の配線基板を確実に提供できる。
【0019】
更に、本発明には、前記第1円柱部の内壁面、あるいは第1および第2円柱部の内壁面の双方には、該内壁面に沿った導体層が形成されている、多数個取り配線基板(請求項9)も含まれる。
これによれば、前記分割溝に沿って、製品領域の配線基板部ごとに個片した際に、上記第1・第2円柱部が2つまたは4つに分割された前記第1・第2切欠部あるいは前記第3・第4切欠部の付近には、セラミックのバリと共に導体層の千切れも生じにくくなっている。しかも、各分割溝内に露出する導体層の端面には、NiやAuなどのメッキ膜が全面あるいは広く被覆されている。従って、製品領域の各配線基板を個片した際に、外部(マザーボードなど)との導通性および搭載時のロウ付け性の双方で優れた複数の配線基板を確実に提供することができる。
【0020】
加えて、本発明による多数個取り配線基板の製造方法(請求項10)は、複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形である一対の主面を有する複数の配線基板部を縦横に隣接して併有する製品領域と、上記と同じ複数のセラミック層からなり、上記製品領域の周囲に位置する平面視が矩形枠状である一対の主面を有する耳部と、隣接する上記配線基板部同士の間、および上記製品領域と耳部との間に沿って、少なくとも一方の主面に形成された平面視が格子形状の分割溝と、該分割溝が径方向に沿って交叉し、且つ一方の主面にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部と、を備えた多数個取り配線基板の製造方法であって、平面視が矩形である一対の主面を有する複数のグリーンシートのうち、一部または全部のグリーンシートに内径が同径あるいは異径である複数の透孔を形成する工程と、複数の上記グリーンシートを積層して得られたグリーンシート積層体の少なくとも一方の主面において、上記複数の透孔が連通した非貫通孔または貫通孔と平面視で焦点が交叉し、且つ配線基板部の周囲および製品領域と耳部とを区画する分割溝予定位置に沿って、レーザを上記非貫通孔または貫通孔内を含んで連続して照射しつつ走査することにより、複数の分割溝を平面視で格子状に形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0021】
これによれば、前記グリーンシート積層体における少なくとも一方の主面において、前記非貫通孔または貫通孔と径方向に沿って交叉するようにレーザを連続して照射しつつ走査するので、該主面に格子状に形成される分割溝の底部は、上記非貫通孔または貫通孔の両側などに一方の主面側に凸となる第1湾曲部や、他方の主面側に凸となる第2・第3湾曲部を有している。従って、形状および寸法精度に優れた配線基板を併有している前記多数個取り配線基板を、確実に製造することが可能である。
尚、前記多数個取り配線基板の製造方法では、前記貫通孔などは、複数層のグリーンシートごとに形成され、その後の工程で該複数層のグリーンシートの透孔が連通するように積層された生のグリーンシート積層体において形成されている。
また、前記多数個取り配線基板の製造方法において、例えば、前記分割孔を形成するレーザの焦点は、前記グリーンシート積層体の厚み方向において、前記貫通孔などの内側を含め、ほぼ一定の深さの位置を保って該レーザ加工が行われる。
更に、前記グリーンシートの透孔ごとの内壁面に導体層を形成する工程を加えることで、前記グリーンシート積層体の非貫通孔または貫通孔の内壁面に、円筒形状の導体層を形成し、該導体層と交叉するように前記分割溝を形成する形態としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による第1の配線基板を斜め下方から示す斜視図。
【図2】本発明による第2の配線基板を斜め下方から示す斜視図。
【図3】本発明による第3の配線基板を斜め下方から示す斜視図。
【図4】本発明による第4の配線基板を斜め下方から示す斜視図。
【図5】第1の配線基板の応用形態の配線基板を示す側面図。
【図6】第2の配線基板の応用形態の配線基板を示す側面図。
【図7】第3の配線基板の応用形態の配線基板を示す側面図。
【図8】第4の配線基板の応用形態の配線基板を示す側面図。
【図9】本発明による第1の多数個取り配線基板を示す平面図。
【図10】図9中X−X線の矢視に沿った部分拡大断面図。
【図11】第3の多数個取り配線基板を示す図10と同様な部分拡大断面図。
【図12】本発明による第2の多数個取り配線基板を示す平面図。
【図13】図12中のY−Y線の矢視に沿った部分拡大断面図。
【図14】第4の多数個取り配線基板を示す図13と同様な部分拡大断面図。
【図15】第1の多数個取り配線基板の一製造工程を示す概略図。
【図16】図15に続く同じ製造工程を示す概略図。
【図17】第2の多数個取り配線基板の一製造工程を示す概略図。
【図18】図17に続く同じ製造工程を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による第1の配線基板1aを斜め下方から示す斜視図である。
第1の配線基板1aは、図1に示すように、複数のセラミック層(図示せず)Sが積層されてなり、平面視が矩形(正方形または長方形)で対向する一対の主面2,3と、該一対の主面2,3の間に位置する四辺の側面4と、を備えた基板本体kpと、該側面4ごとにおける一方の主面(裏面)3側にのみ形成され、該側面4の厚み方向に沿った平面視が凹形状(半円弧形状)の切欠部11と、該切欠部11の内壁面に沿って形成された導体層12と、を備えている。
上記側面4は、一方の主面(裏面)3側に沿って位置する溝入面6と、該溝入面6と他方の主面(表面)2との間に位置する前記セラミックSの破断面5とを有している。上記溝入面6は、後述する多数個取り配線基板に形成された分割溝における何れか一方の内壁面であり、セラミックSの破断面5に比べて、比較的平滑な面である。
【0024】
また、前記導体層12は、切欠部11の天井面にも平面視が半円弧状の導体層15を一体に有している。該導体層15は、その外周側に沿って前記セラミック層S間に進入するフランジ部fを有している。
前記セラミック層Sは、アルミナやムライトなどの高温焼成セラミック、あるいは低温焼成セラミックの一種であるガラスーセラミックからなる。また、前記導体層12,15は、セラミック層Sが高温焼成セラミックの場合には、WまたはMoからなり、セラミック層Sが低温焼成セラミックの場合には、CuまたはAgからなる。尚、一方の主面3は、通常、基板本体kpの裏面であり、他方の主面2は、通常、基板本体kpの裏面であるが、両者は、相対的な呼称である。
【0025】
図1に示すように、各側面4において、溝入れ面6と破断面5との境界線7は、側面視で上記切欠部11および導体層12の両側に、一方の主面3側に凸となる第1の湾曲部R1を左右対称に有すると共に、上記切欠部11および導体層12,15における他方の主面2側に、該他方の主面2側に凸となる第2の湾曲部R2を有している。即ち、図1に示すように、各側面4における溝入面6は、側面視で切欠部11および導体層12の両側に、他方の主面2側に奥細形状である一対の張り出し部8と、切欠部11および導体層12,15における他方の主面2側に、該他方の主面2側に凸となる半円弧形状の張り出し部9とを延在させている。該張り出し部8,9は、後述する多数個取り配線基板に分割溝をレーザ加工によって形成する際に、該分割溝の一部として付随的に形成されたものである。
【0026】
図2は、本発明による第2の配線基板1cを斜め下方から示す斜視図である。
第2の配線基板1cは、図2に示すように、前記同様の主面2,3および側面4を有する基板本体kpと、隣接する側面4,4間ごとの角部における一方の主面(裏面)3側にのみ形成され、該側面4の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の切欠部13と、該切欠部13の内壁面に沿って形成された前記同様の導体層14と、を備えている。該導体層14は、切欠部13の天井面に4分の1円弧状の導体層16を一体に有しており、該導体層16は、その外周側に沿って前記セラミック層S間に進入するフランジ部fを有している。
図2に示すように、切欠部13および導体層14の両側に位置する一対の側面4,4間において、溝入れ面6と破断面5との境界線7は、側面視で上記切欠部13および導体層14の両側に、一方の主面3側に凸となる第1の湾曲部R1を左右対称に有すると共に、上記切欠部13および導体層14における他方の主面2側に、該他方の主面2側に凸となる第3の湾曲部R3を左右対称に有している。
【0027】
即ち、図2に示すように、各側面4における溝入面6は、側面視で両端に位置する切欠部13および導体層14に隣接して他方の主面2側に奥細形状となる張り出し部8と、切欠部13および導体層14における他方の主面2側に、4分の1円弧形状の張り出し部10とを延在させている。該張り出し部8,10も、後述する多数個取り配線基板に分割溝をレーザ加工によって形成する際に、該分割溝の一部として付随的に形成されたものである。
以上のような第1・第2の配線基板1a,1cによれば、前記側面4における一方の主面3側に位置する切欠部11,13付近におけるセラミックSのバリや欠け、更には、該切欠部11,13の内壁面に設けられた導体層12,14の千切れが少ないので、形状および寸法精度に優れている。
【0028】
また、上記導体層12,14を介して、図示しないプリント基板などのマザーボード側の接続端子と、基板本体kpを構成する複数のセラミック層S間の何れかに形成された内部配線(図示せず)との導通、更には、他方の主面2に形成された表面配線(図示せず)との導通を確実に取ることもできる。しかも、導体層12,14は、前記溝入面6に露出する端面(分割前の断面)にも、NiやAuなどの金属メッキ膜が確実に被覆されているため、上記マザーボードに搭載する際のロウ付けも容易且つ強固に行うことが可能となる。加えて、側面4ごとの厚み方向に沿った幅に対する溝入面6の幅が、切欠部11,13付近を除いて、約20〜30%(50%以下)と狭いため、多数個取り配線基板の際に隣接していた配線基板部同士間を導通するためメッキ用配線の位置を、破断面5のうち、境界線7側の近接した位置に設定することも可能となっている。
尚、前記切欠部11,13および導体層12,14は、少なくとも何れか1つの側面4のみ、あるいは隣接する1対の側面4,4間のみに形成されていても良い。
【0029】
図3は、本発明による第3の配線基板1eを斜め下方から示す斜視図である。
第3の配線基板1eは、図3に示すように、前記同様の主面2,3および側面4を有する基板本体kpと、該側面4ごとにおける一方の主面(裏面)3側にのみ形成され、該側面4の厚み方向に沿った平面視が凹形状である第1切欠部11と、該第1切欠部11の天井面(奥側面)の中心部と他方の主面(表面)2との間を貫通し且つ平面視が上記同様の少断面の凹形状である第2切欠部17と、第1・第2切欠部11,17の内壁面に沿って形成された導体層12,18と、を備えている。第1切欠部11の天井面には、上記導体層12,18を接続する底面視が半リング形状の導体層15が形成され、該導体層15は、その外周側に沿って前記セラミック層S間に進入するフランジ部fを有している。
【0030】
図3に示すように、各側面4において、溝入れ面6と破断面5との境界線7は、側面視で第1切欠部11および導体層12の両側に、一方の主面3側に凸となる第1の湾曲部R1を左右対称に有すると共に、第2切欠部17および導体層18の両側に、基板本体kpにおける他方の主面2側に凸となる第3の湾曲部R3を左右対称に有している。即ち、図3に示すように、各側面4における溝入面6は、側面視で第1切欠部11および導体層12の両側に他方の主面2側に奥細形状となる左右一対の張り出し部8と、第2切欠部17および導体層18の両側における第1切欠部11側に、4分の1円弧形状の張り出し部10とを延在させている。該張り出し部8,10も、後述する多数個取り配線基板に分割溝をレーザ加工によって形成する際に、付随的に形成されたものである。尚、張り出し部10は、導体層18に沿って他方の主面2側に延びた角状の延長部を含んでいる。
【0031】
図4は、本発明による第4の配線基板1gを斜め下方から示す斜視図である。
第4の配線基板1gは、図4に示すように、前記同様の主面2,3および側面4を有する基板本体kpと、隣接する側面4,4間ごとの角部における一方の主面(裏面)3側にのみ形成され、該側面4の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の第3切欠部13と、該第3切欠部13の天井面(奥側面)の中心部と他方の主面(表面)2との間を貫通し且つ平面視が上記同様の少断面である4分の1円弧形状である第4切欠部19と、かかる第3・第4切欠部13,19の内壁面に沿って形成された前記同様の導体層14,20と、を備えている。第3切欠部13の天井面には、上記導体層14,20を接続する底面視が扇形状の導体層16が形成され、該導体層16は、その外周側に沿って前記セラミック層S間に進入するフランジ部fを有している。
【0032】
図4に示すように、第3切欠部13および導体層14の両側に位置する一対の側面4,4間において、溝入れ面6と破断面5との境界線7は、側面視で上記切欠部13および導体層14の両側に、一方の主面3側に凸となる第1の湾曲部R1を左右対称に有すると共に、第4切欠部19および導体層20の両側における第3切欠部13側に、該他方の主面2側に凸となる第3の湾曲部R3を左右対称に有している。即ち、図4に示すように、各側面4における溝入面6は、側面視で両端に位置する第3切欠部13および導体層14に隣接して他方の主面2側に奥細形状となる張り出し部8と、第4切欠部19および導体層20の両側に隣接し且つ第3切欠部13側に、4分の1円弧形状の張り出し部10とを延在させている。該張り出し部8,10も前記同様にして形成されたものである。尚、前記張り出し部10は、導体層20に沿って他方の主面2側に延びた角状の延長部を含んでいる。
以上のような第3・第4の配線基板1e,1gによれば、前記側面4における一方の主面3側に位置する第1〜第4切欠部11,13,17,19付近におけるセラミックSのバリや欠け、更には、該切欠部11,13,17,19の内壁面に設けられた導体層12,14,18,20の千切れが少ないので、形状および寸法精度に優れている。
【0033】
また、前記導体層12,14,18,20を介して、図示しないプリント基板などのマザーボード側の接続端子と、基板本体kpを構成する複数のセラミック層S間の何れかに形成された内部配線との導通や、他方の主面2に形成された表面配線(図示せず)との導通を確実に取ることができる。しかも、導体層12,14,18,20は、前記溝入面6に露出する端面にも、Auなどの金属メッキ膜が確実に被覆されているため、マザーボードに搭載する際のロウ付けも容易且つ強固に行うことが可能となる。加えて、側面4ごとの厚み方向に沿った幅に対する溝入面6の幅が、切欠部11,13,17,19付近を除いて50%以下と狭いため、多数個取り配線基板の際に隣接していた配線基板部同士間を導通するためメッキ用配線の位置を、破断面5内の任意の位置に容易に設定することも可能である。
尚、前記切欠部11,13,17,19および導体層12,14,18,20は、少なくとも何れか1つの側面4のみ、あるいは隣接する一対の側面4,4間のみに形成されていても良い。
【0034】
図5は、前記第1の配線基板1aの応用形態である配線基板1bを示す側面図である。該配線基板1bは、図5に示すように、前記同様の基板本体kpの側面4ごとにおいて、切欠部11および導体層12が形成された一方の主面(裏面)3側に加え、他方の主面(表面)2側にも、該主面2に沿った帯状の溝入面6を形成している。そのため、配線基板1bの各側面4では、破断面5が一対の溝入面6,6の間に挟まれているが、かかる一対の溝入面6,6全体の幅の合計は、基板本体kpの厚み方向に沿った側面4の幅の50%以下である。
図6は、前記第2の配線基板1cの応用形態である配線基板1dを示す側面図である。該配線基板1dは、図6に示すように、前記同様の基板本体kpの側面4,4間の角部ごとにおいて、両端に切欠部13および導体層14が形成された一方の主面(裏面)3側に加え、他方の主面(表面)2側にも、該主面2に沿った帯状の溝入面6を形成している。そのため、配線基板1dの各側面4では、一対の溝入面6,6の間に破断面5が帯状に挟まれている。
【0035】
図7は、前記第3の配線基板1eの応用形態である配線基板1fを示す側面図である。該配線基板1fは、図7に示すように、前記同様の基板本体kpの側面4ごとにおいて、第1切欠部11および導体層12が形成された一方の主面(裏面)3側に加え、他方の主面(表面)2側にも、該主面2に沿った帯状の溝入面6を形成している。そのため、配線基板1fの各側面4では、一対の溝入面6,6の間に破断面5が帯状に挟まれている。尚、他方の主面2側の溝入面6は、第2切欠部17および導体層18の両側で奥側に細くなる張り出し部を有している。
図8は、前記第4の配線基板1gの応用形態である配線基板1hを示す側面図である。該配線基板1hは、図8に示すように、前記同様の基板本体kpの側面4,4間の角部ごとにおいて、両端に切欠部13および導体層14が形成された一方の主面(裏面)3側に加え、他方の主面(表面)2側にも、該主面2に沿った帯状の溝入面6を形成している。そのため、配線基板1hの各側面4では、一対の溝入面6,6の間に破断面5が帯状に挟まれている。尚、他方の主面2側の溝入面6は、両端の第4切欠部19および導体層20の両側で奥側に細くなる張り出し部を有している。
以上のような配線基板1b,1d,1f,1hによっても、前記配線基板1a,1c,1e,1gと同様な効果を奏することが可能である。
【0036】
図9は、本発明による第1の多数個取り配線基板21aを示す平面図、図10は、図9中のX−X線の矢視に沿った部分垂直断面図である。
多数個取り配線基板21aは、図9,10に示すように、複数のセラミック層(図示せず)が積層されてなる前記同様のセラミックSからなり、平面視が矩形(正方形または長方形)である一対の主面22,23を有する複数の配線基板部1nを縦横に隣接して併有する製品領域24と、上記と同じセラミックSからなり、前記製品領域24の周囲に位置し且つ平面視が矩形枠状である一対の主面22,23を有する耳部25と、隣接する上記配線基板部1n,1n間、および製品領域24と耳部25との間に沿って一方の主面23に形成された平面視が格子枠状の分割溝26とを備えている。該分割溝26は、断面がV字形状を呈し、後述するレーザ加工によって形成されたものである。
【0037】
尚、前記一対の主面22,23は、配線基板部1n、製品領域24、および耳部25に共通して用いられる。このうち、一方の主面23は、追って前記配線基板1aの一方の主面(裏面)3となり、他方の主面22は、前記配線基板1aの他方の主面(表面)2となる。また、上記分割溝26における一方の内壁面は、追って前記配線基板1aの各側面4における前記溝入面6となるものである。更に、前記配線基板部1nは、追って個片化された際に前記第1の配線基板1aとなるものである。
図9,10に示すように、該配線基板部1nの周囲を区画する四辺の分割溝26ごとの中間には、該分割溝26が径方向に沿って交叉し且つ一方の主面23側にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部(切欠部:有底孔)31が位置し、該第1円柱部31の内壁面に沿った円筒形状の導体層12と、該円柱部31の底面に位置し且つ上記導体層12と接続する円盤状の導体層15とが形成されている。尚、導体層12は、一方の主面23上にリング状延びたフランジ部を有し、導体層15は、外周側にセラミック層(S)間に進入するフランジ部を有する。該導体層12,15も、前記同様のWまたはMoなどからなる。
【0038】
図10に示すように、第1円柱部31および導体層12,15と径方向に沿って交叉する分割溝26の底部27は、側面視で上記第1円柱部31および導体層12,15の両側に、一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1を有すると共に、上記第1円柱部31および導体層12,15における他方の主面22側に、該他方の主面22側に凸となる第2の湾曲部R2を有している。
即ち、分割溝26は、側面視(垂直断面)で上記第1円柱部31および導体層12,15の両側に、他方の主面22側に向かって奥側が細くなる張り出し部28と、上記第1円柱部31および導体層12,15における他方の主面22側に、該他方の主面22側に凸となる半円形状の張り出し部29とを有している。
【0039】
図11は、本発明による第3の多数個取り配線基板21eを示す前記図10と同様な部分垂直断面図である。
第3の多数個取り配線基板21eは、追って前記第3の配線基板1eとなる複数の配線基板部1nを併有する前記同様の製品領域24、耳部25、および分割溝26を備えている。図11に示すように、上記配線基板部1nの周囲を区画する四辺の分割溝26ごとの中間には、該分割溝26が径方向に沿って交叉し且つ一方の主面23側にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部31と、該第1円柱部31の奥側(底面)の中心部と他方の主面22との間を貫通し、前記製品領域24の厚み方向に沿った平面視が上記第1円柱部31と相似形で且つ比較的小径の第2円柱部(切欠部)32と、が同心で連通して位置している。第1・第2円柱部31,32の内周面には、該内壁面に沿った円筒形状の導体層12,18が形成され、該導体層12,18間には、円盤状の導体層15が挟まれている。
尚、導体層12,16,18も、前記同様のWまたはMoなどからなり、それぞれ径方向に延びたフランジ部を有している。
【0040】
図11に示すように、第1円柱部31および導体層12と径方向に沿って交叉する分割溝26の底部27は、側面視で上記第1円柱部31および導体層12の両側に、一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1を有すると共に、第2円柱部32および導体層18の両側で且つ第1円柱部31側に、他法の主面22側に凸となる第3の湾曲部R3を有している。即ち、上記分割溝26は、側面視(垂直断面)で上記第1円柱部31および導体層12の両側に、他方の主面22側に向かって奥側が細くなる張り出し部28と、上記第2円柱部32および導体層18の両側で且つ一方の主面23側に、該他方の主面22側に凸となる4分の1円弧形状の張り出し部30とを有している。該張り出し部28,30を含む分割溝26も、後述するレーザ加工により形成されたものである。
以上のような第1・第3の多数個取り配線基板21a,21eによれば、前記第1・第2円柱部31,32をその径方向に沿って交叉して、該第1・第2円柱部31,32を2つに分割する分割溝26の底部27は、側面視で該分割溝26の長手方向に沿った第1円柱部31の両側に、一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1を対称に有している。更に、第1円柱部31における他方の主面22側には、該他方の主面22側に凸となる第2の湾曲部R2を有するか、第2円柱部32の両側に第3湾曲部R3を対称に有している。
【0041】
そのため、上記分割溝26に沿って、製品領域24の配線基板部1nごとに個片した際に、上記第1・第2円柱部31,32が軸方向に沿って2つに分割された平面視が凹形状の前記切欠部11,17の付近では、セラミックSのバリや欠けが生じにくくなっている。しかも、第1・第2円柱部31,32の内壁面に形成された導体層12,18の千切れもほぼ皆無であり、且つ分割溝26内に露出する該導体層12,18の端面にも、NiおよびAuメッキ膜が確実に被覆されている。従って、形状および寸法精度に優れた複数のセラミック製の前記配線基板1a,1eを確実に提供することができる。
尚、図10,11で示す多数個取り配線基板21a,21eにおいて、更に他方の主面22側にも、該主面22に沿った帯状の分割溝26を平面視で格子状に形成することで、前記配線基板1b,1fを形成するための配線基板部1nを複数個併有する多数個取り配線基板(21b,21f)とすることも可能である。
【0042】
図12は、本発明による第2の多数個取り配線基板21cを示す平面図、図13は、図12中のY−Y線の矢視に沿った部分垂直断面図である。
第2の多数個取り配線基板21cも、図12,13に示すように、前記同様のセラミックSからなり、前記同様の製品領域24、耳部25、および一方に主面23側にのみ格子状に形成した分割溝26を備えている。上記製品領域24内に位置する複数の配線基板部1nは、追って個片化された際に前記第2の配線基板1cとなるものである。
図12,13に示すように、該配線基板部1nの周囲を区画する四辺の分割溝26,26の交点付近には、該2つの分割溝26が径方向に沿って且つ直角に交叉し且つ一方の主面23側にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部31が位置し、該第1円柱部31の内壁面に沿って円筒形状の導体層14と、該円柱部31の底面に位置する前記同様の導体層16とが形成されている。該導体層14,16も前記同様のWまたはMoなどからなる。
【0043】
図13に示すように、第1円柱部31および導体層14と径方向に沿って且つ直角に交叉する2つの分割溝26の底部27は、側面視で上記第1円柱部31および導体層14の両側に、一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1を有すると共に、第1円柱部31および導体層14,16における他方の主面22側に、該他方の主面22側に凸となる第2の湾曲部R2を有している。
即ち、分割溝26は、側面視で上記第1円柱部31および導体層14の両側に、他方の主面22側に向かって奥側が細くなる張り出し部28と、上記第1円柱部31および導体層14,16における他方の主面22側に、該他方の主面22側に凸となる半円形状の張り出し部29とを有している。
【0044】
図14は、本発明による第4の多数個取り配線基板21gを示す前記図13と同様な部分垂直断面図である。
第4の多数個取り配線基板21gは、追って前記第4の配線基板1gとなる複数の配線基板部1nを併有する前記同様の製品領域24、耳部25、および、分割溝26を備えている。図14に示すように、上記配線基板部1nの周囲を区画する四辺の分割溝26,26の交点付近には、直交する2つの該分割溝26が径方向に沿って交叉し且つ一方の主面23側にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部31と、該第1円柱部31の奥側(底面)の中心部と他方の主面22との間を貫通し、前記製品領域24の厚み方向に沿った平面視が上記第1円柱部31と相似形の円形状で且つ小径の第2円柱部32とが同心で連通しつつ位置している。第1・第2円柱部31,32の内壁面には、導体層14,20が形成され、該導体層14,20間には、導体層16が挟まれている。該導体層14,16,20も前記同様のWまたはMoなどからなる。
【0045】
図14に示すように、第1円柱部31および導体層14と径方向に沿って交叉する分割溝26の底部27は、側面視で上記第1円柱部31および導体層14の両側に、一方の主面23側に凸となる一対の第1の湾曲部R1を対称に有すると共に、第2円柱部32および導体層20の両側で且つ第1円柱部31側に、他方の主面22側に凸となる第3の湾曲部R3を対称に有している。即ち、上記分割溝26は、側面視で上記第1円柱部31および導体層14の両側に、他方の主面22側に向かって奥側が細くなる張り出し部28と、上記第2円柱部32および導体層20の両側で且つ一方の主面23側に、該他方の主面22側に凸となる4分の1円弧形状の張り出し部30とを有している。該張り出し部28,30を含む分割溝26も、後述するレーザ加工により形成されたものである。
【0046】
以上のような第2・第4の多数個取り配線基板21c,21gによれば、前記第1・第2円柱部31,32をその径方向に沿って直角に交叉して、該第1・第2円柱部31,32を軸方向に沿って4つに分割する2つの分割溝26の底部27は、側面視で該分割溝26の長手方向に沿った第1円柱部31の両側に、一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1を対称に有している。更に、第1円柱部31における他方の主面22側には、該他方の主面22側に凸となる第2の湾曲部R2を有するか、第2円柱部32の両側に第3湾曲部R3を対称に有している。そのため、上記分割溝26に沿って、製品領域24の配線基板部1nごとに個片した際に、上記第1・第2円柱部31,32が軸方向に沿って4つに分割された平面視が4分の1円弧形状の前記切欠部13,19の付近には、セラミックSのバリや欠けが生じにくくなっている。しかも、第1・第2円柱部31,32の内壁面に形成された導体層14,20の千切れも少なく、且つ分割溝26内に露出する該導体層14,20の端面にも、NiおよびAuメッキ膜が確実に被覆されている。従って、形状および寸法精度に優れた複数の前記配線基板1c,1gを確実に提供することができる。
尚、図13,14で示す多数個取り配線基板21c,21gにおいて、更に他方の主面22側にも、該主面22に沿った帯状の分割溝26を平面視で格子状に形成することで、前記配線基板1d,1hを形成するための配線基板部1nを複数併有する多数個取り配線基板(21d,21h)とすることも可能である。
【0047】
以下において、前記第1,第3の多数個取り配線基板21a,21eの製造方法について説明する。
予め、アルミナ粉末に樹脂バインダおよび溶剤などを適量ずつ配合してセラミックスラリとし、該セラミックスラリをドクターブレード法によってシート化して、複数のグリーンシート(図示せず)を用意した。
次に、上記複数のグリーンシートごとの所定の位置に内径が異なる透孔を打ち抜き、細径の透孔にWまたはMo粉末を含む導電性ペーストを充填して未焼成のビア導体(図示せず)を形成すると共に、太径の透孔の内壁面に上記同様の導電性ペーストを負圧により塗布して未焼成の円筒形状の導体層を形成した。
更に、上記複数のグリーンシートごとの表面および裏面の少なくとも一方における所定の位置に上記同様の導電性ペーストを印刷により配設して、未焼成の内部配線層あるいは表面配線層(何れも図示せず)を形成した。尚、前記内部配線層は、一部がメッキ用配線層(図示せず)を兼ねる場合もある。
次いで、上記ビア導体、筒形導体層、および配線層の何れかを有する複数のグリーンシートを、積層し且つ圧着した。
【0048】
その結果、図15(a)に示すように、対向する一対の主面22,23を有し、一方の主面23にのみ開口する非貫通孔(有底孔)31hと、該非貫通孔31hの内壁面に沿って形成された円筒形状の導体層12と、その底面の導体層15とを有するグリーンシート積層体gsが得られた。
次に、図15(b)に示すように、グリーンシート積層体gsにおける一方の主面23側から、レーザ(光)Lを当該積層体gsの厚み方向に沿って照射し、且つ該主面23に沿って連続して走査した。該レーザLには、例えば、UV−YAGレーザを用い、その焦点Fの位置をレンズ34により一定の深さとし、且つ一定の送り速度(約100mm/秒)により行った。尚、形成すべき断面V字形状の分割溝23の深さが約200μmで且つ開口部の幅が約50μmの場合、上記レーザLの条件は、周波数:約30〜100Hz、繰り返し回数:2〜5回とした。
【0049】
更に、図16(a),(b)に示すように、上記レーザLが非貫通孔31hと導体層12の内側(中空部)を径方向に沿って通過した際にも、該レーザLの焦点F、送り速度、および上記各レーザ条件を一定に保った状態で、非貫通孔31hの中心部を径方向に沿って連続して通過させた。この際、非貫通孔31hと導体層12との内側(中空部)においては、上記レーザLの加工エネルギが一時的に余剰となった。
その結果、図16(a),(b)に示すように、非貫通孔31hおよび導体層12に交叉して形成された分割溝26の底部27には、導体層12の両側に一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1がそれぞれ対称にして形成され、且つ非貫通孔31hと導体層15の奥側には、他方の主面22側に凸となる第2の湾曲部R2が形成された。上記分割溝26は、グリーンシート積層体gsにおける一方の主面23において、平面視が格子形状となるようにして形成した。
【0050】
一方、前記ビア導体、筒形導体層、および配線層の何れかを有する複数の異なるグリーンシートを、積層し且つ圧着した。その結果、図17(a)に示すように、一対の主面22,23を有し、一方の主面23に開口する貫通孔31hと、該非貫通孔31hと他方の主面22との間を位置する比較的小径の貫通孔32hとが同心で貫通し、これらの内壁面に設けた導体層12,18と、該導体層12,18間に挟まれる導体層15とを有するグリーンシート積層体gsが得られた。
次に、図17(b)に示すように、グリーンシート積層体gsにおける一方の主面23側から、前記同様のレーザLを当該積層体gsの厚み方向に沿って、前記同様の条件で照射し、且つ該主面23に沿って連続して走査した。
【0051】
更に、図18(a),(b)に示すように、上記レーザLが貫通孔31h,32hと導体層12,18の内側(中空部:貫通孔)を径方向に沿って通過した際にも、該レーザLの各レーザ条件を一定に保った状態で、貫通孔31h,32hの中心部を径方向に沿って連続して通過させた。この際、貫通孔31h,32hと導体層12,18との内側(中空部)においては、上記レーザLの加工エネルギが一時的に余剰となった。
その結果、図18(a),(b)に示すように、貫通孔31h,32hおよび導体層12,18に交叉して形成された分割溝26の低部27には、導体層12の両側に一方の主面23側に凸となる第1の湾曲部R1が対称に形成され、且つ貫通孔32hと導体層18の両側には、他方の主面22側に凸となる第3の湾曲部R3が対称に形成された。上記分割溝26も、グリーンシート積層体gsにおける一方の主面23において、平面視が格子形状となるようにして形成した。
【0052】
更に、前記2種類の各グリーンシート積層体gsを前記グリーンシートの焼成温度で焼成した。その結果、複数のグリーンシートが焼成して一体化したセラミック層Sとなったセラミック積層体(図示せず)が得られた。この際、前記導体層12,18や各配線基板1nの配線層なども同時に焼成された。
そして、上記セラミック積層体を所定の電解メッキ浴に順次浸漬し、前記メッキ電極などを活用して電解(NiおよびAu)金属メッキを施した。その結果、導体層12,18の内壁面などに加え、第3の湾曲面R3よりも上方に位置し且つ外部に露出する導体層18の端面(切断面)にも、にもNiメッキ膜およびAuメッキ膜が被覆された。
以上の各工程を経ることより、多数個取り配線基板21a,21cが得られた。
【0053】
以上のような多数個取り配線基板21a,21eの製造方法によれば、前記製品領域24の主面23側に格子状に形成した分割溝26において、側面視で導体層12の両側に位置する第1の湾曲部R1が対称に形成され、更に第2の湾曲部R2あるいは一対の第3の湾曲部R3が対称に形成されている多数個取り配線基板20a,20cを、効率良く確実に製造することが可能となる。
しかも、張り出し部28〜30を含む分割溝26は、前記レーザLを用いたレーザ加工によって精度良く確実に形成できるため、特殊な形状の刃物が不要となり、製造コストを抑制でき、且つ溝入れ工程の管理も容易となる。
【0054】
尚、図15〜図18において、2つの分割溝26を非貫通孔31hおよび導体層12、あるいは貫通孔31h,32hおよび導体層12,18の中心部で直角に交叉させることで、配線基板部1nごとに前記配線基板1c,1gが併設された多数個取り配線基板(21c,21g)の製造方法とすることも可能である。
また、前記グリーンシート積層体gsにおいて、前記分割溝26を他方の主面22側にも、線対称にして形成する工程を更に加えることで、配線基板部1nごとに前記配線基板1b,1d,1f,1hが併設された多数個取り配線基板(21b,21d,21f,21h)の製造方法とすることも可能である。
【0055】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記配線基板や多数個取り配線基板のセラミックSは、アルミナ以外の高温焼成セラミック(例えば、窒化アルミニウムやムライト)としたり、あるいはガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックを用いても良い。後者の場合、前記導体層12,18などの導体には、CuあるいはAgを用いる。
また、前記基板本体や配線基板部は、平面視で長方形を呈する形態でも良い。
更に、前記基板本体kpや配線基板部1nは、他方の主面(表面)2,22に開口し、底面および側面を有するキャビティを有する形態であっても良い。
また、前記多数個取り配線基板の製造法におけるレーザ加工は、(非)貫通孔31hなどの内側とグリーンシート積層体gsの主面23側との間において、該レーザの条件が相違するように適宜調整することも可能である。
加えて、前記多数個取り配線基板の製造法に引き続いて、個々の配線基板に個片化する工程を連続して行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、基板本体の側面に位置する切欠部付近でのバリや該切欠部の内壁面に設けた導体層の千切れが少なく、形状および寸法精度に優れた配線基板、および該配線基板を複数個得るための多数個取り配線基板を、確実に提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1a〜1h……………………………配線基板
1n……………………………………配線基板部
2,22………………………………他方の主面/表面
3,23………………………………一方の主面/裏面
4………………………………………側面
5………………………………………破断面
6………………………………………溝入面
7………………………………………境界線
11,13,17,19……………切欠部/第1切欠部〜第4切欠部
12,14,18,20……………導体層
21a,21c,21e,21g…多数個取り配線基板
24……………………………………製品領域
25……………………………………耳部
26……………………………………分割溝
27……………………………………分割溝の底部
31,32……………………………第1円柱部、第2円柱部
31h,32h………………………非貫通孔/貫通孔
S………………………………………セラミック/セラミック層
kp……………………………………基板本体
R1〜R3……………………………第1湾曲部〜第3湾曲部
L………………………………………レーザ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面を有する側面と、を備えた基板本体と、
少なくとも上記側面の一方の主面側にのみ形成され、該側面の厚み方向に沿った平面視が凹形状の切欠部と、を備えた配線基板であって、
上記切欠部を有する側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記切欠部の両側に有すると共に、
上記基板本体における他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を、上記切欠部における他方の主面側に有する、
ことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面を有する側面と、を備えた基板本体と、
少なくとも隣接する一対の上記側面間の角部における一方の主面側のみに形成され、上記側面の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の切欠部と、を備えた配線基板であって、
上記切欠部の両側に位置する一対の側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記切欠部の両側に有すると共に、
上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記切欠部における他方の主面側に有する、
ことを特徴とする配線基板。
【請求項3】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面とを有する側面と、を備えた基板本体と、
少なくとも上記側面の一方の主面側にのみ形成され、該側面の厚み方向に沿った平面視が凹形状の第1切欠部と、
上記第1切欠部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、上記側面の厚み方向に沿った平面視が上記第1切欠部と相似形且つ少断面積の第2切欠部と、を備えた配線基板であって、
上記第1切欠部および第2切欠部を有する側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記第1切欠部の両側に有すると共に、
上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記第2切欠部の両側に有する、
ことを特徴とする配線基板。
【請求項4】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面とを有する側面と、を備えた基板本体と、
少なくとも隣接する1対の側面間の角部における一方の主面側にのみ形成され、上記側面の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の第3切欠部と、
上記第3切欠部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、上記側面の厚み方向に沿った平面視が上記第3切欠部と相似形で且つ少断面積の第4切欠部と、を備えた配線基板であって、
上記第3切欠部および第4切欠部を有する角部に隣接する一対の側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記第3切欠部の両側に有すると共に、
上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記第4切欠部の両側に有する、
ことを特徴とする配線基板。
【請求項5】
前記側面における他方の主面に沿って別の溝入面が更に位置し、前記破断面は、該別の溝入面と前記溝入面との間に位置している、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記切欠部、あるいは第1切欠部なし第4切欠部の内壁面には、該内壁面に沿った導体層が形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形である一対の主面を有する複数の配線基板部を縦横に隣接して併有する製品領域と、
上記と同じセラミック層からなり、上記製品領域の周囲に位置する平面視が矩形枠状である一対の主面を有する耳部と、
隣接する上記配線基板部同士の間、および上記製品領域と耳部との間に沿って、少なくとも一方の主面に形成された平面視が格子状の分割溝と、
上記分割溝が径方向に沿って交叉し、且つ一方の主面にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部と、を備えた多数個取り配線基板であって、
上記第1円柱部と径方向に沿って交叉する1つまたは2つの分割溝の底部は、側面視で該第1円柱部の両側に一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を有すると共に、上記第1円柱部における他方の主面側には、該他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を有している、
ことを特徴とする多数個取り配線基板。
【請求項8】
前記第1円柱部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、前記製品領域の厚み方向に沿った平面視が上記第1円柱部と相似形で且つ少断面積の第2円柱部が更に形成され、上記第1円柱部および第2円柱部と径方向に沿って交叉する1つまたは2つの分割溝の底部は、側面視で当該第2円柱部の両側に一方の主面側に凸となる第3の湾曲部を更に有している、
ことを特徴とする請求項7に記載の多数個取り配線基板。
【請求項9】
前記第1円柱部の内壁面、あるいは第1および第2円柱部の内壁面の双方には、該内壁面に沿った導体層が形成されている、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の多数個取り配線基板。
【請求項10】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形である一対の主面を有する複数の配線基板部を縦横に隣接して併有する製品領域と、
上記と同じ複数のセラミック層からなり、上記製品領域の周囲に位置する平面視が矩形枠状である一対の主面を有する耳部と、
隣接する上記配線基板部同士の間、および上記製品領域と耳部との間に沿って、少なくとも一方の主面に形成された平面視が格子形状の分割溝と、
上記分割溝が径方向に沿って交叉し、且つ一方の主面にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部と、を備えた多数個取り配線基板の製造方法であって、
平面視が矩形である一対の主面を有する複数のグリーンシートのうち、一部または全部のグリーンシートに内径が同径あるいは異径である複数の透孔を形成する工程と、
複数の上記グリーンシートを積層して得られたグリーンシート積層体の少なくとも一方の主面において、上記複数の透孔が連通した非貫通孔または貫通孔と平面視で焦点が交叉し、且つ配線基板部の周囲および製品領域と耳部とを区画する分割溝予定位置に沿って、レーザを上記非貫通孔または貫通孔内を含んで連続して照射しつつ走査することにより、複数の分割溝を平面視で格子状に形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする多数個取り配線基板の製造方法。
【請求項1】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面を有する側面と、を備えた基板本体と、
少なくとも上記側面の一方の主面側にのみ形成され、該側面の厚み方向に沿った平面視が凹形状の切欠部と、を備えた配線基板であって、
上記切欠部を有する側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記切欠部の両側に有すると共に、
上記基板本体における他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を、上記切欠部における他方の主面側に有する、
ことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面を有する側面と、を備えた基板本体と、
少なくとも隣接する一対の上記側面間の角部における一方の主面側のみに形成され、上記側面の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の切欠部と、を備えた配線基板であって、
上記切欠部の両側に位置する一対の側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記切欠部の両側に有すると共に、
上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記切欠部における他方の主面側に有する、
ことを特徴とする配線基板。
【請求項3】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面とを有する側面と、を備えた基板本体と、
少なくとも上記側面の一方の主面側にのみ形成され、該側面の厚み方向に沿った平面視が凹形状の第1切欠部と、
上記第1切欠部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、上記側面の厚み方向に沿った平面視が上記第1切欠部と相似形且つ少断面積の第2切欠部と、を備えた配線基板であって、
上記第1切欠部および第2切欠部を有する側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記第1切欠部の両側に有すると共に、
上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記第2切欠部の両側に有する、
ことを特徴とする配線基板。
【請求項4】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形で且つ対向する一対の主面と、該一対の主面の間に位置し、且つ一方の主面側に沿って位置する溝入面および該溝入面と他方の主面との間に位置する破断面とを有する側面と、を備えた基板本体と、
少なくとも隣接する1対の側面間の角部における一方の主面側にのみ形成され、上記側面の厚み方向に沿った平面視が4分の1円弧形状の第3切欠部と、
上記第3切欠部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、上記側面の厚み方向に沿った平面視が上記第3切欠部と相似形で且つ少断面積の第4切欠部と、を備えた配線基板であって、
上記第3切欠部および第4切欠部を有する角部に隣接する一対の側面において、上記溝入面と破断面との境界線は、側面視で上記基板本体における一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を、上記第3切欠部の両側に有すると共に、
上記基板本体における他方の主面側に凸となる第3の湾曲部を、上記第4切欠部の両側に有する、
ことを特徴とする配線基板。
【請求項5】
前記側面における他方の主面に沿って別の溝入面が更に位置し、前記破断面は、該別の溝入面と前記溝入面との間に位置している、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記切欠部、あるいは第1切欠部なし第4切欠部の内壁面には、該内壁面に沿った導体層が形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形である一対の主面を有する複数の配線基板部を縦横に隣接して併有する製品領域と、
上記と同じセラミック層からなり、上記製品領域の周囲に位置する平面視が矩形枠状である一対の主面を有する耳部と、
隣接する上記配線基板部同士の間、および上記製品領域と耳部との間に沿って、少なくとも一方の主面に形成された平面視が格子状の分割溝と、
上記分割溝が径方向に沿って交叉し、且つ一方の主面にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部と、を備えた多数個取り配線基板であって、
上記第1円柱部と径方向に沿って交叉する1つまたは2つの分割溝の底部は、側面視で該第1円柱部の両側に一方の主面側に凸となる第1の湾曲部を有すると共に、上記第1円柱部における他方の主面側には、該他方の主面側に凸となる第2の湾曲部を有している、
ことを特徴とする多数個取り配線基板。
【請求項8】
前記第1円柱部の奥側面の中心部と他方の主面との間を貫通し、前記製品領域の厚み方向に沿った平面視が上記第1円柱部と相似形で且つ少断面積の第2円柱部が更に形成され、上記第1円柱部および第2円柱部と径方向に沿って交叉する1つまたは2つの分割溝の底部は、側面視で当該第2円柱部の両側に一方の主面側に凸となる第3の湾曲部を更に有している、
ことを特徴とする請求項7に記載の多数個取り配線基板。
【請求項9】
前記第1円柱部の内壁面、あるいは第1および第2円柱部の内壁面の双方には、該内壁面に沿った導体層が形成されている、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の多数個取り配線基板。
【請求項10】
複数のセラミック層が積層されてなり、平面視が矩形である一対の主面を有する複数の配線基板部を縦横に隣接して併有する製品領域と、
上記と同じ複数のセラミック層からなり、上記製品領域の周囲に位置する平面視が矩形枠状である一対の主面を有する耳部と、
隣接する上記配線基板部同士の間、および上記製品領域と耳部との間に沿って、少なくとも一方の主面に形成された平面視が格子形状の分割溝と、
上記分割溝が径方向に沿って交叉し、且つ一方の主面にのみ開口する平面視が円形状の第1円柱部と、を備えた多数個取り配線基板の製造方法であって、
平面視が矩形である一対の主面を有する複数のグリーンシートのうち、一部または全部のグリーンシートに内径が同径あるいは異径である複数の透孔を形成する工程と、
複数の上記グリーンシートを積層して得られたグリーンシート積層体の少なくとも一方の主面において、上記複数の透孔が連通した非貫通孔または貫通孔と平面視で焦点が交叉し、且つ配線基板部の周囲および製品領域と耳部とを区画する分割溝予定位置に沿って、レーザを上記非貫通孔または貫通孔内を含んで連続して照射しつつ走査することにより、複数の分割溝を平面視で格子状に形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする多数個取り配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−243942(P2012−243942A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112398(P2011−112398)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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