説明

配線基板およびその製造方法

【課題】半導体素子の電極端子と半導体素子接続パッドとの接続を良好に行なうことが可能な配線基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】絶縁基板1に設けられたスルーホール2内は絶縁基板1の下面側に被着されたソルダーレジスト層6により充填されているとともに、絶縁基板1の上面に被着されたソルダーレジスト層6は、搭載部1aにおけるスルーホール2を露出させる開口部を有している。あるいは、絶縁基板1の上面に被着されたソルダーレジスト層6は搭載部1aにおける厚みが搭載部1aよりも外側における厚みよりも薄い。あるいは、絶縁基板1の上面に被着されたソルダーレジスト層6は絶縁基板1の下面に被着されたソルダーレジスト層6よりも薄い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を搭載するための配線基板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図10に示すように、下面外周部に電極端子Tがペリフェラル配置された半導体素子Sをフリップチップ接続により搭載する配線基板として、多数のスルーホール12を有する絶縁基板11の上面の中央部に半導体素子Sを搭載するための搭載部11aを設けるとともに、絶縁基板11の上面からスルーホール12内を介して下面に導出する複数の配線導体13を被着させ、この配線導体13の一部を搭載部11aの外周部において半導体素子Sの電極端子Tに接続するための半導体素子接続パッド14として配置するとともに絶縁基板11の下面において外部電気回路基板と接続するための外部接続パッド15として配置し、さらに絶縁基板11の上下面およびスルーホール12内に半導体素子接続パッド14および外部接続パッド15を露出させる開口16aおよび16bを有するソルダーレジスト層16を被着させてなる配線基板が知られている。
【0003】
そして、このような配線基板においては、図11に示すように、搭載部11aに設けた半導体素子接続パッド14と半導体素子Sの電極端子Tとを向かい合わせに圧接して接合するとともに半導体素子Sと搭載部11aとの間にアンダーフィルと呼ばれる封止樹脂17を充填することによって半導体素子Sが実装される。
【0004】
なお、この従来の配線基板において、絶縁基板11の上下面およびスルーホール12内にソルダーレジスト層16を被着させるには、ソルダーレジスト層用の感光性を有する樹脂ペーストをスクリーン印刷法により絶縁基板11の上下面に塗布すると同時にスルーホール12に充填し、しかる後、
塗布および充填された樹脂ペーストを開口16aおよび16bを有するように露光・現像するとともに熱硬化および紫外線硬化させる方法が採用されている。
【0005】
しかしながら、この従来の配線基板においては、絶縁基板11の上下面およびスルーホール12内にソルダーレジスト層16を被着させる際に、スルーホール12内に充填された樹脂ペーストによりスルーホール12上の樹脂ペーストが外側に押されてスルーホール12上のソルダーレジスト層16に凸部が生じやすい。
【0006】
そして、搭載部11aにおけるソルダーレジスト層16に大きな凸部が形成されている場合、搭載部11aに設けた半導体素子接続パッド14上に半導体素子Sの電極端子Tを向かい合わせにして圧接する際、半導体素子Sの下面とソルダーレジスト層16の凸部とが接触し、その結果、半導体素子Sの電極端子Tと半導体素子接続パッド14とが強固に圧接されずに両者間の接続を良好に行うことが困難となってしまうという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−66517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、下面外周部に電極端子がペリフェラル配置された半導体素子をフリップチップ接続により搭載する配線基板において、半導体素子の電極端子と半導体素子接続パッドとの接続を良好に行なうことが可能な配線基板およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一番目の配線基板は、上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに、該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されて成る絶縁基板と、該絶縁基板の上面から前記スルーホール内面を介して前記絶縁基板の下面にかけて被着されており、前記搭載部の外周部に前記半導体素子の電極端子が接続される複数の半導体素子接続パッドを有するとともに前記絶縁基板の下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される外部接続パッドを有する配線導体と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内に、前記半導体素子接続パッドおよび前記外部接続パッドを露出させるとともに前記スルーホール内を充填するように被着されたソルダーレジスト層とを備えて成る配線基板であって、前記スルーホール内は前記絶縁基板の下面側に被着されたソルダーレジスト層により充填されているとともに、前記絶縁基板の上面に被着されたソルダーレジスト層は前記搭載部における前記スルーホールを露出させる開口部を有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の二番面の配線基板は、上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに、該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されて成る絶縁基板と、該絶縁基板の上面から前記スルーホール内面を介して前記絶縁基板の下面にかけて被着されており、前記搭載部の外周部に前記半導体素子の電極端子が接続される複数の半導体素子接続パッドを有するとともに前記絶縁基板の下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される外部接続パッドを有する配線導体と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内に、前記半導体素子接続パッドおよび前記外部接続パッドを露出させるとともに前記スルーホール内を充填するように被着されたソルダーレジスト層とを備えて成る配線基板であって、前記スルーホール内は前記絶縁基板の下面側に被着されたソルダーレジスト層により充填されているとともに、前記絶縁基板の上面に被着されたソルダーレジスト層は前記搭載部における厚みが該搭載部よりも外側における厚みよりも薄いことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の三番目の配線基板は、上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに、該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されて成る絶縁基板と、該絶縁基板の上面から前記スルーホール内面を介して前記絶縁基板の下面にかけて被着されており、前記搭載部の外周部に前記半導体素子の電極端子が接続される複数の半導体素子接続パッドを有するとともに前記絶縁基板の下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される外部接続パッドを有する配線導体と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内に、前記半導体素子接続パッドおよび前記外部接続パッドを露出させるとともに前記スルーホール内を充填するように被着されたソルダーレジスト層とを備えて成る配線基板であって、前記スルーホール内は前記絶縁基板の下面側に被着されたソルダーレジスト層により充填されているとともに、前記絶縁基板の上面に被着されたソルダーレジスト層は前記下面に被着されたソルダーレジスト層よりも薄いことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一番目の配線基板の製造方法は、上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されており、かつ上面から前記スルーホール内面を介して下面にかけて被着された配線導体を有する絶縁基板を準備する工程と、前記絶縁基板の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布するとともに該樹脂ペーストを下面側から前記スルーホール内に充填する工程と、前記絶縁基板の上面に前記搭載部における前記スルーホールを露出させる開口部を有するようにソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布する工程と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内の前記樹脂ペーストを露光および現像した後に硬化させることにより、前記上面に被着された配線導体の一部を前記半導体素子の電極端子に接続される複数の半導体素子接続パッドとして前記搭載部の外周部に露出させるとともに前記搭載部における前記スルーホールを露出させる開口部を有する上面側のソルダーレジスト層および、前記下面に被着された配線導体の一部を外部電気回路基板の配線導体に接続される外部接続パッドとして露出させる開口部を有する下面側のソルダーレジスト層を形成する工程とを順に行なうことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の二番目の配線基板の製造方法は、上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されており、かつ上面から前記スルーホール内面を介して下面にかけて被着された配線導体を有する絶縁基板を準備する工程と、前記絶縁基板の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布するとともに該樹脂ペーストを下面側から前記スルーホール内に充填する工程と、前記絶縁基板の上面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを、前記搭載部においては前記下面に塗布された前記樹脂ペーストよりも薄くなるとともに搭載部よりも外側においては前記搭載部におけるよりも厚くなるように塗布する工程と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内の前記樹脂ペーストを露光および現像した後に硬化させることにより、前記上面に被着された配線導体の一部を前記半導体素子の電極端子に接続される複数の半導体素子接続パッドとして前記搭載部の外周部に露出させる開口部を有する上面側のソルダーレジスト層および、前記下面に被着された配線導体の一部を外部電気回路基板の配線導体に接続される外部接続パッドとして露出させる開口部を有する下面側のソルダーレジスト層を形成する工程とを順に行なうことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の三番目の配線基板の製造方法は、上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されており、かつ上面から前記スルーホール内面を介して下面にかけて被着された配線導体を有する絶縁基板を準備する工程と、前記絶縁基板の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布するとともに該樹脂ペーストを下面側から前記スルーホール内に充填する工程と、前記絶縁基板の上面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを、前記下面に塗布された前記樹脂ペーストよりも薄くなるように塗布する工程と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内の前記樹脂ペーストを露光および現像した後に硬化させることにより、前記上面に被着された配線導体の一部を前記半導体素子の電極端子に接続される複数の半導体素子接続パッドとして前記搭載部の外周部に露出させる開口部を有する上面側のソルダーレジスト層および、前記下面に被着された配線導体の一部を外部電気回路基板の配線導体に接続される外部接続パッドとして露出させる開口部を有する下面側のソルダーレジスト層を形成する工程とを順に行なうことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一番目の配線基板によれば、スルーホール内が絶縁基板の下面側に被着されたソルダーレジスト層により充填されているとともに、絶縁基板の上面に被着されたソルダーレジスト層は搭載部におけるスルーホール上を露出させる開口部を有していることから、スルーホール内がソルダーレジストにより良好に充填されるとともに、スルーホール内に充填されたソルダーレジストが例えスルーホール上に突出したとしても、絶縁基板の搭載部においては、搭載される半導体素子の下面に接触するようなソルダーレジスト層の大きな凸部が形成されることはない。したがって、搭載部に設けた半導体素子接続パッド上に半導体素子の電極端子を向かい合わせにして圧接する際、半導体素子の下面と搭載部におけるソルダーレジスト層とが接触することはなく、半導体素子の電極端子と半導体素子接続パッドとの接続を良好に行なうことができる。
【0016】
本発明の二番目の配線基板によれば、スルーホール内が絶縁基板の下面側に被着されたソルダーレジスト層により充填されているとともに、絶縁基板の上面に被着されたソルダーレジスト層は搭載部における厚みが搭載部よりも外側における厚みよりも薄いことから、スルーホール内がソルダーレジストにより良好に充填されるとともに、スルーホール内に充填されたソルダーレジストが例えスルーホール上に突出したとしても、絶縁基板の搭載部においては、搭載される半導体素子の下面に接触するようなソルダーレジスト層の大きな凸部が形成されることはない。したがって、搭載部に設けた半導体素子接続パッド上に半導体素子の電極端子を向かい合わせにして圧接する際、半導体素子の下面と搭載部におけるソルダーレジスト層とが接触することはなく、半導体素子の電極端子と半導体素子接続パッドとの接続を良好に行なうことができる。
【0017】
本発明の三番目の配線基板によれば、スルーホール内が絶縁基板の下面側に被着されたソルダーレジスト層により充填されているとともに、絶縁基板の上面に被着されたソルダーレジスト層は下面に被着されたソルダーレジスト層よりも薄いことから、スルーホール内がソルダーレジストにより良好に充填されるとともに、スルーホール内に充填されたソルダーレジストが例えスルーホール上に突出したとしても、絶縁基板の搭載部においては、搭載される半導体素子の下面に接触するようなソルダーレジスト層の大きな凸部が形成されることはない。したがって、搭載部に設けた半導体素子接続パッド上に半導体素子の電極端子を向かい合わせにして圧接する際、半導体素子の下面と搭載部におけるソルダーレジスト層とが接触することはなく、半導体素子の電極端子と半導体素子接続パッドとの接続を良好に行なうことができる。
【0018】
本発明の一番目の配線基板の製造方法によれば、前記絶縁基板の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布するとともに該樹脂ペーストを下面側から前記スルーホール内に充填し、次に前記絶縁基板の上面に前記搭載部における前記スルーホールを露出させる開口部を有するようにソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布することから、スルーホール内がソルダーレジストにより良好に充填されるとともに、スルーホール内に充填されたソルダーレジストが例えスルーホール上に突出したとしても、絶縁基板の搭載部においては、搭載される半導体素子の下面に接触するようなソルダーレジスト層の大きな凸部が形成されることはない。したがって、搭載部に設けた半導体素子接続パッド上に半導体素子の電極端子を向かい合わせにして圧接する際、半導体素子の下面と搭載部におけるソルダーレジスト層とが接触することはなく、半導体素子の電極端子と半導体素子接続パッドとの接続を良好に行なうことが可能な配線基板を提供することができる。
【0019】
本発明の二番目の配線基板の製造方法によれば、前記絶縁基板の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布するとともに該樹脂ペーストを下面側から前記スルーホール内に充填し、次に前記絶縁基板の上面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを、前記搭載部においては前記下面に塗布された前記樹脂ペーストよりも薄くなるとともに搭載部よりも外側においては前記搭載部におけるよりも厚くなるように塗布することから、スルーホール内がソルダーレジストにより良好に充填されるとともに、スルーホール内に充填されたソルダーレジストが例えスルーホール上に突出したとしても、絶縁基板の搭載部においては、搭載される半導体素子の下面に接触するようなソルダーレジスト層の大きな凸部が形成されることはない。したがって、搭載部に設けた半導体素子接続パッド上に半導体素子の電極端子を向かい合わせにして圧接する際、半導体素子の下面と搭載部におけるソルダーレジスト層とが接触することはなく、半導体素子の電極端子と半導体素子接続パッドとの接続を良好に行なうことが可能な配線基板を提供することができる。
【0020】
本発明の三番目の配線基板の製造方法によれば、前記絶縁基板の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布するとともに該樹脂ペーストを下面側から前記スルーホール内に充填し、次に前記絶縁基板の上面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを、前記下面に塗布された前記樹脂ペーストよりも薄くなるように塗布することから、スルーホール内がソルダーレジストにより良好に充填されるとともに、スルーホール内に充填されたソルダーレジストが例えスルーホール上に突出したとしても、絶縁基板の搭載部においては、搭載される半導体素子の下面に接触するようなソルダーレジスト層の大きな凸部が形成されることはない。したがって、搭載部に設けた半導体素子接続パッド上に半導体素子の電極端子を向かい合わせにして圧接する際、半導体素子の下面と搭載部におけるソルダーレジスト層とが接触することはなく、半導体素子の電極端子と半導体素子接続パッドとの接続を良好に行なうことが可能な配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の配線基板における第一の実施形態例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、図1に示す配線基板に半導体素子を実装した場合を示す概略断面図である。
【図3】図3は、図1に示す配線基板の製造方法を説明するための工程毎の概略断面図である。
【図4】図4は、本発明の配線基板における第二の実施形態例を示す概略断面図である。
【図5】図5は、図4に示す配線基板に半導体素子を実装した場合を示す概略断面図である。
【図6】図6は、図4に示す配線基板の製造方法を説明するための工程毎の概略断面図である。
【図7】図7は、本発明の配線基板における第三の実施形態例を示す概略断面図である。
【図8】図8は、図7に示す配線基板に半導体素子を実装した場合を示す概略断面図である。
【図9】図9は、図7に示す配線基板の製造方法を説明するための工程毎の概略断面図である。
【図10】図10は、従来の配線基板を示す概略断面図である。
【図11】図11は、図10に示す配線基板に半導体素子を実装した場合を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の配線基板およびその製造方法における第一の実施形態例について図1〜図3を基にして説明する。図1に示すように、本例の配線基板は、主として絶縁基板1と、配線導体3と、ソルダーレジスト層6とから形成されている。
【0023】
絶縁基板1は、例えばガラスクロス基材にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて熱硬化させた電気絶縁材料板から成り、その上面中央部に半導体素子Sが搭載される搭載部1aを有するとともに、搭載部1aを含む上面から下面にかけて複数のスルーホール2が形成されている。このような絶縁基板1は、ガラスクロス基材に未硬化の熱硬化性樹脂組成物を含浸させて半硬化させるとともに、その上下面に配線導体3の一部となる金属箔を貼着して熱硬化させて電気絶縁材料板となし、しかる後、その電気絶縁材料板に上下面の金属箔ごとドリル加工を施してスルーホール2を穿孔することにより形成される。
【0024】
絶縁基板1の上面からスルーホール2の内面を介して下面にかけては、複数の配線導体3が被着されている。配線導体3は、半導体素子Sの電極端子Tを図示しない外部電気回路基板の配線導体に接続するための導電路として機能し、絶縁基板1上面の搭載部1a外周部に半導体素子Sの電極端子Tが接続される半導体素子接続パッド4を有しているとともに絶縁基板1下面に外部電気回路基板の配線導体に接続される外部接続パッド5を有している。このような配線導体3は、銅箔や銅めっき層等の良電導材料から成り、例えば絶縁基板1用の電気絶縁材料板の上下面に配線導体3の一部となる薄い銅箔を貼着しておくとともにこの電気絶縁材料板に銅箔ごとスルーホール2を形成した後、スルーホール2の内面および銅箔の表面に無電解銅めっきを施した後、その無電解銅めっき上に電解銅めっきおよび電解錫めっきを配線導体3に対応する所定のパターンに被着させ、しかる後、錫めっきで覆われていない部分の無電解銅めっきおよび銅箔を選択的にエッチング除去し、最後に電解銅めっき上の錫めっきを選択的にエッチング除去することにより形成される。
【0025】
絶縁基板1の上下面には厚みが20〜25μm程度のソルダーレジスト層6が被着されているとともに下面側に被着されたソルダーレジスト層6によりスルーホール2内が充填されており、これらのソルダーレジスト層6に設けられた開口部6aおよび6bから半導体素子接続パッド4および外部接続パッド5が露出している。ソルダーレジスト層6は、配線導体3を保護するためのものであり、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の光硬化性および熱硬化性の樹脂基材に酸化ケイ素等の無機絶縁フィラーを分散させた電気絶縁材料から成る。このようなソルダーレジスト層6は、例えば感光性を有するアクリル変性エポキシ樹脂を含有する電気絶材料の樹脂ペーストをスクリーン印刷法により印刷することにより絶縁基板1の上下面にそれぞれ印刷塗布するとともにスルーホール2内に充填し、しかる後、その樹脂ペーストを所定のパターンに露光および現像した後、紫外線硬化および熱硬化させることにより形成される。
【0026】
そして、本例の配線基板においては、スルーホール2内は絶縁基板1の下面側に被着されたソルダーレジスト層6により充填されているとともに、絶縁基板1の上面に被着されたソルダーレジスト層6は半導体素子接続パッド4を露出させるとともに搭載部1aにおけるスルーホール2を露出させる開口部6aを有している。このように本例の配線基板においては、スルーホール2内が絶縁基板1の下面側に被着されたソルダーレジスト層6により充填されているとともに、絶縁基板1の上面に被着されたソルダーレジスト層6が半導体素子接続パッド4を露出させるとともに搭載部1aにおけるスルーホール2を露出させる開口部6aを有していることから、搭載部1aにおけるスルーホール2上に上面側のソルダーレジスト層6がないにもかかわらず、スルーホール2内が下面側のソルダーレジスト層6により良好に充填されるとともに、スルーホール6内に充填されたソルダーレジスト層6が例えスルーホール2上に突出したとしても、絶縁基板1の搭載部1aにおいては、搭載される半導体素子Sの下面に接触するようなソルダーレジスト層6の大きな凸部が形成されることはない。
【0027】
そして、本例の配線基板においては、図2に示すように、搭載部1aに設けた半導体素子接続パッド4上に半導体素子Sの電極端子Tを向かい合わせにして圧接して接合した後、半導体素子Sと絶縁基板1との間にアンダーフィルと呼ばれる封止樹脂7を充填することによって半導体素子Sが実装される。このとき、絶縁基板1の搭載部1aにおいては、搭載される半導体素子Sの下面に接触するようなソルダーレジスト層6の大きな凸部は形成されていないので、本例の配線基板によれば、半導体素子Sの電極端子Tと半導体素子接続パッド4との接続を良好に行なうことができる。このとき、半導体素子Sと絶縁基板1との間には封止樹脂7が充填されることから、絶縁基板1の搭載部1a上にソルダーレジスト層6が存在しないものの、搭載部1a上の配線導体3は封止樹脂7で良好に保護される。
【0028】
なお、搭載部1a上の配線導体3は、半導体素子接続パッド4を除く表面を粗化面または酸化面の少なくとも一方としておくことが好ましい。搭載部1a上の配線導体3における半導体素子接続パッド4を除く表面を粗化面または酸化面の少なくとも一方としておくことにより、搭載部1a上の配線導体3と封止樹脂7とを粗化面または酸化面の少なくとも一方を介して極めて強固に密着させることができる。この場合、半導体素子接続パッド4の表面には半導体素子Sの電極Tとの接合を良好なものとするために金等の耐食性に優れた金属をめっきにより被着させておくか、プリフラックス処理を施しておくことが好ましい。
【0029】
次に、上述した第一の実施形態例の配線基板を本発明の製造方法により製造する方法について図3を基にして説明する。
【0030】
まず、図3(a)に示すように、上面中央部に半導体素子が搭載される搭載部1aを有するとともに、搭載部1aを含む上面から下面にかけて複数のスルーホール2が形成されており、かつ上面からスルーホール2の内面を介して下面にかけて被着された配線導体3を有する絶縁基板1を準備する。なお、このとき配線導体3の表面は粗化面としておくことが好ましい。配線導体3の表面を粗化面とするには、例えば蟻酸を含む酸性の粗化液で配線導体3の表面を粗化処理する方法が採用される。
【0031】
次に、図3(b)に示すように、絶縁基板1の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P1を塗布するとともに樹脂ペースト6P1をスルーホール2内に充填する。このとき、スルーホール2内に充填された樹脂ペースト6P1が絶縁基板1の上面側に大きく突出しない厚みで塗布する。樹脂ペースト6P1の塗布および充填にはスクリーン印刷法を用いる。
【0032】
次に、絶縁基板1の下面およびスルーホール2内の樹脂ペースト6P1を乾燥させた後、図3(c)に示すように、絶縁基板1の下面に塗布した樹脂ペースト6P1の上からソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P2を塗布する。この塗布により絶縁基板1の下面のソルダーレジスト層6の厚みを20〜25μm程度の十分に厚いものとすることができる。もし、絶縁基板1の下面に樹脂ペースト6P1のみを塗布することにより絶縁基板1の下面に十分な厚みのソルダーレジスト層6を得ようとすると、スルーホール2内に充填される樹脂ペースト6P1が絶縁基板1の上面側に大きく突出してしまう危険性が高くなる。したがって、このように、スルーホール2内に充填した樹脂ペースト6P1が絶縁基板1の上面側に大きく突出しないような薄い厚みで絶縁基板1の下面に樹脂ペースト6P1を塗布して乾燥させた後、絶縁基板1の下面のソルダーレジスト層6の厚みを十分なものとするための樹脂ペースト6P2を重ね塗りすることが好ましい。なお、樹脂ペースト6P2としては、樹脂ペースト6P1と同様のものを用いればよい。また、樹脂ペースト6P2の塗布には樹脂ペースト6P1の場合と同様にスクリーン印刷法を用いればよいが、スクリーン印刷に用いるスクリーンやスキージー等は樹脂ペースト6P1の場合と異なるものを用いてもよい。
【0033】
次に、樹脂ペースト6P1の上に塗布した樹脂ペースト6P2を乾燥させた後、図3(d)に示すように、絶縁基板1の上面に搭載部1aにおけるスルーホール2を露出させる開口部6P3aを有するようにソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P3を塗布する。樹脂ペースト6P3としては、樹脂ペースト6P1や6P2と同様のものを用いればよい。また、樹脂ペースト6P3の塗布には樹脂ペースト6P1や6P2の場合と同様にスクリーン印刷法を用いればよいが、スクリーン印刷に用いるスクリーンは、開口部6P3aに対応する部分がマスキングされたものを用いる。
【0034】
次に、絶縁基板1の上面に塗布した樹脂ペースト6P3を乾燥させた後、図3(e)に示すように、樹脂ペースト6P1,6P2,6P3をフォトリソグラフィ技術を採用して所定のパターンに露光および現像した後、紫外線硬化および熱硬化させることにより、半導体素子接続パッド4および搭載部1aにおけるスルーホール2を露出させる開口部6aを有する上面側のソルダーレジスト層6と、外部接続パッド5を露出させる開口部6bを有する下面側のソルダーレジスト層6とを形成することにより本例の配線基板が完成する。
【0035】
このとき、本例の配線基板の製造方法によれば、絶縁基板1の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P1,6P2を順次塗布するとともに樹脂ペースト6P1を下面側からスルーホール2内に充填し、次に絶縁基板1の上面に搭載部1aにおけるスルーホール2を露出させる開口部6P3aを有するようにソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P3を塗布することから、スルーホール2内がソルダーレジスト6により良好に充填されるとともに、スルーホール2内に充填されたソルダーレジスト6が例えスルーホール2上に突出したとしても、絶縁基板1の搭載部1aにおいては、搭載される半導体素子Sの下面に接触するようなソルダーレジスト層6の大きな凸部が形成されることはない。したがって、搭載部1aに設けた半導体素子接続パッド4上に半導体素子Sの電極端子Tを向かい合わせにして圧接する際、半導体素子Sの下面と搭載部1aにおけるソルダーレジスト層6とが接触することがなく、半導体素子Sの電極端子Tと半導体素子接続パッド4との接続を良好に行なうことが可能な配線基板を提供することができる。
【0036】
なお、開口部6a内に露出する搭載部1a上の配線導体3は、半導体素子接続パッド4を除く表面を粗化面または酸化面の少なくとも一方としておくことが好ましい。搭載部1a上の配線導体3における半導体素子接続パッド4を除く表面を粗化面または酸化面の少なくとも一方としておくことにより、搭載部1a上の配線導体3と封止樹脂7とを粗化面または酸化面の少なくとも一方を介して極めて強固に密着させることが可能な配線基板を提供することができる。開口部6a内に露出する搭載部1a上の配線導体3の表面を粗化面とするには、前述したように配線導体3の表面を粗化液で粗化処理する方法が採用される。また、開口部6a内に露出する搭載部1a上の配線導体3の表面を酸化面とするには、絶縁基板1の上下面にソルダーレジスト層6を形成した後、配線導体3の表面が酸化しやすい環境中に放置する方法が採用される。この場合、半導体素子接続パッド4の表面には半導体素子Sの電極Tとの接合を良好なものとするために金等の耐食性に優れた金属をめっきにより被着させておくか、プリフラックス処理を施しておくことが好ましい。
【0037】
次に、本発明の配線基板およびその製造方法における第二の実施形態例について図4〜図6を基にして説明する。なお、本例において上述の第一の実施形態例と同様の箇所には同様の符号を付し、煩雑を避けるためその詳細な説明は省略する。
【0038】
図4に示すように、本例の配線基板においては、スルーホール2内は絶縁基板1の下面側に被着されたソルダーレジスト層6により充填されているとともに、絶縁基板1の上面に被着されたソルダーレジスト層6は、搭載部1aにおける厚みが5〜11μm程度でありその外側における厚み20〜25μm程度よりも薄くなっている。このように、本例の配線基板によれば、スルーホール2内が絶縁基板1の下面側に被着されたソルダーレジスト層6により充填されているとともに、絶縁基板1の上面に被着されたソルダーレジスト層6は搭載部1aにおける厚みがその外側における厚みよりも薄くなっていることから、搭載部1aにおけるソルダーレジスト層6が5〜11μmと薄いにもかかわらず、スルーホール2内が下面側のソルダーレジスト層6により良好に充填されるとともに、スルーホール6内に充填されたソルダーレジスト層6が例えスルーホール2上に突出したとしても、絶縁基板1の搭載部1aにおいては、搭載される半導体素子Sの下面に接触するようなソルダーレジスト層6の大きな凸部が形成されることはない。
【0039】
したがって、本例の配線基板によれば、図5に示すように、搭載部1aに設けた半導体素子接続パッド4上に半導体素子Sの電極端子Tを向かい合わせにして圧接して接合した後、半導体素子Sと絶縁基板1との間に封止樹脂7を充填することによって半導体素子Sを実装すると、絶縁基板1の搭載部1aにおいては、搭載される半導体素子Sの下面に接触するようなソルダーレジスト層6の大きな凸部は形成されていないので、半導体素子Sの電極端子Tと半導体素子接続パッド4との接続を良好に行なうことができる。なお、このとき、半導体素子Sと絶縁基板1との間には封止樹脂7が充填されることから、絶縁基板1の搭載部1a上のソルダーレジスト層6は薄いものの、搭載部1a上の配線導体3は封止樹脂7で良好に保護される。
【0040】
次に、上述した第二の実施形態例の配線基板を本発明の製造方法により製造する方法について図6を基にして説明する。
【0041】
まず、図6(a)に示すように、上面中央部に半導体素子が搭載される搭載部1aを有するとともに、搭載部1aを含む上面から下面にかけて複数のスルーホール2が形成されており、かつ上面からスルーホール2の内面を介して下面にかけて被着された配線導体3を有する絶縁基板1を準備する。
【0042】
次に、図6(b)に示すように、絶縁基板1の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P1を塗布するとともに樹脂ペースト6P1をスルーホール2内に充填する。このとき、スルーホール2内に充填された樹脂ペースト6P1が絶縁基板1の上面側に大きく突出しない厚みで塗布する。
【0043】
次に、絶縁基板1の下面およびスルーホール2内の樹脂ペースト6P1を乾燥させた後、図6(c)に示すように、絶縁基板1の下面に塗布した樹脂ペースト6P1の上からソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P2を塗布する。この塗布により絶縁基板1の下面のソルダーレジスト層6の厚みを20〜25μm程度の十分に厚いものとすることができる。
【0044】
次に、樹脂ペースト6P1の上に塗布した樹脂ペースト6P2を乾燥させた後、図6(d)に示すように、絶縁基板1の上面にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P3を、絶縁基板1の下面に塗布した樹脂ペースト6P1および6P2の合計厚みよりも薄く塗布する。樹脂ペースト6P3の厚みは5〜11μm程度が好ましい。樹脂ペースト6P3の厚みが11μmよりも厚いと、スルーホール2内に充填した樹脂ペースト6P1が絶縁基板1の上面から突出した場合に、絶縁基板1の上面側のソルダーレジスト層6に半導体素子Sと接触するような大きな凸部が形成される危険性がある。なお、樹脂ペースト6P3に含有される無機絶縁フィラーは、その粒径が10μm以下であることがこのましい。樹脂ペースト6P3に含有される無機絶縁フィラーの粒径が10μmを超えると、塗布された樹脂ペースト6P3にピンホールが形成される危険性が大きくなる。
【0045】
次に、絶縁基板1の上面に塗布した樹脂ペースト6P3を乾燥させた後、図6(e)に示すように、絶縁基板1の上面に塗布した樹脂ペースト6P3上の搭載部1aよりも外側の部分にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P4を塗布する。樹脂ペースト6P4としては、樹脂ペースト6P1や6P2、6P3と同様のものを用いればよい。また、樹脂ペースト6P4の塗布には樹脂ペースト6P1や6P2、6P3の場合と同様にスクリーン印刷法を用いればよいが、スクリーン印刷に用いるスクリーンは搭載部1aに対応する部分がマスキングされたものを用いる。
【0046】
次に、絶縁基板1の上面に塗布した樹脂ペースト6P4を乾燥させた後、図6(f)に示すように、樹脂ペースト6P1,6P2,6P3,6P4をフォトリソグラフィ技術を採用して所定のパターンに露光および現像した後、紫外線硬化および熱硬化させることにより、半導体素子接続パッド4を露出させる開口部6aを有する上面側のソルダーレジスト層6と、外部接続パッド5を露出させる開口部6bを有する下面側のソルダーレジスト層6とを形成することにより本例の配線基板が完成する。
【0047】
このとき、本例の配線基板の製造方法によれば、絶縁基板1の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P1,6P2を順次塗布するとともに樹脂ペースト6P1を下面側からスルーホール2内に充填し、次に絶縁基板1の上面にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P3,6P4を、搭載部1aにおいては絶縁基板1の下面に塗布された樹脂ペースト6P1および6P2の合計厚みよりも薄くなるとともに搭載部1aよりも外側においては搭載部1aにおけるよりも厚くなるように順次塗布することから、スルーホール2内がソルダーレジスト6により良好に充填されるとともに、スルーホール2内に充填されたソルダーレジスト6が例えスルーホール2上に突出したとしても、絶縁基板1の搭載部1aにおいては、搭載される半導体素子Sの下面に接触するようなソルダーレジスト層6の大きな凸部が形成されることはない。したがって、搭載部1aに設けた半導体素子接続パッド4上に半導体素子Sの電極端子Tを向かい合わせにして圧接する際、半導体素子Sの下面と搭載部1aにおけるソルダーレジスト層6とが接触することはなく、半導体素子Sの電極端子Tと半導体素子接続パッド4との接続を良好に行なうことが可能な配線基板を提供することができる。
【0048】
次に、本発明の配線基板およびその製造方法における第三の実施形態例について図7〜図9を基にして説明する。なお、本例において上述の第一および第二の実施形態例と同様の箇所には同様の符号を付し、煩雑を避けるためその詳細な説明は省略する。
【0049】
図7に示すように、本例の配線基板においては、スルーホール2内は絶縁基板1の下面側に被着されたソルダーレジスト層6により充填されているとともに、絶縁基板1の上面に被着されたソルダーレジスト層6は厚みが5〜11μmであり、絶縁基板1の下面に被着されたソルダーレジスト層6の厚み20〜25μmよりも薄くなっている。このように、本例の配線基板によれば、スルーホール2内が絶縁基板1の下面側に被着されたソルダーレジスト層6により充填されているとともに、絶縁基板1の上面に被着されたソルダーレジスト層6は絶縁基板1下面に被着されたソルダーレジスト層6よりも薄くなっていることから、搭載部1aにおけるスルーホール2上に上面側のソルダーレジスト層6が5〜11μmと薄いにもかかわらず、スルーホール2内が下面側のソルダーレジスト層6により良好に充填されるとともに、スルーホール6内に充填されたソルダーレジスト層6が例えスルーホール2上に突出したとしても、絶縁基板1の搭載部1aにおいては、搭載される半導体素子Sの下面に接触するようなソルダーレジスト層6の大きな凸部が形成されることはない。
【0050】
したがって、本例の配線基板によれば、図8に示すように、搭載部1aに設けた半導体素子接続パッド4上に半導体素子Sの電極端子Tを向かい合わせにして圧接して接合した後、半導体素子Sと絶縁基板1との間にアンダーフィルと呼ばれる封止樹脂7を充填することによって半導体素子Sを実装すると、絶縁基板1の搭載部1aにおいては、搭載される半導体素子Sの下面に接触するようなソルダーレジスト層6の大きな凸部は形成されていないので、半導体素子Sの電極端子Tと半導体素子接続パッド4との接続を良好に行なうことができる。なお、このとき、半導体素子Sと絶縁基板1との間には封止樹脂7が充填されることから、絶縁基板1の搭載部1a上のソルダーレジスト層6は薄いものの、搭載部1a上の配線導体3は封止樹脂7で良好に保護される。
【0051】
次に、上述した第三の実施形態例の配線基板を本発明の製造方法により製造する方法について図9を基にして説明する。
【0052】
まず、図9(a)に示すように、上面中央部に半導体素子が搭載される搭載部1aを有するとともに、搭載部1aを含む上面から下面にかけて複数のスルーホール2が形成されており、かつ上面からスルーホール2の内面を介して下面にかけて被着された配線導体3を有する絶縁基板1を準備する。
【0053】
次に、図9(b)に示すように、絶縁基板1の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P1を塗布するとともに樹脂ペースト6P1をスルーホール2内に充填する。このとき、スルーホール2内に充填された樹脂ペースト6P1が絶縁基板1の上面側に大きく突出しない厚みで塗布する。
【0054】
次に、絶縁基板1の下面およびスルーホール2内の樹脂ペースト6P1を乾燥させた後、図9(c)に示すように、絶縁基板1の下面に塗布した樹脂ペースト6P1の上からソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P2を塗布する。この塗布により絶縁基板1の下面のソルダーレジスト層6の厚みを20〜25μm程度の十分に厚いものとすることができる。
【0055】
次に、樹脂ペースト6P1の上に塗布した樹脂ペースト6P2を乾燥させた後、図9(d)に示すように、絶縁基板1の上面にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P3を、絶縁基板1の下面に塗布した樹脂ペースト6P1および6P2の合計厚み20〜25μmよりも薄い5〜11μmの厚みに塗布する。樹脂ペースト6P3の厚みが11μmよりも厚いと、スルーホール2内に充填した樹脂ペースト6P1が絶縁基板1の上面から突出した場合に、絶縁基板1の上面側のソルダーレジスト層6に半導体素子Sと接触するような大きな凸部が形成される危険性がある。なお、樹脂ペースト6P3に含有される無機絶縁フィラーは、その粒径が10μm以下であることがこのましい。樹脂ペースト6P3に含有される無機絶縁フィラーの粒径が10μmを超えると、塗布された樹脂ペースト6P3にピンホールが形成される危険性が大きくなる。
【0056】
次に、絶縁基板1の上面に塗布した樹脂ペースト6P3を乾燥させた後、図9(e)に示すように、樹脂ペースト6P1,6P2,6P3をフォトリソグラフィ技術を採用して所定のパターンに露光および現像した後、紫外線硬化および熱硬化させることにより、半導体素子接続パッド4を露出させる開口部6aを有する上面側のソルダーレジスト層6と、外部接続パッド5を露出させる開口部6bを有する下面側のソルダーレジスト層6とを形成することにより本例の配線基板が完成する。
【0057】
このとき、本例の配線基板の製造方法によれば、絶縁基板1の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P1,6P2を順次塗布するとともに樹脂ペースト6P1を下面側からスルーホール2内に充填し、次に絶縁基板1の上面にソルダーレジスト層用の樹脂ペースト6P3を、絶縁基板1の下面に塗布された樹脂ペースト6P1および6P2の合計厚みよりも薄くなるように塗布することから、スルーホール2内がソルダーレジスト6により良好に充填されるとともに、スルーホール2内に充填されたソルダーレジスト6が例えスルーホール2上に突出したとしても、絶縁基板1の搭載部1aにおいては、搭載される半導体素子Sの下面に接触するようなソルダーレジスト層6の大きな凸部が形成されることはない。したがって、搭載部1aに設けた半導体素子接続パッド4上に半導体素子Sの電極端子Tを向かい合わせにして圧接する際、半導体素子Sの下面と搭載部1aにおけるソルダーレジスト層6とが接触することはなく、半導体素子Sの電極端子Tと半導体素子接続パッド4との接続を良好に行なうことが可能な配線基板を提供することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 絶縁基板
1a 搭載部
2 スルーホール
3 配線導体
4 半導体素子接続パッド
5 外部接続パッド
6 ソルダーレジスト層
6P1,6P2,6P3,6P4 ソルダーレジスト層用の樹脂ペースト
S 半導体素子
T 半導体素子の電極端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに、該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されて成る絶縁基板と、該絶縁基板の上面から前記スルーホール内面を介して前記絶縁基板の下面にかけて被着されており、前記搭載部の外周部に前記半導体素子の電極端子が接続される複数の半導体素子接続パッドを有するとともに前記絶縁基板の下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される外部接続パッドを有する配線導体と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内に、前記半導体素子接続パッドおよび前記外部接続パッドを露出させるとともに前記スルーホール内を充填するように被着されたソルダーレジスト層とを備えて成る配線基板であって、前記スルーホール内は前記絶縁基板の下面側に被着されたソルダーレジスト層により充填されているとともに、前記絶縁基板の上面に被着されたソルダーレジスト層は前記搭載部における前記スルーホールを露出させる開口部を有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記搭載部における前記半導体素子接続パッドを除く前記配線導体の表面が粗化面または酸化面の少なくとも一方とされていることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに、該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されて成る絶縁基板と、該絶縁基板の上面から前記スルーホール内面を介して前記絶縁基板の下面にかけて被着されており、前記搭載部の外周部に前記半導体素子の電極端子が接続される複数の半導体素子接続パッドを有するとともに前記絶縁基板の下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される外部接続パッドを有する配線導体と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内に、前記半導体素子接続パッドおよび前記外部接続パッドを露出させるとともに前記スルーホール内を充填するように被着されたソルダーレジスト層とを備えて成る配線基板であって、前記スルーホール内は前記絶縁基板の下面側に被着されたソルダーレジスト層により充填されているとともに、前記絶縁基板の上面に被着されたソルダーレジスト層は前記搭載部における厚みが該搭載部よりも外側における厚みよりも薄いことを特徴とする配線基板。
【請求項4】
上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに、該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されて成る絶縁基板と、該絶縁基板の上面から前記スルーホール内面を介して前記絶縁基板の下面にかけて被着されており、前記搭載部の外周部に前記半導体素子の電極端子が接続される複数の半導体素子接続パッドを有するとともに前記絶縁基板の下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される外部接続パッドを有する配線導体と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内に、前記半導体素子接続パッドおよび前記外部接続パッドを露出させるとともに前記スルーホール内を充填するように被着されたソルダーレジスト層とを備えて成る配線基板であって、前記スルーホール内は前記絶縁基板の下面側に被着されたソルダーレジスト層により充填されているとともに、前記絶縁基板の上面に被着されたソルダーレジスト層は前記下面に被着されたソルダーレジスト層よりも薄いことを特徴とする配線基板。
【請求項5】
上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されており、かつ上面から前記スルーホール内面を介して下面にかけて被着された配線導体を有する絶縁基板を準備する工程と、前記絶縁基板の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布するとともに該樹脂ペーストを下面側から前記スルーホール内に充填する工程と、前記絶縁基板の上面に前記搭載部における前記スルーホールを露出させる開口部を有するようにソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布する工程と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内の前記樹脂ペーストを露光および現像した後に硬化させることにより、前記上面に被着された配線導体の一部を前記半導体素子の電極端子に接続される複数の半導体素子接続パッドとして前記搭載部の外周部に露出させるとともに前記搭載部における前記スルーホールを露出させる開口部を有する上面側のソルダーレジスト層および、前記下面に被着された配線導体の一部を外部電気回路基板の配線導体に接続される外部接続パッドとして露出させる開口部を有する下面側のソルダーレジスト層を形成する工程とを順に行なうことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記搭載部における前記半導体素子接続パッドを除く前記配線導体の表面を粗化面または酸化面の少なくとも一方とする工程を含むことを特徴とする請求項5記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されており、かつ上面から前記スルーホール内面を介して下面にかけて被着された配線導体を有する絶縁基板を準備する工程と、前記絶縁基板の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布するとともに該樹脂ペーストを下面側から前記スルーホール内に充填する工程と、前記絶縁基板の上面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを、前記搭載部においては前記下面に塗布された前記樹脂ペーストよりも薄くなるとともに搭載部よりも外側においては前記搭載部におけるよりも厚くなるように塗布する工程と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内の前記樹脂ペーストを露光および現像した後に硬化させることにより、前記上面に被着された配線導体の一部を前記半導体素子の電極端子に接続される複数の半導体素子接続パッドとして前記搭載部の外周部に露出させる開口部を有する上面側のソルダーレジスト層および、前記下面に被着された配線導体の一部を外部電気回路基板の配線導体に接続される外部接続パッドとして露出させる開口部を有する下面側のソルダーレジスト層を形成する工程とを順に行なうことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁基板の上面に前記樹脂ペーストを塗布する工程において、前記搭載部においては一回塗りにより前記樹脂ペーストを塗布し、前記搭載部の外側においては重ね塗りにより前記樹脂ペーストを塗布することを特徴とする請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
上面に半導体素子が搭載される搭載部を有するとともに該搭載部を含む上面から下面にかけて複数のスルーホールが形成されており、かつ上面から前記スルーホール内面を介して下面にかけて被着された配線導体を有する絶縁基板を準備する工程と、前記絶縁基板の下面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを塗布するとともに該樹脂ペーストを下面側から前記スルーホール内に充填する工程と、前記絶縁基板の上面にソルダーレジスト層用の樹脂ペーストを、前記下面に塗布された前記樹脂ペーストよりも薄くなるように塗布する工程と、前記絶縁基板の上下面および前記スルーホール内の前記樹脂ペーストを露光および現像した後に硬化させることにより、前記上面に被着された配線導体の一部を前記半導体素子の電極端子に接続される複数の半導体素子接続パッドとして前記搭載部の外周部に露出させる開口部を有する上面側のソルダーレジスト層および、前記下面に被着された配線導体の一部を外部電気回路基板の配線導体に接続される外部接続パッドとして露出させる開口部を有する下面側のソルダーレジスト層を形成する工程とを順に行なうことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁基板の下面に前記樹脂ペーストを塗布するとともに該樹脂ペーストを下面側から前記スルーホール内に充填する前記工程において、前記スルーホール内には一回塗りで前記樹脂ペーストを充填するとともに前記下面には重ね塗りにより前記樹脂ペーストを塗布することを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−119655(P2011−119655A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213345(P2010−213345)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】